説明

γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物

【課題】 γ−アミノ酪酸を高濃度に含有し、更に、コーヒー由来の機能成分を含有させることができるコーヒー抽出物を提供すること
【解決手段】本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、アカネ科コーヒー属の種子を極性溶媒で抽出して抽出物を得て、前記抽出物を培地として発酵させてγ−アミノ酪酸を生成させてなる。上記抽出物は、γ−アミノ酪酸が5〜90wt%含有することを特徴とすることが好ましい。更に、カフェオイルキナ酸類を更に含有し、カフェオイルキナ酸類として、クロロゲン酸を含有することが好ましい。更に、カフェインを更に含有することが好ましい。また、上記抽出物は、コーヒー飲料、飲食品化粧料等に使用することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ−アミノ酪酸を含有するコーヒー豆抽出物に関する。
【背景技術】
【0002】
昨今、食品中に含まれる種々の成分の生理作用に関心が高まっており、厚生労働省もそのような生理機能を有する素材を含有する食品に対して特定保健用食品として許可を与えることとしている。これらの食品は、飲料、ヨーグルト、スープ、味噌汁、からあげ、ハンバーグなどの惣菜、即席麺、錠菓・錠剤などの形態で商品化されており、急激に需要が増大している。
【0003】
生理活性機能を有する素材として、様々な素材が提案されているが、その一つとして血圧降下作用を有する物質がある。なかでも食品中に含まれ安全性の高い物質として、ペプチド、γ−アミノ酪酸、クロロゲン酸、コーヒー豆抽出物等があり、これらを含有する高血圧に有効な食品が提案されている(特許文献1〜3)。特に、γ−アミノ酪酸は、幅広く食品中に含まれており、血圧降下作用、精神安定作用、抗更年期障害作用等が知られている(特許文献4〜6、非特許文献1〜3)。このように有用なγ−アミノ酪酸について、食品中の含有量を高める技術が公知である(特許文献7〜13)。
【0004】
【特許文献1】特開2004−194515号公報
【特許文献2】特開2004−290088号公報
【特許文献3】特開2002−87977号公報
【特許文献4】特開平10−215812号公報
【特許文献5】特開2004−35478号公報
【特許文献6】特開2004−290129号公報
【特許文献7】特開平7−227245号公報
【特許文献8】特開平9−238650号公報
【特許文献9】特開平11−103825号公報
【特許文献10】特開2001−352940号公報
【特許文献11】特開2003−169659号公報
【特許文献12】特開2004−147560号公報
【特許文献13】特開2004−313032号公報
【非特許文献1】JpnParmacol Ther (薬理と治療),30巻,11号,p.963(2002年)
【非特許文献2】食品と開発,36巻,6号,p.4(2001年)
【非特許文献3】FOOD Style 21,6巻,7号,p.53(2002年)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景の下、コーヒー豆の極性溶媒抽出物を培地として乳酸菌発酵することにより、γ−アミノ酪酸を生成することができ、更に、コーヒー豆の抽出物を発酵させることにより、コーヒー由来の機能成分(カフェオイルキナ酸類、カフェイン等)を含有させることができることを見出し、本発明を完成した。
本発明は、γ−アミノ酪酸を高濃度に含有し、更に、コーヒー由来の機能成分を含有させることができるコーヒー抽出物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明の特徴は、以下のとおりである。
1.アカネ科コーヒー属の種子を極性溶媒で抽出して抽出物を得て、前記抽出物中に含有されるグルタミン酸をγ−アミノ酪酸(GABA)に変換してなるγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
2.アカネ科コーヒー属の種子を極性溶媒で抽出して抽出物を得て、前記抽出物を培地として発酵させてγ−アミノ酪酸を生成させてなるγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
3.上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、γ−アミノ酪酸が5〜90wt%含有することを特徴とする上記1.又は上記2.に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
4.上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、カフェオイルキナ酸類を更に含有することを特徴とする上記1.〜上記3.の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
5.上記カフェオイルキナ酸類として、クロロゲン酸を含有することを特徴とする上記4.に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
6.上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、カフェインを更に含有することを特徴とする上記1.〜上記5.の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
7.上記1.〜上記6.の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を含有するコーヒー飲料。
8.上記1.〜上記6.の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を含有する飲食品。
9.上記1.〜上記6.の何れか1項に記載のコーヒー抽出物を含有する化粧料。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に、本発明を詳細に説明する。
「アカネ科コーヒー属」は、種は特に限定されない。例えば、アラビカ種(Coffea arabica)、ロブスタ種 (カネフォーラ種、 C.
canephora )、リベリカ種 (C. liberica)が挙げられる。尚、これらのうち1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。
これらのうち、本発明では、ロブスタ種 (C. canephora )を用いることが好ましい。コーヒーに含まれる機能成分(カフェオイルキナ酸類、カフェイン等)を高濃度に含有する抽出物を得ることができるからである。
【0008】
アラビカ種 (Coffea
arabica)として、ティピカ (C. arabica 'Typica') 、スマトラ (C. arabica 'Sumatera')、モカ (C. arabica
'Mokka')、ブルー・マウンテン (C. arabica 'Blue mountain')、コナ (C. arabica 'Kona')、コムン (C. arabica
'Comun')、ティコ (C. arabica 'Tico')、ブルボン (C. arabica 'Bourbon')、カトゥーラ (C. arabica
'Caturra')、ムンド・ノーボ (C. arabica 'Mundo Novo')、カトゥアイ (C. arabica 'Catuai')、マラゴジッペ (C. arabica
'Maragogype')、サン・ラモン (C. arabica 'San Ramon')、パーピュラセンス (C. arabica 'Purpurascens')、ケント (C. arabica
'Kent')、パーカス (C. arabica 'Pacas')、アカイア (C. arabica 'Akkaya')、パカマラ (C. arabica
'Pacamara')、ヴィラ・サルチ ( 'Villa Sarchi' )、アルーシャ (C. arabica 'Arusha' )、ゲイシャ (C. arabica
'Geisha' )等が挙げられるがこれらに限定されない。尚、これらのうちの1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。また、本発明においては、これらの交雑種を用いても良い。
【0009】
ロブスタ種 (C.
canephora )として、ロブスタ (C. canephora var. robusta
'Robusta')、ウガンダ (C. canephora var. robusta 'Nganda')、コニロン(C. canephora var. kouilouensis 'Conilon')等が挙げられるが、これらに限定されない。尚、これらのうちの1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。また、本発明においては、これらの交雑種を用いても良い。
【0010】
ここで、極性溶媒抽出にて抽出する場合、用いる極性溶媒は特に限定されないが、たとえば、水、メタノール、エタノール、イソプロパノール、アセトン、1,3−ブチレングリコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、酢酸、酢酸エチル、エーテル、ヘキサン等が挙げられる。これらのうち、水、メタノール、エタノールが好ましい。有効成分を効率よく抽出できるからである。尚、これらは1種のみ用いても良いし、2種以上併用しても良い。
【0011】
抽出溶媒として水を使用する場合には、抽出温度20〜100℃、好ましくは40〜90℃より好ましくは70〜90℃程度で行うとよい。これは、抽出温度が低すぎると、有効成分が抽出されにくいためである。抽出用の水の種類は、特に限定されず、水道水、蒸留水、ミネラル水、アルカリイオン水等を使用することができる。
【0012】
抽出溶媒として含水アルコールを使用する場合、アルコール濃度30以上、好ましくは50wt%以上であることが好ましい。30wt%未満の場合、有効成分の抽出量が低下しやすくなるからである。また、抽出温度は、0〜95℃、好ましくは20〜80℃程度で行うとよい。なお、含水エタノール抽出は、有効成分の含有率を向上させるため、種々の濃度で繰り返すとよい。
【0013】
また、極性溶媒にて抽出する場合、その抽出方法は特に限定されず、例えば、連続抽出、浸漬抽出、向流抽出等任意の方法を採用することができ、室温ないし還流加熱下において任意の装置を使用することができる。尚、上述した方法にて抽出を行う場合、これらのうちの1つのみを行っても良いし、これらの方法を組み合わせても良い。また、これらの抽出は、1回のみ行っても良いし、2回以上行っても良い。
【0014】
具体的には、溶媒として70〜90℃の熱水を使用し、コーヒーの種子に熱水で、1〜3時間抽出を行うことが好ましい。これにより、γ−アミノ酪酸を容易に得ることができ、更に、コーヒー由来の成分であるカフェインや、カフェオイルキナ酸類を同時に抽出することができるからである。
【0015】
上記抽出物に含有されるグルタミン酸をγ−アミノ酪酸に返還させることにより本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を得ることができる。このとき、所定のpHにて調製された水を加えることにより行うことができる。この処理によって、コーヒーに内在するグルタミン酸脱炭酸酵素を作用させ、グルタミン酸をγ−アミノ酪酸に変換することができる。この時、蛋白質分解酵素も同時に作用し、コーヒー抽出物に含まれる蛋白質が分解し、グルタミン酸が供給され、効率よくγ−アミノ酪酸に変換することができる。また、このとき、適量のグルタミン酸脱炭酸酵素を別途添加することが好ましい。十分な量のγ−アミノ酪酸を含有するγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を得ることが困難だからである。
このとき、水のpHは、pH2.5〜7.5、好ましくはpH3.0〜7.0、より好ましくはpH5.5〜6.0であることが好ましい。なお、pH調整のために用いる酸は有機酸,無機酸のいずれでもよく、好ましくは酢酸,クエン酸,リンゴ酸等の有機酸や塩酸,硫酸,リン酸等の無機酸が用いられる。また、アルカリとしては水酸化ナトリウム,水酸化カリウム,水酸化カルシウム,炭酸ナトリウム,リン酸ナトリウム等が用いられる。更に、このときに加える水の量は特に限定されないが、コーヒー種子の2〜10倍量の水を加えることが好ましい。またこのときの水の温度、振盪の条件は、50℃以下、通常は10〜50℃の条件下、50〜150ストローク/分で20分以上、通常20分〜24時間、好ましくは80〜120ストローク/分で40分〜10時間、より好ましくは40℃で100ストローク/分にて、4〜8時間振盪させることが好ましい。
【0016】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、上記のような処理をして得た抽出物に酸を加えて抽出することによって得ることができる。具体的には塩酸,硫酸,リン酸等の無機酸や酢酸,クエン酸,リンゴ酸等の有機酸を加えて酸性条件、好ましくはpH1〜2の強酸性条件に調整した後、0〜100℃、好ましくは10〜30℃、50〜150ストローク/分で5分〜2時間、好ましくは100ストローク/分で1時間振盪させ、γ−アミノ酪酸を抽出する。次いで、抽出物を遠心分離(3000rpm,10分),濾過処理等の固−液分離操作を行って上清(γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物)を回収する。
【0017】
また、本発明では、このγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物をイオン交換クロマトグラフィー等により精製、濃縮しても良い。
得られたγ−アミノ酪酸は甘味を伴ったうま味を有しており、食品添加物あるいは調味料として利用することができる。その場合の使用量は、目的に応じて適宜決定すればよい。
【0018】
また、本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、前記抽出物を培地として発酵させてγ−アミノ酪酸を生成させてなることを特徴とする。
本発明において用いられるγ−アミノ酪酸産生能を有する微生物は、食品に用いても安全であり、γ−アミノ酪酸生産能を持つことが必要である。そのような微生物としては乳酸菌、酵母、麹菌等が挙げられる。中でも、γ−アミノ酪酸産生能が高いことから、乳酸菌が好ましい。乳酸菌としては、Lactbacillus
brevis、L.hilgardii、L.plantaram、L.casei、L.paracasei、L.helveticus、L.bulgaricus、L.acidophilus、L.sp.、Streptococcus
lactis、S.thermophilus、Enterococcus casseliflavus等に属する乳酸菌が挙げられる。
【0019】
乳酸菌を使用し、グルタミン酸またはその塩類を含有する発酵原料に乳酸菌を接種し培養して、γ−アミノ酪酸を含有する発酵食品を製造する。また、凍結乾燥菌体、凍結保存株および液体培養液のうちのいずれを使用してもよいが、使用の前日から1%以上のグルタミン酸を含む発酵液または液体培地で前培養したものを使用することが好ましい。
【0020】
このときに用いるグルタミン酸は、化学的にはアミノ酸の一種であるL−グルタミン酸を指し、調味料としての用途を持つ食品添加物であるグルタミン酸やグルタミン酸ナトリウム、その他のグルタミン酸塩、さらに食品蛋白質を酸や酵素で加水分解して得られるグルタミン酸のいずれを用いても構わない。
【0021】
また、発酵培地は、乳酸菌の生育のために、上記したコーヒー抽出物の他に、ブドウ糖、果糖、麦芽糖などの糖質や、酵母エキス、肉エキス等のビタミンやミネラルが混合されたものを更に用いても良い。さらに、乳化剤や安定剤、pH調整剤などの食品添加物を用いることができる。
【0022】
発酵処理に使用される容器は、洗浄や加熱殺菌を行うことができて、食品の製造に使用可能である容器であれば、大きさや材質を問わないが、雑菌が混入しにくい構造をしたものが好ましい。
【0023】
発酵処理の条件は、次の通りである。すなわち、発酵温度は、好ましくは20℃〜30℃で、発酵時間は、例えば48時間〜75時間であり、初発pHは、4.0〜7.0が好ましい。但し、5重量%以上の高濃度のグルタミン酸ナトリウムを含む発酵培地を用いて発酵させる場合は、菌の増殖が最も促進される初発pH4.5〜5.5が最も好ましい。例えば、4重量%のグルタミン酸ナトリウムを含むGYP液体培地で乳酸菌を培養させた場合、72時間後のγ−アミノ酪酸の生成量は、初発pH6.3および初発pH5.0のいずれにおいても約2重量%であったのに対し、10重量%のグルタミン酸ナトリウムを含むGYP液体培地で乳酸菌を培養させた場合には、72時間後のγ−アミノ酪酸の生成量は、初発pH6.3では約3重量%であるのに対し、初発pH5.0では約5重量%に達した。また、発酵液のpHは、乳酸菌の増殖に伴って上昇し、発酵処理を開始してから24時間〜48時間経過した時点ではpH7〜8の中性域に達する。このため、発酵処理を開始してから24時間前後経過した時点で、発酵液を再びpH5程度に調整して発酵処理を続けるようにする。このようにすることにより、乳酸菌の増殖をさらに促進させ、γ−アミノ酪酸生成の速度や効率を上昇させることができる。かくして本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を得ることができる。
【0024】
上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、そのまま各種の飲料や食物に添加するなどして用いてもよく、また、濾過、濃縮、乾燥などの処理工程、或いはクロマトグラフィーなどの精製工程によってγ−アミノ酪酸の含有量をさらに高めてから利用するようにしてもよい。これにより、γ−アミノ酪酸濃度が高く、加工食品などの原材料などとして広い用途を持つ液体または粉末状のγ−アミノ酪酸高含有食品を得ることができる。
【0025】
上記した濾過工程は、濾紙、濾布などを用いた通常の食品加工用の濾過設備を使用して行うことができ、珪藻土やセルロース、活性炭などの濾過助剤を用いるようにしてもよい。濃縮工程は、真空濃縮機、減圧濃縮機、蒸留釜、凍結濃縮機などの設備を用いて行う以外にも、火にかけた鍋で発酵液中の水分を蒸発させるだけでもよい。また、乾燥工程は、噴霧乾燥や凍結乾燥など、効率的かつ衛生的な方法により行うことが好ましい。さらに、γ−アミノ酪酸の含有量をより高めた食品を得るために、上記した工程以外にも、液体クロマトグラフィーなどの方法を用いるようにすることもできる。また、上記した発酵液を濃縮あるいは乾燥させることにより、γ−アミノ酪酸を含有した液状または粉末状食品が得られる。
【0026】
また、γ−アミノ酪酸高含有コーヒー抽出物は、上述した成分のほかに、賦形剤、甘味料、増粘剤、タンパク質、ペプチド、脂質、多糖類、糖質、塩類などの通常、食品に用いられている成分を含んでいてもよい。
【0027】
なお、得られたγ−アミノ酪酸高含有コーヒー抽出物のγ−アミノ酪酸の含有量の測定は、高速液体クロマトグラフィー、アミノ酸測定機等の分析機器や、酵素を用いた分析試薬などを用いて行うようにすればよい。
【0028】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の含有量は、γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の全質量を100wt%とした場合、γ−アミノ酪酸が1〜90wt%、より好ましくは10〜40wt%、20〜35wt%とすることができる。γ−アミノ酪酸の含有量を90wt%以上とすることは技術的に効率が劣るものであり、更に1wt%未満とした場合、γ−アミノ酪酸の生理活性機能を活かすことができる食品を得ることが困難だからである。
【0029】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、カフェオイルキナ酸類を含有することができる。
カフェオイルキナ酸類としては、3−カフェオイルキナ酸(ネオクロロゲン酸)、4−カフェオイルキナ酸(クリプトクロロゲン酸)、5−カフェオイルキナ酸(クロロゲン酸)、3,4−ジカフェオイルキナ酸、3,5−ジカフェオイルキナ酸、4,5−ジカフェオイルキナ酸、3−フェルロイルキナ酸、4−フェルロイルキナ酸、5−フェルロイルキナ酸、3−フェルロイル−4−カフェオイルキナ酸等が挙げられる。
カフェオイルキナ酸類は、10〜40wt%、好ましくは12〜30wt%、より好ましくは、15〜22wt%とすることができる。カフェオイルキナ酸類の含有量を40wt%以上とすることは技術的に効率が劣るものであり、更に10wt%未満とした場合、カフェオイルキナ酸類の生理活性機能を活かすことができる食品を得ることが困難だからである。
【0030】
これらのカフェオイルキナ酸類のうち、特にクロロゲン酸を含有することが好ましい。このとき、クロロゲン酸含有量はγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を100wt%とした場合、2〜15wt%、好ましくは6〜10wt%、より好ましくは6〜8wt%となることが好ましい。クロロゲン酸の含有量を15wt%以上とすることは技術的効率が劣るものであり、更に、2wt%未満とした場合、クロロゲン酸の生理活性機能を活かすことができる食品を得ることが困難だからである。
【0031】
また、本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、カフェインを更に含有することができる。このとき、カフェインの含有量は、γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を100wt%とした場合、2〜10wt%、好ましくは3〜8wt%、より好ましくは4〜7wt%とすることができる。
【0032】
本発明は、前記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を含有する飲食品を提供する。この飲食品は、有効成分としてγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を、例えば成人の一回の服用量につき、100〜1,000mg、好ましくは250〜500mgの量で含有し得る。本発明γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物において、前記有効成分の含有量は、年齢等により変化してよい。
【0033】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を使用する各種飲食品としては、例えば、食用油(サラダ油)、菓子類(ガム、キャンディー、キャラメル、チョコレート、クッキー、スナック、ゼリー、グミ、錠菓等)、麺類(そば、うどん、ラーメン等)、乳製品(ミルク、アイスクリーム、ヨーグルト等)、調味料(味噌、醤油等)、スープ類、飲料(ジュース、紅茶、茶、炭酸飲料、スポーツ飲料等)をはじめとする一般食品や、健康食品(錠剤、カプセル等)、栄養補助食品(栄養ドリンク等)が挙げられる。
【0034】
これら飲食品には、その種類に応じて種々の成分を配合することができ、例えば、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マルトース、ソルビトール、ステビオサイド、コーンシロップ、乳糖、クエン酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸、乳酸、L−アスコルビン酸、dl−α−トコフェロール、エリソルビン酸ナトリウム、グリセリン、プロピレングリコール、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、アラビアガム、カラギーナン、カゼイン、ゼラチン、ペクチン、寒天、ビタミンB類、ニコチン酸アミド、パントテン酸カルシウム、アミノ酸類、カルシウム塩類、色素、香料、保存剤等の食品素材を使用することができる。さらに、γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物には、他の抗酸化物質や健康食品素材などの配剤、例えば、抗酸化物質、還元型アスコルビン酸(ビタミンC)、ビタミンE、還元型グルタチン、トコトリエノール、ビタミンA誘導体、リコピン、β−クリプトキサンチン、アスタキサンチン、ゼアキサンチン、フコキサンチン、尿酸、ユビキノン、コエンザイムQ10、葉酸、ニンニクエキス、アリシン、セザミン、リグナン類、イソフラボン、カルコン、タンニン類、フラボノイド類、クマリン、イソクマリン類、ブルーベリーエキス、アントシアニン、リンゴポリフェノール、ブドウ種子エキス、エラジ酸、コウジ酸、サージ抽出物健康食品素材、V.(ビタミン)A、V.B1、V.B2、V.B6、V.B12、V.C、V.D、V.E、V.P、コリン、ナイアシン、パントテン酸、葉酸カルシウム、オリゴ糖、食物繊維、スクアレン、大豆レシチン、タウリン、ドナリエラ、オクタコサノール、卵黄レシチン、リノール酸、ラクトフェリン、マグネシウム、亜鉛、クロム、セレン
、カリウム、ヘム鉄、カキ肉エキス、キトサン、キチンオリゴ糖、コラーゲン、ウコン、カンゾウ、クコシ、ケイヒ、サンザシ、生姜、霊芝、シジミエキス、スッポン、カミツレ、カモミール、セイヨウタンポポ、ハイビスカス、ハチミツ、ボーレン、ローヤルゼリー、ライム、ラベンダー、ローズヒップ
、ローズマリー、セージ、ビフィズス菌、フェーカリス菌、ラクリス、小麦胚芽油、ゴマ油、シソ油、大豆油、中鎖脂肪酸、アガリクス、イチョウ葉エキス、ウコン、コンドロイチン、玄米胚芽エキス、レイシ、タマネギ、DHA、 EPA、 DPA、
甜茶、冬虫夏草、ニンニク、蜂の子、パパイヤ、プーアル、プロポリス、メグスリの木、ヤブシタケ、ノコギリヤシ、ヒアルロン酸、コラーゲン、ギャバ、ハープシールオイル、サメ軟骨、グルコサミン、レシチン、ホスファチジルセリン、田七ニンジン、桑葉、大豆抽出物、エキナセア、エゾウコギ、大麦抽出物、オリーブ葉、オリーブ実、ギムネマ、バナバ、サラシア、ガルシニア、セントジョーンズワート、ナツメ、ニンジン、パッションフラワー、ブロッコリー、プラセンタ、ハトムギ、ブドウ種子、ピーナッツ種皮、ビルベリー、ブラックコホシュ、マリアアザミ、月桂樹、ラフマ、黒酢、ゴーヤー、マカ、紅花、亜麻、ウーロン茶、花棘、カフェイン、カプサイシン、キシロオリゴ糖、ソバ、シトラス、食物繊維、プロテイン、プルーン、スピルリナ、大麦若葉、核酸、酵母、椎茸、梅肉、アミノ酸、深海鮫抽出物、ノニ、カキ肉、シャンピニオン、オオバコ、アセロラ、パイナップル、バナナ、モモ、アンズ、メロン、イチゴ、ラズベリー、オレンジ、フコイダン、メシマコブ、クランベリー、コンドロイチン硫酸、鉄、セラミド、シルクペプチド、グリシン、ナイアシン、チェストツリー、L-システイン、L-カルニチン、赤ワイン葉、ミレット、ホーステール、ビオチン、センテラアジアティカ、ハスカップ、ピクノジェノール、フキ、ルバーブ、クローブ、カテキン、プーアル、クエン酸、ビール酵母、メリロート、ブラックジンガー、ショウガ、ガジュツ、ナットウキナーゼ、ベニコウジ、ラクトフェリン、シナモン、韃靼ソバ、ココア、ユズ種子エキス、シソの実エキス、ライチ種子エキス、月見草エキス、黒米エキス、α−リポ酸、ギャバ、生コーヒー豆エキス、フキエキス、キウイ種子エキス、温州みかんエキス、アカショウガエキス、赤米エキス、ブドウエキス、昆布エキスなども配合することができる。
【0035】
具体的な製法としては、本発明γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物をそのまま、抽出物の場合は粉末デキストリンとともにスプレードライまたは凍結乾燥し、これを粉末、顆粒、打錠または溶液にすることで容易に食品(インスタント食品等)に含有させることができる。また必要に応じてアラビアガム等のバインダーと混合して粉末状あるいは顆粒状にし、固形食品に添加することも可能である。また、エキスの場合はそのまま、もしくは例えば、水、エタノール、グリセリンあるいはこれらの混合物に分散溶解して、飲料に添加することも可能である。
【0036】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、薬品(医薬品および医薬部外品を含む。)の素材として用いてもよい。薬品製剤用の原料に、本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を適宜配合して製造することができる。尚、上記薬品は、ヒトに用いても良いし、ヒト以外の哺乳類動物に用いても良い。本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物に配合しうる製剤原料としては、例えば、賦形剤(ブドウ糖、乳糖、白糖、塩化ナトリウム、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、カカオ脂、硬化植物油、タルク等)、結合剤(蒸留水、生理食塩水、エタノール水、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシメチルセルロース、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等)、崩壊剤(アルギン酸ナトリウム、カンテン、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリド、デンプン、乳糖、アラビアゴム末、ゼラチン、エタノール等)、崩壊抑制剤(白糖、ステアリン、カカオ脂、水素添加油等)、吸収促進剤(第四級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等)、吸着剤(グリセリン、デンプン、乳糖、カオリン、ベントナイト、硅酸等)、滑沢剤(精製タルク、ステアリン酸塩、ポリエチレングリコール等)などが挙げられる。
【0037】
本発明によるγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の投与方法は、一般的には、錠剤、丸剤、軟・硬カプセル剤、細粒剤、散剤、顆粒剤等の形態で経口投与することができる。また、水溶性製剤は、液剤として経口的に投与することができる。さらに非経口投与であってもよい。非経口剤として投与する場合は、本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物をエタノールや水など適当な可溶化剤に分散させた後、パップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。また本γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の水溶性製剤は、そのままで、あるいは分散剤、懸濁剤、安定剤などを添加した状態で、パップ剤、ローション剤、軟膏剤、チンキ剤、クリーム剤などの剤形で適用することができる。
【0038】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を薬品として使用する際の配合比は、剤型によって適宜変更することが可能であるが、通常、経口または粘膜吸収により投与される場合は約0.01〜10wt%、非経口投与による場合は、0.01〜20wt%程度にするとよい。なお、投与量は種々の条件で異なるので、前記投与量より少ない量で十分な場合もあるし、また、範囲を超えて投与する必要のある場合もある。医薬組成物は、前記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物以外に、医薬分野において常用される既知の他の化合物、および経口投与に適した形態に成型するのに必要な化合物を包含していてもよい。そのような化合物と
しては、例えば、乳糖、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース、カオリン、タルク、炭酸カルシウムなどが挙げられる。
【0039】
また、本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、哺乳類の動物用飼料に含有することができる。上記動物用飼料は、上記飲食品と同様の方法にて含有することができる。また、上記動物用飼料は、使用する動物は特に限定されず、例えば、牛、豚等の家畜用動物、犬、猫、ハムスタ等の伴侶動物(ペットとして飼われている動物)等にも使用することができる。
また、例えば、伴侶動物の飼料として、穀粉、食肉等を用いることができる。このとき、穀粉としては、小麦粉、米粉、ライ麦粉、えんばく粉、ひえ粉、あわ粉、トウモロコシ粉、大豆粉などが例示でき、これらの穀粉は2種以上を併用してもよい。穀粉を使用することにより、伴侶動物に炭水化物などの栄養素を供給することができる。上記の穀粉の中で小麦粉を使用するのが最も好ましく、小麦粉としては、強力粉、中力粉、薄力粉を単独又は適宜組み合わせて使用することができ、また係る小麦粉と他の穀粉を併用してもよい。更に、加熱処理後の動物用飼料の弾力を調整するために、小麦粉と小麦グルテン、大豆蛋白質などを組み合わせてもよい。なお、小麦粉に含まれるグルテンに由来する網目構造は、加熱処理されると、膨化した組織構造を構成することができ、食感の改善に寄与する。
【0040】
本発明で使用される食肉は特に限定されず、鶏肉、豚肉、牛肉、羊肉、山羊肉、兎肉、七面鳥肉、馬肉などを使用するこができるが、風味の点から鶏肉が好適に使用される。上記の食肉は常法により家畜類を屠殺し解体して得られる。なお、中間水分又は低水分状態の製品の品質劣下は主に脂肪の酸化により生じるので、使用する食肉は脂肪含量が少ないか脂肪を取り除いた赤身肉が好適に使用される。また、食肉の共存は、良質の動物性蛋白質の強化と共に伴侶動物に対する嗜好性の改善を図ることができる。
【0041】
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、化粧料として用いることにより、γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物としての作用を期待することができる。尚、化粧料は人間に用いても良いし、人間以外の哺乳類動物に用いても良い。
本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を配合しうる化粧料の形態としては、例えば、乳液、石鹸、洗顔料、入浴剤、クリーム、化粧水、オーデコロン、ひげ剃り用クリーム、ひげ剃り用ローション、化粧油、日焼け・日焼け止めローション、おしろいパウダー、ファンデーション、香水、パック、爪クリーム、エナメル、エナメル除去液、眉墨、ほお紅、アイクリーム、アイシャドー、マスカラ、アイライナー、口紅、リップクリーム、シャンプー、リンス、染毛料、分散液、洗浄料等が挙げられる。
また、本発明のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を配合しうる医薬品または医薬部外品の形態としては、軟膏剤、クリーム剤、外用液剤等が挙げられる。
【0042】
上記形態の皮膚外用剤には、本発明によるγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の他に、その機能を損なわない範囲で化粧品、医薬部外品などの皮膚外用剤に配合される成分、油分、高級アルコール、脂肪酸、紫外線吸収剤、粉体、顔料、界面活性剤、多価アルコール・糖、高分子、生理活性成分、溶媒、酸化防止剤、香料、防腐剤等を配合することができる。
例を以下に羅列するが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
【0043】
(1)油分の例
エステル系の油相成分:トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、2-エチルヘキサン酸セチル、ミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸ブチル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸エチル、パルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソセチル、ステアリン酸ブチル、ミリスチン酸ブチル、リノール酸エチル、リノール酸イソプロピル、オレイン酸エチル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソステアリル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、セバシン酸ジエチル、アジピン酸ジイソプロピル、ネオペンタン酸イソアラキル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、カプリル酸セチル、ラウリン酸デシル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸デシル、ミリスチン酸ミリスチル、ミリスチン酸セチル、ステアリン酸ステアリル、オレイン酸デシル、リシノレイン酸セチル、ラウリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソトリデシル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸イソステアリル、ステアリン酸オクチル、ステアリン酸イソセチル、オレイン酸イソデシル、オレイン酸オクチルドデシル、リノール酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、2-エチルヘキサン酸セトステアリル、2-エチルヘキサン酸ステアリル、イソステアリン酸ヘキシル、ジオクタン酸エチレングリコール、ジオレイン酸エチレングリコール、ジカプリン酸プロピレングリコール、ジ(カプリル・カプリン酸)プロピレングリコール、ジカプリル酸プロピレングリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジオクタン酸ネオペンチルグリコール、トリカプリル酸グリセリル、トリウンデシル酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリル、トリイソステアリン酸グリセリル、ネオペンタン酸オクチルドデシル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸オクチル、ネオデカン酸ヘキシルデシル、ネオデカン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸オクチルデシル、ポリグリセリンオレイン酸エステル、ポリグリセリンイソステアリン酸エステル、炭酸ジプロピル、炭酸ジアルキル(C12-18)、クエン酸トリイソセチル、クエン酸トリイソアラキル、クエン酸トリイソオクチル、乳酸ラウリル、乳酸ミリスチル、乳酸セチル、乳酸オクチルデシル、クエン酸トリエチル、クエン酸アセチルトリエチル、クエン酸アセチルトリブチル、クエン酸トリオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、ヒドロキシステアリン酸2-エチルヘキシル、コハク酸ジ2-エチルヘキシル、アジピン酸ジイソブチル、セバシン酸ジイソプロピル、セバシン酸ジオクチル、ステアリン酸コレステリル、イソステアリン酸コレステリル、ヒドロキシステアリン酸コレステリル、オレイン酸コレステリル、オレイン酸ジヒドロコレステリル、イソステアリン酸フィトステリル、オレイン酸フィトステリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソセチル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸ステアリル、12-ステアロイルヒドロキシステアリン酸イソステアリル等が挙げられる。
炭化水素系の油相成分:スクワラン、流動パラフィン、α-オレフィンオリゴマー、イソパラフィン、セレシン、パラフィン、流動イソパラフィン、ポリブテン、マイクロクリスタリンワックス、ワセリン等が挙げられる。
動植物油とその硬化油、および天然由来のロウ:牛脂、硬化牛脂、豚脂、硬化豚脂、馬油、硬化馬油、ミンク油、オレンジラフィー油、魚油、硬化魚油、卵黄油等の動物油およびその硬化油、アボカド油、アルモンド油、オリーブ油、カカオ脂、キウイ種子油、杏仁油、ククイナッツ油、ゴマ油、小麦胚芽油、コメ胚芽油、コメヌカ油、サフラワー油、シアバター、大豆油、月見草油、シソ油、茶実油、ツバキ油、トウモロコシ油、ナタネ油、硬化ナタネ油、パーム核油、硬化パーム核油、パーム油、硬化パーム油、ピーナッツ油、硬化ピーナッツ油、ヒマシ油、硬化ヒマシ油、ヒマワリ油、ブドウ種子油、ホホバ油、硬化ホホバ油、マカデミアナッツ油、メドホーム油、綿実油、硬化綿実油、ヤシ油、硬化ヤシ油等の植物油およびその硬化油、ミツロウ、高酸価ミツロウ、ラノリン、還元ラノリン、硬化ラノリン、液状ラノリン、カルナバロウ、モンタンロウ等のロウ等が挙げられる。
シリコーン系の油相成分:ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルシクロポリシロキサン、オクタメチルポリシロキサン、デカメチルポリシロキサン、ドデカメチルシクロシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサン、ポリエーテル変性オルガノポリシロキサン、ジメチルシロキサン・メチルセチルオキシシロキサン共重合体、ジメチルシロキサン・メチルステアロキシシロキサン共重合体、アルキル変性オルガノポリシロキサン、末端変性オルガノポリシロキサン、アミノ変性シリコーン油、アミノ変性オルガノポリシロキサン、ジメチコノール、シリコーンゲル、アクリルシリコーン、トリメチルシロキシケイ酸、シリコーンRTVゴム等が挙げられる。
フッ素系の油相成分:パーフルオロポリエーテル、フッ素変性オルガノポリシロキサン、フッ化ピッチ、フルオロカーボン、フルオロアルコール、フルオロアルキル・ポリオキシアルキレン共変性オルガノポリシロキサン等が挙げられる。
【0044】
(2)高級アルコールの例
ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、イソステアリルアルコール、オレイルアルコール、ベヘニルアルコール、2-エチルヘキサノール、ヘキサデシルアルコール、オクチルドデカノール等が挙げられる。
【0045】
(3)脂肪酸の例
カプリル酸、カプリン酸、ウンデシレン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、パルミトレイン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、アラキン酸、アラキドン酸、ベヘン酸、エルカ酸、2-エチルヘキサン酸等が挙げられる。
【0046】
(4)紫外線吸収剤の例
パラアミノ安息香酸、パラアミノ安息香酸アミル、パラアミノ安息香酸エチルジヒドロキシプロピル、パラアミノ安息香酸グリセリル、パラアミノ安息香酸エチル、パラアミノ安息香酸オクチル、パラアミノ安息香酸オクチルジメチル、サリチル酸エチレングリコール、サリチル酸オクチル、サリチル酸トリエタノールアミン、サリチル酸フェニル、サリチル酸ブチルフェニル、サリチル酸ベンジル、サリチル酸ホモメンチル、ケイ皮酸ベンジル、パラメトキシケイ皮酸オクチル、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル、ジパラメトキシケイ皮酸モノ2-エチルヘキサン酸グリセリル、パラメトキシケイ皮酸イソプロピル、パラメトキシヒドロケイ皮酸ジエタノールアミン塩、ジイソプロピル・ジイソプロピルケイ皮酸エステル混合物、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチル、ヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルホン酸及びその塩、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノン、ジヒドロキシメトキシベンゾフェノンジスルホン酸ナトリウム、ジヒドロキシベンゾフェノン、ジヒドロキシジメトキシベンゾフェノン、ヒドロキシオクトキシベンゾフェノン、テトラヒドロキシベンゾフェノン、ブチルメトキシジベンゾイルメタン、2、4、6-トリアニリノ-p-(カルボ-2-エチルヘキシル-1-オキシ)-1、3、5-トリアジン、2-(2-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、メチル-O-アミノベンゾエート、2-エチルヘキシル-2-シアノ-3、3-ジフェニルアクリレート、フェニルベンゾイミダゾール硫酸、3-(4-メチルベンジリデン)カンフル、イソプロピルジベンゾイルメタン、4-(3、4-ジメトキシフェニルメチレン)-2、5-ジオキソ-1-イミダゾリジンプロピオン酸2-エチルヘキシル等、およびこれらの高分子誘導体やシラン誘導体等が挙げられる。
【0047】
(5)粉体・顔料の例
赤色104号、赤色201号、黄色4号、青色1号、黒色401号等の色素、黄色4号ALレーキ、黄色203号BAレーキ等のレーキ色素、ナイロンパウダー、シルクパウダー、ウレタンパウダー、テフロン(登録商標)パウダー、シリコーンパウダー、ポリメタクリル酸メチルパウダー、セルロースパウダー、デンプン、シリコーンエラストマー球状粉体、ポリエチレン末等の高分子、黄酸化鉄、赤色酸化鉄、黒酸化鉄、酸化クロム、カーボンブラック、群青、紺青等の有色顔料、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化セリウム等の白色顔料、タルク、マイカ、セリサイト、カオリン、板状硫酸バリウム等の体質顔料、雲母チタン等のパール顔料、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム等の金属塩、シリカ、アルミナ等の無機粉体、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸マグネシウム、パルミチン酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ミリスチン酸マグネシウム、ラウリン酸亜鉛、ウンデシレン酸亜鉛等の金属セッケン、ベントナイト、スメクタイト、窒化ホウ素等が挙げられる。これらの粉体の形状(球状、棒状、針状、板状、不定形状、燐片状、紡錘状等)および粒子径に特に制限はない。なおこれらの粉体は、従来公知の表面処理、例えばフッ素化合物処理、シリコーン処理、シリコーン樹脂処理、ペンダント処理、シランカップリング剤処理、チタンカップリング剤処理、油剤処理、N-アシル化リジン処理、ポリアクリル酸処理、金属セッケン処理、アミノ酸処理、レシチン処理、無機化合物処理、プラズマ処理、メカノケミカル処理等によって事前に表面処理されていてもいなくても構わない。
【0048】
(6)界面活性剤の例
アニオン性界面活性剤:脂肪酸セッケン、α-アシルスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルアリルスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、POEアルキルエーテル硫酸塩、アルキルアミド硫酸塩、アルキルリン酸塩、POEアルキルリン酸塩、アルキルアミドリン酸塩、アルキロイルアルキルタウリン塩、N-アシルアミノ酸塩、POEアルキルエーテルカルボン酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルスルホ酢酸ナトリウム、アシル化加水分解コラーゲンペプチド塩、パーフルオロアルキルリン酸エステル等が挙げられる。
カチオン性界面活性剤:塩化アルキルトリメチルアンモニウム、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、臭化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化セトステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ジステアリルジメチルアンモニウム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、臭化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化ベンザルコニウム、塩化ベヘニン酸アミドプロピルジメチルヒドロキシプロピルアンモニウム、ステアリン酸ジエチルアミノエチルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラノリン誘導体第四級アンモニウム塩等が挙げられる。
両性界面活性剤:カルボキシベタイン型、アミドベタイン型、スルホベタイン型、ヒドロキシスルホベタイン型、アミドスルホベタイン型、ホスホベタイン型、アミノカルボン酸塩型、イミダゾリン誘導体型、アミドアミン型等が挙げられる。
ノニオン性界面活性剤:プロピレングリコール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビタン脂肪酸エステル、POEソルビット脂肪酸エステル、POEグリセリン脂肪酸エステル、POEアルキルエーテル、POE脂肪酸エステル、POE硬化ヒマシ油、POEヒマシ油、POE・POP共重合体、POE・POPアルキルエーテル、ポリエーテル変性シリコーンラウリン酸アルカノールアミド、アルキルアミンオキシド、水素添加大豆リン脂質等が挙げられる。
天然系界面活性剤:レシチン、サポニン、糖系界面活性剤等が挙げられる。
【0049】
(7)多価アルコール、糖の例
エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン、3-メチル-1、3-ブタンジオール、1、3-ブチレングリコール、ソルビトール、マンニトール、ラフィノース、エリスリトール、グルコース、ショ糖、果糖、キシリトール、ラクトース、マルトース、マルチトール、トレハロース、アルキル化トレハロース、混合異性化糖、硫酸化トレハロース、プルラン等が挙げられる。またこれらの化学修飾体等も使用可能である。
【0050】
(8)高分子の例
アクリル酸エステル/メタクリル酸エステル共重合体(プラスサイズ、互応化学社製)、酢酸ビニル/クロトン酸共重合体(レジン28-1310、NSC社製)、酢酸ビニル/クロトン酸/ビニルネオデカネート共重合体(28-2930、NSC社製)、メチルビニルエーテルマレイン酸ハーフエステル(ガントレッツES、ISP社製)、T-ブチルアクリレート/アクリル酸エチル/メタクリル酸共重合体(ルビマー、BASF社製)、ビニルピロリドン/ビニルアセテート/ビニルプロピオネート共重合体(ルビスコールVAP、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸共重合体(ルビセットCA、BASF社製)、ビニルアセテート/クロトン酸/ビニルピロリドン共重合体(ルビセットCAP、BASF社製)、ビニルピロリドン/アクリレート共重合体(ルビフレックス、BASF社製)、アクリレート/アクリルアミド共重合体(ウルトラホールド、BASF社製)、ビニルアセテート/ブチルマレエート/イソボルニルアクリラート共重合体(アドバンテージ、ISP社製)、カルボキシビニルポリマー(カーボポール、BFGoodrich社製)、アクリル酸・メタクリル酸アルキル共重合体(ペミュレン、BF Goodrich社製)等のアニオン性高分子化合物や、ジアルキルアミノエチルメタクリレート重合体の酢酸両性化物(ユカフォーマー、三菱化学社製)、アクリル酸オクチルアクリルアミド/アクリル酸ヒドロキシプロピル/メタクリル酸ブチルアミノエチル共重合体(AMPHOMER、NSC社製)等の両性高分子化合物、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレートの4級化物(GAFQUAT、ISP社製)、メチルビニルイミダゾリウムクロリド/ビニルピロリドン共重合体(ルビコート、BASF社製)等のカチオン性高分子化合物、ポリビニルピロリドン(ルビスコールK、BASF社製)、ビニルピロリドン/酢酸ビニル共重合体(ルビスコールVA、BASF社製)、ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマー937、ISP社製)、ビニルカプロラクタム/ビニルピロリドン/ジメチルアミノエチルメタクリレート共重合体(コポリマーVC713、ISP社製)等のノニオン性高分子化合物等がある。また、セルロースまたはその誘導体、ケラチン及びコラーゲンまたはその誘導体、アルギン酸カルシウム、プルラン、寒天、ゼラチン、タマリンド種子多糖類、キサンタンガム、カラギーナン、ハイメトキシルペクチン、ローメトキシルペクチン、グアーガム、アラビアゴム、結晶セルロース、アラビノガラクタン、カラヤガム、トラガカントガム、アルギン酸、アルブミン、カゼイン、カードラン、ジェランガム、デキストラン等の天然由来高分子化合物も好適に用いることができる。
【0051】
(9)生理活性成分の例
生理活性成分としては、皮膚に塗布した場合に皮膚に何らかの生理活性を与える物質が挙げられる。例えば、美白成分、免疫賦活剤、老化防止剤、紫外線防御剤、スリミング剤、ひきしめ剤、抗酸化剤、発毛剤、育毛剤、保湿剤、血行促進剤、抗菌剤、殺菌剤、乾燥剤、冷感剤、温感剤、ビタミン類、アミノ酸、創傷治癒促進剤、刺激緩和剤、鎮痛剤、細胞賦活剤、酵素成分等が挙げられる。これらの好適な配合成分の例としては、例えばアシタバエキス、アボカドエキス、アマチャエキス、アルテアエキス、アルニカエキス、アロエエキス、アンズエキス、アンズ核エキス、イチョウエキス、ウイキョウエキス、ウコンエキス、ウーロン茶エキス、エイジツエキス、エチナシ葉エキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オウレンエキス、オオムギエキス、オトギリソウエキス、オドリコソウエキス、オランダカラシエキス、オレンジエキス、海水乾燥物、海藻エキス、加水分解エラスチン、加水分解コムギ末、加水分解シルク、カモミラエキス、カロットエキス、カワラヨモギエキス、甘草エキス、カルカデエキス、カキョクエキス、キナエキス、キューカンバ-エキス、グアノシン、クチナシエキス、クマザサエキス、クララエキス、クルミエキス、グレープフルーツエキス、クレマティスエキス、クロレラエキス、クワエキス、ゲンチアナエキス、紅茶エキス、酵母エキス、ゴボウエキス、コメヌカ発酵エキス、コメ胚芽油、コンフリーエキス、コラーゲン、コケモモエキス、サイシンエキス、サイコエキス、サイタイ抽出液、サルビアエキス、サボンソウエキス、ササエキス、サンザシエキス、サンショウエキス、シイタケエキス、ジオウエキス、シコンエキス、シソエキス、シナノキエキス、シモツケソウエキス、シャクヤクエキス、ショウブ根エキス、シラカバエキス、スギナエキス、セイヨウキズタエキス、セイヨウサンザシエキス、セイヨウニワトコエキス、セイヨウノコギリソウエキス、セイヨウハッカエキス、セ-ジエキス、ゼニアオイエキス、センキュウエキス、センブリエキス、ダイズエキス、タイソウエキス、タイムエキス、茶エキス、チョウジエキス、チガヤエキス、チンピエキス、トウキエキス、トウキンセンカエキス、トウニンエキス、トウヒエキス、ドクダミエキス、トマトエキス、納豆エキス、ニンジンエキス、ニンニクエキス、ノバラエキス、ハイビスカスエキス、バクモンドウエキス、パセリエキス、蜂蜜、ハマメリスエキス、パリエタリアエキス、ヒキオコシエキス、ビサボロール、ビワエキス、フキタンポポエキス、フキノトウエキス、ブクリョウエキス、ブッチャーブルームエキス、ブドウエキス、プロポリス、ヘチマエキス、ベニバナエキス、ペパーミントエキス、ボダイジュエキス、ボタンエキス、ホップエキス、マツエキス、マロニエエキス、ミズバショウエキス、ムクロジエキス、メリッサエキス、モモエキス、ヤグルマギクエキス、ユーカリエキス、ユキノシタエキス、ヨクイニンエキス、ヨモギエキス、ラベンダーエキス、リンゴエキス、レタスエキス、レモンエキス、レンゲソウエキス、ローズエキス、ローズマリーエキス、ローマカミツレエキス、ローヤルゼリーエキス等を挙げることができる。
また、デオキシリボ核酸、ムコ多糖類、ヒアルロン酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コラーゲン、エラスチン、キチン、キトサン、加水分解卵殻膜などの生体高分子、アミノ酸、加水分解ペプチド、乳酸ナトリウム、尿素、ピロリドンカルボン酸ナトリウム、ベタイン、ホエイ、トリメチルグリシンなどの保湿成分、スフィンゴ脂質、セラミド、フィトスフィンゴシン、コレステロール、コレステロール誘導体、リン脂質などの油性成分、ε-アミノカプロン酸、グリチルリチン酸、β-グリチルレチン酸、塩化リゾチーム、グアイアズレン、ヒドロコールチゾン等の免疫賦活剤、ビタミンA、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、パントテン酸カルシウム、ビオチン、ニコチン酸アミド、ビタミンCエステル等のビタミン類、アラントイン、ジイソプロピルアミンジクロロアセテート、4-アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸等の活性成分、トコフェロール、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン等の抗酸化剤、α-ヒドロキシ酸、β-ヒドロキシ酸などの細胞賦活剤、γ-オリザノール、ビタミンE誘導体などの血行促進剤、レチノール、レチノール誘導体等の創傷治癒剤、アルブチン、コウジ酸、プラセンタエキス、イオウ、エラグ酸、リノール酸、トラネキサム酸、グルタチオン等の美白剤、セファランチン、カンゾウ抽出物、トウガラシチンキ、ヒノキチオール、ヨウ化ニンニクエキス、塩酸ピリドキシン、DL-α-トコフェロール、酢酸DL-α-トコフェロール、ニコチン酸、ニコチン酸誘導体、パントテン酸カルシウム、D-パントテニルアルコール、アセチルパントテニルエチルエーテル、ビオチン、アラントイン、イソプロピルメチルフェノール、エストラジオール、エチニルエストラジオール、塩化カプロニウム、塩化ベンザルコニウム、塩酸ジフェンヒドラミン、タカナール、カンフル、サリチル酸、ノニル酸バニリルアミド、ノナン酸バニリルアミド、ピロクトンオラミン、ペンタデカン酸グリセリル、L-メントール、モノニトログアヤコール、レゾルシン、γ-アミノ酪酸、塩化ベンゼトニウム、塩酸メキシレチン、オーキシン、女性ホルモン、カンタリスチンキ、シクロスポリン、ジンクピリチオン、ヒドロコールチゾン、ミノキシジル、モノステアリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、ハッカ油、ササニシキエキス等の育毛剤などが挙げられる。
【0052】
(10)酸化防止剤の例
亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、エリソルビン酸、エリソルビン酸ナトリウム、チオジプロピオン酸ジラウリル、トコフェロール、トリルビグアナイド、ノルジヒドログアヤレチン酸、パラヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシアニソール、ジブチルヒドロキシトルエン、ステアリン酸アスコルビル、パルミチン酸アスコルビル、没食子酸オクチル、没食子酸プロピル、カロチノイド、フラボノイド、タンニン、リグナン、サポニン、リンゴエキスやチョウジエキスなどの酸化防止効果の認められる植物エキス等が挙げられる。
【0053】
(11)溶媒の例
精製水、エタノール、低級アルコール、エーテル類、LPG、フルオロカーボン、N-メチルピロリドン、フルオロアルコール、揮発性直鎖状シリコーン、次世代フロン等が挙げられる。
【実施例】
【0054】
以下に、本発明を具体化した実施例について説明する。
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の製造
(実施例1)
アカネ科コーヒー豆(Coffea canephora)を2時間熱水抽出を行い、抽出液を得た。その後この抽出液をろ過し、このろ液を濃縮した。その後、その濃縮液にグルタミン酸を加え、乳酸菌(Lactbacillus
brevis)にて発酵させ、γ−アミノ酪酸を更に富化させた。そして、更にろ過を行い、ろ液を濃縮して、凍結乾燥を行って、γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の粉末(実施例1粉末)を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の方法にて製造を行って実施例1と同じサンプルを得た。
【0055】
γ−アミノ酪酸含有量の測定
上記実施例1及び実施例2についてγ−アミノ酪酸の含有量をHPLCで測定した。その結果を表1に示す。尚、測定条件は以下の通りである。
カラム :Shim-pack AMINO-Na (6 mm I.D. x 100 mm)
カラム温度 :50℃
測定波長 :Ex
= 340 nm,Em = 450 nm
移動相流量 :0.6
mL/min
反応液流量 :0.4
mL/min
注入量 :5
mL
【0056】
【表1】

【0057】
表1によれば、実施例1及び実施例2のγ−アミノ酪酸の含有量が、26.0〜28.6wt%であることが判る。これにより、本実施例のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、γ−アミノ酪酸の生理活性機能(抗疲労、更年期障害予防作用等)を有する飲食品原料及び飲食品を提供することができる。更には、コーヒー飲料に配合することによってγ−アミノ酪酸の生理活性機能(例えば、リラックス作用、抗疲労作用、血圧降下作用)等を有するコーヒー飲料を提供することができる。
【0058】
カフェオイルキナ酸類の含有量の測定
本実施例(実施例1及び実施例2)のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物のカフェオイルキナ酸類及びクロロゲン酸の含有量をHPLCで測定し、その結果を表3に示した。測定条件は以下の通りである。
HPLC条件
カラム:資生堂 Capcellpak C18(4.6 mm I.D.× 250 mm)
移動相:Solvent A:0.002M H3PO4、Solvent B:アセトニトリル
【表2】

流速:1.0 mL/min
検出器:UV
検出波長:324 nm
カラム温度:30℃
試料打込量:5 μL
【表3】

【0059】
表3によれば、カフェオイルキナ酸類の含有量は、15.90〜20.07wt%、クロロゲン酸の含有量は、6.38〜7.76wt%である。カフェオイルキナ酸類や、クロロゲン酸には、脂質代謝改善作用、血圧降下作用、及び脳機能改善作用等があることが知られている。これにより、本実施例のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、γ−アミノ酪酸の生理活性機能だけではなくカフェオイルキナ酸類やそれに含まれるクロロゲン酸の生理活性機能(脂質代謝改善作用、血圧効果作用、生体内抗酸化作用、脳機能改善作用等)をも有する飲食品及び飲食品原料を提供することができる。更に、本実施例では、血圧降下作用を有する成分として、カフェオイルキナ酸類とγ−アミノ酪酸との両方を含有するので、他の原料の由来のγ−アミノ酪酸含有植物抽出物を比較してより優れた高血圧予防作用を有する食品等を提供することができる。
【0060】
カフェイン含有量の測定
HPLC条件
カラム:資生堂 Capcellpak C18(4.6 mm I.D.× 250 mm)
移動相:MeOH : H2O=20 : 80
流速:1.0 ml/min
検出器:UV
検出波長:280 nm
カラム温度:40℃
試料打込量:5 μl

【表4】

【0061】
表4によれば、本実施例のカフェイン含有量は、6.03〜6.69wt%である。これにより、本実施例のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、リラックス作用等γ−アミノ酪酸の生理活性機能ともに、カフェインの生理活性機能(疲労回復作用等)の両方を有するγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を提供することができる。
【0062】
焙煎コーヒー豆5gに対し熱湯を注ぎ100mLのコーヒーを抽出し、その中に実施例1のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を1.0%、砂糖4.7%、脱脂粉乳0.4%、全脂粉乳0.25%、重曹0.12%、乳化剤0.1%を加え、70℃で攪拌乳化し、コーヒー飲料を調製した。
尚、本実施例は、本発明を限定するものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内での変更は可能である。例えば、本実施例では、発酵させる微生物として乳酸菌(Lactbacillus
brevis)を用いたが、他の菌種の乳酸菌や、酵母、麺菌等を用いても良い。
【0063】
配合例
以下の本実施例のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物の配合例を示す。尚、以下の配合例は、本発明を限定するものではない。
配合例1:チューインガム
砂糖 53.0wt%
ガムベース 20.0
グルコース 10.0
水飴 16.0
香料 0.5
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.5
100.0wt%
【0064】
配合例2:グミ
還元水飴 40.0wt%
グラニュー糖 20.0
ブドウ糖 20.0
ゼラチン 4.7
水 9.68
イチゴ果汁 4.0
ブドウフレーバー 0.6
色素 0.02
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 1.0
100.0wt%
【0065】
配合例3:キャンディー
砂糖 50.0wt%
水飴 33.0
水 14.4
有機酸 2.0
香料 0.2
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.4
100.0wt%
【0066】
配合例4:ヨーグルト(ハード・ソフト)
牛乳 41.5wt%
脱脂粉乳 5.8
砂糖 8.0
寒天 0.15
ゼラチン 0.1
乳酸菌 0.005
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.4
香料 微量
水 残余
100.0wt%
【0067】
配合例5:清涼飲料
果糖ブドウ糖液糖 30.0wt%
乳化剤 0.5
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.05
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0068】
配合例6:錠菓
砂糖 76.4wt%
グルコース 19.0
ショ糖脂肪酸エステル 0.2
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.5
精製水 3.9
100.0wt%
【0069】
配合例7:ソフトカプセル
米胚芽油 87.0wt%
乳化剤 12.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 1.0
100.0wt%
【0070】
配合例8:錠剤
乳糖 54.0wt%
結晶セルロース 30.0
澱粉分解物 10.0
グリセリン脂肪酸エステル 5.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 1.0
100.0wt%
【0071】
配合例9:顆粒内服剤(医薬品)
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 1.0wt%
乳糖 30.0
コーンスターチ 60.0
結晶セルロース 8.0
ポリビニールピロリドン 1.0
100.0wt%
【0072】
配合例10:キャットフード
とうもろこし 34.0wt%
小麦粉 35.0
ミートミール 15.0
牛脂 8.9
食塩 1.0
かつおエキス 4.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 1.0
タウリン 0.1
ビタミン類 0.5
ミネラル類 0.5
100.0wt%
【0073】
配合例11:ドッグフード
とうもろこし 30.0wt%
肉類(チキン) 15.0
脱脂大豆 10.0
小麦粉 25.0
糟糠類 5.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 5.0
動物性油脂 8.9
オリゴ糖 0.1
ビタミン 0.5
ミネラル 0.5
100.0wt%
【0074】
配合例12:化粧クリーム
スクワラン 20.0wt%
ミツロウ 5.0
精製ホホバ油 5.0
グリセリン 5.0
グリセリンモノステアレート 2.0
ポリオキシエチレン(20)ソルビタン-
モノステアレート 2.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 2.0
防腐剤 適量
香料 適量
精製水 残余
100.0wt%
【0075】
配合例13:化粧水
エタノール 5.0wt%
グリセリン 2.0
1,3−ブチレングリコール
2.0
ポリエチレンオレイルエーテル 0.5
クエン酸ナトリウム 0.1
クエン酸 0.1
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.1
精製水 残余
100.0wt%
【0076】
配合例14:ボディージェル
マカデミアナッツ油 2.0wt%
ミリスチン酸オクチルドデシル 10.0
メチルフェニルポリシロキサン 5.0
ベヘニルアルコール 3.0
ステアリン酸 3.0
バチルアルコール 1.0
モノステアリン酸グリセリル 1.0
テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット 2.0
水素添加大豆リン脂質 1.0
セラミド 0.1
パルミチン酸レチノール 0.1
防腐剤 適量
ツボクサ抽出物 1.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 1.0
1、3−ブチレングリコール 5.0
精製水 残余
100.0wt%
【0077】
配合例15:乳液
スクワラン 4.0wt%
ワセリン 2.5
セタノール 2.0
グリセリン 2.0
親油型モノステアリン酸グリセリン 1.0
ステアリン酸 1.0
L−アルギニン 1.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.5
水酸化カリウム 0.1
香料 微量
精製水 残余
100.0wt%
【0078】
配合例16:浴用剤(液状)
プロピレングリコール 50.0wt%
エタノール 20.0
硫酸ナトリウム 5.0
γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物 0.5
ラノリン 0.5
アボガド油 0.5
色素 1.5
香料 22.0
100.0wt%
【産業上の利用可能性】
【0079】
以上により、本発明は、γ−アミノ酪酸を高濃度に含有し、更に、コーヒー由来の機能成分(カフェオイルキナ酸類及びカフェイン等)を高濃度に含有させることができるコーヒー抽出物を提供することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アカネ科コーヒー属の種子を極性溶媒で抽出して抽出物を得て、
前記抽出物中に含有されるグルタミン酸をγ−アミノ酪酸(GABA)に変換してなるγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
【請求項2】
アカネ科コーヒー属の種子を極性溶媒で抽出して抽出物を得て、
前記抽出物を培地として発酵させてγ−アミノ酪酸を生成させてなるγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
【請求項3】
上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、γ−アミノ酪酸が5〜90wt%含有することを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
【請求項4】
上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、カフェオイルキナ酸類を更に含有することを特徴とする請求項1〜請求項3の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
【請求項5】
上記カフェオイルキナ酸類として、クロロゲン酸を含有することを特徴とする請求項4に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
【請求項6】
上記γ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物は、カフェインを更に含有することを特徴とする請求項1〜請求項5の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物。
【請求項7】
請求1〜請求項6の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を含有するコーヒー飲料。
【請求項8】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を含有する飲食品。
【請求項9】
請求項1〜請求項6の何れか1項に記載のγ−アミノ酪酸含有コーヒー豆抽出物を含有する化粧料。

【公開番号】特開2010−187554(P2010−187554A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32856(P2009−32856)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(594045089)オリザ油化株式会社 (96)
【Fターム(参考)】