説明

γ−ヒドロキシ酪酸に基づく新規の組成物

本発明は、γ−ヒドロキシ酪酸又はその薬学的に許容可能な塩の1つの粒状物質であって、該γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを支持する固体コアを含むことを特徴とする、粒状物質に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、γ−ヒドロキシ酪酸又はその薬学的に許容可能な塩の1つに基づく新規の組成物、及び上述の組成物の調製方法に関する。
【背景技術】
【0002】
γ−ヒドロキシ酪酸(すなわちGHB)はヒトの脳に存在する内因性の神経修飾物質又は神経伝達物質である。γ−ヒドロキシ酪酸はγ−アミノ酪酸(GABA)の代謝物質である。
【0003】
このため活性成分としてGHBのナトリウム塩、すなわちヒドロキシ酪酸ナトリウム(又はナトリウムオキシベート、Na−GHB)を含む薬剤Xyrem(登録商標)は脱力発作を示す成人患者でのナルコレプシーの治療に使用される。
【0004】
GHBは麻酔剤としても使用される。
【0005】
GHBは中枢神経系におけるアルコール様効果も有する。このため臨床研究により、アルコール依存の治療におけるGHBの有効性が既に示されている。
【0006】
しかしながら、有効性に関するGHBの主な欠点はその薬物動態プロファイルに関連するものである。そのため、GHBは半減期が短く、血漿濃度ピークが高く、摂取に応じて排出が迅速であり、バイオアベイラビリティが変わりやすい(低い)。例えば、ヒドロキシ酪酸ナトリウムは投与後およそ30分〜45分の最大ピークで胃腸系により非常に迅速に吸収されること、及び半減期がおよそ20分〜25分であることが知られている。さらに、GHBは非常に迅速に(およそ4時間〜5時間で)排出される。
【0007】
したがってこの薬物動態プロファイルは、3時間〜4時間ごとに反復投与で、4g〜9gの相当量の1日用量を投与し、特にナルコレプシー患者では深夜の投与を伴う。このことで、血漿濃度の変動が広いため有効性が限定され、これらの同じ変動のために過敏症の危険性が生じる。
【0008】
既存のガレヌス形態では、このプロファイルの改善は不可能である。
【0009】
例えば、経口溶液は遵守に関して限定的であり、安定性及び保存の問題が起こる場合がある。さらに、GHBは酸性環境下で不安定であるため、胃環境でのGHBの分解、及びしたがってバイオアベイラビリティの低減の可能性を排除することができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、上述の欠点を回避することを可能にする、γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つ(特にナトリウム)に基づく新規のガレヌス形態を提供することである。
【0011】
このため本発明の目的は、活性成分の見かけの半減期及びバイオアベイラビリティを増大し、1日用量及び1日当たりの摂取回数を低減することを可能にする、γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つに基づく新規のガレヌス形態を提供することである。
【0012】
このため本発明の目的は、用いられる血漿濃度を低減することにより、二次的影響を低減又は排除することを可能にする、γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つに基づく新規のガレヌス形態を提供することである。
【0013】
このため本発明の目的は、1日の投与回数を低減すること、特に夜に摂取するのを回避することにより、患者の快適性及び治療のモニタリングの改善を可能にする、γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つに基づく新規のガレヌス形態を提供することである。
【0014】
このため本発明の目的は、安定なガレヌス形態により製品の安定性の改善が可能で、その使用の転用を回避又は低減させるγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つに基づく新規のガレヌス形態、を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明は、γ−ヒドロキシ酪酸又はその薬学的に許容可能な塩の1つの粒状物質であって、該γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを支持する固体コアを含むことを特徴とする、粒状物質に関する。
【発明を実施するための形態】
【0016】
使用される活性成分は好ましくは塩の形態であり、より詳細にはナトリウム塩の形態(4−ヒドロキシ酪酸のナトリウム塩又はナトリウムオキシベート)である。
【0017】
「粒状物質」という表現は、それぞれが様々な操作を可能にするのに十分な固体性を有する粉末粒子の凝集体を形成する、乾燥固体粒からなる調製物を示す。
【0018】
粒状物質は一般的に、不規則な鋭角形状の小粒形態で存在する。本発明による粒状物質は完全に規則的で均一な、外見上球形である形状を有するという特徴を有する。
【0019】
物理的観点から粒状物質は様々な結晶性又は非晶質の粉末粒子の凝集体である。
【0020】
本発明による粒状物質は経口投与を目的としており、より詳細にはそのまま嚥下することを目的とする。
【0021】
本発明による粒状物質はコア/シェル型の特徴的な構造を有し、該コアはシェルを形成する活性成分とは異なる性質を有する。
【0022】
しかしながら特定の実施の形態によれば、粒状物質のコアはγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つの粒子を含むことができる。
【0023】
このためこれらの粒状物質は多層構造を有する。活性成分(γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つ)をコア上に堆積し、それによりこのコア(又は支持体)の周りに堆積した層(又はシェル)を形成する。
【0024】
粒状物質のコアは活性成分の粒子が固定される支持体ともみなすことができる。
【0025】
前記コアは固体粒子からなり、該コアにより支持される活性成分も固体形態である。
【0026】
したがって本発明は、新規の経口用多粒子形態の開発を基礎とする。
【0027】
このため本明細書で提示される形態の元々の特徴は、1日に1回又は2回の投与しか必要としない十分に相当な用量でのγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つの投与を可能にする、経口投与用の粒状物質からなり、本発明による粒状物質が活性成分中で強く濃縮されている。
【0028】
本発明による粒状物質は患者への1日の投与回数を減らすことが可能になるという利点を有する。
【0029】
好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質のコアは、マンニトール、ソルビトール、マルチトール又はキシリトール等のポリオール、ラクトース、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸ナトリウム等の炭酸塩、グルコン酸塩、ケイ酸塩、特にアミノケイ酸マグネシウム(Neusilin(登録商標))、糖結晶、サッカロース、シリカ誘導体及びデンプン誘導体からなる群の中から選択される化合物の粒子からなる。
【0030】
特に好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質のコアはマンニトールからなる。好ましくは、粒状物質のコアは中性コアからなることはない。
【0031】
したがって本発明は好ましくは、マンニトールの粒子からなるコア上に堆積したγ−ヒドロキシ酪酸(又はその塩の1つ)を含む粒状物質に関する。
【0032】
特に有利な実施の形態によれば、本発明による粒状物質のコアはセルロース化合物を含まない。
【0033】
好ましい実施の形態によれば、上述の粒状物質は結合剤も含む。
【0034】
結合剤の役割は粒子を互いに結合させること、すなわち粒状物質の凝集を完全なものとすることである。このため結合剤は、粒状物質において活性成分とコアとを良好に凝集させることを確実にすることを可能とする。
【0035】
このようにして結合剤、例えば活性成分を粒状物質のコアの周りに堆積させる。
【0036】
結合剤としては、粘性溶液を与える親水性賦形剤の大部分が言及され得る:アラビアガム及びトラガカントガム、メチルセルロース及びカルボキシメチルセルロース、ゼラチン、デンプン、マルトデキストリン、アルコール溶液中のPEG 4000及びPEG 6000、水溶液若しくはアルコール溶液中のポリビドン、並びにまたサッカロース、グルコース、又はソルビトール溶液。
【0037】
本発明による粒状物質の結合剤は、デンプン、サッカロース、アラビアガム、ポリビニルピロリドン(PVP又はポリビドン)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、セルロース、ポリオール若しくはアルギン酸塩、多糖分解グリセリド(Gelucire(登録商標))若しくはマクロゴールグリセリド、特にステアロイルマクロゴールグリセリド、またアルキル酸誘導体、及びそれらの混合物からなる群の中から選択されるのが好ましい。
【0038】
ポリオールの中でも、特にマンニトール、ソルビトール、マルチトール又はキシリトールが言及され得る。
【0039】
特定の実施の形態によれば、本発明による粒状物質に使用される結合剤はセルロース化合物ではない。したがって該結合剤はポリビニルピロリドン、シェラック、ポリオール若しくはアルギン酸塩、多糖分解グリセリド(Gelucire(登録商標))若しくはマクロゴールグリセリド、特にステアロイルマクロゴールグリセリド、及びそれらの混合物からなる群の中から選択されるのが好ましい。
【0040】
特定の性質に関して上記で言及された群の中から選択される結合剤を使用することもできる。例えば、結合剤としてEUDRAGIT(登録商標)L100又はシェラック等のpH依存性賦形剤を使用することが有用であり得る。多糖分解グリセリド(Gelucire(登録商標))を使用することもその疎水性のために好まれ得る。
【0041】
好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質はコーティングされる。
【0042】
コーティングされた粒状物質は、様々な賦形剤の混合物の1つ又は複数の層でコーティングされた粒からなる。
【0043】
このため、本発明による好ましいコーティングされた粒状物質は、マンニトールの粒子からなるコア上に堆積した活性成分と、コーティング剤からなる付加的な層とを含む。
【0044】
好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質は多層構造を有し、コア(その上に活性成分(GHB)が堆積している(好ましくはマンニトールに基づくコア))と、結合剤とからなり、それら自体がコーティング剤(複数可)の1つ又は複数の層でコーティングされる。
【0045】
本発明による粒状物質は、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール(PEG)、HPMC又はHPC等のセルロース誘導体、サッカロース、アルギン酸塩、脂肪酸のグリセリド及びメタクリル酸ポリマーからなる群の中から選択されるコーティング剤でコーティングされるのが好ましい。
【0046】
特に好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質はシェラックでコーティングされる。
【0047】
本発明による粒状物質は、滑沢剤、着色料、甘味料、可塑剤又はブロッキング防止剤等の賦形剤を1つ又は複数含むコーティングフィルムでコーティングすることもできる。
【0048】
本発明による粒状物質は、胃の保護のために腸溶コーティングを含むこともできる。したがって、かかる粒状物質は胃耐性である。
【0049】
かかるコーティングは、特にHPMCP(フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、すなわちフタル酸ヒプロメロース)若しくはメタクリル酸ポリマー、特にEudragit(登録商標)L、又はシェラックからなるコーティング剤を使用して得られる。
【0050】
この腸溶コーティングの存在は、特に酸性環境下での分解を回避する活性成分(GHB又はNa−GHB)のバイオアベイラビリディに影響を与え得る。
【0051】
本発明による粒状物質は持続放出コーティングも含むこともできる。
【0052】
かかる粒状物質は活性成分の調節放出又は遅延放出を可能にする(放出調節粒状物質)。
【0053】
かかるコーティングは、特にメタクリレートとアクリレートとのコポリマー、Eudragit(登録商標)S100、シェラック、セルロース誘導体、特にエチルセルロース及びアクリル酸誘導体からなるコーティング剤を使用して得られる。
【0054】
この放出調節コーティングの存在は、特に活性成分(特にGHB又はNa−GHB)の見掛けの半減期に影響を与える。
【0055】
本発明による粒状物質は滑沢剤及び/又は香味料及び/又は甘味料及び/又は着色料を含むこともできる。
【0056】
本発明の文脈において使用される滑沢剤の中でも特に、タルク、ステアリン酸マグネシウム、シリカ誘導体(特にAerosil(登録商標))又はワックスが言及され得る。
【0057】
本発明の文脈において使用される香味料の中でも、食品添加物に従来的に使用される香味料が言及され得る。
【0058】
本発明の文脈において使用される甘味料は、食料品に使用することを目的とする甘味料に関して、1994年6月30日付けの指令94/35/EC(2006年7月5日付けの指令2006/25/ECで変更された)で具体的に挙げられているものである。そのため特にアルパルテームE951、ソルビトールE420、マンニトールE421、アセスルファーム−K E950又はサッカリンE954が言及され得る。
【0059】
本発明の文脈において使用される着色料は、食料品に使用することができる着色料に関して、1995年7月26日付けの指令95/45/EC(2006年3月20日付けの指令2006/33/ECで変更された)で具体的に挙げられているものである。そのため特に着色料E100〜E180が言及され得る。
【0060】
転用の文脈においてGHBの意図しない摂取を避けるために、本発明による粒状物質に、該本発明による粒状物質が分解又は粉砕される場合に放出される着色料を組み込むことは特に価値がある。
【0061】
不溶性賦形剤を、転用及び悪用に関する粒状物質の全体的な可溶化を避けるために粒状物質の配合に使用することもできる。
【0062】
本発明による粒状物質は、当業者により従来的に使用されるような可塑剤を1つ又は複数含有することもできる。
【0063】
本発明による粒状物質は、少なくとも35重量%のγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つ、及び好ましくは少なくとも45重量%のγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを含むのが好ましい。
【0064】
別の好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質は、35重量%〜65重量%のγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを含む。
【0065】
さらに、本発明による粒状物質のコアは、上記粒状物質の総量に対して好ましくは20重量%〜80重量%、より好ましくは30重量%〜55重量%、さらに好ましくは35重量%〜55重量%を示す。
【0066】
本発明による粒状物質は、0重量%〜10重量%、好ましくは4重量%〜8重量%の結合剤を含むのが好ましい。
【0067】
本発明による粒状物質は、10重量%〜45重量%、好ましくは20重量%〜30重量%のコーティング剤を含むのが好ましい。
【0068】
本発明による粒状物質は、3重量%未満の香味料を含むのが好ましい。
【0069】
本発明による粒状物質は、2重量%未満の着色料を含むのが好ましい。
【0070】
本発明による粒状物質は、1.5重量%未満の甘味料を含むのが好ましい。
【0071】
本発明による粒状物質は、4重量%未満の滑沢剤を含むのが好ましい。
【0072】
本発明による粒状物質は、3重量%未満の割合で可塑剤、特にトリエチルシトレート含むこともできる。
【0073】
本発明は上記で規定のような粒状物質を含む医薬品組成物にも関する。
【0074】
本発明は、ナルコレプシー患者におけるカタレプシーの治療での使用に関して上記で規定するような本発明による粒状物質にも関する。
【0075】
本発明は、アルコールからの離脱での使用に関して上記で規定のような本発明による粒状物質にも関する。
【0076】
本発明による粒状物質は、個別の容器、例えばサシェ、スティック、紙袋又はボトル、好ましくはプラスチック製のアンプルに封入することもできる。
【0077】
本発明による粒状物質は、1日の投与回数を減らすという利点を有する。このため本発明による粒状物質が高用量を含有するので、単位用量当たり(すなわち粒状物質を含有する個別の容器、特にプラスチック製のアンプル当たり)のγ−ヒドロキシ酪酸(又はその塩の1つ)の量は、500mg以上、有益には1g以上、好ましくは1.5g以上であるのが好ましい。
【0078】
本発明による粒状物質は、直接取り込んでも、又は溶液中に分散させても、又はヨーグルト若しくはコンポート等のダイエット補助食品中に混合してもよい。
【0079】
本発明は、固体の粒子支持体上にγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを粉末を付けること(パウダリング)ことによる塗布工程を含むことを特徴とする、上記で規定のような粒状物質を調製する方法にも関する。
【0080】
したがって本発明の方法は、支持体としての固体粒子の存在下において粉末形態で活性成分γ−ヒドロキシ酪酸(又はその塩の1つ)を混合することからなる。このため用いられる支持体の固体粒子が活性成分の粒子が堆積されたコアを形成する。
【0081】
したがって本発明による粒状物質の構造は、コア/スキン構造を有する粒状物質を得ることを可能にするこの特定の方法の実現に結び付く。
【0082】
造粒に通常使用される様々な賦形剤による直接的な造粒方法により粒状物質の調製の比較試験を行うことにより、粒状物質自体に関して得られた結果は外観、脆弱性及び溶解に関して満足のいくものであることが分かった。しかしながらかかる方法で得られる粒状物質は非常に高い比表面積を有し、従来的に使用される技法では相当量のコーティングポリマーが必要となる。
【0083】
このため本発明の粒状物質は、低い比表面積を有することを特徴とする。さらに粒状物質の外観は比較的平滑であり、かなり規則的な形状を有する。
【0084】
本発明による粒状物質を調製する方法における上述の粉末をつける工程は結合剤のアルコール溶液又は含水アルコール溶液又は水溶液を噴霧する工程を含むこともできる。
【0085】
この噴霧工程及び粉末を付ける(パウダリング)工程は同時に又は交互に行うのが好ましい。
【0086】
上述の粉末を付ける工程は、溶液の形態で結合剤を噴霧する工程と同時に行うのが好ましい。
【0087】
これらの工程の組合せにより、粒状物質のコア上での活性成分の良好な凝集を確実なものにすることが可能となる。
【0088】
このため本発明による方法の有益な実現は、溶液形態で結合剤を噴霧する順序を交互に行うことにより上述の粒状物質支持体(又は粒状物質のコア)上に粉末形態で活性成分を塗布することからなる。
【0089】
本発明による方法は、粉末を付ける工程の後、特にラミネーションにより粒状物質上にフィルムの形態でコーティング剤(複数可)を堆積させることによる、粒状物質をコーティングする1又は複数の工程を含むこともできる。
【0090】
このため本発明による粒状物質の小さい比表面積は、コーティングの場合、用いられるコーティング剤の量を減らし、それにより、より少ない上記のコーティング粒状物質で活性成分を希釈することを可能にする。
【0091】
本発明による方法の好ましい実施の形態は、コーティング工程の後、滑沢剤及び/又は香味料及び/又は甘味料及び/又は着色料と混合する工程を含む方法からなり、これによってそれらを最終的に活性粒状物質と混合するために、粒状形態で調製することもできる。
【0092】
しかしながら滑沢剤、香味料、甘味料及び着色料を上述の粉末を付ける工程の前に添加することもできる。
【0093】
必要に応じて、上述の方法は、粉末を付ける工程の前に希釈剤の存在下で活性成分(GHB)を粉砕する工程を含むこともできる。
【0094】
上記方法が粉砕工程を含む場合、その後に滑沢剤、香味料、甘味料及び着色料を添加する工程を続けることができる。
【0095】
このため好ましい実施の形態によれば、本発明による粒状物質を調製する方法は以下の工程を含む:
活性成分の粒子が堆積した固体の粒子支持体に対応するコアからなる粒状物質を得るために、結合剤のアルコール溶液又は含水アルコール溶液を噴霧する工程と組み合わせて、前述の支持体上に粉末を付けることにより、少なくとも1つの希釈剤と混合したγ−ヒドロキシ酪酸(又はその薬学的に許容可能な塩の1つ)を塗布する工程;
コーティングされた粒状物質を得るために、ラミネーションによるコーティングフィルムの堆積により、前工程で得られた粒状物質をコーティングする1つ又は複数の工程;及び
滑沢剤及び/又は香味料及び/又は甘味料及び/又は着色料(粒状形態であっても又はなくてもよい)と混合する任意の工程。
【実施例】
【0096】
実施例1
粒状物質の調製の好ましい実施形態の詳細な説明
構成成分を1つずつ秤量した後、活性成分をキュービックミキサーに導入する。希釈剤の量を順に秤量し(マンニトール160)、ミキサーに導入する。それからミキサーの操作設定を行う。得られた混合物(A)は10分後に満足のいくものになる。
【0097】
それから混合物をForplex製のFLOミルに導入し、全ての混合物を(活性成分+希釈剤)全体の粒子サイズを低減するように粉砕する。これにより、マンニトール(支持体)(およそ300μ)と、粉砕した混合物(100μ未満、好ましくは25μ)との粒子サイズの差異を増大することが可能になる。
【0098】
上記方法の以下の工程は、用いられる機器が従来型のタービンである粉末を付ける工程である。
【0099】
このため支持体として働くマンニトールをベッセルに導入し、それから該ベッセルの回転数を設定し(1分あたりおよそ20回転)、混合物Aを、結合剤溶液(PVP/HPMC/OH/H2O)を噴霧する段階と交互にマンニトール支持体上に連続的に粉末を付けることにより堆積する。
【0100】
この工程は粒状物質の蒸発及び乾燥を可能にするために連続的に行う。
【0101】
粉末を付ける工程の終了時に、およそ14時間、およそ40℃の温風を粒状物質塊全体に循環させるために乾燥段階を行う。
【0102】
乾燥工程の終了時に、得られる粒子を選択するように生成物を篩にかける。それから混合物をベッセルに戻す。
【0103】
以下の工程はコーティング工程である。コーティング剤を含有する溶液(又は懸濁液)を低圧ベッセルに連続的に入れ、攪拌にかける。それから得られた粒状物質の集まりを空気流動層のベッセルに入れた後、コーティング溶液を粒状物質上に連続的に噴霧する。乾燥工程/コーティング工程を行うこともできる。
【0104】
流体ベッド型の装置(又は同様の技術)を、蒸発に関するその大きな有効性のためにコーティング工程に使用することが好ましく、これによりコーティング回数を大幅に減らすことが可能になる。
【0105】
様々な種類のコーティングを作製することもでき、それぞれが特定の役割を果たす:すなわち硬化、疎水性層の作製、着色、苦味付け(ビタリゼーション)、活性成分の放出の変更。
【0106】
その後、甘味料、滑沢剤、香味料及び着色料等の添加剤(粒状形態であっても又はなくてもよい)をミキサー中の粒状物質に添加することができる。
【0107】
最後の工程は、粒状物質をプラスチック製のアンプル又はサシェ等の個別のパッケージに分配することからなる。
【0108】
以下の表は本発明の文脈において得られた粒状物質の例を説明する。
【0109】
実施例2〜実施例6
本発明による粒状物質の調製
【0110】
【表1】

【0111】
【表2】

【0112】
【表3】

【0113】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
γ−ヒドロキシ酪酸又はその薬学的に許容可能な塩の1つの粒状物質であって、該γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを支持する固体コアを含むことを特徴とする、粒状物質。
【請求項2】
前記コアがマンニトール、ソルビトール、マルチトール又はキシリトール等のポリオール、ラクトース、リン酸二カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸カリウム、炭酸マグネシウム又は炭酸ナトリウム等の炭酸塩、グルコン酸塩、ケイ酸塩、糖結晶、サッカロース、デンプン誘導体及びシリカ誘導体からなる群の中から選択されることを特徴とする、請求項1に記載の粒状物質。
【請求項3】
結合剤、特に、デンプン、サッカロース、アラビアゴム、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、シェラック、ヒドロキシプロピルセルロース、セルロース、ポリオール、アルギン酸塩、多糖分解グリセリド、又はマクロゴールグリセリド、特にステアロイルマクロゴールグリセリドからなる群の中から選択される結合剤を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の粒状物質。
【請求項4】
コーティングされること、特に、シェラック、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、HPMC又はHPC等のセルロース誘導体、サッカロース、アルギン酸塩、脂肪酸のグリセリド及びメタクリル酸ポリマーからなる群の中から選択されるコーティング剤でコーティングされることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の粒状物質。
【請求項5】
腸溶コーティング、特に、メタクリル酸ポリマー、シェラック又はHPMCPからなる腸溶コーティング、及び/又は放出調節コーティング、特に、メタクリレートとアクリレートとのコポリマー、シェラック、又はセルロース誘導体からなる放出調節コーティングを含むことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の粒状物質。
【請求項6】
滑沢剤及び/又は香味料及び/又は甘味料及び/又は着色料も含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の粒状物質。
【請求項7】
少なくとも35重量%のγ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つを含み、前記コアが前記粒状物質の総量に対して20重量%〜80重量%を示すことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の粒状物質。
【請求項8】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒状物質を含む医薬品組成物。
【請求項9】
ナルコレプシー患者でのカタレプシーの治療における使用のため、又はアルコールからの離脱への使用のための、請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒状物質。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか一項に記載の粒状物質を製造する方法であって、固体の粒子支持体上に前記γ−ヒドロキシ酪酸又はその塩の1つの粉末を付けることによる塗布工程を含み、該粉末を付ける工程が結合剤の水溶液、アルコール溶液又は含水アルコール溶液の噴霧することを含み得ることを特徴とする、方法。
【請求項11】
前記粉末を付ける工程の後に、粒状物質のコーティング工程、特にラミネーションにより前記粒状物質上にフィルムの形態で前記コーティング剤を堆積させることによる該粒状物質のコーティング工程、その後、適切であれば、滑沢剤及び/又は香味料及び/又は甘味料及び/又は着色料と混合する工程を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。

【公表番号】特表2012−508784(P2012−508784A)
【公表日】平成24年4月12日(2012.4.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−543797(P2011−543797)
【出願日】平成21年11月10日(2009.11.10)
【国際出願番号】PCT/FR2009/052169
【国際公開番号】WO2010/055260
【国際公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【出願人】(511118838)
【氏名又は名称原語表記】DEBREGEAS ET ASSOCIES PHARMA
【住所又は居所原語表記】79 rue de Miromesnil, 75008 Paris, France
【Fターム(参考)】