説明

γ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物およびその合成方法

【課題】新規の、γ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物およびその合成方法を提供する。
【解決手段】キラルホスホラミダイト配位した銅塩の存在下で、ジアルキル亜鉛と構造式(2)の化合物を反応し、構造式(1)の化合物を生成させる。


(式中、R1は、置換していても良いアリール基等を、R2は、直鎖または分岐鎖のアルキル基、アリール基等を、R3はアルキル基を、*は、キラル中心を表す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規の、γ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物およびその合成方法に関する。本発明のα−ケト酸エステル化合物は、例えばプリル類薬物合成の出発物質として有用である。
【背景技術】
【0002】
不斉触媒反応において、不斉1,4−共役付加は、求核試薬が1,4−不飽和化合物におけるカルボカチオンに対して選択的に攻撃することで、新しい炭素−炭素結合が形成されキラル炭素原子が得られ、該反応はキラル炭素−炭素結合を構築する極めて重要な方法である。従来の技術文献に対する検索の結果、従来の配位子のうち、ホスホラミダイト配位子、特に軸性キラルホスホラミダイト配位子の不斉1,4−共役付加反応における効果の発現が極めて優れている(非特許文献1〜3)。2010年、張万斌研究チームにより開発されたD2−対称のビフェニルビス架橋ホスホラミダイト配位子は二重鎖状オレフィンの銅触媒の不斉1,4−共役付加反応において、極めて優れた触媒反応活性およびエナンチオ選択性を示した。(非特許文献4)。しかしながら、今までのCu触媒の不斉1,4−共役付加反応において、不飽和鎖状オレフィンに対し表出が劣っており、かつ基質の反応活性が低い。
【0003】
1981年、最初のプリル類薬物――カプトプリル(キャポテン)がBristol−Myers Squibb社により初めて開発、販売されてから1998年に至るまで、全世界で合計16のプリル類薬物が続々と販売された。過去9年間に幾つかのプリル類抗高血圧薬物も販売され、プリル類薬物の種類を増加させた。プリル類薬物はACE阻害剤であり、レニン−アンギオテンシン系に作用することにより効果的に血圧を調節および抑制し、鬱血性心不全を治療し、かつ心筋梗塞の発生を良好に予防でき、心筋梗塞の予後を改善できるため、国外で非常に幅広く適用されている。プリル類薬物の構造においてα−ヒドロキシベンゼン酪酸構造はその重要な骨格であり、該骨格に対して誘導の改良を行うことはプリル類薬物の開発の重要な方法であり、それはγ−置換基β,γ−不飽和α−ケト酸エステル類化合物からさらに誘導して得ることができる。従来の修飾方式はいずれもペプチドの一側から修飾を行っており、骨格のγ位からキラル修飾を行うことはこれまで報告されていない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】De Vries,A.H.M.;Meetsma,A.;Feringa,B.L.Angew.Chem.,Int.Ed.1996,35,2374−2376.
【非特許文献2】Hua,Z.;Vassar,V.C.;Choi,H.;Ojama,I.Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.2004,101,5411.
【非特許文献3】Alexakis,A.;Rosset,B.S.;Humam,M.J.Am.Chem.Soc.2002,124,5262.
【非特許文献4】Hui Zhang,Fang Fang,Fang Xie,Han Yu,Guoqiang Yang,Wanbin Zhang*.Tetrahedron Letters,2010,51,3119−3122.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、従来の技術に存在する上記不足に対して、ホスホラミダイト配位子と銅塩を用いて配位させて触媒を生成し、ジアルキル亜鉛と下記構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物とが不斉1,4−共役付加反応を起こすようにすることで、下記構造式(1)で表されるγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステルキラル化合物が容易に生成され、該化合物から更なる誘導を通じてγ位のキラル中心を有するα−ヒドロキシベンゼン酪酸キラル骨格を生成できることによって、プリル類薬物の潜在的骨格構造を形成し、適用に対する良好な将来性を有する。本発明のα−ケト酸エステル化合物を用いてプリル類薬物を形成することによって、該薬物に新たな官能基を導入でき、それによって、該薬物の効果を高めたり、該薬物の作用範囲を広げることが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、具体的に以下の発明に関する。
【0007】
下記構造式(1)で表される、γ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物。
【0008】
【化1】

【0009】
ここで、R1は、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、ハロアリール基およびヘテロアリール基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R2は、炭素原子数が1〜6である直鎖または分岐鎖のアルキル基、アリール基およびアラルキル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R3はアルキル基である。*は、キラル中心である。
【0010】
本発明は、構造式(1)において、R1は、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ハロフェニル基、ニトロフェニル基、フラン基およびナフチル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R2は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基およびベンジル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基およびn−ブチル基のうちから選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
【0011】
本発明はさらに、キラルホスホラミダイト配位子と銅塩とから触媒を生成させ、該触媒の存在下で、ジアルキル亜鉛と下記構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物とが不斉1,4−共役付加反応を起こすようにすることで、下記構造式(1)で表されるγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物を生成させることを特徴とする新規の、γ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法に関する。
【0012】
【化2】

【0013】
【化3】

【0014】
ここで、R1は、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、ハロアリール基およびヘテロアリール基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R2は、炭素原子数が1〜6である直鎖または分岐鎖のアルキル基、アリール基およびアラルキル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R3はアルキル基である。*は、キラル中心である。
【0015】
本発明の合成方法は、構造式(1)と構造式(2)において、R1は、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ハロフェニル基、ニトロフェニル基、フラン基およびナフチル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R2は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基およびベンジル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基およびn−ブチル基のうちから選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
【0016】
また、本発明の合成方法において、キラルホスホラミダイト配位子は下記構造式L1〜L10で表される配位子のうちから選ばれるいずれか1種であることが好ましい。
【0017】
【化4】

【0018】
また、本発明の合成方法において、銅塩は1価の銅塩または2価の銅塩である。
【0019】
さらに、本発明の合成方法は、トルエン、キシレン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、ベンゾトリフルオリドおよびN,N−ジメチルホルムアミドのうちから選ばれるいずれか1種である有機溶剤において行われることが好ましい。
【0020】
さらに、本発明の合成方法において、ジアルキル亜鉛の用量は、構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物の1.0〜3.0倍の当量であることが好ましい。
【0021】
さらに、本発明の合成方法において、銅塩:キラルホスホラミダイト配位子:構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物=1:2〜10:50〜100であることが好ましい。
【0022】
さらに、本発明の合成方法において、反応温度が−78℃〜26℃であり、その反応時間が1.5時間〜8時間であることが好ましい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は柔らかい求核試薬のジアルキル亜鉛を用いることで、1,2−付加反応の副生成物の生成を防ぎ、さらに、銅で触媒される不斉1,4−共役付加反応によりγ位のキラル中心を容易に構築することで、新しいC−C結合が生成される。本発明の合成方法は、操作が簡単で安全であり、かつ良好な反応収率およびエナンチオ選択性が実現でき、良好な適用効果を有する。
【発明を実施するための形態】
【0024】
上記構造式(1)で表されるγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物及び上記構造式(2)で表わされるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物において、R1としてのシクロアルキル基としては、炭素原子数が好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜7のものが挙げられる。R1としてのアリール基としては、単環式又は多環式の芳香族環が挙げられ、例えば、フェニル基、ナフチル基、アントラセニル基、フェナントリル基等が挙げられる。R1としての置換アリール基における置換基としては、炭素原子数が好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4のアルキル基、炭素原子数が好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4のアルコキシ基、ニトロ基等が挙げられる。R1としてのアラルキル基における芳香族環としては、単環式又は多環式のものが挙げられ、該アラルキル基におけるアルキレン基としては、炭素原子数が好ましくは1〜6、さらに好ましくは1〜4のものが挙げられ、該アラルキル基としては、例えば、ベンジル基等が挙げられる。R1としてのハロアリール基としては、R1としてのアリール基において、少なくとも1以上の水素原子をハロゲン原子で置換したものが挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。ハロアリール基におけるアリール基がフェニル基である場合、つまりハロアリール基がハロフェニル基である場合、該ハロフェニル基において、該ハロゲン原子の何れかが、上記構造式(1)及び上記構造式(2)におけるγ位の炭素原子に対してパラ位の炭素原子に結合していることが好ましい。R1としてのヘテロアリール基としては、環構造中に1または2以上の酸素原子、窒素原子又は硫黄原子を有する、環構成原子数が好ましくは4〜8、さらに好ましくは5〜7の単環式又は多環式の芳香族環が挙げられ、例えば、フラン基等が挙げられる。
上記構造式(1)及び上記構造式(2)において、R2としてのアリール基としては、R1としてのアリール基と同様の基が挙げられる。R2としてのアラルキル基としては、R1としてのアラルキル基と同様の基が挙げられる。
上記構造式(1)において、R3としてのアルキル基としては、炭素原子数が好ましくは1〜8、さらに好ましくは1〜4のものが挙げられる。
【0025】
本発明の合成方法は、下記反応式で表すことができる。
【0026】
【化5】

【0027】
ここで、一般式(2)はβ,γ−不飽和α−ケト酸エステルを表し、Lはキラルホスホラミダイト配位子を表し、Cu Saltsは銅塩を示し、Temp.は反応温度を示し、Cu Salts/Lは銅塩とキラルホスホラミダイト配位子との両者が配位して形成する触媒を示し、Solventsは溶剤を示し、一般式(1)は反応生成物であるγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物を表す。
【0028】
本発明の合成方法は、極性溶剤または非極性溶剤において行われることが可能であり、トルエン、キシレン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジクロロメタンおよびN,N−ジメチルホルムアミドのうちから選ばれるいずれか1種である有機溶剤において行われることが好ましく、触媒の効果から考慮して、エチルエーテル、トルエン、ジクロロメタンおよびN,N−ジメチルホルムアミドなどの弱極性溶剤が特に好ましい。
【0029】
上記のように、触媒生成物のエナンチオ選択性から考慮して、本発明の合成方法は、その反応温度が−78℃〜26℃であることが好ましく、−20℃〜−30℃であることがさらに好ましい。
【0030】
上記のように、触媒の効果および収率から考慮して、本発明の合成方法は、その反応時間が1.5時間〜8時間であることが好ましく、2時間〜3時間であることがさらに好ましい。
【0031】
本発明で用いられる銅塩としては、例えば、Cu(I)(MeCN)4ClO4、Cu(I)(MeCN)4BF4、Cu(I)(MeCN)4PF6およびCu(I)TCから選ばれるいずれか1種の1価の銅塩、またはCu(II)(OAc)2・H2O、Cu(II)(OTf)2、Cu(I)(C66)OTf、Cu(II)Br2、Cu(II)(acac)2、Cu(II)(Me3CCO22、トリフルオロメタンスルホン酸銅およびCu(II)ClO4・6H2Oから選ばれるいずれか1種の2価の銅塩であってもよい。
【0032】
本発明のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物は、例えばプリル類薬物の合成の出発物質に用いることができる。プリル類薬物は、例えば血圧の調節および抑制、鬱血性心不全の治療、心筋梗塞の発生の予防および予後の改善等に有用である。本発明のα−ケト酸エステル化合物において、例えば、R1がフェニル基であり、R2がエチル基であり、R3がエチル基である化合物(実施例26で製造した触媒生成物3b)を用いた場合、下記の反応式に示す合成方法によって、プリル類薬物であるエナラプリルを合成することができる。
【0033】
【化6】

【実施例】
【0034】
以下、本発明のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物およびその合成方法について具体的な実施例を提示して説明する。本発明の保護範囲は、下記の実施例に限定されるものではない。
【0035】
[実施例1]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、酢酸銅一水和物(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を26℃において反応させ、薄層クロマトグラフィー(thin−layer chromatography、以下「TLC」とする)で反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物3aが得られ、収率が81%、対応選択性が58%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.30−7.09(m, 5H), 3.78(s, 3H), 3.22(m, 2H), 3.15−3.09(m, 1H), 1.70−1.52(m, 2H), 0.78(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ193.41, 143.27, 128.69, 128.57, 128.28, 126.78, 53.14, 46.14, 42.50, 29.48, 20.74, 12.13.
HRMS (EI) calcd. for C13163 [M−H]+ 220.1099, Found: 219.1007.
【0036】
[実施例2]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、酢酸銅一水和物(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が88%、対応選択性が68%である。
【0037】
[実施例3]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、酢酸銅一水和物(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−30℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が99%、対応選択性が65%である。
【0038】
[実施例4]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、酢酸銅一水和物(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−78℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を3時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が16%、対応選択性が−19%である。
【0039】
[実施例5]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、臭化銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して10時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が70%、対応選択性が29%である。
【0040】
[実施例6]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が99%、対応選択性が74%である。
【0041】
[実施例7]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、トリフルオロメタンスルホン酸銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が87%、対応選択性が63%である。
【0042】
[実施例8]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、Cu(II)(acac)2(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が96%、対応選択性が64%である。
【0043】
[実施例9]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位のヘキサフルオロリン酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が99%、対応選択性が74%である。
【0044】
[実施例10]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、Cu(I)TC(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が92%、対応選択性が62%である。
【0045】
[実施例11]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、Cu(II)(Me3CCO22(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が99%、対応選択性が68%である。
【0046】
[実施例12]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥エチルエーテルを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥エチルエーテルに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が90%、対応選択性が69%である。
【0047】
[実施例13]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥ジクロロメタンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥ジクロロメタンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が71%、対応選択性が5.5%である。
【0048】
[実施例14]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥ベンゾトリフルオリドを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥ベンゾトリフルオリドに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が92%、対応選択性が25%である。
【0049】
[実施例15]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥N,N−ジメチルホルムアミドを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥N,N−ジメチルホルムアミドに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が20%、対応選択性が67%である。
【0050】
[実施例16]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L1(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が48%、対応選択性が−39%である。
【0051】
[実施例17]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L2(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が90%、対応選択性が−60%である。
【0052】
[実施例18]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が100%、対応選択性が74%である。
【0053】
[実施例19]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L4(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が67%、対応選択性が−54%である。
【0054】
[実施例20]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L5(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が18%、対応選択性が2%である。
【0055】
[実施例21]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L6(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が57%、対応選択性が32%である。
【0056】
[実施例22]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L7(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が55%、対応選択性が30%である。
【0057】
[実施例23]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L8(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が45%、対応選択性が6%である。
【0058】
[実施例24]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L9(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が52%、対応選択性が29%である。
【0059】
[実施例25]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L10(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が62%、対応選択性が48%である。
【0060】
[実施例26]
触媒生成物3b(R2=Et、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸エチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が50%、対応選択性が46%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.29−7.26(m, 2H), 7.21−7.17(m,3H), 4.23(q, 2H), 3.19−3.14(m, 2H), 3.15−3.09(m, 1H), 1.71−1.57(m, 2H), 1.30(s, 3H), 0.79(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.82, 161.28, 143.70, 128.67, 127.82, 126.75, 62.57, 46.09, 42.59, 29.49, 14.15, 12.12.
HRMS (EI) calcd. for C14183 [M−Na]+ 257.2909, Found: 257.1158.
【0061】
[実施例27]
触媒生成物3c(R2=Bn、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸ベンジルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が84%、対応選択性が−71%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.36(s, 5H), 7.28−7.25(m,2H), 7.2−7.14(m, 3H), 5.20(s, 2H), 3.19−3.13(m, 2H), 3.14−3.04(m, 1H), 1.72−1.58(m, 2H), 0.78(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.41, 143.61, 128.97, 128.89, 128.84, 128.69, 127.80, 126.78, 68.08, 46.26, 42.60, 29.49, 12.12.
HRMS (EI) calcd. for C19203 [M−H]+ 295.1412, Found: 295.1350.
【0062】
[実施例28]
(1)触媒生成物3d(R2=Me、R1=4−MePh、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−4−メチルフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が99%、対応選択性が59%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.26−7.04(m, 4H), 3.79(s, 3H), 3.19−3.11(m, 2H), 3.10−3.04 (m, 1H), 2.30(s, 3H), 1.70−1.57(m, 2H), 0.78(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.47, 161.64, 140.55, 136.25, 129.37, 127.65, 53.07, 46.26, 42.13, 29.51, 21.22, 12.13.
HRMS (EI) calcd. for C14183 [M−Na]+ 257.2909, Found: 257.1158.
(2)触媒生成物3d’(R2=Me、R1=3−MePh、R3=Et)の調製
基質をγ−3−メチルフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステルに代える以外は、上記(1)触媒生成物3d(R2=Me、R1=4−MePh、R3=Et)の調製と同様の方式で調製を行う。収率が99%、対応選択性が60%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.19−7.15(t, 1H), 7.01−6.96(m, 4H), 3.79(s, 3H), 3.19−3.12(m, 2H), 3.10−3.02 (m, 1H), 2.32(s, 3H), 1.71−1.57(m, 2H), 0.79(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.42, 161.64, 143.61, 138.19, 128.61, 128.55, 127.52, 124.76, 53.07, 46.18, 42.44, 29.46, 21.68, 12.17.
HRMS (EI) calcd. for C14183 [M−Na]+ 257.2909, Found: 257.1154.
(3)触媒生成物3d’’(R2=Me、R1=2−MePh、R3=Et)の調製
基質をγ−2−メチルフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステルに代える以外は、上記(1)触媒生成物3d(R2=Me、R1=4−MePh、R3=Et)の調製と同様の方式で調製を行う。収率が49%、対応選択性が18%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.17−7.08(m, 4H), 3.79(s, 3H), 3.44(m, 1H), 3.24−3.06(m, 2H), 2.37(s, 3H), 1.71−1.58(m, 2H), 0.79(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.51, 161.59, 142.02, 136.53, 130.59, 126.45, 126.33, 125.78, 53.09, 45.92, 36.82, 29.52, 20.02, 11.93.
HRMS (EI) calcd. for C14183 [M−Na]+ 257.2909, Found: 257.1149.
【0063】
[実施例29]
触媒生成物3i(R2=Me、R1=4−OMePh、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−4−メトキシフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が78%、対応選択性が61%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.10−7.06(m, 2H), 6.84−6.8(m, 2H), 3.78(s, 3H), 3.77(s, 3H), 3.16−3.07(m, 2H), 3.08−3.02(m, 1H), 1.69−1.54(m, 2H), 0.78(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.51, 161.64, 158.39, 135.61, 128.71, 128.68, 114.04, 55.41, 53.08, 53.07, 46.37, 41.79, 29.64, 12.13.
HRMS (EI) calcd. for C14184 [M−H]+ 249.1205, Found: 249.1124.
【0064】
[実施例30]
(1)触媒生成物3e(R2=Me、R1=4−BrPh、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−4−ブロモフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が99%、対応選択性が81%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.41(d, J=8.8Hz, 2H), 7.06−7.04(d, J=8.4Hz, 2H), 3.79(s, 3H), 3.17−3.10(m, 2H), 3.11−3.05 (m, 1H), 1.68−1.58(m, 2H), 0.77(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 192.93, 161.47, 142.68, 131.79, 131.76, 129.58, 120.49, 53.18, 45.92, 41.91, 29.37, 12.05.
(2)触媒生成物3e’(R2=Me、R1=4−ClPh、R3=Et)の調製
基質をγ−4−クロロフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステルに代える以外は、上記(1)触媒生成物3e(R2=Me、R1=4−BrPh、R3=Et)の調製と同様の方式で調製を行う。収率が88%、対応選択性が71%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.25(s, 2H), 7.11−7.06(m, 2H), 3.78(s, 3H), 3.17−3.10(m, 2H), 3.10−3.03 (m, 1H), 1.78−1.58(m, 2H), 0.77(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 192.93, 161.47, 142.68, 131.79, 131.76, 129.58, 120.49, 53.18, 45.92, 41.91, 29.37, 12.05.
HRMS (EI) calcd. for C1315ClO3 [M−H]+ 253.0710, Found: 253.0648.
(3)触媒生成物3e’’(R2=Me、R1=4−FPh、R3=Et)の調製
基質をγ−4−フルオロフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステルに代える以外は、上記(1)触媒生成物3e(R2=Me、R1=4−BrPh、R3=Et)の調製と同様の方式で調製を行う。収率が97%、対応選択性が71%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.14(d, J=8.8Hz, 2H), 6.97−6.93(d, J=8.4Hz, 2H), 3.77(s, 3H), 3.16−3.09(m, 2H), 3.10−3.05 (m, 1H), 1.68−1.57(m, 2H), 0.76(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 192.93, 161.47, 142.68, 131.79, 131.76, 129.58, 120.49, 53.18, 45.92, 41.91, 29.37, 12.05.
HRMS (EI) calcd. for C1315FO3 [M−Na]+ 261.1005, Found: 261.0905.
【0065】
[実施例31]
触媒生成物3f(R2=Me、R1=4−NO2Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−4−ニトロフェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が96%、対応選択性が85%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 8.15−8.13(d, J=8.4Hz, 2H), 7.36−7.34(d, J=8.4Hz, 2H), 3.81(s, 3H), 3.25−3.20(m, 2H), 3.20−3.10 (m, 1H), 1.79−1.70(m, 2H), 0.79(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 192.33, 161.27, 151.62, 134.87, 128.73, 128.30, 127.47, 124.17, 124.00, 53.31, 45.54, 42.12, 29.29, 12.01.
HRMS (EI) calcd. for C1315NO5 [M−H]+ 264.0950, Found: 264.0880.
【0066】
[実施例32]
触媒生成物3g(R2=Me、R1=2−Naphthyl、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−2−ナフチルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が72%、対応選択性が57%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ 7.81−7.78(m, 3H), 7.63(s, 1H), 7.48−7.41(m, 2H), 7.35−7.33(dd, J1=1.2Hz, J2=2Hz, 1H), 3.75(s, 3H), 3.35−3.26(m, 2H), 3.25−3.16 (m, 1H), 1.82−1.72(m, 2H), 0.82(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.29, 141.04, 133.65, 132.62, 128.46, 127.86, 127.81, 126.61, 126.24, 125.91, 125.70, 53.10, 46.14, 42.64, 29.38, 12.21.
HRMS (EI) calcd. for C17183 [M−H]+ 269.1256, Found: 269.1158.
【0067】
[実施例33]
触媒生成物3h(R2=Me、R1=Furan、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、テトラアセトニトリル配位の過塩素酸第一銅(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フランβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を−20℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を2時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物が得られ、収率が61%、対応選択性が6%である。
1H NMR (400 MHz, CDCl3):δ7.36−7.32(m, 1H), 6.29(m, 1H), 6.02(m, 1H), 3.78(s, 3H), 3.35−3.32(m, 2H), 3.32−3.30 (m, 1H), 1.71−1.65(m, 2H), 0.90(s, 3H).
13C NMR (100 MHz, CDCl3): δ 193.48, 163.21, 140.43, 139.21, 120.45, 54.67, 45.22, 43.16, 28.13, 20.58, 12.20.
HRMS (EI) calcd. for C11144 [M−H]+ 209.0892, Found: 209.0753.
【0068】
[実施例34]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、酢酸銅一水和物(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を26℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を1.5時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物3aが得られ、収率が77%、対応選択性が48%である。
【0069】
[実施例35]
触媒生成物3a(R2=Me、R1=Ph、R3=Et)の調製
5mLフラスコに、酢酸銅一水和物(0.005mmol)と配位子L3(0.01mmol)を加え、N2で保護し、1mLの乾燥トルエンを加え、室温において攪拌して3時間配位し、基質γ−フェニルβ,γ−不飽和α−ケト酸メチルエステル(0.25mmol)を1mLの乾燥トルエンに溶解させ反応系に滴下して5分間攪拌する。ジエチル亜鉛(0.375mmol、1.0Mのn−ヘキサン溶液)をゆっくり滴下する。系を26℃において反応させ、TLCで反応を監視し、反応を8時間で終了し、塩化アンモニウムの飽和溶液を加えて急冷し、酢酸エチル(5ml×3)で抽出し、無水硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過して濃縮する。酢酸エチル/石油エーテル=1:10のカラムクロマトグラフィーで生成物3aが得られ、収率が91%、対応選択性が57%である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記構造式(1)で表される、γ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物。
【化1】

(ここで、R1は、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、ハロアリール基およびヘテロアリール基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R2は、炭素原子数が1〜6である直鎖または分岐鎖のアルキル基、アリール基およびアラルキル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R3はアルキル基である。*は、キラル中心である。)
【請求項2】
前記構造式(1)において、
1は、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ハロフェニル基、ニトロフェニル基、フラン基およびナフチル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、
2は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基およびベンジル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、
3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基およびn−ブチル基のうちから選ばれるいずれか1種である請求項1に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物。
【請求項3】
キラルホスホラミダイト配位子と銅塩とから触媒を生成させ、該触媒の存在下で、ジアルキル亜鉛と下記構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物とが不斉1,4−共役付加反応を起こすようにすることで、下記構造式(1)で表されるγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物を生成させることを特徴とするγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【化2】


(上記構造式(1)と構造式(2)において、R1は、シクロアルキル基、アリール基、置換アリール基、アラルキル基、ハロアリール基およびヘテロアリール基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R2は、炭素原子数が1〜6である直鎖または分岐鎖のアルキル基、アリール基およびアラルキル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、R3はアルキル基である。*は、キラル中心である。)
【請求項4】
前記構造式(1)と構造式(2)において、
1は、シクロヘキシル基、ベンジル基、フェニル基、アルキルフェニル基、アルコキシフェニル基、ハロフェニル基、ニトロフェニル基、フラン基およびナフチル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、
2は、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、フェニル基およびベンジル基のうちから選ばれるいずれか1種であり、
3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基およびn−ブチル基のうちから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項3に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【請求項5】
前記キラルホスホラミダイト配位子は、下記構造式L1〜L10で表される配位子のうちから選ばれるいずれか1種であることを特徴とする請求項3または4に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【化3】

【請求項6】
前記銅塩が1価の銅塩または2価の銅塩であることを特徴とする請求項3ないし5のいずれか一項に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【請求項7】
トルエン、キシレン、エチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン、ジクロロメタン、ベンゾトリフルオリドおよびN,N−ジメチルホルムアミドのうちから選ばれるいずれか1種の有機溶剤において行われることを特徴とする請求項3ないし6のいずれか一項に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【請求項8】
前記ジアルキル亜鉛の用量は、前記構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物の1.0〜3.0倍の当量であることを特徴とする請求項3ないし7のいずれか一項に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【請求項9】
前記銅塩、前記キラルホスホラミダイト配位子、前記構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物のモル比が、銅塩:キラルホスホラミダイト配位子:構造式(2)で表されるβ,γ−不飽和α−ケト酸エステル化合物=1:2〜10:50〜100であることを特徴とする請求項3ないし8のいずれか一項に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。
【請求項10】
反応温度が−78℃〜26℃であり、反応時間が1.5時間〜8時間であることを特徴とする請求項3ないし9のいずれか一項に記載のγ位のキラル中心を有するα−ケト酸エステル化合物の合成方法。

【公開番号】特開2012−184228(P2012−184228A)
【公開日】平成24年9月27日(2012.9.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−40327(P2012−40327)
【出願日】平成24年2月27日(2012.2.27)
【出願人】(507190994)上海交通大学 (16)
【出願人】(000230593)日本化学工業株式会社 (296)
【Fターム(参考)】