説明

μオピオイド受容体アンタゴニストとしての3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン誘導体

本発明は、μオピオイド受容体でアンタゴニストである、式(I)の3−カルボキシプロピルアミノテトラリン化合物、または薬学的に許容されるその塩を提供する:
(I)


(式中、R、R、R、R、RおよびRは、本明細書で定義した通りである)。本発明は、そのような化合物を含む医薬組成物と、μオピオイド受容体活性に関連した状態を治療するためにそのような化合物を使用する方法と、そのような化合物を調製するのに有用な方法および中間体も提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、μオピオイド受容体アンタゴニストとして有用な3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン化合物を対象とする。本発明は、そのような化合物を含む医薬組成物と、μオピオイド受容体活性によって媒介された病状を治療または改善するためにそのような化合物を使用する方法と、そのような化合物を調製するのに有用なプロセスおよび中間体も対象とする。
【背景技術】
【0002】
現在、内因性オピオイドは、胃腸生理学において複雑な役割を演ずることが一般に理解されている。オピオイド受容体は、中枢神経系と胃腸(GI)管を含めた末梢領域との両方で、身体全体にわたって発現する。
【0003】
モルヒネが原型的な例であるオピオイド受容体で、アゴニストとして機能する化合物は、中等度の疼痛から重度の疼痛までを治療するための鎮痛療法の大黒柱である。残念ながらオピオイド鎮痛薬の使用は、GI管に対する有害作用をしばしば伴い、これをまとめてオピオイド誘発性腸管機能不全(opioid−induced bowel dysfunction)(OBD)と呼ぶ。OBDには、便秘、胃内容排出減少、腹痛および腹部不快感、膨満、悪心、胃食道逆流などの症状が含まれる。中枢および末梢オピオイド受容体の両方は、オピオイド使用後の胃腸通過の減速に関与しているようである。しかし証拠は、GI管内の末梢オピオイド受容体が、主にGI機能に対する有害作用に関与していることを示唆している。
【0004】
オピオイドの副作用が主に末梢受容体によって媒介されるのに対し、鎮痛は中枢で始まるので、末梢選択的アンタゴニストは、鎮痛の有益な中枢効果を妨げることなくまたは中枢神経系禁断症状を引き起こすことなく、望ましくないGI関連副作用を潜在的に遮断することができる。
【0005】
μ、δ、およびκで示される3種の主なオピオイド受容体サブタイプの中で、最も臨床的に使用されるオピオイド鎮痛薬は、鎮痛を行いGI運動を変化させるためにμオピオイド受容体活性化を介して作用すると考えられる。したがって、末梢選択的μオピオイドアンタゴニストは、オピオイド誘発性腸管機能不全を治療するのに有用であると予測される。好ましい薬剤は、in vitroでのμオピオイド受容体との有意な結合と、GI動物モデルではin vivoで活性であることを実証することになる。
【0006】
術後イレウス(POI)は、腹部またはその他の手術の後に生ずるGI管の運動低下という障害である。POIの症状は、OBDの場合に類似している。さらに、手術患者は手術中および手術後にオピオイド鎮痛薬でしばしば治療されるので、POIの持続期間は、オピオイドの使用に関連したGI運動の低下によって悪化し得る。したがって、OBDの治療に有用なμオピオイドアンタゴニストは、POIの治療でも有益であることが予測される。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、μオピオイド受容体アンタゴニスト活性を保持する新規な化合物およびそれを調製するための中間体を提供する。
【0008】
したがって本発明は、式(I)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を提供する:
【0009】
【化1】

(式中、
は、−ORまたは−C(O)NRであり;
、RおよびRはそれぞれ独立に、C1〜3アルキルであり;
は、C1〜6アルキル、フェニル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3−フェニルから選択され;
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはC1〜3アルキルであり;
は、水素またはC1〜3アルキルであり;
ここで、星印により示されているキラル中心における置換基は、トランス配置である)。
【0010】
本発明は、本発明の化合物および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物も提供する。
【0011】
本発明は、μオピオイド受容体活性に関連した疾患または状態、例えばオピオイド誘発性腸管機能不全や術後イレウスなどの胃腸管の運動低下障害を治療する方法であって、治療有効量の本発明の化合物または医薬組成物を哺乳動物に投与するステップを含む方法も提供する。
【0012】
本発明の化合物は、リサーチツールとして、即ち生体系またはサンプルを試験しまたはその他の化合物の活性を試験するツールとして、使用することもできる。したがって、その方法態様の別のものでは、本発明は、生体系またはサンプルを試験するためのまたはμオピオイド受容体活性を有する新しい化合物を発見するためのリサーチツールとして、式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩を使用する方法であって、生体系またはサンプルと本発明の化合物とを接触させるステップ、およびこの生体系またはサンプルに対してこの化合物により引き起こされた効果を決定するステップを含む方法を提供する。
【0013】
別の異なる態様では、本発明は、本発明の化合物を調製するのに有用な、本明細書に記述される合成プロセスおよび中間体も提供する。
【0014】
本発明は、医学療法に使用される、本明細書に記述される本発明の化合物、ならびに哺乳動物におけるμオピオイド受容体活性に関連した疾患または状態、例えば胃腸管の運動低下障害を治療するための製剤または薬剤の製造での、本発明の化合物の使用も提供する。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の詳細な説明
本発明は、式(I)の3−カルボキシプロピル−アミノテトラリンμオピオイド受容体アンタゴニスト、薬学的に許容されるその塩およびそれを調製するための中間体を提供する。以下の置換基および値は、本発明の様々な態様の代表的な例を提供するものとする。これらの代表的な値は、そのような態様をさらに定義するものとし、その他の値を除外しまたは本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0016】
特定の態様では、Rが、−ORまたは−C(O)NRである。
【0017】
他の特定の態様では、Rが、−OHまたは−C(O)NHである。
【0018】
なお他の特定の態様では、Rが、−C(O)NHである。
【0019】
特定の態様では、R、RおよびRがそれぞれ独立に、C1〜3アルキルである。
【0020】
他の特定の態様では、RおよびRがそれぞれ独立に、メチルまたはエチルである。
【0021】
なお他の態様では、RおよびRがそれぞれ、エチルであるか、またはRおよびRはそれぞれ、メチルである。
【0022】
特定の態様では、Rが、メチルである。
【0023】
特定の態様では、Rが、C1〜6アルキル、フェニル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3−フェニルから選択される。
【0024】
他の特定の態様では、Rが、C3〜5アルキル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3フェニルから選択される。この態様での代表的なR基には、限定するものではないが、n−ペンチル、n−ブチル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルプロピル、1−メチルエチル、シクロヘキシル、シクロヘキシルメチル、4−フェニルブチルおよびフェニルメチルが包含される。
【0025】
なお他の特定の態様では、Rが、シクロヘキシルメチルである。
【0026】
特定の態様では、Rが、水素またはC1〜3アルキルである。
【0027】
他の態様では、Rが水素であり、即ち、化合物はカルボン酸である。
【0028】
本発明のカルボン酸は、μオピオイド受容体で強力なアンタゴニストであることが判明している。
【0029】
まだ他の態様では、Rが、C1〜3アルキルであるか、またはRが、メチルであり、即ち、化合物はエステルである。
【0030】
下記に記載されている通り、本発明のエステルは、本発明のカルボン酸を調製するための有用な中間体である。加えて、Rが−C(O)NHであり、RおよびRがそれぞれエチルであり、Rがメチルであり、Rが2−メチルプロピルまたはシクロヘキシルメチルであり、Rがメチルであるエステル化合物は、μオピオイド受容体で強力なアンタゴニストであることが判明している。
【0031】
本発明はさらに、本明細書の実施例1〜16の化合物を提供する。
【0032】
本明細書で使用される化学命名規則を、実施例1の化合物で例示するが、
【0033】
【化2】

これは、AutoNomソフトウェア(MDL Information Systems,GmbH、フランクフルト、ドイツ)で実行されるようなIUPAC規則に従うと(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−2−(シクロヘキシルメチル)酪酸である。簡便なため、二環式1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ基はあるいは本明細書で、一般名「アミノテトラリン」と称される。
【0034】
本発明の化合物は全て、式(I)中で星印で示される2個のキラル中心に関してトランス配置である。
【0035】
【化3】

アミノテトラリン基の立体配置に加えて、本発明の化合物は、置換基Rが結合している炭素原子の所にキラル中心を含有することがある。化合物は、純粋なジアステレオ異性体、例えば、上記に示されている実施例1の化合物の(2S),(3S)ジアステレオ異性体または(2S),(3S)ジアステレオ異性体と(2R),(3R)ジアステレオ異性体との混合物であってよい。このようなジアステレオ異性体混合物は本明細書では、接頭辞トランスにより示される。したがって本発明は、他に指示しない限り、純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ラセミ混合物および異性体の立体異性体高富化混合物を包含する。化合物の立体配置が指定された場合、当業者なら、全体として組成物のあらゆる有用性がその他の異性体の存在によって排除されないことを条件として、他に指示しない限り、少量のその他の立体異性体が本発明の組成物中に存在し得ることが理解されよう。
【0036】
他の態様では、本発明は、式(Ia)の化合物を提供する:
【0037】
【化4】

(式中、キラル中心における立体配置は、(2S),(3S)であり、R、R、R、R、RおよびRは、上記の値のいずれかをとる)。
【0038】
特定の態様では、本発明は、式中、
が−C(O)NHであり;
およびRがそれぞれ、エチルであり;
がメチルであり;
が、C3〜5アルキル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3−フェニルから選択され;
が水素またはメチルである
式(Ia)の化合物、または薬学的に許容されるその塩を提供する。
【0039】
哺乳動物に投与する場合、医用化合物は典型的には、体内で代謝により変換されて、排出され得る形態になる。下記の実施例部分に記載されている通り、本化合物の代謝変換を、本発明の化合物を凍結保存されたヒト肝細胞と共にインキュベーションし、生じた代謝産物を公知の構造の化合物と比較することにより調べた。得られた結果は、実施例1の化合物の主なヒドロキシル代謝産物は、シクロヘキシル環の4位においてヒドロキシルで置換されているという結論を支持している。
【0040】
したがって、なお他の態様では、本発明は、Rがヒドロキシルである式(Ib)の化合物を提供する:
【0041】
【化5】

(ここで、Rがヒドロキシルである式(Ib)の化合物は、ヒトにRが水素である式(Ib)の化合物を投与することによりin vivoで生じる)。
【0042】
(定義)
本発明の化合物、組成物、および方法に関して記述する場合、以下の用語は、他に指示しない限り以下の意味を有する。
【0043】
「アルキル」という用語は、直鎖状または分岐状またはこれらの組合せであってもよい1価の飽和炭化水素基を意味する。他に定義されない限り、そのようなアルキル基は、典型的には1から10個の炭素原子を含有する。代表的なアルキル基には、例として、メチル、エチル、n−プロピル(n−Pr)、イソプロピル(i−Pr)、n−ブチル(n−Bu)、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、2,2−ジメチルプロピル、2−メチルブチル、3−メチルブチル、2−エチルブチル、2,2−ジメチルペンチル、および2−プロピルペンチルなどが含まれる。
【0044】
「化合物」という用語は、合成によって調製されまたはin vivo代謝などの任意のその他の方法で調製された化合物を意味する。
【0045】
「治療有効量」という用語は、治療の必要がある患者に投与したときに、治療を行うのに十分な量を意味する。
【0046】
本明細書で使用される「治療」という用語は:
(a)疾患、障害、または病状が生じるのを予防する、即ち患者の予防的治療;
(b)疾患、障害、または病状を改善する、即ちその他の治療薬の効果を打ち消すことも含めた、患者の疾患、障害、または病状の排除またはそれらの退行を引き起こすこと;
(c)疾患、障害、または病状を抑制する、即ち患者の疾患、障害、または病状の発症を遅くしまたは停止させること;または
(d)患者の疾患、障害、または病状の症状を緩和すること
の1種または複数を含む、哺乳動物(特にヒト)などの患者の疾患、障害、または病状の治療を意味する。
【0047】
「薬学的に許容される塩」という用語は、哺乳動物などの患者への投与にふさわしい酸または塩基から調製された塩を意味する。そのような塩は、薬学的に許容される無機または有機酸から、および薬学的に許容される塩基から得ることができる。典型的には、本発明の化合物の薬学的に許容される塩は、酸から調製される。
【0048】
薬学的に許容される酸から得られる塩には、限定するものではないが酢酸、アジピン酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、グリコール酸、臭化水素酸、塩酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、粘液酸、硝酸、シュウ酸、パントテン酸、リン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、p−トルエンスルホン酸、キシナホ酸(1−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸)、およびナフタレン−1,5−ジスルホン酸などが含まれる。
【0049】
「アミノ保護基」という用語は、アミノ窒素での望ましくない反応を防止するのに適した保護基を意味する。代表的なアミノ保護基には、限定するものではないがホルミル;アシル基、例えばアセチルおよびトリ−フルオロアセチルなどのアルカノイル基;tert−ブトキシカルボニル(Boc)などのアルコキシカルボニル基;ベンジルオキシカルボニル(Cbz)および9−フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)などのアリールメトキシカルボニル基;ベンジル(Bn)、トリチル(Tr)、および1,1−ジ−(4’−メトキシフェニル)メチルなどのアリールメチル基;トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルイジメチルシリル(TBDMS)などのシリル基;および同様のものが含まれる。
【0050】
「ヒドロキシ保護基」という用語は、ヒドロキシ基での望ましくない反応を防止するのに適した保護基を意味する。代表的なヒドロキシ保護基には、限定するものではないがメチル、エチルおよびtert−ブチルなどのアルキル基;アシル基、例えば、アセチルなどのアルカノイル基;ベンジル(Bn)、p−メトキシベンジル(PMB)、9−フルオレニルメチル(Fm)およびジフェニルメチル(ベンズヒドリル、DPM)などのアリールメチル基;トリメチルシリル(TMS)およびtert−ブチルジメチルシリル(TBS)などのシリル基;および同様のものが含まれる。
【0051】
(概略的な合成手順)
本発明の化合物は、以下の概略的な方法および手順を使用して、容易に入手可能な出発材料から調製することができる。本発明の特定の態様が以下のスキームに例示されるが、当業者なら、本発明の全ての態様は、本明細書に記述される方法を使用して、または当業者に公知のその他の方法、試薬、および出発材料を使用することによって、調製できることが理解されよう。典型的なまたは好ましいプロセス条件(即ち、反応温度、時間、反応物質のモル比、溶媒、圧力など)が与えられた場合、他に指示しない限りその他のプロセス条件も使用できることが理解されよう。最適な反応条件は、使用される特定の反応物質または溶媒に応じて変えてよいが、そのような条件は、通常の最適化手順によって当業者が決定することができる。
【0052】
さらに、当業者に明らかであるように、従来の保護基は、ある官能基が望ましくない反応を受けるのを防止する必要があると考えられる。特定の官能基に対する適切な保護基、ならびに保護および脱保護に適した条件の選択は、当技術分野で周知である。例えば、数多くの保護基とそれらの導入および除去は、T. W. GreeneおよびG. M. Wuts、Protecting Groups in Organic Synthesis、第3版、Wiley、New York、1999年およびそこに引用されている参考文献に、記載されている。
【0053】
合成の典型的な方法では、RがC1〜3アルキルである式(I)の本発明のエステルを、スキームAに示されている通りに調製する。(下記のスキームに示されている置換基および変数記号は、他に指示しない限り上記で示された定義を有する)。
【0054】
【化6】

スキームAでは、中間体(II)を、アルデヒド(III)と反応させることにより還元によりN−アルキル化して、生成物(I)を得る。典型的には、中間体(II)を約1から約2当量の式(III)のアルデヒドと、ジクロロメタン、メタノール、または2−メチルテトラヒドロフランなどの適切な不活性賦形剤中、約1から約5当量の還元剤の存在下で接触させることにより、反応を行う。典型的には、約0℃から周囲温度の範囲の温度で、約30分から約3時間、または反応が実質的に完了するまで、反応を行う。典型的な還元剤には、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム、ホウ水素化ナトリウムおよびシアノホウ水素化ナトリウムが包含される。
【0055】
対応する重亜硫酸塩付加生成物(III’)から、
【0056】
【化7】

水酸化ナトリウムなどの塩基と反応させ、直後に、アミノテトラリン(II)と反応させることにより、アルデヒド(III)をその場で生じさせることができる。
【0057】
上記エステルから、対応するエステルを過剰の塩基、例えば、約4から約6当量の水酸化ナトリウムなどの塩基とメタノール中で接触させることにより、Rが水素である式(I)の本発明のカルボン酸を調製する。約25から約50℃の温度で、約2から約24時間、または反応が実質的に完了するまで、反応を行う。
【0058】
あるいは、ヒドロキシ保護基をRで使用し、下記の実施例17に記載されている通りの最終脱保護ステップを含む方法により、本発明のカルボン酸を調製することができる。
【0059】
変数記号Rが−C(O)NHであるアミノテトラリン中間体(II)を調製するための例示的な手順をスキームBで図示する
【0060】
【化8】

(式中、Pはヒドロキシ保護基を表し、Pはアミノ保護基を表し、−OTfはトリフルオロメタンスルホネート(一般にはトリフラート)を表す)。「Rac」という記号は、化合物が、示されている特定の構造とキラル中心で反対の立体配置を有する構造とのラセミ混合物であることを示している。
【0061】
小さいアルキルが保護基Pとして有用である。Pにアルキルを使用して、アジリジン中間体1をHBrと反応させると、HBr塩として固体形態で簡便に単離される中間体2を得ることができる。典型的には、中間体1を過剰の、例えば、約12から約18当量のHBrと接触させる。相転移触媒が含まれると、反応効率が改善される。典型的には、約90から約110℃の温度で、約10から約20時間、または反応が実質的に完了するまで、反応を行う。例えば、保護基PのためにBocを使用する場合、次いで、2を塩基で処理して、その場でアジリジン環を再形成し、約1から約1.3当量の二炭酸ジ−tert−ブチル(一般に(Boc)O)を慣用の反応条件下で加えて中間体3を得ることにより、中間体3を形成する。
【0062】
あるいは、HBrまたはBBrと反応させ、続いて、塩基で処理することにより、2ステップでアジリジン中間体1のP基を脱保護して、中間体2aを得て:
【0063】
【化9】

次いでこれを、アジリジン窒素において、例えば、(Boc)Oと反応させることにより保護して、中間体3を得る。
【0064】
次いで、アミノ保護されているアジリジン3をかなり過剰のアルコールROHと、トシル酸ピリジウムなどの弱酸性触媒の存在下で接触させると、中間体4が得られる。
【0065】
が−OHである式(II)のアミノテトラリン中間体は、中間体4を脱保護することにより調製することができる。例えば、保護基PがBocである場合、4を酸で処理することにより、式(II)のフェノール中間体を得る。同様に、Rが−ORである(式中、RはC1〜3アルキルである)式(II)のアミノテトラリン中間体は、Pが望ましい小さいアルキルである式1の中間体から同様に出発して、当初の脱保護ステップを省いて調製することができる。
【0066】
スキームBの残りのステップは、ヒドロキシ置換されたアミノテトラリン4からカルボキサミド置換されている中間体7への変換および最終的な脱保護ステップを示している。初めに、4を不活性賦形剤中で、約1から約2当量のトリフルオロメタンスルホニルコロライドと、約1から約3当量のトリエチルアミンなどの塩基の存在下で接触させることにより、中間体4のヒドロキシルをトリフラートに変換して、中間体5を得る。5をシアン化亜鉛と、遷移金属触媒の存在下で反応させると、中間体6が得られる。典型的には、約80℃から120℃の温度、不活性雰囲気下で約30分から約2時間、または反応が実質的に完了するまで、反応を行う。
【0067】
次いで、中間体6のニトリルを加水分解して、中間体7のカルボキサミドにする。下記の実施例に記載されている通り、合成の一方法では、ニトリル6を約5から約8当量の過ホウ酸ナトリウム一水和物とメタノールなどの不活性賦形剤中で接触させる。約50から約60℃の温度で約12から約24時間、または反応が実質的に完了するまで、反応を行う。ニトリルをアミドに加水分解するための別の方法には、下記の実施例に記載されている通り、白金触媒、特定すると、ヒドリド(ジメチルホスホニオウス酸(dimethylphosphoniousacid)−kP)[水素ビス(ジメチルホスフィニト−kP)]白金(II)の使用および過酸化水素での処理が含まれる。最後に、酸で慣用的に処理することにより、中間体7を脱保護して、式(II)のアミノテトラリンを得る。
【0068】
中間体6から、塩基の存在下で加水分解することによりニトリルをカルボン酸に変換し、続いて、式HNRのアミンとアミドカップリングさせることにより、Rが−C(O)NR(式中、RおよびRはアルキルである)である式(II)の中間体を調製することができる。
【0069】
キラル助剤を使用すると、式(II)の個々の鏡像異性体を分離することができる。スキームCは、分離することができる非ラセミジアステレオ異性体9aおよび9bの対を調製するためのキラル助剤であるカルボン酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル(8)の使用を図示している。
【0070】
【化10】

「Abs」という記号は、示されている特定のキラル化合物を示している。ラセミのアミノテトラリン(II)を約0.8から約1.2当量のキラル助剤8と、不活性賦形剤中、約2から約4当量のトリエチルアミンなどの塩基の存在下で接触させて、中間体9aおよび9bのジアステレオ異性体混合物を調製する。典型的には、約80から約95℃の温度で約4から約20時間、または反応が実質的に完了するまで、反応を行う。高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により分離し、別々に集めるか、またはジアステレオ異性体9aが優先的に結晶化し、ジアステレオ異性体9bが主に溶液中に残る結晶化により、ジアステレオ異性体9aおよび9bを分離することができる。最後に、酸で処理することにより、単離された9aおよび9bジアステレオ異性体からカルバメート基を除去すると、アミノテトラリン(II)の個々の鏡像異性体を得ることができる。下記の実施例に記載されている通り、(R)−1−フェニルエタノールをクロロギ酸p−ニトロフェニルと反応させることにより、キラル助剤8を調製することができる。
【0071】
例えば、米国特許第6,844,368および下記の調製14に記載されている通り、置換3,4−ジヒドロ−1H−ナフタレン−2−オンを
【0072】
【化11】

アルキルハロゲン化物と反応させて、アルキル置換基RおよびRを2位に加え、ヒドロキシルアミン塩で処理して、カルボキシをオキシムに変換し、続いて、水素化アルミニウムリチウムまたは他の還元剤で処理して、オキシムをアジリジン1に変換することにより、スキームBで使用されるアジリジン中間体1を得ることができる。
【0073】
簡便には、対応するカルボン酸10から、スキームDに示されている通りに、スキームAで使用されるアルデヒド(III)を調製する:
【0074】
【化12】

(式中、Rは、C1〜3アルキルを表す)。カルボン酸10のボラン還元により、アルコール11が得られる。典型的には、酸10を約2当量のボラン−テトラヒドロフラン複合体と、テトラヒドロフラン中、約−5から約0℃の温度で接触させることにより、反応を行う。次いで、アルコール11を酸化させて、アルデヒド(III)にする。有用な酸化試薬には、三酸化硫黄ピリジン複合体により活性化されているジメチルスルホキシドおよび次亜塩素酸ナトリウムと2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)触媒とが含まれる。望ましい場合には、酸化ステップの後に重亜硫酸ナトリウムを加えることにより、アルデヒド(III)を単離することなく、アルコール11を重亜硫酸塩付加生成物(III’)に変換することができる。
【0075】
本発明の代表的な化合物またはその中間体を調製するための特定の反応条件およびその他の手順に関するさらなる詳細は、以下の実施例に記述する。
【0076】
したがって、ある方法態様において、本発明は、式(I)の化合物またはその塩を調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、(a)式(II)の化合物を式(III)の化合物(式中、RはC1〜3アルキルである)と反応させるステップと、(b)Rが水素である場合、ステップ(a)の生成物と過剰の塩基とを接触させて、式(I)の化合物またはその塩を得るステップとを含む。
【0077】
なお他の態様では、本発明は、式2の新規な中間体またはその臭化水素酸塩および化合物2の臭化水素酸塩を固体形態で調製するためのプロセスを提供し、このプロセスは、式1の化合物をHBrと反応させ、生成物を固体形態で単離することを含む。
【0078】
(医薬組成物)
本発明の3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン化合物は、典型的には医薬組成物または製剤の形で患者に投与される。そのような医薬組成物は、経口、直腸、膣、鼻、吸入、局所(経皮を含む)、および非経口投与形態を含むがこれらに限定するものではない、任意の許容される投与経路によって患者に投与してもよい。
【0079】
したがって、その組成物態様の1つにおいて、本発明は、薬学的に許容される担体または添加剤と、治療有効量の式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩とを含む、医薬組成物を対象とする。任意選択で、そのような医薬組成物は、望みに応じてその他の治療薬および/または製剤を含有してもよい。組成物について論じるとき、「本発明の化合物」は、本明細書において「活性剤」と呼んでもよい。本明細書で使用される「本発明の化合物」という用語は、式(I)の化合物、ならびに式(Ia)に具体化された種を含むものとする。「本発明の化合物」には、さらに、他に指示しない限り薬学的に許容される化合物の塩および溶媒和物が含まれる。
【0080】
本発明の医薬組成物は、典型的には治療有効量の本発明の化合物、または薬学的に許容されるその塩を含有する。しかしながら、当業者であれば、医薬組成物は、治療有効量より多くを、即ち、バルク組成物を、または治療有効量未満を、即ち、治療有効量を達成するために複数回の投与が予定されている個々の単位用量を含有することができることを認めるであろう。
【0081】
典型的には、そのような医薬組成物は、活性剤を約0.1から約95重量%、好ましくは約5から約70重量%、より好ましくは活性剤を約10から約60重量%含有することになる。
【0082】
任意の従来の担体または添加剤を、本発明の医薬組成物中に使用してもよい。特定の担体もしくは添加剤、または担体もしくは添加剤の組合せに何を選択するかは、特定の患者または医学的状態のタイプまたは病状を治療するのに使用される投与形態に依存することになる。これに関し、特定の投与形態に適した医薬組成物の調製は、製薬分野の当業者の十分範囲内にある。したがって、本発明の医薬組成物で使用される担体または添加剤は、市販されている。他の例示として、従来の配合技法が、Remington: The Science and Practice of Pharmacy、第20版、Lippincott Williams & White、Baltimore、Maryland(2000年); およびH.C. Anselら、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems、第7版、Lippincott Williams & White、Baltimore、Maryland(1999年)に記載されている。
【0083】
薬学的に許容される担体として働くことができる材料の代表的な例には、限定するものではないが下記の材料:ラクトース、グルコース、およびスクロールなどの糖;コーンスターチおよびジャガイモデンプンなどのデンプン;微結晶性セルロースなどのセルロース、およびナトリウムカルボキシメチルセルロースやエチルセルロース、セルロースアセテートなどのその誘導体;トラガカント末;モルト;ゼラチン;タルク;ココアバターや坐剤蝋などの添加剤;ピーナツ油や綿実油、サフラワー油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、大豆油などの油;プロピレングリコールなどのグリコール;グリセリンやソルビトール、マンニトール、ポリエチレングリコールなどのポリオール;オレイン酸エチルやラウリン酸エチルなどのエステル;寒天;水酸化マグネシウムや水酸化アルミニウムなどの緩衝剤;アルギン酸;発熱物質なしの水;等張食塩水;リンガー溶液;エチルアルコール;リン酸緩衝溶液;および医薬組成物中に用いられるその他の無毒の適合性ある物質が含まれる。
【0084】
医薬組成物は、典型的には、活性剤と、薬学的に許容される担体および1種または複数の任意選択の成分とを、完全にかつ密に混合しまたはブレンドすることによって調製される。次いで得られた均一にブレンドされた混合物を、従来の手順および装置を使用して、錠剤、カプセル剤、および丸剤などに成形しまたは充填する。
【0085】
本発明の医薬組成物は、好ましくは単位剤形に包装される。「単位剤形」という用語は、患者に投薬するのに適切な、物理的に切り離された単位を指し、即ち単独でまたは1種もしくは複数の追加の単位と組み合わせて所望の治療効果を発揮するよう計算された、所定量の活性剤を含有する単位を指す。例えば、そのような単位剤形は、カプセル剤、錠剤、および丸剤などであってもよく、または非経口投与に適した単位パッケージであってもよい。
【0086】
一実施形態では、本発明の医薬組成物は、経口投与に適している。経口投与に適した医薬組成物は、カプセル剤、錠剤、丸剤、ロゼンジ剤、カシェ剤、糖衣錠、散剤、顆粒剤の形;または水性または非水性液を用いた溶液剤もしくは懸濁剤;または水中油もしくは油中水液体乳剤;またはエリキシル剤もしくはシロップ剤などの形をとってもよく、それぞれ、予め決められた量の本発明の化合物を活性成分として含有する。
【0087】
固体剤形(即ち、カプセル剤、錠剤、および丸剤などとして)での経口投与を目的とする場合、本発明の医薬組成物は、典型的には、活性剤と、クエン酸ナトリウムやリン酸二カルシウムなどの1種または複数の薬学的に許容される担体とを含むことになる。任意選択でまたは追加として、そのような固体剤形は:デンプン、微結晶性セルロース、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、および/またはケイ酸などの充填剤または増量剤;カルボキシメチルセルロース、アルギネート、ゼラチン、ポリビニルピロリドン、スクロース、および/またはアカシアなどの結合剤;グリセロールなどの保湿剤;寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモもしくはタピオカデンプン、アルギン酸、あるシリケート、および/または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤;パラフィンなどの溶解遅延剤;第4級アンモニウム化合物などの吸収加速剤;セチルアルコールおよび/またはモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤;カオリンおよび/またはベントナイトクレイなどの吸収剤;タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル硫酸ナトリウム、および/またはこれらの混合物などの潤滑剤;着色剤;および緩衝剤を含んでもよい。
【0088】
離型剤、湿潤剤、コーティング剤、甘味剤、矯味矯臭剤もしくは芳香剤、保存剤、および酸化防止剤を、本発明の医薬組成物中に存在させることもできる。薬学的に許容される酸化防止剤の例には:アスコルビン酸、塩酸システイン、重硫酸ナトリウム、メタ重硫酸ナトリウム、および亜硫酸ナトリウムなどの水溶性酸化防止剤;パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、レシチン、没食子酸プロピル、およびα−トコフェロールなどの油溶性酸化防止剤;クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ソルビトール、酒石酸、およびリン酸などの金属キレート剤が含まれる。錠剤、カプセル剤、および丸剤などのコーティング剤には、セルロースアセテートフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、メタクリル酸−メタクリル酸エステルコポリマー、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネートなど、腸溶コーティングに使用されるものが含まれる。
【0089】
本発明の医薬組成物は、例として、ヒドロキシプロピルメチルセルロースを様々な割合で;またはその他のポリマーマトリックス、リポソーム、および/または微小球を使用して、活性剤の遅延または制御放出が得られるように配合してもよい。さらに、本発明の医薬組成物は、不透明剤を任意選択で含有してもよく、また、活性成分のみを、または優先的に胃腸管のある部分で、任意選択で遅延的な手法で放出するように配合してもよい。使用することができる包埋組成物の例には、ポリマー物質および蝋が含まれる。活性成分は、1種または複数の上述の添加剤と共に適切な場合にはマイクロカプセル化された形をとることもできる。
【0090】
経口投与に適した液体剤形には、例示として、薬学的に許容される乳剤、マイクロエマルジョン剤、溶液剤、懸濁剤、シロップ剤、およびエリキシル剤が含まれる。液体剤形は、典型的には、活性剤と、例えば水やその他の溶剤などの不活性賦形剤と、可溶化剤と、乳化剤、例えばエチルアルコールやイソプロピルアルコール、炭酸エチル、酢酸エチル、ベンジルアルコール、安息香酸ベンジル、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、油(特に綿実油、落花生油、トウモロコシ油、胚芽油、オリーブ油、ヒマシ油、およびゴマ油)、グリセロール、テトラヒドロフリルアルコール、ポリエチレングリコール、およびソルビタンの脂肪酸エステル、およびこれらの混合物とを含む。懸濁剤は、活性成分の他に、懸濁化剤、例えばエトキシル化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビトール、およびソルビタンエステルなど、微結晶性セルロース、メタ水酸化アルミニウム、ベントナイト、寒天、およびトラガカント、およびこれらの混合物を含有する。
【0091】
本発明の化合物は、非経口的に(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、または腹腔内注射により)投与することもできる。非経口的投与では、活性剤を、典型的には、例として滅菌水溶液、生理食塩液、プロピレングリコールやポリエチレングリコールなどの低分子量アルコール、植物油、ゼラチン、およびオレイン酸エチルなどの脂肪酸エステルを含めた非経口投与に適したビヒクルと混合する。非経口製剤は、1種または複数の酸化防止剤、可溶化剤、安定化剤、保存剤、湿潤剤、乳化剤、緩衝材、または分散剤を含有してもよい。これらの製剤は、滅菌注射媒体、滅菌剤、濾過、放射線、または熱の使用によって、滅菌してもよい。
【0092】
あるいは、本発明の医薬組成物は、吸入による投与のために配合される。吸入による投与に適した医薬組成物は、典型的にはエアゾール剤または散剤の形をとることになる。そのような組成物は、一般に、定量吸入器、乾燥粉末吸入器、ネブライザ、または同様の送達デバイスなど、周知の送達デバイスを使用して投与される。
【0093】
加圧容器を使用した吸入によって投与する場合、本発明の医薬組成物は、典型的には活性成分および適切な噴射剤、例えばジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、二酸化炭素、またはその他の適切な気体などを含むことになる。さらに医薬組成物は、本発明の化合物および粉末吸入器で使用するのに適した粉末を含む、カプセルまたはカートリッジ(例えば、ゼラチン製)の形をとってもよい。適切な粉末基剤には、例として、ラクトースまたはデンブンが含まれる。
【0094】
本発明の化合物は、公知の経皮送達システムおよび添加剤を使用して、経皮的に投与することもできる。例えば活性剤は、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールモノラウレート、およびアザシクロアルカン−2−オンなどの透過促進剤と混合することができ、パッチまたは同様の送達システムに組み込むことができる。ゲル化剤、乳化剤、および緩衝剤を含めた追加の添加剤は、必要に応じて、そのような経皮組成物で使用してもよい。
【0095】
必要なら、本発明の化合物を、1種または複数のその他の治療薬と組み合わせて投与してもよい。この実施形態では、本発明の化合物は、その他の治療薬と物理的に混合して両方の薬剤を含有する組成物を形成し;または、各薬剤を別々の異なる組成物に存在させ、それを同時にまたは任意の順番で順次患者に投与する。
【0096】
例えば、式Iの化合物を、従来の手順および装置を使用して第2の治療薬と組み合わせ、それによって、式Iの化合物および第2の治療薬を含む組成物を形成することができる。さらに、治療薬は、薬学的に許容される担体と組み合わせて、式Iの化合物、第2の治療薬、および薬学的に許容される担体を含む医薬組成物を形成してもよい。この実施形態では、組成物の成分を典型的には混合またはブレンドして、物理的な混合物を生成する。次いで物理的混合物を、本明細書に記述される経路のいずれかを使用して、治療有効量で投与する。
【0097】
あるいは治療薬は、患者に投与する前は別々に異なるままであってもよい。この実施形態では、薬剤は、投与前は一緒に物理的に混合せず、同時にまたは別々の時間に別々の組成物として投与する。別々に投与する場合、望ましい治療効果が得られるように薬剤を時間的に十分に近接させて投与する。そのような組成物は、別々に包装することができ、またはキットとして一緒に包装してもよい。キット内の2種の治療薬は、同じ投与経路によってまたは異なる投与経路によって投与してもよい。
【0098】
詳細には、本発明の化合物は、オピオイド鎮痛治療薬と組み合わせることができる。上記の通り、オピオイド鎮痛薬の使用は往々にして、例えば、便秘、胃内容排出の低下、腹痛、鼓脹、悪心および胃食道逆流などの望ましくない副作用を随伴する。これらの有害作用は重症で、患者に送達し得るオピオイド鎮痛薬の用量を最適以下のレベルに制限するのに十分である。本発明の化合物とオピオイドとの同時投与は、副作用をおそらく低減または予防させ、したがって、疼痛緩和のための鎮痛薬の有用性を高める。
【0099】
本発明の化合物と組み合わせて使用することができるオピオイド鎮痛薬には、限定するものではないがモルヒネ、ヒドロモルホン、オキシモルホン、ペチジン、コデイン、ジヒドロコデイン、オキシコンチン、オキシコドン、ヒドロコドン、スフェンタニル、フェンタニル、レミフェンタニル、ブプレノルフィン、ブトルファノール、トラマドール、メタドン、ヘロイン、プロポキシフェン、メペリジン、レボルフェノール(levorphenol)、ペンタゾシンおよびオピオイド鎮痛薬とイブプロフェンまたはアセトアミノフェンとの組合せが含まれる。その治療用量のオピオイド鎮痛薬と組み合わせる場合、例えば、1日当たり約5mgから約160mgの用量のオキシコドンと組み合わせる場合、本発明の化合物は、平均70kgの患者で1日当たり約0.05から約100mgの範囲の用量で使用することができる。
【0100】
加えて、μオピオイド受容体アンタゴニスト以外のメカニズムを介して働く運動促進薬を、本発明の化合物と組み合わせて使用してもよい。例えば、5−HT受容体アゴニスト、例えばテガセロッド、レンザプリド、モサプリド、プルカロプリド、1−イソプロピル−1H−インダゾール−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[2−(4−アセチルピペラジン−1−イル)エチル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}アミド、1−イソプロピル−2−オキソ−1,2−ジヒドロキノリン−3−カルボン酸{(1S,3R,5R)−8−[(R)−2−ヒドロキシ−3−(メタンスルホニル−メチル−アミノ)プロピル]−8−アザビシクロ[3.2.1]オクト−3−イル}アミド、または4−(4−{[(2−イソプロピル−1H−ベンゾイミダゾール−4−カルボニル)アミノ]メチル}−ピペリジン−1−イルメチル)ピペリジン−1−カルボン酸メチルエステルを、第2の治療薬として使用してもよい。
【0101】
追加の有用な運動促進薬には、限定するものではないが5−HT受容体アゴニスト(例えば、プモセトラグ)、5−HT1A受容体アンタゴニスト(例えば、AGI 001)、α−2−δリガンド(例えば、PD−217014)、塩化物チャネル開口薬(例えば、ルビプロストン)、ドーパミンアンタゴニスト(例えば、イトプリド、メタクロプラミド、ドムペリドン)、GABA−Bアゴニスト(例えば、バクロフェン、AGI 006)、κオピオイドアゴニスト(例えば、アシマドリン)、ムスカリンMおよびMアンタゴニスト(例えば、アコチアミド)、モチリンアゴニスト(例えば、ミテムシナル)、グアニル酸シクラーゼ活性剤(例えば、MD−1100)、およびグレリンアゴニスト(例えば、Tzp 101、RC 1139)が含まれる。
【0102】
そのような治療薬の、数多くの追加の例は、当技術分野で公知であり、任意のそのような公知の治療薬を、本発明の化合物と組み合わせて用いてもよい。(1種または複数の)二次的な薬剤を含む場合には、治療有効量で、即ち本発明の化合物と同時投与したときに治療上有益な効果を発揮する任意の量で、存在する。本発明の化合物と組み合わせて投与される、その他の治療薬の適切な用量は、典型的には約0.05μg/日から約100mg/日の範囲内である。
【0103】
したがって、本発明の医薬組成物は、任意選択で上述の第2の治療薬を含む。
【0104】
以下の例は、本発明の代表的な医薬組成物を示す:
製剤例A:経口投与用硬質ゼラチンカプセル
本発明の化合物(50g)、噴霧乾燥ラクトース(200g)、およびステアリン酸マグネシウム(10g)を、完全にブレンドする。得られた組成物を、硬質ゼラチンカプセル内に充填する(カプセル当たり組成物260mg)。
製剤例B:経口投与用硬質ゼラチンカプセル
本発明の化合物(20mg)、デンプン(89mg)、微結晶性セルロース(89mg)、およびステアリン酸マグネシウム(2mg)を、完全にブレンドし、次いでNo.45メッシュU.S.シーブに通す。得られた組成物を、硬質ゼラチンカプセル内に充填する(カプセル当たり組成物200mg)。
製剤例C:経口投与用ゼラチンカプセル
本発明の化合物(10mg)、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート(50mg)、およびデンプン粉末(250mg)を、完全にブレンドし、次いでゼラチンカプセル内に充填する(カプセル当たり組成物310mg)。
製剤例D:経口投与用錠剤
本発明の化合物(5mg)、デンプン(50mg)、および微結晶性セルロース(35mg)を、No.45メッシュU.S.シーブに通し、完全に混合する。ポリビニルピロリドンの溶液(水中に10重量%、4mg)を、得られた粉末と混合し、次いでこの混合物をNo.14メッシュU.S.シーブに通す。このように生成された顆粒を50〜60℃で乾燥し、No.18メッシュU.S.シーブに通す。次いで事前にNo.60メッシュU.S.シーブに通したナトリウムカルボキシメチルデンプン(4.5mg)、ステアリン酸マグネシウム(0.5mg)、およびタルク(1mg)を顆粒に添加する。混合後、混合物を錠剤機で圧縮することにより、100mgの重量の錠剤が得られる。
製剤例E:経口投与用錠剤
本発明の化合物(25mg)、微結晶性セルロース(400mg)、フュームド二酸化ケイ素(10mg)、およびステアリン酸(5mg)を完全にブレンドし、次いで圧縮して、錠剤を形成する(錠剤当たり組成物440mg)。
製剤例F:経口投与用の1割線入り錠剤
本発明の化合物(15mg)、コーンスターチ(50mg)、クロスカルメロースナトリウム(25mg)、ラクトース(120mg)、およびステアリン酸マグネシウム(5mg)を完全にブレンドし、次いで圧縮して、1割線入り錠剤を形成する(錠剤当たり組成物215mg)。
製剤例G:経口投与用懸濁液
以下の成分を完全に混合して、懸濁液10mL当たり活性成分100mgを含有する経口投与用懸濁液を形成する:
【0105】
【表1】

製剤例H:乾燥粉末組成物
微粉化した本発明の化合物(1mg)をラクトース(25mg)とブレンドし、次いでゼラチン吸入カートリッジ内に充填する。カートリッジの内容物を、粉末吸入器を使用して投与する。
製剤例J:注射用製剤
本発明の化合物(0.1g)を0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝溶液(15mL)とブレンドする。得られた溶液のpHを、1N塩酸水溶液または1N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6に調節する。次いで滅菌生理食塩液をクエン酸緩衝液に溶かしたものを添加して、全体積を20mLにする。
製剤例K:経口投与用の1割線入り錠剤
本発明の化合物(10mg)、塩酸オキシコドン(10mg)、コーンスターチ(50mg)、クロスカルメロースナトリウム(25mg)、ラクトース(120mg)、およびステアリン酸マグネシウム(5mg)を完全にブレンドし、次いで圧縮して、1割線入り錠剤に成形する(錠剤当たり組成物220mg)。
製剤例L:注射用製剤
本発明の化合物(0.1g)および塩酸オキシコドン(0.1g)を0.1Mクエン酸ナトリウム緩衝溶液(15mL)とブレンドする。得られた溶液のpHを、1N塩酸水溶液または1N水酸化ナトリウム水溶液を使用してpH6に調節する。次いで滅菌生理食塩液をクエン酸緩衝液に溶かしたものを添加して、全体積を20mLにする。
【0106】
特定の投与形態に適した任意の形(即ち、遊離塩基、医薬用塩、または溶媒和物)の本発明の化合物を、上記にて論じた医薬組成物に使用できることが理解されよう。
【0107】
(有用性)
本発明の3−カルボキシプロピル−アミノテトラリン化合物は、μオピオイド受容体でアンタゴニストであり、したがって、μオピオイド受容体によって媒介されたまたはμオピオイド受容体活性に関連した病状、即ちμオピオイド受容体アンタゴニストによる治療によって改善される病状を、治療するのに有用であることが予測される。特に本発明の化合物は、オピオイド鎮痛薬の使用に関連した有害作用、即ち、まとめてオピオイド誘発性腸管機能不全と呼ばれる便秘、胃内容排出低下、腹痛、膨満、悪心、および胃食道逆流などの症状を治療するのに、有用であることが予測される。本発明のμオピオイド受容体アンタゴニストは、術後イレウス、腹部またはその他の手術後に生じる胃腸管の運動低下障害を治療するのに、有用であることも予測される。さらに、μオピオイド受容体アンタゴニスト化合物は、オピオイド誘発性の悪心および嘔吐を回復させるのに使用できることが示唆されてきた。さらに、いくらかの中枢浸透を示すこれらのμオピオイド受容体アンタゴニストは、麻薬、アルコール、もしくはギャンブルに対する依存性もしくは中毒を治療するのに、または肥満を予防し、治療し、かつ/または改善するのに有用と考えられる。
【0108】
本発明の化合物は、動物モデルで胃腸(GI)管の運動性を増大させるので、この化合物は、ヒトを含めた哺乳動物での運動低下によって引き起こされたGI管の障害を、治療するのに有用であることが予測される。そのようなGI運動障害には、例示として、慢性の便秘、便秘型過敏性腸症候群(C−IBS)、糖尿病性および特発性胃不全麻痺、および機能性消化不良が含まれる。
【0109】
したがって一態様では、本発明は、薬学的に許容される担体および本発明の化合物を含む治療有効量の医薬組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物の胃腸管の運動性を増大させる方法を提供する。
【0110】
GI管の運動低下障害、またはμオピオイド受容体によって媒介されたその他の状態を治療するのに使用する場合、本発明の化合物は、典型的には毎日1回の服用または毎日複数回の服用で経口投与されることになるが、その他の投与形態を使用してもよい。例えば、特に術後イレウスの治療に使用される場合、本発明の化合物は非経口的に投与してもよい。用量当たり投与される活性剤の量、または1日当たり投与される総量は、典型的には、治療がなされる状態、選択される投与経路、投与された実際の化合物およびその相対的活性、個々の患者の年齢、体重、および応答、および患者の症状の重症度を含めた関連ある状況に照らして、医師によって決定されることになる。
【0111】
GI管の障害もしくは運動低下、またはμオピオイド受容体によって媒介されたその他の障害を治療するのに適した用量は、活性剤が約0.0007から約20mg/kg/日に及ぶことになり、約0.0007から約1.4mg/kg/日が含まれる。平均70kgのヒトでは、活性剤が1日当たり約0.05から約100mgに達することになる。
【0112】
本発明の一態様では、本発明の化合物は、オピオイド誘発性腸管機能不全を治療するのに使用される。オピオイド誘発性腸管機能不全を治療するのに使用される場合、本発明の化合物は、典型的には、毎日1回の服用または1日当たり複数回の服用で経口投与されることになる。好ましくは、オピオイド誘発性腸管機能不全を治療するための用量は、1日当たり約0.05から約100mgに及ぶことになる。
【0113】
本発明の別の態様では、本発明の化合物は、術後イレウスを治療するのに使用される。術後イレウスの治療に使用される場合、本発明の化合物は、典型的には、毎日1回の服用または1日当たり複数回の服用で経口的にまたは静脈内から投与されることになる。好ましくは、術後イレウスを治療するための用量は、1日当たり約0.05から約100mgに及ぶことになる。
【0114】
本発明は、治療有効量の本発明の化合物または本発明の化合物を含む医薬組成物を哺乳動物に投与するステップを含む、μオピオイド受容体活性に関連した疾患または状態を有する哺乳動物を治療する方法も提供する。
【0115】
上述のように、本発明の化合物は、μオピオイド受容体アンタゴニストである。したがって、本発明はさらに、本発明の化合物を哺乳動物に投与するステップを含む、哺乳動物のμオピオイド受容体に拮抗する方法を提供する。
【0116】
本発明のμオピオイド受容体アンタゴニストは、任意選択で、1種または複数の別の治療薬と組み合わせて、特にオピオイド鎮痛薬と、または非μオピオイドメカニズムを介して作用する運動促進剤と組み合わせて投与される。したがって別の態様では、本発明の方法および組成物は、さらに、治療有効量のオピオイド鎮痛薬、または別の運動促進剤を含む。本発明の方法は例えば、哺乳動物においてオピオイド薬を使用する際に随伴する副作用を低減または防止する方法を含み、この方法は、哺乳動物に、オピオイド薬および本発明の化合物を投与することを含む。
【0117】
さらに、本発明の化合物は、μオピオイド受容体を有する生体系もしくはサンプルを調査もしくは試験するための、またはμオピオイド受容体活性を有する新しい化合物を発見するための、リサーチツールとしても有用である。μオピオイド受容体を有する任意の適切な生体系またはサンプルは、in vitroまたはin vivoで実施され得るような試験に用いてもよい。そのような試験に適した代表的な生体系またはサンプルには、限定するものではないが細胞、細胞抽出物、原形質膜、組織サンプル、および哺乳動物(マウス、ラット、モルモット、ウサギ、イヌ、ブタなど)などが含まれる。μオピオイド受容体を含む生体系またはサンプルと本発明の化合物とを接触させる効果は、放射性リガンド結合アッセイおよび本明細書に記述される機能アッセイまたは当技術分野で公知のその他の機能アッセイなど、従来の手順および装置を使用して決定される。そのような機能アッセイには、限定するものではないが細胞内環状アデノシン一リン酸(cAMP)のリガンド媒介性変化、酵素アデニリルシクラーゼの活性のリガンド媒介性変化、[35S]GTPγS(グアノシン5’−O−(γ−チオ)トリホスフェート)やGTP−Euなどのグアノシン三リン酸(GTP)類似体からGDP類似体への受容体触媒交換を介した、単離された膜へのGTP類似体の組込みのリガンド媒介性変化、および遊離細胞内カルシウムイオンのリガンド媒介性変化が含まれる。そのような試験のための、本発明の化合物の適切な濃度は、典型的には約1ナノモルから約500ナノモルに及ぶ。
【0118】
本発明の化合物を、μオピオイド受容体活性を有する新しい化合物を発見するためのリサーチツールとして使用する場合、試験化合物または試験化合物の群に関する結合または機能データを、本発明の化合物に関するμオピオイド受容体の結合または機能データと比較して、存在する場合には優れた結合または機能活性を有する試験化合物を特定する。本発明のこの態様は、個別の実施形態として、問題の試験化合物が特定されるように比較データの作成(適切なアッセイを使用する)および試験データの分析の両方を含む。
【0119】
その他の性質の中で、本発明の化合物は、μオピオイド受容体に対して強力な結合を示し、μ受容体機能アッセイでは作動性を殆どまたは完全に示さないことがわかった。したがって本発明の化合物は、強力なμオピオイド受容体アンタゴニストである。さらに本発明の化合物は、動物モデルにおいて、中枢神経系活性に比べて主に末梢活性があることが実証された。したがってこれらの化合物は、鎮痛の有益な中枢効果を妨げることなく、GI運動のオピオイド誘発性の低下を逆転すると予測することができる。これらの性質、ならびに本発明の化合物の有用性は、当業者に周知の様々なin vitroおよびin vivoアッセイを使用して実証することができる。代表的なアッセイについて、以下の実施例でさらに詳細に記述する。
【実施例】
【0120】
以下の合成および生物学的実施例は、本発明を例示するために提供され、本発明の範囲をいかなる方法によっても限定するものではないと解釈すべきである。以下の実施例において、以下の略語は、他に指示しない限り以下の意味を有する。以下に定義されていない略語は、一般に許容されるその意味を有する。
ACN = アセトニトリル
AcOH = 酢酸
Boc = tert−ブトキシカルボニル
(Boc) = ジカルボン酸ジ−tert−ブチル
DCM = ジクロロメタン
DIPEA = N,N−ジイソプロピルエチルアミン
DMF = N,N−ジメチルホルムアミド
DMSO = ジメチルスルホキシド
EtOAc = 酢酸エチル
EtOH = エタノール
HATU = N,N,N’,N’−テトラメチル−O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)ウロニウムヘキサフルオロホスフェート
MeOH = メタノール
MeTHF = 2−メチル−テトラヒドロフラン
MTBE = メチルtert−ブチルエーテル
RT = 室温
TFA = トリフルオロ酢酸
THF = テトラヒドロフラン 。
【0121】
試薬および溶媒を供給業者(Aldrich、Fluka、Sigmaなど)から購入し、さらに精製することなく使用した。反応は、他に指示しない限り、窒素雰囲気下で行った。反応混合物の進行を、薄層クロマトグラフィー(TLC)、分析用高性能液体クロマトグラフィー(分析HPLC)、および質量分光法によってモニタした。反応混合物は、各反応で具体的に記述したように後処理し;一般にその混合物は、抽出およびその他の精製方法、例えば温度および溶媒依存性の沈殿などによって精製した。さらに、反応混合物を分取HPLCによって、典型的には、Microsorb C18およびMicrosorb BDSカラムパッキンおよび慣用の溶離剤を使用して、通常通り精製した。反応生成物の特徴付けを、質量およびH−NMR分光分析によって通常通り実施した。NMR測定の場合、サンプルを重水素化溶媒(CDOD、CDCl、またはDMSO−d)に溶解し、H−NMRスペクトルを、Varian Gemini 2000機器(400MHz)で、標準的な観察条件下で獲得した。化合物の質量分光同定を、Applied Biosystems(Foster City、CA)モデルAPI 150 EX機器またはAgilent(Palo Alto、CA)モデル1200 LC/MSD機器を用いてエレクトロスプレーイオン化法(ESMS)により行った。
【0122】
調製1:7,7−ジエチル−5−ヒドロキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
a.7−アミノ−6−ブロモ−8,8−ジエチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールヒドロブロミド
フラスコに、7,7−ジエチル−5−メトキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1H−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン(268g、1.16モル)および臭化水素(1.97L、17.38モル)を、続いて、臭化テトラ−N−ブチルアンモニウム(38g、0.12モル)を加えた。反応混合物を100℃で一晩、撹拌しながら加熱し、室温に冷却し、次いで、撹拌されている酢酸エチル(2.5L)に注いだ。生成物を濾過により単離し、フィルターケーキを酢酸エチル(2×200mL)で洗浄し、乾燥させると、粗製生成物(370g)が紫色がかった固体として得られた。粗製生成物をエタノール(1.50L)に懸濁させ、次いで、80℃に30分間加熱した。生じたスラリーを室温に1時間にわたって冷却し、濾過した。フラスコおよびフィルターケーキをエタノール(2×100mL)で、次いで、酢酸エチル(100mL)で洗浄し、一晩乾燥させると、表題化合物が固体(275g、純度約96%)として得られた。
【0123】
b.7,7−ジエチル−5−ヒドロキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル
7−アミノ−6−ブロモ−8,8−ジエチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−オールヒドロブロミド(20.0g、52.8ミリモル)および酢酸エチル(200 mL)のスラリーに、水中1.0Mの水酸化ナトリウム(106mL)を加えた。反応混合物を25℃で2時間撹拌し、酢酸エチル(5mL)中の二炭酸ジ−tert−ブチル(15g、68ミリモル)を加え、反応混合物を室温で2時間撹拌した。酢酸エチルの2/3(135mL)を除去した後に、ヘプタン(135mL)を加え、生じたスラリーを室温で30分にわたって、次いで5℃で一晩撹拌した。スラリーを濾過し、フィルターケーキを水(100mL)ですすぎ、ヘプタン(50mL)ですすぎ、真空下に乾燥させると、表題化合物(14.3g)が得られた。
【0124】
調製2:トランス−(7−シアノ−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
a.トランス−(1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
7,7−ジエチル−5−ヒドロキシ−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1−アザ−シクロプロパ[b]ナフタレン−1−カルボン酸tert−ブチルエステル(170.0g、535.6ミリモル)およびメタノール(1700mL)のスラリーに、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム(13.4g、53.6ミリモル)を加え、反応混合物を40℃で4時間撹拌した。回転蒸発により、体積を約300mLに減らすと、粘稠な白色のスラリーが生じた。生成物を濾過により単離し、フィルターケーキを冷メタノール(50mL)で洗浄し、空気中で3時間乾燥させると、表題化合物(150g)が得られた。濾液を約50mLに減らし、0℃で2時間撹拌し、濾過し、乾燥させると、追加の生成物(25g)が得られた。
【0125】
b.トランス−トリフルオロ−メタンスルホン酸7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルエステル
トランス−(1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(195.0g、0.558モル)、トリエチルアミン(160mL、1.1モル)および酢酸エチル(2000mL)の混合物を室温で15分間撹拌し、0℃に冷却し、続いて、トリフルオロ−塩化メタンスルホニル(150g、0.89モル)を徐々に加えたが、その際、内部温度を4℃未満に維持した。生じたスラリーを0℃で1時間撹拌した。追加のトリエチルアミン(16mL)を、続いて、追加の塩化トリフルオロメタンスルホニル(15.0g)を徐々に加えたが、その際、温度を5℃未満に維持した。反応混合物を室温でさらに1時間撹拌した。希釈ブライン(1.0L)を加え、反応混合物を室温で10分間撹拌した。層を分離し、有機層を希釈NaHCO(1.0L)で洗浄し、次いで、28℃で回転蒸発させることにより、約350mLまで濃縮し、室温で30分間撹拌した。ヘプタン(700mL)を加え、生じたスラリーを室温で30分間撹拌し、4℃に冷却し、1時間撹拌した。固体を濾過し、ヘプタンで洗浄し、次いで、真空下で乾燥させると、表題化合物(193.0g、純度>97%)が得られた。濾液を濃縮し、酢酸イソプロピルおよびヘプタン混合物(1:3、60mL)中で30分にわたってスラリー化し、濾過し、乾燥させると、追加の生成物(45.0g、純度>97%)が得られた。
【0126】
c.トランス−(7−シアノ−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
トリフルオロ−メタンスルホン酸7−tert−ブトキシカルボニルアミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルエステル(236.6g、0.49モル)をN,N−ジメチルホルムアミド(851mL、10.99モル)および水(23.8mL、1.32モル)に室温で溶かした。溶液を窒素で5分間パージし、次いで、ハウスバキュームに5分間接続した。窒素パージと真空への曝露を2回繰り返した。反応混合物にシアン化亜鉛(34.2g、0.29モル)、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム(0)(4.4g、4.8ミリモル)および1,1’−ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン(5.4g、9.7ミリモル)を撹拌しながら加えた。反応混合物を窒素で5分間パージし、窒素下、110℃で1時間加熱し、室温に冷却し、次いで、セライトで濾過した。濾過された反応混合物を水(3L)に徐々に加え、0℃に撹拌しながら冷却し、0℃で30分間撹拌し、次いで、濾過した。フィルターケーキを水(500mL)で洗浄し、空気中で2時間乾燥させ、エタノール(1L)中で撹拌しながら1時間にわたってスラリー化し、次いで、濾過すると、表題化合物(165.0g、純度>96%)が得られた。濾液を乾燥させ(21.6g)、エタノール(110mL)に撹拌しながら1時間にわたって溶かし、生じたスラリーを濾過し、真空下に乾燥させると、追加の生成物(10.2g、純度>98%)が得られた。
【0127】
調製3:トランス−(7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
調製2の生成物(160.0g、446.3ミリモル)およびメタノール(3.3L)のスラリーを55℃で15分間加熱し、過ホウ酸ナトリウム一水和物(280g、2800ミリモル)および水(330mL)を加え、反応混合物を55℃で一晩加熱した。追加の過ホウ酸ナトリウム一水和物(90g)を加え、反応混合物を55℃で一晩加熱し、次いで、室温に冷却し、無機固体を濾別した。濾液を5Lフラスコに移し、大部分の溶媒を回転蒸発により除去した。生じたスラリーに、水(1.1L)および酢酸エチル(450mL)を加え、反応混合物を室温で20分間撹拌した。反応混合物を濾過し、フィルターケーキを水(200mL)、次いで、酢酸エチル(200mL)で洗浄し、乾燥させると、表題化合物(123g、純度約95%)が得られた。濾液を乾燥するまで濃縮し、真空下に乾燥させると、追加の生成物(18g、純度65%)が得られた。
【0128】
調製4:トランス−(7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
トランス−(7−シアノ−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(33.0g、92ミリモル)、エタノール(45mL)、DMF(25mL)および水(7.5mL)の混合物に、ヒドリド(ジメチルホスホニオウス酸−kP)[水素ビス(ジメチルホスフィニト−kP)]白金(II)(0.25g、0.58ミリモル)を加え、反応混合物を80℃で24時間加熱した。反応物を室温に冷却し、真空下で乾燥するまで濃縮すると、表題化合物(36.3g)が得られ、これを、さらに精製することなく使用した。(m/z): [M+H]2132の計算値 377.24; 実測値 377.8. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm): 7.92 (s, 1H), 7.64 (m, 2H), 7.26 (s, 1H), 7.14 (d, J=7.9 Hz, 1H), 6.64 (d, J= 9.4 Hz) 3.81 (t, J=10.0 Hz), 3.58 (m, 1H), 3.30 (s, 3H), 2.58 (dd, J=16.9 Hz, 9.4 Hz, 1H), 1.82 (m, 1H), 1.56−1.45 (m, 4H), 1.41 (s, 9H), 0.58 (m, 6H)。
【0129】
調製5:トランス−(7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
トランス−(7−シアノ−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(8.5g、24ミリモル)のDMSO(105mL)溶液に、KCO(4.98g、36ミリモル)を加え、固体が全て溶けるまで、混合物を撹拌した。溶液に、30%過酸化水素(12.2mL、120ミリモル)を0.5mLポーションで45分にわたって、温度を30〜35℃に維持する速度で加えた。反応混合物を水(200mL)および酢酸イソプロピル(500mL)で希釈し、メタ重亜硫酸ナトリウム(10g)を加えて、過剰の過酸化物を還元した。層を分離し、水性層を酢酸イソプロピル(3×150mL)および10%MeOH/酢酸イソプロピル(2×100mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×150mL)および飽和NaCl(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮すると、表題化合物(9.4g)が得られた。(m/z): [M+H]2132の計算値 377.24; 実測値 377.6。
【0130】
調製6:トランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
塩化アセチル(278.8mL、3920ミリモル)をエタノール(382mL、6530ミリモル)に−5℃で2時間わたって滴下したが、その際、内部温度を20℃未満に維持した。生じた溶液を少量ずつ15分にわたって、内部温度を30℃未満に維持しながら、10℃に冷却されているトランス−(7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(123.0g、327ミリモル)およびエタノール(500mL)のスラリーに加えた。反応混合物を室温で2時間撹拌し、回転蒸発により、約200mLに濃縮した。酢酸エチル(200mL)を加え、生じたスラリーを0℃で30分間撹拌し、濾過し、乾燥させると、表題化合物の塩酸塩(102g、純度>98%)が白色の固体として得られた。
【0131】
調製7:炭酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル
(R)−1−フェニル−エタノール(60.6g、0.496モル)、ピリジン(42.5mL、0.526モル)および2−メチル−テトラヒドロフラン(600mL)の混合物を0℃に冷却し、クロロギ酸p−ニトロフェニル(100g、0.496モル)を15分にわたって加えたが、その際、内部温度を5℃未満に維持した。反応混合物を室温に加温し、2時間撹拌した。反応混合物に水中1.0MのHCl(300mL)を加えた。層を分離した。有機層を1NのHC1(300mL)およびブライン(300mL)で洗浄し、濾過し、回転蒸発により乾燥するまで濃縮し、真空下で乾燥させると、表題化合物(140g)が透明な黄色のオイルとして得られた。
【0132】
調製8:(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
a.((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル
炭酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル(102g、357ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド(200mL)およびトリエチルアミン(32.7mL、235ミリモル)の混合物を室温で一晩撹拌した。反応混合物に、トランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(100g、320ミリモル)、N,N−ジメチルホルムアミド(320mL)およびトリエチルアミン(98.0mL、703ミリモル)を加えた。反応混合物を85℃で5時間加熱し、次いで、室温で一晩撹拌した。約90%のDMFを、70℃で蒸留により除去し、生じた粘稠なオイルを室温に冷却し、次いで、酢酸エチル(1.5L)および希釈ブライン(500mL)に分配した。有機層を1MのNaOH(3×500mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。大部分の溶媒を回転蒸発により除去し、3体積の酢酸エチルを加え、生じたスラリーを室温で30分間撹拌し、濾過し、乾燥させると、表題化合物(48g、化学的および光学的純度>99%)が得られた。
【0133】
濾液を1MのNaOH(200mL)で、次いで、希釈ブライン(2×200mL)で洗浄した。回転蒸発により、大部分の溶媒を除去すると、粘稠なオイルが得られ、これに、酢酸エチル(100mL)を加えた。表題化合物の種を少量加え、約30分間撹拌した後に、反応混合物を0℃で冷却した。生じた薄いスラリーを5分間撹拌し、濾過し、フラスコおよびフィルターケーキを酢酸エチル(2×15mL)で洗浄すると、追加の表題化合物(4.1g、化学的純度97%および光学的純度>99%、合計収率38%)が得られた。
【0134】
b.(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
塩化アセチル(193mL、2710ミリモル)をエタノール(260mL、4500ミリモル)に−5℃で40分にわたって滴下し、その際、内部温度を30℃未満に維持した。生じた溶液を5分にわたって10℃で、((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(49.0g、115ミリモル)およびエタノール(200mL)の混合物に加えた。反応混合物を室温で一晩撹拌し、回転蒸発により約100mLに濃縮した。酢酸エチル(100mL)を加え、生じたスラリーを0℃で30分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを酢酸エチルで洗浄し、乾燥させると、表題化合物の塩酸塩(30g、純度>99%)が得られた。濾液の体積をほぼ乾燥するまで減らした。イソプロピルアルコール(20mL)を加え、生じた濃いスラリーを30分間撹拌し、濾過した。フィルターケーキを酢酸エチル(2×20mL)で洗浄し、真空下で一晩乾燥させると、追加の生成物(5.5g、純度>97%)が得られた。H NMR (DMSO−d): δ (ppm) 0.49 (t, 3H), 0.63 (t, 3H), 1.62 (q, 2H), 1.89 (m, 1H), 2.09 (m, 1H), 2.60 (dd, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.50 (dd, 1H), 3.82 (q, 1H), 7.19 (d, 1H), 7.31 (br, 1H), 7.70 (d, 1H), 7.71 (s, 1H), 7.98 (br, 1H), 8.15 (br, 3H)。
【0135】
調製9:トランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール
トランス−(1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(6.0g、17.2ミリモル)のジクロロメタン(60mL)溶液に、ジオキサン中4.0NのHCl(21.5mL、86ミリモル)溶液を約2分にわたって加えた。室温で一晩撹拌した後に、反応混合物を減圧で濃縮し、真空下で乾燥させると、表題化合物の塩酸塩(5.5g)が得られた。(m/z): [M+H]1523NOの計算値 250.36; 実測値 250.2. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm) 9.26 (s, 1H), 8.09 (br s, 3H), 6.92 (d, J=8.0 Hz, 1H), 6.61 (m, 2H), 3.77 (m, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.30 (dd, J=15.8 Hz, 5.9 Hz, 1H), 3.17 (m, 1H), 2.43 (dd, J=15.5 Hz, 9.6 Hz, 1H), 1.85 (m, 2H), 1.66−1.50 (m, 2H), 0.66 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.54 (t, J=7.1 Hz, 3H)。
【0136】
調製10:(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オールおよび(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール
a.((2R,3R)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(RR)および((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(SS)
トランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール塩酸塩(1.00g、3.5ミリモル)、炭酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル(800mg、2.8ミリモル)、トリエチルアミン(707mg、7.0ミリモル)およびDMF(3.5mL)の混合物を90℃で加熱した。4時間後に、炭酸4−ニトロフェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル(200mg、0.7ミリモル)の追加のポーションを加え、加熱をさらに3時間継続した。反応混合物を冷却し、室温で一晩放置した。DMFを減圧で除去し、残渣を酢酸エチル(25mL)に溶かした。有機層を10%炭酸ナトリウムおよび飽和塩化ナトリウムで洗浄し、NaSOで乾燥させ、乾燥するまで濃縮した。残渣をメタノール(6mL)に溶かし、メタノール中1.0Nの水酸化ナトリウム溶液(3.0mL、3.0ミリモル)を加えた。反応混合物を室温で30分間撹拌し、この時点で、50%酢酸水溶液(2mL)を加えた。反応混合物を約4mLに濃縮し、50%アセトニトリル水溶液(15mL)を加えた。
【0137】
粗製ジアステレオ異性体を分取HPLCにより分離し、別々に集めた。粗製生成物を1:1のアセトニトリル/水に溶かし、下記の条件で分離した:カラム:Microsorb C18 100A 8μmカラム;流速:50mL/分;溶媒A:>99%水、0.05%TFA;溶媒B:>99%アセトニトリル、0.05%TFA;勾配(時間(分)/%B):0/15、4/15、8/40、60/55。それぞれの純粋なフラクションを貯留し、アセトニトリルを減圧で除去した。生成物をジクロロメタン(3×30mL)に抽出し、有機抽出物をNaSOで乾燥させ、濃縮すると、表題化合物が得られた。
【0138】
RR: 435 mg (39 % 収率) (m/z): [M+H]2431NOの計算値 398.52; 実測値 398.2. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm) 9.01 (s, 1H), 7.37−7.26 (m, 5H), 7.05 (d, J=9.8 Hz, 1H), 6.86 (d, 8.2, 1H), 6.52 (dd, J=8.0, 2.4 Hz, 1H), 6.48 (d, J=2.3 Hz, 1H), 5.70 (四重線, J=6.7 Hz, 1H), 3.77 (t, J=10.3 Hz, 1H), 3.55 (m, 1H), 3.32 (s, 3H), 3.17 (dd, J=15.9, 6.0 Hz, 1H), 2.43 (m, 1H), 1.57−1.52 (m, 2H), 1.56 (d, J=6.7 Hz, 3H), 1.44−1.33 (m, 2H), 0.60 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.51 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0139】
SS: 363 mg (32 % 収率) (m/z): [M+H]2431NOの計算値 398.52; 実測値 398.2. 1H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm) 9.02 (s, 1H), 7.39−7.24 (m, 5H), 7.03 (d, J=9.7 Hz, 1H), 6.85 (d, 8.3, 1H), 6.53 (dd, J=8.1, 2.6 Hz, 1H), 6.48 (d, J=2.2 Hz, 1H), 5.69 (四重線, J=6.7 Hz, 1H), 3.75 (t, J=10.6 Hz, 1H), 3.52 (m, 1H), 3.27 (s, 3H), 3.14 (dd, J=15.9, 5.9 Hz, 1H), 2.37 (dd, J=15.7, 9.5, 1H), 1.65−1.41 (m, 4H), 1.46 (d, J=6.6 Hz, 3H), 0.64−0.60 m, 6H)。
【0140】
b.(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール
((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(635mg、1.60ミリモル)をジオキサン中4.0NのHCl(6.0mL、24ミリモル)で処理し、RTで撹拌した。3日後に、溶媒を減圧で除去し、残った固体をヘプタン中50%のジクロロメタン(4mL)で摩砕した。固体をブフナー漏斗に集め、真空下で乾燥させると、表題化合物の塩酸塩(462mg)が得られた。(m/z): [M+H]1523NOの計算値 250.36; 実測値 250.2. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm) 9.23 (s, 1H), 8.02 (br s, 3H), 6.92 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.61 (m, 2H), 3.77 (m, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.30 (m, 1H), 3.17 (m, 1H), 2.44 (dd, J=15.9 Hz, 9.8 Hz, 1H), 1.85 (m, 2H), 1.62−1.52 (m, 2H), 0.66 (t, J=7.2 Hz, 3H), 0.55 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0141】
c.(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール
先行するステップの手順に従い、((2R,3R)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステルを使用して、表題化合物の塩酸塩を調製した。(m/z): [M+H]1523NOの計算値 250.36; 実測値 250.4. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm) 9.23 (s, 1H), 8.02 (br s, 3H), 6.92 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.61 (m, 2H), 3.77 (m, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.30 (m, 1H), 3.17 (m, 1H), 2.44 (dd, J=15.7 Hz, 10.2 Hz, 1H), 1.84 (m, 2H), 1.62−1.52 (m, 2H), 0.66 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.55 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0142】
調製11:((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(SS)および((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(RR)
炭酸4−ニトロ−フェニルエステル(R)−1−フェニル−エチルエステル(7.35g、25.6モル)、トランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(4.0g、13ミリモル)およびトリエチルアミン(5.3mL、38モル)のDMF(13mL)中の混合物を85℃で加熱した。2.5時間後に、反応混合物を冷却し、室温で一晩撹拌した。溶媒を真空下で除去し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィーにより、DCM中のEtOAc(10%から50%への勾配)で溶離して精製すると、表題化合物(6.96g)を含有する混合物が得られた。ジアステレオ異性体の混合物を分取HPLCにより、調製10(a)に記載の条件下で分離したが、ただし、下記の勾配(時間(分)/%B)を使用した:0/5、4/5、8/37、60/42。各異性体の純粋なフラクションを貯留し、凍結乾燥させると、表題化合物が得られた。
【0143】
SS: 1.4 g (26%) (m/z): [M+H]2532の計算値 425.24; 実測値 425.6.
RR: 1.5 g (28%) (m/z): [M+H]2532の計算値 425.24; 実測値 425.4.
ジアステレオ異性体SSの単結晶X線回折分析
開放HPLCバイアル中で、SS(3mg)をアセトニトリル(100mL)に溶かし、これを、1:9のアセトニトリル:水(4mL)を含有する20mLバイアルに部分的に浸漬させた。20mLバイアルに封をし、室温で維持すると、SSの大きな複屈折針状結晶が得られた。
【0144】
X線回折結晶構造データを、寸法0.44×0.13×0.10mmの単結晶で、Mo Kα放射線(λ=0.71073Å)を使用して、グラファイト結晶および入射ビームモノクロメーターを備えたNonius Kappa CCD回折計で得て、LINUX PCでSHELX97ソフトウェアを使用して分析した。下記の格子パラメータが導かれた:単位格子は、a=17.451Å、b=17.451Å、c=19.822Å、α=90.00°、β=90.00°、γ=120.00°の寸法を有する六方晶系であり、格子体積(V)=5228Å、空間群は、P321である。分子は、3個のキラル中心を含有する。フェニル基を持つ炭素の公知のR配置から:
【0145】
【化13】

残りの2個の中心は、S配置であると決定された。
【0146】
残りの結晶を粉末X線回折により分析した。導かれた単結晶の結晶学的データから示された粉末X線回折ピークは、観察された粉末X線回折ピークと十分に一致した。
【0147】
調製12:(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸(R)−1−フェニル−エチルエステル(1.7g、4.0ミリモル)をジオキサン中4.0NのHCl(20mL、80ミリモル)で処理し、RTで撹拌した。24時間後に、溶媒を減圧で除去し、残りの固体をヘキサン中50%のジクロロメタン(15mL)で摩砕した。固体をブフナー漏斗で集め、ヘキサン中50%のジクロロメタン(10mL)ですすぎ、真空下で乾燥させると、表題化合物が塩酸塩(1.2g)として得られた。(m/z): [M+H]1624の計算値 277.19; 実測値 277.4. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm) 8.19 (br s, 3H), 7.98 (s, 1H), 7.70 (m, 2H), 7.32 (s, 1H) 7.19 (d, J=7.8 Hz, 1H), 3.83 (m, 1H), 3.47 (m, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.23 (m, 1H), 2.63 (dd, J=16.8 Hz, 9.7 Hz, 1H) 2.06 (m, 1H), 1.88 (m, 1H) 1.64 (四重線, J=7.7 Hz, 2H), 0.62 (t, J=7.5 Hz, 3H), 0.50 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0148】
調製13:ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホネート
a:(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル
(S)−2−シクロヘキシルメチル−コハク酸1−メチルエステル(60.0g、263ミリモル)およびテトラヒドロフラン(600mL)の混合物を室温で撹拌し、次いで、−5℃に30分にわたって冷却した。反応混合物にテトラヒドロフラン中1.0Mのボラン(520mL)を45分にわたって滴加し、その間、内部温度を0℃未満に維持した。反応混合物に、MeOH(100mL)を滴加して、反応をクエンチした。反応混合物を回転蒸発により約100mLまで濃縮した。(トリフルオロメチル)ベンゼン(200mL)を加え、回転蒸発により、体積を25mLまで減らした。(トリフルオロメチル)ベンゼン(100mL)を生じた濃いオイルに加え、体積を約25mLまで減らすと、粗製表題生成物(56.3g)が得られた。
【0149】
b.ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホネート
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル(44.8g、209ミリモル)およびDCM(310mL)の混合物を撹拌しながら5℃に冷却した。反応混合物に、臭化カリウム(2.5g、21ミリモル)および重炭酸ナトリウム(2.4g、29ミリモル)の蒸留水(130mL)中の溶液を、次いで、2,2,6,6−テトラメチルピペリジン−1−オキシル(TEMPO)(0.33g、2.1ミリモル)を加え、続いて、次亜塩素酸ナトリウム(140mL、210ミリモル)を130mL/hの速度で、内部温度を6〜8℃の範囲に維持しながら加えた。反応混合物を15分間撹拌し、DCM(200mL)を加えた。層を分離し、有機層を飽和ブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させた。
【0150】
有機層に、EtOAc(40mL)を加え、続いて、重亜硫酸ナトリウム(21.8g、209ミリモル)を加えた。反応溶液を濃縮して、DCMの半分(約175mL)を回転蒸発により除去した。水(2mL)を反応溶液に加え、これを室温で一晩撹拌した。生じたスラリーを濾過し、フィルターケーキを真空下で一晩乾燥させると、表題化合物(61.9g)が得られた。H NMR (DMSO−d): δ (ppm) 0.78 (m, 2H), 0.95−1.20 (m, 4H), 1.33 (m, 1H), 1.40−1.95 (m, 5H), 2.45−2.65 (m, 1H), 3.21 (m, 2H), 3.45 (s, 3H), 3.6−3.8 (m, 1H), 5.18 (d, 1H)。
【0151】
調製14:トランス−7−アミノ−8,8−ジメチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド
a.7−メトキシ−1,1−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−ナプタレン(napthalen)−2−オン
ナトリウムtertブトキシド(21.1g、220ミリモル)のTHE(100mL)中のスラリーを0℃に冷却した。7−メトキシ−3,4−ジヒドロ−1H−ナプタレン(napthalen)−2−オン(17.6g、100ミリモル)およびヨウ化メチル(30.1g、220ミリモル)のTHF(100mL)中の溶液を40分にわたって滴加し、反応混合物を10分後に室温に加温した。水(200mL)およびEtOAc(600mL)を加えた。層を分離し、有機層を水(5×100mL)および飽和NaCl(100mL)で洗浄し、濾過し、NaSOで乾燥させると、表題化合物(20g)が得られた。
【0152】
b.7−メトキシ−1,1−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−ナプタレン(napthalen)−2−オンオキシム
7−メトキシ−1,1−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−ナプタレン(napthalen)−2−オン(25.4g、98ミリモル)のメタノール(175mL)溶液に、塩酸ヒドロキシルアミン(20.5g、295ミリモル)および酢酸ナトリウム(24.2g、295ミリモル)の水(175mL)中の溶液を加え、反応混合物を70℃で3時間加熱し、氷中で30分にわたって冷却した。固体をブフナー漏斗に集め、メタノール(125mL)と共に50℃で30分間撹拌し、次いで、RTで一晩撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、固体をブフナー漏斗で集め、冷メタノール(20mL)ですすぎ、真空下で乾燥させると、表題化合物(14.7g)が得られた。
【0153】
c.(1aS,7aR)−4−メトキシ−2,2−ジメチル−1a,2,7,7a−テトラヒドロ−1H−1−アザ−シクロプロパ[b]−ナフタレン
7−メトキシ−1,1−ジメチル−3,4−ジヒドロ−1H−ナプタレン(napthalen)−2−オンオキシム(15.3g、70ミリモル)のTHF(240mL)溶液に、ジエチルアミン(18mL)を加えた。反応混合物を0℃に冷却し、THF中2.0Mの水素化アルミニウムリチウム溶液(100mL、200ミリモル)を20分にわたって徐々に加えて、水素発生の速度を制御した。反応混合物を70℃に1時間加熱し、0℃に冷却し、NaSO 10HO(20g)、ブライン(60mL)およびEtOAc(300mL)を加えた。固体をEtOAc(4×100mL)で洗浄し、合わせた有機層を水(4×100mL)およびブライン(100mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濃縮すると、粗製表題生成物(14.3g)が得られた。粗製生成物をEtOAc(500mL)に溶かし、0.1NのHC1(100mL)で、次いで、0.3NのHCl(225mL)で抽出した。炭酸ナトリウム(8g、75ミリモル)を水性層に加え、これをEtOAc(4×200mL)で抽出した。有機層を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮すると、表題化合物がオイル(10.1g)として得られ、これを、放置すると結晶化して、黄褐色の固体になった。(m/z): [M+H]1317NOの計算値 204.14; 実測値 204.2。
【0154】
d.トランス−(7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,1−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
調製1(b)および2(a)の手順と同様の手順を使用して、表題化合物を調製した。H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm): 9.04 (s, 1H), 6.83 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.69 (d, J=9.4 Hz, 1H), 6.65 (d, J= 2.5 Hz, 1H), 6.52 (dd, J= 8.2, 2.5 Hz, 1H), 3.50 (m, 1H), 3.45 (m, 1H), 3.30 (s, 3H), 3.15 (m, 1H), 2.55 (m, 1H), 1.34 (s, 9H), 1.16 (s, 3H), 1.00 (s, 3H)。
【0155】
e.トランス−(7−カルバモイル−3−メトキシ−1,1−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル
調製2(b)、2(c)および5の手順と同様の手順を使用して、表題化合物を調製した。(m/z): [M+H]1928の計算値 349.21; 実測値 349.1。
【0156】
f.トランス−(7−アミノ−6−メトキシ−8,8−ジメチル−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸アミド
トランス−(7−カルバモイル−3−メトキシ−1,1−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イル)−カルバミン酸tert−ブチルエステル(9.22g、26.4ミリモル)のDCM(100mL)中のスラリーに、ジオキサン中4NのHCl(25mL、100ミリモル)を徐々に加えた。反応混合物をRTで15時間撹拌し、乾燥するまで濃縮し、DCM(25mL)で30分間摩砕し、濾過し、DCM(3×15mL)ですすぎ、真空下で乾燥させた。エタノール(100mL)を加え、反応混合物を真空下で濃縮すると、表題化合物のHCl塩(7.17g)が白色の粉末として得られた。(m/z): [M+H]1420の計算値 249.16; 実測値 249.1. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm): 8.18 (s, 3H), 8.00 (s, 1H), 7.92 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.66 (dd, J=8.0 Hz, 1.8 Hz, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.17 (d, J=8.0 Hz, 1H), 3.70 (m, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.43 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 2.67 (dd, J=16.4 Hz, 10.2 Hz), 1.50 (s, 3H), 1.24 (s, 3H)。
【0157】
調製15:(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル
a.(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル
(S)−2−シクロヘキシルメチル−コハク酸1−メチルエステル(484mg、2.12ミリモル)およびテトラヒドロフラン10mL)の混合物を室温で撹拌し、次いで、0℃に冷却した。反応混合物に、テトラヒドロフラン中1.0Mのボラン(4.2mL)を5分にわたって滴加した。2時間後に、MeOHを滴加して、反応をクエンチした。反応混合物を室温で30分間撹拌し、次いで、乾燥するまで濃縮した。粗製残渣をMeOHに懸濁させ、乾燥するまで濃縮し、SiO(40g)で、溶離剤として5〜10%MeOH/DCMを使用して精製すると、表題化合物(0.32g)が透明なオイルとして得られた:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 3.69−3.65 (m, 5H), 2.65 (m, 1H), 1.85−1.59 (m, 8H), 1.32−1.12 (m, 5H), 0.87 (m, 2H)。
【0158】
b.(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル
先行するステップの生成物(0.32g、1.49ミリモル)、N,N−ジイソプロピルエチルアミン(0.65mL、3.7ミリモル)、ジメチルスルホキシド(0.26mL、3.7ミリモル)およびジクロロメタン(20mL、0.3モル)の混合物を0℃に冷却し、窒素でフラッシュした。三酸化硫黄−ピリジン複合体(0.59g、3.7ミリモル)を窒素流下で加え、反応混合物を1.5時間撹拌した。反応混合物に0.1NのHClを加えた。有機層を0.1NのHCl(2×)およびブライン(2×)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮すると、表題化合物(0.305g)が透明なオイルとして得られ、これをさらに精製することなく使用した。H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 9.75 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.02−2.96 (m, 1H), 2.84 (dd, J=18.0, 9.0 Hz,1H), 2.55 (dd, J=18, 4.7 Hz, 1H), 1.79−1.12 (m, 11H), 0.93−0.84 (m, 2H)。
【0159】
調製16:アルデヒド試薬
調製14の方法に従い、適切なメチルエステルを(S)−2−シクロヘキシルメチルコハク酸1−メチルエステルの代わりに使用して、次のアルデヒドを調製した:
(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 9.76 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 3.01−2.96 (m, 1H), 2.84 (dd, J=18.0, 9.0 Hz,1H), 2.55 (dd, J=18, 4.7 Hz, 1H), 1.79−1.14 (m, 11H), 0.92−0.96 (m, 2H)。
【0160】
(S)−2−シクロヘキシル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ(ppm): 9.78 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.91 (dd, J=18, 10 Hz, 1H), 2.80−2.75 (m, 1H), 2.56 (dd, J=18, 3.5 Hz, 1H), 1.84−0.98 (m, 11H)。
【0161】
(S)−2−ペンチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ(ppm): 9.76 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 2.92−2.84 (m,2H), 2.80−2.75 (m, 1H), 2.58−2.54 (m,1H), 1.67−1.63 (m, 1H), 1.57−1.48 (m, 2H), 1.28 (bs, 6H), 0.89−0.86 (m, 3H)。
【0162】
(S)−2−フェニルプロピル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR(CDCl、400mHz):9.75(s,1H)にピークを有するアルデヒドの存在が確認された。
【0163】
(S)−2−イソブチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ(ppm): 9.76 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 3.1−2.94 (m, 1H), 2.88−2.81 (m, 1H), 2.62−2.52 (m,1H), 1.66−1.26 (m, 3H), 0.97−0.88 (m, 6H)。
【0164】
(R)−2−イソブチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ(ppm): 9.76 (s, 1H), 3.70 (s, 3H), 2.96−2.93 (m, 1H), 2.84 (dd, J=18, 9.0 Hz, 1H), 2.55 (dd, J=18, 4.5 Hz, 1H), 1.64−1.25 (m, 3H), 0.94−0.86 (m, 6H)。
【0165】
(S)−2−イソプロピル−4−オキソ−酪酸メチルエステル。H NMR(CDCl、400mHz):9.79(s,1H)にピークを有するアルデヒドの存在が確認された。
【0166】
(S)−4,4−ジメチル−2−(2−オキソ−エチル)−ペンタン酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 9.73 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.80 (dd, J=17.8, 8.0 Hz, 1H), 2.57 (dd, J=18, 5.8 Hz, 1H), 1.79 (dd, J=14, 8.41 Hz, 1H), 1.50−1.40 (m, 1H), 1.25 (dd, J=14, 3.7 Hz, 1H), 0.91 (s, 9H)。
【0167】
(R)−4,4−ジメチル−2−(2−オキソ−エチル)−ペンタン酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 9.73 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.80 (dd, J=17.8, 8.0 Hz, 1H), 2.57 (dd, J=17.8, 5.67 Hz, 1H), 1.79 (dd, J=14.1, 8.41 Hz, 1H), 1.50−1.41 (m, 1H), 1.25 (dd, J=14.1, 3.7 Hz, 1H), 0.91 (s, 9H)。
【0168】
(S)−ベンジル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR(CDCl、400mHz)δ(ppm):9.70(s,1H)にピークを有するアルデヒドの存在が確認された。
【0169】
(R)−2−ブチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル:H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 9.76 (s, 1H), 3.69 (s, 3H), 2.91−2.87 (m, 1H), 2.57−2.54 (m, 1H), 1.70−1.25 (m, 6H), 0.92−0.87 (m, 3H)
調製17:ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホネート
a.(S)−2−シクロヘキシルメチル−4,4−ジメトキシ−酪酸メチルエステル
ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホネート(400.0g、1.26モル)およびメタノール(2L)のスラリーに、1,4−ジオキサン中4.0MのHCl(400mL)を加え、反応混合物を15分間撹拌した。トリメトキシメタン(340mL、3.11モル)を加え、反応混合物を50℃で一晩加熱し、次いで、室温に冷却した。白色の固体を濾別し、廃棄した。回転蒸発により、大部分の溶媒を濾液から除去した。酢酸エチル(800mL)を加えると、さらなる沈殿が生じた。白色の沈澱物を濾過により除去した。回転蒸発により、、次いで、高真空下に室温で一晩、溶媒を濾液から除去すると、表題化合物(211g)が濃いオイルとして得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ (ppm) 4.25 (t, 1H), 3.57 (s, 3H), 3.18 (s, 6H), 2.43 (m, 1H), 1.55−1.81 (m, 2H), 1.50−1.72 (m, 5H), 1.20−1.48 (m, 2H), 1.05−1.21 (m, 4H), 0.71−0.92 (m, 2H).
b.カリウム(S)−2−シクロヘキシルメチル−4,4−ジメトキシ−酪酸塩
水酸化カリウム(289.6g、2322ミリモル)を先行するステップの生成物(200.0g、0.77モル)のメタノール(700mL)溶液に1ポーションで加え、反応混合物をRTで20時間撹拌した。反応混合物がpH約8を有するまで(緑色がかった色からオレンジ色への色変化)、塩化水素(130mL、1.5モル)を徐々に加えると、微細な固体の沈殿が生じた。固体を濾過により除去した。溶媒を濾液から除去した。アセトニトリル(1L)を粗製生成物に加え、生じたスラリーを室温で一晩撹拌した。濃いスラリーを濾過し、フィルターケーキをアセトニトリル(50mL)で洗浄し、乾燥させると、表題化合物の第1の収量(133g)がオフホワイト色の固体として得られた。溶媒を濾液から除去し、次いでこれを、真空下で乾燥させると、ペースト状の固体約100gが得られた。MTBE(500mL)を加え、固体をRTで一晩撹拌すると、濃いスラリーが生じ、これを濾過し、高真空下で乾燥させると、表題化合物(82g)の第2の収量が得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ (ppm) 4.28 (dd, 1H), 3.12 (s, 3H), 3.15 (s, 3H), 1.95 (m, 1H), 1.75 (m, 1H), 1.51−1.65 (m, 6H), 1.22−1.39 (m, 2H), 1.05−1.20 (m, 4H), 0.85−0.93 (m, 1H), 0.65−0.81 (m, 2H).
c:(S)−2−シクロヘキシルメチル−4,4−ジメトキシ−酪酸ベンジルエステル
臭化ベンジル(50.54mL、424.9ミリモル)を先行するステップの生成物(150.0g、531.1ミリモル)のアセトニトリル(2.0L)中のスラリーに1ポーションで加え、不均一な反応混合物を室温で一晩撹拌した。追加の臭化ベンジル(5.05mL、42.49ミリモル)を加え、反応混合物を室温で18時間撹拌した。固体を濾過により除去した。回転蒸発により、次いで、高真空下で一晩、濾液を乾燥させると、表題化合物(162g)が得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 7.22−7.40 (m, 5H), 5.0−5.15 (q, 2H), 4.23 (t, 1H), 3.15 (s, 3H), 3.17 (s, 3H), 2.52 (m, 1H), 1.78 (m, 1H), 1.69 (m, 1H), 1.45−1.61 (m, 6H), 1.20−1.43 (m, 2H), 1.0−1.15 (m, 4H), 0.70−0.83 (m, 2H).
d.ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホネート
先行するステップの生成物(160.0g、478.4ミリモル)およびアセトニトリル(1.0L)の混合物に、水中1.0MのHCl(1.2L)を加え、反応混合物を35〜40℃で2時間加熱した。酢酸エチル(1.2L)を加え、相を分離し、有機層をブライン(1L)で洗浄した。重亜硫酸ナトリウム(74.7g、718ミリモル)を湿潤な有機層に加え、反応混合物をRTで一晩撹拌した。回転蒸発により、大部分の溶媒を除去し、アセトニトリル(1L)を加え、生じたスラリーをRTで一晩撹拌した。生じた濃厚な白色のスラリーを濾過し、フィルターケーキをアセトニトリル(2×100mL)で洗浄し、真空下で乾燥させると、表題化合物(200g、純度>98%)が白色の固体として得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ 7.23−7.41 (m, 5H), 5.30 (d, 1H), 4.98−5.18 (q, 2H), 3.75−3.88 (m, 1H), 3.60−3.79 (m, 1H), 2.05 (m, 0.5H), 1.45−1.82 (m, 2.5H), 1.45−1.60 (m, 5H), 1.20−1.42 (m, 2H),1.0−1.17 (m, 4H), 0.69−0.82 (m, 2H).
(実施例1)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
a.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル
ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホネート(25.8g、81.5ミリモル)および2−メチル−テトラヒドロ−フラン(300mL)のスラリーに、水中1.0MのNaOH(76.1mL)を加え、反応混合物をRTで20分間撹拌した。反応混合物に、(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(17.0g、54.3ミリモル)を加え;反応混合物をRTで40分間撹拌し、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(46.1g、217ミリモル)を4ポーションで加えた。初めの2つのポーションの後に、反応混合物をRTで一晩撹拌した。水(200mL)およびMeTHF(100mL)を加え;相を分離し、有機層を1MのNaOH(2×200mL)、希釈ブライン(200mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、溶媒を除去すると、粗製表題中間体(22g)がガラス状の黄色の固体として得られた。
【0170】
粗製生成物を逆相クロマトグラフィーにより、Microsorb 100−10BDS 4インチカラムを使用して精製した。粗製生成物を1:1のアセトニトリル:1MのHCl水溶液(150mL)溶媒混合物に溶かし、水(0.1%HCl)/アセトニトリル移動相(10〜40%の勾配)で溶離した。純粋なフラクション(>98%)を合わせ、回転蒸発により、大部分のアセトニトリルを除去し、固体のNaCOで、pHをpH約12に調節し、精製された生成物をMeTHF(3×1L)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、溶媒を除去すると、表題化合物(16.5g)が得られた。
【0171】
b.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル(12.0g、25.4ミリモル)のメタノール溶液に、5.0MのNaOH(25mL)を加え、反応混合物を30℃で8時間、次いで、25℃で一晩加熱した。25℃での回転蒸発により、大部分のメタノール溶媒を除去し、水(100mL)および酢酸イソプロピル(100mL)を加え、生じた混合物を15分間撹拌した。層の下方2/3を酢酸イソプロピル(100mL)で抽出した。下層を−5℃に冷却し、MeTHF(200mL)を加え、次いで、pH約2まで濃HCl(約15mL)を少量ずつ加えた。相を分離し、水層をMeTHF(100mL)で洗浄し、合わせた有機層をNaSOで乾燥させた。回転蒸発により、大部分の有機溶媒を除去し、酢酸エチル(200mL)を加え、体積を50mLに減らした。酢酸エチル(200mL)を加え、生じたスラリーをRTで3時間撹拌/摩砕した。生成物を窒素下で濾過し、真空下で48時間乾燥させると、表題化合物の塩酸塩(11g、純度98.2%)が白色の固体として得られた。H NMR (DMSO−d): δ(ppm) 0.54 (t, 3H), 0.63 (t, 3H), 0.82 (m, 2H), 1.05−1.3 (m, 6H), 1.45 (m, 1H), 1.55−2.0 (m, 10H), 2.40 (m, 1H), 2.67 (dd, 1H), 3.06 (m, 1H), 3.22 (m, 1H), 3.30 (dd, 1H), 3.41 (s, 3H), 3.45 (dd, 1H), 4.05 (m, 1H), 7.19 (d, 1H), 7.50 (br, 1H), 7.69 (d, 1h), 7.70 (s, 1H), 7.95 (br, 2H), 9.26 (br, 1H)。
【0172】
(実施例2)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(822mg、3.38ミリモル)、(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(1.01g、3.23ミリモル)およびトリエチルアミン(326mg、3.23ミリモル)をジクロロメタン(15mL)およびメタノール(10mL)に溶かした。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.03g、4.85ミリモル)を加えた。3時間にわたって、追加のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(900mg、4.2モル)および(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(550mg、2.6ミリモル)を2ポーションで加え、反応混合物を最後の添加の後に1時間撹拌した。飽和重炭酸ナトリウム(60mL)を加え、反応混合物をジクロロメタン(4×50mL)で抽出した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。生じたオイルをメタノール(50mL)に溶かし、濃縮した。粗製生成物を分取HPLCにより精製した。純粋な生成物を含有するフラクションを貯留し、アセトニトリルを減圧で除去した。炭酸ナトリウム(1.3g、12.3ミリモル)を加え、生成物をジクロロメタン(3×200mL)に抽出した。追加のポーションの硫酸ナトリウム(15g、140ミリモル)を水性層に加え、これをジクロロメタン(3×200mL)で抽出した。有機抽出物を合わせ、NaSOで乾燥させ、濃縮すると、表題化合物が遊離塩基(1.16g、収率76%)として得られた。
(m/z): [M+H]2844の計算値, 473.67; 実測値, 473.4. H NMR (CDCl, 400 mHz) δ (ppm): 7.66 (d, J= 1.8 Hz, 1H), 7.50 (dd, J= 8.0 Hz, 1.9 Hz, 1H) , 7.13 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.58 (m, 1H), 3.47 (s, 3H), 3.31 (dd, J=16.7, 6.1 Hz, 1H), 2.97 (m, 1H), 2.74−2.64 (m, 3H), 2.57 (m, 1H), 1.90−1.53 (m, 14H), 1.33−1.11 (m, 6H), 0.89−0.83 (m, 3H), 0.69 (t, J= 7.6 Hz, 3H), 0.59 (t, J= 7.3 Hz, 3H)。
【0173】
(実施例3)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
実施例2の生成物(685mg、1.43ミリモル)、10NのNaOH(0.87mL、8.7ミリモル)、メタノール(4.5mL)および水(0.45mL)の混合物を55℃で2時間加熱した。混合物を室温に冷却し、50%酢酸水溶液で希釈し、分取HPLCにより精製した。清浄なフラクションを他のランからのもの(0.79ミリモル規模)と合わせ、凍結乾燥させると、表題化合物(1.02g、収率80%)がTFA塩として得られた。(m/z): [M+H]2742の計算値, 459.32; 実測値, 459.8. H NMR (d−DMSO, 400 mHz) δ (ppm): 8.92 (br s, 1H), 7.97 (s, 1H), 7.70 (m, 3H), 7.35 (s, 1H), 7.22 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.48 (dd, J=16.4, 5.7 Hz, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.36 (m, 1H), 3.27 (m, 1H), 3.10 (m, 1H), 2.70 (dd, J=16.8, 10.2 Hz, 1H), 2.43 (m, 1H), 2.15 (m, 1H), 1.90 (m, 2H), 1.69−1.59 (m, 8H), 1.49 (m, 1H), 1.28−1.09 (m, 5H) 0.86, (m, 2H), 0.66 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.58 (t, J=7.0 Hz, 3H)。
【0174】
(実施例4)
(S)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル
実施例2の手順に従い、(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩を使用すると、表題化合物が得られた。(m/z): [M+H]2844の計算値 473.34; 実測値 473.4。
【0175】
(実施例5)
(R)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル
(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(0.16g、0.51ミリモル)をジクロロメタン(4.4mL)およびメタノール(2mL)に室温で溶かした。(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(0.22g、1.0ミリモル)を、続いて、トリエチルアミン(0.071mL、0.51ミリモル)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.16g、0.77ミリモル)を加えた。2時間の経過にわたって、追加のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.16g)を加えた。飽和重炭酸ナトリウムを加え、反応混合物をDCMで抽出した。有機抽出物をブライン(2×)で洗浄し、硫酸ナトリウム上で乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮した。粗製生成物を1:1のAcOH/HOに溶かし、分取HPLCにより精製すると、表題化合物がTFA塩(161mg、収率53.6%)として得られた。(m/z): [M+H]2844の計算値, 473.33; 実測値, 473.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 8.92 (bs, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.70 (s, 2H), 7.68 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.20 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.02−3.96 (m,1H), 3.61 (s, 1H), 3.46 (dd, J=16.8, 5.87 Hz, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.35−3.31 (m, 1H), 3.20−3.08 (m, 2H), 2.68 (dd, J=16.4, 9.78 Hz, 1H), 2.51−2.58 (m, 1H), 2.16−2.11 (m, 1H), 1.96−1.86 (m, 2H), 1.77−1.59 (m, 9H), 1.50−1.44 (m, 1H), 1.16−1.10 (s, 4H), 0.88−0.83 (m, 2H), 0.64 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.56 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0176】
(実施例6)
(R)−4−((2S,3SR)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル
実施例5の手順に従い、(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩を使用して、表題化合物を調製した。(m/z): [M+H]2844の計算値, 473.33; 実測値, 473.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 8.90 (bs, 1H), 7.96 (s, 1H), 7.74 (bs, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.20 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.04−4.97 (m, 1H), 3.60 (s, 1H), 3.47 (dd, J=16.8, 5.67 Hz, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.33−3.22 (m, 2H), 3.03 (m, 1H), 2.69−2.57 (m, 2H), 2.17−2.11 (m, 1H), 1.99−1.96 (m, 1H), 1.86−1.59 (m, 9H), 1.50−1.43 (m, 1H), 1.32−1.25 (m, 1H), 1.17−1.06 (s, 4H), 0.89−0.80 (m, 2H), 0.64 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.56 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0177】
(実施例7)
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4−メチル−ペンタン酸メチルエステル(7−A)および(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4−メチル−ペンタン酸(7−B)
(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(0.19g;0.62ミリモル)を(3mL)およびメタノール(1.85mL)に室温で溶かした。(S)−2−イソブチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(0.212g、1.23ミリモル)を、続いて、トリエチルアミン(0.086mL、0.62ミリモル)、次いで、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.20g、0.92ミリモル)を加えた。3時間かけて、追加の(S)−2−イソブチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(0.070g)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.15g)を加えた。飽和重炭酸ナトリウムを加え、反応混合物をDCMで抽出した。有機抽出物を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮した。粗製残渣をメタノール(3mL)および5NのNaOH(0.15mL)に溶かした。反応混合物を50℃で17時間加熱し、室温に冷却し、1:1のAcOH/HO(3mL)で希釈し、分取HPLCにより精製すると、表題化合物のTFA塩が得られた。
【0178】
7−A:(35.3mg、2ステップで収率10.2%)。(m/z): [M+H]2540の計算値, 433.30; 実測値, 433.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 8.94 (bs, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.69 (s, 2H), 7.68 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.16 (d, J=8.6 Hz, 1H), 4.01 (m,1H), 3.61 (s, 3H), 3.46 (dd, J=16.6, 5.67 Hz, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.35−3.30 (m, 1H), 3.12−3.09 (m, 2H), 2.67 (dd, J=16.4, 9.78 Hz, 1H), 2.5 (m, 1H), 2.16−2.10 (m, 1H), 1.92−1.87 (m, 2H), 1.78−1.59 (m, 3H), 1.52−1.45 (m, 2H), 1.29−1.22 (m, 1H), 0.85 (t, J=6.7, 6H), 0.63 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.56 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0179】
7−B: (30 mg, 2段階で8.8%). (m/z): [M+H]2438の計算値, 419.28; 実測値, 419.6. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 12.42 (bs, 1H), 8.89 (bs, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.70 (s, 2H), 7.68 (s, 1H), 7.33 (s, 1H), 7.19 (d, J=8.6 Hz, 1H), 4.0 (m,1H), 3.49−3.47 (m, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.36−3.30 (m, 1H), 3.24 (bs, 1H), 3.1 (bs, 1H), 2.65 (dd, J=16.4, 9.78 Hz, 1H), 2.42−2.41 (m, 1H), 2.16−2.10 (m, 1H), 1.94−1.81 (m, 2H), 1.80−1.42 (m, 6H), 1.27−1.21 (m, 1H), 0.93−0.80 (m, 8H), 0.64 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.56 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0180】
(実施例8)
実施例7の手順に従い、適切なメチルエステルを(S)−2−イソブチル−4−オキソ−酪酸メチルエステルの代わりに使用して、下記の化合物のTFA塩を調製した:
8−A:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4−メチル−ペンタン酸メチルエステル:(m/z): [M+H]2540の計算値, 433.30; 実測値, 433.6. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 8.84 (bs, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.68 (s, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.18 (d, J=8.6 Hz, 1H), 3.98 (m, 1H), 3.59 (s, 3H), 3.46 (dd, J=16.6, 5.28 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.32−3.23 (m, 2H), 3.02 (bs, 1H), 2.63 (dd, J=16.2, 9.4 Hz, 1H), 2.55 (m, 1H), 2.16−2.10 (m, 1H), 1.97−1.95 (m, 1H), 1.83−1.59 (m, 3H), 1.49−1.43 (m, 2H), 1.26−1.23 (m, 1H), 0.84 (t, J=6.1 Hz, 6H), 0.63 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.54 (t, J=7.4 Hz, 3H).
8−B:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4−メチル−ペンタン酸:(m/z): [M+H]2438の計算値, 419.28; 実測値, 419.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 12.41 (bs, 1H), 8.88 (bs, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.68 (s, 2H), 7.66 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.18 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.01−3.94 (m,1H), 3.46 (dd, J=16.6, 16.6 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.32−3.26 (m, 1H), 3.04 (bs, 1H), 2.65 (dd, J=16.6, 9.79 Hz, 1H), 2.42−2.37 (m, 1H), 2.15−2.02 (m, 1H), 1.95−1.92 (m, 1H), 1.81−1.42 (m, 6H), 1.24−1.17 (m, 1H), 0.85 (t, J=6.2 Hz, 6H), 0.63 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.54 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0181】
8−C:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−3−メチル−酪酸メチルエステル:(m/z): [M+H]2438の計算値 419.28; 実測値 419.4。
【0182】
8−D:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−3−メチル−酪酸:(m/z): [M+H]2336の計算値, 405.27; 実測値, 405.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 112.39 (bs, 1H), 8.92 (bs, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.68 (s, 2H), 7.67 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.19 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.01−3.96 (m,1H), 3.46 (dd, J=16.6, 5.68 Hz, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.34−3.31 (m, 1H), 3.25 (bs, 1H), 3.04 (bs, 1H), 2.64 (dd, J=16.4, 9.59 Hz, 1H), 2.23−2.09 (m, 2H), 1.98−1.59 (m, 6H), 0.89−0.86 (m, 4H), 0.63 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.55 (t, J=7.4 Hz, 3H).
8−E:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4,4−ジメチル−ペンタン酸メチルエステル:(m/z): [M+H]2642の計算値 447.31; 実測値 447.6。
【0183】
8−F:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4,4−ジメチル−ペンタン酸:(m/z): [M+H]2540の計算値, 433.30; 実測値, 433.2. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 8.90 (bs, 1H), 7.94 (s, 1H), 7.69 (s, 2H), 7.67 (s, 1H), 7.32 (s, 1H), 7.19 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.01−3.94 (m,1H), 3.46 (dd, J=17.0, 5.87 Hz, 1H), 3.39 (s, 3H), 3.33−3.27 (m, 1H), 3.25 (bs, 1H), 3.03 (bs, 1H), 2.64 (dd, J=16.4, 9.78 Hz, 1H), 2.31−2.35 (m, H), 2.16−2.10 (m, 1H), 1.97−1.94 (m, 1H), 1.80−1.57 (m, 5H), 1.18 (dd, J=13.8, 2.93 Hz, 1H), 0.85 (m, 9H), 0.65 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.54 (t, J=7.4 Hz, 3H).
(実施例9)
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−ヘプタン酸
(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(0.20g;0.64ミリモル)をジクロロメタン(3mL)およびメタノール(1.92mL)に室温で溶かした。(S)−2−ペンチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(0.24g、1.3ミリモル)を、続いて、トリエチルアミン(0.089mL、0.64ミリモル)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.20g、0.96ミリモル)を加えた。90分かけて、追加のトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(0.070g、0.33ミリモル)を加えた。飽和重炭酸ナトリウムを加え、反応混合物をDCMで抽出した。有機層を硫酸ナトリウムで乾燥させ、濾過し、乾燥するまで濃縮した(0.40g)。粗製残渣をMeOH(3mL)に溶かし、5NのNaOH(0.40mL)を加えた。反応混合物を50℃で5時間加熱し、次いで、一晩撹拌しながら、室温で冷却した。粗製反応混合物を1:1のAcOH/HO(3mL)で希釈し、分取HPLCにより精製すると、表題化合物がTFA塩(32mg、2ステップで8.8%)として得られた。(m/z): [M+H]2540の計算値, 433.30; 実測値, 433.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 7.91 (s, 1H), 7.66 (s, 2H), 7.64 (s, 1H), 7.29 (s, 1H), 7.16 (d, J=8.6 Hz, 1H), 3.97−3.91 (m,1H), 3.43 (dd, J=16.4, 5.48 Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.31−3.17 (m, 2H), 3.02 (m, 1H), 2.63 (dd, J=16.4, 9.78 Hz, 1H), 2.34−2.26 (m, 1H), 2.12−2.00 (m, 1H), 1.88−1.82 (m, 2H), 1.74−1.51 (m, 3H), 1.49−1.36 (m, 2H), 1.20 (s, 6H), 0.80 (t, J=6.7, 4H), 0.60 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.52 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0184】
(実施例10)
実施例9の手順に従い、適切なメチルエステルを(S)−2−ペンチル−4−オキソ−酪酸メチルエステルの代わりに使用して、下記の化合物のTFA塩を調製した:
10−A:(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−5−フェニル−ペンタン酸:(m/z): [M+H]2940の計算値, 481.30; 実測値, 481.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 12.39 (bs, 1H), 8.87 (bs, 1H), 7.92 (s, 1H), 7.65 (m, 3H), 7.29 (s, 1H), 7.22−7.05 (m, 7H), 3.98−3.91 (m,1H), 3.43 (dd, J=16.6, 5.67 Hz, 1H), 3.35 (s, 3H), 3.31−3.17 (m, 2H), 3.04 (bs, 1H), 2.63 (dd, J=16.6, 9.59 Hz, 1H), 2.52 (t, J=6.6 Hz, 2H), 2.34 (m, 1H), 2.12−2.06 (m, 1H), 1.88−1.82 (m, 2H), 1.74−1.41 (m, 7H), 1.49−1.36 (m, 2H), 1.20 (s, 6H), 0.80 (t, J=6.7, 3H), 0.60 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.514 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0185】
10−B:(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4,4−ジメチル−ペンタン酸:(m/z): [M+H]2540の計算値, 433.30; 実測値, 433.6. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 12.39 (bs, 1H), 8.87 (bs, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.66 (s, 2H), 7.64 (s, 1H), 7.31 (s, 1H), 7.18 (d, J=8.2 Hz, 1H), 3.96 (m,1H), 3.43 (dd, J=16.8, 5.87 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.29 (bs, 1H), 3.18−3.10 (m, 1H), 2.66 (dd, J=16.4, 9.97 Hz, 1H), 2.32 (m, 1H), 2.14−2.08 (m, 1H), 1.87 (m, 2H), 1.76−1.58 (m, 4H), 1.18 (m, 1H), 0.84 (s, 9H), 0.62 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.54 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0186】
10−C:(S)−2−ベンジル−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸:(m/z): [M+H]2736の計算値, 453.27; 実測値, 453.1. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 8.86 (bs, 1H), 7.93 (s, 1H), 7.68 (s, 1H), 7.67 (s, 2H), 7.31−7.16 (m, 5H), 7.17 (d, J=8.2 Hz, 1H), 4.0−3.93 (m,1H), 3.46 (dd, J=16.8, 5.87 Hz, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.35−3.26 (m, 2H), 3.04 (bs, 1H), 2.91−2.86 (m, 1H), 2.76−2.61 (m, 2H), 2.17−2.07 (m, 1H), 1.89−1.83 (m, 2H), 1.72−1.55 (m, 3H), 0.61 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.51 (t, J=7.4 Hz, 3H).
10−D:(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−ヘキサン酸:(m/z): [M+H]2736の計算値, 419.28; 実測値, 419.3. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 7.97 (s, 1H), 7.72 (s, 2H), 7.70 (s, 1H), 7.34 (s, 1H), 7.22 (d, J=8.1 Hz, 1H), 4.04−3.98 (m,1H), 3.48 (dd, J=16.8, 5.68 Hz, 1H), 3.42 (s, 3H), 3.37−3.25 (m, 2H), 3.09−3.05 (m, 1H), 2.68 (dd, J=16.6, 9.78 Hz, 1H), 2.44−2.40 (m, 1H), 2.29−2.13 (m, 1H), 2.01−1.98 (m, 1H), 1.86−1.62 (m, 4H), 1.55−1.46 (m, 2H), 1.34−1.22 (m, 6H), 0.87 (t, J=6.8, 4H), 0.66 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.58 (t, J=7.4 Hz, 3H)。
【0187】
10−E:(S)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸:(m/z): [M+H]2742の計算値, 459.31; 実測値, 459.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 12.42 (bs, 1H), 8.84 (bs, 1H), 7.95 (s, 1H), 7.69−7.65 (m, 3H), 7.33 (s, 1H), 7.20 (d, J=8.6 Hz, 1H), 4.04−3.96 (m,1H), 3.47 (dd, J=16.8, 5.86 Hz, 1H), 3.40 (s, 3H), 3.35−3.22 (m, 2H), 3.06 (bs, 1H), 2.66 (dd, J=16.4, 9.39 Hz, 1H), 2.32 (m, 1H), 2.17−2.12 (m, 1H), 1.96−1.90 (m, 1H), 1.81−1.60 (m, 9H), 1.50−1.44 (m, 1H), 1.29−1.07 (m, 5H), 0.91−0.81 (m, 2H), 0.64 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.55 (t, J=7.4 Hz, 3H).
10−F:(R)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸:m/z): [M+H]2742の計算値 459.31; 実測値 459.8。
【0188】
10−G:(R)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸:(m/z): [M+H]2742の計算値, 459.31; 実測値, 459.4. H NMR (DMSO−d, 400 mHz) δ (ppm): 12.4 (bs, 1H), 8.82 (bs, 1H), 7.91 (s, 1H), 7.66−7.61 (m, 3H), 7.29 (s, 1H), 7.16 (d, J=8.4 Hz, 1H), 4.06−3.93 (m,1H), 3.43 (dd, J=17.2, 6.06 Hz, 1H), 3.36 (s, 3H), 3.31−3.25 (m, 2H), 3.0 (bs, 1H), 2.65−2.58 (m, 1H), 2.13−2.07 (m, 1H), 1.89 (m, 1H), 1.71−1.57 (m, 9H), 1.45−1.41 (m, 1H), 1.28−1.03 (m, 5H), 0.86−0.78 (m, 2H), 0.61 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.52 (t, J=7.4 Hz, 3H).
(実施例11)
トランス−(S)−4−(7−カルバモイル−3−メトキシ−1,1−ジエチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシル−酪酸
実施例9の手順に従い、(S)−2−シクロヘキシル−4−オキソ−酪酸メチルエステルおよびラセミ化合物のトランス−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩を使用して、表題化合物のTFA塩を調製した。(m/z): [M+H]2640の計算値 445.30; 実測値 445.4。
【0189】
(実施例12)
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸
a.(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸メチルエステル
ナトリウム(S)−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−3−メトキシカルボニル−ブタン−1−スルホネート(158mg、0.5ミリモル)の2−MeTHF(2mL)中のスラリーに、2NのNaOH(0.22mL、0.44ミリモル)を加えた。反応混合物を20分間撹拌すると、この時点で、全ての固体が溶けていた。(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール塩酸塩(100mg、0.35ミリモル)を加え、混合物をRTで30分間撹拌した。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(425mg、2.0ミリモル)を4ポーションで3時間にわたって加えた。最後の添加の後30分目に、EtOAc(15mL)を加え、混合物を5%炭酸ナトリウム水溶液(2×5mL)および飽和塩化ナトリウム(5mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮すると、表題化合物(159mg)が得られた。(m/z): [M+H]2743NOの計算値 446.33; 実測値 446.6。
【0190】
b.(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸
先行するステップの生成物(159mg、0.36ミリモル)、メタノール(1.5mL)、水(0.20mL)および10NのNaOH(0.21mL、2.1ミリモル)の溶液を50℃で加熱した。4時間後に、反応混合物を室温に冷却し、50%酢酸水溶液で希釈し、分取HPLCにより精製すると、表題化合物がTFA塩(110mg、2ステップで収率58%)として得られた。(m/z): [M+H]2641NOの計算値, 432.31; 実測値, 432.8. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm): 6.97 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.65 (dd, J=8.4, 2.5 Hz,1H), 6.62 (d, J=2.4 Hz, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.47−3.37 (m, 3H), 3.22 (m, 1H), 2.58 (dd J=15.9, 10.2 Hz, 2H), 2.10 (m, 1H), 1.97 (m, 2H), 1.82−1.60 (m, 10H), 1.37−1.18 (m, 6H), 0.92 (m, 2H), 0.80 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.71 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0191】
(実施例13)
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2R,3R)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸
実施例12の手順に従い、(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール塩酸塩をステップ(a)で使用して、表題化合物を調製した。(m/z): [M+H]2641NOの計算値, 432.31; 実測値, 432.8. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm): 6.97 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.65 (dd, J=8.3, 2.5 Hz,1H), 6.62 (d, J=2.6 Hz, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.47−3.37 (m, 3H), 3.20 (m, 1H), 2.58 (dd J=16.0, 10.0 Hz, 2H), 2.13−1.95 (m, 2H), 1.95−1.60 (m, 10H), 1.38−1.19 (m, 6H), 0.92 (m, 2H), 0.80 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.71 (t, J=7.3 Hz, 3H)。
【0192】
(実施例14)
(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸
a.(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸メチルエステル
(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール塩酸塩(100mg、0.35ミリモル)、(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(90mg、0.42ミリモル)およびトリエチルアミン(35mg、.035ミリモル)をジクロロメタン(2.0mL)に溶かし、室温で30分間撹拌した。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(1.03g、4.85ミリモル)を加え、反応をHPLCにより監視した。3時間後に、追加の(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−オキソ−酪酸メチルエステル(20mg、0.1ミリモル)およびトリアセトキシホウ水素化ナトリウム(30mg、0.14ミリモル)を加えた。最後の追加の後30分目に、EtOAc(15mL)を加え、混合物を5%炭酸ナトリウム水溶液(2×5mL)および飽和塩化ナトリウム(5mL)で洗浄した。有機層をNaSO)で乾燥させ、濃縮すると、表題化合物(190mg)が得られた。(m/z): [M+H]2743NOの計算値 446.33; 実測値 446.6。
【0193】
b.(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸
実施例12、ステップ(b)の手順に従って、表題化合物のTFA塩を単離した。(m/z): [M+H]2641NOの計算値, 432.31; 実測値, 432.8. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm): 6.97 (d, J=8.5 Hz, 1H), 6.65 (dd, J=8.3, 2.3 Hz,1H), 6.62 (d, J=2.3 Hz, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.47−3.37 (m, 3H), 3.22 (m, 1H), 2.58 (dd J=16.0, 10.0 Hz, 2H), 2.15−1.95 (m, 2H), 1.95−1.60 (m, 10H), 1.38−1.18 (m, 6H), 0.92 (m, 2H), 0.80 (t, J=7.6 Hz, 3H), 0.71 (t, J=7.5 Hz, 3H)。
【0194】
(実施例15)
(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2R,3R)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸
実施例14の手順に従い、(6R,7R)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−オール塩酸塩をステップ(a)で使用して、表題化合物を調製した。(m/z): [M+H]2641NOの計算値, 432.31; 実測値, 432.8. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm): 6.97 (d, J=8.2 Hz, 1H), 6.65 (dd, J=8.5, 2.5 Hz,1H), 6.62 (d, J=2.3 Hz, 1H), 4.01 (m, 1H), 3.48 (s, 3H), 3.47−3.37 (m, 3H), 3.22 (m, 1H), 2.58 (dd J=15.7, 10.2 Hz, 2H), 2.10 (m, 1H), 1.98 (m, 2H), 1.79−1.60 (m, 10H), 1.37−1.18 (m, 6H), 0.92 (m, 2H), 0.80 (t, J=7.4 Hz, 3H), 0.71 (t, J=7.2 Hz, 3H)。
【0195】
(実施例16)
実施例9の手順に従い、適切なメチルエステルを(S)−2−ペンチル−4−オキソ−酪酸メチルエステルの代わりに、およびラセミ化合物のトランス−7−アミノ−8,8−ジメチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩を使用して、下記の化合物のTFA塩を調製した:
16−A:トランス−(S)−4−(7−カルバモイル−1,1−ジメチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸:(m/z): [M+H]2535の計算値 431.28; 実測値 431.2。
【0196】
16−B:トランス−(S)−4−(7−カルバモイル−3−メトキシ−1,1−ジメチル−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシル−酪酸:(m/z): [M+H]2436の計算値 417.27; 実測値 417.4。
【0197】
(実施例17)
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
a.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル塩酸塩
ナトリウム(S)−3−ベンジルオキシカルボニル−4−シクロヘキシル−1−ヒドロキシ−ブタン−1−スルホネート(160g、400ミリモル)、調製17の生成物のMeTHF(2.0L)および水(600mL)中の懸濁液に、水中1.0MのNaOH(400mL)を加え、反応混合物を室温で90分間撹拌した。相を分離し、溶液を濃縮して、約300mLの体積にした。
【0198】
生じた濃縮溶液を(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド塩酸塩(100.0g、319.7ミリモル)のDMF(1L)中のスラリーに加えた。生じたスラリーを室温で2時間撹拌し、反応混合物を0℃に冷却し、続いて、トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(169g、799ミリモル)を15分にわたって少量ずつ加えた。反応混合物をRTで一晩撹拌し、10℃に冷却し、水中1.0MのNaOH(3L)および酢酸エチル(5L)を加えた。反応混合物を10分間撹拌し、相を分離し、有機層を希釈ブライン(1:1、2L)で洗浄した。有機層に水中1.0MのHCl(520mL、520ミリモル)を加え、大部分の酢酸エチルを回転蒸発により除去した。水(500mL)およびエタノール(1L)を加え、体積を、回転蒸発により徐々に減らして約1Lにした。生じたオフホワイト色の易流動性スラリーをRTで一晩撹拌した。生成物を濾過により単離し、フラスコおよびフィルターケーキを水(2×200mL)で洗浄し、次いで、乾燥させると、表題化合物(175g)が白色の固体(純度約99%、アミノテトラリン試薬に対して収率90%)として得られた。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ (ppm) 9.33 (br, 1H), 8.09 (br, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.70 (s, 1H), 7.68 (d, 1H), 7.28−7.36 (m, 2H), 7.19 (d, 1H), 5.10 (q, 2H), 4.04 (m, 1H), 3.45 (dd, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.25 (m, 2H), 3.05 (m, 1H), 2.62 (m, 2H), 1.95−2.15 (m, 2H), 1.61−1.82 (m, 3H), 1.50−1.61 (m, 4H), 1.42−1.50 (m, 1H), 1.24−1.32 (m, 1H), 0.98−1.18 (m, 4H), 0.71−0.89 (m, 2H), 0.63 (t, 3H), 0.52 (t, 3H)
b.(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸
先行するステップの生成物(175.0g、299ミリモル)を酢酸エチル(2.5L)、水(1L)および水中1.0MのNaOH(300mL、299ミリモル)に分配した。相を分離し、有機層を希釈ブライン(1:1、250mL)で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。溶媒を回転蒸発により除去し、生じた生成物を高真空下で一晩乾燥させると、遊離塩基の中間体(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸ベンジルエステル(約160g)が粘着性の固体として得られた。
【0199】
遊離塩基の中間体をアセトニトリル(1.6L)および水(300mL)の混合物に溶かした。溶液の半分(1L)に、炭素上10%のパラジウム(10g、9ミリモル)(湿潤)を加えた。反応混合物を窒素で、次いで、水素で2分間パージし、次いで、H10〜15psiにRTで3時間曝露した。反応混合物をセライトで濾過し、フラスコおよびフィルターケーキをアセトニトリル(50mL)で洗浄した。黄色がかった濾液をチオール改質されたシリカ(10g)と共にRTで2時間撹拌し、次いで、セライトで濾過した。大部分の溶媒を回転蒸発により25℃で除去した。アセトニトリル(500mL)を加え、大部分の溶媒を回転蒸発により除去した。追加のアセトニトリル(500mL)を加えると、粘着性の固体の迅速な沈殿が生じた。反応混合物を室温で一晩激しく撹拌すると、易流動性のオフホワイト色のスラリーが生じた。生成物を濾過により単離し、フィルターケーキをアセトニトリル(2×50mL)で洗浄し、次いで、真空下で乾燥させると、表題化合物が結晶質の固体(56g、純度98.8%)として得られた。水含分0.49%(w/w)。H NMR (400 MHz, DMSO−d): δ (ppm) 7.89 (br, 1H), 7.65 (s, 1H), 7.60 (d, 1H), 7.22 (br, 1H), 7.11 (d, 1H), 3.55 (m, 1H), 3.38 (s, 3H), 3.25 (dd, 1H), 2.95 (m, 1H), 2.59 (d, 1H), 2.49 (m, 2H), 1.81 (m, 2H), 1.49−1.63 (m, 5H), 1.41−1.50 (m, 2H), 1.05−1.25 (m, 4H), 0.72−0.90 (m, 2H), 0.45 (t, 3H), 0.57 (t, 3H)。
【0200】
(実施例18)
4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸(A)および4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸(B)
【0201】
【化14】

a.2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロヘキシルメチレン]−コハク酸1−メチルエステル
コハク酸ジメチル(730mg、5.0ミリモル)および4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロヘキサンカルバルデヒド(1.00g、4.1ミリモル)の溶液を25分にわたって、tert−ブタノール中1.0Mのカリウムtert−ブトキシド溶液(4.4mL、4.4ミリモル)に加えた。反応混合物を50℃で50分間加熱し、RTに冷却し、真空下で濃縮した。残渣を水(25mL)に溶かし、EtOAc(2×10mL)で洗浄した。水性層を6NのHCl(2.0mL、12ミリモル)で酸性化し、EtOAc(2×20mL)で抽出し、乾燥させ(NaSO)、濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(25%EtOAc/DCM)により精製すると、表題化合物(560mg)がオレフィン異性体の混合物(約1:1)ならびにシクロヘキシル環でのシスおよびトランス異性体の混合物(約1:1)として得られた。H NMR(CDCl、400mHz)δ(ppm)6.88(d,J=10.2Hz)6.77(d,J=10.0Hz)にオレフィンピーク 3.96ppm(br s)(シス異性体、水素エカトリアル(equitorial)、3.55(m)(トランス異性体、水素アキシアル)にCHOTBSピーク。
【0202】
b.2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロヘキシルメチル]−コハク酸1−メチルエステル
先行するステップの生成物(560mg、1.6ミリモル)のEtOAc(15mL)溶液に、10%Pd/C(50%水、乾燥重量165mg)を加えた。反応を水素50psi下で16時間振盪した。反応をセライトで濾過し、EtOAc(5×5mL)、MeOH(3×5mL)およびDCM(3×5mL)ですすいだ。合わせた濾液を減圧下で乾燥するまで濃縮した。粗製生成物をフラッシュクロマトグラフィー(25%EtOAc/DCM)により精製すると、表題化合物(245mg)が、シクロヘキシル環でのシスおよびトランス異性体の約1:1の混合物として得られた。H NMR(CDCl、400mHz)δ(ppm)3.92ppm(br s)(シス異性体、水素エカトリアル)、3.50(m)(トランス異性体、水素アキシアル)にCHOTBSピーク。
【0203】
c. 2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロヘキシルメチル]−4−ヒドロキシ−酪酸メチルエステル
先行するステップの生成物(245mg、0.683ミリモル)のTHF(2.0mL)溶液を氷中で冷却し、ボランの1.0MのTHF溶液(1.4mL)を5分にわたって加えた。反応を0℃で1.5時間撹拌し、次いで、MeOH(10mL)を滴加することによりクエンチした。混合物を減圧下で濃縮した。追加のMeOH(10mL)を加え、混合物を減圧下で濃縮すると、粗製の表題生成物(228mg)が得られ、これを、次のステップでそのまま使用した。
【0204】
d.2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロヘキシルメチル]−4−オキソ−酪酸メチルエステル
先行するステップの生成物(228mg、0.66ミリモル)をDCM(7.0mL)に溶かした。DMSO(218mg、2.8ミリモル)およびDIPEA(361mg、2.8ミリモル)を加え、混合物を−10℃に冷却した。三酸化硫黄ピリジン複合体(223mg、1.4ミリモル)を固体として加え、反応を−10℃で1.5時間撹拌した。DCM(20mL)を、続いて、0.5NのHCl(10mL)を加えた。層を分離し、水性層をDCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機層を水(3×10mL)および飽和NaCl(10mL)で洗浄し、次いで、乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、表題化合物(220mg)が得られた。H NMR(CDCl、400mHz)により、9.81および9.75ppmにアルデヒドピークが示された。
【0205】
e.2−[4−(tert−ブチル−ジメチル−シラニルオキシ)−シクロヘキシルメチル]−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸メチルエステル
(6S,7S)−7−アミノ−8,8−ジエチル−6−メトキシ−5,6,7,8−テトラヒドロ−ナフタレン−2−カルボン酸アミド(100mg、0.32ミリモル)、先行するステップの生成物(140mg、0.41)、トリエチルアミン(33mg、0.33ミリモル)のDCM(2.0mL)およびMeOH(0.5mL)中の溶液をRTで35分間撹拌した。トリアセトキシホウ水素化ナトリウム(135mg、0.64ミリモル)を加え、反応をHPLCにより監視した。追加のポーションのトリアセトキシホウ水素化ナトリウムを1時間目(50mg)および1.5時間目(100mg)に加え、追加のポーションのアルデヒドを1.75時間目(80mg)に加えた。最後の添加の後15分目に、DCM(20mL)および飽和NaHCO(10mL)を加えた。層を分離し、水性層をDCM(2×10mL)で抽出した。合わせた有機抽出物を乾燥させ(NaSO)、濃縮すると、粗製の表題生成物(283mg)が得られた。
【0206】
f.4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸メチルエステル(f1)および4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸メチルエステル(f2)
先行するステップの粗製生成物のポーション(28mg、0.32ミリモル)を50%AcOH水溶液(0.5mL)に溶かした。16時間後に、生成物を分取HPLCにより分離すると、表題化合物が得られた。
【0207】
f1(第1溶離)(3.3mg)(m/z): [M+H]2844の計算値 489.33; 実測値 489.6. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm) 7.71 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.65 (d, J= 8.0, 1H), 7.20 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 4.02 (m, 1H), 3.63 (s, 3H), 3.51 (dd, J= 16.5, 5.5 Hz, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.44−3.30 (m, 3H), 3.14 (m, 1H), 2.70 (m, 1H), 2.54 (m, 1H), 2.24 (m, 1H), 2.00−1.50 (m, 9H), 1.30 (m, 2H), 1.12 ( m, 3H), 0.91 (m, 2H), 0.71 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 0.62 (t, J= 7.2 Hz)。
【0208】
f2(第2溶離)(7.3mg)(m/z): [M+H]2844の計算値 489.33; 実測値 489.6. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm) 7.71 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.65 (dd, J= 8.0, 1.4 Hz, 1H), 7.20 (d, J= 8.2 Hz, 1H), 4.02 (m, 1H), 3.79 (br s, 1H) 3.62 (s, 3H), 3.51 (dd, J= 16.7, 5.7 Hz, 1H), 3.44 (s, 3H), 3.44−3.30 (m, 2H), 3.15 (m, 1H), 2.68 (m, 1H), 2.57 (m, 1H), 2.24 (m, 1H), 2.05−1.80 (m, 2H), 1.70−1.55 (m, 6H), 1.50−1.10 (m, 8H), 0.71 (t, J= 7.4 Hz, 3H), 0.62 (t, J= 7.3 Hz, 3H)。
【0209】
g.4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸(A)
4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(トランス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸メチルエステル(fl)(27.4mg、0.045ミリモル)のMeOH(0.50mL)溶液に、水(32μL)および10NのNaOH(32μL、0.32ミリモル)を加えた。混合物を50℃で加熱した。15時間後に、反応混合物をRTに冷却し、50%AcOH水溶液(6mL)に溶かし、分取HPLCにより精製すると、表題化合物(13.8mg)が凍結乾燥された粉末として得られた。(m/z): [M+H]2742の計算値 475.32; 実測値 475.2. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm) 7.78 (d, J=1.6 Hz, 1H), 7.72 (dd, J= 8.0 Hz, 1.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J= 8.2 Hz, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.57 (dd, J=16.7, 5.9 Hz, 1H), 3.52 (s, 3H), 3.52−3.42 (m, 3H), 3.23 (m, 1H), 2.78 (m, 1H), 2.58 (m, 1H), 2.31 (m, 1H), 2.05−1.60 (m, 10H), 1.40−1.15 (m, 4H), 1.00 (m. 2 H), 0.79 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 0.70 (dt, J= 7.3, 1.3 Hz, 3H)。
【0210】
h.4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸(B)
4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−(シス−4−ヒドロキシ−シクロヘキシルメチル)−酪酸メチルエステル(f2)(56mg、0.11ミリモル)のMeOH(0.50mL)溶液に水(66μL)および10NのNaOH(66μL、0.66ミリモル)を加えた。混合物を50℃で加熱した。15時間後に、反応混合物をRTに冷却し、50%AcOH水溶液(6mL)に溶かし、分取HPLCにより精製すると、表題化合物(54mg)が凍結乾燥された粉末として得られた。(m/z): [M+H]2742の計算値 475.32; 実測値 475.2. H NMR (CDOD, 400 mHz) δ (ppm) 7.78 (d, J=1.8 Hz, 1H), 7.72 (dd, J= 8.0 Hz, 1.7 Hz, 1H), 7.28 (d, J= 8.0 Hz, 1H), 4.09 (m, 1H), 3.88 (br s, 1H), 3.58 (dd, J= 16.6, 5.6 Hz, 1H), 3.52 (s, 3H), 3.52−3.46 (m, 2H) 3.30−3.20 (m, 1H), 2.77 (m, 1H), 2.59 (m, 1H), 2.31 (m, 1H), 2.05−1.92 (m, 2H), 1.79−1.65 (m, 6H), 1.60−1.35 (m, 8H), 0.79 (t, J= 7.5 Hz, 3H), 0.70 (dt, J= 7.2, 1.6 Hz)。
【0211】
(実施例19)
代謝産物研究
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル酪酸である実施例1の化合物の試料を、凍結保存されたヒト肝細胞と共に、DMSO中、細胞120万個/mLの濃度で37℃で4時間インキュベーションした。生じた溶液のアリコットを1体積の97%アセトニトリル/3%TFAと混合し、−20℃で凍結させた。解凍して、試料を20,800×gおよび4℃で10分間遠心分離した。上澄みを集め、3体積の水で希釈し、質量分析法(LC/MS)と接続したHPLCにより、下記の条件下で分析した。代謝産物を同定するために、希釈後のアリコットを実施例18の化合物Aおよび化合物Bと別々に混合し、LC/MSにより分析した。475.3±0.5a.m.uで生じたイオン抽出クロマトグラムは、シス−4−ヒドロキシ化合物Bを除外することはできないが、実施例1の化合物の主なヒドロキシル代謝産物は、トランス−4−ヒドロキシ化合物Aであるとの解釈と一致する。
【0212】
Luna C18(2)100A 5μmカラムを備えたAgilentモデル1100HPLC;流速:0.25mL/分;溶媒A:95%水、5%アセトニトリル、0.05%TFA;溶媒B:>95%アセトニトリル、5%水、0.05%TFA;勾配(時間(分)/%B):0/7、5/7、60/25、61/100、63.5/100、64/7、70/7。Applied BiosystemsモデルAPI3000三連四重極質量分析計。
(アッセイ1)
ヒトμ、ヒトδ、およびモルモットκオピオイド受容体に関する放射性リガンド結合アッセイ
a.膜調製
ヒトμオピオイドまたはモルモットκ受容体cDNAを安定的にトランスフェクトしたCHO−K1(チャイニーズハムスター卵巣)細胞を、10%FBS、100単位/mlペニシリン−100μg/mLストレプトマイシン、および800μg/mLジェネテシンが補われたHam’s−F12培地からなる培地で、5%COの加湿インキュベータ内で、37℃で成長させた。受容体発現レベル(それぞれ、Bmax約2.0および約0.414ピコモル/mgタンパク質)は、膜放射性リガンド結合アッセイで[H]−ジプレノルフィン(比活性度約50〜55Ci/ミリモル)を使用して決定した。
【0213】
細胞を、80〜95%の密集度(<25継代培養)に成長させた。細胞系継代では、細胞単層を室温で5分間インキュベートし、5mM EDTAが補われたPBS 10mL中に、機械的に撹拌することによって収集した。再懸濁後、細胞を40mLの新鮮な成長培地に移し、1000rpmで5分間遠心分離し、適切な分割比で新鮮な成長培地に再懸濁した。
【0214】
膜調製では、細胞を、5mMのEDTAをPBSに溶かした溶液と共に穏やかに機械的に撹拌することによって収集し、その後、遠心分離を行った(2500gで5分間)。ペレットを、アッセイ緩衝液(50mM 4−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−1−エタンスルホン酸N−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン−N’−(2−エタンスルホン酸)(HEPES))、pH7.4に再懸濁し、氷上のポリトロンディスラプタで均質化した。得られたホモジネートを遠心分離し(1200gで5分間)、ペレットを廃棄し、上澄みを遠心分離した(40,000gで20分間)。ペレットを、アッセイ緩衝液に再懸濁することにより1回洗浄し、その後、追加の遠心分離を行った(40,000gで20分間)。最終的なペレットをアッセイ緩衝液(1つのT−225フラスコ/1mLアッセイ緩衝液に相当)に再懸濁した。タンパク質濃度を、Bio−Rad Bradfordタンパク質アッセイキットを使用して決定し、膜を、−80℃に凍結した一定分量中に、必要となるまで保存した。
【0215】
ヒトδオピオイド受容体(hDOP)膜を、Perkin Elmerから購入した。[H]−ナトリンドール放射性リガンド結合アッセイで飽和分析によって決定された、これら膜に関して報告されたKおよびBmaxは、それぞれ0.14nM(pK=9.85)および2.2ピコモル/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は、Bio−Rad Bradfordタンパク質アッセイキットを使用して決定した。膜を、必要になるまで−80℃に凍結した一定分量中に保存した。
b.放射性リガンド結合アッセイ
放射性リガンド結合アッセイは、0.025%ウシ血清アルブミン(BSA)が補われたアッセイ緩衝液中に適切な量の膜タンパク質(μ、δ、およびκに関してそれぞれ約3、約2、および約20μg)を含有する、全アッセイ体積が200μLである、Axygen 1.1mLディープウェル96ウェルポリプロピレンアッセイプレートで行った。放射性リガンドのK値の決定に関する飽和結合試験は、0.001nM〜5nMに及ぶ8〜12の異なる濃度の[H]−ジプレノルフィンを使用して行った。化合物のpKi値決定用の置換アッセイは、μ、δ、およびκに関してそれぞれ0.5、1.2、および0.7nMである[H]−ジプレノルフィンと、10pM〜100μMに及ぶ化合物の11の濃度を用いて行った。
【0216】
結合データは、一部位競合に関する3−パラメータモデルを使用する、GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)による非線形回帰分析によって分析した。曲線最小値を、10μMナロキソンの存在下で決定される非特異的結合の値に固定した。試験化合物のK値は、Prismで、最も良く適合するIC50値および放射性リガンドのK値から、Cheng−Prusoff方程式(K=IC50/(1+([L]/K))(式中、[L]=[H]−ジプレノルフィンの濃度)を使用して計算した。結果を、10を底にしたK値の対数に負号をつけたもの、pKとして表す。
【0217】
これらのアッセイでより高いpK値を有する試験化合物は、μ、δ、またはκオピオイド受容体に関してより高い結合親和性を有する。実施例1〜16に挙げられている最終化合物を、これらのアッセイで試験した。化合物の全ては、ヒトμオピオイド受容体で約8.7から約10.9の間のpK値を有していた。例えば実施例1、9、10−Gおよび12の化合物は、それぞれ9.4、9.2、9.6、および9.7のpK値を有していた。本発明の化合物は、ヒトδおよびモルモットκオピオイド受容体で約7.5から約10.3の間のpK値も示した。
(アッセイ2)
ヒトμオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞から調製された膜における、μオピオイド受容体のアゴニスト媒介性活性化
このアッセイでは、試験化合物の効力および内因活性の値を、ヒトμオピオイド受容体を発現するCHO−K1細胞から調製された膜での受容体活性化後に存在する結合[35S]GTPγSの量を測定することによって決定した。
a.μオピオイド受容体膜調製:
ヒトμオピオイド受容体(hMOP)膜を、上述のように調製し、またはPerkin Elmerから購入した。[H]−ジプレノルフィン放射性リガンド結合アッセイで飽和分析によって決定された、購入した膜に関して報告されたpKおよびBmaxは、それぞれ10.06および2.4ピコモル/mgタンパク質であった。タンパク質濃度は、Bio−Rad Bradfordタンパク質アッセイキットを使用して決定した。膜を、必要になるまで−80℃に凍結した一定分量中に保存した。
b.ヒトμ[35S]GTPγSヌクレオチド交換アッセイ
膜を上述のように調製し、アッセイの開始前に、一定分量をアッセイ緩衝液(50mM HEPES、pH7.4、25℃)で200μg/mLの濃度に希釈し、次いでPolytronホモジナイザを使用して10秒間均質化した。試験化合物を、DMSOに溶かした10mM原液として受け取り、0.1%BSAを含有するアッセイ緩衝液中に400μMになるよう希釈し、連続(1:5)希釈して、次いで40pM〜80μMに及ぶ化合物の10の濃度を生成した。GDPおよび[35S]GTPγSを、それぞれアッセイ緩衝液中に40μMおよび0.4nMに希釈した。アッセイは、膜タンパク質10μg、10pM〜20μM)に及ぶ試験化合物、10μM GDP、および10mM MgClに希釈した0.1nM [35S]GTPγS、25mM NaCl、および0.0125%BSA(最終アッセイ濃度)を含有する全体積200μLで行った。DAMGO(Try−D−Ala−Gly−(メチル)Phe−Gly−オール)濃度−応答曲線(12.8pM〜1μMに及ぶ)を、各プレートに含めた。
【0218】
アッセイプレートは、NaCl/MgCl/GDP溶液50μL、試験化合物50μL、および[35S]GTPγS 50μLを添加した後、アッセイの直前に調製した。アッセイは、膜タンパク質50μLを添加することによって開始し、室温で30分間インキュベートさせた。反応を、Packard Filtermateハーベスタを使用して、0.3%ポリエチレンイミンで事前に遮断された96ウェルGF/Bフィルタプレートで濾過し、氷冷アッセイ緩衝液(3×200μl)で洗浄することによって停止させた。プレートを一晩乾燥し、その後、Packard Topcount機器で液体シンチレーションを介して結合されたカウントを決定した。ビヒクル:1%の最終アッセイ濃度を超えないDMSO。
【0219】
結合[35S]GTPγSの量は、試験化合物によるμオピオイド受容体の活性化の程度に比例する。パーセンテージとして表される内因活性(IA)は、試験化合物による活性化に関して観察された結合[35S]GTPγSの量と、全的アゴニストであると推定されるDAMGOによる活性化に関して観察された量(IA=100)との比であると決定した。式(I)のカルボン酸化合物を全てこのアッセイで試験したが、これらは、約22未満の内因活性を実証した。例えば、実施例1、9、10−Gおよび12の化合物は、それぞれ−8、−2、7および−5のIA値を有していた。加えて、実施例2、4、5、6および7−Aのエステルは、それぞれ−5、6、17、19および8のIA値を示した。このように、本発明の化合物は、ヒトμオピオイド受容体でアンタゴニストとして働くことが示された。
(アッセイ3)
in vivo効力のラットモデル
このアッセイでは、試験化合物の効力を、末梢活性を評価する胃腸通過のモデルで評価した。この試験は、Institutional Animal Care and Use Committee at Theravance,Inc.によって認可され、全米科学アカデミーによって刊行された
【0220】
【数1】

に従うものであった。
a.ラット胃内容排出アッセイ
試験化合物を、ラット胃内容排出アッセイで評価して、ロペラミド誘発性遅延胃内容排出を逆転させるその能力について決定した。ラットを、0.001から約30ミリグラム/キログラム(mg/kg)に及ぶ用量で静脈内、皮下、筋肉内、または経口投与経路で試験化合物またはビヒクルを投与する前に、一晩絶食させた。試験化合物の投与の後、1mg/kgの用量でロペラミドの、またはビヒクルの皮下投与を行った。ロペラミドまたはビヒクル投与後5分で、栄養がなく吸収性がないチャコールの食餌を経口強制投与し、実験が継続する60分間は動物が自由に水を摂取できるようにした。次いで動物を、二酸化炭素窒息を介して安楽死させ、その後、開胸術を行い、胃を慎重に切除した。胃を、下部食道括約筋および幽門括約筋で結さつし、組織除去中にさらなる内容排出が起こらないようにした。次いで胃の重量を、結さつ除去後に測定した。
b.データ分析および結果
データを、GraphPad Prism Softwareパッケージ(GraphPad Software,Inc.、San Diego、CA)を使用して分析した。%リバーサル曲線を、S字用量応答(様々な勾配がある)モデルを使用して、非線形回帰分析によって構成し、最も良く適合するID50値を計算した。曲線最小値および最大値を、それぞれロペラミド対照値(0%リバーサルを示す)およびビヒクル対照(100%リバーサルを示す)に固定した。結果を、ID50、即ちロペラミドの効果の50%リバーサルに必要な用量を、キログラム当たりのミリグラム数を単位として表す。経口投与された実施例1、9、10−G、および12の化合物は、それぞれ、胃内容排出モデルで0.09mg/kgm、0.10mg/kg、0.12mg/kg、および0.05mg/kgのID50値を示した。
【0221】
本発明について、その特定の実施形態を参照しながら述べてきたが、当業者なら、本発明の真の精神および範囲から逸脱することなく様々な変更を行うことができることおよび均等物に置き換えることができることを理解すべきである。さらに、本発明の目的、精神、および範囲に対し、特定の状況、材料、組成物、プロセス、1つまたは複数のプロセスステップを適合させるため、多くの変更を行うことができる。そのような変更の全ては、本明細書に添付される特許請求の範囲内にあるものとする。さらに、上記にて引用された全ての刊行物、特許、および特許文献は、参照により個々に組み込まれるかのように、その全体が本明細書に参照により組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化15】

の化合物、または薬学的に許容されるその塩であって、式中、
は、−ORまたは−C(O)NRであり;
、RおよびRはそれぞれ独立に、C1〜3アルキルであり;
は、C1〜6アルキル、フェニル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3−フェニルから選択され;
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはC1〜3アルキルであり;
は、水素またはC1〜3アルキルであり;
ここで、星印のマークがつけられているキラル中心における置換基は、トランス配置である、
化合物または薬学的に許容されるその塩。
【請求項2】
が、−OHまたは−C(O)NHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項3】
が、−C(O)NHである、請求項1に記載の化合物。
【請求項4】
およびRがそれぞれ独立に、メチルまたはエチルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項5】
およびRがそれぞれ、エチルである、請求項1から3のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
がメチルである、請求項1から5のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
が、C3〜5アルキル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3−フェニルから選択される、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
が、シクロヘキシルメチルである、請求項1から6のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項9】
が水素である、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項10】
がメチルである、請求項1から8のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項11】
キラル中心における立体配置が、式(Ia):
【化16】

に示されている通り(2S),(3S)である、請求項1から10のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項12】
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸;
(S)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル;
(S)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸メチルエステル;
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4−メチル−ペンタン酸メチルエステル;
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4−メチル−ペンタン酸;
(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−3−メチル−酪酸;
(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4,4−ジメチル−ペンタン酸;
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−ヘプタン酸;
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−5−フェニル−ペンタン酸;
(S)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−4,4−ジメチル−ペンタン酸;
(S)−2−ベンジル−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸;
(R)−2−[2−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−エチル]−ヘキサン酸;
(S)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸;
(R)−4−((2R,3R)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸;
(R)−4−((2S,3S)−7−カルバモイル−1,1−ジエチル−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−2−シクロヘキシルメチル−酪酸;
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸;
(S)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2R,3R)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸;
(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2S,3S)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸;および
(R)−2−シクロヘキシルメチル−4−((2R,3R)−1,1−ジエチル−7−ヒドロキシ−3−メトキシ−1,2,3,4−テトラヒドロ−ナフタレン−2−イルアミノ)−酪酸;ならびに
薬学的に許容されるその塩
から選択される、請求項1に記載の化合物。
【請求項13】
請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む、医薬組成物。
【請求項14】
オピオイド鎮痛薬をさらに含む、請求項13に記載の組成物。
【請求項15】
式(I):
【化17】

の化合物、またはその塩を調製するためのプロセスであって、式中、
は、−ORまたは−C(O)NRであり;
、RおよびRはそれぞれ独立に、C1〜3アルキルであり;
は、C1〜6アルキル、フェニル、シクロヘキシル、−(CH1〜3−シクロヘキシルおよび−(CH1〜3−フェニルから選択され;
、RおよびRはそれぞれ独立に、水素またはC1〜3アルキルであり;
は、水素またはC1〜3アルキルであり;
ここで、星印のマークがつけられているキラル中心における置換基は、トランス配置であり、該プロセスは:
(a)式(II):
【化18】

の化合物を、式(III):
【化19】

の化合物(式中、RはC1〜3アルキルである)と反応させるステップと、
(b)Rが水素である場合、ステップ(a)の生成物と過剰の塩基とを接触させて、式(I)の化合物またはその塩を得るステップとを含む、プロセス。
【請求項16】
式2:
【化20】

の化合物、またはその臭化水素酸塩であって、式中、RおよびRはそれぞれ独立に、C1〜3アルキルであり、星印のマークがつけられているキラル中心における置換基は、トランス配置である、
化合物、またはその臭化水素酸塩。
【請求項17】
式2:
【化21】

の化合物の臭化水素酸塩を固体形態で調製するためのプロセスであって、式中、RおよびRはそれぞれ独立に、C1〜3アルキルであり、星印のマークがつけられているキラル中心における置換基は、トランス配置であり、該プロセスは:
(a)式1:
【化22】

の化合物(式中、Pは、C1〜3アルキルである)とキラル中心において反対の立体配置を有する化合物とのラセミ混合物を
臭化水素と反応させて、該式2の化合物の臭化水素酸塩を形成するステップと、
(b)該式2の化合物の臭化水素酸塩を固体形態で単離するステップとを含む、プロセス。
【請求項18】
ステップ(a)を相転移触媒の存在下で行う、請求項17に記載のプロセス。
【請求項19】
治療で使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項20】
μオピオイド受容体アンタゴニストを用いた治療によって改善される哺乳動物の疾患または病状の治療で使用するための、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項21】
前記疾患または状態が、オピオイド誘発性腸管機能不全または術後イレウスである、請求項20に記載の化合物。
【請求項22】
前記疾患または状態が、胃腸管の運動性低下の障害である、請求項20に記載の化合物。
【請求項23】
μオピオイド受容体アンタゴニストを用いた治療によって改善される病状を有する哺乳動物を治療する方法であって、薬学的に許容される担体および治療有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物を含む医薬組成物を該哺乳動物に投与するステップを含む、方法。
【請求項24】
前記病状が、オピオイド誘発性腸管機能不全または術後イレウスである、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
哺乳動物でのオピオイド薬の使用に随伴する副作用を低減または予防する方法であって、該哺乳動物にオピオイド薬および有効量の請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物を投与するステップを含む、方法。
【請求項26】
μオピオイド受容体を含む生体系またはサンプルを試験する方法であって、該方法は:
(a)該生体系またはサンプルと、請求項1から12のいずれか一項に記載の化合物とを接触させるステップと、
(b)該化合物によって引き起こされる、該生体系またはサンプルに対する影響を決定するステップと
を含む、方法。
【請求項27】
Rがヒドロキシルである式(Ib):
【化23】

の化合物であって、Rがヒドロキシルである式(Ib)の化合物は、Rが水素である式(Ib)の化合物をヒトに投与することによりin vivoで生成される、化合物。

【公表番号】特表2011−506463(P2011−506463A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−538112(P2010−538112)
【出願日】平成20年12月10日(2008.12.10)
【国際出願番号】PCT/US2008/086171
【国際公開番号】WO2009/076408
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(500154711)セラヴァンス, インコーポレーテッド (129)
【Fターム(参考)】