説明

【課題】 繊維状超微粒酸化チタンを含む透明液状光触媒をポリプロピレン製畳表の表裏、さらに保護シート繊維内へ分散してそれらに強固に付着でき、酸化チタン粒子表面の露出度を90%以上と極めて大きくすると共に、高温の熱処理や乾燥を必要とせずスプレーするのみで速やかに乾燥固着させて高い光触媒活性作用を得ることのできる水洗い可能な畳を提供する。
【解決手段】 ポリプロピレン製畳表の表面に光触媒を吹付加工した畳において、前記光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiを主成分に、Si、Ag、Znを含み、また光触媒中の有機元素が定量値において、C、H、Nが所定範囲含み、さらに酸化チタンが繊維状の超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さ、平均繊維長さ、平均アスペクト比、比表面積を所定範囲にした透明液状光触媒を使用した。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】

【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくともポリプロピレン製畳表面に新規な超微粒繊維状酸化チタンを分散させた透明液状光触媒を噴霧加工して防菌、防臭、防カビ等の効果の向上を図った水洗い可能な畳に関するものである。
【発明の背景】
【0002】
近時、酸化チタンの光触媒作用を利用した脱臭及び殺菌機能を備えた各種製品が開発されている。これらの製品は、酸化チタン等の光触媒作用により、製品表面に付着した微生物や臭気物質が分解されることによる防菌、防臭する効果をねらったものである。この酸化チタンの光触媒作用は、酸化チタン粒子に紫外線を照射することにより、光触媒の表面に発生した正孔が、光触媒表面の吸着水と反応して、ラジカルOH(水酸基ラジカル)が生成され、このラジカルOHが有機物の分子結合を切断することにより、これが粒子表面へ拡散して周囲の有機物質へ酸化又は還元作用として働くためと考えられている。
【0003】
酸化チタンは、その化学的特性を利用した用途が広く、例えば酸素と適当な結合力を有すると共に耐酸性を有するため、酸化還元触媒あるいは担体、紫外線の遮断力を利用した化粧材料またはプラスティックの表面コート剤、さらには高屈折を利用した反射防止コート剤、導電性を利用した帯電防止材として用いられたり、これら効果を組み合わせて機能性ハードコート材に用いられたり、さらに光触媒作用を使用した防菌剤、防汚剤、超親水性被膜などに用いられている。
【0004】
光触媒として使用される酸化チタンは無定型酸化チタンのみならず、アナタース型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタン、ルチル型酸化チタン及びこれらの混晶体、共晶体などの結晶性の酸化チタンが好ましく、特にアナタース型酸化チタン、ブルッカイト型酸化チタンはバンドギャップが高いので広く利用されている。
【0005】
また、前記酸化チタン粒子及び酸化チタンと酸化チタン以外の酸化物からなる酸化チタン系複合酸化物粒子の水分散ゾルの濃度としては特に制限はないが、酸化物として5〜40重量%の範囲にあり、このような濃度範囲にあれば、ゾルは安定であり、アルカリ処理時に粒子が凝集することがなく、効率的に酸化チタン粒子を製造できることが知られている。
【0006】
また、このような光触媒作用を有する酸化チタン被膜は、製膜時に高温処理(150℃〜400℃以上)が必要であるため、耐熱性のないガラス、プラスティック、木材、繊維、布、畳などへの製膜は困難である。このため、高温処理した酸化チタン粒子を用いて被膜形成用塗布液を調整し、この塗布液を基材上に塗布して被膜を形成することによって、比較的低温で硬化膜を形成することが試みられている。しかしながら、高温処理された酸化チタン粒子は一般に粒子径が大きく、屈折率が高いために被膜中での酸化チタン粒子による光の散乱が大きく、被塗布基材表面に対して透明性にすぐれた酸化チタン被膜が得られない欠点がある。
【0007】
また、酸化チタン被膜の形成方法としては、酸化チタン塗布液を基材表面にスピナー法、バーコーター法、スプレー法、ディップ法、フレキソ法などで塗布した後、乾燥し、高温で過熱硬化することは知られている。
【0008】
一方、近時、住宅環境の改善が求められており、例えば、社会問題の一つとして挙げられるシックハウス症候群への対策、家庭介護に付随する高齢者臭気対策等が要請されている。これに対し、畳のある部屋においては、上記光触媒を畳の畳表面に塗布して畳の長期使用における防カビ、防臭,防汚等の対策が求められている。
【0009】
さらに、近時、畳を風呂場の床や浴槽内に使用して、高齢者の風呂場等での転倒による危険を回避するようにした水や湯に強い水洗い可能な畳が提供されている(本願出願人が提案した特許第3873239号)。このような、風呂場等の水や湯に長期にさらされる環境下で使用される畳の防カビ、防臭,防汚等の対策も求められている。
【背景技術】
【0010】
従来、例えば引用文献1(特開2000−288405号公報)には、「繊維状酸化チタンを造粒し多孔質粒子にしたことを特徴とする光触媒体、繊維状酸化チタン及び粒子状酸化チタンの混合物を造粒し多孔質粒子にしたことを特徴とする光触媒体」が提供されている。
【0011】
そして、該公報[0012]に「これらの繊維状酸化チタンの形状としては、平均繊維径0.05〜30μm、好ましくは0.1〜5μm、平均繊維長3〜500μm、好ましくは5〜200μm、平均アスペクト比3〜1000、好ましくは6〜200のものを例示できる」旨説明されている。
【0012】
しかしながら、この発明においては、造粒体を多孔質粒子として被処理物に対する接触面積を増大させ、高い光触媒活性が得られるようにしようとするものであるが、繊維径が粗く繊維長さが長いため、畳表裏面及び裏側保護シート繊維に噴霧した場合に、ナノメートル単位の粒子でないため繊維内に充分に分散せず、繊維への付着力が弱い。また、ナノメートルの分散体でなく多孔質体であるので、酸化チタンの比表面積が制限され、粒子表面の露出割合が全体として極めて少なく、高い光触媒活性作用を得ることができない。
【0013】
また、引用文献2(特開2001−205099号公報)には、「二酸化チタン(TiO)を用いた光触媒において、該二酸化チタンは、空孔率が5〜90%である多孔質のチタン(Ti)合金を焼結することにより酸化して形成したアナターゼ型の二酸化チタンであることを特徴とする光触媒」が記載されている。
【0014】
そして、[0024]に「本発明の二酸化チタン触媒101・・・で1200〜1350℃で焼結することにより形成したチタン合金であり、チタン微粉末は20nm〜200μm程度の微粒子である」旨、また「このチタン合金は、その後800℃以下の酸化雰囲気中で酸化させることにより、・・・空孔率(又は気孔率)が5〜90%であるアナターゼ型の多孔質の二酸化チタン合金となる」旨説明されている。
【0015】
しかしながら、この発明においては、空孔率5〜90%の多孔質チタン合金であり、繊維状でないか、または繊維をメッシュ状に織り込んだ織物を焼成したものであり、畳表裏面及び裏側保護シート繊維に噴霧した場合に繊維への付着力が弱く、メッシュ状に織り込んだ焼成物は畳表裏面及び裏側保護シート繊維内に充分に入り込まず付着力も悪い。
【0016】
また、引用文献3(特開2007−284979号公報)及び引用文献4(特開2007−217868号公報)には、「畳表のポリプロピレン繊維のマルチフィラメントを緯に配してなる人工ラッシュにナイロンの撚糸を経に配して畳糸として引目状もしくは目積状に織成し、さらに光触媒加工を施すようにした通気性畳」が提供されている。
【0017】
そして、上記引用文献4公報[0006]には「・・・例えば、高齢者が利用する各地の温泉や浴室施設、さらには特別老人保養所、ディーサービスセンター等の老人保養・介護施設における入浴施設の浴槽内、・・・純和風の畳と変わらずに利用者、特に高齢者に対して癒しと健康を付与させることを可能とした透水性畳敷構造を提供する」旨説明されている。
【0018】
しかしながら、この発明においては、前記液状光触媒中の無機元素・有機元素の定量値、液状光触媒中における酸化チタンが繊維状である点、またそれが超微粒子である点が開示されておらない。
【0019】
また、引用文献5(特開2005−194865号公報)には、「多数本のイグサで織られた畳表において光触媒を有する酸化チタンを含む酸化チタン含有粒子がイグサの凸面と凹面に直接付着させた畳表、畳表の表面処理方法及び畳表の表面処理装置」が記載されている。
【0020】
そして、「・・・畳表の表面に光触媒を有する酸化チタン含有粒子の水溶液を塗布し、塗布された畳表を乾燥する。表面処理装置は・・・酸化チタン含有粒子の水溶液を塗布する塗布手段と、水溶液が塗布された畳表の表面に圧力空気を吹き付ける圧力空気吹付け手段と、水溶液が塗布された畳表の表面に水蒸気を吹き付ける水蒸気吹付け手段と、酸化チタン含有粒子の水溶液が塗布された畳表の表面を乾燥されるための乾燥手段とを備える」旨説明されている。
【0021】
しかしながら、この発明においては畳表が多数本のイグサであり、また、酸化チタン含有粒子の水溶液を塗布する塗布手段の他に、さらに水溶液が塗布された畳表の表面に圧力空気を吹き付ける圧力空気吹付け手段、水溶液が塗布された畳表の表面に水蒸気を吹き付ける水蒸気吹付け手段、酸化チタン含有粒子の水溶液が塗布された畳表の表面を乾燥されるための乾燥手段を備える必要があり、スプレーするのみで畳表及びその裏面へ強固の固着する有機物組成を有していない。
【0022】
また、上記公報[0048]に「・・・粒径が数nm程度の酸化チタン含有粒子(2%程度)と結着剤としての有機材料と水とを含む水溶液を、畳表に噴霧する」旨説明されている。
【0023】
しかしながら、この発明に使用される酸化チタン含有粒子は、粒径が数nm程度と記載されていても、超微粒の繊維状酸化チタンを使用している旨の開示がなされていない。
【0024】
また、引用文献6(特開2002−235428号公報)には、「畳床が生分解性プラスティック発泡体で構成され、畳表が光触媒を表面に配置した構成とされている畳」が記載されている[請求項1][請求項4]。
【0025】
そして、[0016]に「畳表として光触媒を表面に配置したものとして光触媒和紙がある。光触媒和紙は、和紙の調湿性により有害物質を和紙に吸着させ、それを光触媒により無害化させる作用を有するものである。この光触媒和紙の例としては、酸化チタンを和紙繊維に固定したものや、イグサに酸化チタンを織り込んだものがある」旨説明されている。
【0026】
しかしながら、この発明の畳表はイグサであり、また、光触媒は、超微粒の繊維状酸化チタンを分散させた液状の透明光触媒を噴霧するものではない。
【0027】
また、引用文献7(特開2000−274055号公報)には、「畳表の表層部の一部または全面に光触媒粒子が存在していることを特徴とする畳[請求項2」が記載されている。
【0028】
そして、畳表がイグサや塩化ビニール樹脂製である[0004]」旨、「・・・畳表1に光触媒(・・・酸化チタン濃度40%)をスプレーガンにて150g/mを塗布し80℃乾燥機で焼き付けする・・・」旨説明されている。
【0029】
しかしながら、この発明においては、畳表がポリプロピレン繊維を使用しておらない。また、酸化チタンを含む液状光触媒をスプレーガンにて塗布するが、80℃乾燥機で焼き付けしなければならない有機物と考えられる。
【0030】
また、引用文献8(実用新案登録第3135831号公報)には、「い草を横糸とし、光触媒と銀を複合したもの、竹炭を加工し、消臭・抗菌・防カビ効果のある抗菌剤を吹き付けるあるいは練り込ませた麻、綿、化学繊維を縦糸として織り上げることにより、い草本来の風合いや肌触り、香りを損なうことなく、消臭・抗菌・防カビなどの効果持続が期待出来る畳表」が記載されている。
【0031】
しかしながら、この発明の畳表はい草であり、光触媒は液状光触媒を吹きつけ加工するものではなく、光触媒と銀を複合したもの・・・を吹き付けるあるいは練り込ませた麻、綿、化学繊維を縦糸として織り上げたものである。
【0032】
引用文献1 特開2000−288405号公報
引用文献2 特開2001−205099号公報
引用文献3 特開2007−284979号公報
引用文献4 特開2007−217868号公報
引用文献5 特開2005−194865号公報
引用文献6 特開2002−235428号公報
引用文献7 特開2000−274055号公報
引用文献8 実用新案登録第3135831号公報
【発明が解決しようとする課題】
【0033】
本発明は、繊維状酸化チタンをポリプロピレン製畳表面及び裏面側、さらに保護シートへ分散してそれらに強固に付着することができ、繊維状超微粒子であるため粒子表面の露出度を90%以上と極めて大きくすると共に、特に高温の熱処理や乾燥を必要とせずスプレーのみで速やかに乾燥固着させて、高い光触媒活性作用を得ることができる水洗い可能な畳を提供することにある。
【0034】
また、本発明は、上記超微粒の繊維状酸化チタンを使用することにより、水分を介した光触媒作用の伝達をより促進でき、湯質改善、畳自体の長期使用による防カビ、防臭、防汚等の対策、使用した石鹸やシャンプー等の化粧料の分解、浴槽内での身体の汚れ(有機物)の分解、洗浄時の畳自体に付着する汚れ(有機物)の分解、浴槽壁のぬめりや汚れ防止、ボイラー内や管の汚れの防止等を極めて効果的に行うことのできる水洗い可能な畳を提供することにある。
【課題を解決する手段】
【0035】
請求項1の発明は、少なくともポリプロピレン製畳表の表面に液状光触媒を吹付加工するようにした畳において、前記液状光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、また液状光触媒中の有機元素が定量値において、少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、さらに前記液状光触媒中における酸化チタンが繊維状の超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上である透明液状光触媒であることを特徴とする水洗い可能な畳を提供するものである。
【0036】
この発明においては、繊維状酸化チタンを畳表面及び裏面側、さらに保護シート繊維へ分散してそれらに強固に付着させ、粒子表面の露出度を90%以上と極めて大きくすると共に、特に高温の熱処理や乾燥を必要とせずスプレーのみで速やかに乾燥固着して、繊維状酸化チタンを畳表面及び裏面側、さらに保護シート繊維に強固に固着乾燥させて高い光触媒活性作用を得ることができる水洗い可能な畳を提供する。また、前記液状光触媒が透明であることから処理後畳表面を変色させることがない。本発明の繊維状酸化チタン超微粒子は、畳表裏面の保護シート繊維にまで進入させて固着することができるので、長期に渡り上記効果を持続させることができる。
【0037】
また、本発明は前記光触媒噴出手段における液状光触媒中の無機元素が半定量値において、少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含む透明液状光触媒である。
【0038】
したがって、上記の酸化物が残存することにより得られる酸化チタンの紫外線吸収領域、誘電率、光触媒活性、プロトン導電性、固体酸特性等を調整することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節することもできる。また、Agを添加することにより、暗い密閉室内(畳内部も含む)であっても高い光触媒活性作用を得ることができる。さらに、Siを含むことにより粘度を低くして流動性を高めることができ、繊維状酸化チタン超微粒子を畳表裏及び保護シート繊維内に容易に進入させると共に、速やかに乾燥させることができる。上記範囲外であるとこれらの効果が得られないものと思われる。
【0039】
また、前記光触媒噴出手段における液状光触媒中の有機元素が定量値において、少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含む透明液状光触媒である。
【0040】
したがって、CHNの有機元素が上記の範囲にあると、特に高温の熱処理や乾燥を必要とせずスプレーのみで速やかに乾燥固着する。また、このような範囲の有機元素であると畳表のポリプロピレン樹脂との相性がよく、繊維状酸化チタンとしてポリプロピレン樹脂の畳表面及び裏面側に強固に固着乾燥させることができる。また、前記液状光触媒を無色透明にすることができ、処理後畳表面を変色させることがない。上記範囲外であるとこれらの効果が得られないものと思われる。
【0041】
さらに、前記液状光触媒中における繊維状酸化チタンが超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上である透明液状光触媒である。
【0042】
したがって、極めて微粒の繊維状酸化チタンを畳表面及び裏面側、さらに保護シート繊維内にくまなく分散させてそれらに強固に付着させできると共に、粒子表面の露出度を90%以上極めて大きくでき、高い光触媒活性作用を得ることができる。上記範囲外であると、繊維状酸化チタンの反応拡散が充分に行われず、高い光触媒活性作用を得ることができない。好ましくは、平均繊維幅及び厚さが10〜30nm、平均繊維長さが20〜100nm、平均アスペクト比が3〜50、比表面積が50m/g以上である
【発明を実施するための最良の形態】
【0043】
以下に本発明の一実施形態を図面に基づき説明する。図1に示すように、本発明の水洗い可能な畳は、プラスティック段ボールから成る中空状合成樹脂プレート3bを挟んで少なくとも2枚の発泡ポリスチレン製芯材2a、2bを設け、その表面にポリプロピレン製畳表1を発泡ポリスチレン製芯材2a、2bの側面で縫合わせて畳Aを構成している。
【0044】
前記表面側の発泡ポリスチレン製芯材2aの上面に他の中空状合成樹脂プレート3a、合成樹脂発泡シート4a及び消臭保護シート5を挟んでポリプロピレン製畳表1を積層し、裏面の芯材2bの下面に合成樹脂発泡シート4bを設けてポリプロピレン製畳表1を芯材2a、2bの側面で縫合わせている。中空状合成樹脂プレート3a、3bは適度な弾性及び表面平滑性を有し、発泡ポリスチレン製芯材2a、2bの保護とそれらのずれ合う際に発生する音を防止する。発泡樹脂同士が擦れ合うとぎしぎしと不快音が発生する。畳表1上は合成樹脂発泡シート4a及び中空状合成樹脂プレート3aにより適度な柔軟性を持たせることができる。前記合成樹脂発泡シート4a、4bは発泡ポリプロピレン、消臭保護シート5は活性炭入りポリエステルシートを使用している。また、合成樹脂発泡シート4bは畳Aを設置する床面との滑りを防止する。尚、6、6は縫い目である。
【0045】
上記畳Aの畳表、畳側面、畳裏面の全面に、上記繊維状酸化チタン超微粒子を含む透明液状光触媒を均一に噴霧した。上述した通り、新規な繊維状酸化チタン超微粒子であるためポリプロピレン製畳表面及び畳表裏面、さらに消臭保護シートのポリエステル繊維内にまで強固に付着しているものと推察される。
【発明の効果】
【0046】
本発明においては、繊維状酸化チタンを畳表面及び裏面側、さらに保護シート繊維内へ分散してそれらに強固に付着させ、粒子表面の露出度を90%以上と極めて大きくすると共に、特に高温の熱処理や乾燥を必要とせずスプレーのみで速やかに乾燥固着して、繊維状酸化チタンを畳表面及び裏面側、さらに保護シート繊維内に強固に固着乾燥させて高い光触媒活性作用を得ることができる水洗い可能な畳を提供できる。また、前記液状光触媒が透明であるから処理後畳表面を変色させることがない。本発明の繊維状酸化チタン超微粒子は、畳表裏面の保護シート繊維にまで進入させて固着することができるので、長期に渡り上記効果を持続させることができる。
【0047】
また、少なくともTi、Si、Ag、Znの酸化物が残存することにより、得られる酸化チタンの紫外線吸収領域、誘電率、光触媒活性、プロトン導電性、固体酸特性等を調整することができ、さらに熱的安定性や化学的安定性等を調節することもできる。また、Agを添加することにより、暗い密閉室内であっても高い光触媒活性作用を得ることができる。さらに、Siを含むことにより粘度を低くして流動性を高めることができ、繊維状酸化チタン超微粒子を畳表裏及び保護シート繊維内に容易に進入させると共に、速やかに乾燥させることができる。
【0048】
また、液状光触媒中のCHNの有機元素が上記の範囲にあると、特に高温の熱処理や乾燥を必要とせずスプレーのみで速やかに乾燥固着する。また、このような範囲の有機元素であると畳表のポリプロピレン樹脂との相性がよく、繊維状酸化チタンとして畳表面及び裏面側に強固に固着乾燥させることができる。また、前記液状光触媒を無色透明にすることができ処理後畳表を変色させるいことがない。
【0049】
さらに、前記液状光触媒中における繊維状酸化チタンが超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さ、平均繊維長さ、平均アスペクト比、比表面積は上記所定範囲であると、畳表及びその裏面側や保護シート繊維にくまなく分散させてそれらに強固に付着させできると共に、粒子表面の露出度を90%以上極めて大きくでき、高い光触媒活性作用を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】 水洗い可能な畳の断面説明図
【符号の説明】
A 畳
1 畳表(ポリプロピレン)
2a、2b 芯材(発泡ポリスチレン)
3a、3b 中空状合成樹脂プレート(プラスティック段ボール)
4a、4b 合成樹脂発泡シート(発泡ポリプロピレン)
5 消臭シート(活性炭入りポリエステル)
6、6 縫い目

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともポリプロピレン製畳表の表面に液状光触媒を吹付加工するようにした畳において、前記液状光触媒中の無機元素が半定量値において少なくともTiが90〜97wt%、Siが2.3〜3.0wt%、Agが1.4〜2.2wt%、Znが0.2〜0.3wt%含み、また液状光触媒中の有機元素が定量値において、少なくともCが55〜65wt%、Hが8〜12wt%、Nが0.2〜0.4wt%含み、さらに前記液状光触媒中における酸化チタンが繊維状の超微粒子であり、平均繊維幅及び厚さが1〜50nm、平均繊維長さが10〜1000nm、平均アスペクト比が2〜100、比表面積が30m/g以上である透明液状光触媒であることを特徴とする水洗い可能な畳。

【図1】
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【公開番号】特開2010−112149(P2010−112149A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−311596(P2008−311596)
【出願日】平成20年11月9日(2008.11.9)
【出願人】(000248738)株式会社小田畳商会 (8)
【Fターム(参考)】