説明

あらかじめ選択された引張強度を有する、食用組成物の一部としての活性成分のための送達システム

【課題】食用組成物、例えば、チューインガムおよび菓子組成物中の活性成分の制御された放出のための新規な手法を提供する
【解決手段】食用組成物中に含有させるための送達システムは、封入材料内に入れられた少なくとも1種の活性成分を有するように調製され、その送達システムは所望の放出速度で活性成分を送達するのに適している引張強度を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食用組成物のための送達システムを一般的に導き、その送達システムでは、所望の活性成分は、送達システムの引張強度が望ましい範囲内となるように封入されていて、延長された期間にわたって一貫して活性成分の制御された放出を提供する。
【背景技術】
【0002】
活性成分の放出を延長しおよび/または分解を遅くするために、活性成分を食用組成物中に封入することが知られている。このような成分をコーティングするために使用される封入材料には、例えばセルロース、セルロース誘導体、アラビノガラクチン、アラビアゴム、ポリオレフィン、ワックス、ビニルポリマー、ゼラチン、ゼインおよびこれらの混合物が含まれる。封入材料は、活性成分、例えば甘味料、酸、風味料、可溶性食物繊維、生理活性物質、例えば医薬化合物または医薬品、口臭消し剤などを保護するために用いられてきた。
【0003】
活性成分、例えば甘味料、特に高甘味度甘味料を、時期尚早の分解を予防し、放出の均一性を高め、かつ制御して放出を延長するために封入する試みがなされてきた。高甘味度甘味料は、一般に、糖(スクロース)より高い甘味料強度を有し、等しい甘味濃度でも糖よりも低いカロリー値を有する。高甘味濃度は容易に消費者を圧倒しうるで、組成物中の高甘味度甘味料の放出を制御することは、特に望ましい。さらに、甘味料の制御された放出は、不快な味がする材料の望ましいマスキングを提供する。各々の高甘味度甘味料は化学的におよび物理的に全く異なっているので、各々の高甘味度甘味料を食用組成物中で使用することは難問であり、また、各々の高甘味度甘味料は1つ以上の欠点を示すが、それは封入することで緩和されるかもしれない。
【0004】
例えば、多くの高甘味度甘味料が、食用組成物、例えばチューインガムおよび糖菓に用いられた場合、急速に甘味強度を失う。封入することは、より望ましい味覚プロフィールを提供するために、放出を調整し延長することができる。いくつかの高甘味度甘味料、例えばサッカリン、ステビオシド、アセスルファム−K、グリシルリジン、およびタウマチンなどは、相伴う苦味または奇妙な味を有する。ある高甘味度甘味料はまた、アルデヒドおよびケトンを含むある化学物質の存在する状態で不安定であり、湿気を含む環境条件での暴露に敏感である。固体のスクラロースは、長期間保管する間、熱および大気に暴露すると黒く変色することが知られている。封入することは、分解を防止しかつ貯蔵寿命を延長するために、不安定な化合物を隔離するのに用いることができる。
【0005】
典型的には、高甘味度甘味料の味覚プロフィールは、甘味の急激な爆発であると説明することができる。通常、高甘味度甘味料は、甘味のピークに急速に到達し、その後まもなく、甘味の強度は急速に減退する。初期の急激な爆発は、その強い甘味が食用組成物中に存在してもよい他の香味料を押さえ込む傾向があるので、多くの消費者を不快にさせる。甘味の比較的急速な損失はまた、苦い後味を生じうる。この理由のために、放出速度を調整し延長し、かつ全体的な味覚プロフィールを化学的に安定させて増強するために、高甘味度甘味料を封入材料に入れることが、典型的には望ましい。適切な封入材料(すなわちポリビニルアセテート)の選択は、通常、長い放出時間を一般に伴う、高い分子量を有する封入材料の分子量に焦点があてられてきた。
【0006】
例として、Yangの米国特許公報第4,711,784号は、高分子量ポリビニルアセテートと配合した封入材料としての疎水性可塑剤とを含むチューインガム組成物を開示する。封入材料は、活性成分、例えばアスパルテームを封入するために用いられる。
【0007】
Cherukuriらの米国特許公報第4,816,265号は、任意にワックスの存在下、乳化剤と、分子量約2,000〜14,000を有するポリビニルアセテート封入材料とからなるコーティングを用いる、甘味料送達システムを開示する。コーティングは、甘味料の持続的放出を有効にするために、甘味料、例えばアスパルテームに適用される。
【0008】
Cherukuriらの米国特許公報第5,057,328号は、乳化剤およびポリビニルアセテートを規定された分子量範囲で含む、マトリクス中に封入された食物酸を有する、例えばチューインガムの使用のための食物酸の送達システムを開示する。
【0009】
Chauらの米国特許公報第5,108,763号は、延長された甘味料放出を有する、甘味剤送達システムを開示する。システムは、約2,000から100,000の範囲で分子量を有する、ポリビニルアセテート中に封入された高甘味度甘味料を利用する。システムは、さらに可塑剤、ワックス状材料および乳化剤の使用を含む。
【0010】
Dugganらの米国特許公報第5,789,002号は、チューインガム組成物の成分として甘味料および酸を調製する方法を開示する。特に、Dugganらの参照は、甘味料または酸を、ポリビニルアセテートなどの送達システム中に封入することを開示する。
【0011】
Seiestadらにより出願された米国特許出願公開公報第2002/0122842号は、ポリビニルアセテートマトリクスにより封入された少なくとも2種の酸を含むチューインガムを含む、食物混合物を開示する。ポリビニルアセテートは、約20,000〜120,000の範囲の分子量を有する。
【0012】
上記のように記載された先行技術システムは、封入材料(すなわち、ポリビニルアセテート)およびその分子量の選択を考慮に入れることにより、封入材料を調製する。
【0013】
ポリビニルアセテートが最も一般的な封入材料であるので、材料の分子量が、先行技術の送達システム製造での重大な特徴になる。したがって、活性成分、特に高甘味度甘味料を封入するための最先端技術は、封入材料の分子量と共に活性成分の制御された放出と本質的に関連する。しかしながら、この手法は、活性剤の制御された放出の予測可能な修正が、封入材料の分子量の修正を通じてのみなされるという点で制限されている。適切な送達システムの調製に使用されるかもしれない他の封入材料および/または添加剤の使用に基づいた予測可能な修正はない。したがって、かなりの量の試行錯誤実験に取り組まずに、活性成分の望ましい放出速度を提供することができる、望ましい送達システムの製造に対する包括的手法はない。
【0014】
したがって、送達システムの組成物のタイプにかかわらず、特定用途(すなわち、高甘味度甘味料の制御された送達)に適するように、活性成分の望ましい放出のための送達システムを製造する方法を提供することは、当該技術分野における重要な進歩になるであろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許公報第4,711,784号
【特許文献2】米国特許公報第4,816,265号
【特許文献3】米国特許公報第5,057,328号
【特許文献4】米国特許公報第5,108,763号
【特許文献5】米国特許公報第5,789,002号
【特許文献6】米国特許出願公開公報第2002/0122842号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
本発明は、食用組成物、例えば、チューインガムおよび菓子組成物中の活性成分の制御された放出のための新規な手法を提供する。活性成分およびそれを封入するのに用いられる材料は、送達システムを提供し、この送達システムは広範囲な送達システムにわたる活性成分の放出の例外的な制御を可能にし、かつ送達システムを調製するのに用いられるかもしれない封入材料および添加剤のある範囲の使用を考慮に入れている。送達システムは、望ましい放出速度で指定された活性成分を送達することができる送達システムの調製における主要因としての引張強度に基づいて配合される。カプセルに封入された活性成分は、放出が望ましい時まで保存されており、したがって、湿気、反応性化合物、pH変化などから保護されている。活性成分が甘味料である場合、送達システムは、一貫した持続的放出を提供するために甘味料にあわせて調整され、甘味料の放出時間を延長することにより、甘味料が望ましい速度より少ないまたは望ましい速度以上に放出される先行技術システムの不利益を伴わないで、長い永続する望ましい味覚プロフィール、唾液分泌亢進、およびそれらから与えられる味覚全体の楽しみをもたらす食用組成物が提供される。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明は、送達システムの引張強度が活性成分の所望の制御され延長された放出を与えるという発見を前提としている。その結果として、送達システムは、特定の望ましい放出速度を達成するために、所望の特性を有する広範囲の材料(例えばカプセル化剤、活性成分、添加剤)を用いて、難なく容易に調製することができる。活性成分およびそれを封入するために用いられる材料は、活性成分の放出の例外的な制御をもたらす送達システムを提供する。
【0018】
基準と比較された場合に特定の引張強度を有する送達システムの引張強度に基づいて、活性成分のための送達システムが提供されることができることが、本発明に従って見出された。この手法は、送達システムを製造するために用いられる材料(封入材料)の1つのうちの1つの特性(分子量)に注目する先行技術システムと異なる。このように、送達システムは、既知の放出速度をそれぞれ有する典型的な複数の基準の送達システムの少なくとも1つと比較することができる、活性成分、封入材料、添加剤、活性成分の量などの特定の選択を通じて引張強度を調節し修正することにより、所望の放出プロフィールを示すために調製される。一旦所望の引張強度が選択されれば、所望の引張強度を有するいかなる送達システムも特定の封入材料およびその分子量に制限されることなく用いられてもよい。調製方法は、基準の送達システムの封入材料形成部分として、同様の物理的および化学的性質を示す封入材料に拡大適用することができる。
【0019】
本明細書中に用いられるように、用語「引張強度」は、引張荷重を受けた材料が引き裂かれずに耐えることができる最大応力を意味する。与えられた物質の引張強度を測定する標準方法は、アメリカ材料試験協会のASTM−D638号の方法によって定義されている。
【0020】
本発明に従って、望ましい範囲内の所望の引張強度の選択は、特定の封入材料に注目することなく、かつ封入材料の分子量の選択を通じて放出速度をもっぱら修正することに制限されることなく、封入材料を含むある範囲の材料を用いる食用組成物の製造を可能にする。
【0021】
以下の図面は本発明の実施形態の説明であり、出願の請求項部分によって包含される本発明を限定することを意図したものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明に従って30分間にわたり3種のガムのサンプルの知覚された甘味強度を比較する図である。
【図2】本発明に従って30分間にわたり種々の引張強度送達システムを各々含む、2種のガムのサンプルの知覚された甘味強度を比較する図である。
【図3】本発明に従って種々の引張強度送達システムを含む、2種のガムのサンプルのある期間にわたり保持されたアスパルテームの割合を比較する図である。
【図4】本発明に従って種々の引張強度送達システムを各々含む、2種のガムサンプルの知覚された苦味強度を比較する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明の一態様では、封入材料によって、カプセルに封入された少なくとも1種の活性成分を有するチューインガム組成物または菓子組成物などの食用組成物中に包含させるための送達システムであり、少なくとも6,500psi、典型的には約6,500psi〜200,000psiの範囲の引張強度を有する送達システムが提供される。
【0024】
本発明のさらなる態様では、少なくとも1種の食用組成物形成成分と、封入材料内に封入された少なくとも1種の活性成分を含む送達システムとを含む、食用組成物、例えばチューインガム組成物または菓子組成物が提供され、その送達システムは少なくとも6,500psiの引張強度を有する。
【0025】
本発明のさらなる態様では、同一または類似の活性成分とその活性成分の既知の放出速度を有する少なくとも1つのサンプル送達システムの引張強度との比較に基づいて、ターゲット送達システムのあらかじめ選択された引張強度が得られるまで、少なくとも1種の活性成分、少なくとも1種の封入材料、および任意に少なくとも1種の添加剤とを組み合わせることを含む、食用組成物のためのターゲット送達システムを調製する方法が提供される。
【0026】
所望の放出速度で少なくとも1種の活性成分を送達するのに有用な、食用組成物のためのターゲット送達システムを調製する方法も提供され、この方法は、少なくとも6,500psiの引張強度をターゲット送達システムにもたらすように封入材料に少なくとも1種の活性成分を入れる工程を含む。
【0027】
さらに、所望の放出速度で少なくとも1種の活性成分を送達するのに有用な食用組成物のためのターゲット送達システムを調製する方法が提供され、この方法は、所望の放出速度と関係づけられたターゲット引張強度を有するターゲット送達システムをもたらすように少なくとも1種の活性成分を封入材料に封入することを含み、送達システムが、所望の放出速度で食用組成物を形成する少なくとも1種の活性成分を放出することを可能にする。
【0028】
さらに、所望の放出速度で少なくとも1種の活性成分を送達するのに有用なターゲット送達システムを含む食用組成物を調製する方法が提供され、この方法は、少なくとも1種の活性成分を所望の放出速度で食用組成物から放出することを可能にする、所望の放出速度と関係づけられたターゲット引張強度を有するターゲット送達システムをもたらすように少なくとも1種の活性成分を封入材料に封入することを含み、食用組成物にそのターゲット送達システムを加える。
【0029】
本送達システムを含む食用組成物も提供される。本発明の一実施形態は、チューインガム組成物、菓子組成物および飲料に関するが、本発明は、これらに限定されないが、消費者による摂取のための調製されてよい、食品、食物、栄養素含有組成物、医薬品、栄養補助食品、ビタミンおよび他の製品を含む、様々な食用組成物を製造するために利用することができる。送達システムは食用組成物に容易に組み込まれうるので、本発明から利益を得ることができて、かつ本発明に包含される食用組成物は、上記のように広範囲のものである。
【0030】
本明細書中に用いられる用語「送達システム」は、封入材料と、以下に記載されるような送達システムを形成するのに用いられる他の添加剤と同様に入れられた単一の活性成分とを包含することを意味する。本発明の食用組成物が、単一活性成分を含む各送達システムを有する複数の送達システムを含むことが理解される。
【0031】
用語「封入材料」は、活性成分の周囲の防護バリアーとしての固体コーティングまたは被膜を形成することが可能な1種以上のあらゆる食用非水溶性材料をも包含することを意味する。
【0032】
本発明は、封入材料と、封入材料によりカプセルに封入された活性成分とを含む、食用組成物中での使用について、本明細書中に定義されるような送達システムを一般的に目的とする。本発明の送達システムは、あらかじめ選択された時間、例えば延長された期間にわたって活性成分の一貫して制御された放出を与えるのに十分なあらかじめ決定された引張強度で配合される。このあらかじめ選択された時間は、送達システムが組み込まれた製品のタイプによって変化するであろう。本明細書の開示に基づいて、当業者は、所望の効果を達成するために送達システムを調整することができる。本明細書中で用いられるような延長された期間とは、従来の記載されたシステムの時間よりも多い時間にわたる送達システムからの活性成分の増大した放出に関する。そして、その延長された期間とは、少なくとも15分であり、少なくとも20分、少なくとも25分、少なくとも30分、並びにその間のすべての値と範囲、例えば約25〜30分またはそれ以上を含む。さらに、本発明の送達システムは、延長された期間にわたって活性剤を送達するだけでなく、延長された期間にわたって活性成分の増大した強度を保持するやり方をもまた提供する。例えば、活性成分が風味剤または甘味料である場合である。本発明の一態様において、放出された活性剤の量は、延長された期間変化しうる。例えば、送達の初期段階では、(その時間に送達システムに存在する全体量に基づいて)放出された活性成分の量は、(その時間に送達システムに存在する全体量に基づいて)そのすぐ後かまたはより遅い時間の間に放出された活性成分の量より多くなりうる。
【0033】
一実施形態において、延長された期間は、食用組成物中の活性成分の送達開始、例えば、チューインガム組成物の噛み始めから30分後、少なくとも1種の活性成分の少なくとも約5%を、30分後の少なくとも約10%、15%、20%、25%、30%またはそれ以上を含めて保持することになる。別の実施形態において、延長された期間は、活性成分の送達開始から20分後、少なくとも1種の活性成分の少なくとも約10%を、20分後の少なくとも約15%、20%、25%、30%、40%、50%またはそれ以上を含めて保持することになる。別の実施形態において、延長された期間は、活性成分の送達開始から15分後、少なくとも1種の活性成分の少なくとも約30%を、15分後の少なくとも約30%、40%、50%、60%、70%、75%またはそれ以上を含めて保持することになる。
【0034】
別の実施形態において、例としてチューインガム中に甘味料を用いる場合、延長された期間は、上述した、例えば、チューインガム組成物の噛み始めから少なくとも約15分、少なくとも約20分、少なくとも約30分、その他、少なくともその全体の時間の間、知覚された甘味強度を生じる。
【0035】
あらかじめ決定された引張強度は、同一の活性成分および所望の放出時間に一部基づいて決定される。あらかじめ決定された引張強度は、所望の活性成分の既知の放出速度を有する基準の送達システムの各々を用いて1つ以上の送達システムからなる基準から選択してもよい。本発明の送達システムは、活性成分を分解しうるので存在が望ましくない、湿気および他の条件、例えばpH変化、反応性化合物などの条件に対する防護バリアーを伴う活性成分をさらに提供する。
【0036】
送達システムは、チューインガム組成物、食品、菓子組成物、医薬品組成物、飲料、食物、栄養素含有組成物、ビタミン、栄養補助食品およびその他同種のものを含む種々様々な食用組成物中の活性成分の制御された放出を促進する。
【0037】
送達システムは、望ましい引張強度を有することが本発明に従って見出されており、その引張強度は、活性成分および活性成分の望ましい放出速度にある程度左右されるが、既知の放出速度で活性成分を含んでいる基準となる既知の送達システムから選択されうる。送達システムの一部として組み込まれてもよい活性成分は、高甘味度甘味料、酸、風味料、医薬品、治療薬、ビタミン、口臭消し、冷却剤および他の材料を含む甘味料から選択されてもよく、保護、制御された放出および/または味覚マスキングについてコーティングにより利益を得るであろう。活性成分は、タバコ製品の中毒処置に有用なニコチンと、コーヒーおよび/またはコーラ飲料に典型的に見出されるカフェインを含む。特に本発明の一形態において、活性成分は、甘味料、例えば高甘味度甘味料、例えばネオテームおよびアスパルテームである。
【0038】
活性成分を送達するための送達システムは、活性成分のタイプおよび量と所望の放出速度に基づいて、活性成分の有効的で持続的な放出を守るために配合されることができることが、本発明に従って見出された。例えば、幾人かの消費者にとって不快かもしれない甘味の急激な爆発から守るために、25〜30分間にわたって高甘味度甘味料の制御された放出を達成することは望ましいことかもしれない。短い制御された放出時間は、医薬品または治療薬など活性成分の他のタイプにとって望ましいことかもしれず、それは各々の活性成分について別々の送達システムを用いることにより同一の食用組成物中に組み込まれてもよい。本発明に従って、送達システムは、基準に基づいてある範囲の放出速度と関係づけられた特定の引張強度で配合されてもよい。基準は、例えば低い引張強度値から高い引張強度値の広い範囲にわたる引張強度を有する一組の既知の送達システムを含んでよい。基準の各々の送達システムは、特定の放出速度または放出速度の範囲と関係づけられるであろう。したがって、例えば、送達システムは、比較的高い引張強度を有する送達システムを組立てることにより、比較的遅い放出速度を持つように配合することができる。反対に、低い引張強度組成物は、比較的速い放出速度を示す傾向がある。本発明の一因子は、送達システムの引張強度が封入材料のタイプまたは分子量に関して直接関係しない活性成分の放出速度と直接関係づけられていることである。
【0039】
一実施形態において、本発明は、望ましくは明らかに異なる放出速度で放出される活性成分を含む複数の別々の活性成分を送達するための複数の送達システムの組み合わせを含む。
【0040】
例えば、高甘味度甘味料は、望ましくは一部の医薬品が著しく短時間にわたり放出されるのと同時に、望ましくは延長された期間(例えば20〜30分)にわたり放出されてよい。
【0041】
本発明のある実施形態において、送達システムは、少なくとも1種の活性剤の放出が、送達時間に対して特定の速度であるように調製しうる。例えば、一実施形態において、送達システムは、少なくとも1種の活性剤の放出が、15分間にわたり80%の速度で、20分間にわたり90%の速度で、および/または30分間にわたり95%の速度で放出されるように調製しうる。別の実施形態において、送達システムは、1種以上の活性剤が、15分間にわたり25%の速度で、20分間にわたり50%の速度で、および/または30分間にわたり75%の速度で放出されるように調製しうる。
【0042】
本発明の一実施形態において、食用組成物のための活性成分を含むターゲット送達システムを選択する方法が提供される。この方法は、一般に、活性成分、封入材料、および任意の添加剤を含むターゲット送達システムを調製することを含み、このターゲット送達システムは、あらかじめ選択された引張強度を有する。ターゲット送達システムの引張強度は、活性成分の望ましい放出速度を提供するためにあらかじめ選択されている。この引張強度の選択は、同一または類似の活性成分と活性成分の既知の放出速度を有するサンプル送達システムの引張強度に基づく。本発明の別の一実施形態において、この方法は、(a)活性成分、少なくとも1種の封入材料、および任意の添加剤を含む複数のサンプル送達システムであって、各々の送達システムが異なった引張強度を有する、複数のサンプル送達システムを得る工程;(b)活性成分のそれぞれの放出速度を決定するためにサンプル送達システムを試験する工程;および(c)得られたサンプル送達システムに基づいて活性成分の所望の放出速度に対応する引張強度を有する同一の活性成分を含むターゲット送達システムを配合する工程を含む。
【0043】
複数の送達システムは、このような異なった活性成分を含む基準の送達システムとの比較を用いることにより、異なった活性成分を各々含むこのように調製されてもよいことが理解されるであろう。
【0044】
食用組成物中に組み込むことに適している少なくとも1つの送達システムを選択する方法は、活性成分(すなわち第1の活性成分)の所望の放出速度を決定することにより着手することができる。所望の放出速度の決定は、既知の文献または技術的参照から、またはin vitroまたはin vivoの試験によるものでもよい。一旦所望の放出速度が決定されれば、所望の放出で第1の活性成分を放出することができる送達システム(すなわち第1の送達システム)のための所望の引張強度(すなわち第1の引張強度)を、典型的には決定する。必要とされる活性成分を送達することができる送達システムが一旦得られれば、次いで、食用組成物中の最終的な含有について選択される。
【0045】
次いで、上述した方法は、第2の活性成分について、及び適切な送達システムの決定および選択により記載されるような追加の活性成分について繰り返されてもよい。
【0046】
本方法は、サンプル送達システムで用いられるような水溶解度、活性成分への親和力などを含む同様の物理的および化学的性質を有する封入材料を用いて、ターゲット送達システムを配合することに関連して用いることができる。
【0047】
出願人は、あらかじめ選択された望ましい範囲の範囲内で送達システムの引張強度を保持することにより、活性成分が、使用された特定のタイプの封入材料に関係なく、高度に制御され一貫して組成物から放出されることを見出した。送達システムの引張強度に注目することにより、適切な送達システムを選択する方法および配合する方法は、先行技術システムにおいて典型的に必要な試行錯誤実験の必要性を効果的に低下させるように改善される。本発明は、例えば、単一の変数(すなわち引張強度)に注目することにより、適切なターゲット送達システムの配合を可能にする。したがって、本発明は、封入材料およびいかなる添加剤(例えば油脂および油剤)をも含む送達システムのすべての成分を配慮しており、このすべての成分は、望ましく配合物に加えられ、望ましい放出速度で活性成分を放出するために食用組成物に加えられた場合、送達システムを可能とする。
【0048】
送達システムの所望の引張強度は、容易に所望の範囲内で決定することができる。本発明の一実施形態において、送達システムの引張強度は、少なくとも6,500psiであり、7500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、125,000、135,000、150,000、165,000、175,000、180,000、195,000、200,000およびそれらの間のすべての範囲および部分的な範囲、例えば6,500〜200,000psiの引張強度範囲を含む。望ましい引張強度を有する送達システムの配合は、様々な封入材料と、「少なくとも1種の引張強度修正剤または調整剤」として以下に表される少なくとも1種の添加剤とからなされることができる。少なくとも1種の添加剤は、引張強度増加材料、例えば高分子量ポリマーの他に、引張強度低下材料、例えば油脂、乳化剤、可塑剤(軟化剤)、ワックス、低分子量ポリマーなどを含む送達システムの引張強度の修正により、送達システムを配合するために用いられてもよい。さらに、送達システムの引張強度はまた、送達システムを形成するために異なる引張強度調整剤を組み合わせることにより良好に調整されうる。例えば、ポリビニルアセテートなどの高分子量ポリマーの引張強度は、引張強度低下剤、例えば油脂および/または油剤が加えられると低下させられ得る。
【0049】
本発明の一実施形態において、少なくとも1種の引張強度修正剤は、送達システムに含まれた1種以上の活性剤の放出が、15分間にわたり80%の速度で、20分間にわたり90%の速度で、および/または30分間にわたり95%の速度で放出されるのに十分な量で送達システム中に存在する。別の実施形態において、少なくとも1種の引張強度修正剤は、1種以上の活性剤が、15分間にわたり25%の速度で、20分間にわたり50%の速度で、および/または30分間にわたり75%の速度で放出されるのに十分な量で送達システム中に存在する。
【0050】
本発明の別の実施形態において、少なくとも1種の引張強度修正剤は、送達システムの引張強度が、少なくとも約6,500psiであり、7500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、125,000、135,000、165,000、175,000、180,000、195,000、200,000およびそれらの間のすべての範囲および部分的な範囲、例えば6,500〜200,000psiの引張強度範囲を含むのに十分な量で送達システム中に存在する。
【0051】
引張強度調整剤または修正剤の例は、これらに限定されないが、油脂(例えば水添または非水添植物油、動物脂)、ワックス(例えばミクロクリスタンワックス、蜜蝋)、可塑剤/乳化剤(例えば鉱油、脂肪酸、モノ−およびジグリセリド、トリアセチン(triacetin)、グリセリン、アセチル化モノグリセリド、グリセロールロジンモノステアレートエステル)、低分子量ポリマーおよび高分子量ポリマー(例えばポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリイソブチレン、ポリエチレン、ポリビニルアセテート)およびその他同種のもの、およびそれらの組合わせを含む。可塑剤はまた、軟化剤と表されてもよい。
【0052】
したがって、引張強度調整剤の使用により、送達システムの全体の引張強度は、対応する活性成分の所望の放出速度について基準との比較に基づいて、あらかじめ選択された引張強度が食用組成物から得られるように調整するかあるいは変更することができる。
【0053】
本発明の送達システムは、典型的には粉末または顆粒の形態である。粒子サイズは一般に、変化する場合があり、本発明の機能に重大な効果を及ぼさない。一実施形態において、平均粒度は、所望の放出速度および/または口あたり(つまりザラザラ感)および食用組成物中に組み込まれた担体のタイプに従って、望ましく選択される。したがって、本発明のある実施形態においては、平均粒度は約75〜約600であり、100、110、140、170、200、230、260、290、320、350、370およびそれらの間のすべての値と範囲を含む。数値は平均であるので、与えられた粉末または顆粒のサンプルの範囲内で評価すると、与えられた数値より大きいおよび/またはその数値未満のサイズの粒子があってもよい。本発明の一実施形態において、送達システムがチューインガムに組み込まれる場合、粒子サイズは600ミクロン未満でありうる。
【0054】
他に言及した場合を除いて、本発明に係る組成物中に組み込まれた成分の量は、組成物の全重量に基づいた重量%で表される。
【0055】
本発明の送達システムは、カプセルに封入される活性成分のタイプ、用いられる封入材料、組み込まれる添加剤、活性成分の放出の所望の速度などに従って選択される望ましい放出速度に適合する場合、あらかじめ選択された引張強度の利用を通じて所望とされる活性成分の制御された放出を作り出す。活性成分をカプセルに封入するのに用いられる材料は、一般に活性成分のまわりの防護バリアーとしての強固なマトリックス、固体コーティングまたはフィルムを形成することが可能な食用非水溶性材料から選択される。封入材料は、少なくとも6,500psiであり、7500、10,000、20,000、30,000、40,000、50,000、60,000、70,000、80,000、90,000、100,000、125,000、135,000、150,000、165,000、175,000、180,000、195,000、200,000およびそれらの間のすべての範囲および部分的な範囲、例えば6,500〜200,000psiの引張強度範囲を含みうる送達システムの引張強度と一致するように選択される。このような封入材料は、ポリビニルアセテート、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリラクチドアシッド、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸−co−メチルメタクリレートなどおよびこれらの組合せから選択されてもよい。
【0056】
封入材料は、食用組成物の全重量に基づいて約0.2重量%〜10重量%であり、0.3、0.5、0.7、0.9、1.0、1.25、1.4、1.7、1.9、2.2、2.45、2.75、3.0、3.5、4.0、4.25、4.8、5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、7.25、7.75、8.0、8.3、8.7、9.0、9.25、9.5、9.8およびそれらの間のすべての数値と範囲、例えば1重量%〜5重量%を含む量で存在してもよい。封入材料の量は、カプセルに封入されなければならない活性成分の量にもちろん部分的には左右されるであろう。送達システムの重量に関して封入材料の量は、約30重量%〜99重量%であり、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、97、それらの間のすべての数値と範囲、例えば、約60重量%〜90重量%を含む。
【0057】
送達システムの引張強度は、比較的遅い放出速度が所望の場合、比較的高い引張強度から選択され、速い放出速度が所望の場合、比較的低い引張強度から選択されてもよい。したがって、送達システムについて50,000の引張強度を使用する場合、活性成分の放出速度は、選択された封入材料(例えば、ポリビニルアセテート)のタイプにかかわらず10,000psiの引張強度を有する送達システムにおける活性成分の放出速度よりも一般には遅いであろう。
【0058】
本発明の一実施形態において、封入材料はポリビニルアセテートである。本発明において封入材料として使用するのに適しているポリビニルアセテート製品の代表的な例は、Wacker Polymer Systems of Adrian(ミシガン)により販売されているVinnapas(登録商標)B 100である。ポリビニルアセテートを利用する送達システムは、短時間、例えば5分間約65℃〜120℃の温度で十分な量のポリビニルアセテートを溶融することにより調製されてよい。溶融温度は、ポリビニルアセテート封入材料のタイプと引張強度に左右され、高い引張強度材料は、一般的に高い温度で溶融される。一旦封入材料が溶融すると、適切な量の活性成分(例えば、アスパルテームのような高甘味度甘味料)は、混合の短い追加時間の間に、溶融した塊中に完全に加えられて配合される。得られた混合物は、半固体塊であり、次いで、固体を得るために冷却されて(例えば0℃に)、次いで、約30から200(600〜75ミクロン)の米国規格篩サイズに砕かれる。得られた送達システムの引張強度は、ASTM−D638に従って、容易に試験することができる。
【0059】
適切な封入材料の選択はまた、活性成分のタイプおよび量と、他の添加剤または成分の存在に部分的には左右されるであろう。油脂と同様に可塑剤または軟化剤もまた、例えば、「引張強度修正剤」として機能し、得られる送達システムの引張強度を修正するために送達システム中に、特に封入材料中に組み込まれてもよい。上記に挙げられた添加剤は、溶融状態の間に封入材料に加えられてもよい。本発明の送達システムで用いられる添加剤の量は、もちろん所望の引張強度に従って変更できるであろうが、典型的には送達システムの全重量に基づいて40重量%以下の範囲である。
【0060】
あらかじめ決定された引張強度を有する送達システムを配合する際に、活性成分は、もし得られた送達システムの引張強度が上記で述べられた基準を満たすのであれば、完全に封入材料中に封入されるか、あるいは不完全に封入材料中に封入されうる。不完全な封入は、活性成分の部分的な被覆を得るために製造プロセスを修正しかつ/または調節することにより達成しうる。
【0061】
添加剤としての油脂の存在は、送達システムに2つの効果があることを見出した。第1の効果は、より低い濃度で、すなわち5重量%以下で認められ、4.7以下、4.5以下、4.25以下、4.0以下、3.5以下、3.0以下、2.5以下、2.25以下、2.0以下、1.75以下、1.5以下、1.0以下およびそれらの間のすべての数値および範囲を含み、油脂および/または油剤は、送達システムの引張強度を保持するかあるいは増大させることが認められる。より高い濃度(すなわち典型的には5重量%以上)では、油脂および/または油剤は、送達システムの引張強度を減少する傾向がある。送達システムの引張強度に対するこのような普通でないかあるいは非線形な効果があっても、活性成分の所望の放出を有する適切な送達システムは、ターゲットとされた送達システムが活性成分の既知の放出速度を有するサンプル送達システムに基づいて調製されているので、本発明に従って容易に配合されてもよい。
【0062】
本明細書中になされたこの記載は、甘味料に関連するけれども、送達システムに対する引張強度の効果は活性成分にかかわらず同様であることが理解されるであろう。
【0063】
用いられる甘味剤は、水溶性甘味料、水溶性人工甘味料、天然産水溶性甘味料に由来した水溶性甘味料、ジペプチドベースの甘味料、およびタンパク質ベースの甘味料を含み、これらの混合物を含む広範囲の材料から選択されてよい。特定の甘味料に限定されることなく、代表的なカテゴリーおよび例は以下のものを含む。
【0064】
(a)水溶性甘味剤、例えばジヒドロカルコン、モネリン、ステビオシド、グリシルリジン、ジヒドロフラベノール、および糖アルコール、例えばソルビトール、マンニトール、マルチトール、およびL−アミノジカルボン酸アミノアルケン酸エステルアミド、例えば米国特許公報第4,619,834号に開示されたもの(その開示は参照により本明細書中に援用する)、およびこれらの混合物。
【0065】
(b)水溶性人工甘味料、例えば溶性サッカリン塩、すなわちナトリウムまたはカルシウムサッカリン塩、シクラマート塩、アセスルファム塩、例えば3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのナトリウム、アンモニウムまたはカルシウム塩、3,4−ジヒドロ−6−メチル−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ジオキシドのカリウム塩(アセスルファム−K)、サッカリンの遊離酸形態、およびこれらの混合物。
【0066】
(c)ジペプチドベースの甘味料、例えばL−アスパラギン酸誘導甘味料、例えばL−アスパルチル−L−フェニルアラニンメチルエステル(アスパルテーム)および米国特許公報第3,492,131号に記載された材料、L−αアスパルチル−N−(2,2,4,4−テトラメチル−3−チエタニル)−D−アラニンアミド水和物(アリテーム)、L−アスパルチル−L−フェニルグリセリンとL−アスパルチル−L−2,5−ジヒドロフェニル−グリシンのメチルエステル;L−アスパルチル−L−(1−シクロヘキセン)−アラニン、ネオテームおよびこれらの混合物。
【0067】
(d)天然産水溶性甘味料に由来した水溶性甘味料、例えばステボシド、普通の糖(スクロース)の塩素化誘導体、例えばクロロデオキシシュガー誘導体、すなわちクロロデオキシスクロースまたはクロロデオキシガラクトスクロースの誘導体、よく知られた例は、Sucraloseの名称の製品;クロロデオキシスクロースおよびクロロデオキシガラクトスクロース誘導体の例を含むが、以下のものに限定されない:1−クロロ−1’−デオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−α−D−フルクトフラノシド、または4−クロロ−4−デオキシガラクトスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1−クロロ−1−デオキシ−β−D−フルクト−フラノシド、または4,1’−ジクロロ−4,1’−ジデオキシガラクトスクロース;1’,6’−ジクロロ1’,6’−ジデオキシスクロース;4−クロロ−4−デオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシ−β−D−フルクトフラノシド、または4,1’,6’−トリクロロ−4,1’,6’−トリデオキシガラクトスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクトピラノシル−6−クロロ−6−デオキシ−β−D−フルクトフラノシド、または4,6,6’−トリクロロ−4,6,6’−トリデオキシガラクトスクロース;6,1’,6’−トリクロロ−6,1’,6’−トリデオキシスクロース;4,6−ジクロロ−4,6−ジデオキシ−α−D−ガラクト−ピラノシル−1,6−ジクロロ−1,6−ジデオキシy−β−D−フルクトフラノシド、または4,6,1’,6’−テトラクロロ4,6,1’,6’−テトラデオキシガラクト−スクロース;および4,6,1’,6’−テトラデオキシ−スクロース、およびこれらの混合物。
【0068】
(e)タンパク質ベースの甘味料、例えばソーマトコッカスダニエリ(thaumaoccous danielli)(タウマチンIおよびII)、タリン。
【0069】
強烈な甘味剤は、甘味の初期バーストおよび/または甘味の延長された感覚を提供するために、当該技術分野においてよく知られている多くの物理的形態と全く異なった形態で用いられてもよい。これらに限定されることなく、このような物理的形態は、自由形態、例えばスプレー乾燥形態、粉末形態、ビーズ形態、カプセル化形態、およびこれらの混合物を含む。一実施形態において、甘味料は、高甘味度甘味料、例えばアスパルテーム、スクラロース、およびアセスルファム・カリウム(Ace−K)である。
【0070】
活性成分(例えば甘味料)は、送達システムの一部であるが、活性成分(例えば甘味)の使用と関係づけられた所望の効果を与えるのに必要な量で用いられてもよい。送達システムにおける活性成分の存在に関して、活性成分は、送達システムの全重量に基づいて約1重量%〜70重量%の量で存在してよく、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65重量%およびそれらの間のすべての数値および範囲を含み、例えば送達システムの全重量に基づいて約10重量%〜40重量%で存在してよい。チューインガム組成物、菓子組成物および飲料組成物を含む典型的な食用組成物については、甘味料は、食用組成物の全重量に基づいて約0.1重量%〜6重量%の量で存在してもよく、0.5、1、2、3、4、5重量%およびそれらの間のすべての数値および部分的な範囲を含み、例えば0.5重量%〜3重量%で存在してよい。活性成分はまた、特に活性成分が甘味料である場合、所望の放出プロフィールに左右される自由形態で食用組成物中に存在してもよい。
【0071】
本発明の別の態様において、食用組成物を提供し、その食用組成物は、送達システムを収容するのに適する量で本送達システムと担体とを含む。本明細書中で用いられる用語「担体」は、送達システムと混合されることが可能なチューインガム組成物の可溶性および不溶性成分のような経口的に許容可能な賦形剤を表し、これは人間を含む温血動物に害をもたらさないものであろう。担体は、送達システムとの重要な相互作用を起こすことなく混合されることが可能な組成物の成分をさらに含む。
【0072】
本発明の一実施形態において、食用組成物は、活性成分の延長された放出(例えば典型的には少なくとも15分間)を有するチューインガム組成物である。チューインガム組成物は、チューインガムベースと、封入材料および少なくとも1種のカプセルに封入された活性成分、例えば甘味料または風味料を含む本発明の送達システムとを含む。送達システムは、チューインガム組成物の全重量に基づいて約0.2重量%〜10重量%の量で存在し、0.5、1.0、2.0、3.0、4.0、5.0、6.0、7.0、8.0、9.0重量%およびそれらの間のすべての数値および部分的範囲を含み、例えば約1重量%〜5重量%で存在する。
【0073】
本発明は、当該技術分野で既知のチューインガム組成物を調製する様々な工程で組み込まれてよい。このようなチューインガム組成物は、チューインガム製品を製造するために典型的に用いられる様々な異なった配合物であってもよく、またそれらを含んでもよい。典型的には、チューインガム組成物は、噛むことのできるガムベース部分(本質的に水を含まず、非水溶性である)および水溶性バルク部分を含む。
【0074】
水溶性部分は、噛みくだく間にわたってガムベース部分から一般的に放出される。ガムベース部分は噛みくだきの間中、口中で保持される。非水溶性ガムベースは、一般に、エラストマー、エラストマー溶剤、可塑剤、ワックス、乳化剤、および無機フィラーを含む。プラスチックポリマー、例えばポリビニルアセテートは多少可塑剤として作用するが、これらもまた含まれる。用いられてもよい他のプラスチックポリマーは、ポリビニルラウレート、架橋ポリビニルピロリドンおよびポリヒドロキシアルカノエートを含む。
【0075】
エラストマーは、ガムベースの約5重量%〜95重量%を構成してもよい。別の実施形態では、エラストマーは、ガムベースの約10重量%〜70重量%を構成してもよく、別の実施形態では、ガムベースの15重量%〜45重量%を構成してもよい。エラストマーの例は、合成エラストマー、例えばポリイソブチレン、ポリブチレン、イソブチレン−イソプレンコポリマー、スチレン−ブタジエンゴムコポリマー、ポリビニルアセテートなどを含む。エラストマーはまた、天然エラストマー、例えば天然ガム、例えばジェルトン、レチカスピ(lechi caspi)、ペリロ(perillo)、マッサランドババラタ、チクル、グッタペルカと同様に天然ゴム、またはこれらの組合せを含んでよい。他のエラストマーは、当業者に知られたものである。
【0076】
エラストマー可塑剤は、ガムベースで使用される際、完成したガムの固さを修正する。エラストマー可塑剤は、典型的にはガムベースの75重量%以下の量で存在する。別の実施形態では、エラストマー可塑剤は、ガムベースの約5重量%〜45重量%の量で存在し、別の実施形態では、ガムベースの約10重量%〜30重量%の量で存在する。エラストマー可塑剤の例は、天然ロジンエステル、例えば部分的に水添されたロジンのグリセロールエステル、タル油ロジンのグリセロールエステル、部分的に水添されたロジンのペンタエリトリトールエステル、ロジンのメチルエステルおよびロジンの部分的に水添されたメチルエステルなどを含む。合成エラストマー可塑剤、例えばテルペン樹脂もまた、ガムベース組成物中で使用されてもよい。
【0077】
ワックスは、合成および天然産ワックス、例えばポリエチレン、蜜蝋、カルナウバ蝋およびその他同種のものを含む。パラフィンワックス、例えばパラフィンもまた、使用してもよい。ワックスは、ガムベースの30重量%以下の量で存在してもよい。ワックスは、完成したガムの硬化を支援し、香味料の放出を改善するのを手助けし、製品の寿命をさらに延長することができる。
【0078】
エラストマー溶剤は多くの場合テルペン樹脂のような樹脂剤である。可塑剤、時には軟化剤ともいわれるが、これは典型的にはタロー、水添植物油、およびカカオバターを含む油脂である。
【0079】
ガムベースは、典型的にはフィラー成分をさらに含む。フィラー成分は、ガムベースのテクスチャーおよび補助処理を修正する。このようなフィラーの例は、ケイ酸マグネシウムおよびケイ酸アルミニウム、クレー、アルミナ、タルク、酸化チタン、セルロースポリマーなどを含む。フィラーは、典型的には、1重量%〜60重量%の量で存在する。
【0080】
乳化剤は、時には可塑特性を有するが、これはグリセロールモノステアレート、レシチン、およびグリセリントリアセタートを含む。さらに、ガムベースはまた、任意の成分、例えば酸化防止剤、着色剤、および香味料を含んでもよい。
【0081】
不溶性ガムベースは、チューインガムの約5重量%〜95重量%の量で存在してもよい。一実施形態では、不溶性ガムベースは、ガムベースの約10重量%〜50重量%の量で存在してよく、別の実施形態では、ガムベースの約20重量%〜40重量%の量で存在してよい。
【0082】
軟化剤は、ガムの噛み性およびマウスフィールを最適化するためにチューインガムに加えられる。軟化剤は、可塑剤または可塑化剤として当該分野で知られているが、チューインガム組成物の全重量に基づいて約0.5重量%〜15重量%の量で一般的に存在する。本発明で思考された軟化剤は、例えば、レシチンを含む。さらに、水性甘味料溶液、例えばソルビトール、水添デンプン加水分解物、コーンシロップ、およびこれらの組合わせを含むものは、ガム中で軟化剤および結合剤として使用されてもよい。
【0083】
本発明のチューインガム組成物は、コーティングされているかあるいはコーティングされていなくてもよく、スラブ、スティック、ペレット、ボールおよびその他同種の形態であってよい。チューインガム組成物の異なった形態の組成物は、同様であるが、成分の比率に応じて異なってもよい。例えば、コーティングされたガム組成物は、より低い割合の軟化剤を含んでよい。ペレットおよびボールは、小さなチューインガム芯を有し、次いで、固い外殻を形成するために糖溶液あるいは無糖溶液のいずれかでコーティングされている。スラブとスティックは、チューインガム芯よりより柔らかいテクスチャーとなるように通常配合される。
【0084】
本発明のチューインガム組成物の一態様に従って、送達システムは、チューインガム組成物の製造中に加えられる。本発明の別の態様では、送達システムは、最後の工程の1つとして、例えばチューインガム組成物の形成における最後の工程で加えられる。出願人は、この工程の変更が、送達システムがガムベースと直接混合される場合、生じるかもしれないような送達システムの実質的な結合を生じることなく、ガム組成物中に送達システムを組み込むことを見出した。したがって、送達システムは、ガム組成物内部に単に自由に含まれるとはいえ、典型的な噛む動作の間に、より効果的に活性成分を放出することができる。したがって、送達システムの重要な部分には、ガムベースおよび対応するチューインガム成分は存在しない。
【0085】
チューインガム組成物にコーティングを適用するためのコーティング技術として、例えばパンコーティングおよびスプレーコーティングがよく知られている。一実施形態では、ハードキャンディー層を形成するのに適した溶液を用いたコーティングを使用することができる。糖と糖アルコールの両方は、高甘味度甘味料、着色剤、風味料および結合剤と共にこの目的のために使用されてもよい。
【0086】
他の構成材料は、コーティングシロップに小量加えられてもよく、それらは湿気吸収化合物、粘着防止化合物、分散剤およびフィルム形成剤を含んでもよい。コーティングシロップに使用するに適する湿気吸収化合物は、マンニトールまたはリン酸二カルシウムを含む。有用な粘着防止化合物の例は、フィラーとして機能してもよいものであるが、タルク、三ケイ酸マグネシウムおよび炭酸カルシウムを含む。これらの成分は、シロップの約0.5重量%〜5重量%の量で使用されてもよい。分散剤の例は、コーティング・シロップ中で使用されてもよいものであるが、二酸化チタン、タルクあるいは上記で述べた他の粘着防止化合物を含む。
【0087】
コーティングシロップは通常加熱され、その一部は芯に堆積される。通常、コーティングシロップの単一堆積物は、所望のコーティング量または厚さを提供するのには十分ではない。二層、三層以上のコーティングシロップの被覆は、中間被膜を乾燥させられる層を有する所望のレベルでコーティングの重量と厚さを形成するために適用されてもよい。
【0088】
本発明のチューインガム組成物を調製する方法は、当該技術分野で既知の任意の市販で入手可能な混合機に本発明の送達システムを含む様々なチューインガム成分を連続して加えることにより提供される。成分が完全に混合された後、ガムベースは、混合機から放出され、例えばシートに延ばしたり、スティックに切断したり、塊に成型したり、あるいはペレットにケーシングすることにより、所望の形態に形作られる。
【0089】
一般に、成分は、最初にガムベースを溶融し、稼働している混合機にそれを加えることにより混合される。ガムベースはまた、混合機自体の中で溶融される。着色剤または乳化剤はまた、この時に加えてもよい。軟化剤は、シロップおよび増量剤の一部とともに、混合機にこの時加えてもよい。次いで、増量剤のさらなる一部が、混合機に加えられる。風味料は、増量剤の最終部分と共に典型的には加えられる。最後に、あらかじめ決定された引張強度を示す送達システムが、得られた混合物に加えられる。他の任意の成分は、当業者によく知られた典型的な方法であるバッチで加えられる。
【0090】
混合方法全体は、典型的には5〜15分かかるが、もっと長い混合時間を必要としてもよい。当業者は、上記方法の多くの変更が行われてよいことを認識するであろう。
【0091】
成分が混合された後、ガム塊は、様々な形状および製品に成形されてよい。例えば、成分は、ペレットまたはボールに成形され、コーティングされたチューインガム製品を製造するため芯として使用されてもよい。しかしながら、任意のタイプのチューインガム製品は、本発明と共に役立てることができる。
【0092】
コーティングされた製品を所望する場合、コーティングは、風味料、人工甘味料、分散剤、着色剤、フィルム形成剤および結合剤などの成分を含んでよい。本発明によって意図された風味料は、当該技術分野で一般に知られているもの、例えば精油、人工香味料、またはこれらの混合物を含むが、これらに限定されず、植物および果物に由来した油剤、例えばシトラス油、果実精、ハッカ油、スペアミント油、他のミント油、チョウジ油、ウインターグリーン油、アニスおよびその他同種のものを含む。風味料はまた、コーティングが、香料について約0.2重量%〜1.2重量%の量で存在してもよいような量でコーティングシロップに加えられてもよい。別の実施形態では、コーティングは、より好ましくは香料について約0.7重量%〜1.0重量%の量で存在してもよい。
【0093】
分散剤は、コーティングを白色化し粘着性を低下させる目的で、シロップにしばしば加えられる。コーティングシロップで使用される本発明により意図された分散剤は、二酸化チタン、タルク、または任意の他の付着防止化合物を含む。分散剤は、コーティングが、約0.1%〜1.0%を含むような量で、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9およびそれらの間のすべての数値と範囲を含み、例えば剤について約0.3重量%〜0.6重量%の量でコーティングシロップに加えられてよい。
【0094】
着色剤は、色素かレーキ形態でコーティングシロップに直接加えられてもよい。本発明により意図された着色剤は、食物品質色素を含む。フィルム形成剤は、コーティングシロップに加えられてよく、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロースなどまたはこれらの組合わせを含む。結合剤は、チューインガムの中心への最初のコーティングとして加えられてよく、あるいはコーティングシロップに直接加えられてもよい。本発明により意図された結合剤は、アラビアゴム、ガムタルハ(gum talha)、ゼラチン、植物ガムなどを含む。結合剤は、コーティングシロップに加えられる際、約0.5重量%〜10重量%の量で典型的には加えられる。
【0095】
本発明は、本発明の送達システムを含む菓子組成物をさらに包含する。菓子組成物は、例えば、圧縮錠剤、例えばミント、ハードボイルドキャンディー、チョコレート、チョコレート含有製品、栄養バ一、ヌガー、ゲル剤、センターフィル菓子、フォンダン、パニング商品、消費可能な薄膜、および菓子組成物で一般に受け入れられている定義内にある他の組成物を含む。
【0096】
ミントのような圧縮タブレットの形態である菓子組成物は、細くふるい分けされた糖あるいは糖代替品、香料(例えばペパーミントフレーバー)、増量剤、例えばアラビアゴム、および任意の着色剤を組み合わせることにより一般的に製造されている。香料、増量剤は組み合わせられ、次いで、もし必要ならば、糖または糖代替品は、着色剤と共に徐々に加えられる。
【0097】
次いで、製品は、所望のメッシュサイズのふるい(例えば12のメッシュ)を通すことにより粒状になり、次いで、約55℃〜60℃の温度で典型的には乾燥される。得られた粉末は、大きなサイズのパンチが取り付けられたタブレット成形機に供給され、また、得られたペレットは、顆粒に砕かれて、次いで圧縮される。
【0098】
高濃度のボイルドキャンディーは、典型的には糖または糖代替品、グルコース、水、香料および任意の着色剤を含む。糖は水で溶解され、次いでグルコースが加えられる。この混合物は、沸騰させられる。得られた液体は、あらかじめ着色剤を加えられていてもよいが、油状スラブに注がれ冷却される。香料は、次いで、冷却された塊に加えられ練り混ぜ合わされる。次いで、得られた混合物は、当該技術分野で最終のハードキャンディーの形状を形成するのに知られているドロップローラーアセンブリに供給される。
【0099】
ヌガー組成物は、典型的には2つの主成分、高濃度のボイルドキャンディーおよびフラッペを含む。例として、卵白あるいはその代用品は水と組合わせて、軽い泡を形成するよう泡立てられる。砂糖とグルコースは水に加えられ、典型的には約130℃〜140℃の温度に沸騰させられる。得られた沸騰製品は混合機に注がれて、クリーム状になるまで強くかき混ぜられる。
【0100】
強くかき混ぜた卵白および香料は、クリーム状製品と組み合わせられ、その後組合わせたものは完全に混合される。
【0101】
菓子組成物の調製に関するさらなる説明は、参照により本明細書中に援用する、Skuse’s Complete Confectioner(13版)(1957)、pp. 41-71, 133-144,および255-262;およびSugar Confectionery Manufacture(2版)(1995)、E.B. Jackson編、pp. 129-168, 169-188, 189-216, 218-234および236-258のそれぞれに見られる。
【0102】
[実施例]
[実施例1]
以下の研究は、本発明の送達システムの一実施形態の全体的な引張強度への油剤あるいは油脂の存在の影響を示すものである。高い引張強度送達システムの放出速度が、一般的に、低い引張強度配合物の放出速度よりも遅くなるように、活性成分(すなわちアスパルテーム)の放出速度は、引張強度の変動により影響される。比較的多量の油剤または油脂が使用される場合、送達システムの引張強度は、一般的に低下し、活性成分の放出速度を増大させる。反対に、少ない量の油脂または油剤は、高い引張強度送達システムに典型的には使用され、低い放出速度を示す。
【0103】
[実験手順]
[送達システムの調製]
様々な量のポリビニルアセテート、および油剤または油脂を含む高甘味度甘味料(すなわちアスパルテーム)を送達するための4つの送達システムを、表1で表わされる配合に従って調製した。
【0104】
【表1】

【0105】
ポリビニルアセテートを、連続押出機で約110℃の温度で溶融させた。水素添加油およびグリセロールモノステアレート(油脂)を、溶融したポリビニルアセテートに加えた。次いで、得られた混合物にアスパルテームを加え、成分を完全に分散させるために高剪断力下で混合した。得られた押出物を冷却し、次いで、活性成分としてカプセルに封入された高甘味度甘味料アスパルテームを含む対応する送達システムを製造するために、420ミクロン未満の粒子サイズに分類した。最終送達システムの各々の引張強度をASTM標準D638−02aに従って測定し、表1に示した。
【0106】
表1に示したように、封入材料(ポリビニルアセテート)の一部が油脂(fats and oils)と交換されると、油脂の添加は送達システムの引張強度に2つの効果を及ぼすことを示している。送達システムNo.3と送達システムNo.4の比較で示されるように、5重量%のポリビニルアセテートを対応する量の油脂に交換すると、引張強度が急増している。ポリビニルアセテートの交換が10重量%であると、引張強度は著しく低下するが、油脂のない送達システム(送達システムNo.3)のレベル以上の引張強度にとどまっている。油脂が比較的大量(すなわち20重量%)に使用されると、この送達システムは、送達システムNo.3と比較して、とても低い引張強度を示す傾向がある。
【0107】
[チューインガムの調整]
3つのサンプルチューインガム組成物を、表2に示した成分を使用し、表1に示した送達システムNo.1〜3を組み込んで調製した。
【0108】
【表2】

【0109】
チューインガム組成物を以下のように調製した。ガムベースを混合機で適温で溶融させた。次いで、残りの成分を、溶融ガムベースに加え、成分が完全に分散するまで混合した。得られたチューインガム組成物を分類して、約1週間コンディショニングし、人間の被験者のプールを使用して評価した。それぞれの人間の被験者は、表2に示したそれぞれのサンプルを噛み、30分間にわたり10分間隔で各サンプルの甘味強度を評価することにより、チューインガム組成物を試験するように依頼された。得られたデータを、図1に示す。
【0110】
[結果]
図1に示したように、油脂のない送達システムNo.3で調製されたガム3は、ある濃度の油脂を有する送達システムをそれぞれ含むガム1および2と比較して、各々の間隔で測定した高い甘味料強度で長時間の甘味料放出を与えた。送達システムNo.1から調製されたガム1は、いくぶん高い油脂含有量のために最低の引張強度を示したが、これは比較的短い時間の甘味料放出を有し、10分間隔のそれぞれで測定した場合に最初の放出の後に最低の甘味料強度を示した。
【0111】
実施例1に従って調製されたチューインガム組成物の各々を、異なった活性成分を各々含む1つ以上の追加の送達システムを含むように容易に修正できることが理解されるであろう。
【0112】
[実施例2]
以下の研究では、送達システムの引張強度と封入された活性成分の放出速度との関係を検討した。油脂または油剤の存在は、送達システムの引張強度を修正するために変えられ、それによって、封入された活性成分の放出速度は、所望のように調整することができる。
【0113】
[実験手順]
[送達システムの調整]
4つの送達システムを表3に示した成分を使用して調製した。
【0114】
【表3】

【0115】
上記の送達システム(すなわち送達システムNo.4〜7)を、以下の方法で調製した。ポリビニルアセテート封入材料を、連続押出機で約110℃の温度で溶融した。水素添加油とグリセロールモノステアレートを溶融した封入材料に加えた。次いで、得られた混合物に甘味料を加えた。成分を完全に分散させるために、混合物を高剪断力下で完全に混合し押出物を得た。混合した押出物は、その後冷却され、約600ミクロン未満の粒子サイズを有するそれぞれの送達システムの粒子を得るため粉砕された。送達システムは、ポリビニルアセテートの量および強度と、油脂および他の成分の量とに一部基づいて、特定の引張強度を示すために各々配合された。各々の送達システムNo.4〜7の引張強度を、表3に示す。
【0116】
[チューインガムサンプルの調製]
本明細書中でガム4および5と呼ばれる2種類のチューインガム組成物の試験サンプルを、下記表4に示した成分と共に調製し配合した。ガム4を、比較的低い引張強度送達システムを有するチューインガムを得るために規定された量で、表3に示した送達システムNo.5および6と組合わせて配合した。ガム5を、比較的高い引張強度送達システムを有するチューインガムを得るために規定された量で、送達システムNo.4および7と組合わせて配合した。
【0117】
【表4】

【0118】
上記の試験サンプルチューインガムを、各々以下の方法で調製した。ガムベースを混合機で溶融した。残りの成分を溶融ガムベースに加えた。溶融ガムベースを、成分を完全に分散させるため混合した。得られたチューインガムを冷却した。冷却したチューインガムを分類し、約1週間コンディショニングした。
【0119】
実施例2に従って調製されたチューインガム組成物の各々を、異なった活性成分を各々含む1つ以上の追加の送達システムを含むように容易に修正できることが理解されるであろう。
【0120】
[パネル評価の説明]
[甘味および苦味強度分析]
人間の被験者のプールは、経時的なチューインガム試験サンプルの甘味強度を試食し評価するために集められた。各々の被験者は、30分間にわたり試験サンプルガム4および5を噛むことにより試験をするように依頼された。各5分間隔で、被験者は、試験したチューインガムの知覚された甘味強度を、1〜10のスケールで評価するように依頼された。結果を図2に示す。
【0121】
噛む間に被験者により知覚される甘味強度を測定する他に、被験者は、噛むことで知覚された苦味強度もまた同様の1〜10のスケールで評価するように依頼された。結果を図4に示す。
【0122】
[残留甘味料分析]
被験者により噛まれたチューインガムはまた、ガム食塊に残っている残留甘味料の量を測定するために、5分間隔で化学分析された。5分ごとに30分間にわたり、チューインガムの食塊は各被験者から回収され、高性能液体クロマトグラフィー(HPLC)により分析された。結果を図3に示す。
【0123】
[結果]
[パネル結果の説明:]
図2に示したように、低い引張強度送達システムを有するガム4の知覚された甘味強度は、高い引張強度送達システムを有するガム5より、30分間にわたり著しく急速に減少した。図2に示されたデータから、高引張強度送達システムは、チューインガムからの甘味料放出の期間を延長する傾向がある。
【0124】
図4に示したように、結果は、高い引張強度送達システムを有するガム5が、ガム4(すなわち、低い引張強度送達システム)よりも比較的高い、初期の知覚された苦味強度を示すことを表している。しかしながら、次の20分間にわたり、ガム5(高い引張強度)で知覚された苦味は、時間がたつにつれて減少したが、一方、知覚された苦味(低い引張強度)は時間がたつにつれて増加し、ガム5の苦味強度を超えるほど残った。結果は、甘味料の放出速度が、チューインガム組成物中に通常存在しうる本来の苦味風味の知覚に影響することを示している。ガム5(高い引張強度)における甘味料の遅い放出速度は、25分間にわたり味のマスキングの持続時間を延長して、それにより、ガム4(低い引張強度)と比較して、苦味の知覚を減少させた。
【0125】
[人間が噛んで吐き出した/残留アスパルテーム]
図3で示したように、比較的低い引張強度の送達システムを有するガム4は、30分間にわたり比較的高い引張強度の送達システムを有するガム5よりも、高い甘味料放出速度を示した。従って、送達システムの引張強度を高めることにより、甘味料の放出速度の低下を達成することができる。反対に、送達システムの引張強度を減少させることは、甘味料の放出速度を増加させる。比較的低い引張強度送達システムを有するチューインガム4は、比較的高い引張強度送達システムを有するガム5と比較して、噛み砕いたガムの塊中の残留アスパルテーム量が低いことをさらに示した。したがって、データは、高い引張強度送達システムが、甘味料の遅い放出速度を一般的に与えることを示している。図3に示された結果は、甘味料の速い放出が、時間がたつにつれてガム中に保持される甘味料を少なくするという点で図2に示された結果と一致している。
【0126】
ここで行わない考察は、本発明の単に典型的な実施形態を開示し記載する。当業者は、様々な変化、改良および変更は、請求項に定義された本発明の思想および範囲から外れることなく実施できることを、このような考察、およびそれに伴う請求項から、容易に認識するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
封入材料内に封入された少なくとも1種の活性成分を含む送達システムの製造方法であって、
水素添加油、グリセロールモノステアレート、ワックス、トリアセチン、グリセリン、ロジンエステル、およびこれらの組合わせからなる群から選択される引張強度修正剤を送達システムに配合することによって、送達システムの引張強度を少なくとも6,500psi(44.8MPa)に調整する工程を含む、
製造方法。
【請求項2】
前記送達システムの引張強度が、6,500psi(44.8MPa)〜200,000psi(1379MPa)に調整される、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記封入材料が、ポリビニルアセテート、ポリエチレン、架橋ポリビニルピロリドン、ポリメチルメタクリレート、ポリ乳酸、ポリヒドロキシアルカノエート、エチルセルロース、ポリビニルアセテートフタレート、ポリエチレングリコールエステル、メタクリル酸−co―メチルメタクリレートおよびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記封入材料が、前記送達システムの全重量に基づいて30重量%〜99重量%の量で使用される、請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記封入材料が、前記送達システムの全重量に基づいて60重量%〜90重量%の量で使用される、請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記活性成分が、甘味料、酸、風味料、医薬品、治療薬、ビタミン、口臭消し、冷却剤およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項1記載の方法。
【請求項7】
前記活性成分が、高甘味度甘味料である、請求項1記載の方法。
【請求項8】
前記活性成分が甘味料であり、かつアミノ酸ベースの甘味料、ジペプチド甘味料、グリシルリジン、サッカリン、サッカリン塩、アセスルファム塩、シクラマート、ステビオシド、タリン、ジヒドロケイロン化合物、塩素化スクロースポリマー、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項6記載の方法。
【請求項9】
前記高甘味度甘味料が、ネオテーム、アスパルテーム、スクラロース、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項7記載の方法。
【請求項10】
前記活性成分が、前記送達システムの全重量に基づいて1重量%〜70重量%の量で使用される、請求項6記載の方法。
【請求項11】
前記活性成分が、前記送達システムの全重量に基づいて10重量%〜40重量%の量で使用される、請求項1記載の方法。
【請求項12】
前記引張強度修正剤が、水素添加油である、請求項1記載の方法。
【請求項13】
前記引張強度修正剤が、前記送達システムの全重量に基づいて40重量%以下の量で使用される、請求項1記載の方法。
【請求項14】
前記送達システムが粒子または顆粒の形態である、請求項1記載の方法。
【請求項15】
前記粒子または顆粒が、600ミクロン以下の粒径を有する、請求項14記載の方法。
【請求項16】
前記粒子または顆粒が、75〜600ミクロンの粒径を有する、請求項15記載の方法。
【請求項17】
請求項1から16のいずれか一項記載の方法に従って送達システムを製造する工程、及び
少なくとも1種の食用組成物形成成分に、前記送達システムを配合する工程
を含む、食用組成物の製造方法。
【請求項18】
前記食用組成物が、チューインガム組成物、食品、菓子組成物、医薬品組成物、飲料、食物、栄養素含有組成物、栄養補助食品、およびこれらの組合わせからなる群から選択される、請求項17記載の方法。
【請求項19】
前記封入材料が、前記食用組成物の全重量に基づいて0.2重量%〜10重量%の量で使用される、請求項17記載の方法。
【請求項20】
前記食用組成物がチューインガム組成物であり、かつ少なくとも1種の食用形成成分がガムベースを含む、請求項18記載の方法。
【請求項21】
前記組成物が菓子類であり、かつ菓子担体を含む、請求項18から20のいずれか一項記載の方法。
【請求項22】
同一または類似の活性成分と前記活性成分の既知の放出速度を有する、少なくとも1つのサンプル送達システムの引張強度との比較に基づいて、ターゲット送達システムのあらかじめ選択された引張強度が得られる、請求項1から16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
複数のサンプル送達システムとの比較に基づいて、あらかじめ選択された引張強度を得ることをさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項24】
(a)少なくとも1種の活性成分と少なくとも1種の封入材料を含む複数のサンプル送達システムであって、前記サンプル送達システムの各々が異なった引張強度を有する、複数のサンプル送達システムを得る工程;
(b)前記活性成分のそれぞれの放出速度を決定するために、前記サンプル送達システムを試験する工程;および
(c)前記サンプル送達システムに基づいた前記活性成分の所望の放出速度に対応する引張強度を有する、同一または類似の活性成分を含む前記ターゲット送達システムを配合する工程
をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項25】
食用組成物中の少なくとも1種の活性成分のための所望の放出速度を決定する工程;
前記所望の放出速度に関連した引張強度を決定する工程;および
少なくともある程度の引張強度に基づいて、少なくとも1種の活性成分のためのターゲット送達システムを配合する工程
をさらに含む、請求項22記載の方法。
【請求項26】
前記ターゲット送達システムが、少なくとも1種の添加剤を含む、請求項25記載の方法。
【請求項27】
複数の異なった活性成分の各々についての複数の放出速度の各々に対する異なった引張強度を関係づける工程
をさらに含む、請求項25記載の方法。
【請求項28】
前記送達システムの前記引張強度が、少なくとも10,000psi(68.95MPa)である、請求項1記載の方法。
【請求項29】
前記送達システムの前記引張強度が、少なくとも22,000psi(151.69MPa)である、請求項1記載の方法。
【請求項30】
前記送達システムの前記引張強度が、少なくとも24,000psi(165.48MPa)である、請求項1記載の方法。
【請求項31】
前記送達システムの前記引張強度が、少なくとも42,000psi(289.59MPa)である、請求項1記載の方法。
【請求項32】
前記組成物が少なくとも2つの送達システムを含む、請求項17記載の方法。
【請求項33】
少なくとも2つの送達システムの各々が、少なくとも2種の異なった活性成分を含む、請求項32記載の方法。
【請求項34】
少なくとも1種の活性剤が甘味料であり、かつ第2の活性剤が風味料である、請求項32記載の方法。
【請求項35】
少なくとも2つの送達システムの各々が、異なった引張強度を有する、請求項31記載の方法。
【請求項36】
前記引張強度修正剤が、前記送達システムの5重量%までの量で使用される、請求項1記載の方法。
【請求項37】
前記封入材料が、80000から100000の分子量を有するポリビニルアセテートである、請求項1に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−152134(P2011−152134A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−39906(P2011−39906)
【出願日】平成23年2月25日(2011.2.25)
【分割の表示】特願2006−541237(P2006−541237)の分割
【原出願日】平成16年11月22日(2004.11.22)
【出願人】(508351303)クラフト・フーズ・グローバル・ブランズ・エルエルシー (28)
【Fターム(参考)】