説明

ある種の抗菌性N−ホルミルヒドロキシルアミン化合物の製造に有用な中間体の製造法

本発明は、ペプチドデホルミラーゼ阻害剤である、ある種の抗菌性N−ホルミルヒドロキシルアミン化合物の製造に有用な、中間体の製造法に関する。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
本発明は、ある種の抗菌性N−ホルミルヒドロキシルアミン化合物の製造に有用な中間体の製造法に関する。
【0002】
ペプチドデホルミラーゼは、細菌のような原核生物に見られるメタロペプチダーゼである。原核生物でのタンパク質合成はN−ホルミルメチオニン(fMet)で開始する。タンパク質合成開始後、該ホルミル基は酵素ペプチドデホルミラーゼ(PDF)により除去され;この活性はタンパク質成熟に必須である。PDFは細菌増殖に必須であることが示されている。Chang et al., J. Bacteriol., Vol. 171, pp. 4071-4072 (1989);Meinnel et al., J. Bacteriol., Vol. 176, No. 23, pp. 7387-7390 (1994);Mazel et al., EMBO J., Vol. 13, No. 4, pp. 914-923 (1994)参照。真核生物でのタンパク質合成が開始をfMetに依存していないため、PDFを阻害するであろう薬剤は新規抗微生物および抗菌剤の開発に魅力的な候補である。
【0003】
2002年6月14日出願の同時係属出願番号10/171,706(その全体を引用により本明細書に包含する)、WO02/102790A1として公開されたPCT対応特許は、PDFを阻害し、したがって抗菌剤として有用である新規N−ホルミルヒドロキシルアミン化合物を記載する。そこに記載の化合物は、下記により詳述する、ある種のN−[1−オキソ−2−アルキル−3−(N−ヒドロキシホルムアミド)−プロピル]−(カルボニルアミノ−アリールまたは−ヘテロアリール)−アザシクロ4−7アルカンまたはチアザシクロ4−7アルカンである。これらのN−[1−オキソ−2−アルキル−3−(N−ヒドロキシホルムアミド)−プロピル]−(カルボニルアミノ−アリールまたは−ヘテロアリール)−アザシクロ4−7アルカンまたはチアザシクロ4−7アルカンを製造するために有用な中間体を製造するための改善された方法を発見した。
【0004】
本発明は、細菌の阻害に有用なある種のN−ホルミルヒドロキシルアミン化合物の製造に有用なある種の中間体を製造するための新規方法に関する。
【0005】
より具体的に、本発明は、式(VII)
【化1】

の化合物の製造法であって、
工程1A:
式(I)
【化2】

の化合物と塩基を適当な溶媒中、化合物(I)の遊離塩基、すなわち、式(II)
【化3】

の化合物を形成させるために接触させ、
【0006】
続いて工程1B:
化合物(II)と強求核原子/弱塩基を適当な溶媒中、式(III)
【化4】

の化合物を形成させるための条件下で接触させ、
【0007】
続いて工程2A:
化合物(III)とホルミル化剤を適当な溶媒中、式(IV)
【化5】

の化合物を形成させるのに適した条件下で接触させ、
【0008】
続いて工程2B:
化合物(IV)とアミンまたはアルカリ金属水酸化物を適当な溶媒中、式(V)
【化6】

の化合物を形成させるための条件下で接触させ、
【0009】
続いて工程3:
化合物(V)と式(VI)
【化7】

の化合物を、適当な塩基および1個またはそれ以上のカップリング剤の存在下、適当な溶媒中、式(VII)の化合物を形成させるための条件下で接触させることを含む、方法
【0010】
〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成し;
Gは−O金属または−OH・アミンであり;
Xは−CH−、−S−、−CH(OH)−、−CH(OR)−、−CH(SH)−、−CH(SR)−、−CF−、−C=N(OR)−または−CH(F)−であり;Rはアルキルであり;
はアリールまたはヘテロアリールであり;
Zは強有機もしくは無機酸であり;そして
nは0−3である。ただし、nが0であるとき、Xは−CH−である。〕
に関する。
【0011】
所望の生成物が窒素ヘテロ原子を有する芳香族性部分のN−オキシド、典型的にピリジン誘導体であるとき(例えば、Rが式X、XaまたはXbであるとき)、工程3の後に付加的工程、すなわち、芳香環のNを酸化するための工程(工程4)を行う必要がある。故に、本発明は、対応するN−オキシド誘導体を形成させるために式(VII)(式中、RはNヘテロ原子を有するヘテロアリールである)の化合物と酸化剤を接触させる工程4を含む。
【0012】
工程1A−4を含む上記方法に加えて、本発明は、各工程個々および任意の2個またはそれ以上の連続工程に関する。
【0013】
特に、本発明は、N−[1−オキソ−2−アルキル−3−(N−ヒドロキシホルムアミド)−プロピル]−(カルボニルアミノ−アリールまたは−ヘテロアリール)−アザシクロ4−7アルカンまたはチアザシクロ4−7アルカン、例えば、式(VIII)
【化8】

〔式中、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記で定義の通りである。〕
の化合物の製造に有用な中間体の製造法を提供する。
【0014】
式(VII)の化合物を式(VIII)の化合物に変換するために、ヒドロキシ保護基を、当分野で既知の慣用の水素化分解法を使用して、例えば、式(VII)の化合物とPd/BaSOのようなパラジウム触媒を接触させることにより(WO02/102790A1参照)、除去する。
【0015】
部分はヘテロアリール、例えば、アザシクロ4−7アルカン、チアザシクロ4−7アルカンまたはイミダザシクロ4−7アルカンであってよい。本明細書に記載の化合物中のR部分の具体例は、式(X)
【化9】

〔式中、R、R、RおよびRの各々は独立して水素、アルキル、置換アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、SCN、ハロゲン、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、フェニル、ヘテロアルキルアリール、アルキルスルホニルまたはホルミルである。〕
のヘテロアリールである。
【0016】
部分の例は、式(Xa)
【化10】

〔式中、R、R、RおよびRは式(X)に関して上記で定義の通り、例えば、
a)Rはニトロ、アルキル、置換アルキル、フェニル、ヒドロキシ、ホルミル、ヘテロアルキルアリール、アルコキシ、アシルまたはアシルオキシであり;好ましくはアルキル、とりわけC1−7アルキル;ヒドロキシル;またはアルコキシ、とりわけC1−7アルコキシであり;そして
、RおよびRは水素であるか;または
b)R、RおよびRは水素であり;そして
はアルキル、置換アルキル、フェニル、ハロゲン、アルコキシまたはシアノ、好ましくはアルキル、とりわけC1−7アルキル;置換アルキル、とりわけ−CFのような置換C1−7アルキル;またはアルコキシ、とりわけC1−7アルコキシであるか;または
c)R、RおよびRは水素であり;そして
はアルキル、置換アルキル、ハロゲン、ニトロ、シアノ、チオアルコキシ、アシルオキシ、フェニル、アルキルスルホニルまたはカルボキシアルキル、好ましくはアルキル、とりわけC1−7アルキル;置換アルキル、とりわけ−CF;ハロゲン;またはカルボキシアルキルであるか;または
d)R、RおよびRは水素であり;そして
はアルキル、ハロゲンまたはヒドロキシであるか;または
e)RおよびRは水素であり;そして
およびRの各々は独立してハロゲン、アルキル、置換アルキル、フェニルまたはシアノであるか;または
f)RおよびRの各々はアルキルまたは置換アルキルであり;そして
およびRは水素であるか;または
g)RおよびRは水素であり;
はアルキルまたは置換アルキルであり;そして
はニトロであるか;または
【0017】
h)RおよびRは水素であり;
はシアノであり;そして
はアルコキシであるか;または
i)RおよびRは水素であり;そして
はアルキル、置換アルキル、アルコキシまたはSCNであり;そして
はアルキルまたは置換アルキルであるか;または
j)RおよびRは水素であり;
はニトロまたはハロゲンであり;そして
はアルキルまたは置換アルキルであるか;または
k)R、R、RおよびRは水素であるか;または
l)RおよびRはそれらが結合している炭素原子と一体となって、好ましくはヒドロキシで置換されたフェニル基を形成し;そして
およびRは水素であるか;または
m)RおよびRは水素であり;そして
およびRはそれらが結合している炭素原子と一体となってフェニル基を形成するか;または
n)nは0であるか;または
o)nは0であり;
、R、RおよびRの各々は独立して水素、アルキルまたはハロゲンであり;そして
より特に、R、R、RおよびRは水素であるか;または
p)nは0であり;
、RおよびRは水素であり;そして
はアルキルであるか;または
q)nは0であり;
、RおよびRは水素であり;そして
はアルキルまたはハロゲンである。〕
のヘテロアリールである。
【0018】
他の態様において、Rは式(Xb)
【化11】

〔式中、
、R、RおよびRは式(X)に関して上記で定義の通りである;特に、RおよびRはそれらが結合している炭素原子と一体となってフェニル基を形成し;そして
およびRは水素である〕
である。
【0019】
さらに別の態様において、Rは式(XI)
【化12】

〔式中、
、R、RおよびRの各々は独立して水素、アルキル、置換アルキル、フェニル、ハロゲン、ヒドロキシまたはアルコキシであり、例えば、
a)RおよびRは水素であり;
は水素またはアルキルであり;そして
はアルキル、置換アルキルまたはフェニルであるか;または
b)R、RおよびRは水素であり;そして
はハロゲン、アルキルまたは置換アルキルであるか;または
c)R、RおよびRは水素であり;そして
はヒドロキシである。〕
である。
【0020】
特に有用な態様において、ヘテロアリールは、式(XIa)
【化13】

〔式中、R、R、RおよびRは式(XI)に関して上記で定義の通りである。〕
である。
【0021】
他の態様において、Rは非置換フェニルであるかまたは該フェニルはアルコキシ、例えば、メトキシ;またはアリールオキシ、例えば、フェノキシで置換されている。
【0022】
他の態様において、Rは式(XII)
【化14】

〔式中、R10およびR11の各々は独立して水素またはハロゲンである。〕
である。特に、R10およびR11は両方とも水素または両方ともハロゲンのいずれかである。
【0023】
特記しない限り、本明細書で使用する下記の用語は、下記の意味を有する。
【0024】
“シクロアルカン”または“シクロアルキル”なる用語は、3−から7−環炭素原子を含み、そして例えば、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルおよびシクロヘキシルである。
【0025】
“アザシクロ4−7アルカン”なる用語は、窒素である1−環ヘテロ原子を含む。それはヘテロ原子を含んで4−7、とりわけ4−または5−環原子を含む。
【0026】
“チアザシクロ4−7アルカン”なる用語は、2−環ヘテロ原子、窒素および硫黄を含む。それはヘテロ原子を含んで4−7、とりわけ5−環原子を含む。
【0027】
“イミダザシクロ4−7アルカン”なる用語は、両方とも窒素である2−環ヘテロ原子を含む。それはヘテロ原子を含んで4−7、とりわけ5−環原子を含む。
【0028】
“アルキル”なる用語は、1−10炭素原子を有する直鎖、分枝鎖および環状基を含む、アルケニルまたはアルキニル、シクロアルキルまたは置換アルキル飽和または不飽和脂肪族基を意味する。好ましくは“アルキル”または“alk”は、それが出てきたときは常に、飽和脂肪族基またはシクロアルキル、より好ましくはC1−7アルキル、特にC1−4アルキルである。“アルキル”または“alk”の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、sec−ブチル、t−ブチル、n−ペンチル、ネオペンチル、n−ヘキシルまたはn−ヘプチル、シクロプロピルおよびとりわけn−ブチルを含むが、これらに限定されない。
【0029】
“置換アルキル”なる用語は、ハロゲン、低級アルコキシ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリールなどの置換基を含むが、これらに限定されない1個またはそれ以上の置換基、好ましくは1−3置換基で置換されているアルキル基を意味する。置換アルキル基の例は、−CF、−CF−CF、ヒドロキシメチル、1−または2−ヒドロキシエチル、メトキシメチル、1−または2−エトキシエチル、カルボキシメチル、1−または2−カルボキシエチルなどを含むが、これらに限定されない。
【0030】
“アリール”または“Ar”なる用語は、フェニルのような基を含むがこれに限定されない単環;またはナフチルもしくはアントリルのような基を含むが、これらに限定されない複数縮合環を有する6−14炭素原子の芳香族性炭素環式基を意味する;そしてとりわけフェニルである。
【0031】
“ヘテロアリール”または“HetAr”なる用語は、4−から7−員、単環式芳香族性ヘテロ環または4−から7−員、単環式芳香族性ヘテロ環とそれに縮合したベンゼン環からなる二環を意味する。本ヘテロアリールは、N、OおよびSのようなヘテロ原子を含むがこれらに限定されない少なくとも1個のヘテロ原子、好ましくは1個または2個のヘテロ原子を環内に有する。好ましいヘテロアリール基はピリジニル、ピリミジニルまたはベンズジオキソラニルである。
【0032】
本アリールまたはヘテロアリールは非置換であるか、またはC1−7アルキル、特にメチルのようなC1−4アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、アシル、アシルオキシ、SCN、ハロゲン、シアノ、ニトロ、チオアルコキシ、フェニル、ヘテロアルキルアリール、アルキルスルホニルおよびホルミルを含むがこれらに限定されない1個またはそれ以上の置換基で置換されていてよい。
【0033】
本明細書で使用する“カルボニルアミン”なる用語は、−NHC(O)−基(式中、本基のアミノ部分はアリール/ヘテロアリールに結合し、本基のカルボニル部分はアザシクロ4−7アルカン、チアザシクロ4−7アルカンまたはイミダザシクロ4−7アルカンに結合している)を意味する。
【0034】
“ヘテロアルキル”なる用語は、1個またはそれ以上のヘテロ原子を基中の主、分枝または環状鎖に含む、上記で定義の飽和または不飽和C1−10アルキル、とりわけC1−4ヘテロアルキルを意味する。ヘテロ原子は独立して−NR−(式中、Rは水素またはアルキルである)、−S−、−O−および−P−からなる群から選択され得る;好ましくは−NR−(式中、Rは水素またはアルキルである);および/または−O−である。ヘテロアルキル基は、分子の残りにヘテロ原子(原子価が利用可能であれば)または炭素原子のいずれかで結合していてよい。ヘテロアルキル基の例は、−O−CH、−CH−O−CH、−CH−CH−O−CH、−S−CH−CH−CH、−CH−CH(CH)−S−CHおよび−CH−CH−NH−CH−CH−のような基を含むが、これらに限定されない。
【0035】
本ヘテロアルキル基は非置換であるか、またはアルキル、ハロゲン、アルコキシ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシ、とりわけ、フェニルを含むが、これらに限定されない1個またはそれ以上の置換基、好ましくは1−3置換基で置換されていてよい。本基のヘテロ原子(複数もある)ならびに炭素原子は置換されていてよい。本ヘテロ原子(複数もある)も酸化形であってよい。
【0036】
本明細書で使用する“アルコキシ”なる用語は、酸素原子に結合したC1−10アルキル、または好ましくはC1−7アルコキシ、より好ましくはC1−4アルコキシを意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシおよびアリルオキシのような基を含むが、これらに限定されない。
【0037】
本明細書で使用する“アシル”なる用語は、基−(O)CR(式中、Rはアルキル、とりわけメチルのようなC1−7アルキルである)を意味する。アシル基の例は、アセチル、プロパノイルおよびブタノイルを含むが、これらに限定されない。
【0038】
本明細書で使用する“アシルオキシ”なる用語は、基−OC(O)R(式中、Rは水素、アルキル、とりわけメチルもしくはエチルのようなC1−7アルキル、またはフェニルもしくは上記で定義の置換アルキルである)を意味する。
【0039】
本明細書で使用する“アルコキシカルボニル”なる用語は、基−COOR(式中、Rはアルキル、とりわけ、メチルまたはエチルのようなC1−7アルキルである)を意味する。
【0040】
本明細書で使用する“ハロゲン”または“ハロ”なる用語は、塩素、臭素、フッ素、ヨウ素を意味し、とりわけ、フッ素である。
【0041】
本明細書で使用する“チオアルコキシ”なる用語は、基−SR(式中、Rは上記で定義のアルキルである)、例えば、メチルチオ、エチルチオ、プロピルチオ、ブチルチオなどを意味する。
【0042】
本明細書で使用する“ヘテロアルキルアリール”なる用語は、ヘテロアルキル基、例えば、アリール基、とりわけ、フェニルで置換された−O−CH−を意味する。本フェニル基それ自体、1個またはそれ以上の置換基、例えば、ハロゲン、とりわけ、フルオロおよびクロロ;およびメトキシのようなアルコキシで置換されていてよい。
【0043】
本明細書で使用する“アルキルスルホニル”なる用語は、基−SOR(式中、Rはアルキル、とりわけ、C1−7アルキルである)、例えばメチルスルホニルを意味する。
【0044】
“保護基”は、下記の特徴を示す化学基を意味する:1)良好な収率で所望の官能基と選択的に反応し、保護が望まれる計画されている反応に対して安定である保護された基質を提供する;2)保護された基質から選択的に除去可能であり、所望の官能基を産生する;そして3)存在しているまたはこのような計画している反応中に産生される他の基と適合性の試薬により良好な収率で除去できる。適当な保護基の例は、Greene et al., Protective Groups in Organic Synthesis, 3rd Edition, John Wiley & Sons, Inc., NY (1999)に見ることができる。好ましいヒドロキシ保護基はベンジル、Fmoc、TBDMS、光解離性保護基、例えばNvom、MomおよびMemを含む。他の好ましい保護基は、NPEOCおよびNPEOMを含む。
【0045】
本明細書に記載の化合物が光学異性体、ラセミ体またはジアステレオ異性体の形で存在できることは認識されよう。特に、RおよびRが異なる本明細書に記載の化合物において、RおよびR基が結合している炭素原子はキラル中心であり、このような化合物はR、Sまたはラセミ体で存在できる。本発明の方法がRの光学的に純粋な形を製造することが企図される。“光学的に純粋”は、エナンチオマーの純度が50%より大きい、好ましくは80%より大きい、より好ましくは90%より大きい、および最も好ましくは95%より大きいことを意味する。化合物(I)の光学的に純粋なR異性体を使用でき、この場合、合成におけるすべてのその後の化合物が、同じキラル炭素原子に関して、Rの光学的に純粋な形のままであろう。このような化合物(I)のR形は、下記式(Ia)
【化15】

(式中、R、R、RおよびRは上記で定義の通りである)により示される。Rが水素であり、そしてRがC2−10アルキル、より好ましくはC2−7アルキル、および最も好ましくはCアルキルである、式(I)の化合物により例示される。
【0046】
、R、およびRが水素であり、そしてRがアルキルである、光学的に純粋な式(I)の化合物により例示される;このような化合物は、構造式(Ib)
【化16】

を有する。
【0047】
例として、化合物(I)において、Rがn−ブチルであり、このような化合物は構造式(Ic)
【化17】

を有する。
【0048】
さらなる例は、R、RおよびRが水素であり、そしてRがn−ブチルである;このような化合物は、構造式(Id)
【化18】

を有する。
【0049】
あるいは、化合物(I)のラセミ体を使用することができ、そのとき、R形を後の段階で分離でき、そしてR形をその後の段階で使用する。例えば、工程3または3A後に形成される化合物をそのRSおよびSSジアステレオマーに分割でき、RSジアステレオマーをその後の段階に使用する。化合物(VII)のRSジアステレオマーは、下記で式(VIIa):
【化19】

(式中、R、R、R、R、Y、X、Rおよびnは上記で定義の通りである。ただし、RおよびRは異なる)
と記載する。
【0050】
光学異性体は当分野で既知の標準法を使用して、例えば、シリカゲルカラムクロマトグラフィーおよび酢酸エチル/ヘキサン溶媒系を使用して、分割できる。例えば、Advanced Organic Chemistry, 4th Edition, March, John Wiley and Sons, NY (1992)のChapter 4参照。
【0051】
本明細書に記載の化合物において、下記の意味が個々にまたは任意のサブコンビネーションで例となる:
1. Rが式(Xa)のヘテロアリールであり、
ここで、
、RおよびRが水素であり、そしてRがメチルまたはトリフルオロメチルであるか;または
、RおよびRが水素であり、そしてRがフルオロであるか;または
、RおよびRが水素であり、そしてRがフルオロであるか;または
、RおよびRが水素であり、そしてRがエチルまたはメトキシであるか;または
、RおよびRが水素であり、そしてRがヒドロキシであるか;または
およびRが水素であり、Rがメトキシであり、そしてRがメチルであるか;または
が式(Xb)のヘテロアリールであり、
ここで、
、RおよびRが水素であり、そしてRがフルオロまたはトリフルオロメチルであるか;または
、RおよびRが水素であり、そしてRがエチルであり;好ましくはRが式(Xa)のヘテロアリールであり、
ここで、R、RおよびRが水素であり、そしてRがエチルであるか、または式(Xb)のヘテロアリールであり、
ここで、R、RおよびRが水素であり、そしてRがフルオロである。
2. Xが−CH−、−CH(OH)−、−CH(OR)−、−CF−または−CH(F)−、好ましくはXが−CH−であり;
3. Rがアルキル、好ましくはn−ブチルのようなC1−7アルキルであり;
4. nが1である。
【0052】
温度および圧力は、本発明のすべての工程、すなわち、工程1A−4の実施に際し、重要ではあるとは認識されていない。一般に、工程のいずれに関しても、約−10℃から約150℃、典型的に約0℃から約80℃の温度を用いる。典型的に便宜のためにほぼ大気圧を使用する;しかしながら、大気圧の変動は重要であるとは認識されていない。酸素は工程に対して有害であるとは認識されておらず、したがって便宜のために種々の工程を大気中で行うことができるが、窒素またはアルゴンのような不活性雰囲気を望むならば使用できる。便宜のために等モル量の反応体または試薬を、必要に応じて、典型的に使用する;しかしながらモル比は、他の反応体/試薬に対して約1から2当量まで変化できる。種々の工程のpHは典型的に約2から約12である。種々の工程で使用する溶媒は典型的に有機溶媒であるが、ある状況下では、水性/有機溶媒を使用できる。適当な溶媒の例は、ジオキサン;塩化メチレン;ジクロロメタン;トルエン、アセトン;メチルエチルケトン;THF;酢酸イソプロピル;DMF;アルコール、とりわけ、酢酸エチル、アセトニトリル、高度に分枝したアルコール、例えばt−ブタノール;などを含む。
【0053】
工程1Aに関して、典型的な温度は約10℃から約40℃、より典型的に約15℃から約25℃であり;そして典型的な反応時間は約0.1時間から約3時間、より典型的に約0.25時間から約1時間である。pH約6からpH約10、典型的にpH約8からpH約9、より典型的にpH約9を使用する。工程1Aのための塩基は、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、アルカリ金属水酸化物、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどのような水溶性塩基である。工程1Aのための溶媒は、二相性溶媒、すなわち、水と、水と非混和性の有機溶媒、例えば、酢酸エチル、塩化メチレン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、酢酸イソプロピルなどの混合物である。溶媒の例は水/酢酸エチルである。工程1Aのための式(I)の出発化合物(すなわち、塩)を製造するために、強酸を、酢酸エチル、エチルエーテルなどのような有機溶媒中の対応する遊離アミンに添加する。Z置換基、すなわち、強酸は、有機溶液から沈殿する式(I)の化合物をもたらすアミンの塩を形成させるために十分な強度でなければならない。Z置換基は、HCl、HBr、ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、カンファースルホン酸などのような強有機または無機酸である。
【0054】
工程1Bに関して、典型的な温度は約−10℃から約10℃、より典型的に約−3℃から約2℃であり;そして典型的な反応時間は約0.5時間から約5時間、より典型的に約0.75時間から約1.5時間である。工程BのpHは、典型的にpH約8からpH約11である。工程1Bで使用する強求核原子/弱塩基は、例えば、リチウムヒドロペルオキシドまたはプロパンチオールのナトリウム塩のようなアルカリ金属のチオレート塩であり得る。強求核原子/弱塩基は典型的に、過酸化水素およびアルカリ金属水酸化物を添加することにより、例えば過酸化水素およびリチウムペルオキシドを添加させ、インサイチュでリチウムヒドロペルオキシドを形成させることなどにより、インサイチュで形成させる。工程2Aの溶媒は水と、THF、ジメチルエタン、ジオキサンなどの水混和性であるエーテル溶媒の混合物である。典型的な溶媒はTHF/水である。
【0055】
工程2Aに関して、典型的な温度は約−20℃から約20℃、より典型的に約−10℃から約5℃であり;そして典型的な反応時間は約0.25時間から約2時間、より典型的に約0.3時間から約1時間である。工程2AのpHは、典型的に、pH約1からpH約6である。工程2Aのホルミル化剤は、典型的に、ギ酸および酢酸無水物を添加し、ギ酸酢酸無水物を形成させるなどのように、インサイチュで形成させる。工程2Aの溶媒は、所望の化合物が可溶性である不活性溶媒、例えば、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、酢酸n−ブチルなどである。典型的な溶媒は酢酸エチルである。
【0056】
工程2Bに関して、典型的な温度は約−5℃から約40℃、より典型的に約15℃から約25℃であり;そして典型的な反応時間は約1時間から約5時間、より典型的に約2時間から約3時間である。工程2BのpHは、典型的にpH約1からpH約6である。工程2Bの典型的な溶媒は、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、ヘプタンなどを含む。溶媒の特異的な例はヘプタンである。G置換基の例は、−O金属(式中、金属はNa、K、Mg、Liである)、または−OH・アミン(式中、アミンが式HNR'R'のアミンであり、各R'が1から8炭素原子、より典型的に1から6炭素原子の直鎖、分枝鎖またはシクロアルキル基である)を含む。典型的なG置換基の例は、−OH・アミン(式中、アミンはジシクロヘキシルアミンである)である。故に、式(V)の例は、構造式:
【化20】

を有する。
【0057】
工程3に関して、典型的な温度は約10℃から約40℃、より典型的に約15℃から約25℃であり;そして典型的な反応時間は約5分から約15時間、より典型的に約10分から約10時間である。工程3のpHは、典型的に約5から約9である。工程3の溶媒は二相性溶媒、すなわち、水と、水と非混和性の有機溶媒、例えば、酢酸エチル、塩化メチレン、ジエチルエーテル、メチルt−ブチルエーテル、酢酸イソプロピルなどの混合物である。典型的な溶媒は水/酢酸エチルである。工程3の典型的な塩基は、N−メチルモルフィレン(morphylene)、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミンなどのような3級アミン塩基を含む。カップリング剤は、例えば引用により本明細書に包含するJ. Jones, “The Chemical Synthesis of Peptides”, Clarendon, Oxford, 1991およびP. Lloyd Williams, F. Albericio and E. Girault, Tetrahedron, 1993, 49, 11065に記載の通りの、当分野で既知の慣用のカップリング剤であり得る。1個またはそれ以上のカップリング剤を使用する。カップリング剤の例は、EDCI、HOBt、DCC、HATU、BOP、FDPP、PEPTI CLEC−TRなどの架橋酵素結晶を含む。典型的なカップリング剤はEDCI/HOBtである。DCCI:HOBtの典型的なモル比は約1:5から約5:1である。
【0058】
工程4に関して、典型的な温度は約10℃から約35℃、より典型的に約20℃から約22℃であり;そして典型的な反応時間は約60分から約18時間、より典型的に約4時間から約8時間である。工程4のpHは典型的に約4から約8である。工程4の溶媒は、典型的に有機溶媒、すなわち、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、塩化メチレンなどである。酸化剤は、例えば引用により本明細書に包含するMarch, “Advanced Organic Chemistry”, 5th Ed., Wiley Interscience, NY, Chapter 19に記載の通りの、当分野で既知の慣用の試薬である。典型的な酸化剤は、尿素/過酸化水素とフタル酸無水物;マグネシウムモノペルオキシフタレート;MCPBA、オキソン(Aldrichから入手可能)などである。
【0059】
出発物質の製造が特に記載されていない限り、本化合物は既知であるか、または当分野で既知の方法に準じて、または下記実施例に記載の通りに製造できる。
【0060】
下記の略語を使用する:
Ac=アセチル
BOP=[ベンゾトリアゾール−1−イルオキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウムヘキサフルオロホスフェート
CDMT=クロロジメトキシトリアジン
DIEA=ジイソプロピルエチルアミン
DCC=ジシクロヘキシルカルボジイミド
DMF=ジメチルホルムアミド
EDCl=1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチルカルボジイミドヒドロクロライド
2−EHA=2−エチルヘキサン酸
EtOAc=酢酸エチル
EtOH=エタノール
HATU=[O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N',N'−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート]イソブチルクロロホルメート
HPLC=高速液体クロマトグラフィー
MCPBA=メタクロロペルオキシ安息香酸
MeOH=メタノール
MMPP=マグネシウムモノペルオキシフタレート
RT=室温
THF=テトラヒドロフラン
【0061】
下記は本発明の好ましい工程を説明する。
【0062】
反応スキーム
下記の例は本発明の説明であるが、それに限定すると解釈すべきではない。好ましい反応スキームで言及している生成物番号は、直ぐ下に記載する。
【化21】

【0063】
下記のものの製造に有用な中間体の合成の一般的方法:
(2S)−N−(5−フルオロ−1−オキシド−2−ピリジニル−1−[(2R)−2−[ホルミルヒドロキシアミノ)メチル]−1−オキソヘキシル]−2−ピロリジンカルボキサミド、マグネシウム塩
【0064】
工程1:(2R)−2−[[(フェニルメトキシ)アミノ]メチル]−ヘキサン酸(A8)
p−TSA塩(A7)(58.3g、0.1mol)の酢酸エチル(200mL)および水(50mL)溶液に、1N NaCO(185mL)を添加した。2相混合物を15分、RTで撹拌し、下部の水性層を分離した。有機層を水(2×50mL)で洗浄し、濃縮して、A7の遊離塩基を得た。
【0065】
A7遊離塩基(41.0g、0.1mol)をTHF(395mL)および水(107mL)に溶解し、−3℃に冷却した。この溶液に、30%過酸化水素(26.1g、0.23mol)を温度を−3℃に保ちながら添加した。別のフラスコで、リチウム水酸化物(5.0g、0.12mol)の水(107mL)溶液を調製し、A7/過酸化水素溶液に−3℃の温度を保ちながらゆっくり添加した。混合物をこの温度で45分撹拌した。
【0066】
亜硫酸ナトリウム(43.5g、0.345mol)の水(855mL)溶液を、温度を10℃以下に保ちながらゆっくり添加し、反応混合物をRTに温めた。溶液を一部濃縮してTHFを除去し、水性部分を酢酸エチル(6×110mL)で抽出した。水性部分を次いで3N HCl(78mL)で酸性化し、酢酸エチル(2×215mL)で抽出した。酢酸エチル抽出物を合わせ、水(2×110mL)で洗浄した。有機溶液を真空下で一部濃縮し(200mL)、A8の無色溶液を得て、それをそのまま次工程に使用した。
【0067】
サンプルを特徴付けのために完全に濃縮した。
1H NMR(CDCl3):δ 7.4(s, 5H), 6.85(bs, 2H), 4.75(dd, 2H), 3.1(m, 2H), 2.8(m, 1H), 2.7(m, 1H), 2.55(m, 1H),1.2(m, 4H), 0.88(m, 3H)。ES−MS:C1421NOの計算値(251.3);実測値:252.2 [M+H]。
【0068】
工程2:(2R)−2−[[ホルミル(フェニルメトキシ)アミノ]メチル]−ヘキサン酸ジシクロヘキシルアミン塩(A10)
酢酸無水物(15.3g、0.15mol)を0−5℃に冷却し、96%ギ酸(27.6g、0.6mol)で温度を10℃以下に保ちながら処理した。混合物を15分、0−5℃で撹拌し、次いでRTに温め、さらに15分撹拌した。
【0069】
第2のフラスコ中、A8酢酸エチル溶液(502g、0.75mol)を−15℃に冷却し、ギ酸/酢酸無水物混合物をそれに温度を−10±5℃に保ちながら添加した。反応混合物をこの温度で20分撹拌し、次いで水(5.4g)を添加した。15分撹拌後、溶液をRTに温めた。溶液を減圧下濃縮した(最終容量=70−90mL)。トルエン(240mL)を添加し、溶液を再び減圧下濃縮した(最終容量=70−80mL)。
【0070】
別のフラスコでジシクロヘキシルアミン(16.3g)のヘプタン(240mL)中の混合物を調製し、これを濃縮物にRTで添加した。混合物を種晶添加し、2時間撹拌しながら放置した。ヘプタン(145mL)を添加し、上清を8時間、RTで放置した。固体を濾過により単離し、真空で乾燥させて表題化合物を得た。
m.p.:83−86℃;1H NMR(CDCl3, 回転異性体):δ 8.05(bd, 1H), 7.3-7.65(m, 5H), 4.75-5.1(m, 2H), 3.5-4.0(m, 2), 3.1-3.39(m, 1H), 2.9(m, 3H), 2.65(m, 1H), 1.0-2.15(m, 26H), 0.9(s, 3H)。ES−MS:C1521NOの計算値(遊離酸)(279);実測値:280.1 [M+H]。
【0071】
工程3:(2S)−N−(5−フルオロ−2−ピリジニル)−1−[(2R)−2−[[ホルミル(フェニルメトキシ)アミノ]メチル]−1−オキソヘキシル]−2−ピロリジンカルボキサミド(A11)
A10(34.55g、75mmol)の酢酸エチル(300mL)溶液を、クエン酸溶液(30gのクエン酸の270mL水溶液)と混合し、RTで10分撹拌した。層を分離し、上部の有機層を水(2×225mL)で洗浄した。この時点で、N−(5−フルオロ−2−ピリジニル)−(2S)−2−ピロリジンカルボキサミドジヒドロブロマイド(33.39g、90mmol)、続いて水(60mL)およびHOBt(12.81g、82.5mmol)を添加した。
【0072】
混合物を0−5℃に冷却し、EDCI(40.26g、210mmol)および水(60mL)を添加した。続いてN−メチルモルホリン(47.79g、472.5mmol)を添加した。反応物をRTで一晩撹拌した。
【0073】
下部の水性層を分離し、上部の有機層を水(4×225mL)で洗浄した。有機層をシリカゲル(83.4g)のカラムを通して濾過し、カラムをさらなる容量の酢酸エチル(3×41mL)で溶出した。適当なフラクションを合わせ、減圧下で特定の容量(225mL)まで濃縮した。
【0074】
この溶液を50℃に温め、ヘプタン(675mL)で処理した。溶液を次いで45℃に冷却し、種晶添加した。スラリーを−10℃以下に冷却し、2時間放置した。固体を濾過により単離し、真空下で乾燥させて表題化合物を得た。
m.p.:98℃;1H NMR(DMSO, 回転異性体):δ 10.6, 10.8(s, 1H), 8.2(s, 1H), 7.5-8.2(m, 3H), 6.95-7.4(m, 5H), 4.8(s, 2H), 4.55(bs, 1H), 3.2-3.8(m, 4H), 2.9(bs, 1H), 1.6-2.4(m, 4H), 1.0-1.55(m, 6H), 0.8(s, 3H)。ES−MS:C2531FNの計算値(470.6);実測値:471.2 [M+H]、493.2 [M+Na]。
【0075】
工程4:(2S)−N−(5−フルオロ−1−オキシド−2−ピリジニル)−1−[(2R)−2−[[ホルミル(フェニルメトキシ)アミノ]メチル]−1−オキソヘキシル]−2−ピロリジンカルボキサミド(A12)
マグネシウムモノペルオキシフタレート(69.25g、140mmol)の水(128mL)溶液と酢酸イソプロピル(300mL)の混合物を撹拌し、A11(32.94g、70mmol)の酢酸イソプロピル(162mL)溶液を添加した。混合物を17時間、RTで撹拌した。
【0076】
底の水性層を分離し、亜硫酸ナトリウム(8.82g、70mmol)の水(160mL)溶液を添加した。20分撹拌後、底の水性層を分離し、炭酸ナトリウム(20g、190mmol)の水(300mL)溶液を添加した。20分撹拌後、底の水性層を分離し、塩化ナトリウム(19.0g)の水(131mL)溶液を添加した。層を分離し、有機層を真空下で最終容量92mLまで濃縮した。
【0077】
溶液を濾過し、濾液を40℃に加熱し、ヘプタン(80mL)を添加した。溶液をゆっくり30℃に冷却し、種晶を添加した。混合物を1時間この温度に放置し、次いで22℃に冷却し、さらにヘプタン(545mL)を添加した。すべてのヘプタンを添加後、上清を22℃で2時間放置し、次いでさらに−10℃に冷却し、1時間放置した。固体を濾過により単離し、真空下で乾燥させて表題化合物を得た。
m.p.:70℃;1H NMR(CDCl3, 回転異性体):δ 10.35(s, 1H), 8.45-8.75(m, 1H), 7.61-8.45(m, 2H), 7.35(s, 5H), 7.05(s, 1H), 4.65-5.22(m, 2H), 4.1-4.65(m, 1H), 3.25-4.1(m, 3.5H), 2.64-3.2(m, 1.5H), 1.02-2.42(m, 10H), 0.85(s, 3H)。ES−MS:C2531FNの計算値(486.5);実測値:487.2 [M+H]。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(VII)
【化1】

の化合物の製造法であって、
工程1A:
式(I)
【化2】

の化合物と塩基を適当な溶媒中、化合物(I)の遊離塩基、すなわち、式(II)
【化3】

の化合物を形成させるために接触させ、
続いて工程1B:
化合物(II)と強求核原子/弱塩基を適当な溶媒中、式(III)
【化4】

の化合物を形成させるための条件下で接触させ、
続いて工程2A:
化合物(III)とホルミル化剤を適当な溶媒中、式(IV)
【化5】

の化合物を形成させるのに適した条件下で接触させ、
続いて工程2B:
化合物(IV)とアミンまたはアルカリ金属水酸化物を適当な溶媒中、式(V)
【化6】

の化合物を形成させるための条件下で接触させ、
続いて工程3:
化合物(V)と式(VI)
【化7】

の化合物を、適当な塩基および1個またはそれ以上のカップリング剤の存在下、適当な溶媒中、式(VII)の化合物を形成させるための条件下で接触させることを含む、方法
〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成し;
Gは−O金属または−OH・アミンであり;
Xは−CH−、−S−、−CH(OH)−、−CH(OR)−、−CH(SH)−、−CH(SR)−、−CF−、−C=N(OR)−または−CH(F)−であり;Rはアルキルであり;
はアリールまたはヘテロアリールであり;
Zは強有機もしくは無機酸であり;そして
nは0−3である。ただし、nが0であるとき、Xは−CH−である。〕。
【請求項2】
対応するN−オキシド誘導体を形成させるために式(VII)(式中、RはNヘテロ原子を有するヘテロアリールである)の化合物と酸化剤を接触させる工程4が続く、請求項1記載の方法。
【請求項3】
化合物(VII)のヒドロキシル保護基を除去し、式(VIII):
【化8】

〔式中、R、R、R、R、R、Xおよびnは上記で定義の通りである。〕
の化合物を形成させる、付加的工程が続く、請求項2記載の方法。
【請求項4】
、RおよびRの各々が水素であり;
がブチルであり;
Xが−CH−であり;
nが1であり;
Yがベンジルまたはt−ブチルジメチルシリルであり;そして
が式
【化9】

〔式中、
およびRは水素であり;
は水素またはC1−7アルキルであり;そして
は水素、ハロゲンまたはC1−7アルキルである。〕
である、請求項1記載の方法。
【請求項5】
が水素であり;そして
がフルオロである、
請求項4記載の方法。
【請求項6】
が式(XIa)
【化10】

であり;
、RおよびRの各々が水素であり;
がブチルであり;
Xが−CH−であり;
nが1であり;
Yがベンジルまたはt−ブチルジメチルシリルであり;
およびRが水素であり;
が水素またはC1−7アルキルであり;そして
が水素、ハロゲンまたはC1−7アルキルである、
請求項1記載の方法。
【請求項7】
がハロまたはエチルである、請求項6記載の方法。
【請求項8】
が水素であり、そしてRがフルオロである、請求項6記載の方法。
【請求項9】
工程1Aに関して、温度は約10℃から約40℃であり、水溶性塩基は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウムまたはアルカリ金属水酸化物であり、そして溶媒は水/酢酸エチルであり、
工程1Bに関して、温度は約−10℃から約10℃であり、強求核原子/弱塩基はリチウムヒドロペルオキシドであり、そして溶媒はTHF/水であり、
工程2Aに関して、温度は約−20℃から約20℃であり、ホルミル化剤はギ酸酢酸無水物であり、そして溶媒は酢酸エチルであり、
工程2Bに関して、温度は約−5℃から約40℃であり、溶媒はヘプタンであり、そしてG置換基は式−OH・アミン(式中、アミンはジシクロヘキシルアミンである)であり、
工程3に関して、温度は約10℃から約40℃であり、溶媒は水/酢酸エチルであり、そしてカップリング剤はEDCI/HOBtであり、そして
工程4に関して、温度は約10℃から約35℃であり、溶媒は酢酸エチルであり、そして酸化剤は尿素/過酸化水素とフタル酸無水物またはマグネシウムモノペルオキシフタレートの組み合わせである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
式(I)
【化11】

の化合物と塩基を適当な溶媒中接触させ、式(II)
【化12】

〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成し;そして
Zは強有機または無機酸である。〕
の化合物を形成させることを含む、方法。
【請求項11】
式(II)
【化13】

の化合物と強求核原子/弱塩基を適当な溶媒中式(III)
【化14】

〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;そして
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成する。〕
の化合物を形成させるための条件下で接触させることを含む、方法。
【請求項12】
式(III)
【化15】

の化合物とホルミル化剤を適当な溶媒中、式(IV)
【化16】

〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;そして
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成する。〕
の化合物を形成させるのに適した条件下で接触させることを含む、方法。
【請求項13】
式(IV)
【化17】

の化合物とアミンまたはアルカリ金属水酸化物を適当な溶媒中、式(V)
【化18】

〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成し;そして
Gは−O金属または−OH・アミンである。〕
の化合物を形成させるための条件下で接触させることを含む方法。
【請求項14】
式(V)
【化19】

の化合物と式(VI)
【化20】

の化合物を、適当な塩基および1個またはそれ以上のカップリング剤の存在下適当な溶媒中、式(VII)
【化21】

〔式中、
Yはヒドロキシ保護基であり;
、R、RおよびRの各々は独立して水素またはアルキルであるか、または(RおよびR)および/または(RおよびR)は、一体となってC4−7シクロアルキルを形成し;
Gは−O金属または−OH・アミンであり;
Xは−CH−、−S−、−CH(OH)−、−CH(OR)−、−CH(SH)−、−CH(SR)−、−CF−、−C=N(OR)−または−CH(F)−であり;Rはアルキルであり;
はアリールまたはヘテロアリールであり;そして
nは0−3である。ただし、nが0であるとき、Xは−CH−である。〕
の化合物を形成させるための条件下で接触させることを含む、方法。


【公表番号】特表2009−513485(P2009−513485A)
【公表日】平成21年4月2日(2009.4.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−516061(P2006−516061)
【出願日】平成16年6月25日(2004.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2004/006915
【国際公開番号】WO2005/000835
【国際公開日】平成17年1月6日(2005.1.6)
【出願人】(597011463)ノバルティス アクチエンゲゼルシャフト (942)
【Fターム(参考)】