説明

あわび多糖類抽出方法

本発明は、あわびから殻を取除いて本体(内臓を含む)を取り出し、組織破砕機で破砕し、水を加えて均一に混合し、20〜80℃で2〜6時間漬けて成分抽出し、遠心分離し、沈殿に再び水を加え、1〜2回繰り返して成分抽出して、上清液を混合するあわび多糖類の抽出方法を提供する。成分抽出した液を糖含有量が1.5〜3.0%となるように濃縮し、体積で3〜4倍の95%アルコールを加え、0〜4℃で12〜16時間アルコール沈殿を行い、遠心分離して真空乾燥または噴霧乾燥により生成品を得る。脱蛋白・除糖原したのち、SephadexG-100、DEAE-celluroseを用いて分離精製して均一のあわび多糖類を得る。成分抽出はアルカリ加水抽出、超音波抽出、酵素抽出によりも行うことができる。酵素抽出は、単一酵素と、二重酵素と、複合酵素と、自己融解酵素と、複合法とにより行える。酵素は、ペプシンとトリプシンなどである。本発明は、あわび(特に腹足と臓器)からあわび多糖類を抽出する技術を創出し、あわび多糖類の抽出・分離精製を効率的に行うようにした。あわび多糖類の薬用用途についての研究がますます深まり、本発明はその研究のさらなる開発に技術的基礎を提供した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は多糖類の抽出及び分離精製方法に関するものであり、生物製品領域に属すものである。
【背景技術】
【0002】
近年、分子生物学の進歩により、多糖類とタンパク質は、ヌクレイン酸と同様に、生命活動の本質にかかわる三種類の生物大分子中の一つであると認識されてきた。多糖類は多聚糖とも称され、広い生物活性を有する一種類の生物大分子物質であり、ヒトの生命にとって必要な成分であるだけでなく、すべての細胞膜構成にも存在し、且つ多様の生命機能活動に参加する。近頃、多糖類はヒトに対して免疫機能を向上させる機能を有すると共に、抗ガン、抗放射線、抗炎症、血糖値を低下させるなどの生理活性をも有するので、広く注目され、重要視されている。
【0003】
現在、国内外では多く研究されているのは食用・薬用菌多糖類であるが、多糖類への研究が深まるにつれて研究者も動物体多糖類へと関心を寄せ始めている。特に海洋動物体多糖類の研究は、科学研究者にとって日増しに研究のホットスポットと注目点になってきている。あわびは成長期が長く、海洋の高塩、高圧、低温という特殊な環境に生存して、体の中には大量の生理活性物質が豊富に含有している。近年、あわびから分離・精製され、鼻咽喉ガン細胞を効率よく抑制できる純多糖類についての研究がある。大量の研究論文報道でも、あわび多糖類が非常によい抗腫瘍活性及びヒトの免疫機能を向上させる機能を具備することを示している。中国医薬情報ウェブ(http://www.yy2000.com)に発表された文章の記載によると、あわび多糖類とのり多糖類は抗腫瘍と心臓血管疾病の予防・治療作用を有し、この薬用研究は今も進行中であり、さらに多く、良い効果が得られると期待されている。しかしながら、動物から多糖類を抽出する研究はまだ比較的少ない。海洋動物から多糖類を抽出して、分離・精製する研究がさらに少なく、あわびから効果的に多糖類を抽出する研究はいまだに報道されていないようである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、殻が除かれたあわび本体、あわびの腹足、あわびの臓器を原料とし、効果的にあわび多糖類を抽出して、効率よく分離・精製する方法を提供することを目的とする。

【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、あわびから原料処理・抽出・アルコール沈殿・乾燥の工程によりあわび粗多糖類を得ることを目的としている。また、得た粗多糖類から蛋白質を取り除き、分離・精製してあわび精製多糖類を得ることも可能である。具体的な方法は、以下の如くである。
【0006】
一、原料処理
原料あわびは新鮮なものでも、冷凍品でも、または乾燥品でも用いられる。処理するものは、あわび本体(腹足と臓器とを含み)、またはあわびの腹足と臓器とを用いる。あわびの腹足と臓器の場合は、それぞれ単独でもあわび多糖類を抽出することができる。
【0007】
新鮮なあわびまたは解凍したあわびを洗浄して殻を取り除いて、殻なしあわび本体を得る。あわび本体に対してさらに分離作業によりあわび腹足と臓器とを得ることもできる。それらを混合または個別で使用し5〜10倍の水を加えて、組織破砕機で破砕・ホモジネートして次の工程に備える。乾燥品である殻付きの冷凍あわびを用いる場合は、5〜10分間に緩慢に解凍し、殻を取除いてあわび本体を得る。あわび本体に対してさらに分離作業によりあわびの腹足と臓器とを得ることもできる。それらを混合または個別に使用し冷凍乾燥または火干して、100目以下まで粉砕して次の工程に備える。
【0008】
二、あわび多糖類の抽出
あわび多糖類の抽出は、水漬抽出法と、アルカリ液抽出法と、超音波抽出法とを採用する。さらに、前記三種類の方法に酵素を加え得率を高めることも可能である。
【0009】
1 水漬抽出法
漿液または干し粉に、10〜50重量倍の水を加え、均一化するように混合させ、20〜80℃で2〜6時間漬けて成分抽出を行ってから、遠心分離により上清液と沈殿(不溶物)とが得られる。そして、沈殿に10〜40重量倍の水を加え、20〜80℃で2〜6時間漬けて成分抽出を行ってから、再び遠心分離し、それぞれ得られる上清液を混合して次の工程に備える。
【0010】
2 アルカリ液抽出法
漿液または干し粉に、10〜50重量倍の水を加え、均一化するように混合させ、0.5mol/LのNaOHまたはKOH溶液を加え、pH値を8〜9に調整し、20〜60℃で2〜6時間漬けて成分抽出を行ってから、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。そして、沈殿に10〜40重量倍の水を加え、pH値を8〜9に保持しながら、前記作業を1〜2回繰り返し、得られた上清液を混合して酸で中和して次の工程に備える。
【0011】
3 超音波抽出法
原料処理により得られたあわび漿液または干し粉にあわび量の10〜50倍の水を加え、20〜30KHZ超音波で10〜60分間処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。そして、沈殿に10〜40倍の水を加え、再び超音波で10〜60分間処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。それぞれで得られた上清液を混合して次の工程に備える。
【0012】
4 酵素抽出法
酵素抽出法は、あわび漿液または干し粉に水を加えて、単一酵素、二重酵素、複合酵素または自己融解酵素を用いて、所用酵素に適宜なpH値と温度などの条件で酵素分解を行う。また、前記他の抽出法と結合することも、抽出する目的に達成できる。前記単一酵素、二重酵素、複合酵素の品種は、ペプシン、トリプシン、パパイン、中性プロテアーゼなどである。
【0013】
(1)単一酵素、二重酵素、複合酵素による酵素分解法
1)単一酵素による酵素分解法:処理された原料にあわび量の10〜50倍の水を加えて攪拌・混合する。6mol/LのHClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加え、35〜50℃で2〜5時間攪拌して酵素分解を行う。加水分解するときに前記pH値を保持する。そして0.5 mol/LのNaOHまたはKOH溶液でpH値を中性に調整し、2〜5分間で90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活(酵素減滅)し、5分間室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。上清液は次の工程に備えるが、沈殿には10〜40倍の水を加えて同様の作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えることも可能である。その他の品種の酵素(ペプシン、トリプシン、パパイン、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼなど)による酵素分解の作業は、前記と同じであるが、アルカリ液または酸性液で所用酵素に適宜な範囲まで調整する。
【0014】
2)二重酵素による酵素分解法:処理された原料にあわび量の10〜50倍の水を加えて攪拌・混合する。6mol/LのHClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間攪拌して酵素分解を行う。加水分解するときに前記pH値を保持する。そして0.5 mol/LのNaOHまたはKOH溶液でpH値を7〜9に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のトリプシンを加え、20〜60℃の水浴において、1〜6時間攪拌して酵素分解を行う。加水分解するときに前記pH値を保持する。酵素分解後に酸でpH値を中性に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。上清液は次の工程に備えるが、沈殿には10〜40倍の水を加えて同様の作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えることが可能である。その他の二重酵素複合アルカリ性プロテアーゼとパパインによる酵素分解作業は、前記と同じであるが、アルカリ液または酸性液で所用酵素に適する範囲まで調整する。
【0015】
3)複合酵素による酵素分解法:原料処理から得られたあわび漿液またはあわび干し粉にあわび量の10〜50倍の水を加え、0.5
mol/LのNaOHまたはKOH溶液でpH値7〜9に調整し、パパインと中性プロテアーゼとトリプシンを加え、添加量は溶液重量の0.05〜3.00%で、三種類の酵素の比例は1.0:0.1〜1.0:0.1〜1.0であり、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行ったのち、酸でpH値を7に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。上清液は次の工程に備えるが、沈殿には10〜40倍の水を加えて同様な作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えることも可能である。
【0016】
(2)結合抽出法
1)自己融解と外因性酵素との結合抽出法:(1)自己融解:下に述べるいずれの方法を用いて自己融解を行うこと:(i)あわび漿液に重量の10〜50倍の水を加え、紫外線を10〜30分間照射し、0.06〜0.08
mol/LのNaClを用いてpH値7.0〜7.5、30〜50℃でその自身の酵素により自己融解を行う。(ii)あわび漿液にあわび量の10〜50倍の水を加え、無菌酵素分解缶に入れて、pH6〜7.5、常温で6〜8時間自己融解を行う。(iii)あわび漿液にあわび重量の10〜50倍の水を加え、無菌酵素分解缶に入れて、pH6.0〜7.5、0〜4℃で24〜48時間自己融解を行う。
【0017】
(3)外因性酵素による酵素分解:前記自己融解の溶液を6 mol/LのHClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.3〜0.5%のペプシンを加え、40〜60℃で1〜2時間酵素分解を行ったのち、pH値が中性となるように調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。上清液は次の工程に備えるが、沈殿には10〜40倍の水を加えて同様の作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えることも可能である。
【0018】
1)水漬抽出と二重酵素との結合抽出法:原料処理から得られたあわび漿液またはあわび干し粉にあわび量の10〜50倍の水を加え、20〜80℃で2〜6時間水に漬けて成分抽出を行う。6mol/LのHClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00のペプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間攪拌して酵素分解を行う。加水分解するときに前記pH値を保持する。そして、0.5 mol/LのNaOHまたはKOH溶液でpH値を7〜9に調整し、0.05〜3.00%のトリプシンを加え、20〜60℃の水浴において1〜6時間攪拌して酵素分解を行う。加水分解するときに前記pH値を保持する。酵素分解を行ったのち、酸でpH値が中性となるように調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。上清液は次の工程に備えるが、沈殿には10〜40倍の水を加えて同様の作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えることも可能である。
【0019】
前記作業において、二種類の酵素は加水分解するときに要求するpH値が異なるため、前後二回にわけて酵素分解を行ったが、二種類の酵素が要求するpH値が同じである場合、同時に二種類の酵素を加えて、一括して酵素分解を行ってもよい。たとえば、パパイン、中性プロテアーゼとトリプシンは加水分解するときに要求するpH値が同じく7〜9であるので、このpH値でそのうち二種類の酵素を同時に加えることができる。
【0020】
2)超音波と単一酵素との結合抽出法:原料処理から得られたあわび漿液またはあわび干し粉にあわび量の10〜50倍の水を加え、20〜30KHZ超音波で10〜60分間処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。さらに沈殿に10〜40倍の水を加え、0.5mol/LのNaOHまたはKOH溶液でpH値を7〜9に調整し、パパインを加え、添加量は溶液重量の0.05〜3.00%であり、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行ったのち、酸でpH値を7に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られる。上清液は次の工程に備えるが、沈殿には10〜40倍の水を加えて同様の作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えることも可能である。
【0021】
前記作業からわかるように、超音波、アルカリ液、水漬けと単一酵素、二重酵素および複合酵素との結合は、いずれも可能であるが、酵素の最適なpH値と酵素の添加量を調整するだけである。前記すべての遠心分離は3000〜6000rpmで10分間位高速遠心操作である。
【0022】
三 あわび多糖類抽出液の濃縮
前記のように遠心分離により得られた上清液を多糖類含有量1.5〜3.0%になるように真空濃縮する。
【0023】
四 あわび多糖類のアルコール沈殿
濃縮液に体積で3〜4倍の95%アルコールを加え、0〜4℃で12〜16時間位アルコール沈殿する。
【0024】
五 あわび粗多糖類の遠心
アルコール沈殿後の多糖類を10分間位高速遠心することにより得られた沈殿は、あわび粗多糖類である。
【0025】
六 あわび粗多糖類の乾燥
あわび多糖類の乾燥は、以下のいずれの方法を採用しても目的を達成できる。
1、精製して得られた遠心沈殿を50〜60℃で真空乾燥して、乾燥のあわび粗多糖類干し物が得られる。
2、精製して得られた遠心沈殿を水で比重が1.05〜1.10位になるまで希釈して、入り口温度は160〜180℃で、出口温度は50〜60℃である噴霧乾燥設備で噴霧乾燥して、乾燥のあわび粗多糖類が得られる。必要であれば、前記に得られたあわび多糖類を粉砕機で160目以下まで粉砕してよい。このとき、本発明にかかる方法で抽出したあわび多糖類は、粗多糖類で、ブラン粉末であり、多糖類抽出率は20%〜40%(干品比)で、多糖類含有量は6〜18%であり、温水に溶けやすく、冷水に微溶する。食品工業では幅広く応用されうる。さらに精製して脱蛋白すれば、多糖類含有量は40%〜60%またはさらに高くなることができ、薬品工業において幅広く応用されうる。前記作業により抽出したあわび粗多糖類は、以下の作業でさらに精製されうる。
【0026】
七 蛋白及び小分子物質の取り除き
(1)あわび腹足から抽出したあわび粗多糖類(以下あわび腹足多糖類と称する)を2〜10%の溶液に調製し、4℃で体積比5:1の比率で10%トリクロロ酢酸溶液をゆっくり加えて攪拌する。この温度で10分間振り混ぜ、4℃で10分間高速遠心して上清液を取り出し、フォリンフェノール法で多糖類溶液中の蛋白含有量が0.5%以下であると検出されるまで、上記脱蛋白の作業を数回繰り返す。溶液に体積で4.5倍の95%アルコールを加えて一夜アルコール沈殿する。高速遠心して沈殿を取り出して3〜5%の多糖類液に調製し、分画分子量7,000Daの透析袋内に48〜72時間透析してから、透析袋内の液を濃縮し、冷凍乾燥することにより白い粉末が得られる。
【0027】
(2)あわび臓器から抽出したあわび粗多糖類(以下あわび臓器多糖類と称する)を2〜10%の溶液に調製し、溶液重量の0.05〜1%のペプシンを加え、6mol/LのHCl
でpH値を1.5〜3.0%に調整し、37℃で1〜6時間酵素分解を行ったのち、2~5分間で90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、室温まで冷却し、NaOH溶液で中性に調整する。10分間遠心して上清液を取り出して体積で3〜4.5倍の95%アルコールを加え、0〜4℃で12〜16時間位アルコール沈殿する。遠心して沈殿を取り出して2〜5%の溶液に調製し、体積比5:1の比率でSevag試薬(Vクロロホルム:Vn-ブタノール=5:1)を加え、20分間激しく振り混ぜ、30分間静置してから、遠心して沈殿を取り除き、上清液を取り出し、フォリンフェノール法で多糖類溶液中の蛋白含有量が0.5%以下であると検知されるまで上記脱蛋白の作業を数回繰り返す。溶液に体積で4.5倍の95%アルコールを加えて一夜アルコール沈殿する。高速遠心して沈殿を取り出して2〜5%の多糖類液に調製し、分画分子量7,000Daの透析袋内に48〜72時間透析してから、透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりライトブラン粉末が得られ、精製あわび臓器多糖類(AHP)である。
【0028】
八 あわび腹足多糖類から糖原(グリコーゲン)の取り除き
蛋白と小分子物質が取り除かれたあわび腹足多糖類を5%の溶液に調製し、7,000Daの透析袋内に入れ、0.05〜1%のα-アミラーゼ(澱粉酵素)を加え、37℃で0.9%のNaCl溶液中で、48時間透析しながら、加水分解したのち、48時間水中再透析する。透析後、袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することにより白い粉末が得られ、精製あわび腹足多糖類(AGP)である。
【0029】
九 分離精製
(1)AGPはSephadex G-100カラム・クロマトグラフィで分離を行い、溶離剤は0.9%のNaClで、溶出速度は0.5ml/minで、フェノール硫酸法で追跡検出し、グラフを作成して唯一の溶出ピークが検出され、溶出ピークで収集する。混合・透析・濃縮・冷凍乾燥することにより均一のあわび腹足多糖類AGPが得られる。
(2)AHPはSephadex G-100カラム・クロマトグラフィで分離を行い、溶離剤は0.9%のNaClで、溶出速度は0.5ml/minで、フェノール硫酸法で追跡検出し、グラフを作成して二つの溶出ピークが検出され、それぞれ溶出ピークで収集し、透析・乾燥してから、DEAE cellulose 52で精製し、NaCl溶液で勾配溶出(gradient elution)を行い、すべて単一の溶出ピークである。収集して混合し、透析・濃縮する。冷凍乾燥して均一のあわび臓器多糖類AHP-1とAHP-2とが得られる。
【0030】
十、ゲルクロマトグラフ法で分子量の測定
ゲルカラムはSepharose CL-6Bカラムで、溶離剤は0.9%のNaCl溶液で、流速は0.24ml/minである。
【0031】
(1)ゲルカラムの規格化(standardization)
規格液の調製:分子量がそれぞれ1,000、5,000、12,000、80,000、270,000のスタンダ-ドポリグルコサン(standard polyglucosan)をそれぞれ二回蒸留水(double
distilled water)に溶かして10mg/mlの溶液に調製する。小さい分子量から大きい分子量順でそれぞれサンプルを注入し、分離して収集する。フェノール硫酸法で糖含量を追跡監視して、490nmで検出して、OD値が最も大きい試験管数を記録する。試験管数の分子量に対する対数による直線回帰分析を行い、直線回帰等式を求める。
【0032】
(2) 糖分子量の測定
精製多糖類をダブル蒸留水に溶かして10mg/mlの溶液に調製する。同様な条件で分析を行い、試験管数を記録して回帰等式に代入して分子量を計算する。
【0033】
十一 色層法(ガスクロマトグラフ)で多糖類の単糖組成の測定
完全に乾燥した10mgの多糖類サンプルAGP、AHP-1、AHP-2のそれぞれに2mlの無水HCl-メチルアルコールを加え、N2を入れて封管し、80℃で20時間メチルアルコール分解し、管容器を取り出して室温になるまで放置する。無水KOH-メチルアルコールでpH=6となるように中和して、40℃で減圧回転蒸し干して乾燥する。完全に乾燥したメチルアルコール分解産物に0.2mlの無水ピリジンを加え、75℃で30分間溶解させてから、0.3mlシリル化剤を加えて均一になるまで振り混ぜ、数分間静置して上清を取り出して色層分析(ガスクロマトグラフ)を行う。
【0034】
クロマトグラフ条件は、ガスクロマトグラフ(US Agilent 6890N)、HP-1クロマトグラフカラム、固定相Methylsiloxane、キャリヤーガスN2、流速45ml/minである。水素炎イオン検出器(FID)を用い、検出温度は300℃で、注入量は1μlである。注入口のガス化温度は300℃であり、カラム温度はプログラムで昇温を制御し、150℃に、1分間保持、10℃/minで182℃まで昇温して、2分間保持、1℃/minで188℃まで昇温して、1分間保持、8℃/minで230℃まで昇温することである。このとき、本発明にかかる方法で得られるAGPは、白い粉末で、分子量が5,000〜10,000dalであり、ブドウ糖の組成である。本発明にかかる方法で得られるAHP-1とAHP-2は、ともにライトブラン粉末である。そのうち、AHP-1は、分子量が5×105 dal位であり、ブドウ糖とペクチンシュガーの組成であり、そのモル比はGlu:Ara=1.0:1.5で、アミノ糖鑑定の結果、アミノ糖が含まれないが、AHP-2は、分子量が10,000〜15,000dalであり、ラムノース(rhamnose)と、フコース(fucose)と、キシロース(xylose)と、ガラクトース(galactose)とグルコース(glucose)の組成であり、そのモル比はRha:Fuc:Xyl:Gal:Glu=2.7:1.0:1.0:4.3:4.2で、微量のN-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)が含まれる。
【発明の効果】
【0035】
1.本発明の抽出方法は合理的であり、あわび体内(殻を除く)からあわび多糖類を抽出する技術を創出し、あわび多糖類を最大限で抽出できるようにした。
2.抽出技術については、多数の効率的抽出方法が幅広く研究され確定していた。
3.あわび腹足多糖類とあわび臓器多糖類のそれぞれについて、分離精製方法と鑑定方法を体系的に研究して確定し、精製した均一多糖類を得ることができ、海洋薬物を豊富にするために前期準備をした。
4.あわび多糖類の薬用用途についての研究がますます深まり、その薬用価値が次第に高まるため、本発明はその経済的効果と利益を高めるには技術的基礎を提供した。
5.殻を除くあわびボディのすべてを抽出原料とし、特にあわびの腹足と臓器を利用して多糖類を抽出することができるので、資源を十分に利用するだけではなく、廃棄物の排出もなくした。
6.本発明は海洋生物の自己融解技術を採用するため、外因性酵素(exogenous enzyme)の使用量を大いに節約でき、コストが低減される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
【実施例1】
【0037】
1,000gのあわび本体に5,000gの水を加え、組織破砕機でホモジネートし、25,000gの水を加えて均一に攪拌し、50℃で5時間漬けて成分抽出を行ったのち、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。沈殿に25,000gの水を加えて均一に攪拌し、80℃で3時間漬けて成分抽出を行ったのち、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合する。上清液を多糖類含有量が3%(フェノール硫酸法で検出)となるまで真空濃縮した。濃縮液に体積で3倍の95%アルコール21,000mlを加え、4℃で16時間アルコール沈殿したのち、10分位高速遠心して遠心沈殿を得た。当該沈殿を60℃で真空乾燥して、乾燥したあわび粗多糖類61.6gを得たのち、粉砕機で160目以下に粉砕させた。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば8.1%であった。
【実施例2】
【0038】
1,000gの冷凍乾燥したあわび本体粉に5,000gの水を加えて均一に攪拌し、その中に0.1NのNaOH溶液を加えてpH値を9に調整し、20℃で6時間漬けて成分抽出を行ったのち、6mol/LのHClでpH値を7に中和し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。沈殿に30,000gの水を加えて均一に攪拌し、その中に0.5 mol/LのNaOH溶液を加えてpH値を8に調整し、80℃で3時間漬けて成分抽出を行ったのち、6mol/LのHClでpH値を7に中和し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合した。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心を行った。当該沈殿を50℃で真空乾燥して、乾燥したあわび粗多糖類298gを得た。粉砕機で160目以下に粉砕した。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば9.3%であった。
【実施例3】
【0039】
1,000gのあわび腹足を実施例1の様に処理を行い、20KHZの超音波で60分間処理を行い、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。沈殿に25,000gの水を加え、27KHZの超音波で20分間処理を行い、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合した。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心を行った。当該沈殿を50℃で真空乾燥して、乾燥したあわび粗多糖類65.2gを得た。粉砕機で160目以下に粉砕した。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば8.8%であった。
【実施例4】
【0040】
1,000gのあわび腹足を実施例1の様に処理を行い、その中に0.5mol/LのNaOH溶液を加えてpH値を8に調整し、900gのトリプシン(酵素活性2,500u/mg)を加え、37℃で5時間酵素分解を行ったのち、6mol/LのHClでpH値を7位に調整し、5分間100℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。沈殿に25,000gの水を加え、その中に0.5 mol/LのKOH溶液を加えてpH値を8に調整し、150gのトリプシン(酵素活性2,500u/mg)を加え、50℃で2時間酵素分解を行ったのち、6mol/LのHClでpH値を7位に調整し、5分間90℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合した。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.07になるまで希釈し、噴霧乾燥を行った。入り口の温度が160℃で、出口の温度が50℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類43.2gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば14.8%であった。
【実施例5】
【0041】
1,000gのあわび腹足干し粉に50,000gの水を加えて均一に攪拌し、6mol/LのHClでpH値を3に調整し、1,500gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、50℃の水浴において2時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして、0.5mol/LのKOH溶液でpH値が中性となるように調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。沈殿に30,000gの水を加え、500gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、40℃の水浴において4時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして、0.5mol/LのKOH溶液でpH値が中性となるように調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えた。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心分離を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.06になるまで希釈し、噴霧乾燥を行った。入り口の温度が160℃で、出口の温度が50℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類236gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば13.9%であった。
【実施例6】
【0042】
1,000gのあわび腹足干し粉に50,000gの水を加えて均一に攪拌し、1,000gの中性プロテアーゼ(酵素活性100u/mg)を加え、40℃の水浴において5時間攪拌して酵素分解を行い、2分間90℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。沈殿に30,000gの水を加え、150gの中性プロテアーゼ(酵素活性100u/mg)を加え、40℃の水浴において3時間攪拌して酵素分解を行い、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合した。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心分離を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.1になるまで希釈し、噴霧乾燥を行った。入り口の温度が180℃で、出口の温度が60℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類225.5gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば14.2%であった。
【実施例7】
【0043】
1,000gのあわび腹足干し粉に40,000gの水を加えて均一に攪拌し、0.5mol/LのKOH溶液でpH値を8.5に調整し、600gのパパイン(酵素活性1,200u/mg)を加え、50℃の水浴において4時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして、6mol/LのHCl液でpH値が中性となるように調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。沈殿に35,000gの水を加えて均一に攪拌し、0.5mol/LのKOH溶液でpH値を9.0に調整し、175gのパパイン(酵素活性1,200u/mg)を加え、35℃の水浴において3時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして、6mol/LのHCl液でpH値が中性となるように調整し、5分間90℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合した。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心分離を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.1になるまで希釈し、噴霧乾燥を行う。入り口の温度が170℃で、出口の温度が55℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類234gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば15.2%であった。
【実施例8】
【0044】
1,000gのあわび臓器に5,000gの水を加え、組織破砕機でホモジネートし、25,000gの水を加えて均一に攪拌し、6mol/LのHClでpH値を1に調整し、900gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、35℃の水浴において2時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして、0.5mol/LのKOH溶液でpH値を9に調整し、300gのトリプシン(酵素活性2,500u/mg)を加え、55℃の水浴において4時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。酵素分解後に酸でpH値を中性に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。沈殿に10,000gの水を加えて同様の作業を一回繰り返した。遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えた。その後の作業は実施例7の様に行い、たとえば乾燥したあわび多糖類50.2gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば8.4%であった。
【実施例9】
【0045】
1,000gのあわび本体を実施例1の様に処理を行い、その中に0.5mol/LのKOH溶液を加えてpH値を7に調整し、300gのパパイン(酵素活性1,200u/mg)と、100gの中性プロテアーゼ(酵素活性100u/mg)と、100gのトリプシン(酵素活性2,500u/mg)とを加え、37℃で6時間酵素分解を行ったのち、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温(20℃)まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。沈殿に20,000gの水を加え、その中に0.5 mol/LのKOH溶液を加えてpH値を7に調整し、200gのパパイン(酵素活性1,200u/mg)と、50gの中性プロテアーゼ(酵素活性100u/mg)と、200gのトリプシン(酵素活性2,500u/mg)とを加え、50℃で4時間酵素分解を行ったのち、pH値を7位に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温(20℃)まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えた。その後の作業は実施例7と同様に行い、たとえば乾燥したあわび多糖類50.9gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば14.6%であった。
【実施例10】
【0046】
1,000gのあわび本体を実施例1の様に処理を行い、得られた漿液に紫外線を30分間照射し、濃度0.06 mol/LのNaClを用いてpH7.5、50℃で自己融解を行い、得られた自己融解後の溶液を6mol/LのHClでpH値が5となるように調整し、150gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、40℃で2時間酵素分解を行った。pH値を7に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。沈殿に25,000gの水を加え、6 mol/LのHClでpH値を5に調整し、80gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、60℃で1時間酵素分解を行ったのち、0.5
mol/LのKOH溶液でpH値を7位に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。得られた上清液を混合した。その後の作業は実施例1と同様に行った。この結果、たとえば乾燥したあわび粗多糖類51.3gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば14.6%であった。
【実施例11】
【0047】
1,000gのあわび本体を実施例1の様に処理を行い、得られた漿液に紫外線を10分間照射し、濃度0.08 mol/LのNaClを用いてpH7、30℃で自己融解を行った。その後の作業は実施例10と同様に行った。たとえば乾燥したあわび粗多糖類50.9gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば14.4%であった。
【実施例12】
【0048】
1,000gのあわび臓器を実施例1の様に処理を行い、得られた漿液を無菌酵素分解缶に入れ、pH値を6に調整し、常温で8時間自己融解を行った。得られた自己融解後の溶液を6mol/LのHClでpH値が3となるように調整し、30gのペプシン(酵素活性50u/mg)とを加え、40℃で2時間酵素分解を行った。pH値を7に調整し、3分間90℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、高速遠心して上清液と沈殿とを得た。その後の作業は実施例10と同様に行った。この結果、たとえば乾燥したあわび粗多糖類66.2gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば6.5%であった。
【実施例13】
【0049】
1,000gのあわび臓器を実施例1の様に処理を行い、得られた漿液を無菌酵素分解缶に入れ、pH値を7.5に調整し、常温で6時間自己融解を行った。前記自己融解後の溶液を6mol/LのHClでpH値が5となるように調整し、溶液重量100gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、40℃で1〜2時間酵素分解を行った。酵素分解後にpH値を中性に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。沈殿に水を加えて同様の作業を一回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えた。その後の作業は実施例10と同様に行った。この結果、たとえば乾燥したあわび粗多糖類64.8gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば6.8%であった。
【実施例14】
【0050】
1,000gのあわび腹足を実施例1の様に処理を行い、50℃で3時間漬けて抽出し、6mol/LのHClでpH値を3に調整し、150gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、40℃の水浴において5時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして0.5mol/LのKOH溶液でpH値を7〜9に調整し、100gのトリプシンを加え、.55℃の水浴において2時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。酵素分解後に酸でpH値を中性に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。沈殿に水を加えて同様の作業を一回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えた。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.08になるまで希釈し、噴霧乾燥を行う。入り口の温度が170℃で、出口の温度が55℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類50.3gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば16.1%であった。
【実施例15】
【0051】
1,000gのあわび腹足を実施例1の様に処理を行い、20KHZの超音波で60分間処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。さらに沈殿に25,000gの水を加え、0.5mol/LのKOH溶液でpH値を8.0に調整し、500gのパパイン(酵素活性1,200u/mg)を加え、4時間酵素分解を行ったのち、6mol/LのHClでpH値が7となるように調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。上清液を混合した。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.08になるまで希釈し、噴霧乾燥を行う。入り口の温度が180℃で、出口の温度が50℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類49.2gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば15.8%であった。
【実施例16】
【0052】
1,000gのあわび腹足を実施例1の様に処理を行い、30KHZの超音波で30分間処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。さらに沈殿に25,000gの水を加え、6mol/LのHClでpH値を3に調整し、100gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、40℃の水浴において5時間攪拌して酵素分解を行った。加水分解するときに前記pH値を保持していた。そして0.5mol/LのKOH溶液でpH値を7〜9に調整し、80gのトリプシンを加え、.55℃の水浴において2時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。酵素分解後に酸でpH 値を中性に調製し、5分間95℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。遠心分離により得た上清液を混合して次の工程に備えた。実施例1の様に濃縮・醇化・遠心を行った。遠心分離で得られた沈殿を水で比重が1.10になるまで希釈し、噴霧乾燥を行う。入り口の温度が180℃で、出口の温度が55℃であった。この結果、たとえば乾燥したあわび多糖類58.2gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば17.4%であった。
【実施例17】
【0053】
1,000gのあわび臓器粉に25,000gの水を加えて均一に攪拌し、6mol/LのNaOHでpH値を10に調整し、1,000gのアルカリ性プロテアーゼ(酵素活性40u/mg)を加え、45℃の水浴において3時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前記pH値を保持していた。酵素分解後に酸でpH値を中性に調整し、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とを得た。さらに沈殿に10,000gの水を加え、同様の作業を一回繰り返し、遠心分離により得た上清液を混合した。その後の作業は実施例7と同様に行い、たとえば乾燥したあわび多糖類235.4gを得た。フェノール硫酸法で測定を行い、その多糖類含有量はたとえば11.8%であった。
【実施例18】
【0054】
実施例17により得られたあわび臓器粗多糖類5gに、245gの水を加え、0.125gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、6mol/LのHClでpH値を1.5に調整し、37℃で6時間酵素分解を行ったのち、2分間90℃まで昇温して10分間酵素を失活し、室温まで冷却し、0.5mol/LのNaOH溶液でpH値を中性に調整し、10分間遠心して上清液を取り出し、1125ml の95%アルコールを加え、4℃で12時間アルコール沈殿した。遠心して沈殿を取り出し、250gの水を加え、50mlのSevag試薬(Vクロロホルム:Vn-ブタノール=5:1)を加え、20分間激しく振り混ぜ、30分間静置し、遠心して沈殿を取り除き、上清液を取り出し、以上の脱蛋白の作業を6回繰り返した。このとき多糖類溶液中の蛋白含有量はたとえば0.35%であった。溶液の中に1125ml の95%アルコールを加えて一夜アルコール沈殿し、高速遠心して沈殿を取り出し、100gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に48時間透析してから、透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりブラン粉末2.1gを得た。精製あわび臓器多糖類(AHP)であった。AHPをSephadex
G-200カラム・クロマトグラフィで分離を行い、溶離剤は0.9%のNaCl溶液で、溶出速度は0.5ml/minで、フェノール硫酸法で追跡検出し、グラフを作成して二つの溶出ピークが得られ、それぞれ溶出ピークで収集し、透析・乾燥してから、DEAE cellulose 52で精製し、NaCl溶液で勾配溶出を行い、すべて単一の溶出ピークであった。収集して混合し、透析・濃縮した。冷凍乾燥することにより均一のあわび臓器多糖類AHP-1とAHP-2とを得た。
【実施例19】
【0055】
実施例17により得られたあわび臓器粗多糖類5gに、45gの水を加え、0.5gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、6mol/LのHClでpH値を3.0に調整し、37℃で1時間酵素分解を行ったのち、5分間90℃まで昇温して10分間酵素を失活し、室温まで冷却し、0.5mol/LのNaOH溶液でpH値を中性に調整し、10分間遠心して上清液を取り出し、225mlの 95%アルコールを加え、0℃で16時間アルコール沈殿した。遠心して沈殿を取り出し、100gの水を加え、20mlのSevag試薬(Vクロロホルム:Vn-ブタノール=5:1)を加え、 20分間激しく振り混ぜ、30分間静置し、遠心して沈殿を取り除き、上清液を取り出し、以上の脱蛋白の作業を8回繰り返した。このとき多糖類溶液中の蛋白含有量はたとえば0.25%であった。溶液の中に450mlの 95%アルコールを加えて一夜アルコール沈殿し、高速遠心して沈殿を取り出し、80gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に72時間透析してから、透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりたとえばライトブラン粉末1.7gを得た。精製あわび臓器多糖類(AHP)であった。
【実施例20】
【0056】
実施例17により得られたあわび臓器粗多糖類5gに、95gの水を加え、0.5gのペプシン(酵素活性50u/mg)を加え、6mol/LのHClでpH値を2.0に調整し、37℃で6時間酵素分解を行ったのち、5分間98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、室温まで冷却し、0.5mol/LのNaOH溶液で中性に調整し、10分間遠心して上清液を取り出し、300ml の95%アルコールを加え、0℃で16時間アルコール沈殿した。遠心して沈殿を取り出し、100gの水を加え、20mlのSevag試薬(Vクロロホルム:Vn-ブタノール=5:1)を加え、 20分間激しく振り混ぜ、30分間静置し、遠心して沈殿を取り除き、上清液を取り出し、以上の脱蛋白の作業を3回繰り返した。このとき多糖類溶液中の蛋白含有量はたとえば0.45%であった。溶液の中に450ml の95%アルコールを加えて一夜アルコール沈殿し、高速遠心して沈殿を取り出し、100gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に72時間透析してから、透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりたとえばライトブラン粉末2.25gを得た。精製あわび臓器多糖類(AHP)であった。
【実施例21】
【0057】
実施例7により得られたあわび腹足粗多糖類5gに、45gを加え、4℃で10%トリクロロ酢酸溶液を体積比5:1の比率でゆっくり加えて攪拌した。この温度に10分間振り混ぜ、4℃で10分間高速遠心して上清液を取り出して多糖類溶液中の蛋白含有量が0.42%以下となるように上記脱蛋白の作業を3回繰り返した。溶液の中に225ml の95%アルコールを加えて12時間アルコール沈殿した。高速遠心して沈殿を取り出し、100gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に48時間透析してから、透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりたとえば白い粉末1.5gを得た。
【実施例22】
【0058】
実施例7により得られたあわび腹足粗多糖類5gに、245gを加え、4℃で10%トリクロロ酢酸溶液を体積比5:1の比率でゆっくり加えて攪拌した。この温度に10分間振り混ぜ、4℃で10分間高速遠心して上清液を取り出して多糖類溶液中の蛋白含有量が0.27%以下となるように上記脱蛋白の作業を5回繰り返した。溶液の中に1125ml の95%アルコールを加えて12時間アルコール沈殿した。高速遠心して沈殿を取り出し、80gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に48時間透析してから、透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりたとえば白い粉末1.3gを得た。
【実施例23】
【0059】
実施例22により得られたあわび腹足多糖類5gに、95gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に入れ、1gのα-澱粉酵素(10U/mg)を加え、37℃で0.9%のNaCl溶液の中で48時間かけて透析しながら、加水分解してから、さらに水中で48時間透析した。透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりたとえば白い粉末AGP1.2gを得た。
【実施例24】
【0060】
実施例22により得られたあわび腹足多糖類5gに、95gの水を加え、分画分子量7,000Daの透析袋に入れ、0.05gのα-澱粉酵素(10U/mg)を加え、37℃で0.9%のNaCl溶液の中で48時間かけて透析しながら、加水分解してから、さらに水中で48時間透析した。透析袋中の液を濃縮し、冷凍乾燥することによりたとえば白い粉末AGP1.38gを得た。
【実施例25】
【0061】
実施例24により得られたAGP100mgに、10mlの水を加えて溶解させ、Sephadex G-100カラム・クロマトグラフィで分離を行い、溶離剤は0.9%のNaClで、溶出速度は0.5ml/minであった。フェノール硫酸法で追跡検出し、グラフを作成して唯一の溶出ピークを検出して収集した。混合・透析・濃縮・冷凍乾燥することにより均一のあわび腹足多糖類AGPを得た。
【実施例26】
【0062】
実施例18により得られた100mgのAHP100に、10mlの水を加えて溶解させ、Sephadex G-100カラム・クロマトグラフィで分離を行い、溶離剤は0.9%のNaCl溶液で、溶出速度は0.5ml/minであった。フェノール硫酸法で追跡検出し、グラフを作成して二つの溶出ピークを検出した。それぞれ溶出ピークで収集・透析・乾燥してから、DEAE cellulose 52で精製し、NaCl溶液で勾配溶出を行い、すべて単一の溶出ピークであった。収集して混合し、透析・濃縮した。冷凍乾燥することにより均一のあわび臓器多糖類AHP-1とAHP-2とを得た。
【実施例27】
【0063】
実施例25により得られた10mgのAGPに、10mlの超純水を加えて20分間超音波で溶解促進して濾過を行った。ゲルクロマトグラフで検出した分子量は5,000-10,000dalであった。クロマトグラフ条件は、ゲルカラムはSepharose
CL-6Bカラムで、溶離剤は0.9%のNaCl溶液で、流速は0.24ml/minであった。
【実施例28】
【0064】
実施例26により得られた10mgのAHP-1に、10mlの超純水を加えて20分間超音波で溶解促進して濾過を行った。ゲルクロマトグラフで検出した分子量は5×105dal位であった。クロマトグラフ条件は、ゲルカラムはSepharose
CL-6Bカラムで、溶離剤は0.9%のNaCl溶液で、流速は0.24ml/minであった。
【実施例29】
【0065】
実施例26により得られた10mgのAHP-2に、10mlの超純水を加えて20分間超音波で溶解促進して濾過を行った。ゲルクロマトグラフで検出した分子量は10,000-15,000dal
位であった。クロマトグラフ条件は、ゲルカラムはSepharose CL-6Bカラムで、溶離剤は0.9%のNaCl溶液で、流速は0.24ml/minであった。
【実施例30】
【0066】
完全に乾燥した、実施例25により得られた10mgのAGPに2mlの無水HCl-メチルアルコールを加え、N2を入れて封管し、80℃で20時間メチルアルコール分解してから取り出し、室温になるまで放置した。無水KOH-メチルアルコールでpH=6となるように中和し、40℃で減圧回転蒸し干ししてから乾燥した。完全に乾燥したメチルアルコール分解産物に0.2mlの無水ピリジンを加え、75℃で30分かけて溶解させて、0.3mlのシリル化剤を加えて均一に振り混ぜ、数分間静置して上清を取り出して色層分析(ガスクロマトグラフ)を行い、単糖はブドウ糖からの組成と分かった。クロマトグラフ条件は、ガスクロマトグラフ(US Agilent 6890N)、HP-1クロマトグラフカラム、固定相Methylsiloxane、キャリヤーガスN2、流速45ml/minであった。水素炎イオン検出器(FID)を用い、検出温度は300℃で、サンプル注入量は1μlであった。注入口ガス化温度は300℃であり、カラム温度はプログラムで昇温を制御し、150℃に、1分間保持、10℃/minで182℃まで昇温して、2分間保持、1℃/minで188℃まで昇温して、1分間保持、8℃/minで230℃まで昇温した。
【実施例31】
【0067】
完全に乾燥した、実施例26により得られた10mgのAHP-1に2mlの無水HCl-メチルアルコールを加え、N2を入れて封管し、80℃で20時間メチルアルコール分解してから取り出し、室温になるまで放置した。無水KOH-メチルアルコールでpH=6となるように中和し、40℃で減圧回転蒸し干ししてから乾燥した。完全に乾燥したメチルアルコール分解産物に0.2mlの無水ピリジンを加え、75℃で30分かけて溶解して、0.3mlのシリル化剤を加えて均一に振り混ぜ、数分間静置して上清を取り出して色層分析(ガスクロマトグラフ)を行い、単糖はブドウ糖とペクチンシュガーからの組成であり、そのモル比はGlu :Ara=1.0:1.5で、アミノ糖鑑定の結果、アミノ糖が含まれなかった。クロマトグラフ条件は、ガスクロマトグラフ(US Agilent 6890N)、HP-1クロマトグラフカラム、固定相Methylsiloxane、キャリヤーガスN2、流速45ml/minであった。水素炎イオン検出器(FID)を用い、検出温度は300℃で、サンプル注入量は1μlであった。注入口ガス化温度は300℃であり、カラム温度はプログラムで昇温を制御し、150℃に、1分間保持、10℃/minで182℃まで昇温して、2分間保持、1℃/minで188℃まで昇温して、1分間保持、8℃/minで230℃まで昇温した。
【実施例32】
【0068】
完全に乾燥した、実施例26により得られた10mg のAHP-2に2mlの無水HCl-メチルアルコールを加え、N2を入れて封管し、80℃で20時間メチルアルコール分解してから取り出し、室温になるまで放置した。無水KOH-メチルアルコールでpH=6となるように中和し、40℃で減圧回転蒸し干ししてから乾燥した。完全に乾燥したメチルアルコール分解産物に0.2mlの無水ピリジンを加え、75℃で30分かけて溶解させて、0.3mlのシリル化剤を加えて均一に振り混ぜ、数分間静置して上清を取り出して色層分析(ガスクロマトグラフ)を行い、ラムノース(rhamnose)と、フコース(fucose)と、キシロース(xylose)と、ガラクトース(galactose)とグルコース(glucose)の組成であり、そのモル比はRha:Fuc:Xyl:Gal:Glu=2.7:1.0:1.0:4.3:4.2で、微量のN-アセチルグルコサミン(N-acetylglucosamine)が含まれた。クロマトグラフ条件は、ガスクロマトグラフ(US Agilent 6890N)、HP-1クロマトグラフカラム、固定相Methylsiloxane、キャリヤーガスN2、流速45ml/minであった。水素炎イオン検出器(FID)を用い、検出温度は300℃で、サンプル注入量は1μlであった。注入口ガス化温度は300℃であり、カラム温度はプログラムで昇温を制御し、150℃に、1分間保持、10℃/minで182℃まで昇温して、2分間保持、1℃/minで188℃まで昇温して、1分間保持、8℃/minで230℃まで昇温した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
あわび多糖類の抽出方法であって、
殻が除かれたあわび本体またはあわび腹足と臓器を組織破砕機で破砕して5〜10倍の水を加えてホモジネートする、或いは殻が除かれたあわび本体またはあわび腹足と臓器を乾燥して100目以下の干し粉に粉砕する原料処理ステップと、
水漬抽出法と、アルカリ液抽出法と、超音波抽出法と酵素抽出法のうちの一つまたは複数を利用して成分抽出を行う抽出ステップと、
抽出した清液を糖含有量が1.5〜3.0%となるように濃縮する濃縮ステップと、
濃縮液に体積でその3〜4倍の95%アルコールを加え、0〜4℃で12〜16時間放置し、遠心分離により沈殿となるあわび多糖類を得るアルコール沈殿ステップと、
アルコール沈殿により得たあわび多糖類を乾燥して生成品を得る乾燥ステップと、を含む。
【請求項2】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え均一化するように攪拌して混合させ、20〜60℃で1〜6時間漬けて成分抽出を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、沈殿に10〜30倍の水を加え、同様の作業を1〜2回繰り返し、得た上清液を混合することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項3】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え均一化するように攪拌して混合させ、20〜30KHZ超音波で10〜60分間処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、沈殿に10〜30倍の水を加え、同様の作業を1〜2回繰り返し、得た上清液を混合することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項4】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え均一化するように攪拌して混合させ、NaOHまたはKOHでそのpH値を8〜9に調整し、20〜60℃で1〜6時間漬けて成分抽出を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、沈殿に10〜30倍の水を加え、再びNaOHまたはKOHでそのpH値を8〜9に調整し、同様の作業を1〜2回繰り返し、得た上清液を混合し、HClで中性となるように中和することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項5】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え均一化するように攪拌して混合させ、HClでそのpH値を2〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加えて均一化するように攪拌して混合させ、20〜60℃で1〜6時間の処理を行い、急速に90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、急速に20〜30℃まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、NaOHまたはKOHで上清液のpH値が中性となるように調整することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項6】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え均一化するように攪拌して混合させ、NaOHまたはKOHでそのpH値を8〜9に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のトリプシン、パパインまたは中性プロテアーゼを加え均一化するように攪拌して混合させ、20〜60℃で1〜6時間の処理を行い、急速に90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、急速に20〜30℃まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、NaOHまたはKOHで上清液のpH値が中性となるように調整することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項7】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え均一化するように攪拌して混合させ、NaOHまたはKOHでそのpH値を8〜9に調整し、比例が1:0.01〜1.0で溶液重量の0.05〜3.00%のパパインとトリプシンとを加え、均一化するように攪拌して、20〜60℃で1〜6時間の処理を行い、急速に90〜100℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、急速に20〜30℃まで冷却し、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、HClで上清液のpH値が中性となるように中和することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項8】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え、HClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加えたのち、20〜60℃の水浴において、pH値を前述範囲内に保持しながら、1〜6時間攪拌して酵素分解を行い、さらにNaOHまたはKOHでpH値を7〜9に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のトリプシンを加え、20〜60℃の水浴において、pH値を前述範囲内に保持しながら、1〜6時間攪拌して酵素分解を行ったのち、pH値を7位に調整し、2〜5分間90〜100℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、高速遠心により沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項9】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料に10〜50倍の水を加え、NaOHまたはKOHでpH値を 7〜9に調整し、パパインと中性プロテアーゼとトリプシンを加え、三種類酵素の総添加量は溶液重量の0.05〜3.00%とし、比例は1:0.01〜1:0.01〜1とし、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行ったのち、pH値を7位に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温(20℃)まで冷却し、高速遠心により沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項10】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料の漿液に紫外線を10〜30分間照射し、濃度0.06〜0.08 mol/LのNaClを用いてpH値を7〜7.5にし、温度30〜50℃でその自身の酵素により自己融解を行い、6 mol/LのHClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行ったのち、pH値を7位に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活し、5分間以内に室温まで冷却し、10分間位高速遠心することにより沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項11】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび内臓の漿液を無菌酵素分解缶に入れ、pH6〜7.5、常温で6〜8時間自己融解を行い、HClでpH値を1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行い、pH値を7位に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、5分間以内に室温まで冷却し、10分間位高速遠心することにより沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項12】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび内臓の漿液を無菌酵素分解缶に入れ、pH6〜7.5、0〜4℃で24〜48時間自己融解を行い、HClでpH値を 1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行い、pH値を7位に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、5分間以内に室温まで冷却し、10分間位高速遠心することにより沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項13】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料にあわび量の10〜50倍の水を加え、20〜80℃で3〜6時間漬けて成分抽出を行い、HClでpH値を 1〜5に調整し、溶液重量の0.05〜3.00%のペプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行い、加水分解するときに前述pH値を保持し、さらに0.5mol/LのNaOHまたはKOH液でpH値を7〜9に調整し、0.05〜3.00%のトリプシンを加え、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行い、加水分解するときに前述pH値を保持し、酵素分解を行ったのち、酸でpH値が中性となるように調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活しとのち、5分間に室温まで冷却し、遠心分離より沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項14】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料にあわび量の10〜50倍の水を加え、20〜80℃で3〜6時間漬けて成分抽出を行い、NaOHまたはKOH液でpH値を7〜9に調整し、0.05〜3.00%の、パパインと中性プロテアーゼとトリプシンのうちのいずれかの二種類を加え、20〜60℃の水浴において1〜6時間攪拌して酵素分解を行い、加水分解するときに前述pH値を保持し、酵素分解を行ったのち、酸でpH値が中性となるように調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により沈殿と上清液とを得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項15】
前記抽出ステップは、原料処理ステップにより得られたあわび原料にあわび量の10〜50倍の水を加え、20〜30KHZ超音波で10〜60分間の処理を行い、遠心分離により上清液と沈殿とが得られると、さらに沈殿に15〜25倍の水を加え、0.5mol/LのNaOHまたはKOHでpH値を7〜9に調整し、パパインと中性プロテアーゼとトリプシン、またはそのうちのいずれかの二種類を加え、添加量は溶液重量の0.05〜3.00%とし、20〜60℃で1〜6時間酵素分解を行ったのち、酸でpH値を7に調整し、2〜5分間90〜98℃まで昇温して10分間酵素を失活したのち、5分間に室温まで冷却し、遠心分離により沈殿と上清液とが得られると、上清液と沈殿とが得られると、沈殿に水を加えて同様の作業を1〜2回繰り返し、遠心分離により上清液を得ることを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項16】
前記抽出ステップにおいて、遠心分離により得られる沈殿に10〜40倍の水を加えて1〜2回繰り返して成分抽出を行い、遠心分離により得られるすべての上清液を混合することを特徴とする請求項5〜14のいずれか一項に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項17】
前記乾燥ステップは、アルコール沈殿ステップにより得られるあわび多糖類を50〜60℃で真空乾燥することを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項18】
前記乾燥ステップは、アルコール沈殿ステップにより得られるあわび多糖類を精製し、噴霧による乾燥を行うことを特徴とする請求項1に記載のあわび多糖類抽出方法。
【請求項19】
前記生成品をさらに精製して純化することを特徴とする請求項1〜19のいずれか一項に記載のあわび多糖類抽出方法。

【公表番号】特表2009−510234(P2009−510234A)
【公表日】平成21年3月12日(2009.3.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−533850(P2008−533850)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【国際出願番号】PCT/CN2006/002650
【国際公開番号】WO2007/041951
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(507198613)大連工業大学 (3)
【出願人】(507198624)大連▲章▼子島漁業集団股▲分▼有限公司 (2)
【Fターム(参考)】