説明

いびき抑制剤

【課題】 いびきは睡眠障害の一種で、睡眠異常行動に分類され、睡眠中に発生した異常な呼吸音がいびきと定義される。いびきはクオリティー・オブ・ライフ(QOL)を低下させる要因となる。更に、頻繁ないびきの発生は睡眠の質を低下させ、日中の眠気や疲労回復の遅延を招くと考えられている。近年において、いびきは睡眠時無呼吸症候群の症状の一つであるとともに、無呼吸まで悪化していなくとも、睡眠時無呼吸症候群の初期段階であるという見方が一般的である。
本発明は、治療効果が高く、内服剤のいびき抑制剤を提供することを目的とする。
【解決手段】 酸棗仁湯を配合することを特徴とするいびきの抑制又は軽減剤。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、漢方処方の酸棗仁湯からなるいびき抑制剤に関する。
【背景技術】
【0002】
いびきは睡眠障害の一種で、睡眠異常行動に分類され、睡眠中に発生した異常な呼吸音がいびきと定義される。いびきは、その音によって一緒に寝る家族の不眠を招き、家族関係の悪化の原因となることや、本人のコンプレックスとなって外泊の遠慮、結婚の不安になることも多い。そのため、いびきはクオリティー・オブ・ライフ(QOL)を低下させる要因となる。更に、頻繁ないびきの発生は睡眠の質を低下させ、日中の眠気や疲労回復の遅延を招くと考えられている。近年において、いびきは睡眠時無呼吸症候群の症状の一つであるとともに、無呼吸まで悪化していなくとも、睡眠時無呼吸症候群の初期段階であるという見方が一般的である。
【0003】
いびきの一時的な抑制又は軽減剤として、従来点鼻剤が販売されている。これは鼻腔中にグリセリンを噴霧して鼻詰まりを軽減することにより、健全な鼻呼吸を維持し、口呼吸によるいびきの発生を抑えると考えられている。しかし、この点鼻剤は、鼻詰まりによるいびきを軽減するのみの製剤である。このため、発症原因の多くを占める咽喉(舌根部)に原因があるいびきに対しては、点鼻剤は有効ではないとされている。また、点鼻剤による治療は対症療法であることや、効果の作用時間が短いことなど、使用における課題が多い。また、口腔内へ製剤が流入することによる睡眠時の違和感を訴える生活者もいる。
【0004】
従来、いびきに対して有効かつ安全で一般的に使用されうる薬物は現在のところ開発されていない。以上のような状況から、いびきに有効な薬物の開発が望まれている。
【0005】
最近に至り、いびきの抑制に漢方薬を使用する試みがいくつかなされており、大柴胡湯や三黄瀉心湯の投薬によっていびきが抑制された成果が報告されている(非特許文献1及び2参照)。
【0006】
「酸棗仁湯」は酸棗仁(サンソウニン)、知母(チモ)、茯苓(ブクリョウ)、川きゅう(センキュウ)及び甘草(カンゾウ)からなる漢方製剤で、従来「不眠症、嗜眠症、神経衰弱、盗汗、健忘症、驚悸、心悸亢進症、眩暈、多夢、神経症など」に用いられている。しかしながら、いびきに対する効果は報告されていない。
【0007】
いびきは睡眠障害国際分類において「睡眠時異常行動(parasomnias)」の中の、「原発性いびき(primary snoring)」に分類されている。一方、酸棗仁湯の従来の目的である不眠症は「睡眠異常(dyssomnias)」の中の、「精神生理性不眠症(psychophysiological insomnia)又は、「身体疾患や精神障害に伴う睡眠障害」の中の、「不安障害(anxiety disorders)」に伴う不眠に分類されると考えられ、嗜眠症については、「睡眠異常(dyssomnias)」の中の、「特発性過眠症(idiopathic hypersomnia)」が適当と考えられる。このように、酸棗仁湯が対象としてきた不眠症は、睡眠障害の国際分類上もいびきとは別に分類される。
【0008】
また、不眠症に対して用いられる従来の睡眠薬は一般的にいびきを悪化させることが知られており(非特許文献3参照)、睡眠薬をいびきに対して用いることは一般的に考えられないことである。
【0009】
いびきの評価に使用できる動物モデルは本願発明者らが報告している(特許文献1参照)。
【0010】
【特許文献1】特願2006-211870
【非特許文献1】漢方診療 Vol.18 No.5 p18-21 1999
【非特許文献2】psychiatry and clinical neurosciences 53 p303-305 1999
【非特許文献3】いびきと睡眠障害 (東海大学出版会) p40
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
本発明は、治療効果が高く、内服のいびき抑制剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明者らは、いびきモデル動物を用い、咽喉に対する漢方処方の効果について鋭意研究を行った結果、酸棗仁湯にいびき抑制作用があることを見出した。
【0013】
すなわち、本発明は
1.酸棗仁湯を配合したことを特徴とするいびきの抑制又は軽減剤、
2.サンソウニン、チモ、センキュウ、ブクリョウ及びカンゾウを配合した酸棗仁湯を配合したことを特徴とするいびきの抑制又は軽減剤、
である。
【0014】
本願発明のいびき抑制効果は、不眠症に用いられる他の漢方、生薬、医薬品で必ずしも効果があるものではないことから本願発明に特異的な効果である。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、いびきモデル動物に対して、有意にいびき抑制効果が認められた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明が提供する治療剤における有効成分としての酸棗仁湯は、漢方処方の一つであり、医師の処方、薬局及び薬店などにおいて容易に入手可能なものである。
【0017】
配合生薬は、サンソウニン 10、ブクリョウ 5、チモ 3、センキュウ 3、カンゾウ 1の割合が一般的であるが、配合比率は適宜増減することができる。
【0018】
酸棗仁湯は、一般的にサンソウニン、チモ、センキュウ、ブクリョウ及びカンゾウの5種類配合するが、本願発明ではセンキュウ、ブクリョウ及びカンゾウの内1種又は2種を減方することも考えられる。
【0019】
本発明のいびき抑制剤に配合可能な酸棗仁湯は、通常行われる方法に基づいて製造することが可能である。また、酸棗仁湯に含まれる生薬は末、煎剤、エキス剤として個別に配合することも可能であるが、酸棗仁湯エキスとして服用することが望ましい。
【0020】
酸棗仁湯としてエキスを用いる場合、熱水、エタノール、含水アルコールなどで通常の方法で抽出したエキス、乾燥エキス、流エキスなどの形態を使用することができる。
【0021】
さらに、酸棗仁湯に対して他の漢方製剤との併用や、合方処方、構成生薬の加味、及び各構成生薬の修治などを実施することができる。
【0022】
本発明のいびき抑制剤には、発明の効果が損なわれない質的及び量的範囲で、任意の担体(水溶性ビタミン、脂溶性ビタミン、ビタミン誘導体、ミネラル、生薬、生薬のエキス、有機酸、補酵素など)などと混合することができる。
【0023】
本発明のいびき抑制剤は、通常使用される任意成分を含有する丸剤、錠剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤、液剤などの剤形で、一般的な方法で製造することができる。
【0024】
任意成分としては、例えば賦形剤、結合剤、被覆剤、滑沢剤、糖衣剤、崩壊剤、増量剤、矯味矯臭剤、乳化・可溶化・分散剤、安定剤、pH調整剤、等張剤などがあげられる。これらを常法に従って処理することにより、本発明の製剤を製造することができる。
【0025】
いびきの抑制を目的に酸棗仁湯含有薬剤を服用する際は、通常成人1日あたり酸棗仁湯の原生薬量に換算して3.0〜60.0g程度の投与量で、1日1回から数回投与し、3日間以上服用を続けることが好ましいが、2週間以上の継続した服用がより好ましい。
【0026】
以下、試験例により本発明を詳細に説明する。
【0027】
参考例1
いびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物の作製:
SPFハムスター(Slc:Syrian、雄性:日本エスエルシー株式会社より購入)を、12週齢まで通常飼料(MF:オリエンタル酵母工業株式会社製)で飼育した。加齢群には12週齢から長期飼育用飼料(CE−7:日本クレア株式会社製)を4週間〜6週間与えた。一方、加齢・肥満群には12週齢から高脂肪食(Quick Fat:日本クレア株式会社製)を4週間〜6週間与えた。なお、ハムスターは何れの群も全飼育期間を通して以下の飼育環境で飼育した。
<飼育環境>
ケージの種類:床敷エコンケージ
温度:23±3℃
湿度:50±20%
照明時間:12時間
飲料水:殺菌水(自由摂取)
上記で作製された加齢群および加齢・肥満群のハムスターに、次のようにして麻酔処置を行った。まず、ハムスターに0.8g/kgのウレタンを腹腔内投与し、その5分後に0.8g/kgのウレタンを再度投与して(総量1.6g/kg)30分静置した。静置後、呼吸数を測定し、各群のハムスターの麻酔深度を一定にするために1分あたりの呼吸数が50−80回のハムスターを選抜した。ハムスターの1分あたりの呼吸数が80回以上の時は軽度の麻酔と判断してウレタンを追加投与し(総量2.1g/kg以下)、1分あたりの呼吸数が50−80回となるようにした。前記のようにして基準内の呼吸数(麻酔深度)に達したハムスターについて5分間の呼吸音および胸郭運動を測定した(鼻閉前測定)。鼻閉前測定の後、接着剤(アロンアルファGEL−10:東亞合成株式会社製)を用いて鼻腔を接着し、鼻閉処置を行い、睡眠時呼吸障害モデル動物を得た。
【0028】
上記で得られた睡眠時呼吸障害モデル動物について、鼻閉処置後1時間あたりの呼吸音発生回数の測定を鼻閉処置後6時間まで行った。呼吸音発生回数の測定は、呼吸音をデジタルサウンドメーター(株式会社カスタム製)を用いて以下の条件で測定し、これをA/DコンバータMP100システム(株式会社モンテシステム製)を用いてデジタル変換したデータを2回微分して加速度を求め、一定の加速度を超える回数(5dBを超えるために必要な加速度)を算出した。肥満による遅発性の呼吸音の増加を表1に示した。各群n=11で試験し、表中の数字は平均値±標準誤差で示した。
<測定条件>
測定範囲:C特性
動特性:FAST(125mS)
測定レンジ:AUTO(30−130dB)
【0029】
【表1】

【0030】
加齢群においては鼻閉処置直後から2時間程度の呼吸音の発生が認められた。この呼吸音は、鼻閉により口呼吸となったため、気道部の分泌物が破裂し、発生したものであった。この分泌物の破裂による呼吸音の発生回数は時間が経ち、気道部が乾燥するにつれて減少した。一方、加齢・肥満群では加齢群と同様に鼻閉処置直後から2時間程度の呼吸音の発生が認められ、その後発生回数の減少が一時的に認められたが、鼻閉後3時間から呼吸音の発生回数の増加が遅発的に認められ、この増加は6時間後まで持続した(P<0.05、対加齢群(F(1,60)=6.17)、二元配置分散分析)。この遅発性の呼吸音は、気道部が乾燥した後に認められたこと、分泌物の破裂による呼吸音とは異なる音であること、加齢群では発生回数が少なかったことから、肥満によって発生した音であると考えられた。
【0031】
これらの結果と、ヒトにおいて肥満がいびきのリスクファクターの一つであることから、この遅発性の呼吸音はヒトのいびき音を再現していると考えられた。
【0032】
これらのことから、加齢群と加齢・肥満群とでは加齢・肥満群の方がいびき(睡眠時呼吸障害)モデルとして好ましいことが判った。
【0033】
参考試験例1
いびき(睡眠時呼吸障害)の改善試験:
SPFハムスター(Slc:Syrian、雄性:日本エスエルシー株式会社より購入)を、12週齢まで通常飼料(MF:オリエンタル酵母工業株式会社製)で飼育した。12週齢からは高脂肪食(Quick Fat:日本クレア株式会社製)を4週間〜6週間与えた。高脂肪食を与えている期間内であって、麻酔処置および鼻閉処置を行う13〜20日前から、臨床においていびき患者の80%以上に抑制効果が認められている大柴胡湯(「漢方診療」、18、p18−21、1999年)を、375mg/kgおよび1250mg/kgで1日1回マウス用経口ゾンデを用いて強制胃内投与した。なお、ハムスターは何れの群も全飼育期間を通して参考例1と同様の飼育環境で飼育した。
【0034】
上記条件で飼育後、大柴胡湯375mg/kgおよび1250mg/kg投与群について参考例1と同様に麻酔処置および鼻閉処置を行った。その後、鼻閉処置後1時間あたりの呼吸音発生回数の測定を鼻閉処置後6時間まで参考例1と同様に行った。いびき(睡眠時呼吸障害)モデルに対する大柴胡湯の効果を表2に示した。各群n=11で、表中の数字は平均値±標準誤差で示した。
【0035】
【表2】

【0036】
大柴胡湯を用いて遅発性の呼吸音に対する効果を評価した結果、大柴胡湯375mg/kg投与群では鼻閉処置の3〜6時間後における呼吸音の発生回数が加齢・肥満群に比較して減少する傾向が見られた。一方、大柴胡湯1250mg/kg投与群では遅発性の呼吸音の発生回数が有意に減少した。
【0037】
このように、麻酔処置および鼻閉処置前の大柴胡湯の連続投与によって、いびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物のいびき音の発生回数が減少した(P<0.05、対加齢・肥満群(F(1,60)=5.87)、二元配置分散分析)。この結果により、いびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物を用いればヒトのいびきに有効な素材あるいは薬物を評価することができることが明らかになった。
【実施例1】
【0038】
いびき(睡眠時呼吸障害)の改善試験:
酸棗仁湯は市販の酸棗仁湯エキス製剤(サンソウニン 10、ブクリョウ 5、チモ 3、センキュウ 3、カンゾウ 1の割合の乾燥エキスを43.3%含有する。)を用いた。
【0039】
SPFハムスター(Slc:Syrian、雄性:日本エスエルシー株式会社より購入)を、12週齢まで通常飼料(MF:オリエンタル酵母工業株式会社製)で飼育した。12週齢からは高脂肪食(Quick Fat:日本クレア株式会社製)を4週間〜6週間与えた。高脂肪食を与えている期間内であって、麻酔処置及び鼻閉処置を行う13〜15日前から、酸棗仁湯を375mg/kg(酸棗仁湯エキス製剤として)で1日1回マウス用経口ゾンデを用いて強制胃内投与した。なお、ハムスターは何れの群も全飼育期間を通して以下の飼育環境で飼育した。
<飼育環境>
ケージの種類:床敷エコンケージ、温度:23±3℃、湿度:50±20%、照明時間:12時間、飲料水:殺菌水(自由摂取)
上記条件で飼育後、対照群及び酸棗仁湯投与群について次のようにして麻酔処置を行った。まず、ハムスターに0.8g/kgのウレタンを腹腔内投与し、その5分後に0.8g/kgのウレタンを再度投与して(総量1.6g/kg)30分静置した。静置後、呼吸数を測定し、各群のハムスターの麻酔深度を一定にするために1分あたりの呼吸数が50−80回のハムスターを選抜した。ハムスターの1分あたりの呼吸数が80回以上の時は軽度の麻酔と判断してウレタンを追加投与し(総量2.1g/kg以下)、1分あたりの呼吸数が50−80回となるようにした。前記のようにして基準内の呼吸数(麻酔深度)に達したハムスターについて5分間の呼吸音及び胸郭運動を測定した(鼻閉前測定)。
【0040】
鼻閉前測定の後、接着剤(アロンアルファGEL−10:商品名、東亞合成株式会社製)を用いて鼻腔を接着し、鼻閉処置を行い、いびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物を得た。接着剤による鼻閉は不可逆的なものであり、試験中に薬物の効果によって鼻閉が治癒することは考えにくい。
【0041】
上記で得られたいびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物について、鼻閉処置後1時間あたりの呼吸音発生回数の測定を鼻閉処置後6時間まで行った。呼吸音発生回数の測定は、呼吸音をデジタルサウンドメーター(株式会社カスタム製)を用いて測定した。これをA/DコンバータMP100システム(株式会社モンテシステム製)を用いてデジタル変換したデータを2回微分して加速度を求め、一定の加速度を超える回数(5dBを超えるために必要な加速度)を算出した。いびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物に対する酸棗仁湯の効果を表3に示した。各群n=8で、表中の数字は平均値±標準誤差で示した。
【0042】
【表3】

【0043】
酸棗仁湯を用いていびきモデルに対する効果を評価した結果、酸棗仁湯投与群では遅発性の呼吸音の発生回数が有意に減少した。
【0044】
このように、麻酔処置及び鼻閉処置前の酸棗仁湯の連続投与によって、いびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物のいびき音の発生回数が減少した(二元配置分散分析、対 対照群(F(1、60)=7.51)、P<0.01)。この結果により、酸棗仁湯はいびきの抑制に有効な効果があることが明らかになった。
【0045】
比較例1
黄連解毒湯及び柴胡桂枝乾姜湯のいびきに対する効果試験
睡眠効果が知られている漢方製剤である黄連解毒湯及び柴胡桂枝乾姜湯について実施例1と同様にしていびきに対する効果の評価を行った。
【0046】
市販の黄連解毒湯エキス製剤(オウゴン 3、オウレン 2、サンシシ 2、オウバク 1.5の割合の乾燥エキスを20%含有する)及び柴胡桂枝乾姜湯エキス製剤(サイコ 6、オウゴン 3、カロコン 3、ケイヒ 3、ボレイ 3、カンゾウ 2、カンキョウ 2の割合の乾燥エキスを46.7%含有する)を用いた。それぞれの漢方製剤を375mg/kg(黄連解毒湯エキス製剤又は柴胡桂枝乾姜湯エキス製剤として)、及び1250mg/kg(黄連解毒湯エキス製剤又は柴胡桂枝乾姜湯エキス製剤として)で投与した。
【0047】
実施例1と同様にしていびき(睡眠時呼吸障害)モデル動物に対する黄連解毒湯及び柴胡桂枝乾姜湯の効果を評価した。黄連解毒湯の結果(n=8)を表4に、柴胡桂枝乾姜湯の結果(n=8〜12)を表5にそれぞれ示した。表中の数字は平均値±標準誤差で示した。
【0048】
【表4】

【0049】
【表5】

【0050】
黄連解毒湯や柴胡桂枝乾姜湯を用いていびき(睡眠時呼吸障害)モデルに対する効果を評価した結果、各製剤の各用量において、いびき音の発生回数の減少は見られなかった。黄連解毒湯や柴胡桂枝乾姜湯は酸棗仁湯と同様に不眠症の患者に対して使用されている漢方製剤であるが、いびきの抑制効果はないことが明らかになった。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明のいびきの抑制又は軽減剤は、いびきを抑制又は軽減する経口投与用医薬品として利用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸棗仁湯を配合したことを特徴とするいびきの抑制又は軽減剤。
【請求項2】
サンソウニン、チモ、センキュウ、ブクリョウ及びカンゾウを配合した酸棗仁湯を配合したことを特徴とするいびきの抑制又は軽減剤。

【公開番号】特開2009−13173(P2009−13173A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−148673(P2008−148673)
【出願日】平成20年6月6日(2008.6.6)
【出願人】(000002819)大正製薬株式会社 (437)
【Fターム(参考)】