説明

いぶり大根の漬物を主材料とした加工食品

【課題】 いぶり大根の漬物の独特な風味、歯触り、香りを損ねずその長所を生かし、チーズの旨味と大根葉の栄養素を加え、その長所を生かした全く新たな食感覚・旨味感覚のほか栄養的にも優れかつ消費者の多様なニーズに対応し、消費者が手軽に食することのできる新たな加工食品を提供する。
【解決手段】 いぶり大根の漬物をスライスした主材料とし、粉チーズと大根葉の粉末を混合したものを副材料とし、該副材料を該主材料で包み込み、殺菌工程を経た後、低温に保持した室内等において数日間熟成することにより得られるいぶり大根の漬物の加工食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、いぶり大根の漬物を主材料として副材料と組み合わせて成る加工食品に関するものである。
【背景技術】
【0002】
いぶり大根の漬物は秋田県の名産品として有名であるが、通常単なる漬物としてそのままの姿形かスライスされた商品として流通しているに過ぎず、名産品であるが故に生産者の工夫が凝らされた味付けの他は、特段の工夫がなされていないのが現状であり、この味付けしたいぶり大根の漬物としてカレー味を付加した製品を本件発明者が先に公開しているのが例外的である。(特許文献1)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】 特開2008−237200号 公開公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
昔から伝承されてきたいぶり大根の漬物ではあるが、近年若者の漬物離れにより、消費は低迷状態にある。いぶり大根の漬物を食べやすくまた嗜好の変化にも対応する商品開発を通じて消費拡大を図ることにより、地元農家も大根栽培・収穫に意欲を持つことにもなり、東北地方の農業振興の一翼を担うことを念頭に、いぶり大根の漬物を主材料とする新たな加工食品を提供するものである。
また、通常使用されない大根葉を活用する事により廃棄物を少なくしエコ活動を積極的に取り入れるほか、栄養的にも優れかつ消費者の多様なニーズを考慮し、バラエティーに富んだ商品を実現しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
いぶり大根の漬物の独特な風味、歯触り、香りを損ねずその長所を生かしたいぶり大根の漬物をスライスしたものを主材料とし、大根葉の粉末と粉チーズとを組み合わせて混合したものを副材料とし、該副材料を該主材料で包み込んだことを特徴とするいぶり大根の漬物の加工食品を提供するものである
【0006】
この発明で使用するいぶり大根の漬物とは、無化学肥料(有機微生物栽培)で栽培された大根を、同じく無化学肥料で作った秋田こまちの米糠または米麹を用い、昔ながらの製法で手間ひまかけてじっくり漬け込んだいぶり大根の漬物であり、その一般的な製法は大根を藁で編んだ縄に固定し天井から吊し、下から薪等を焚いてその煙で燻製にさせ、塩と米糠または米麹を用いた床で最低50日以上漬け込んでなる安心、安全、からだに優しい漬物を言う。
【発明の効果】
【0007】
現在に至るまで、いぶり大根の漬物は単なる漬物としての認識しか及ばなかったが、チーズを組み合わせることで洋風のいぶり大根の漬物の加工食品が得られることになる。
また、従来廃棄されていた大根葉を有効利用する事により、大根葉の栄養素が見直され、他の緑黄色野菜(ほうれん草)と比較しても、ビタミンC、ビタミンE、カルシウム、ナトリウムなどが豊富であり(五訂日本食品標準成分表より)、該大根葉の粉末とチーズと組み合わせる事により、チーズ本来の味が旨味を増し、まろやかさを引き出し、いぶり大根の漬物を引き立てる事ができる。
このことにより準和風のいぶり大根の漬物が洋風的感覚の漬物にもなり、いぶり大根の消費拡大に貢献し、ひいては大根栽培農家の栽培意欲や所得の増加に繋がる事が予想される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態を実施例に基づいて説明する。
【実施例】
【0009】
まず、いぶり大根の漬物を0.8〜3mmの厚さに輪切りにし、スライス形状にする。このスライス形状のいぶり大根の漬物が以下に示す副材料を包み込む主材料となる。
【0010】
本件発明の副材料は粉チーズと大根葉の乾燥粉末を組み合わせて創世する。
副材料として粉チーズ50g〜500gに対し、大根葉の乾燥粉末を5g〜100gの割合で添加し、略均一となるよう攪拌・混合する。
本件発明の大根葉の乾燥粉末とは、従来廃棄されていた大根葉を清水で洗浄し、水切り乾燥した後に粉末機にかけて粉末としたものである。粉末化された大根葉の粒径は略1〜3mm程度が最適であるが、噛み応えを得るためには適宜な粒径又は大きさとすることも可能である。
また、使用する粉チーズはナチュラルチーズ100%の粉チーズ(プロセスチーズ)を用いることで対応可能であり市販されているもので十分である。
なお、好みに応じて各種のチーズ又はその代用品を用いても良く本件発明にはそれらを全て包摂するものとする。
【0011】
該主材料であるスライスしたいぶり大根の漬物の略中央に0.5〜3CC程度の量の粉チーズと大根葉の乾燥粉末と混合して得た副材料を置き、二つ折りに包み込んで本発明の目的物であるいぶり大根の漬物を主材料とした加工食品の原型を創世できる。
なお、包み込む形状は二つ折りが最適であるが、本件発明においては特に包み込み形状を特定せず、あらゆる形状を包摂するものである。
【0012】
前記で創世された加工食品の原型を、トレーに必要個数を並べ、ポリエチレン袋で真空パックし、袋ごと60〜90の温度帯まで昇温して煮沸し、この設定温度を保ちながら10分〜30分間経過させた後、5〜10の水に浸漬して該水を攪拌しながら30分〜90分間冷却する工程を経て殺菌を完了させる。
【0013】
なお、前記の工程を経ることにより副材料として構成する大根葉とチーズの旨味成分が主材料であるいぶり大根の漬物に浸透し、その後、10〜20の低温環境に保持した室内等において数日間の熟成工程を経る事により、より一層のいぶり大根の漬物としての主材料と副材料との旨味の一体化が図られ、いぶり大根の漬物の独特な風味、歯触り、香りを損ねずその長所を生かした全く新たな食感覚・旨味感覚のほか栄養的にも優れかつ消費者の多様なニーズに対応し、バラエティーに富んだ商品としてのいぶり大根の漬物の加工食品を提供できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
いぶり大根の漬物をスライスしたものを主材料とし、大根葉の粉末と粉チーズとを組み合わせて混合したものを副材料とし、該副材料を該主材料で包み込んだことを特徴とするいぶり大根の漬物の加工食品

【公開番号】特開2011−223967(P2011−223967A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−108711(P2010−108711)
【出願日】平成22年4月16日(2010.4.16)
【出願人】(507065201)有限会社ゆめ企画須藤健太郎商店 (3)
【Fターム(参考)】