説明

うつ病のための組合せ治療

うつ病性障害を処置するための組合せ治療が本明細書において提供される。組合せ治療は、ブプロピオンまたはその代謝物の有効量を、少なくとも1種のセロトニン5−HTIA部分アゴニストまたはその代謝物と共に、うつ病性障害の処置を必要とする患者に投与することを含む。この組合せを含む医薬製剤(包装された医薬製剤を含む)もまた、本明細書において提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本願は、2007年6月18日に出願された米国仮出願60/936,110の35 U.S.C.§119(e)による利益を主張し、米国仮出願60/936,110の全開示は、本明細書において参照により組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
うつ病性障害は、病理学的な抑うつ状態により特徴付けられる精神障害の一分類を構成し、例えば、大うつ病性障害(MDD)、双極性障害、気分変調性障害、および小うつ病性障害を含む。うつ病性障害の有病率は高い。米国における大うつ病性障害の生涯有病率は約15%である。
【0003】
うつ病性障害に苦しむ患者を処置するための多くの治療法が利用可能である。しかし、従来の薬物療法により処置された者の多くの割合が、その症状の部分的な軽減しか経験しないか、かかる処置に全く応答しない。うつ病において過去に実施された最も大規模な処置研究であるうつ病軽減のための代替的連続治療法(Sequenced Treatment Alternatives to Relieve Depression)(STAR*D)治験は、MDDの標準的な処置として現在用いられ、有効であり、耐容性が高く、投与が容易であると医師および家庭医により一般的に考えられている選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の適切な治験によって、大うつ病性障害を有する3人の患者のうち1人しか寛解を達成しないことを示した。したがって、SSRIは、30%もの高さであると概算される不応答性レベル、ならびに性機能障害および体重増加を含む副作用の頻発などの望ましくない性質を伴う。
【0004】
したがって、寛解の可能性を増大させるため、または現在利用可能な処置に応答しないかもしくは現在利用可能な治療から望ましくない副作用を有する患者において、うつ病性障害を処置するために用いることができる薬理学的治療の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0005】
発明の要旨
ブプロピオンと、(少なくとも1種の)セロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロン、との薬剤の組合せを投与することにより、個体においてうつ病性障害を処置するための驚くべき相乗効果がもたらされることを見出した。ブプロピオンの薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物およびラセミ体、およびセロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロン、の薬理学的に活性な代謝物もまた、本発明の組合せ治療において用いることができる。2種の薬剤の組合せまたは共投与のかかるアプローチは、現在利用可能な治療に応答しないかまたは耐性であるうつ病性障害に苦しむ個体を処置するために特に有用であり、また、現在利用可能なうつ病性障害治療に応答しない個体のために、かかる治療の有効性を改善し、および/またはその副作用を低減するためにも有用である。
【0006】
ブプロピオンは、FDAに認可されたドーパミンおよびノルエピネフリン神経伝達に作用する抗うつ剤であり、したがって、うつ病性障害の処置のためにセロトニン作動性抗不安薬であるブプロピオンと組み合わされたことはない。ブプロピオンは、うつ病性障害の処置において、セロトニン作動性抗うつ剤(SSRI、およびセロトニン−ノルエピネフリン再取り込み阻害剤であるSNRIなど)の作用を促進するためのみに用いられ、セロトニン神経伝達をさらに増強することを目的とする。いかなる特定の神経生物学的理論にも拘束されることは望まないが、出願人は、これら2種の薬物は異なる神経伝達物質経路に影響を及ぼす点において相補的であり、したがって薬剤の組合せが有利かつ予想外の相乗効果をもたらすと考えている。
【0007】
薬剤の組合せは、予想外の結果を有し、有利である。本明細書において記載するように、低用量のバスピロンとブプロピオンとが、MDDを処置するために効果的に用いられ、したがって、薬剤の組合せを投与することにおいて、各々の薬剤の(現在認可され推奨されている医師により用いられる用量に対して相対的に)より低い用量により有効な処置を得ることを可能にする相乗効果が存在するという考えの基礎をもたらした。このことが、他の抗うつ剤に対して劇的となり得る耐容性および有効性の利点をもたらす。
【0008】
うつ病性障害の処置における1つの主要な課題は、現在の治療を用いる場合に、患者の40%が性機能障害を経験し、患者の20%が体重増加を経験することである。薬剤の組合せのさらなる利点は、これらの薬剤のいずれも、体重増加または性機能障害を引き起こさないことである。
【0009】
本発明の一側面によれば、個体においてうつ病性障害を処置する方法が提供される。該方法は、個体に、(1)ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物またはラセミ体の一定量と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物またはラセミ体の一定量とを投与することを含み、ここで、組み合わされた(1)の一定量と(2)の一定量とが、うつ病性障害の処置に有効である。
【0010】
一部の態様において、セロトニン5−HT1A部分アゴニストは、アザピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。好ましくは、アザピロンはバスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンまたはザロスピロンまたはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。より好ましくは、アザピロンはバスピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。最も好ましくは、アザピロンはバスピロンである。
特に好ましい態様において、ブプロピオンおよびバスピロンが個体に投与される。
特定の態様において、うつ病性障害は、大うつ病性障害、気分変調性障害、小うつ病性障害または双極性障害である。
【0011】
一部の態様において、処置は、(1)の一定量または(2)の一定量を共投与することを含む。好ましくは、(1)の一定量および(2)の一定量は、単一の製剤または単位投与形態中にある。他の態様において、方法は、さらに、(1)の一定量を含むが(2)の一定量を含まない製剤もしくは単位投与形態、および/または(2)の一定量を含むが(1)の一定量を含まない製剤もしくは単位投与形態を投与することを含む。なお別の態様において、(1)の一定量および(2)の一定量は、別々の製剤もしくは単位投与形態中にある。
【0012】
前述の方法において、処置は、(1)の一定量および(2)の一定量を、実質的に同時に投与することを含んでも、(1)の一定量および(2)の一定量を異なる時に投与することを含んでもよい。
前述の方法の一部の態様において、(1)の一定量および/または(2)の一定量は、(1)および(2)の一方または両方が単独で投与される場合には有効でないが、それらの量を組み合わせた場合に有効である投与量で投与される。
【0013】
本発明の別の側面によると、医薬製剤が提供される。医薬製剤は、(1)ブプロピオン および/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量とを含み、ここで、(1)と(2)との組み合わせた量が、うつ病性障害の処置に有効である。
【0014】
一部の態様において、セロトニン5−HT1A部分アゴニストは、アザピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。好ましくは、アザピロンは、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンまたはザロスピロン、および/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。より好ましくは、アザピロンは、バスピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。最も好ましくは、アザピロンはバスピロンである。
【0015】
特定の態様において、(1)の一定量および(2)の一定量は、単一の製剤または単位投与形態中にある。製剤または単位投与形態は、経口製剤または単位投与形態であってもよい。好ましくは、経口製剤または単位投与形態は、液体、シロップ、錠剤、カプセル、散剤、スプリンクル(sprinkle)、咀嚼錠(chewtab)または可溶性ディスクである。
前述の医薬製剤のうち一部の態様において、(1)の一定量および/または(2)の一定量は、(1)および(2)の一方または両方が単独で投与される場合には有効でないが、それらの量を組み合わせた場合に有効である。
【0016】
本発明のさらなる側面により医薬製品が提供される。医薬製品は、(1)ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量とを含む第一の製剤または単位投与形態、ならびに(1)の一定量を含むが(2)の一定量を含まないかまたは(2)の一定量を含むが(1)の一定量を含まない第2の製剤または単位投与形態を含む。第1の製剤または単位投与形態と第2の製剤または単位投与形態との組合せは、うつ病性障害の処置に有効である。
【0017】
本発明のなお別の側面によれば、さらなる医薬製品が提供される。医薬製品は、ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量を含む第1の製剤または単位投与形態、および少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量を含む第2の製剤または単位投与形態を含む。第1の製剤または単位投与形態と第2の製剤または単位投与形態との組合せは、うつ病性障害の処置に有効である。
【0018】
医薬製品の一部の態様において、セロトニン5−HT1A部分アゴニストは、アザピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。好ましくは、アザピロンは、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンまたはザロスピロン、および/またはこれらの塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。より好ましくは、アザピロンはバスピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である。最も好ましくは、アザピロンはバスピロンである。
【0019】
特定の態様において、製剤または単位投与形態(単数または複数)は経口の製剤または単位投与形態である。好ましくは経口の製剤または単位投与形態は、液体、シロップ、錠剤、カプセル、散剤、スプリンクル、咀嚼錠または可溶性ディスクである。
前述の医薬製品の一部の態様において、(1)の一定量および/または(2)の一定量は、(1)および(2)の一方または両方が単独で投与される場合には有効でないが、それらの量を組み合わせた場合に有効である。
【0020】
うつ病性障害の処置のための医薬の製造のための薬剤の組合せの使用もまた提供される。
本発明のこれらのおよび他の態様、ならびにさらなる発明の特徴は、本明細書において提供される記載から明らかである。
【0021】
発明の詳細な説明
本発明を詳細に記載するに先立ち、本明細書において用いられる特定の用語の定義を提供することは有益となり得る。本発明の化合物は、標準的な命名法を用いて記載される。他に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的および化学的用語は、本発明が属する技術分野における当業者が通常理解するものと同一の意味を有する。
【0022】
本発明は、うつ病性障害を処置するための、治療剤の組合せ、および薬剤の組合せの投与を提供する。本明細書において用いられる場合、「薬剤の組合せ」および類似の用語は、2種類の薬剤:(1)ブプロピオンおよび/またはブプロピオンの薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物およびラセミ体と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロン、および/またはセロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロンの薬学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物およびラセミ体、との組合せを指す。個々の薬剤のラセミ体混合物の使用もまた提供される。薬理学的に活性な代謝物は、不活性であるが、投与後に体内において薬理学的に活性な形態に変換されるものを含む。
【0023】
ブプロピオンは、うつ病の処置について認可されている。ブプロピオンは、ドーパミンおよびノルエピネフリン神経伝達に影響を及ぼす。バスピロンは、不安症の処置について認可されている。これはまた、そのセロトニン1A型受容体に対する効果に起因して、うつ病の処置においてSSRIを用いる場合の増強処置(augment treatment)のために用いられる。
【0024】
ブプロピオンは、(±)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエチル)アミノ]−1−プロパノンと表され(3,819,706および3,885,046を参照)、好ましくは、塩酸塩として投与され、これはWELLBUTRIN、ZYBAN、BUDEPRIONおよびBUPROBANとして市販されている。ブプロピオンの代謝物として、ヒドロキシブプロピオン、ブプロピオンのエリスロ−およびスレオ−アミノアルコール、ブプロピオンのエリスロ−アミノジオール、およびブプロピオンのモルホリノール代謝物、(±)−(2R,3R)−2−(3−クロロフェニル)−3,5,5−トリメチル−2−モルホリノール、(−)−(2R,3R)−2−(3−クロロフェニル)−3,5,5−トリメチル−2−モルホリノール、および(+)−(2S,3S)−2−(3−クロロフェニル)−3,5,5−トリメチル−2−モルホリノールが挙げられ、この後者の分子は、その慣用名であるラダファキシン(radafaxine)により知られる。他のブプロピオン代謝物は、US 6,342,496およびUS 6,337,328に記載され、以下を含む:2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,5,5−トリメチル−モルホリノール、1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノール、1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノン、(R,R)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,5,5−トリメチル−モルホリノール;(S,R)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,5,5−トリメチル−モルホリノール;(S,S)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,5,5−トリメチル−モルホリノール(すなわち、(S,S)−ヒドロキシブプロピオン);(R,S)−2−(3−クロロフェニル)−2−ヒドロキシ−3,5,5−トリメチル−モルホリノール;(R,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノール;(S,R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノール;(S,S)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノール;(R,S)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノール;(R)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノン;および(S)−1−(3−クロロフェニル)−2−[(1,1−ジメチルエタノール)アミノ]−1−プロパノン。光学的に純粋な立体異性体は、例えばUS 6,110,973において記載される。
【0025】
バスピロンは、8−[4−[4−(2−ピリミジニル)−1−ピペラジニル)ブチル)−8−アザスピロ[4,5]デカン−7,9−ジオンと表され(US 3,717,634を参照)、好ましくは塩酸塩として投与され、これは、BUSPAR、ANSIAL、ANSICED、ANXIRON、AXOREN、BESPAR、BUSPIMEN、BUSPINOL、BUSPISAL、NAROL、SPITOMINおよびBUSPIREXとして市販されている。バスピロンの代謝物として、1−(2−ピリミジニル)−ピペラジン(1−PP);BMY 28674(6−ヒドロキシ−8−[4−[4−(2−ピリミジニル)−ピペラジニル]−ブチル]−8−アザスピロ[4,5]−7,9−ジオン;EP 1 248 622を参照);ヒドロキシ−バスピロン、例えば6−ヒドロキシ−バスピロン(6OHB);ヒドロキシ−バスピロングルクロニド;ジヒドロキシバスピロン;およびジヒドロキシ−バスピロングルクロニドが挙げられる。バスピロン代謝物の立体異性体として、6−ヒドロキシ−バスピロンのR−立体異性体(US 6,686,361)および6−ヒドロキシ−バスピロンのS−立体異性体(US 6,821,976)が挙げられる。バスピロンの多様な製剤が当該分野において公知である。例えば、US 5,431,922、US 6,268,368およびこれらにおいて記載される参考文献を参照のこと。
【0026】
バスピロンに加えて、本発明に従って有用な他のアザピロン類として、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンおよびザロスピロン(zalospirone)が挙げられる。
組合せの投与は、あらゆる好適な経路による、単一の製剤または単位投与形態における組合せの投与、組合せの個々の薬剤の同時であるが別々の投与、または組合せの個々の薬剤の連続的な投与を含む。組合せの個々の薬剤の投与量は、組合せ中の薬剤(単数または複数)の一方と比較して薬剤(単数または複数)の他方をより頻繁に投与する必要があってもよい。したがって、適切な投薬を可能にするために、包装された医薬製品は、薬剤の組合せを含有する1または2以上の投与形態、および薬剤の組合せの一方を含むが他方の薬剤を含まない1または2以上の投与形態を含んでもよい。
【0027】
薬剤は、化合物が異なる立体異性体の形態で存在し得るように、立体中心(stereogenic center)または立体軸(stereogenic axe)などの1または2以上のの不斉要素、例えば不斉炭素原子を含んでもよい。これらの化合物は、例えばラセミ体または光学的に活性な形態であってよい。2または3以上の不斉要素を有する化合物について、これらの化合物は、さらにジアステレオマーの混合物であってもよい。不斉中心を有する化合物について、光学異性体の全ておよびそれらの混合物が包含されることが理解されるべきである。さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物は、Z−またはE−形態で存在し得、当該化合物の全ての異性体の形態が本発明に包含される。これらの状況において、単一のエナンチオマー(光学的に活性な形態)を、不斉合成、光学的に純粋な前駆体からの合成、またはラセミ体の分割(resolution)により得ることができる。ラセミ体の分割はまた、例えば、分割剤(resolving agent)の存在下における結晶化、または例えばキラルHPLCカラムを用いるクロマトグラフィーなどの従来の方法により達成することができる。
【0028】
他に特定されない限り、または文中に明示的に示されない限り、本発明の組合せ治療に有用な化合物への言及は、当該化合物の遊離塩基、および当該化合物の全ての薬学的に許容可能な塩の両方を含む。好ましいバスピロン塩は、一塩酸塩である。好ましいブプロピオン塩は、塩酸塩である。用語「バスピロンまたはその塩」、「ブプロピオンまたはその塩」などは、それぞれバスピロンおよびブプロピオンの薬学的に許容可能な塩を示す。
【0029】
用語「薬学的に許容可能な塩」は、親化合物をその非毒性の酸または塩基付加塩を生成することにより修飾した開示される化合物の誘導体を含み、およびさらに、かかる化合物およびかかる塩の薬学的に許容可能な溶媒和物(水和物を含む)を指す。薬学的に許容可能な塩の例として、アミンなどの塩基性残基の鉱酸または有機酸付加塩;カルボン酸などの酸性残基のアルカリまたは有機付加塩;など、および前述の塩の1または2以上を含む組合せが挙げられるがこれらに限定されない。薬学的に許容可能な塩として、例えば非毒性の無機または有機酸から形成された親化合物の非毒性の塩および四級アンモニウム塩が挙げられる。例えば、非毒性の酸の塩として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸および硝酸などの無機酸から誘導されるものが挙げられる。他の許容可能な無機塩として、ナトリウム塩、カリウム塩およびセシウム塩などの金属塩、ならびにカルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩;ならびに前述の塩の1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0030】
薬学的に許容可能な有機塩として、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸、コハク酸、グリコール酸、ステアリン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、アスコルビン酸、パモン酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フェニル酢酸、グルタミン酸、安息香酸、サリチル酸、メシル酸、エシル酸、ベシル酸、スルファニル酸、2−アセトキシ安息香酸、フマル酸、トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、シュウ酸、イセチオン酸、HOOC−(CH−COOH、ここで、nは0〜4である、などの有機酸から調製される塩;トリエチルアミン塩、ピリジン塩、ピコリン塩、エタノールアミン塩、トリエタノールアミン塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N,N’−ジベンジルエチレンジアミン塩などの有機アミン塩;ならびにアルギナート、アスパラギナートおよびグルタミナートなどのアミノ酸塩、ならびに前述の塩の1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0031】
薬剤の組合せ(例えばブプロピオンとバスピロン)の「有効量」とは、当該組合せにより処置された場合に、基線の臨床的に観察可能なうつ病性障害の兆候および症状に対して観察可能な改善をもたらすために十分な量である。
「経口投与形態」により、経口のために処方されるか意図される単位投与形態を含むことが意味される。経口投与形態は、単一用量における投与のために包装された複数のサブユニット、例えばマイクロカプセルまたはマイクロタブレットを含むことも含まないこともある。
【0032】
「放出可能形態」により、瞬間放出(instant release)即時放出(immediate-release)、制御放出(controlled-release)、および持続放出(sustained-release)形態を含むことが意味される。
「瞬間放出」により、活性剤の通常の結晶形態をより迅速な溶解を得るために改変することによって活性剤の迅速な溶解を確実にするように設計された投与形態が意味される。
「即時放出」により、投与後2時間以内、好ましくは投与後1時間以内に、約50%またはより好ましくは約75%より大きいかまたはそれと等しい活性剤が放出される、従来の、または改変されていない放出形態が意味される。
【0033】
「制御放出」により、活性剤の放出が長時間にわたり制御または改変される投与形態が意味される。制御とは、例えば、特定の時点における持続放出、遅延(delayed)放出またはパルス放出(pulsed-release)を意味し得る。あるいは、制御とは、活性剤の放出が、即時放出投与において延長されるよりも長時間延長(extend)されることを意味し得る(例えば、1時間または数時間を超える)。
【0034】
「持続放出」または「延長放出(extended-release)」により、定常状態で投与した後、少なくとも約8時間、好ましくは少なくとも約12時間、より好ましくは約24時間の間、血中(例えば血漿)レベルが治療的範囲内であるが毒性レベル未満に維持されるような速度での活性剤の放出を含むことが意味される。用語「定常状態」とは、所与の活性剤または活性剤の組合せについての血漿レベルが達成されており、それが、その後の活性剤(単数または複数)の用量により、所与の活性剤(単数または複数)についての最小有効治療レベルであるかそれより上であるが最小毒性血漿レベルより低いレベルに維持されることを意味する。
【0035】
「水溶性」の薬剤により、少なくともわずかに水溶性(例えば、25℃で、約1〜約10mg/ml)である薬剤または薬剤の組合せが意味される。好ましくは、全ての薬剤は適度に水溶性(例えば、25℃で約100mg/ml未満)であるか、水溶性が高い(例えば、25℃で約100mg/mlより高い)。
「水不溶性」または「難溶性」の活性剤により、活性剤が1mg/ml未満の水溶性を有し、一部の場合においては0.1mg/ml未満ですらあることが意味される。
【0036】
用語「a」および「an」および「the」および本発明を記載する上で(特に以下の請求の範囲に関して)の同様の指示語の使用は、本明細書において他に示されるか文脈により明らかに矛盾しない限り、単数形と複数形との両方を含むものと解釈されるべきである。用語「含む(comprising)」、「有する(having)」、「含む(including)」および「含む(containing)」は、他に記述されない限り、非制限性の(open-ended)用語として解釈されるべきである(すなわち、「含むが、それに限定されないこと」を意味する)。本明細書において、数値の範囲の記載は、本明細書において他に示されない限り、単にその範囲に該当する個別の数値の各々についての個々の言及についての簡略的な方法としての機能を果たすことを意図されるものであり、各々の個別の数値は、本明細書において個々に記載されているものとして明細書中に組み込まれる。
【0037】
処置の方法
本発明は、ブプロピオンおよび(少なくとも1種の)セロトニン5−HT1A部分アゴニスト、好ましくはアザピロン、より好ましくは、バスピロンなどの、本明細書において定義される薬剤の組合せを個体に投与することにより、該個体において大うつ病性障害などのうつ病性障害を処置する方法を提供する。
【0038】
本発明の方法は、多様なうつ病性障害の処置のために有用である。気分障害とも称されるうつ病性障害は、病理学的な、持続的なまたは一時的な気分状態の誇張により特徴付けられる精神疾患である。うつ病性障害として、以下が挙げられるがこれらに限定されない:うつ病性障害:例えば大うつ病性障害−単発症(single episode);大うつ病性障害−反復性、およびうつ病性障害−他に明示されていないもの(Not Otherwise Specified:NOS)、気分変調性障害、抑うつ神経症、抑うつ反応、産後抑うつ、月経前症候群および神経症性うつ病;双極性障害:例えば双極I型障害、双極II型障害および気分循環性障害;ならびに一般的な医学的状態に起因する気分障害、例えば、抑うつ性、躁病性または混合性の特徴を伴うもの。
【0039】
うつ病性障害の亜類型もまた、本発明の方法および薬剤の組合せにより処置可能である。かかる亜類型として、非定型うつ病、不安うつ病および憂鬱な特徴を伴ううつ病が挙げられる。薬剤の組合せによる処置の作用の機序について特定の理論に拘束されることは望まないが、非定型などのうつ病性障害についての有効性は、ブプロピオンのドーパミンに対する効果に起因するものであり得、不安うつ病などのうつ病性障害についての有効性は、バスピロンの抗不安効果に起因するものであり得、憂鬱な特徴を伴ううつ病などのうつ病性障害についての有効性は、薬剤の組合せ(例えばブプロピオンとバスピロン)の3つの神経伝達物質系(ノルエピネフリン、セロトニンおよびドーパミン)に対する効果に起因するものであり得ることが信じられる。なぜならば、これらの系のうち2つに影響を及ぼす薬剤は、この亜類型においてより高い効力を示したからである。本発明の方法および薬剤の組合せはまた、強迫性障害、全般性不安障害、社会不安障害または恐怖症、および外傷後ストレス障害などの不安障害を処置するためにも有用である。
【0040】
一部の態様において、処置されるべき個体(すなわち患者)は、1または2以上のうつ病治療、例えばSSRIに対して非応答性または耐性であると決定される。他の態様において、処置されるべき個体は、うつ病治療に対して応答性であったが、治療が副作用を有し、それが個体が現存する治療の全てまたは一部を減らすまたは停止するほどに重篤であり得るものである。
【0041】
ブプロピオンおよび(少なくとも1種の)セロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン、好ましくはバスピロンの有効量を、大うつ病性障害、気分変調性障害、双極性障害または小うつ病性障害などのうつ病性障害を有する個体に投与することによりうつ病性障害を処置する方法が、本明細書において提供される。一定量の薬剤の組合せ(すなわち、ブプロピオンと(少なくとも1種の)セロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン、好ましくはバスピロン)は、うつ病性障害を処置するために有効である。薬剤の組合せの相乗効果について注目することは重要である。単独で特定の投与量で投与される薬剤の1または2以上が有効であり得なくとも、各々の薬剤の同じ投与量が組み合わせて投与された場合、処置が有効となる。組合せ中の薬剤の1または2以上の用量は、したがって、各々の薬剤のFDAが認可した用量未満とすることができる。
【0042】
特に好ましい方法として、ブプロピオンとバスピロンとの組合せの有効量を、うつ病性障害を有する個体に投与することにより、うつ病性障害を処置することが挙げられる。
【0043】
投与量
うつ病性障害の処置のための薬剤の組合せの至適用量は、各々の個体について公知の方法を用いて実験的に決定することができ、薬剤の活性;個体の年齢、体重、総合的な健康状態、性別および食事;投与の時間および経路;ならびに個体が服用している他の医薬を含む多様な要因に依存する。至適投与量は、当該分野において周知の慣用的な試験および手順を用いて確立することができる。
【0044】
代表的には、約10mg/日〜約450mg/日のブプロピオンを、うつ病性障害の処置のための他の薬剤(単数または複数)と組み合わせて個体に投与する。好ましくは用量は50〜450mg/日である。より好ましくは、用量は100〜200mg/日である。
代表的には、約1mg/1日2回〜約45mg/1日2回のセロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン、好ましくはバスピロンを、うつ病性障害の処置のためのさらなる薬剤(単数または複数)と組み合わせて個体に投与する。好ましくは用量は2〜45mg/1日2回であり、より好ましくは用量は5〜15mg/1日2回である。
【0045】
必要に応じて(例えば小児、高齢者、他の医学的状態を伴う個体に)、より小さい用量を投与することができる。日用量は、個体によって、および所与の個体について時間によって異なる(例えば、日用量は、個体の変化する精神状態または一般的な健康状態に応じて調節されるので)。より小さい用量は、小児個体において用いられる可能性が高い。
【0046】
単一の投与形態を産生するために担体材料と組み合わされ得る薬物の組合せの量は、処置される個体および投与の特定の様式に依存して変化する。一部の態様において、本明細書において記載されるような薬剤の組合せを含有する単位投与形態は、組合せの各々の薬剤の、当該薬剤が単独で投与される場合に典型的に投与される量を含む。
【0047】
投与の頻度は、用いられる化合物および処置されるまたは予防されるべき特定の状態に依存して変化し得る。一般的に、殆どのうつ病性障害の処置について、1日4回またはそれ未満の投与レジメンが好ましい。大うつ病を含むうつ病性障害の処置について1日2回の投与レジメンが特に好ましい。1日1用量が最も好ましい。特定の態様において、食事の時の投与が好ましい。一般に、有効な治療を提供するための最小投与量を用いることが好ましい。当業者に知られている処置または予防されるべき状態に好適なアッセイを用いて、患者を治療有効量について全体的にモニタリングしてもよい。
【0048】
医薬製剤および投与の経路
本明細書において、うつ病性障害の処置のための薬剤の組合せを含む医薬製剤が提供される。医薬製剤は、さらに、担体または賦形剤、安定剤、香味剤、および/または着色剤を含んでもよい。
【0049】
本明細書において薬剤の組合せを含む医薬製剤が提供され、薬剤の組合せは、例えば2種の薬剤:(1)ブプロピオンおよび/またはブプロピオンの薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物およびラセミ体と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロン、および/またはセロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロンの薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物およびラセミ体、との組合せであってよい。特定の好ましい態様において、薬剤の組合せは、ブプロピオンとバスピロンとを含む。他の態様において、さらなる抗うつ剤が組合せに添加されてもよい。
【0050】
一部の態様において、組合せ中の活性剤の1または2以上の特定の代謝物の形成を抑制するような様式で、薬剤の組合せを投与することが好ましいことがある。例えば、US 6,312,717は、投与経路が、経粘膜、経皮、または延長放出経口製剤を用いる経口投与から選択される場合に、バスピロンの1−ピリミジニルピペラジン(1−PP)代謝物の形成を低減することができることを記載する。1−PPの形成を低減する別の方法については、US 6,008,222を参照のこと。
【0051】
薬剤の組合せは、当業者に公知の多様な投与経路を用いて投与することができる。投与経路として、好ましくは1日1回または2回の経口投与、好ましくは延長放出が挙げられる。特定の好ましい態様において、薬剤の組合せを含む医薬製剤は、液体、シロップ、錠剤、カプセル、散剤、スプリンクル剤、咀嚼錠または溶解性ディスクの形態において、経口で服用することができる。あるいは、本発明の医薬製剤は、静脈内または経皮で投与することができる。さらなる投与経路が当業者に公知である(例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences、Gennaro A.R.編、第20版、Mack Publishing Co., Easton, PAを参照)。
【0052】
投与形態:放出特性
バスピロンは、典型的には1日2回投与されるが、本明細書において提供される組合せ製剤中のさらなる薬剤、例えばブプロピオンは、1日1回、1日2回または1日3回投与される。バスピロンを組合せ製剤の用量の間に別に投与することが必要でないように、組合せ製剤(例えばバスピロンとブプロピオンとの好ましい組合せ)を製剤化することができる。さらなる薬剤が単独で与えられる場合に1日1回投与されるならば、バスピロンとさらなる薬剤とを含む組合せ製剤もまた、1日1回投与のために製剤化することができる。特定の態様において、この結果を得るためにバスピロンの放出特性を改変する。
【0053】
本発明により有用である投与形態は、製剤の放出特性により特徴付けることができる。投与形態は、即時であっても、血流中の薬剤の組合せの放出速度が調節される調節放出(modified release)であってもよい。長時間(1または2時間以上、数日間またはそれより長く)にわたって放出を提供するために、持続放出製剤を用いてもよい。好ましくは、持続放出形態は、経口投与の後の活性剤の血中または血漿中の濃度の急激な上昇である「用量ダンピング(dose dumping)」を回避する。持続放出経口投与形態は、有効な1日1回投薬を可能にする治療作用の期間の延長をもたらすために製剤化される。一般に、持続放出投与形態において、活性剤の放出は、即時放出投与形態からの活性剤の放出より、例えば数時間、長い。例えば、ブプロピオンの持続放出形態は、先行技術、例えば米国特許第4,687,660号、同第5,358,970号、同第5,427,798号、同第6,033,686号、同第6,096,341号、および同第6,143,327号に記載されている。バスピロンの持続放出形態は、例えば米国特許第6,268,368号、同第6,500,459号、および同第6,893,661号に記載されている。
【0054】
持続放出投与形態は、一般に、放出遅延性(release-retarding)材料を含む。放出遅延性材料は、例えば、マトリックスまたはコーティングの形態であってもよい。持続放出形態中の薬剤は、例えば、放出遅延性材料と組み合わされた薬剤(例えばバスピロンおよび/またはブプロピオン)の粒子であってもよい。放出遅延性材料は、持続された速度での水性溶媒中での活性成分の放出を可能にする材料である。放出遅延性材料は、他の記述された特性と組み合わせて、所望のインビトロでの放出速度を達成するように選択的に選ぶことができる。持続放出形態を製造するために有用な多様な材料が、当業者に公知である。これらは、例えば、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、親水性ポリマーと疎水性ポリマーとの組合せの形態であってもよく、例えば、表面(ビーズ、平面)であってもよく、この上に薬剤をコーティングするか、および/またはこの中に薬剤を組み込むかもしくは包埋する(例えば球体、フィルムまたは他の適切な態様もしくは形状)。
【0055】
製剤
本明細書において提供される組合せ医薬製剤は、医薬製剤の分野において当業者に明らかである多様な方法により製剤化することができる。上記の多様な放出特性は、多様な異なる方法において達成することができる。好適な製剤として、例えば、錠剤、カプセル、圧縮コーティング製剤、および他の容易に投与される製剤が挙げられる。
【0056】
投与形態は、薬物製剤の化学における当業者に容易に明らかである多様な従来の混合、粉砕および製造技術により調製することができる。かかる技術の例は以下である:
(1)適切なパンチおよび押し抜き型(die)を用いる直接圧縮;パンチおよび型は、好適な回転打錠圧縮機に装備される;
(2)圧縮ユニットに装備された好適な流し型(mold)を用いる注入または圧縮成形;
(3)造粒とその後の圧縮;ならびに
(4)ペーストの状態において、流し型中への押し出し成形するか、または押し出し成形物へ押し出し成形し、これを切り揃える。
【0057】
粒子を直接圧縮により製造する場合、粉末の流動を促進するため、および圧力が解除されたときの粒子のキャッピング(粒子の一部の崩壊)を防止するために、潤滑剤の添加が役立ち、時には重要である。有用な潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム(粉末混合物中、0.25重量%〜3重量%、好ましくは1重量%未満の濃度で)、ならびに水素化植物油(好ましくはステアリン酸およびパルミチン酸の水素化され純化されたトリグリセリドを、約1重量%〜5重量%、最も好ましくは約2重量%)である。粉末の流動性を高め粘着性を低減するためにさらなる賦形剤を添加してもよい。
【0058】
薬剤含有サブユニットの調製
薬剤の組合せは、多様な方法、例えば単位投与形態のサブユニットとして調製してもよい。例えば溶解ペレット化技術により、活性剤を含むペレットを調製してもよい。この技術において、細かく分割された形態の活性剤は、結合剤および他の任意の不活性成分と組み合わされ、その後混合物を、例えば高速せん断ミキサー中で機械的に処理してペレット(例えば、ペレット、顆粒、球体、ビーズなど、本明細書において集合的に「ペレット」として言及する)を形成させることにより、ペレット化する。その後、必要なサイズのペレットを得るために、ペレットを篩にかけてもよい。結合剤材料もまた、粒子状の形態であってもよく、40℃より高い融点を有する。好適な結合剤物質として、水添ひまし油、水素化植物油、他の水素化脂質、脂肪アルコール、脂肪酸エステル、脂肪酸グリセリドなど、および前述の結合剤の1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0059】
経口投与形態は、カプセル内に多粒子(multiparticles)の形態における薬剤の組合せを含有する融解−押出サブユニットの有効量を含むように調製してもよい。例えば、複数の融解−押出された多粒子を、消化されて胃液と接触した時に有効放出用量を提供するために十分な量でゼラチンカプセル中に配置してもよい。
【0060】
サブユニット、例えば多粒子の形態のもの、を、従来の打錠器具を使用し標準的な技術を用いて経口錠剤に圧縮してもよい。錠剤は、例えば乳糖などの不活性な希釈剤、トウモロコシデンプンなどの造粒および崩壊剤、デンプンなどの結合剤、ならびにステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤などの賦形剤を含んでもよい。
【0061】
あるいは、薬剤の組合せを含むサブユニットを、押し出し成形のプロセスの間に添加し、押し出し物を当該分野において公知の方法により錠剤に成形してもよい。押し出し開口部または出口の直径もまた、押し出しされたストランドの太さを変化させるために調整することができる。さらに、押し出し機の出口部は、円形でなくてもよく、長方形、矩形などであってもよい。出てくるストランドを熱線カッター、裁断機などを用いて裁断し、粒子にしてもよい。
【0062】
融解−押し出し多粒子系は、押し出し機の出口開口部に依存して、例えば、顆粒、スフェロイド、ペレットなどの形態であってもよい。用語「融解−押し出し多粒子(単数または複数)」および「融解−押し出し多粒子系」および「融解−押し出し粒子」は、本明細書において交換可能に用いられ、好ましくは類似のサイズおよび/または形状の範囲内の複数のサブユニットを含む。融解−押し出し多粒子は、このサイズ範囲内においてあらゆる幾何形状であってよい。あるいは、押し出し物を、単純に所望の長さに裁断し、球形化のステップを必要とせず、活性剤の単位用量に分けることもできる。
【0063】
溶解−押し出し投与形態は、カプセル化される前に、治療上の活性剤の1または2以上を含有する溶解−押し出し多粒子の組合せをさらに含んでもよい。さらに、投与形態はまた、速やかな治療効果のために、即時放出のために製剤化された薬剤の1または2以上(例えばバスピロン)の一定量を含んでもよい。即時放出のために製剤化された薬剤は、投与形態(例えば制御放出コーティングまたはマトリックスをベースにするもの)の調製の後で、サブユニットの表面に組み込みまたはコーティングしてもよい。投与形態はまた、所望の効果を達成するために、制御放出ビーズとマトリックス多粒子との組合せを含んでもよい。
【0064】
溶解−押し出し材料を、活性剤を含むサブユニットを含むことなく調製し、サブユニットをその後に押し出し物に添加してもよい。薬剤の組合せの放出を提供するために、混合物を次いで打錠する。かかる製剤は、例えば製剤中に含まれる活性剤が、疎水性材料および/または遅延性材料を軟化するために必要な温度に対して感受性である場合に、特に有利であり得る。
【0065】
薬剤の組合せまたは薬剤の組合せの個々の薬剤を含む経口投与形態は、カプセル、例えばゼラチンカプセル中に封入されたマイクロタブレットの形態であってもよい。このために、医薬製剤において通常使用されるゼラチンカプセル、例えばPfizerから入手可能なCAPSUGELとして公知の硬質ゼラチンカプセルを用いることができる。
【0066】
粒子
本明細書において有用な経口投与形態の多くが、薬剤の組合せまたは薬剤の組合せの個々の薬剤を粒子の形態で含む。かかる粒子は、錠剤に圧縮されても、味覚遮蔽された投与形態、圧縮コーティングされた投与形態もしくは腸溶性コーティングされた投与形態などのコーティングされた投与形態のコアエレメント中に存在しても、またはカプセル、浸透圧ポンプ投与形態もしくは他の投与形態中に含有されてもよい。
【0067】
錠剤およびカプセル
錠剤は、代表的には、従来の医薬適合補助剤、不活性な希釈剤として炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、マンニトール、乳糖およびセルロースなど;結合剤としてデンプン、ゼラチンおよびショ糖など;崩壊剤としてデンプン、アルギン酸およびクロスカルメロースなどを;潤滑剤としてステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸およびタルクなどを含む。二酸化ケイ素などの流動促進剤を、粉末混合物の流動特性を改善するために用いてもよい。FD&C色素などの着色剤を、外観のために添加してもよい。アスパルテーム、サッカリン、メントール、ペパーミントおよびフルーツ香料などの甘味剤および香味剤は、咀嚼錠のための有用な補助剤である。カプセル(時間放出および持続放出製剤を含む)は、代表的には、1または2以上の上記の固体賦形剤を含む。担体成分の選択は、しばしば、味覚、コストおよび保存安定性などの二次的判断に依存する。
【0068】
かかる組成物はまた、従来の方法により、対象化合物が胃腸管において所望の局所適用の近傍で、または所望の作用を延長するように多様な時点で放出されるように、代表的にはpHまたは時間依存性コーティング剤によりコーティングすることができる。かかる投与形態は、代表的には、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ポリビニルアセテート、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、Eudragitコーティング、ロウまたはセラックの1または2以上を含むがこれらに限定されない。
【0069】
経口での使用のための製剤はまた、中で活性成分が不活性な固体賦形剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまたはカオリン、と混合されている硬質ゼラチンカプセルとして提示しても、中で活性成分が水性または油性溶媒、例えばピーナッツ油、流動パラフィンまたはオリーブ油と混合されている軟質ゼラチンカプセルとして提示してもよい。
【0070】
本明細書において提供される特定の態様は、バスピロンおよびブプロピオン(またはこれらの代謝物)を含むカプセルまたは錠剤を含む。これらの薬剤の個別の用量毎の適切な量は、当該分野において周知であるが、本発明により有用な投与形態は、本明細書において記載される相乗効果に起因してより少ない量の薬剤を含むこともできる。
【0071】
圧縮コーティング製剤
薬剤の組合せの圧縮コーティング経口投与形態は、コア組成物と、コア上に圧縮コーティングされるコーティング組成物とを含む。コア組成物は、ロウ様の材料および活性剤を含み、コーティング組成物は、疎水性ポリマーおよび任意に活性薬剤またはその塩を含む。
【0072】
圧縮コーティング投与形態のコア組成物は、ロウ様材料を含む。ロウ様材料は、薬剤の組合せの制御放出を提供するための疎水性ロウ様材料であってもよい。医薬製品において、例えば、かかるロウ様材料は、例えば、カルナウバロウ、トリベヘニン、脂肪アルコール(特に12〜24個の炭素原子を有するもの、例えばラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコールなど)、脂肪酸(特に12〜24個の炭素原子を有するもの、例えばラウリン酸、ミリスチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸など)、ポリエチレン類、トウゴマロウ、C16〜30脂肪酸トリグリセリド、ミツロウ、および前述のロウの1または2以上を含む組合せであってもよい。
【0073】
コーティング組成物は、親水性ポリマーを含む。親水性ポリマーは、活性剤の制御放出を提供することができる。制御放出を提供する親水性ポリマーは、親水性セルロースポリマーなどのフィルム形成ポリマーであってもよい。かかる親水性セルロースポリマーは、ヒドロキシアルキルセルロースポリマー、例えば、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、ヒドロキシプロピルエチルセルロース(HPEC)、ヒドロキシプロピルプロピルセルロース(HPPC)、ヒドロキシプロピルブチルセルロース(HPBC)、および前述のポリマーの1または2以上を含む組合せであってもよい。
【0074】
コア組成物とコーティング組成物との両方が、さらに、非水溶性の充填剤、水溶性充填剤およびこれらの組合せなどの充填剤を含んでもよい。
潤滑剤(タルクおよびステアリン酸マグネシウムなど)、流動促進剤(ヒュームドまたはコロイド状シリカなど)、pH調整剤(酸、塩基および緩衝化系など)、薬学的に有用な加工助剤、ならびに前述の賦形剤の1または2以上を含む組合せを含む、任意の賦形剤もまた、コア組成物およびコーティング組成物中に存在してもよい。コーティング組成物中の賦形剤は、コア組成物中のものと同じであっても異なっていてもよい。
【0075】
投与形態の形成において、コア組成物は、製剤をコーティングして錠剤を形成する圧縮コーティング組成物で、圧縮コーティングすることができる。錠剤は、任意のさらなるコーティング剤でさらにコーティングしてもよい。さらなるコーティング剤は、pH依存性であってもpH非依存性であっても、美観上のものであっても機能的なものであってもよく、活性剤を即時放出または制御放出において含む。さらなるコーティング剤は、例えば、薬剤の組合せの個々の薬剤の1または2以上の即時放出投与形態を含む。
【0076】
投与形態を形成するうえで、コア組成物の成分(活性剤、ロウおよび任意の賦形剤)は、一緒に配合されて好適なコアに圧縮される。配合は、好適な添加の順序で行ってよい。コアは、最小容積の成分から始め、次いで続いてより大きな用量の成分を添加することにより配合してもよい。別のプロセスは、ロウを融解し、活性剤と任意の賦形剤とを溶解したロウ中に配合することである。あるいは、活性成分、ロウおよび任意の賦形剤を、一緒に配合して、次いでロウが融解する温度に供してもよい。冷却した後、固化した塊を、コアに圧縮するための顆粒に製粉してもよい。
【0077】
このように、本発明の一態様は、薬剤の組合せ、ロウ様材料を含むコア組成物;および親水性ポリマーを含むコーティング組成物を含む、圧縮コーティング投与形態に関し、ここでコーティング組成物がコア組成物上に圧縮コーティングされる。
本発明はまた、薬剤の組合せ、ロウ様材料を含むコア組成物;および親水性ポリマーを含むコーティング組成物を含む圧縮投与形態に関し、ここで、少なくとも1種のさらなる活性剤をまた含むコーティング組成物が、コア上に圧縮コーティングされる。
【0078】
特定の態様において、圧縮コーティング投与形態のコアのロウ様材料は、カルナウバロウ、トリベヘニン、脂肪アルコール、ラウリルアルコール、ミリスチルアルコール、ステアリルアルコール、パルミチルアルコール、脂肪酸、ラウリン酸、ミリスチル酸、ステアリン酸、パルミチン酸、ポリエチレン類、トウゴマロウ、C16〜30脂肪酸トリグリセリド、ミツロウ、および任意のこれらの組合せである。本発明の一部の態様において、活性剤圧縮コーティング投与形態のコーティング組成物中の親水性ポリマーは、親水性セルロースポリマー、好ましくはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含む。
【0079】
本発明のなお別の態様は、薬剤の組合せおよびカルナウバロウを含むコア組成物、薬剤の組合せの個々の薬剤の1または2以上およびヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を含むコーティング組成物(ここでコーティング組成物がコア上に圧縮コーティングされる)、ならびに薬剤の組合せの個々の薬剤の1または2以上を含むさらなるコーティング組成物を含む、組合せ圧縮コーティング投与形態に関する。本発明の一部の態様においてさらなるコーティング組成物は、即時放出コーティング組成物である。
【0080】
容易に投与される投与形態
本発明は、投与の際に窒息する危険性を低減するため、および患者のコンプライアンスを改善するために、嚥下に困難を有する患者への投与のための、容易に投与可能な投与形態を提供する。かかる投与形態は、高齢者および幼弱者の患者への投与のために特に有用である。本発明は、例えば、スプリンクル投与形態、液体製剤、味覚遮蔽液体投与形態および速溶性投与形態を提供する。
【0081】
咀嚼錠
別の固体の投与形態は、薬剤の組合せを含む咀嚼錠である。咀嚼錠は、咀嚼可能なベースおよび任意に甘味剤を含む。咀嚼可能なベースは、例えば、マンニトール、ソルビトール、乳糖などの賦形剤、または前述の賦形剤の1または2以上の組合せを含む。咀嚼可能な投与形態において用いられる任意の甘味剤は、例えば、消化可能な糖、ショ糖、液体ブドウ糖、ソルビトール、デキストロース、イソマルト、液体マルチトール、アスパルテーム、乳糖、および前述の甘味剤の1または2以上を含む組合せであってもよい。特定の場合において、咀嚼可能なベースおよび甘味剤は同じ成分であってもよい。
【0082】
咀嚼可能な投与形態は、さらに、保存剤、口腔への付着および糖の結晶化を防止する剤、香味剤、酸味剤、着色剤、および前述の剤の1または2以上を含む組合せを含んでもよい。グリセリン、レシチン、水添パーム油またはモノステアリン酸グリセリルを、成分の全重量の約0.04〜約2.0重量%の量で、口腔への付着を防止して製品の柔らかい特性を改善するために、糖の結晶化の保護剤として用いてもよい。さらに、イソマルトまたは液体マルチトールを、咀嚼可能投与形態の咀嚼特性を増強するために用いてもよい。
【0083】
速溶性投与形態
別の組合せ経口投与形態は、薬剤の組合せの、咀嚼可能でない速溶性の投与形態である。これらの投与形態は、医薬製剤の分野における当業者に公知の方法により製造することができる。例えば、Cima Labsは、微粒子および発泡剤を含む経口投与形態を提供しており、これは口中で迅速に崩壊し、適切な味覚遮蔽を提供する。Cima Labsはまた、活性剤と、非直接圧縮用充填剤および潤滑剤を含むマトリックスとを含む、迅速に溶解する投与形態を提供している。速溶性投与形態は、米国特許第5,178,878号および米国特許第6,221,392号に開示されており、これらは、速溶性投与形態に関するその教示について、本明細書により参考として組み込まれる。
【0084】
組合せ製剤のための任意のさらなる添加剤
賦形剤
組合せ製剤において有用な賦形剤として、薬剤の組合せのための希釈剤またはビヒクルとして用いられる不活性な物質が挙げられる。賦形剤は、製造を容易にする、安定性を高める、放出を制御する、製品の特徴を増強する、バイオアベイラビリティを増強する、患者の認容性を増強する、などのために添加することができる。医薬用賦形剤として、結合剤、崩壊剤、潤滑剤、流動促進剤、圧縮補助剤、色素、甘味剤、保存剤、懸濁剤、分散剤、フィルム形成剤、香味剤、印刷用インクなどが挙げられる。結合剤は、投与形態中の成分を結びつける。例示的な結合剤として、例えば、ポリビニルピロリドン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロースおよびヒドロキシエチルセルロース、糖類および前述の結合剤の1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0085】
崩壊剤は、湿気がある場合に膨張して錠剤の崩壊を引き起こす。例示的な崩壊剤として、水膨潤性の物質、例えば、低置換ヒドロキシプロピルセルロース、例えばL−HPC;架橋ポリビニルピロリドン(PVP−XL)、例えばKOLLIDON CLおよびPOLYPLASDONE XL;架橋カルボキシメチルセルロースナトリウム(クロスカルメロースナトリウム)、例えばAC-DI-SOL、PRIMELLOSE;グリコール酸ナトリウムデンプン、例えばPRIMOJEL;カルボキシメチルセルロースナトリウム、例えばNYMCEL ZSB10;カルボキシメチルナトリウムデンプン、例えばEXPLOTAB;イオン交換樹脂、例えばDOWEXまたはAMBERLITE;微晶質セルロース、例えばAVICEL;デンプンおよびアルファ化デンプン(pregelatinized starch)、例えばSTARCH 1500、SEPISTAB ST200;ホルマリン−カゼイン、例えばPLAS-VITA、ならびに前述の水膨潤性物質の1または2以上を含む組合せが挙げられる。潤滑剤は、例えば、粉末材料の加工において役立つ。例示的な潤滑剤として、ステアリン酸カルシウム、ベヘン酸グリセロール(glycerol behenate)、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポリエチレングリコール、ステアリン酸フマル酸ナトリウム(sodium stearyl fumarate)、ステアリン酸、タルク、植物油、ステアリン酸亜鉛、および前述の潤滑剤の1または2以上を含む組合せが挙げられる。流動促進剤として、例えば、二酸化ケイ素が挙げられる。
【0086】
充填剤
製剤はまた、非水溶性充填剤、水溶性充填剤およびこれらの組合せなどの充填剤を含んでもよい。充填剤は、非水溶性充填剤、例えば二酸化ケイ素、二酸化チタン、タルク、アルミナ、デンプン、カオリン、ポラクリン(polacrilin)カリウム、粉末状セルロース、微晶質セルロース、および前述の充填剤の1または2以上を含む組合せであってもよい。例示的な水溶性充填剤として、水溶性の糖および糖アルコール、好ましくは乳糖、ブドウ糖、果糖、ショ糖、マンノース、デキストロース、ガラクトース、対応する糖アルコールおよび他の糖アルコール、例えばマンニトール、ソルビトール、キシリトール、および前述の充填剤の1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0087】
コーティング剤
本明細書において記載される製剤は、機能的または非機能的コーティング剤によりコーティングされていてもよい。コーティング材料は、ポリマー、好ましくはフィルム形成ポリマー、例えば、メチルセルロース、エチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシブチルメチルセルロース、酢酸セルロース、プロピオン酸セルロース(低分子量、中程度の分子量または高分子量)、酢酸プロピオン酸セルロース、酢酸酪酸セルロース、酢酸フタル酸セルロース、カルボキシメチルセルロース、三酢酸セルロース、セルロース硫酸ナトリウム塩、ポリ(メチルメタクリレート)、ポリ(エチルメタクリレート)、ポリ(ブチルメタクリレート)、ポリ(イソブチルメタクリレート)、ポリ(ヘキシルメタクリレート)、ポリ(フェニルメタクリレート)、ポリ(メチルアクリレート)、ポリ(イソプロピルアクリレート)、ポリ(イソブチルアクリレート)、ポリ(オクタデシルアクリレート)、ポリ(エチレン)、低密度ポリ(エチレン)、高密度ポリ(エチレン)、(ポリプロピレン)、ポリ(エチレングリコールポリ(エチレンオキシド)、ポリ(エチレンテレフタラート)、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(ビニルイソブチルエーテル)、ポリ(酢酸ビニル)、ポリ(塩化ビニル)、ポリビニルピロリドンおよび前述のポリマーの1または2以上を含む組合せを含んでもよい。
【0088】
味覚遮蔽などの適用において、ポリマーは非水溶性ポリマーであってもよい。非水溶性ポリマーとして、エチルセルロースもしくはエチルセルロースの分散、アクリル酸および/もしくはメタクリル酸エステルポリマー、酢酸、酪酸もしくはプロピオン酸セルロース、または低い四級アンモニウム含有量を有するアクリレートもしくはメタクリレートのコポリマーなど、ならびに前述のポリマーの1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0089】
制御放出適用において、例えば、コーティング剤は、製剤からの活性剤の放出特性を改変する疎水性ポリマーであってもよい。制御放出のための好適な疎水性または非水溶性ポリマーとして、例えば、メタクリル酸エステル、エチルセルロース、酢酸セルロース、ポリビニルアルコール−無水マレイン酸コポリマー、β−ピネンポリマー、樹脂(wood resin)のグリセリルエステル、および前述のポリマーの1または2以上を含む組合せが挙げられる。
【0090】
コーティング組成物中に有効量の可塑剤を含有させることにより、フィルムの物理的特性を改善することができる。例えば、エチルセルロースは、比較的高いガラス転移温度を有し、通常のコーティング条件下においては可撓性のフィルムを形成しないので、エチルセルロースをコーティング剤として用いる前にこれに可塑剤を添加することは有益である。一般に、コーティング溶液中に含有される可塑剤の量は、ポリマーの濃度に基づき、例えば最も頻繁にはポリマーの約1〜約50重量%である。しかし、可塑剤の濃度は、慣用的な実験により決定することができる。
【0091】
包装された製剤
包装された医薬製剤または医薬製品が、本明細書において包含される。かかる包装された製剤は、ブプロピオンと、(少なくとも1種の)セロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン類、好ましくはバスピロン、との組合せを含む1または2以上の医薬製剤を含む。ブプロピオンおよび(少なくとも1種の)セロトニン5−HT1A部分アゴニスト、例えばアザピロン、好ましくはバスピロン、の薬理学的に活性な代謝物、塩、溶媒和物およびラセミ体もまた、本発明の医薬製剤において用いられる。製剤化された形態における薬剤の組合せは、容器中に含有される;包装はまた、代表的には、うつ病性障害を罹患する動物(代表的にはヒト患者)を処置するために製剤を用いるための説明書を含む。
【0092】
特定の態様において、包装された医薬製剤または医薬製品は、本明細書において記載される薬剤の組合せを、容器中に、投与形態を固定されたスケジュールで投与するための説明書と共に含む。これらの態様の一部において、薬剤の組合せは、別々の単位投与形態において提供される。
【0093】
組合せの薬剤の全てを含む単一の製剤もしくは単位投与形態を投与することにより、または、組合せの薬剤の個別の製剤または単位投与形態を投与することにより、組合せの薬剤を同じスケジュールで投薬することが好ましい。しかし、組合せにおいて用いられるいくつかの薬剤を、1日1回より頻繁に投与しても、組合せ中の他の薬剤と異なる頻度で投与してもよい。したがって、一態様において、包装された医薬製剤は、薬剤の組合せにおける薬剤の全てを含む製剤または単位投与形態と、薬剤の組合せ中の1つの薬剤を含むさらなる製剤または単位投与形態とを、さらなる活性剤なしで、容器中に、投与形態を固定されたスケジュールで投与するための説明書と共に含む。例えば、バスピロンはしばしば1日2回投与されるが、ブプロピオンはしばしば1日1回投与される(例えばWELLBUTRIN XL)。したがって、例示的な包装された医薬製品は、ブプロピオンおよびバスピロンを含む1または2以上の単位投与形態と、バスピロンのみを含む1または2以上のさらなる単位投与形態とを含む。この例において、完全な日用量は、2つの異なる単位投与形態の各々の1つずつ、例えばブプロピオンおよびバスピロンを含む錠剤と、バスピロンのみを含む錠剤とからなる。
【0094】
本発明は、処方のための情報を、例えば、患者もしくは健康管理者に、または包装された医薬製剤中のラベルとして、提供することを含む。処方のための情報は、例えば、医薬製剤に関する有効性、投与量、および投与、禁忌症、および有害反応の情報を含むことができる。
前述の全てにおいて、本発明の化合物の組合せは、単独で、混合物として、またはさらなる活性剤と共に、投与することができる。
【0095】

以下の例は、本発明をさらに説明するが、決して本発明の範囲を限定することは意図しない。
例1:バスピロンとブプロピオンとの組合せによるうつ病の処置
セロトニン5−ヒドロキシトリプタミン1A(5−HT1A)受容体部分アゴニストであるバスピロンは、シナプス前およびシナプス後受容体を含むセロトニン作動系に対して効果を有し、抗不安性および抗うつ性の両方の活性が予測される[1]。バスピロンの慢性投与は、5−HT受容体の下方調節をもたらし、これは、作用機序に関わりなく、ほとんどの抗うつ薬に共通の知見である。バスピロンの治療効果は、大うつ病を有する患者のプラセボを対照とした研究において評価されており、これらの研究における知見は、抗不安に加えて、抗うつ有効性を支持するが[1]、バスピロンはFDAにより不安の処置のためにのみ認可されている。
【0096】
バスピロンはまた、弱い5−HT2C受容体アンタゴニストであり、5−HT2Aおよび5−HT2C受容体に対する弱い親和性を有する[2]。静止状態でのセロトニンレベルおよびフルオキセチンにより刺激されたセロトニンレベルにおけるバスピロンの阻害性の影響は、そのセロトニン5−HT1A自己受容体でのアゴニスト活性を反映するものと考えられる[3]。しかしながら、その抗うつ作用に関する主要な作用機序は、おそらくその代謝物である1−(2−ピリミジニル−ピペラジン)のα−アドレナリンアンタゴニストの特性であると論じられている[3]。多数の非盲検の研究[4]および1つの大規模な無作為研究[5]において、バスピロンは、選択的セロトニン再取り込み阻害剤(SSRI)の抗うつ有効性を補強することが示されている。バスピロンは、5−HT1A受容体を介してSSRIの活性を増強すると考えられる[6]。
【0097】
ブプロピオンは、ドーパミンおよびノルエピネフリンの再取り込みを遮断することにより、抗うつ作用をもたらすと考えられ、実際にノルエピネフリン・ドーパミン再取り込み阻害剤として見なされてきた[7]。FDAにより大うつ病性障害(MDD)の処置用として示されているブプロピオンは、多数の非盲検試験[4]においてのみならず、最近の大規模な無作為研究においても、SSRIなどのセロトニン系薬剤の抗うつ有効性を増強することが示されている[5]。
【0098】
出願人の知識の限りにおいては、バスピロンとブプロピオンとの組合せの公開された研究は文献において存在しないが、セロトニン作動系およびノルアドレナリン作動系に対するバスピロンの薬理学的効果は、ドーパミンおよびノルエピネフリンに対するブプロピオンの効果を追加した場合に、3つの異なる神経伝達物質系(セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン)に同時に影響を及ぼすことにより、相乗的な抗うつ効果を導く可能性があることは仮定し得る。出願人は、本明細書により、MDDの処置においてかかる相乗効果が示唆される臨床症例を報告する。
【0099】
症例報告
MDDの反復エピソードの病歴を有する40代後半のコーカサス系女性は、抗うつ薬をしばらく服用しなかった状況において、MDDの反復を呈した。彼女の前回のエピソードは、SSRI(例えばパロキセチン20mg、q.d.)と、ブプロピオン150mg、q.d.、持続放出(SR)との組合せに良好に応答した。SSRI処置に関する起こり得る副作用(例えば体重増加)に対する懸念のために、患者に、ブプロピオン150mg SRおよびバスピロン10mg q.a.m.を始めさせた。この処置組合せの開始の時点において、患者は、抑うつされた気分、易刺激性、睡眠および食欲の減少、ならびに疲労、ならびに興味の減少を報告した。彼女はこの処置の組合せに迅速な応答を有し、不眠症以外の全ての領域にわたって著しい対症改善を有した。彼女の不眠症の悪化のため、患者はバスピロンを停止したが、ブプロピオン150 SR q.d.は持続した。このことは、彼女の不眠症の改善をもたらしたが、うつ病症状がすぐに戻ってきた。
【0100】
考察
この症例報告は、SSRI処置の補強のためにしばしば用いられる2種の薬剤、バスピロンとブプロピオンとが、共に用いられた場合にうつ病の処置に有効であり得ることを示唆する。この患者がバスピロンの停止後にうつ病症状の回帰を有したという事実は、これら2種の薬剤の相乗効果の可能性を示唆し、およびブプロピオン150mg q.d.SR単独での処置は、この特定の患者において抗うつ応答を導くためには十分ではないことを示唆する。かかる相乗効果は、これらの2種の薬剤が同時に用いられた場合に、3種の神経伝達物質系(セロトニン、ノルエピネフリンおよびドーパミン)に影響を及ぼし得るという事実に起因すると仮定し得る。先の報告が、神経伝達物質系に対する効果を拡大すること(ノルアドレナリン系薬剤とセロトニン系薬剤とを組み合わせた場合など)が、1種の神経伝達物質に対して優勢な効果を有する各々の薬剤を単独で使用するよりも効果的であり得ることを示唆している事実により[8]、ブプロピオンとバスピロンとを組み合わせることにより抗うつの相乗効果が導かれ得ることが主張し得る。
【0101】
これらの2種の薬剤の相乗効果が、何らかの他の薬理学的作用により媒介され得る可能性もあるが、これらの2種の薬剤およびこれらの活性な代謝物のモノアミン系に対する既知の効果は、かかる組合せの潜在的利点を、確実に部分的に説明することができる。また、バスピロンの既知の抗不安特性から、ブプロピオンとセロトニン5−HT1A部分アゴニストであるバスピロンなどのアザピロン類との組合せが、SSRI耐性のうつ病患者の処置において、または不安症の特徴を伴うかもしくは伴わない大うつ病性障害において、有用であり得ることを予測することが出来る。うつ病の処置のためのかかる組合せの理論上の利点は、これらのタイプの薬剤が、SSRIの2つの共通の副作用である体重増加および性機能不全と典型的に関連していないことである[9]。実際に、これらはいずれも、SSRIによる性機能障害などの副作用に対抗するために用いられてきた[10,11]。
【0102】
参考文献
1. Robinson DS, Alms DR, Shrotriya RC, Messina M, Wickramaratne P: Serotonergic anxiolytics and treatment of depression. Psychopathology 1989; 22(suppl 1):27-36.
2. Assie MB, Lomenech H, Ravailhe V, Faucillon V, Newman-Tancredi A: Rapid desensitization of somatodendritic 5-HT1A receptors by chronic administration of the high-efficacy 5-HT1A agonist, F13714: a microdialysis study in the rat. Br J Pharmacol 2006; 149: 170-178.
3. Gobert A, Rivet JM, Cistarelli L, Melon C, Millan MJ: Buspirone modulates basal and fluoxetine-stimulated dialysate levels of dopamine, noradrenaline and serotonin in the frontal cortex of freely moving rats: activation of serotonin 1A receptors and blockade of α2 -adrenergic receptors underlie its actions. Neuroscience 1999; 93: 1251-1262.
【0103】
4. Fava M, Rush AJ: Current status of augmentation and combination treatments for major depressive disorder: a literature review and a proposal for a novel approach to improve practice. Psychother Psychosom 2006; 75: 139-153.
5. Trivedi MH, Fava M, Wisniewski SR, Thase ME, Quitkin F, Warden D, Ritz L, Nierenberg AA, Lebowitz BD, Biggs MM, Luther JF, Shores-Wilson K, Rush AJ, STAR*D Study Team: Medication augmentation after the failure of SSRIs for depression. N Engl J Med 2006; 354: 1243-1252.
6. Redrobe JP, Bourin M: Dose-dependent influence of buspirone on the activities of selective serotonin reuptake inhibitors in the mouse forced swimming test. Psychopharmacology (Berl) 1998; 138: 198-206.
7. Fava M, Rush AJ, Thase ME, Clayton A, Stahl SM, Pradko JF, Johnston JA: 15 years of clinical experience with bupropion HCl: from bupropion to bupropion SR to bupropion XL. Prim Care Companion J Clin Psychiatry 2005; 7: 106-113.
【0104】
8. Nelson JC, Mazure CM, Jatlow PI, Bowers MB Jr, Price LH: Combining norepinephrine and serotonin reuptake inhibition mechanisms for treatment of depression: a double-blind, randomized study. Biol Psychiatry 2004; 55: 296-300.
9. Cassano P, Fava M: Tolerability issues during long-term treatment with antidepressants. Ann Clin Psychiatry 2004; 16: 15-25.
10. Clayton AH, Warnock JK, Kornstein SG, Pinkerton R, Sheldon-Keller A, McGarvey EL: A placebo-controlled trial of bupropion SR as an antidote for selective serotonin reuptake inhibitor-induced sexual dysfunction. J Clin Psychiatry 2004; 65: 62-67.
11. Landen M, Eriksson E, Agren H, Fahlen T: Effect of buspirone on sexual dysfunction in depressed patients treated with selective serotonin reuptake inhibitors. J Clin Psychopharmacol 1999; 19:268-271.
【0105】
用いられてきた用語および表現は、説明の手段として用いられるものであって、限定の手段として用いられるものではなく、かかる用語および表現の使用において、示され、記載される特徴のいかなる等価物またはその一部をも除外する意図は存在せず、本発明の範囲内において多様な改変が可能であることが理解される。
本明細書において開示される全ての参考文献、特に本明細書において上に引用される教示は、参考として組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
個体においてうつ病性障害を処置する方法であって、
(1)ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量とを、個体に投与すること
を含み、ここで、前記(1)の一定量と前記(2)の一定量との組み合わせが、前記うつ病性障害の処置に有効である、前記方法。
【請求項2】
セロトニン5−HT1A部分アゴニストがアザピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アザピロンが、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンまたはザロスピロン、および/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
アザピロンが、バスピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項1〜3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
アザピロンが、バスピロンである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
ブプロピオンおよびバスピロンが個体に投与される、請求項1〜5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
うつ病性障害が、大うつ病性障害、気分変調性障害、小うつ病性障害または双極性障害である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
うつ病性障害が大うつ病性障害である、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
処置が、(1)の一定量と(2)の一定量とを共投与することを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
(1)の一定量と(2)の一定量とが、単一の製剤または単位投与形態中にある、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
(1)の一定量を含むが(2)の一定量を含まない製剤または単位投与形態を投与することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(2)の一定量を含むが(1)の一定量を含まない製剤または単位投与形態を投与することをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
(1)の一定量と(2)の一定量とが、別々の製剤または単位形態中にある、請求項9に記載の方法。
【請求項14】
処置が、(1)の一定量と(2)の一定量とを実質的に同じ時間に投与することを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
処置が、(1)の一定量と(2)の一定量とを異なる時間に投与することを含む、請求項1〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
(1)の一定量および/または(2)の一定量が、(1)および(2)の一方または両方が単独で投与される場合には有効でないが、それらの量を組み合わせた場合に有効である投与量で投与される、請求項1〜15のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
(1)ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量とを含む医薬製剤であって、(1)と(2)とを組み合わせた量が、うつ病性障害の処置に有効である、前記医薬製剤。
【請求項18】
セロトニン5−HT1A部分アゴニストがアザピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項17に記載の医薬製剤。
【請求項19】
アザピロンが、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンまたはザロスピロン、および/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項17または18に記載の医薬製剤。
【請求項20】
アザピロンがバスピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項17〜19のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項21】
アザピロンがバスピロンである、請求項20に記載の医薬製剤。
【請求項22】
(1)の一定量と(2)の一定量とが、単一の製剤または単位投与形態中にある、請求項16〜21のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項23】
製剤または単位投与形態が経口製剤または単位投与形態である、請求項17〜22のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項24】
経口製剤または単位投与形態が、液体、シロップ、錠剤、カプセル、散剤、スプリンクル、咀嚼錠または可溶性ディスクである、請求項23に記載の医薬製剤。
【請求項25】
(1)の一定量および/または(2)の一定量が、(1)および(2)の一方または両方が単独で投与される場合には有効でないが、それらの量を組み合わせた場合に有効である、請求項17〜24のいずれかに記載の医薬製剤。
【請求項26】
(1)ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量と、(2)少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニストおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量とを含む、第1の製剤または単位投与形態、ならびに
(1)の一定量を含むが(2)の一定量を含まないかまたは(2)の一定量を含むが(1)の一定量を含まない、第2の製剤または単位投与形態
を含み、ここで、第1の製剤または単位投与形態と第2の製剤または単位投与形態との組み合わせがうつ病性障害の処置に有効である、医薬製品。
【請求項27】
ブプロピオンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量を含む第1の製剤または単位投与形態、ならびに
少なくとも1種のセロトニン5−HT1A部分アゴニスト および/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体の一定量を含む第2の製剤または単位投与形態
を含み、ここで、第1の製剤または単位投与形態と第2の製剤または単位投与形態との組合せがうつ病性障害の処置に有効である、医薬製品。
【請求項28】
セロトニン5−HT1A部分アゴニストがアザピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項26または27に記載の医薬製品。
【請求項29】
アザピロンが、バスピロン、ゲピロン、イプサピロン、タンドスピロンまたはザロスピロン、および/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項26〜28のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項30】
アザピロンがバスピロンおよび/またはその塩、溶媒和物、代謝物もしくはラセミ体である、請求項26〜29のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項31】
アザピロンがバスピロンである、請求項30に記載の医薬製品。
【請求項32】
製剤または単位投与形態が経口製剤または単位投与形態である、請求項26〜31のいずれかに記載の医薬製品。
【請求項33】
経口製剤または単位投与形態が、液体、シロップ、錠剤、カプセル、散剤、スプリンクル、咀嚼錠または可溶性ディスクである、請求項32に記載の医薬製品。
【請求項34】
(1)の一定量および/または(2)の一定量が、(1)および(2)の一方または両方が単独で投与される場合には有効でないが、それらの量を組み合わせた場合に有効である、請求項26〜33のいずれかに記載の医薬製品。

【公表番号】特表2010−530422(P2010−530422A)
【公表日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513222(P2010−513222)
【出願日】平成20年6月17日(2008.6.17)
【国際出願番号】PCT/US2008/007522
【国際公開番号】WO2008/156749
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(592017633)ザ ジェネラル ホスピタル コーポレイション (177)
【Fターム(参考)】