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うなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法及びコラーゲン
説明

うなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法及びコラーゲン

【課題】うなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法及びコラーゲンを提供する。
【解決手段】うなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法であって、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程S1と、前記分離したうなぎの頭部の水分を除去する水分除去工程S2と、前記水分除去したうなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程S3と、前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程S4と、を含むコラーゲンの製造方法。上記コラーゲンの製造方法により製造されたコラーゲン。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、うなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法及びコラーゲンに関する。
【背景技術】
【0002】
日本で消費されるうなぎの大半は蒲焼きとして供され、殆どの場合、その身の部分が主として利用されるが、残渣であるうなぎの頭部及び骨部分には多くの残存蛋白質、脂肪、カルシウム、ミネラル等が含まれている。特にうなぎの頭部はコラーゲンが豊富に存在するが、その大部分は廃棄処理されている。
【0003】
コラーゲンは、真皮、靱帯、腱、骨、軟骨等を構成する蛋白質のひとつで、多細胞動物の細胞外基質の主成分であり、水分子の保持が可能、生体親和性が高い等の性質を有することから、化粧品、皮下充填剤、人工皮膚の原料等として有用である。また、コラーゲンに特有のアミノ酸であるヒドロキシプロリンは、医薬品やバイオ素材の原料としての利用が期待されている。コラーゲンは主に哺乳類又は魚類から抽出され、工業的に製造が行われており、例えば特許文献1においては魚類由来のコラーゲンペプチド及びその製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−343853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1は、魚類、例えばうなぎを使用した、化粧料に使用可能な高品質の可溶性コラーゲンの製造方法を開示する。しかしながら、特許文献1の発明は、特に魚皮部分を使用しておりコスト高になるという問題がある。
【0006】
本発明は、うなぎの頭部に含まれるコラーゲンを高収率で回収することが可能であると共に、処理コストが低く経済性に優れたうなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法及びコラーゲンを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)本発明のコラーゲンの製造方法は、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、前記分離したうなぎの頭部の水分を除去する水分除去工程と、前記水分除去したうなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程を含むことを特徴とする。
【0008】
(2)本発明のコラーゲンの製造方法は、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、前記分離したうなぎの頭部から皮部を剥皮する剥皮工程と、前記剥皮したうなぎの皮部の水分を除去する水分除去工程と、前記水分除去したうなぎの皮部を粉状に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程を含むことを特徴とする。
【0009】
(3)本発明のコラーゲンの製造方法は、上記の(1)又は(2)の工程に加えて、
前記抽出コラーゲンを蛋白質分解酵素を用いて酵素処理を施す工程をさらに含むことを特徴とする。
【0010】
(4)本発明のコラーゲンは、上記(1)〜(3)のいずれかのコラーゲンの製造方法により得られたコラーゲンであることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明のコラーゲンの製造方法によれば、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、前記分離したうなぎの頭部の水分を除去する水分除去工程と、前記水分除去したうなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程を含むことで、うなぎの頭部に豊富に存在するコラーゲンの製造が可能となる。
【0012】
また、本発明のコラーゲンの製造方法によれば、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、前記分離したうなぎの頭部から皮部を剥皮する剥皮工程と、前記剥皮したうなぎの皮部の水分を除去する水分除去工程と、前記水分除去したうなぎの皮部を粉状に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程を含むことで、うなぎの頭部における皮部に存在するコラーゲンを豊富に含んだコラーゲンの製造が可能となる。
【0013】
本発明のコラーゲンの製造方法は、蛋白質分解酵素を用いて酵素処理を施す工程をさらに含むことで、コラーゲンの純度を高めることが可能となる。
【0014】
本発明のコラーゲンは、上記コラーゲンの製造方法により製造するので、純度の高いコラーゲンを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】うなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法のフローチャートである。
【図2】うなぎの頭部を示差熱分析に付した結果を示すグラフである。
【図3】うなぎの頭部を赤外吸光スペクトル分析に付した結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、発明を実施するための形態により、本発明を説明するが、以下の説明は特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また説明される特徴が本発明を限定するものでもない。
【0017】
本発明において、うなぎとは、ウナギ目に属する魚の総称であり、特に具体的な魚種は限定されない。本発明においては、食用とすることができるものであれば特に限定はなく、例えば、いわゆるニホンウナギ、ヨーロッパウナギ、アメリカウナギ等のウナギ属に含まれるうなぎが挙げられる。さらに、ウナギ目に属するアナゴも、本発明におけるうなぎに含まれる。またうなぎの頭部はうなぎの頭の部分であり、首部、胴部、尾部と合わせてうなぎの魚体を形成する。うなぎの頭部は蒲焼き等に供されたうなぎの残渣である骨部分と同様に廃棄処分されることが多く、本発明はうなぎの頭部を有効利用するものである。
【0018】
以下、本発明を、図面を参照しながら説明する。図1のフローチャートに示すように、本発明のうなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法は、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程S1と、分離したうなぎの頭部の水分を除去する水分除去工程S2と、水分除去したうなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程S3と、粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程S4とを含む。
【0019】
分離工程S1は、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離することが可能であれば、特段限定されるものではないが、うなぎが蒲焼きとして消費される場合にはうなぎの魚体から頭部を切り落とすことが多いため、分離された頭部を用いればよい。また、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程S1は機械化し効率的に行ってもよい。
【0020】
うなぎの頭部が有する臭気成分を除去する必要がある場合には、分離工程S1の後に続き、浸漬処理工程を施すこともできる。浸漬処理工程は、予め作製した塩濃度3%〜10%の食塩水にうなぎの頭部を数秒間浸漬することにより、うなぎの頭部に含まれる有用成分を損なわずに、付着した臭気成分であるアンモニア及びトリメチルアミン等を溶出させ、うなぎ独特の生臭さを解消するものである。
溶媒として、例えば水道水のように少量の塩素等が溶け込んだ水溶液を使用しても構わない。ただし、食塩水の温度は低い方が好ましい。例えば、食塩水中に氷を加え0℃程度に冷却したものを使用しても構わない。この場合、うなぎの頭部表面に残留する油分を固化させ、食塩水中に浮遊させ除去できるという効果がある。
また、水以外の溶媒として、蛋白質の変性をまねかない程度の低濃度アルコール水溶液や清酒等を用いてもよい。
なお、浸漬処理工程を行う場合、分離工程S1後、浸漬処理工程を開始するまでに要する時間は10秒〜30秒程度であることが好ましい。分離工程S1後、長時間外気に触れることでうなぎの頭部に付着する表面付着物が酸化され、その後の浸漬処理工程によってもうなぎの頭部の生臭さが解消されない場合があるためである。
【0021】
水分除去工程S2は、分離したうなぎの頭部の水分を除去する工程である。
水分除去手段としては、遠心脱水装置や減圧装置、乾燥装置、それらを組み合わせた装置等、種々の技術態様のものが存在するが、うなぎの頭部に含まれるコラーゲン等の有用成分を損なわずに水分除去できる手段であればよい。ただし、うなぎの頭部は一定以上の温度に加熱されるとタンパク質やビタミンなどの栄養成分が分解され栄養価が低下するという不具合が生じる場合があるので、この水分除去工程において温度を制御できる手段が好ましく採用される。
【0022】
水分除去工程S2で用いる水分除去手段の一つに減圧乾燥装置がある。この減圧乾燥装置は、遠赤外線ヒータを用いて、装置内を通気することにより温度を一定に保ちつつ、うなぎの頭部から水分が蒸発しやすい環境を整えることにより、効率よくうなぎの頭部を乾燥させる装置である。
【0023】
減圧乾燥装置は、うなぎの頭部を内部に収容する容器を備えている。容器には、遠赤外線を放射してうなぎの頭部を加熱する遠赤外線ヒータと、うなぎの頭部の表面温度を検知する温度センサと、容器内の湿度を測定する湿度計と、容器内の圧力を測定する圧力計を備えている。
また、この容器には、容器内の空気を排気する排気路と、容器内に外気を供給する供給路とがそれぞれ別経路として設けられている。排気路は真空ポンプに接続しており、真空ポンプが作動することにより容器内の空気を強制的に排気することができる。供給路は、気流の上手側から順に除湿フィルタと絞り弁とを備えており、除湿フィルタで外気を除湿し、その除湿された外気を絞り弁の開口量を調節しながら容器内へ供給することができる。
また、この減圧乾燥装置は制御コンピュータを備えており、コンピュータ制御により遠赤外線ヒータ、真空ポンプ及び絞り弁の動作が、温度センサ、湿度計及び圧力計の測定結果に基づいて自動制御される。
【0024】
この減圧乾燥装置において、容器内の湿度が、減圧乾燥対象物(うなぎの頭部又は皮部)からの水分の蒸発が鈍化する所定値未満のときは減圧乾燥状態をとる。減圧乾燥状態とは、真空ポンプを作動させるとともに、外気の供給量よりも排気量が多くなるよう絞り弁の開口量を狭くした状態である。すなわち、容器内に外気を供給しながら、その供給量よりも多量の空気を容器から排気することにより、容器に通気すると同時に減圧した状態のことである。この減圧乾燥状態では、絞り弁の開口量を絞った状態で真空ポンプにより容器内の空気を排気することにより容器内の圧力を下げる。容器には容器内の圧力を測定する圧力計が備えられており、圧力計で測定された容器内の圧力に基づいて絞り弁の開口量が微調整されて容器内の圧力を所定の減圧条件で一定に保つことができる。
【0025】
この減圧乾燥装置は、容器内の湿度が、減圧乾燥対象物(うなぎの頭部又は皮部)からの水分の蒸発が鈍化する所定値以上のときは強制換気状態をとる。強制換気状態とは、真空ポンプを作動させるとともに、真空ポンプによる排気量より外気の供給量が多くなるよう絞り弁を大きく開放した状態である。すなわち、絞り弁を大きく開放して容器に多量の外気を一気に供給して容器内を迅速に換気する状態のことである。
【0026】
この減圧乾燥装置によって、上述の減圧乾燥状態と強制換気状態とを切り替えながら、減圧乾燥対象物の表面温度を制御することができる。
【0027】
遠赤外線ヒータは、減圧乾燥対象物を載置するトレーの上部において遠赤外線ヒータとして配設されている。遠赤外線ヒータは、トレーの上方全体を覆うように配設され、直下のトレーに載置された減圧乾燥対象物に対して遠赤外線を照射して減圧乾燥対象物を加熱する。
【0028】
温度センサは、減圧乾燥対象物の表面温度を測定することができるように配設される。この温度センサは、減圧乾燥対象物に接触せずに表面温度を測定するいわゆる非接触式の温度センサであり、減圧乾燥対象物より発生放射される赤外線を検知してその減圧乾燥対象物の表面温度を測定することができる。
温度センサによる検出温度は制御コンピュータに送信され、その検出結果に基づいて減圧乾燥対象物の表面温度を一定に保つように遠赤外線ヒータの出力強度が調整される。例えば、減圧乾燥装置が強制換気状態をとり、容器内に一気に外気が供給されると減圧乾燥対象物の表面温度が低下する場合があるが、その場合は遠赤外線ヒータの出力強度を上昇させることにより、減圧乾燥対象物の表面温度を上昇させて元に戻す。
また、減圧乾燥状態が長時間続くと減圧乾燥対象物の表面温度が上昇する場合があるが、その場合は遠赤外線ヒータの出力強度を低下させて表面温度の上昇を抑制する。
このように、減圧乾燥装置は、減圧乾燥対象物の表面温度の検出結果に基づき、常時遠赤外線ヒータの出力強度を調整することにより、減圧乾燥対象物の表面温度を一定値に維持するよう作用している。
【0029】
この減圧乾燥装置は、上記の通り、減圧乾燥対象物の表面温度を予め設定した温度にて表面温度を一定に保つとともに、より低温で表面温度を設定した場合であっても、容器内を減圧乾燥対象物から水分の蒸発しやすい低湿度環境とすることによって減圧乾燥対象物を効率よく乾燥させることができる。
【0030】
減圧乾燥装置内は、コラーゲンの変性温度以下において減圧乾燥対象物の表面温度を一定に保つのが好ましい。装置内を減圧状態にすることで水の沸点は低下し、減圧乾燥対象物を効率よく乾燥させることが可能である。また、表面温度は、減圧乾燥対象物に含まれる有用成分に対応させ、できるだけ低温(例えば35〜45℃の範囲)で処理することが好ましい。
【0031】
うなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程S3は、前記水分除去後のうなぎの頭部を粉砕して微粉化する。うなぎの頭部を粉砕して微粉化するためには、例えば、食品用粉砕機を用いることができる。また、通常の粉砕装置やプレス、チョッパー等を用いることもできる。
粉砕工程S3では、うなぎの頭部を平均粒径5mm以下程度に粉砕できればよい。粉砕工程S3を経ることで効率的にコラーゲンを得ることができる。得られた粉末を用いて、コラーゲンを製造する。
【0032】
なお、上記の工程を経てうなぎの頭部の粉末を得ることができるが、うなぎの頭部は骨及び皮部から成るため、例えば最終的に得られるコラーゲンを食用に使用したい場合等、うなぎの頭部の骨を使用しない場合には、分離工程S1を経たうなぎの頭部から皮部を剥皮する剥皮工程を施すことができる。
【0033】
剥皮工程は、骨及び皮部から成るうなぎの頭部から、皮部を剥皮することが可能であればその手段は限定されるものではない。例えば、動物の皮剥ぎ装置等を用いて機械的に行ってもよいし、またはナイフや鋏等を用いて行ってもよい。当該工程によりうなぎの頭部から得られた皮部を集め、水分除去後微粉化し抽出工程S4に供することにより、皮部に含まれる豊富なコラーゲンを得ることができる。
【0034】
上記うなぎの頭部の粉末又はうなぎの頭部の皮部を微粉化した粉末(以下、「うなぎ粉末」と称する)を用いてコラーゲンを抽出する抽出工程S4は、酸水溶液を用いてコラーゲンに酸化処理を施してコラーゲンを抽出し、抽出液から濾過又は遠心分離によって抽出残渣を除去し、次に得られた上澄み抽出液に塩析処理を施し、抽出液からコラーゲンを析出させるという方法により行われる。なお、うなぎ粉末とは、うなぎの頭部の骨又は皮部を含むものを微粉化した粉末であっても、うなぎの頭部の皮部のみを微粉化した粉末であってもよい。
【0035】
一般的に、コラーゲン含有組織から生成された際のコラーゲンは、コラーゲン分子間の架橋構造によって分子が強く結合し、コラーゲンを抽出することは難しい。そこで、コラーゲンに酸化処理を施すことにより、コラーゲン分子間の架橋構造を除去することが可能となり、容易にコラーゲンを抽出することができる。
コラーゲンの抽出に用いる酸水溶液に使用される酸としては、塩酸、リン酸等の無機酸よりも酢酸、乳酸、コハク酸、クエン酸等の有機酸を用いることが好ましいが、特に酢酸を用いることにより、コラーゲンが変形や分解等しにくく、高収率で高品質のコラーゲンを抽出することができるためより好ましい。
酸水溶液の濃度は、使用する酸によっても異なるが、一般には水溶液のpHが3〜4の範囲となるような濃度が用いられ、例えば酢酸の場合であれば、0.1M〜0.5Mの濃度とするのが好ましい。
コラーゲンの抽出は、うなぎ粉末の1質量部に対して、上記濃度の酸水溶液を10質量部〜100質量部、好ましくは20質量部〜50質量部用いて、2℃〜15℃で1時間〜72時間、好ましくは12時間〜48時間攪拌することによって行われる。
酸抽出の際に、抽出浴中に蛋白質分解酵素を添加すると、コラーゲンの収量の増大が可能であることため好ましい。なお、上記コラーゲンの酸化処理においては、オゾン等の酸化剤を用いて酸化処理を行う方法等、他の方法を用いて行っても構わない。
【0036】
コラーゲンの抽出後、抽出液から濾過又は遠心分離によって抽出残渣を除去し、次に得られた上澄み抽出液に塩析処理を施し、上澄み抽出液からコラーゲンを析出せしめる。塩析により、本発明によって得られるコラーゲンの純度を高めることが可能である。塩析は、上澄み抽出液に、終濃度が0.5〜1.5M、好ましくは0.7〜1.0Mとなるように塩類を添加し、攪拌することによって行われる。
塩類としては、塩化ナトリウム、硫酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、リン酸ナトリウム等を用いることが好ましい。この塩析処理を施すことによってコラーゲンを主体とする蛋白質が析出するので、これを例えば濾過、遠心分離等適宜の手段によって回収し、次の精製処理を施すことができる。なお、塩析は1回以上行われ得る。
【0037】
精製処理は、塩析処理で得られたコラーゲンを、アルカリ溶液に懸濁させ、この懸濁液をpH7〜8の条件下に1時間〜72時間、好ましくは12〜48時間攪拌した後、濾過又は遠心分離を行って不溶性のコラーゲンを回収することによって行われる。用いるアルカリとしては、リン酸水素二カリウムやリン酸水素二ナトリウム等が好ましいが、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム等を使用することもできる。
【0038】
上記工程を経て得られるコラーゲンは、複数の工程を経たことにより、無着色でかつ純度も高く、そのまま使用した場合でも化粧料等の配合原料として十分使用可能なものであるが、さらに、以下の脱脂処理を施すことにより、より高品質のコラーゲンを得ることができる。
【0039】
脱脂処理は、精製後のコラーゲンを、その乾燥質量の0.5倍質量〜5倍質量、好ましくは1〜2倍質量の有機溶媒に懸濁し、0.1時間〜24時間、好ましくは0.5時間〜1時間攪拌した後、濾過、遠心分離等適宜の手段を用いてコラーゲンを回収することにより行われる。有機溶媒としては、例えばエタノール、イソプロパノール、アセトン等が用いられる。この脱脂処理を施すことにより、コラーゲン中に微量残存する脂質成分、臭い成分等を除去することが可能であり、また脂質成分等の除去は複数回行うことがより好ましい。
【0040】
上記処理で得られたコラーゲンを含む抽出液を、蛋白質分解酵素で酵素処理してコラーゲンをペプチド化することができる。蛋白質分解酵素は特に限定されるものではなく、各種プロテアーゼ、例えば酸性プロテアーゼ、中性プロテアーゼ、アルカリ性プロテアーゼ、或いはそれらを含有する酵素液等を用いることができる。酵素の添加量、反応時間及び処理温度は適宜設定することができるが、通常、酵素の添加量は抽出液に対して0.1質量%〜3質量%が好ましく、0.1質量%〜1質量%がより好ましい。反応時間は0.5時間〜3時間が好ましく、0.5時間〜1時間がより好ましい。また、反応温度は30℃〜70℃が好ましく、40℃〜60℃がより好ましい。酵素反応条件が上記範囲外である場合、コラーゲンを十分に加水分解することができず、また逆に加水分解が進行し過ぎるため、収率が低下するおそれがある。なお、酵素反応終了後は、加熱処理を施す等して酵素を失活させることが好ましい。
【0041】
コラーゲンを溶液として使用する場合は、上記脱脂処理を施し又は施さないままの固形状のコラーゲンを、クエン酸等の酸溶液等に、所定の濃度となるように再度溶解させ、必要に応じて濾過を行い溶液として使用に供することができる。
【0042】
コラーゲンを粉末として使用する場合は、上記脱脂処理を施し又は施さないままの固形状のコラーゲンを乾燥することにより粉末状のコラーゲンが得られる。乾燥は、例えば減圧乾燥、凍結乾燥等の方法で行われ得る。本発明によって得られたコラーゲンは、例えば化粧品、皮下充填剤、人工皮膚の原料等として用いられる。
【0043】
本発明のうなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造は上記の通り行われるが、うなぎの頭部以外にも、他の魚を使用して魚皮、魚鱗、肉質部等を原料として用いる場合も、それらに上記と同様の処理を施すことにより、高収率及び高品質のコラーゲン製造方法を提供することが可能となる。
【0044】
なお、本発明の実施形態に使用したうなぎの頭部を示差熱分析に付した結果を図2に示す。これは、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程S1後のうなぎの頭部を1000℃程度の高温まで加熱して示差熱分析を行ったものである。
示差熱分析は通常用いられる示差熱分析装置により行うことができる。測定時間は分析の諸条件によるが、本実施形態においては昇温速度を毎分5℃に設定し、3時間程度行った。
示差熱分析では、試料を加熱する際に、例えば物質が昇華する際や水が蒸発する際には周囲から熱を奪って状態変化を起こし、物質から熱が奪われる熱吸収反応(吸熱反応)として測定される。逆に、酸化反応等で熱が発生するような場合には発熱反応として測定される。
物質が変化するときの温度は物質固有のものであり、そのため、反応の生じた温度を解析することにより物質の定性的同定分析が可能となる。
架橋コラーゲンの発熱反応を起こす温度は、架橋アミノ酸の相違による架橋タイプによって異なるが、通常200℃〜400℃付近の範囲(架橋コラーゲンの分解温度)であり、この温度領域で燃焼して質量減少を示すことが知られている。
図2の示差熱分析結果が示す通り、本実施形態のうなぎの頭部の熱分析において、200℃〜400℃の領域で発熱反応が見られ、スタート時の質量減少は−46.39%であり、うなぎの頭部には約50%程度の豊富なコラーゲンが含まれていることが分かる。
【0045】
また、赤外分光法(FT/IR)による吸収ピークをみたグラフを図3に示す。
図3(a)はうなぎの頭部の吸収ピークを示したものであり、図3(b)はコラーゲンペプチドの赤外吸収スペクトルを示したものである。
コラーゲンペプチドの吸収スペクトルの特徴を示す吸収スペクトル1、吸収スペクトル2、吸収スペクトル3が一致していることから、うなぎの頭部にはコラーゲンが含まれていることが分かる。
【0046】
以上の説明が、本発明に係る実施の形態であるが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、上記実施の形態に、多種多様な技術的変更または改良を加えることによる実施の形態もまた、本発明の技術的範囲に属することは当業者に明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のうなぎの頭部を用いたコラーゲンの製造方法によれば、うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、前記分離したうなぎの頭部の水分を除去する水分を除去工程と、前記水分除去したうなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程と、前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程を含むことで、うなぎの頭部に豊富に存在するコラーゲンの製造が可能となる。
本発明のコラーゲンの製造方法は、蛋白質分解酵素を用いて酵素処理を施す工程をさらに含むことで、コラーゲンの純度を高めることが可能となるため、産業上の利用可能性が非常に高い。
【符号の説明】
【0048】
S1 分離工程
S2 水分除去工程
S3 粉砕工程
S4 抽出工程

【特許請求の範囲】
【請求項1】
うなぎの頭部からコラーゲンを製造する方法であって、
うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、
前記分離したうなぎの頭部を減圧状態で脱水する減圧脱水工程と
前記減圧脱水したうなぎの頭部を粉状に粉砕する粉砕工程と、
前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程と、
を含むコラーゲンの製造方法。
【請求項2】
うなぎの頭部からコラーゲンを製造する方法であって、
うなぎの魚体から頭部と胴部を分離する分離工程と、
前記分離したうなぎの頭部から皮部を剥皮する剥皮工程と、
前記剥皮したうなぎの皮部を減圧状態で脱水する減圧脱水工程と、
前記減圧脱水したうなぎの皮部を粉状に粉砕する粉砕工程と
前記粉砕したうなぎ粉末からコラーゲンを抽出する抽出工程と、
を含むコラーゲンの製造方法。
【請求項3】
前記抽出コラーゲンを蛋白質分解酵素を用いて酵素処理を施す工程を、さらに含むことを特徴とする請求項1又は2に記載のコラーゲンの製造方法。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかの製造方法により製造されたコラーゲン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−77034(P2012−77034A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224339(P2010−224339)
【出願日】平成22年10月1日(2010.10.1)
【出願人】(506033492)有限会社勝美 (4)
【Fターム(参考)】