説明

おろし器付まな板

【課題】従来のおろし器のついたまな板は、多目的に替え刃を付け替えるまな板として提示されており、このまな板は、刃を付け替えることにより、多目的で便利と思えるが、実は替え刃の収納は非常に面倒であり、また付け替えることによりあるいは付けたままにしている場合、非衛生的である。
【解決手段】本発明のおろし器付まな板は、長方形平板状のまな板面と、まな板面に併設した大根おろし器及び生姜おろし器と、大根おろし器及び生姜おろし器とまな板面の間に設けた防水堤と、まな板面の四角及び大根おろし器と生姜おろし器の端部を支持する6本の主脚からなり、まな板面と防水堤と主脚、おろし器とがプラスチックで一体形成され、大根おろし器と生姜おろし器の下部空間に大根及び生姜おろし生成物を収容し引き出し可能な受け皿とを備えたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、手軽に機能的にまた衛生的に使用できる、おろし器付まな板に関するものである。
【背景技術】
【0002】
まな板は、従来魚や野菜などの食材を切り加工することを目的としている。また、大根おろし器、生姜おろし器は、料理を引き立てる薬味を作る独立した器材である。
まな板とおろし器は別個のものであるため、それぞれの置き場所やまた使用後の洗浄など非常に手間なものである。そこに目を向け、まな板とおろし器を合体させたものがある。(特許文献1実開昭62−23655)
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭62−23655
【特許文献2】特開平11−332760
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1において、おろし器のついたまな板が発明されているが、多目的に替え刃を付け替えるまな板として提示されている。このまな板は、刃を付け替えることにより、多目的で便利であると思えるが、実は替え刃の収納は非常に面倒なものである。また、何度も付け替えることによりあるいは付けたままにしている場合には衛生的に問題が生じる。また、従来品には、まな板を固定させて動かないようにという工夫は見られない。
近年、仕事を持つ女性や主婦が増えたため、少しでも手間や時間を省きたいということが要望されているが、ただ便利であるというだけでは、不十分といえるのである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のおろし器付まな板は、略長方形の平板状のまな板面と、まな板面に併設した大根おろし器及び生姜おろし器と、大根おろし器及び生姜おろし器とまな板面の間に設けた防水堤と、まな板面の四角及び大根おろし器と生姜おろし器の端部を浮かせて支持する6本の脚からなり、まな板面と防水堤と脚とおろし器とがプラスチックで一体形成され、大根おろし器と生姜おろし器の下部空間に大根及び生姜おろし生成物を収容し引き出し可能に取り付けられる受け皿とを備えたものである。
【0006】
また、主脚のうち、大根おろし器端部の脚1ヶを他の主脚より短めにして、脚長不足部分におろし動作により変形、復元する弾制体を介在させたものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明は、軽くて薄いが、耐久力のあるプラスチック素材を使用したまな板の右端に大根おろし器、生姜おろし器を一体化して設けたもので、大根おろし器、生姜おろし器をまな板と一体化させ、各部材を着脱しない為、衛生的である。また、おろし器は金属ではなくプラスチックの刃であるため、危険度は低く、まな板を洗浄する度に一緒に付随するおろし器も洗浄することが出来、手軽で、時間の短縮も可能である。更に、裏面に滑り止めの付いた脚を付けたため、調理台にまな板が固定され、片手で簡単に大根おろしを作ることが出き、労力も最小限に抑えることが可能である。おろし器ですりおろした大根や生姜を受ける受け皿も、プラスチックで角をなくし丸く面取りをすることにより、衛生的であるといえる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】 この発明のおろし器付まな板の全体斜視図である。
【図2】 大根おろし生姜おろし受け皿の斜視図である。
【図3】 まな板裏面スライド受け部に大根おろし生姜おろし受け皿を設置した状態の右側面図である。
【符号の説明】
【0009】
1 まな板本体
1a まな板面
2 大根おろし器
3 生姜おろし器
4 受け皿
5 防水堤
6 主脚
7 滑り止め
8 短脚部
8a 伸縮部材
【発明を実施するための形態】
【0010】
まず、本発明のおろし器付まな板の構成を、図に基き説明する。
図において、まな板本体1は、略平板長方形であり、平板上面の大半はまな板面1aである。2は大根おろし器であり、3は生姜おろし器である。大根おろし器2と生姜おろし器3はまな板面1aの右端に縦に並んで配置し、まな板1の一部となるように固着設置されている。4は大根おろし生姜おろし受け皿で、まな板裏側に引き出しの様にスライド着脱可能に設置されている。
【0011】
防水堤5は、まな板1で切断する食材の液が大根おろし器2や生姜おろし器3の方に流れることを防ぐものである。防水堤5は、まな板1と大根おろし器2、生姜おろし器3の境に設けられ、まな板面1aよりほんの少しの高さがあるだけで、液体はおろし器2、3には流れ込まない。防水機能としては溝型も考えられるが、山型の形状の方が水が溜まることがないのでより衛生的である。
【0012】
大根おろし器2と生姜おろし器3は、まな板1に一体に取り付けられえたものであるため、まな板1を洗うと同時に大根おろし器2と生姜おろし器3も同時に洗浄され、また取り外すものではないので取り付けの隙間がなく衛生的であり、備品がなくなったりわからなくなったりする煩わしさもない。まな板1に取り付けられた大根おろし器2、生姜おろし器3の刃は、金属ではなく、プラスチック(例えばABS樹脂)であるため、指を切るなどの危険性は少なく安全である。
大根おろし器2、生姜おろし器3がまな板1の一部になっているので、このまな板はコンパクトで軽く、使いやすい便利な形状になっている。
【実施例1】
【0013】
主脚6は、まな板1の裏面に6箇所設置されている。その位置は、まな板面1aを支持する角に4個所、他の1個の主脚は、まな板面1aから延在するおろし器の一端部に取り付けられている。これらの位置は、大根おろし器2、生姜おろし器3の受け皿4がじゃまにならない位置にある。主脚6の下部につける滑り止め7は、摩擦性の高い材質で、調理台の多少の凸凹にも対応できる柔軟さを有する。
主脚6は、まな板本体1の裏側に付けられ、主脚6の高さは、高すぎても安定感に欠け、低すぎると受け皿4の容量が不十分なものとなるため、2cm〜3cm程の高さが良い。主脚6の下部に取り付けられた摩擦係数の高い素材からなる滑り止め7により、まな板1が調理台に固着され、包丁での切断作業や片手で大根や生姜をすりおろす時、まな板1の移動を防ぐと同時に調理台に傷が出来ることも防ぐ。
【0014】
図2において、4は大根おろし生姜おろしの受け皿である。4aは大根おろし生姜おろし受け皿引き手、4bは大根おろし生姜おろし受け皿仕切り、4cは大根おろし生姜おろし受け皿斜面部、4dは大根おろし生姜おろし受け皿スライド羽根部である。
受け皿4は、多少弾力性を有するプラスチック製の軽い素材で出来ている。受け皿4の大きさは、略大根おろし器2、生姜おろし器3に合わせたサイズで、各々の受け皿部が設けてあり、深さは受け皿4の底面が調理台と接しないサイズになっている。
【0015】
受け皿4には、この受け皿4を脱する際の取っ手4aが設けられている。受け皿仕切り4bは、受け皿4をまな板に装着した際、大根おろし器2、生姜おろし器3の境に来るように仕切られている。大根おろし生姜おろし受け皿斜面部4cは、受け皿4の一辺の形状で引き手4aからの延長にあり、受け皿4をまな板に装着した際、大根おろし器2、生姜おろし器3の右辺部に合うように形成されている。大根おろし生姜おろし受け皿斜面部4−cが設けられていることにより、おろした大根や生姜が受け皿内にスムーズに流れていける。受け皿スライド羽根部4dは、まな板本体1の裏側に設置されたスライド受け部9に装着されスライドされることにより、受け皿4の出し入れが可能になっている。
【0016】
図3において、まな板裏面スライド受け部9は、まな板本体1の裏面に設置されている。これは、汚れの付着しやすい部分であるため、丸みをおびるよう面取りをし衛生面に配慮した形状になっている。
【実施例2】
【0017】
短脚部8は、6箇所の脚のうち、大根おろし器3側の端部の1箇所に位置づけられている。短脚部8は、他の5箇所の主脚6に比して固い部分が僅かに短く調節され、脚全高不足分には柔らかい伸縮材8aが取り付けられている。それにより、まな板本体1に設置された大根おろし器2で大根をおろす時、押す引く力の差で伸縮材8aが伸縮して、まな板本体1が揺れる。すると、すりおろされた大根が受け皿に均等に流れこむことになる。大根おろしが振動により均等に流れ込むので、大根おろし生姜おろし受け皿の深さは低くても面積を広くすることで量が多くおろし物を収容することが可能になる。
【0018】
このように、まな板1とおろし器2、3を一体に製作する方法として、プラスチックによる一体製法がある。まず、おろし器2、3の刃の部分をABS樹脂で成型しておき、これをまな板1を成型する金型内に設置しておいて、まな板1及び主脚6、短脚部8、おろし器2、3の周囲となるポリエチレン樹脂を金型に注入して全体を一体に仕上げることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略長方形の平板状のまな板と、このまな板の上面であるまな板面に併設した大根おろし器及び生姜おろし器と、上記大根おろし器及び生姜おろし器とまな板面の間に設けた防水堤と、上記まな板を支持する四角及び大根おろし器と生姜おろし器の端部を支持する合計6本の主脚からなり、上記まな板面と防水堤と主脚とおろし器とがプラスチックで一体形成され、上記主脚の脚端に摩擦係数の高い滑り止め部材を設け、上記大根おろし器と生姜おろし器の下部空間に大根及び生姜おろし生成物を収容する引き出し可能に取り付けられた受け皿とを備えたおろし器付まな板。
【請求項2】
主脚のうち、大根おろし器端部の脚1ヶを他の主脚より短めにして、脚長不足部分におろし動作により変形、復元する弾制体からなる伸縮部材を介在させた請求項1のおろし器付まな板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2013−52209(P2013−52209A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−206592(P2011−206592)
【出願日】平成23年9月2日(2011.9.2)
【出願人】(508005369)
【Fターム(参考)】