説明

お茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品とその製造方法

【課題】
落ち着いた色合いを有し、かつ、天然素材を用いて人体に無害な抗菌・消臭作用を有する藺草製品を提供すること。
【解決手段】
藺草表面に緑茶のカテキンを0.01〜5%と有色酸性染料0.01〜3%と樹脂成分0.1〜1%とを含有している藺草を使用して、藺草束のネット容器に収納する工程と、前記の藺草束の水洗工程と、貯湯した槽内に緑茶葉と酸性染料を投入し、染料と茶成分を滲出させて得た茶汁と染料液中水洗後の藺草束を浸漬染色する工程と、冷水にて洗浄した後乾燥工程と、湿潤させた後に製織する工程とからなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

この発明は、畳表や茣蓙などの藺草製品、及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、畳表などの藺草製品は、藺草を茶汁で染色する方法が提案されている(特許文献1参照)。しかし収穫した藺草を、埴土を水に混ぜて作った泥水中に浸漬するいわゆる泥染を行った後に天日乾燥して収納保管し、その後、長さ別に仕分けして若干加湿させた後に、織機などで所望する製品に製織し、その後、仕上げ・天日乾燥しているが、十分にカテキン成分を保持していない。泥染するのは、刈り取った藺草をそのまま乾燥させると、変色するなどの品質低下のおそれがあるからである。
【0003】
また茶抽出液を霧状化した環境下で、藺草を所定時間晒して染色した。また、前記茶抽出液は酸化防止剤が添加されていることとした。
【0004】
また、泥染めした藺草を仕分けする仕分工程と、この仕分工程により仕分けされた藺草を加湿する加湿工程と、この加湿工程により加湿された藺草を織機により織成する織成工程と、を有する藺草製品の製造方法において、前記加湿工程に用いる加湿用液を茶抽出液として、当該加湿工程により前記藺草を染色する藺草製品の製造方法が提案されている。(特許文献2参照)しかし、酸化防止剤の添加によって、十分な染色ができていない。
【0005】
緑茶成分による抗菌・消臭機能が拭き取り等によって損なわれることなく長期間有効である藺草シートを提供するために、 藺草を用いて形成されるシートに、緑茶抽出物を静電塗布した後、樹脂を静電塗装する。緑茶抽出物を含有する下地塗装を、樹脂を含有する多孔質塗装で被覆することにより、藺草シートの緑茶成分の保護と機能発現とが両立されることが提案されている(特許文献3参照)。しかし工程が複雑であって、価格的にもんだいである。
【0006】
本発明者は、茣蓙、畳表に使用している藺草にお茶の抽出成分と撥水性のフッ素系樹脂を塗布して、加熱加工した茣蓙、畳表の製品であって、具体的には、藺草に茶のカテキン成分とフッ素系樹脂を含有させて、撥水性を持たせ、しかも消臭・抗菌・防虫効果を備えた茣蓙、および畳表を提案している。(特許文献4参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11−303367号
【特許文献2】特開2009−57666号
【特許文献3】特開2006−112013号
【特許文献4】実用新案登録第3141809号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
近年、抗菌製品の開発が目覚ましく、様々な製品、特に合成樹脂製品などでは抗菌処理されたものの増加が著しい。
【0009】
人が毎日の生活の中で直接触れる機会の多い畳に関しては抗菌処理を施したものは殆ど無い。その理由として、抗菌畳とする場合、畳表などに抗菌材を担持させるような処理は容易に考えられるが、畳や茣蓙などは面積が広く、かつ、人体に直接触れることが多いことから、安価で人体に無害な抗菌材でなくてはならない。
【0010】
しかも、畳や茣蓙は伝統的製品なので従来の肌触りや質感が重要な要素となっており、先の抗菌処理ではこれらを満足させることができないということが挙げられる。
【0011】
本発明は、緑茶に含まれるカテキンの抗菌作用、及び染色作用に着眼し、これを藺草に適用することで上記課題を解決し、肌触りや質感に何ら違和感がなく、なおかつ人体に無害の天然素材で抗菌処理された衛生的な藺草製品、及びその製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記課題を解決するために、畳表や茣蓙に相応しい落ち着いた色に染色できるとともに、茶中に含まれるカテキンの抗菌作用によって、抗菌効果のある衛生的な藺草製品とすることができる。
【0013】
藺草の表面に茶抽出物と酸性染料とを含侵させて、カテキン成分と色素成分とを含有されているお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品である。
藺草表面に緑茶のカテキンを0.01〜5%と有色酸性染料0.01〜3%とを含有している藺草を使用している。
【0014】
有色酸性染料として、ブルー色、イエロー色、ブラック色、オレンジ色、ルビン色、レッド色の染色剤を種々配合して、所定の色彩を呈するお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品である。
【0015】
塩基性染料は従来より殆んどに使用されている。染色技術が簡単で生産費のコストも安く 最近は商品価格が低下しつつある。更に金属性物質であるマラカイドグリーン及びオーラミンが含有されている。
【0016】
酸性染料は技術的には難しくてややコスト高になるが、堅牢度、耐久性色落ちが極めて少なく 健康・安心・安全が保障される。
藺草束をネット袋に収納する工程と、前記の藺草束を釜入れて湯洗工程と、釜内に茶葉と酸性染料を投入し、染料と茶成分を藺草束に浸漬染色する工程と、冷水にて洗浄した後乾燥する工程と、湿潤させた後に製織する工程と、からなることを特徴とするお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法である。
【0017】
藺草にお茶成分と染料成分を含侵させるために、藺草100部に対して茶葉3〜10部、染料0.5〜7部を1000部の湯水に添加して浸漬染色させていることを特徴とする請求項4のお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法である。
【0018】
藺草を、茶抽出成分の緑茶カテキンと酸性染色を溶解させた溶液に水蒸気によって加温して、30分〜120分間回転振動しながら浸漬させていることお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法である。
【発明の効果】
【0019】
1)本発明では、茶汁で染色した藺草製品としたので、藺草製品の代表的な伝統的製品である畳表や茣蓙に相応しい落ち着いた色に染色できるとともに、茶中に含まれるカテキンの抗菌作用によって、抗菌効果のある衛生的な藺草製品となすことができた。
【0020】
2)本発明は、緑茶カテキンを添加した茶汁で染色したので、カテキンの量が増加して抗菌・消臭作用をより向上させることができた。
【0021】
3)本発明では、貯湯した槽内に緑茶と染料とを投入し、茶成分を滲出させて得た茶汁と特殊な色彩の染料溶液中に藺草を浸漬して染色し、次いで、槽外へ取出して乾燥させた後に、カテキンを藺草の芯部分に浸漬したものを製織するようにしたので、藺草製品の製造工程を大きく変更することなく、抗菌・消臭作用を有する種々の藺草製品を容易に製造することができた。
【0022】
4)かかるカテキンを含む緑茶で藺草を染色すると、茶系統の落ち着いた渋味のある色と染料に染まり、製織して艶のあり、種々の色彩の畳表や茣蓙などを製造するに好適な色合いが得られ、しかも、かかる畳表や茣蓙は同時に抗菌・消臭作用を奏した。
【0023】
5)皮膚病やアレルギーなどを引き起こす原因となる雑菌の増殖を防止するとともに、皮膚病などであればその伝染を防止し、さらに、家内で飼育するペットなどの動物臭の消臭も可能となった。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】藺草の染色工程の図
【図2】染色機(染色釜と制御盤)の図
【図3】選別された網袋入りの藺草の束(a)と染色後の藺草の束(b)の図
【図4】7日後の畳表の状態図(a)カテキン含有染色したもの、(b)処理せず
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明に係る藺草製品は、茶汁と染色剤で染色したことに特徴がある。茶、特に緑茶中にはカテキンが多く含まれており、かかるカテキンには薬効があることが知られている。
【0026】
かかるカテキンを含む緑茶で藺草を染色すると、茶系統の落ち着いた渋味のある色と染料に染まり、製織して艶のあり、種々の色彩の畳表や茣蓙などを製造するに好適な色合いが得られ、しかも、かかる畳表や茣蓙は同時に抗菌・消臭作用を奏する。かかる藺草製品の製造工程は次の通りである。
【0027】
藺草、貯湯した槽内に緑茶を投入し、茶成分を滲出させて茶汁を得、かかる茶汁中に、適宜長さに揃えた藺草を染色濃度に見合った時間浸漬し、染色された藺草を槽外へ取出してこれを天日で乾燥させた後、加湿して織機などによって艶のあり、種々の色彩の畳表や茣蓙などの所望する製品に製織するものである。
【0028】
また、抗菌・消臭作用を増強するには、カテキンの量を増やせばよく、そのためには別途抽出して製剤した緑茶カテキンを適宜茶汁中に添加すればよい。
【0029】
すなわち、製剤した緑茶カテキンと染料を別途湯中に溶解させておき、これを槽内に茶汁と染料とを加えて前記藺草を浸漬すればよく、最終艶のある製品の染色された抗菌・消臭作用が増強される。
【0030】
したがって、本発明に係る藺草製品を用いれば、皮膚病やアレルギーなどを引き起こす原因となる雑菌の増殖を防止するとともに、皮膚病などであればその伝染を防止し、さらに、家内で飼育するペットなどの動物臭の消臭も可能となる。
【0031】
しかも、天然素材である茶に含まれるカテキンを使用しているので人体には全く無害である。
【実施例1】
【0032】
以下、この発明の実施例を具体的に説明する。
藺草製品としては畳表、茣蓙、花筵などがあるが、これらはいずれも従来の技術で説明したような工程を経て製品化され出荷される。
【0033】
本発明は、上記藺草製品を、上記工程の中途で茶汁と酸性染料で染色したことに特徴を有し、緑茶を用いて茶汁を滲出させ、かかる緑茶に含まれるカテキンの有する抗菌・消臭作用と表面の艶のある藺草製品に付与したものである。
【0034】
刈り取った藺草は、取り扱い易いように、また、折れ傷がつかないようにした藺草を2段階に選別し、110cm〜130cmの長い藺草を10kgに結束して、さらに選別したい藺草を1kgごとにして、表皮のキズ防止のために網袋に収納させた。この1kgにした袋体80個を、回転振動器付染色釜(直径120cm、長さ300cm)に収納して、まず40℃の温水を釜に900L程度入れて、回転振動させながら10分間洗浄した。洗浄した後廃水を除去した。
【0035】
次に約1000Lの40℃の温水に茶葉5kgと酸性染料(イエロー色)の480gと酸性染料(ブルー色)の70gと酸性染料(オレンジ色)の60gと酸性染料(ブラック色)の15gと浸透剤 500gと酢酸120gを添加して、10回転ごと正転、逆転の回転を50分間連続的に行った。この間は徐々に温度を上昇させて、最高98℃のスチームを流通させた。均一になった色彩の品質と茶に含まれる色素が深見のある独特の色合いにした。染色工程を終了すると、残存液を排出して廃水処理を施した。
【0036】
染色された藺草の繊維が高温での染色によって柔らかくなるので、15℃付近の冷水で10分間冷水処理を施した。処理後は1昼夜藺草の入った袋ごと藺草を立たせて静置した。その後1kgの袋から取り出して2kgの束に結束した。
【0037】
これらの80kgの染色された藺草は、大型熱風乾燥機によって約80℃で20時間乾燥した。これによってカテキン含有染色藺草を製造された。この藺草を畳表、茣蓙、花筵にするために製織された。

【実施例2】
【0038】
実施例1と同様な操作によってカテキン含有染色藺草を製造した。刈り取った藺草は、取り扱い易いように、また、折れ傷がつかないようにした藺草を2段階に選別し、110cm〜130cmの長い藺草を10kgに結束して、さらに選別したい藺草を1kgごとにして、表皮のキズ防止のために網袋に収納させた。この1kgにした袋体80個を、回転振動器付染色釜(直径120cm、長さ300cm)に収納して、まず40℃の温水を釜に900L程度入れて、回転振動させながら10分間洗浄した。洗浄した後廃水を除去した。
【0039】
次に約1000Lの40℃の温水に茶葉7kgと酸性染料(イエロー色)の360gと酸性染料(ブルー色)の70gと酸性染料(オレンジ色)の60gと酸性染料(ブラック色)の15gと浸透剤 500gと酢酸120gを添加して、10回転ごと正転、逆転の回転を50分間連続的に行った。この間は徐々に温度を上昇させて、最高98℃のスチームを流通させた。均一になった色彩の品質と茶に含まれる色素が深見のある独特の色合いにした。染色工程を終了すると、残存液を排出して廃水処理を施した。
【0040】
染色された藺草の繊維が高温での染色によって柔らかくなるので、15℃付近の冷水で10分間冷水処理を施した。処理後は1昼夜藺草の入った袋ごと藺草を立たせで静置した。その後1kgの袋から取り出して2kgの束に結束した。
【0041】
これらの80kgの染色された藺草は、大型熱風乾燥機によって約80℃で20時間乾燥した。これによってカテキン含有染色藺草を製造された。この藺草を畳表、茣蓙、花筵にするために製織された。
【実施例3】
【0042】
刈り取った藺草は、取り扱い易いように、また、折れ傷がつかないようにした藺草を2段階に選別し、110cm〜130cmの長い藺草を10kgに結束して、さらに選別したい藺草を1kgごとにして、表皮のキズ防止のために網袋に収納させた。この1kgにした袋体80個を、回転振動器付染色釜(直径120cm、長さ300cm)に収納して、まず40℃の温水を釜に900L程度入れて、回転振動させながら10分間洗浄した。洗浄した後廃水を除去した。
【0043】
次に約1000Lの40℃の温水に茶葉5kgと酸性染料(イエロー色)の400gと酸性染料(ルビン色)の70gと酸性染料(レッド色)の60gと酸性染料(ブラック色)の15gと浸透剤 500gと酢酸120gを添加して、10回転ごと正転、逆転の回転を50分間連続的に行った。この間は徐々に温度を上昇させて、最高98℃のスチームを流通させた。均一になった色彩の品質と茶に含まれる色素が深見のある独特の色合いにした。染色工程を終了すると、残存液を排出して廃水処理を施した。
【0044】
染色された藺草の繊維が高温での染色によって柔らかくなるので、15℃付近の冷水で10分間冷水処理を施した。処理後は1昼夜藺草の入った袋ごと藺草を立たせで静置した。その後1kgの袋から取り出して2kgの束に結束した。
【0045】
これらの80kgの染色された藺草は、大型熱風乾燥機によって約80℃で20時間乾燥した。これによってカテキン含有染色藺草を製造された。この藺草を畳表、茣蓙、花筵にするために製織された。

「比較例1」
【0046】
刈り取った藺草は、取り扱い易いように、また、折れ傷がつかないようにした藺草を2段階に選別し、110cm〜130cmの長い藺草を10kgに結束して、さらに選別したい藺草を1kgごとにして、表皮のキズ防止のために網袋に収納させた。この1kgにした袋体80個を、回転振動器付染色釜(直径120cm、長さ300cm)に収納して、まず40℃の温水を釜に900L程度入れて、回転振動させながら10分間洗浄した。洗浄した後廃水を除去した。
【0047】
次に約1000Lの40℃の温水に茶葉5kgと塩基性染料(オーラミン色)の280gと塩基性染料(ブルー色)の70gと塩基性染料(オレンジ色)の60gと塩基性染料(ブラック色)の15gと浸透剤 500gと酢酸120gを添加して、10回転ごと正転、逆転の回転を50分間連続的に行った。この間は徐々に温度を上昇させて、最高98℃のスチームを流通させた。均一になった色彩の品質と茶に含まれる色素が深見のある独特の色合いにした。染色工程を終了すると、残存液を排出して廃水処理を施した。
【0048】
染色された藺草の繊維が高温での染色によって柔らかくなるので、15℃付近の冷水で10分間冷水処理を施した。処理後は1昼夜藺草の入った袋ごと藺草を立たせで静置した。その後1kgの袋から取り出して2kgの束に結束した。
【0049】
これらの80kgの染色された藺草は、大型熱風乾燥機によって約80℃で20時間乾燥した。これによってカテキン含有染色藺草を製造された。この藺草を畳表、茣蓙、花筵にするために製織された。
「比較例2」
【0050】
刈り取った藺草は、取り扱い易いように、また、折れ傷がつかないようにした藺草を2段階に選別し、110cm〜130cmの長い藺草を10kgに結束して、さらに選別したい藺草を1kgごとにして、表皮のキズ防止のために網袋に収納させた。この1kgにした袋体80個を、回転振動器付染色釜(直径120cm、長さ300cm)に収納して、まず40℃の温水を釜に900L程度入れて、回転振動させながら10分間洗浄した。洗浄した後廃水を除去した。
【0051】
次に約1000Lの40℃の温水に、茶葉を使用せず、酸性染料(イエロー色)の480gと酸性染料(ブルー色)の70gと酸性染料(オレンジ色)の60gと酸性染料(ブラック色)の15gと浸透剤 500gと酢酸120gを添加して、10回転ごと正転、逆転の回転を50分間連続的に行った。この間は徐々に温度を上昇させて、最高98℃のスチームを流通させた。均一になった色彩の品質と茶に含まれる色素が深見のある独特の色合いにした。染色工程を終了すると、残存液を排出して廃水処理を施した。
【0052】
染色された藺草の繊維が高温での染色によって柔らかくなるので、15℃付近の冷水で10分間冷水処理を施した。処理後は1昼夜藺草の入った袋ごと藺草を立たせで静置した。その後1kgの袋から取り出して2kgの束に結束した。
【0053】
これらの80kgの染色された藺草は、大型熱風乾燥機によって約80℃で20時間乾燥した。これによってカテキン含有染色藺草を製造された。この藺草を畳表、茣蓙、花筵にするために製織された。
【0054】
上記の実施例1〜3と比較例1〜2の藺草製品の摩擦堅牢度、抗菌性、消臭効果、防カビ発育について試験を実施した。
【0055】
A : 学振式摩擦試験機による等級は、酸性染料を添加した藺草製品で織ったすべての商品は5等級(摩擦堅牢度)であった。ただし比較例1の 塩基性染料で藺草製品を染色して織った商品は3等級(摩擦堅牢度)程度であった。
【0056】
B: 抗菌性試験は混釈平板養法による 黄色ぶどう菌と対象比較のため、 布で試験した場合 緑茶を添加して藺草を染めた製品は、殺菌活性値がすべて実施例1〜3での製品で殺菌活性値は2.0程度であった。これは殺菌に対して有効な値であった。比較例2の場合には効果が認められなかった。
【0057】
C :カテキン入り消臭試験で無加工(比較例2)とカテキン入り(実施例1)の実験法方法は、におい袋にアンモニアを所定量加え ガス検知管で初期濃度を測定し 次に0.3gの 畳粉砕品を匂い袋に添加し10分間静置した後 匂い袋中のアンモニア終濃度の測定を行った。
【0058】
比較例2のお茶での加工処理なしの初期濃度450ppm 終濃度180ppm 消臭率60%であった。
実施例1のカテキン入りの初期濃度490ppm 終濃度110ppm消臭率77.6%の実験結果でカテキンを添加することで 消臭効果があることが実証された。
【0059】
D :カビ発育試験において 比較例のお茶での加工処理なしと実施例1のお茶染加工したものは、図4で示すように、28℃ 湿度97%で14日後肉眼で観察した結果 図4の写真にみれれるように、お茶加工にはカビが見られず、無加工品はカビが確認された。

【符号の説明】
【0060】
1.冷水管
2.廃水管
3.釜蓋
4.釜容器
5.藺草収納容器
6.水蒸気管
7.藺草の網袋入り
8.染色藺草の束
9.お茶処理した畳表を7日経過後の状態写真
10.処理しない畳表を7日経過後の状態写真
A 染色釜
B 制御盤


【特許請求の範囲】
【請求項1】
藺草の内部に茶抽出物と酸性染料とを含侵させて、カテキン成分と色素成分とを含有されていることを特徴とするお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品。
【請求項2】
藺草表面に緑茶のカテキンを0.01〜5%と有色酸性染料0.01〜3%とを含有している藺草を使用していることを特徴とする請求項1のお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品。
【請求項3】
有色酸性染料として、ブルー色、イエロー色、ブラック色、オレンジ色、ルビン色、レッド色の染色剤を種々配合して、所定の色彩を呈することを特徴とする請求項1又は請求項2のお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品。
【請求項4】
藺草束をネット袋に収納する工程と、前記の藺草束を釜入れて湯洗工程と、釜内に茶葉と酸性染料を投入し、染料と茶成分を藺草束に浸漬染色する工程と、冷水にて洗浄した後乾燥する工程と、湿潤させた後に製織する工程と、からなることを特徴とするお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法。
【請求項5】
藺草に茶成分と染料成分を含侵させるために、藺草100部に対して茶葉3〜10部、染料0.5〜7部を1000部の湯水に添加して浸漬染色させていることを特徴とする請求項4のお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法。
【請求項6】
藺草の内部に浸透させるために、前記の溶液に浸透剤を0.01〜0.5重量%を使用していることを特徴とする請求項4又は請求項5のお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法。
【請求項7】
藺草を、茶抽出成分の緑茶カテキンと酸性染色を溶解させた溶液に水蒸気によって加温して、30分〜120分間回転振動しながら浸漬させていることを特徴とする請求項4又は請求項5又は請求項6記載のお茶成分と染料成分を含侵させた藺草製品の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−52464(P2011−52464A)
【公開日】平成23年3月17日(2011.3.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−202651(P2009−202651)
【出願日】平成21年9月2日(2009.9.2)
【出願人】(591017504)株式会社トーシン (4)
【Fターム(参考)】