説明

かつおの中骨を原料とするコラーゲンペプチドの製造方法

【課題】魚類を原料とする品質の安定したコラーゲンを使用して、血圧降下作用を有するコラーゲンペプチドが得られる製造方法を提供すること。
【解決手段】かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程と、かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程と、かつおの中骨を、80〜150℃の温度範囲により前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性して熱水抽出する工程と、前記熱水抽出の工程後に、不溶分を除去してゼラチン抽出溶液を得る工程と、前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを混合し、30〜70℃の温度範囲により30分〜24時間反応させる蛋白質分解工程と、前記蛋白質分解酵素を失活させる工程と、
を少なくとも有する、コラーゲンペプチドの製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、かつおの中骨を原料とするコラーゲンペプチドの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
魚類または家畜由来のコラーゲンをプロテアーゼを用いて加水分解処理を行うことによりオリゴペプチドを得る製造方法が提案されている(特許文献1)。
この従来の第一の製造方法によれば、新鮮な魚鱗を0.6Nの塩酸に24時間浸漬した後に濾過することにより脱灰後のコラーゲンを主成分とする魚鱗固形分が得られること、
この魚鱗固形分を水に分散し、60℃の温度でpH8.0の塩基性条件にてアルカリプロテアーゼを添加して1時間酵素処理を行い、得られた酵素処理液を凍結乾燥することにより酵素による加水分解オリゴペプチドが得られることが開示されている。
さらにコラーゲンとして魚の骨由来のものを使用できること、従来の第一の製造方法により得られたオリゴペプチドを高血圧疾患の予防、症状改善の用途に使用できることについても開示されている。
【0003】
しかしながら上記の従来の第一の製造方法を示す先行技術文献には、原料としてどの様な魚を使用したかについての明示がなく、さらに高血圧疾患の予防、症状改善を示すデータも一切開示されていない。
このためどの様な種類の原料を使用した場合に高血圧疾患の予防、症状改善がどの程度達成できるかどうかについては不明である。
【0004】
またタイ、テラピア等の魚類の鱗を原料としてコラーゲンペプチドを得る製造方法についても提案されている(特許文献2)。
この従来の第二の製造方法によれば、蛋白質分解酵素としてプロテアーゼMが使用できること、原料を約70〜120℃の温度範囲により加熱処理を数分〜数時間の範囲実施できることが開示されている。
【0005】
しかしながら上記の従来の第二の製造方法を示す先行技術文献には、原料としてテラピアの鱗を使用したことが開示されているがそれ以外の魚を使用したデータはなく、さらに高血圧疾患の予防、症状改善を示すデータも一切開示されていない。
このためテラピアの鱗以外の原料を使用した場合に高血圧疾患の予防、症状改善が達成できるかどうかについては依然として不明のままである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2001−211895号公報
【特許文献2】特開2009−219430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この一方、魚類に代表される水棲生物は変温動物であり、牛等の恒温動物に比較して体温が低く、魚類の種類毎に様々な環境に抵抗している。このため魚類からコラーゲンを抽出する際にコラーゲンの構造が破壊されやすく、恒温動物から得られるコラーゲンと比較してコラーゲンの凝集能が低いためにゲル化能に劣り、魚類の種類毎に得られるコラーゲンの性質が大きくことなる問題があった。このため魚類を原料とする一定品質のコラーゲンを得ることが困難であった。
【0008】
本発明が解決すべき課題は、魚類を原料とする品質の安定したコラーゲンを使用して、血圧降下作用を有するコラーゲンペプチドが得られる製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するため本発明者らが鋭意検討した結果、カツオの中骨を原料とするコラーゲンペプチドの製造方法が、本発明の目的に適うことを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0010】
すなわち本発明は、
[1]かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程と、
かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程と、
かつおの中骨を、80〜150℃の温度範囲により前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性して熱水抽出する工程と、
前記熱水抽出の工程後に、不溶分を除去してゼラチン抽出溶液を得る工程と、
前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを混合し、30〜70℃の温度範囲により30分〜24時間反応させる蛋白質分解工程と、
前記蛋白質分解酵素を失活させる工程と、
を少なくとも有する、
下記(1)〜(3)のアミノ酸配列
(1)Gly-Pro-Ile-Gly-Pro
(2)Gly-Pro-Ile-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(3)Gly-Phe-Xaa-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(上記Xaaは、4−ヒドロキシプロリンを示す)
を有する三種類のペプチドを少なくとも含む、コラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0011】
また本発明の一つは、
[2]塩基性水溶液に浸漬する工程に使用する塩基性水溶液が、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを0.01〜1Nの濃度範囲で含む水溶液である、上記[1]に記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0012】
また本発明の一つは、
[3]前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程に使用する酸性水溶液が、
塩酸、硫酸および酢酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを0.01〜1Nの濃度範囲で含む水溶液である、上記[1]または[2]に記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0013】
また本発明の一つは、
[4]前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程が、
−5〜40℃の温度範囲かつ1日〜100日の期間の範囲で実施される、上記[1]〜[3]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0014】
また本発明の一つは、
[5]前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程が、
前記塩基性水溶液の一部または全部を除去し、新たな塩基性水溶液を追加する工程を含む、上記[1]〜[4]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0015】
また本発明の一つは、
[6]前記かつおの中骨を、80〜150℃の温度範囲により前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性して熱水抽出する工程の前に、
親水性有機溶媒を含む水溶液に前記かつおの中骨を浸漬する工程を含む、上記[1]〜[5]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0016】
また本発明の一つは、
[7]前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを混合し、30〜70℃の温度範囲により30分〜24時間反応させる蛋白質分解工程に使用する蛋白質分解酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼM、プロテアーゼP、ウマミザイムG、パンチターゼMP、アロアーゼAP−10、コラゲナーゼS1、トリプシン、アルカラーゼ、ニュートラーゼおよびプロタメックスからなる群より選ばれる少なくとも一つである、上記[1]〜[6]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0017】
また本発明の一つは、
[8]前記蛋白質分解酵素の失活工程が、80〜150℃の温度範囲により前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素との混合液を加熱する工程を含む、上記[1]〜[7]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0018】
また本発明の一つは、
[9]前記蛋白質分解酵素の失活工程により得られた蛋白質分解酵素による蛋白質分解後のゼラチン抽出溶液から固形分を単離する工程を含む、上記[1]〜[8]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法を提供するものである。
【0019】
また本発明は、
[10]上記[1]〜[9]のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法により得られたコラーゲンペプチドを提供するものである。
【0020】
また本発明の一つは、
[11]上記[10]に記載のコラーゲンペプチドを含む食品添加物を提供するものである。
【0021】
また本発明の一つは、
[12]上記[10]に記載のコラーゲンペプチドを含む飼料を提供するものである。
【0022】
また本発明の一つは、
[13]上記[10]に記載のコラーゲンペプチドを含む血圧降下剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の製造方法により得られるコラーゲンペプチドは血圧降下性を有する。このため本製造方法により得られるコラーゲンペプチドは血圧降下剤としての応用が可能となる他、食品添加物、家畜や養殖魚等の飼料としても有用である。
また本発明の製造方法では効率よくかつおの中骨のコラーゲンからゼラチンを得ることができる。このため効率よくコラーゲンペプチドを製造することができる。
また本発明の製造方法に使用するコラーゲンはかつおの中骨に由来するものである。一定の原料を使用するため一定品質のコラーゲンペプチドを提供することができる。
さらに本発明の製造方法は、これまで産業廃棄物として扱われていたかつお節製造過程において排出されるかつおの中骨の有効利用に資するものであり、かつお節工場からの廃棄物を減少させることができ、容易に一定品質のコラーゲンペプチドを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】図1は、加熱時間と温度を変化させた場合のゼラチンの抽出率を示すグラフである。
【図2】図2は、ラットにコラーゲンペプチドを与えたときの血圧の経時変化を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の製造方法はかつおの中骨を使用するものである。
かつおの中骨とは、例えば、かつお節の製造工程において排出される魚類としてのかつおの体内を通る背骨をいう。この様なかつおの中骨はかつお節の製造現場等において容易に入手することができる。
前記かつお節の製造現場等により入手したかつお加工残渣から前記かつおの中骨を取り出し、水洗等を行うことにより前記かつおの中骨に付着している血合肉、血液等を除去することによりかつおの中骨を得ることができる。
【0026】
次にかつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程について説明する。
最初に前記かつおの中骨を3〜20cmの範囲に切断する。取り扱い性の面からこの範囲は5〜15cmの範囲であれば好ましい。
なおかつおの中骨の切断は必要に応じて実施すればよく、切断されていないかつおの中骨を使用することも可能である。
【0027】
またかつおの中骨を切断した場合には、前記切断されたかつおの中骨を水洗することが好ましい。
【0028】
次に前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する。
本発明に使用する塩基性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム等の水溶液等が挙げられる。
前記塩基性水溶液の濃度は、前記かつおの中骨に付着している蛋白質を効率よく除去する観点から0.01〜1Nの範囲であることが好ましく、0.05〜0.5Nの範囲であれば好ましい。
【0029】
使用する塩基性水溶液の量は、前記かつおの中骨100重量部に対し、前記かつおの中骨に付着している蛋白質を効率よく除去する観点から20〜5000重量部の範囲であることが好ましく、500〜5000重量部の範囲であればより好ましく、800〜1500重量部の範囲であれば、さらに好ましい。
【0030】
使用する塩基性水溶液の温度は、−5〜40℃の範囲であることが好ましく、−5〜15℃の範囲がより好ましく、−5〜10℃の範囲であればさらに好ましい。
前記温度範囲が−5℃以上の場合には前記塩基性水溶液が凍結することを防止することができ、前記温度範囲が40℃以下の場合には比較的高品質のコラーゲンペプチドを得ることができる。
【0031】
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する時間は、1日〜100日の期間が好ましく、一週間〜90日の期間がより好ましく、2週間〜60日の期間であればさらに好ましい。
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する時間が1日以上であれば一定品質のコラーゲンペプチドが得られやすく、また前記時間が100日以下であれば本発明に使用するコラーゲンの品質が低下することを防止することができる。
【0032】
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬している間は、前記塩基性水溶液を攪拌することもできる。前記塩基性水溶液を攪拌する方法としては、例えば、機械式攪拌機により前記塩基性水溶液を攪拌する方法、磁気式攪拌機により前記塩基性水溶液を攪拌する方法、窒素等の気体を前記塩基性水溶液に吹き込んで攪拌する方法、前記かつおの中骨と塩基性水溶液を格納する容器を振盪する方法等が挙げられる。
【0033】
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する際には、一定期間経過後、前記塩基性水溶液の一部または全部を排出して除き、また新たな塩基性水溶液を加えることができる。
この様に新たな塩基性水溶液を加えることにより、効率よく不要な蛋白質を前記かつおの中骨から除去することができる。
【0034】
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程の終了後、前記塩基性水溶液を排出して除く。前記塩基性水溶液により処理したかつおの中骨を水洗する。
前記水洗は、水洗後の水溶液のpHが5.0〜9.0の範囲になるまで実施することが好ましく、6.0〜8.0の範囲になるまで実施することが好ましい。
【0035】
次にかつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程について説明する。
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する。
本発明に使用する酸性水溶液としては、例えば、塩酸、硫酸、酢酸等の水溶液等が挙げられる。
前記酸性水溶液の濃度は、前記かつおの中骨を効率よく脱灰する観点から0.01〜2Nの範囲であることが好ましく、0.05〜1.0Nの範囲であれば好ましい。
【0036】
使用する酸性水溶液の量は、前記かつおの中骨100重量部に対し、前記かつおの中骨を効率よく脱灰する観点から20〜5000重量部の範囲であることが好ましく、500〜5000重量部の範囲であればより好ましく、800〜1500重量部の範囲であれば、さらに好ましい。
【0037】
使用する酸性水溶液の温度は、−5〜40℃の範囲であることが好ましく、−5〜15℃の範囲がより好ましく、−5〜10℃の範囲であればさらに好ましい。
前記温度範囲が−5℃以上の場合には前記酸性水溶液が凍結することを防止することができ、前記温度範囲が40℃以下の場合には比較的高品質のコラーゲンペプチドを得ることができる。
【0038】
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する時間は、1日〜100日の期間が好ましく、一週間〜90日の期間がより好ましく、2週間〜60日の期間であればさらに好ましい。
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する時間が1日以上であれば一定品質のコラーゲンペプチドが得られやすく、また前記時間が100日以下であれば本発明に使用するコラーゲンの品質が低下することを防止することができる。
【0039】
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬している間は前記酸性水溶液を攪拌することもできる点は先に説明した前記塩基水溶液における攪拌の場合と同様である。
【0040】
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する際には、一定期間経過後、前記塩酸性水溶液の一部または全部を排出して除き、また新たな酸性水溶液を加えることができる。
この様に新たな酸性水溶液を加えることにより、効率よく前記かつおの中骨の脱灰を進めることができる。
【0041】
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程の終了後、前記酸性水溶液を排出して除く。続いて必要に応じて前記酸性水溶液により処理したかつおの中骨を水洗する。
前記水洗は、水洗後の水溶液のpHが4.0〜7.0の範囲になるまで実施することが好ましく、5.0〜7.0の範囲になるまで実施することが好ましい。
【0042】
次に必要に応じて前記かつおの中骨を水中で加熱する前に、親水性有機溶媒を含む水溶液に前記かつおの中骨を浸漬する工程を実施することもできる。
本発明に使用する親水性有機溶媒としては、例えば、エタノール、イソプロパノール、エチレングリコール、プロピレングリコ−ル等が挙げられる。
前記親水性有機溶媒としては、安全性の観点からエタノールを使用することが好ましい。
また前記親水性有機溶媒を含む水溶液における親水性有機溶媒の濃度は、5〜50重量%の範囲であることが好ましく、10〜40重量%の範囲であることがより好ましい。
濃度が5〜50重量%の範囲であれば、効率よく前記かつおの中骨を脱脂することができる。
【0043】
使用する親水性有機溶媒を含む水溶液の温度は、−5〜40℃の範囲であることが好ましく、−5〜15℃の範囲がより好ましく、−5〜10℃の範囲であればさらに好ましい。
前記温度範囲が−5℃以上の場合には前記親水性有機溶媒を含む水溶液が凍結することを防止することができ、前記温度範囲が40℃以下の場合には比較的高品質のコラーゲンペプチドを得ることができる。
【0044】
前記かつおの中骨を親水性有機溶媒を含む水溶液に浸漬する時間は、1日〜100日の期間が好ましく、5日〜30日の期間がより好ましく、1週間〜2週間の期間であればさらに好ましい。
前記かつおの中骨を親水性有機溶媒を含む水溶液に浸漬する時間が1日以上であれば一定品質のコラーゲンペプチドが得られやすく、また前記時間が100日以下であれば本発明に使用するコラーゲンの品質が低下することを防止することができる。
【0045】
前記かつおの中骨を親水性有機溶媒を含む水溶液に浸漬している間は前記親水性有機溶媒を含む水溶液を攪拌することもできる点は先に説明した前記塩基水溶液における攪拌の場合と同様である。
【0046】
この前記かつおの中骨を親水性有機溶媒を含む水溶液に浸漬する工程を実施することにより、かつおの中骨から得られるコラーゲンの量を増加させることができる。
【0047】
次に前記かつおの中骨を加熱して、前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性して熱水抽出する工程について説明する。
得られたかつおの中骨100重量部に対し、通常20〜5000重量部の範囲の水を使用する。使用する水の量は500〜5000重量部の範囲であれば好ましく、800〜1500重量部の範囲であれば、より好ましい。
【0048】
次に前記かつおの中骨と水を入れた容器を加熱し、前記容器の内部を80〜150℃の温度範囲に加熱する。
容器の内部温度を100℃以上に加熱する際には、容器の内部を密閉することのできる圧力容器を使用し、前記容器の内部を1気圧以上とすればよい。
前記温度は、水が存在する状態で100〜150℃の範囲が好ましく、110〜130℃の範囲であればより好ましい。
【0049】
また前記かつおの中骨と水との加熱時間は、10分間〜6時間の範囲であることが好ましく、30分間〜3時間の範囲であればより好ましく、1時間〜3時間加熱することが好ましい。
前記かつおの中骨と水とを加熱することにより、前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性させることができる。
【0050】
次に濾過、遠心分離、デカント等の分離手段により、前記コラーゲンのゼラチン水溶液から不溶物を除去する。
前記不溶物除去工程により、かつおの中骨のコラーゲン由来のゼラチン水溶液が得られる。前記ゼラチンはかつおの中骨のコラーゲンが熱により変性されたものである。
【0051】
次に前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを混合して反応させる蛋白質分解工程について説明する。
先の工程により得られた前記かつおの中骨のコラーゲン由来のゼラチン水溶液に対して、水酸化ナトリウム水溶液等の塩基性水溶液または塩酸水溶液等の酸性水溶液を添加することにより、前記ゼラチン水溶液のpHの範囲を蛋白質分解酵素が最もよく機能するpHの範囲に調節する。
前記ゼラチンの重量に対して0.1〜10重量%、好ましくは0.5〜3重量%の蛋白質分解酵素を添加する。
【0052】
本発明に使用する蛋白質分解酵素としては、例えば、プロテアーゼA(天野製薬社製)、プロテアーゼM(天野製薬社製)、プロテアーゼP(天野製薬社製)、ウマミザイムG(天野製薬社製)、パンチターゼMP(ヤクルト薬品工業社製)、アロアーゼAP−10(ヤクルト薬品工業社製)、コラゲナーゼS1(新田ゼラチン社)、トリプシン、アルカラーゼ(ノボザイムズジャパン社製)、ニュートラーゼ(ノボザイムズジャパン社製)、プロタメックス(ノボザイムズジャパン社製)等を挙げることができる。
前記蛋白質分解酵素は一種もしくは二種以上を使用することができる。
【0053】
前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを反応させる温度は、30〜60℃の範囲が好ましく、35〜55℃の範囲であればより好ましい。前記温度が30〜60℃の範囲の場合には効率よく蛋白質を分解することができる。
【0054】
また前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを反応させる時間は、30分間〜1週間の範囲が好ましく、1〜48時間の範囲がより好ましく、2〜24時間の範囲であればより好ましい。
前記時間が30分間〜一週間の範囲であれば一定品質のコラーゲンペプチドが得られることから好ましい。
【0055】
次に前記蛋白質分解酵素を失活させる工程について説明する。
前記ゼラチン抽出溶液を蛋白質分解酵素により分解した後に、前記蛋白質分解酵素を失活させる工程を実施する。
この失活工程を実施するいことにより一定品質のコラーゲンペプチドを提供することができる。
前記蛋白質分解酵素を失活させるためには、例えば、前記蛋白質分解酵素を含む溶液を80〜150℃の範囲の温度で、5分〜2時間の範囲で前記蛋白質分解酵素を含む溶液を加熱すればよい。
【0056】
上記に説明した製造方法により、コラーゲンペプチドを水溶液として得ることができる。
前記コラーゲンペプチド水溶液から水を除くことにより、前記コラーゲンペプチドを固体として得ることもできる。
固体のコラーゲンペプチドを得る方法としては、例えば、前記コラーゲンペプチド水溶液を常圧または減圧下に蒸留する工程、凍結乾燥により乾燥する工程、スプレードライ等の散布により乾燥する工程等を実施する方法等が挙げられる。
【0057】
本発明の製造方法により得られたコラーゲンペプチドは、少なくとも下記のアミノ酸配列を有する三種類のペプチド成分を含有する。
(1)Gly-Pro-Ile-Gly-Pro
(2)Gly-Pro-Ile-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(3)Gly-Phe-Xaa-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(上記Xaaは、4−ヒドロキシプロリンを示す)
なお上記のペプチド成分(1)〜(3)は、配列表に記載した1〜3にそれぞれ対応する。
【0058】
本発明の製造方法により得られたコラーゲンペプチドには降血圧作用を有することから、血圧降下剤用途に応用できる他、食品添加剤、家畜、魚介類等の飼料としても活用することができる。
【0059】
次に実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。
【実施例1】
【0060】
[コラーゲンペプチドの製造]
かつお節工場におけるかつお加工残渣から中骨を水洗することによって、前記中骨に付着した血合肉および血液を除去した。
本発明に使用したかつおの中骨の成分を表1に示す。また参考にはまちの中骨の成分も併記する。
表1に示される様に、魚の中骨の成分は魚類の種類により大きく変動する。
【0061】
【表1】

なお表1中、Hyproとは4−ヒドロキシプロリンを意味する。また各成分の分析についてはJIS K 6503に記載の方法に準じて行った。
【0062】
かつおの中骨の重量に対して10倍量の0.1N(規定)水酸化ナトリウム水溶液を容器に入れ、前記容器の中に前記かつおの中骨を浸漬した。
前記かつおの中骨と水酸化ナトリウム水溶液を入れた容器を冷蔵庫に入れて1カ月間静置して、前記かつおの中骨に付着した蛋白質を除去した。
【0063】
前記容器内部の水酸化ナトリウム水溶液を捨てて、水により前記かつおの中骨を洗浄した。容器内の水が中性になるまで水洗を繰り返した。
次に同様にかつおの中骨の重量に対して10倍量の0.5N(規定)塩酸水溶液を容器に入れ、前記容器の中に前記かつおの中骨を浸漬した。
前記かつおの中骨と塩酸水溶液を入れた容器を冷蔵庫に入れて1カ月間静置して、前記かつおの中骨の脱灰を行った。
【0064】
前記容器内部の塩酸水溶液を捨てて、水により前記かつおの中骨を洗浄した。容器内の水が中性になるまで水洗を繰り返した。
次に前記かつおの中骨の重量に対し10倍量の蒸留水を加えて前記容器を密閉し、80〜120℃の温度範囲で、30分間〜2時間の間加熱して熱水抽出を行った。
【0065】
図1は、加熱時間と温度を変化させた場合のゼラチンの抽出率を示すグラフである。
かつおの中骨に含まれる4−ヒドロキシプロリンを基準として、抽出前後の4−ヒドロキシプロリンを定量して抽出前後の変化を調べることにより図1の結果を得た。
図1の参照符号1は2時間加熱した場合を示し、参照符号2は1時間加熱した場合を示す。
図1に示される様に、熱水抽出の温度は105〜125℃の範囲で行い、熱水抽出の時間は2時間以上行うことが最も好ましい。
【0066】
濾過により不溶分を除去してかつおの中骨コラーゲン由来のゼラチン水溶液を得た。
得られたゼラチンの物性を表2に示す。また得られたゼラチンのアミノ酸組成を表3に示す。
【0067】
【表2】

表2に示される各項目の試験は、JIS K 6503に記載の試験方法に準じて行った。またタンパク質定量方法はケルダール法によるものである。
【0068】
本発明に使用するゼラチンは、水分(g/100g)が8.5〜20の範囲であることが好ましい。また蛋白質(g/100g)は80〜95の範囲であることが好ましい。またゲル強度(g)は50〜200の範囲であることが好ましい。また融点(℃)は0〜20℃の範囲であることが好ましい。また粘度(mPa・s)は0.1〜3.0の範囲であることが好ましい。
【0069】
【表3】

なお表3中、Hyproは4-ヒドロキシプロリンを示す。
【0070】
前記ゼラチン水溶液を40〜50℃まで冷却後、1N水酸化ナトリウム水溶液および1N塩酸水溶液を用いて、蛋白質分解酵素が最もよく働くpHの範囲に前記ゼラチン水溶液の水素イオン濃度を調整した。
次に前記ゼラチン水溶液を10mlガラス瓶に取り、前記ゼラチンの重量に対して1重量%の蛋白分解酵素を添加した。
50℃の温度で5時間加熱してゼラチンの分解反応を行った。
次に反応溶液を沸騰水浴中で10分間加熱し、前記蛋白質分解酵素を失活させてコラーゲンペプチド水溶液を得た。
使用した蛋白質分解酵素(プロテアーゼ)の種類を表4にまとめた。
【0071】
【表4】

【0072】
[ペプチド化率]
得られたコラーゲンペプチド水溶液に対して10,000Gで10分間遠心分離を行い、前記コラーゲンペプチド水溶液に含まれる微粒子を除去した。
次に分画分子量5,000の限外濾過装置により濾過を行い、前記コラーゲンペプチド水溶液からペプチド画分を回収した。
前記限外濾過装置による濾過操作の前後の水溶液に含まれるペプチド含有量をビウレット法により測定してペプチド化率を求めた。ペプチド化率の結果を表4に示す。
【0073】
[コラーゲンペプチドのACE阻害活性]
前記現在濾過により得られたペプチド溶液のACE阻害活性について、Cushmanらの方法(Biochem,Phjamacl. 20 1637(1971))に従って測定した。
まずウサギ肺アセトンパウダー(シグマ社製)1gに10mlの200mMホウ酸緩衝液(pH8.3)を加え、4℃にて攪拌し、10,000Gで10分間遠心分離を行った。
遠心分離により得られた上清を前記ホウ酸緩衝液を用いて5倍に希釈した。
【0074】
次に試験管に63.3 mg/ml、12.7 mg/ml、および2.5 mg/mlの濃度にホウ酸緩衝液にとかしたコラーゲンペプチドサンプル30μLならびに基質溶液(ヒドロキシプロリン−ヒスチジン−ロイシン、シグマ社製)を7.6mMになるように、608mMのNaClを含むホウ酸緩衝液に溶かしたもの)を250μL加えた。
【0075】
37℃で5分予備加熱後、ACE溶液を100μL加えて攪拌後、20分間インキュベートした。
比較としてACE溶液の前に1N−HClを250μL加えたものを用いた。
反応後、1N−HClを250μL加えて反応を停止し、1.5mlの酢酸エチルを加え、よく攪拌して生成した馬尿酸を抽出し、1,500xgで10分遠心した。
上層を1ml取って新たな試験管に移し、遠心エバポレーターで溶媒を留去し、さらに真空デシケーターで十分溶媒を除いた後、水4ml加えてよく攪拌して馬尿酸を溶解し、228nmで吸光度を測定した。
【0076】
プロテアーゼを含まない比較用サンプルの吸光度を100とし、ブランクの吸光度を0として相対活性を算出した。活性を50%阻害する濃度を回帰曲線より算出し、50%阻害濃度(IC50(mg/ml))を求めた。結果を表4に示す。
【0077】
[SHRに対する短期投与による血圧降下作用]
蛋白質分解酵素としてプロテアーゼMを用いて調製したコラーゲンペプチド水溶液を乾燥させてコラーゲンペプチド粉末を得た。
前記コラーゲンペプチド粉末を自然発症高血圧モデルラット(SHR)に投与することにより、短期投与における血圧降下作用を評価した。
【0078】
4週齢の雄のSHR18頭は日本チャールスリバー社より購入し、16週齢まで飼育した。
試験当日の朝、ソフトロン社製の血圧測定装置BP−98Aを用いてTail−Cuff法によりSHRの血圧を測定し、血圧の高いもの12頭を選抜して試験に用いた。
選抜した12頭を平均血圧が同じになるように6頭ずつコラーゲンペプチド粉末非投与群とコラーゲンペプチド粉末投与群に分けた。
【0079】
コラーゲンペプチド粉末非投与群には1mlの生理食塩水を、コラーゲンペプチド粉末投与群には体重1kgあたり100mgのコラーゲンペプチドを含有する生理食塩水を経口ゾンデを用いて胃内投与した。
胃内投与後0時間、1.5時間、3時間、4.5時間および24時間後に同様に血圧を測定し、最高血圧(SBP)、最低血圧(DBP)、平均血圧(MBP)を求めた。
結果を図2に示す。図2において参照符号4の丸印(コラーゲンペプチド粉末非投与群)と参照符号3の四角印(コラーゲンペプチド粉末投与群)がMBPを示し、各MBPの上に記載される横線がSBP、各MBPの下に記載される横線がDBPである。
【0080】
かつおの中骨に含まれるコラーゲンを用いて調製したコラーゲンペプチドを経口投与することにより、投与3時間後のSBP、DBP、MBPがいずれも有意に降下した。
4.5時間後では低下傾向は見られたが有意ではなかった。24時間後にはペプチド投与の効果は消失した。
【0081】
かつおの中骨に含まれるコラーゲンを用いて調製したコラーゲンペプチドはACE阻害活性が高く、経口的に摂取すると血圧を下げる効果があった。
【0082】
[コラーゲンペプチドのアミノ酸配列]
上記血圧降下作用の確認されたコラーゲンペプチドを、ODSカラムを使用した高速液体クロマログラフィー装置を使用して分画、精製することにより、次の三種類のペプチドを単離した。
(1)Gly-Pro-Ile-Gly-Pro
(2)Gly-Pro-Ile-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(3)Gly-Phe-Xaa-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(上記Xaaは、4−ヒドロキシプロリンを示す)
なお上記(1)〜(3)のペプチドは、配列表の1〜3にそれぞれ対応する。
次に上記(1)〜(3)のペプチドを合成して、上記のコラーゲンペプチドのACE阻害活性を調べた場合と全く同様にして、各ペプチドのACE阻害活性を調べた。
結果を表5に示す。
【0083】
【表5】

【実施例2】
【0084】
実施例1の場合は、かつおの中骨と水酸化ナトリウム水溶液を入れた容器を冷蔵庫に入れて1カ月間静置して、前記かつおの中骨に付着した蛋白質を除去した。
これに対し、実施例2の場合には、前記容器を傾けて前記水酸化ナトリウム水溶液を排出し、実施例1と同じ濃度の水酸化ナトリウム水溶液を加えた。この操作を4〜5日置きに繰り返した他は実施例1の場合と全く同じ操作を実施した。
実施例1の場合にはコラーゲンの回収率が80%以上であったのに対し、実施例2の場合はコラーゲンの回収率は90%以上であった。
【実施例3】
【0085】
実施例2の場合で、前記かつおの中骨と塩酸水溶液を入れた容器を冷蔵庫に入れて1カ月間静置して、前記かつおの中骨の脱灰を行い、前記容器内部の塩酸水溶液を捨てて、水により前記かつおの中骨を洗浄した。容器内の水が中性になるまで水洗を繰り返した後に、20%エタノール水溶液に前記かつおの中骨を浸漬して10日間静置した。
それ以外は実施例2の場合と全く同じ操作を実施した。
実施例2の場合にはコラーゲンの回収率が90%以上であったのに対し、実施例3の場合はコラーゲンの回収率は95%以上であった。
【0086】
[比較例1]
上記血圧降下作用の確認されたコラーゲンペプチドを、ODSカラムを使用した高速液体クロマログラフィー装置を使用して分画、精製することにより、別途次のアミノ酸配列を有するペプチド(4)を単離した。
(4)Gly-Phe-Xaa-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
しかしながらこのペプチド(4)のACE阻害活性IC50(μM)は5153であり、活性は認められないことが判明した。
なお上記ペプチド(4)は配列表の4に記載したものと同じである。またXaaは4−ヒドロキシプロリンを示す。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本発明の製造方法によれば血圧降下作用のあるコラーゲンペプチドを安定して供給することができる。このコラーゲンペプチドを血圧降下用製剤原料、食品添加剤、飼料添加剤等に広く応用することができる。
【符号の説明】
【0088】
1 2時間加熱した場合
2 1時間加熱した場合
3 コラーゲンペプチドを投与した場合
4 コラーゲンペプチドを投与しなかった場合

【特許請求の範囲】
【請求項1】
かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程と、
かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程と、
かつおの中骨を、80〜150℃の温度範囲により前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性して熱水抽出する工程と、
前記熱水抽出の工程後に、不溶分を除去してゼラチン抽出溶液を得る工程と、
前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを混合し、30〜70℃の温度範囲により30分〜24時間反応させる蛋白質分解工程と、
前記蛋白質分解酵素を失活させる工程と、
を少なくとも有する、
下記(1)〜(3)のアミノ酸配列
(1)Gly-Pro-Ile-Gly-Pro
(2)Gly-Pro-Ile-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(3)Gly-Phe-Xaa-Gly-Leu-Xaa-Gly-Pro
(上記Xaaは、4−ヒドロキシプロリンを示す)
を有する三種類のペプチドを少なくとも含む、コラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項2】
塩基性水溶液に浸漬する工程に使用する塩基性水溶液が、
水酸化ナトリウム、水酸化カリウムおよび水酸化カルシウムからなる群より選ばれる少なくとも一つを0.01〜1Nの濃度範囲で含む水溶液である、請求項1に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項3】
前記かつおの中骨を酸性水溶液に浸漬する工程に使用する酸性水溶液が、
塩酸、硫酸および酢酸からなる群より選ばれる少なくとも一つを0.01〜1Nの濃度範囲で含む水溶液である、請求項1または2に記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項4】
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程が、
−5〜40℃の温度範囲かつ1日〜100日の期間の範囲で実施される、請求項1〜3のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項5】
前記かつおの中骨を塩基性水溶液に浸漬する工程が、
前記塩基性水溶液の一部または全部を除去し、新たな塩基性水溶液を追加する工程を含む、請求項1〜4のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項6】
前記かつおの中骨を、80〜150℃の温度範囲により前記かつおの中骨に含まれるコラーゲンをゼラチンに変性して熱水抽出する工程の前に、
親水性有機溶媒を含む水溶液に前記かつおの中骨を浸漬する工程を含む、請求項1〜5のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項7】
前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素とを混合し、30〜70℃の温度範囲により30分〜24時間反応させる蛋白質分解工程に使用する蛋白質分解酵素が、プロテアーゼA、プロテアーゼM、プロテアーゼP、ウマミザイムG、パンチターゼMP、アロアーゼAP−10、コラゲナーゼS1、トリプシン、アルカラーゼ、ニュートラーゼおよびプロタメックスからなる群より選ばれる少なくとも一つである、請求項1〜6のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項8】
前記蛋白質分解酵素の失活工程が、80〜150℃の温度範囲により前記ゼラチン抽出溶液と蛋白質分解酵素との混合液を加熱する工程を含む、請求項1〜7のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項9】
前記蛋白質分解酵素の失活工程により得られた蛋白質分解酵素による蛋白質分解後のゼラチン抽出溶液から固形分を単離する工程を含む、請求項1〜8のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載のコラーゲンペプチドの製造方法により得られたコラーゲンペプチド。
【請求項11】
請求項10に記載のコラーゲンペプチドを含む食品添加物。
【請求項12】
請求項10に記載のコラーゲンペプチドを含む飼料。
【請求項13】
請求項10に記載のコラーゲンペプチドを含む血圧降下剤。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−244930(P2012−244930A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−118536(P2011−118536)
【出願日】平成23年5月26日(2011.5.26)
【出願人】(592134583)愛媛県 (53)
【出願人】(501168814)独立行政法人水産総合研究センター (103)
【出願人】(590006398)マルトモ株式会社 (23)
【Fターム(参考)】