説明

かばん用把手

【課題】 かばん本体の把手取付面(4) の裏面に添設させる裏板(1) と、裏板(1) の両端に把手取付面(4) を介して固着させる一対の固定台(2) と、固定台(2)間に介在される把持部(3) とからなり、把持部(3) の両端に設けた腕部の長孔(30)を固定台(2) 内に設けた軸支部材に相対移動可能に係合させて、把持部(3) を固定台(2) に対して進退自在に取り付けるかばん用把手に関し、把持部(3) の固定台(2) への取付を容易にし且不用意な脱落を防止すること。
【解決手段】 前記腕部は、把持部(3) から斜め下方に延長並設される一対の弾性材料からなる扁平な板状腕(30)とし、前記軸支部材は、各板状腕(33)に設けられた長孔(30)内に突出してこれに係合する一対の係合突起(22)とし、裏板(1) には把手取付面(4) を介して固定台(2) 内に突出する一対の凸部(12)を設け、凸部(12)は係合突起(22)に係合させた一対の板状腕(33)間に略接触状態に位置するようしたこと。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【考案の属する技術分野】
この考案はかばん用把手、特に、書類入れかばん等に付属させるかばん用把手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
書類入れかばん等に付属させる把手(H) は、一般に、図5に示すように、かばん本体の把手取付面(4) の裏面に添設させる裏板(1) と、前記裏板(1) の両端に把手取付面(4) を介してネジ止めされて把手取付面(4) の上面に固定される一対の固定台(2) と、前記一対の固定台(2) 間に介在される把持部(3) とから構成されている。
【0003】
特に、同図に示すもののように、把持部(3) の両端が、固定台(2) に対して進退自在に装着させる形式のものにおいては、かばん本体が載置状態にある時には、かばん本体からの把持部(3) の突出高さを低く維持することができるため、かばんの不使用状態においては把手(H) が邪魔にならず、見苦しくない。そして、かばん本体を携帯する際に、把持部(3) の中央部分を持ち上げると、把持部(3) の両端が、同図の二点鎖線に示すように、固定台(2) より進出して上方に突出し、把持部(3) は携帯時に握り易い突出高さとなる。
【0004】
このように、固定台(2) に対して進退自在に取り付けられている把持部(3) の両端には、腕部(31)が斜め下方に向かって突出しており、腕部(31)には、その突出方向に沿って長孔(30)が形成されている。
固定台(2) は、斜め上方に開放する中空体であり、その開放部相互が対向するように、把手取付面(4) の上面に取り付けられている。固定台(2) 内には、前記開放部から把持部(3) の腕部(31)を差し込んだ時に、長孔(30)を貫通し且腕部(31)を固定台(2) 内に抜止め状態に保持する軸支部材(20)が設けられている。前記軸支部材(20)は、長孔(30)の長手方向に相対移動可能であり、軸支部材(20)を長孔(30)のうち腕部(31)の基端部側の端縁に接するように位置させたときには、同図の実線で示すように、把持部(3) の両端は固定台(2) に対して最退行状態にあり、把持部(3) を上方に引っ張り上げて、軸支部材(20)を長孔(30)のうち腕部(31)の自由端部側の端縁に接するように位置させた時には、把持部(3) は、同図の二点鎖線に示すように、固定台(2) から上方に最も突出した状態となる。
【0005】
このように、把持部(3) の腕部(31)を進退自在に調節するために固定台(2) に設ける軸支部材(20)としては、例えば、図6に示すように、固定台(2) の両側面から相互に差し込んでなる一対のネジ軸(21a)(21b)が採用される。このものでは、固定台(2) の両側面部に透孔を設け、前記各透孔から、それぞれネジ軸(21a)(21b)を挿通させ、ネジ軸(21a) に形成された螺孔に、ネジ軸(21b) を螺合させて両者を一体とする構成である。この場合、把持部(3) の腕部(31)を固定台(2) に対して進退自在に取付けた後は軸支部材(20)が長孔(30)から不用意に外れる心配はないが、ネジ軸(21a)(21b)を別途用意しなければならない上に両者をネジ止めする作業が必要となり、部品点数が多くなるとともに組立作業が面倒であるという不都合がある。又、組立後の固定台(2) の両側面には、ネジ軸(21a)(21b)の頭部が露出する態様となり見苦しいものとなる。
【0006】
軸支部材(20)を構成する他の例としては、図7に示すように、腕部(31)を一対の板状腕(32)から構成し、その各々に上記したような長孔(30)を形成し、板状腕(32)を固定台(2) 内に差し込んだ時に各板状腕(32)に対して平行に位置する固定台(2) の構成壁の内面に、長孔(30)に係合する係合突起(22)を突設させる構成としても良い。係合突起(22)を、一対の板状腕(32)の長孔(30)にそれぞれ嵌め込むには、板状腕(32)の自由端部を相互に接近する方向に弾性変形させ、一対の板状腕(32)を対向する係合突起(22)の頂面間を挿通させる。係合突起(22)が長孔(30)に一致した時点で、板状腕(32)(32)は弾性復帰し、長孔(30)に係合突起(22)がそれぞれ抜止め状態に嵌め込まれることとなる。このものでは、一対の板状腕(32)を弾性変形させながら固定台(2) 内に嵌め込むだけで、把持部(3) を固定台(2) に進退自在で且つ抜止め状態に取付けることができるので、把持部(3) の固定台(2) への組付けが容易となる。又、固定台(2) の外面には何ら突出物が生じることがないので、美しい仕上がりとなる。
【0007】
【考案が解決しようとする課題】
上記のような従来の把持部(3) の両端に形成した一対の板状腕(32)と、固定台(2) の両側内面に突設させた係合突起(22)とを係合させることにより、把持部(3) を固定台(2) に組み付ける形式の把手(H) では、把持部(3) の固定台(2) への組み付けが容易である分、板状腕(32)は固定台(2) に設けた係合突起(22)から外れ易く、把持部(3) が固定台(2) から不用意に脱落してしまう不都合がある。板状腕(32)が係合突起(22)から不用意に脱出するのを防止するためには、図7に示すように、係合突起(22)を大きく形成しなければならず、これでは、板状腕(32)の自由端部を相互に接近する方向に弾性変形させても、係合突起(22)間を通過させにくく、板状腕(32)を固定台(2) 装着させにくいという問題が生じて来る。
【0008】
本考案は、『かばん本体の把手取付面の裏面に添設される裏板と、前記裏板の両端に前記把手取付面を介して固着させることにより前記把手取付面の上面に固定される一対の固定台と、前記固定台間に介在される把持部とからなり、前記把持部の両端から延長させた腕部に形成した長孔に、前記固定台内に設けられた水平方向に延び且前記長孔に対して相対移動可能な軸支部材を貫通させることにより前記把持部を前記固定台に対して進退自在に取り付ける形式のかばん用把手』
において、前記把持部を前記固定台内に取付け易く且不用意に脱落することがないようにすることを課題とする。
<1項>
【0009】
【課題を解決するための手段】
前述した課題を解決するために講じた本考案の解決手段は、『前記腕部は、弾性材料からなり且つ前記軸支部材の軸線方向に扁平な一対の板状腕とするとともに、前記把持部の両端から斜め下方に向かって延長並設されるものとし、前記軸支部材は、前記各板状腕に設けられた前記長孔内に突出してこれに係合する一対の係合突起とし、前記裏板の上面の両端近傍部分には前記把手取付面を介してその上方に突出させる凸部を設け、前記凸部は前記把手取付面の上面に固定させる前記固定台内に収容されるとともに、前記係合突起が前記長孔に係合した状態にある前記一対の板状腕間に略接触状態に位置するように設定されている』ことである。
【0010】
上記解決手段はつぎのように作用する。
把持部と固定台と裏板とからなる把手をかばん本体に取付けるには、まず、把持部の両端にそれぞれ設けられた一対の板状腕を、その自由端部側が相互に接近するように強制的に弾性変形させながら、前記固定台内に差し込む。前記一対の板状腕は前記係合突起間を通過し、板状腕に形成されている長孔が前記係合突起に一致した時点で、前記板状腕は弾性復帰し、前記長孔の一部に前記係合突起がそれぞれ嵌め込まれた状態に係合される。これにより、前記把持部の両端に固定台が抜止め状態に連結された態様となる。
【0011】
前記長孔を例えば長円形とし、係合突起を例えば前記長孔の短径に略一致する直径の円柱状としておけば、前記係合突起は、前記長孔内を、その長手方向に移動可能となる。前記長孔の周縁のうち、前記板状腕の自由端側の端縁が前記係合突起に当接したときに前記把持部は固定台から最大進出状態となり、前記板状腕の基端部側に位置する端縁が前記係合突起に当接したときに、前記把持部は固定台に対して最大退行状態となる。尚、この最大退行状態のときに、前記板状腕全体が前記固定台内に収容されるように両者の寸法関係を設定しておけば、把持部を退行させた状態において、前記固定台間に板状腕が露出することがないので、かばん本体が全体的に見栄えのよいものとなる。
【0012】
上記したように把持部の両端に連結された状態の固定台を、前記把手取付面を介して、その裏面に添接させた裏板の両端に固着させる。このとき、把手取付面の上方には前記裏板に設けた凸部が突出しており、前記固定台は前記凸部を収容した状態に前記把手取付面上に固着されることとなる。
前記凸部の大きさ形状は、固定台内の係合突起に長孔が係合した状態にある一対の板状腕間に略接触状態に位置するように設定されているから、この凸部の存在により、前記両板状腕の内方への移動が阻止され、前記板状腕と係合突起との係合代が少なくてもこの部分の係合が不用意に解除されることがない。言い換えれば、前記板状腕が前記固定台から不用意に抜け外れることがない。
【0013】
前記係合代は、前記板状腕と前記凸部との摺動間隙よりも大きければ良いものであるから、この係合代を少なく設定することができる。これにより、板状腕を前記固定台内に差し込んで抜止め状態に組み込む作業が容易となる。
【0014】
【考案の効果】
本考案は、上記構成であるから次の特有の効果を有する。
一対の板状腕の自由端部が接近するように弾性変形させながら前記板状腕を固定台内に差し込むだけで、板状腕に設けた長孔が固定台内に設けられた係合突起にそれぞれ係合することにより、前記板状腕は固定台に対して進退自在で且抜止め状態に取付けることができ、この固定台を、前記把手取付面を介して、その裏面に添接させた裏板の両端にネジ止め等によって取り付けるだけで、かばん本体への把手の取付け作業が完了するから、かばん本体への把手の組み付け作業が容易となる。又、一旦固定台内に装着された板状腕は、前記把手取付面に取り付けられた状態においては、前記凸部の作用によって、不用意に係合突起から抜け落ちる不都合はないから、かばんの長期の使用に伴って、前記把持部の昇降動作を繰り返し行った場合でも、前記把持部の板状腕が固定台から外れて、把持部が固定台から抜け落ちて把手が破損するといった不都合はない。
<2項> 上記1項のものにおいて、『前記係合突起の、前記板状腕が差し込まれる側の部分は斜めに切り欠いて傾斜面とした』ものでは、前記固定台内に把持部の板状腕を差し込んだとき、前記板状腕の自由端部は前記固定台内に突出している係合突起にそれぞれ当接するが、この当接部分は傾斜面となっていることから、前記板状腕の自由端部は前記傾斜面に沿って両者間の間隔を狭めながら、前記係合突起間に差し込まれていくこととなる。このように、前記板状腕を固定台内に差し込むだけで、前記板状腕は相互に近接する方向に弾性変形しながら差し込まれていき、前記係合突起に長孔が一致した時点で前記板状腕は弾性復帰して係合突起に抜止め状態に係合することとなるから、前記板状腕の前記固定台内への装着がより一層容易なものとなる。
【0015】
尚、前記板状腕の自由端部にも、前記係合突起の傾斜面に沿うような傾斜部分を形成しておけば、前記板状体を、より一層滑らかに前記係合突起の傾斜面を滑らせながら差し込むことができる。
【0016】
【考案の実施の形態】
以下、本願考案の実施の形態を、図示例と共に説明する。
図1に示すように、本願考案の実施の形態の把手(H) は、上記した従来のものと同様、かばん本体の把手取付面(4) の裏面に添設させる裏板(1) と、前記裏板(1) の両端に把手取付面(4) を介して取付けられて把手取付面(4) の上面に固定させる一対の固定台(2) と、前記一対の固定台(2) 間に介在させる把持部(3) とから構成されている。
【0017】
まず、固定台(2) について説明する。
固定台(2) は、下方、及び把持部(3) の両端が差し込まれる一側方に開放する中空体であり、固定台(2) の他側方に向って降下する傾斜面からなる上面の内面中央からは、後述する裏板(1) に挿通させた取付けボルト(10)を螺合させるためのネジ筒部(23)が垂下されている。そして、前記ネジ筒部(23)よりも前記一側方寄りの中空部内には、図1及び図2に示すように、略円柱状の係合突起(22)が、固定台(2) の前後両面から内方にそれぞれ突設形成されている。尚、ここで「前後」とは、かばん本体に取付けた時に、かばん本体の前後に対応するものとし、係合突起(22)の頂面のうち、固定台(2) の前記一側方に対向する部分は、斜めに切り欠かれて、傾斜面(22a) が形成されている。
【0018】
次に、把持部(3) について説明する。
把持部(3) は、中実棒状体からなり、その両端には、図1、図2に示すように、一定の間隔をおいて前記前後方向に並列させられた一対の板状腕(33)が、斜め下方に向かって突出形成されている。一対の板状腕(33)の外面相互間の距離(L1)は、前記固定台(2) の前記前後両側面の内面間の距離(L2)に略一致しており、板状腕(33)の対向する内面相互間の距離(L3)は、係合突起(22)の頂面間の距離(L4)に略一致させている。
【0019】
板状腕(33)は、その自由端部が相互に接近する方向に弾性変形可能な材質により形成されており、係合突起(22)の前記頂面間の距離(L4)は、前記自由端部相互を接近させた状態の一対の板状腕(33)が共に通過可能な程度に設定されている。
尚、板状腕(33)の自由端部の外側面には、図2に示すように、内側の先端部に向って斜めに切欠かれて斜面(33a) が形成されている。
【0020】
又、図3に示すように、板状腕(33)には、その突出方向に沿って長辺が位置する長孔(30)がそれぞれ形成されており、長孔(30)の両端は、二点鎖線に示すように、係合突起(22)が丁度嵌り込む大きさの円弧状に形成されているとともに、両者間を繋ぐ通路部分の幅は、前記両端の円弧よりもやや狭く設定された変形長円形に形成されている。係合突起(22)が同図に示すように、板状腕(33)の基端部側の長孔(30)の端縁に当接したときが、固定台(2) に対する把持部(3) の最退行状態となり、このとき、図1の実線に示すように、板状腕(33)の全てが固定台(2) 内に収容されるように、板状腕(33)の突出長さは設定されているものとする。又、係合突起(22)が、板状腕(33)の自由端部側の長孔(30)の端縁に当接したときが、図1の二点鎖線に示すように、固定台(2) に対する把持部(3) の最進出状態となる。尚、長孔(30)の両端を繋ぐ前記通路部分は、上記したように、係合突起(22)の直径よりもやや狭く形成されていることから、係合突起(22)は、長孔(30)の両端間を自由に相対移動することはなく、把持部(3) を引っ張り上げる又は押し下げることにより、係合突起(22)を長孔(30)内で強制的に相対移動させることができる。これにより、把持部(3) の前記最退行状態又は最進出状態は維持されることとなる。
【0021】
最後に裏板(1) について説明する。
裏板(1) は、かばん本体の頂面に沿って形成される把手取付面(4) の裏面に添接させる板状体であり、把持部(3) の両端に固定台(2) を組み付けた時の全体の長さに略一致する長さに設定されており、その両端近傍には、前記取付けボルト(10)を挿通させるための挿通孔(11)がそれぞれ貫通しており、前記挿通孔(11)よりやや中央寄りには、凸部(12)がそれぞれ上方に突出した形状となっている。
【0022】
凸部(12)は、図4に示すように、固定台(2) のネジ筒部(23)よりも前記一側方寄りの中空部分に収容される大きさの断面長方形状体であり、その前後方向の幅は前記係合突起(22)の頂面間の距離(L4)よりも僅かに小さく設定されている。
この裏板(1) を把手取付面(4) の裏面に添接させたときに、前記挿通孔(11)に対応する把手取付面(4) の所定位置には第1挿通孔(41)が、凸部(12)に対応する所定位置には、第2挿通孔(42)がそれぞれ形成されている。
【0023】
これら裏板(1) 、固定台(2) 及び把持部(3) からなる把手(H) を、かばん本体の把手取付面(4) に取付けるには、まず、一対の板状腕(33)を固定台(2) 内に嵌め込んで、固定台(2) と把持部(3) とを一体化する。
板状腕(33)を固定台(2) の前記内面側の開放部から固定台(2) 内に差し込むと、板状腕(33)の自由端部に形成されている斜面(33a) が係合突起(22)の傾斜面(22a) に対向するとともにその上を滑り、板状腕(33)の自由端部を相互に近接する方向に弾性変形させながら、係合突起(22)の頂面間を通過していく。そして、板状腕(33)の長孔(30)に係合突起(22)が一致した時点で板状腕(33)は弾性復帰し、係合突起(22)が長孔(30)に嵌り込む。これにより、板状腕(33)は、固定台(2) に、抜止め状態に装着されることとなる このように、把持部(3) の両端の板状腕(33)にそれぞれ抜止め状態に装着されている固定台(2) を、把手取付面(4) を介して、裏板(1) にネジ止めする。
【0024】
このためには、把手取付面(4) の裏面に裏板(1) を、その凸部(12)が上面側となる姿勢で且裏板(1) の挿通孔(11)が把手取付面(4) の第1挿通孔(41)に、凸部(12)が第2挿通孔(42)に対応するように添接させるとともに、第2挿通孔(42)から凸部(12)を突出させる。そして、第1挿通孔(41)に、固定台(2) のネジ筒部(23)の螺孔が対応し且、把手取付面(4) の上面に突出させた凸部(12)が、固定台(2) 内におけるネジ筒部(23)よりも前記一側方寄りの前記中空部内に収容されるように、固定台(2) を把手取付面(4) の両端の所定位置にそれぞれ配設する。
【0025】
この配設位置で、挿通孔(11)及び第1挿通孔(41)に、取付けボルト(10)を挿通させると共にネジ筒部(23)の螺孔に螺合させる。取付けボルト(10)の締付けによって、固定台(2) は、把手取付面(4) の上面の前記位置にそれぞれ固定されることとなり、かばん本体への把手(H) の組付けが完了する。
凸部(12)は、上記したように、係合突起(22)の頂面相互間の距離(L4)よりも僅かに小さな幅に設定されていることから、凸部(12)は、係合突起(22)間に丁度嵌り込むと共に係合突起(22)の頂面に対して略接触状態に位置する態様となる。固定台(2) 内で弾性復帰し、長孔(30)に係合突起(22)が嵌め込まれた状態にある板状腕(33)の対向する内面相互間の距離(L3)は、上記したように、係合突起(22)の頂面間の距離(L4)に略一致させていることから、前記凸部(12)は、係合突起(22)の頂面に略接触すると同時に、板状腕(33)の内面相互にも略接触した状態で位置することとなる。
【0026】
係合突起(22)の頂面相互間及び板状腕(33)の内面相互間に凸部(12)を位置させることによって、板状腕(33)の固定台(2) の内方への移動は阻止されることとなり、板状腕(33)が係合突起(22)から外れることはない。言い換えれば、一旦固定台(2) 内に抜止め状態に装着された把持部(3) の板状腕(33)は、不用意に外れることはなく、長期の使用に伴って、板状腕(33)の長孔(30)の長手方向に沿った、係合突起(22)の相対移動を繰り返し行っても、把手(H) が破損するといった不都合はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本考案実施の形態のかばん用把手(H) をかばん本体に組み付けた状態を示す部分断面図。
【図2】本考案実施の形態のかばん用把手のうち、組み付け前の固定台(2) の断面図と、把持部(3) の一端の底面図。
【図3】本考案実施の形態のかばん用把手のうち、把持部(3) の一端を示す側面図。
【図4】図1のX−X断面図。
【図5】従来のかばん用把手の取付構造の一方端を示す断面図。
【図6】従来のかばん用把手の取付構造の一例を示す図5R>5のY−Y断面図。
【図7】従来のかばん用把手の取付構造の他の例を示す図5のY−Y断面図。
【符号の説明】
(1) ・・・・・・・裏板
(12)・・・・・・・凸部
(2) ・・・・・・・固定台
(22)・・・・・・・係合突起
(3) ・・・・・・・把持部
(33)・・・・・・・板状腕
(30)・・・・・・・長孔
(4) ・・・・・・・把手取付面
(H) ・・・・・・・把手
尚、各図中同一符号は同一又は相当部分を示す。

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 かばん本体の把手取付面の裏面に添設される裏板と、前記裏板の両端に前記把手取付面を介して固着させることにより前記把手取付面の上面に固定される一対の固定台と、前記固定台間に介在される把持部とからなり、前記把持部の両端から延長させた腕部に形成した長孔に、前記固定台内に設けられた水平方向に延び且前記長孔に対して相対移動可能な軸支部材を貫通させることにより前記把持部を前記固定台に対して進退自在に取り付ける形式のかばん用把手において、前記腕部は、弾性材料からなり且つ前記軸支部材の軸線方向に扁平な一対の板状腕とするとともに、前記把持部の両端から斜め下方に向かって延長並設されるものとし、前記軸支部材は、前記各板状腕に設けられた前記長孔内に突出してこれに係合する一対の係合突起とし、前記裏板の上面の両端近傍部分には前記把手取付面を介してその上方に突出させる凸部を設け、前記凸部は前記把手取付面の上面に固定させる前記固定台内に収容されるとともに、前記係合突起が前記長孔に係合した状態にある前記一対の板状腕間に略接触状態に位置するように設定されていることを特徴とするかばん用把手。
【請求項2】 前記係合突起の、前記板状腕が差し込まれる側の部分は、斜めに切り欠いて傾斜面とした請求項1に記載のかばん用把手。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【登録番号】第3057900号
【登録日】平成11年(1999)3月10日
【発行日】平成11年(1999)6月8日
【考案の名称】かばん用把手
【国際特許分類】
【評価書の請求】未請求
【出願番号】実願平10−7341
【出願日】平成10年(1998)9月22日
【出願人】(000108052)セキセイ株式会社 (4)