説明

からくり打鈴装置

【課題】各音ごとに音量を調整することができ、また、構造の簡単化を図ることができるからくり打鈴装置を提供することにある。
【解決手段】人形20に取り付けた打鈴体151と、所定に間隔をおいて配置され、打鈴体151によって選択的に叩打される音階の異なる複数の棒鈴16−1〜16−7と、打鈴体151によって叩打された棒鈴16−1から6−7の振動が伝達され、各伝達された叩打音に応じた音をピックアップ可能なピックアップ機構部18と、を有し、ピックアップ機構部18は、磁力を帯び、棒鈴16−1〜16−7に対応して近接して設けられた複数のアンテナ体(柱)183−1〜183−7と、各アンテナ体の振動をピックアップして電力に変換する一つのピックアップ用コイル184をと、を含み、アンテナ体183−1〜183−7は、対応する棒鈴16−1〜16−7との配置間隔を調整可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人形等の装飾体に取り付けられた打鈴部材、たとえば撞木によって棒状の鈴体を叩打するからくり打鈴装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のからくり時計等の打鈴音は、一般的に疑似的に打鈴動作を行う人形とは別に、モータ等を用いて実際に棒鈴を打つ棒鈴実打機構で発生させていた。
【0003】
そこで、人形が打鈴部材としての撞木によって棒鈴を叩打するからくり打鈴装置が提案されている。
このからくり打鈴装置によれば、従来のように人形が擬似的に叩打動作を行って、棒鈴音は別に発生させる方式のものに比して、実際に人形が棒鈴を叩打することにより、棒鈴からその棒鈴に対応する音階の音が発せられて人形による生演奏が行われ、装飾時計などに適用すると格段に装飾効果を向上させることができるので、近年では広く使用されるようになっている。
上記のようなからくり打鈴装置においては、演奏を行うときに、人形が、背景音楽に合わせて、複数の被打鈴体を音階を選択して叩打すると一層の装飾効果が得られる。
【0004】
また、棒鈴(発音振動部)に磁石の小片を設け、この磁石の小片に対向した位置にピックアップコイルを設け、磁石の小片の振動に応じた電圧をピックアップコイルに発生指せ、このピックアップコイルの出力を増幅してスピーカから報音するようにした時計の報音装置が知られている(たとえば特許文献1参照)。
【特許文献1】実公平5−48150号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
現在使用されているこの種の打鈴装置では、回転台の周縁部に複数の棒鈴が取り付けられ、これら複数の棒鈴にそれぞれ対応して回転台上に複数の人形が固設され、回転台の回転に伴って、人形が、順次対応する棒鈴を叩打することにより、それぞれの棒鈴から対応する音階の音が発せられる方式のものである。
【0006】
ところで、通常の棒鈴の演奏では一人の演奏者が、音階の異なる複数の棒鈴を叩打することが多く、からくり打鈴装置でも、一個の人形が複数の棒鈴を叩打した方が実際の生演奏に近く、たとえば装飾時計に適用した場合に、その装飾効果を高めることが可能になる。
【0007】
しかしながら、従来の打鈴装置においては、組み立てると各音量が固定されて、各音ごとに調整することができないという不利益があった。
また、各音に対応した棒鈴ごとにコイルを配置する必要があり構造が複雑になるという不利益があった。
【0008】
本発明の目的は、各音ごとに音量を調整することができ、また、構造の簡単化を図ることができるからくり打鈴装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するため、本発明に係るからくり打鈴装置は、装飾体に取り付けた打鈴体と、所定に間隔をおいて配置され、上記打鈴体によって選択的に叩打される音階の異なる複数の被打鈴体と、上記打鈴体によって叩打された上記被打鈴体の振動が伝達され、各伝達された叩打音に応じた音をピックアップ可能なピックアップ機構部と、を有し、上記ピックアップ機構部は、磁力を帯び、上記各被打鈴体に対応して近接して設けられた複数のアンテナ体と、上記各アンテナ体の振動をピックアップして電力に変換するピックアップ用コイルをと、を含み、上記アンテナ体は、対応する上記被打鈴体との配置間隔を調整可能である。
【0010】
好適には、上記被打鈴体は鈴台に取り付けられ、上記ピックアップ機構部は上記鈴台の近傍に配置され、上記鈴台には、上記ピックアップ用コイルにてピックアップ可能な音圧を得るための音圧調整部が形成されている。
【0011】
好適には、上記ピックアップ用コイルは一つであって、上記複数のアンテナ体の配置領域近傍に配置されている。
【0012】
好適には、上記ピックアップ機構部は、上記複数のアンテナ体が螺合関係をもって移動可能に取り付けられる取り付け部を含む。
【0013】
好適には、上記ピックアップ機構部は、上記被打鈴体の叩打音に時間差を持たせてピックアップした音を出力可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、各音ごとに音量を調整することができ、また、構造の簡単化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を添付図面に関連付けて説明する。
【0016】
図1は本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す正面図、図2は本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す側面図、図3は本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す平面図である。
【0017】
本からくり打鈴装置10は、基台11、駆動用ステッピングモータ12、固定軸13、回転取り付け台14、実打機構15、被打鈴体としての棒鈴16−1〜16−7、棒鈴台17、ピックアップ機構部18、および装飾体としての人形体20を主要部として構成されている。
【0018】
基台11は、中空の箱形状をなし、その下板11a側にモータ12が、所定長さを有し、たとえば偏平ないわゆるDカット形状形成された回転軸121が基台中空部に臨むように取り付けされている。
また、基台11の上板11b側には、取り付け軸18が取り付けられ、この取り付け軸18に対して回転可能に回転取り付け台14が配設されている。
さらに、基台11の上板11bの一側縁部に一体に、上板11bの上面に直角に保持腕11cが延長形成され、この保持腕11cの延長端部に棒鈴台17が取り付けられている。
この棒鈴台17に、打鈴部材としての撞木により叩打され、それぞれの音階の音を発する7本の棒鈴16−1〜16−7が、モータ12の回転軸121の回転力が伝達される固定軸13の同心円上に配列固定されている。
【0019】
固定軸13は、円筒状をなし、一端側には、一端面側から軸方向に延びる第1の挿入孔131と、側面から第1の挿入孔131に達する第1の固定用ネジ穴132とが形成され、他端側の側部には後述する第2のネジを先端部を案内する溝133が形成されている。
固定軸13は、一端側が基台11の中空部に臨み、他端側が回転取り付け台14の取り付け位置に臨むように、基台11の上板11bおよび取り付け軸18に回転可能に貫挿されている。
そして、たとえば偏平(たとえばDカット)形状に形成されているモータ回転軸121の先端部が固定軸の一端側に形成された第1の挿入孔131に挿入された状態で、第1のネジ134が第1の固定用ネジ穴132に対して、第1のネジ134の先端部がモータ回転軸121の偏平部に当接して締結するように螺合される。これにより、モータ回転軸121に固定軸13の一端部が固定される。
【0020】
回転取り付け台14は、その上面側がいわゆるL字台状に形成されており、このL字台部141の鉛直側面に実打機構15が取り付けされている。
回転取り付け台14の下面側には、軸方向に延びる第2の挿入孔142と、側面から第2の挿入孔142に達する少なくとも一つ(本実施形態では2個)の第2の固定用ネジ穴143とが形成されている。
この第2の挿入孔142には、固定軸13の他端側を挿入した状態で、第2のネジ144が第2の固定用ネジ穴143に対して、第2のネジ144の先端部が固定軸の他端側の溝133の側部に当接して締結するように螺合される。これにより、回転取り付け台14に固定軸13の他端部が固定される。
本実施形態では、回転取り付け台14は、L字台部141が、棒鈴台17の配置方向とは逆方向に位置するように固定される。
【0021】
この回転取り付け台14は、モータ12の図示しない制御部による駆動によってモータ回転軸121に伝達された回転力により回転し、7つの棒鈴16−1〜16−7が配置されている複数の角度位置まで回転して角度位置に停止するように駆動される。
すなわち、被打鈴体としての棒鈴16−1〜16−7は、回転取り付け台14の複数の角度位置に対応してそれぞれ配設される。
【0022】
実打機構15は、打鈴体151、支持体152、ソレノイド153、回転軸154、およびコイルバネ155を主要部として構成されている。
【0023】
打鈴体151は、その途中部分で略L字形状となるように屈曲した構造を有し、その一端部に撞木151aが設けられ、他端部にソレノイド153の作動軸153aの取り付け部151bが形成されている。そして、この取り付け部151bに対してソレノイド153の作動軸153aの先端部が取り付けられている。
【0024】
支持体152は、一端部の中央部がU字形状に形成された平板状をなし、平板部152aの一端部に対して直交するように形成された鍔部152bを有し、この鍔部152aが棒鈴台17側に向くように、他端部が回転取り付け台14のL字台部141の鉛直側面に固定され、かつ、その平板部152aの一面側にソレノイド153が、作動軸153aが上方に向くように取り付けられている。
また、鍔部152bの先端部には、打鈴体151の屈曲部に取り付けられ、打鈴体を回動自在に支持する回転軸154が軸支されている。
そして、平板部152aの他面側に鍔部152cが形成され、この鍔部152cと打鈴体151の屈曲部の他端側近傍部との間に、コイルバネ155が懸架されている。
【0025】
そして、実打機構15のうち、打鈴151の一端部を除いた部分および回転取り付け台14が人形体20内に収納されている。
【0026】
ピックアップ機構部18は、7つの棒例16−1〜16−7に対応するように7つのピックアップ部18−1〜18−7が棒鈴台17の所定の位置に近接するように形成されて構成されている。
【0027】
図4(a)〜(c)は、本実施形態に係るピックアップ機構部の具体的な構成例を示す図であって、図4(a)は要部の上面図、図4(b)は正面図、図4(c)は簡略側断面図である。
【0028】
まず、棒鈴台17は、図4(c)に示すように、天板部171と背板部172を有し、側断面が略L字をなすように形成されている。棒鈴台17はたとえば鉄板により形成される。
天板部171の前面側に、打鈴部材としての撞木により叩打され、それぞれの音階の音を発する7本の棒鈴16−1〜16−7が、取り付け孔171a−1〜171a-7を通して同心円上に配列固定されている。
そして、ピックアップ機構部18は、棒鈴台17の天板部171の下面側と背板部172の前面側とで形成される空間部に配置されている。
【0029】
ピックアップ機構部18は、棒鈴台17の背板部172の幅と略同じ幅を有する板状の第1(上)取り付け板181、第1取り付け板181と背板部172の前面との間に配置される第2(下)取り付け板182、7本の各棒鈴16−1〜16−7に対応して設けられるたとえば円柱状の鉄心からなる7本のアンテナ柱183−1〜183−7、第1取り付け板181の背面側と第2取り付け板182の前面側との間に配置されたピックアップ用コイル184、および第2取り付け板182の背面側(背板部172の前面に対向する面)に配置された磁石185を、主構成要素として有している。
第1取り付け板181と第2取り付け板182により取り付け部が構成される。
【0030】
第1取り付け板181は、ねじ191−1〜191−4により、スペーサ192−1〜192−4を通して棒鈴台17の背板部172の前面側に所定の収納空間を形成するように4角部分が固定されている。
そして、第1取り付け板181には、棒鈴台17の天板部171に形成された棒鈴取り付け孔171a-1〜171a-7に対応するように、その幅方向(棒鈴の配置方向)に所定間隔をおいてアンテナ柱183−1〜183−7が挿通可能な円筒状の挿通孔1811〜1817が形成されている。
これら挿通孔1811〜1817に円柱状の各アンテナ柱183−1〜183−7の先端部側が、対応する棒鈴16−1〜16−7の側面部に近接し、棒鈴の振動をピックアップ(検知する、あるいは、拾う)ことが可能に配置される。
【0031】
第2取り付け板182は、幅(横)は第1取り付け板181と略同様に設定され、高さ(縦)は第1取り付け板181の略半分に設定され、ねじ192−1,192−2により第1取り付け板181に対して、その背面側と所定間隔をおいて固定されている。
そして、第2取り付け板182には、固定状態において、第1取り付け板181に形成された挿通孔1811〜1817に対応するように挿通孔1821〜1827が形成されている。
これら挿通孔1821〜1827には、後記するアンテナ柱183−1〜183−7の後端部形成された雄ねじ部が螺合される、雌ねじ部1821a〜1827aが形成されている。
【0032】
アンテナ柱183−1〜183−7は、たとえば円柱状をなす鉄心からなり、第1取り付け板181に形成された挿通孔1811〜1817に挿入され、先端部が棒鈴台17に固定された対応する棒鈴16−1〜16−7の側面部に近接し、棒鈴の振動を検知する(受ける、あるいは、拾う)ことが可能に配置される。
アンテナ柱183−1〜183−7の後端部にはその軸方向に延長するように雄ねじ部1831〜1837が一体的に形成されている。
これら雄ねじ部1831〜1837は、第2取り付け板182に形成された挿通孔1821〜1827に形成された雌ねじ部1821a〜1827aに螺合される。
そして、雄ねじ部1831〜1837の後端部には、プラスあるいはマイナスのねじ溝が形成されている。
挿通孔1821〜1827は、磁石185に挟まれるような位置に形成されている。
【0033】
雄ねじ部1831〜1837の後端部は、図4(a)に示すように、棒鈴台17の背板部172の前面側に位置するが、この背板部172には、取り付け状態にある第2取り付け板182の挿通孔1821〜1827に対応する位置に、たとえばドライバの先端部を挿入可能で、雄ねじ部1831〜1837のねじ溝を回転させてアンテナ柱183−1〜183−7の先端部と対応する棒鈴16−1〜16−7の側部間の間隔を調整することを可能とする調整孔172a-1〜172a-7が形成されている。
【0034】
アンテナ柱183−1〜183−7は、たとえば第1取り付け板181の挿通孔1811〜1817の前面側から雄ねじ部1831〜1837の後端部を挿入してから雄ねじ部1831〜1837を、第2取り付け板182の挿通孔1821〜1827に形成された雌ねじ部1821a〜1827aに螺合することにより、おおよその位置に取り付けられる。
そして、棒鈴台17の背板部172に形成された調整孔172a-1〜172a-7に背面側からドライバを挿入して、雄ねじ部1831〜1837のねじ溝を回転させてアンテナ柱183−1〜183−7の先端部と対応する棒鈴16−1〜16−7の側部間の間隔が微調整される。
【0035】
前述したように、第2取り付け板182の挿通孔1821〜1827は、磁石185に挟まれるような位置に形成されており、アンテナ柱183−1〜183−7は、この磁石の磁力が及ぶ領域にアンテナ柱183−1〜183−7の一部あるいは全体が位置するよう配置され、かつ、ピックアップ用コイル184に近接して配置される。
したがって、棒鈴16−1〜16−7のいずれかが撞木により叩打され所定の音階の鈴音が発生られるが、このときの棒鈴16−1〜16−7の振動が対応するアンテナ柱183−1〜183−7に伝達され、このアンテナ柱183−1〜183−7の振動により各アンテナ柱183−1〜183−7の近傍における磁界が変化し、この変化量がコイル184でピックアップされる。
【0036】
図5は、本実施形態のピックアップ機構部による報音装置の構成例を示す回路図である。
この報音装置30は、アンテナ柱183(−1〜−7)、コイル184に加えて、結合キャパシタ31、たとえば演算増幅器からなる増幅回路32、およびスピーカ33を有している。
このような構成を有する報音装置30は、図示しない回路基板に搭載される。
【0037】
報音装置30においては、棒鈴16−1〜16−7の振動が対応するアンテナ柱183−1〜183−7に伝達され、このアンテナ柱183−1〜183−7の振動により各アンテナ柱183−1〜183−7の近傍における磁界が変化し、この変化量がコイル184でピックアップされ、コイル184に電力が発生し、この振動に基づく電圧が増幅回路32で増幅することによってスピーカ33から棒鈴16−1〜16−7が発する音が出力される。
【0038】
なお、報音装置は、図5の構成に限定されるものでない。
たとえば、制御系34によりスピーカ33からの出力タイミングを遅延されたりして棒鈴16から発生されている音と時間差を持たせる等により、より深みのある音を得ることができる等、種々の態様が可能である。
【0039】
また、音の振動エネルギーは低音側の方が大きく高音側が小さいことから、高音側で十分な音圧を得ることができず、ピックアップ機構部18において高音側を十分にピックアップすることができない場合が発生するおそれがある。
そこで、たとえば図6(a)〜(b)に示すように、高音側に対応する棒鈴台17の所望の位置に音圧調整部としてのスリット40を形成して、高音側の振動エネルギーの伝達領域を所定の範囲に限り、他の領域への伝達を抑止してピックアップに十分な音圧を得るように構成する。
これにより、低音側のみならず高音側も十分な振動エネルギーを得ることができ、すべての音階でピックアップ機構部18による叩打音に応じた音をスピーカ33から放音することが可能となる。
なお、音圧調整部は、スリットに限定されるものではなく、空隙等であっても同様の効果を得ることができる。
【0040】
次に、上記構成による実打機構の叩打動作について説明する。
【0041】
たとえばモータ12が図示しない制御部により回転駆動され、回転取り付け台14が所定の複数の角度位置まで回動して所定の角度位置に停止する。そして、実打機構15によって駆動される打鈴体151によって、複数の角度位置に対応して、人形体20の周囲に配設された複数の棒鈴16−1〜16−7が順次叩打される。
この場合、通常の回転制御によって、回転取り付け台14はスムーズに移動しかつ複数(本実施形態では7)のうちの所定の角度位置に精度よくスムーズに停止される。
【0042】
所定の角度位置に停止したときは、ソレノイド153が非励磁の保持されている。このソレノイド153が非励磁時には、図2に示すように、打鈴体151の一端部に取り付けられた撞木151aがたとえば棒鈴16−1から離れた位置に保持される。
この状態で、ソレノイド153が励磁される。これにより、その作動軸153aが直線的に伸びるように出力され、打鈴体151の他端部を押し上げる。
これにより、図7に示すように、回転軸154を中心に打鈴体151が反時計方向に回転し、その一端部が棒鈴16−1に向かって移動し、撞木151aが所定の叩打力をもって棒鈴16−1が叩打し、所定の音階の鈴音が発せられる。
このとき、コイルバネ155は安定状態にはなく、延びた状態となる。
【0043】
そして、ソレノイド153が非励磁状態とされる。これにより、その作動軸153aが直線的に初期状態に戻され、打鈴体151の他端部が押し下げられる。このとき、コイルバネ155が安定状態に戻ろうとする弾性力に打鈴体151の他端部が押し下げ動作が補助される。
これにより、図2に示すように、回転軸154を中心に打鈴体151が時計方向に回転し、その一端部が棒鈴16−1から離れた位置に向かって移動する。
【0044】
以上の回転および叩打制御が複数(本実施形態では7)のうちの所定の角度位置に対して順次行われることにより、一個の人形体20によって、複数の棒鈴16−1〜16−7が安定かつ正確に叩打される。
【0045】
以上のように、棒鈴16−1〜16−7のいずれかが撞木により叩打され所定の音階の鈴音が発生られるが、棒鈴16−1〜16−7の振動が対応するアンテナ柱183−1〜183−7に伝達され、このアンテナ柱183−1〜183−7の振動により各アンテナ柱183−1〜183−7の近傍における磁界が変化し、この変化量がコイル184でピックアップされ、コイル184に電力が発生し、この振動に基づく電圧が増幅回路32で増幅することによってスピーカ33から棒鈴16−1〜16−7が発する音が出力される。
【0046】
以上説明したように、本実施形態によれば、人形20に取り付けた打鈴体151と、所定に間隔をおいて配置され、打鈴体151によって選択的に叩打される音階の異なる複数の被打鈴体として棒鈴16−1〜16−7と、打鈴体151によって叩打された棒鈴16−1〜16−7の振動が伝達され、各伝達された叩打音に応じた音をピックアップ可能なピックアップ機構部18と、を有し、ピックアップ機構部18は、磁力を帯び、棒鈴16−1〜16−7に対応して近接して設けられた複数のアンテナ体(柱)183−1〜183−7と、各アンテナ体の振動をピックアップして電力に変換する一つのピックアップ用コイル184をと、を含み、アンテナ体183−1〜183−7は、対応する棒鈴16−1〜16−7との配置間隔を調整可能であり、ピックアップ機構部18は打鈴台17の近傍に配置され、打鈴台17には、ピックアップ用コイルにてピックアップ可能な音圧を得るための音圧調整部としてのスリット40が形成されていることから、各音ごとに音量を調整することができ、また、構造の簡単化を図ることができる。
また、低音側のみならず高音側も十分な振動エネルギーを得ることができ、すべての音階でピックアップ機構部18による叩打音に応じた音をスピーカ33から放音することが可能となる。
【0047】
また、ピックアップ機構部18は、棒鈴16−1〜16−7の叩打音に時間差を持たせてピックアップした音を出力可能であることから、より深みのある音を得ることができる。
【0048】
また、本実施形態によれば、簡単な構成で装飾体を被打鈴体位置に精度よく移動させ、一個の装飾体で複数の被打鈴体を正確に叩打できるようにする微調整を簡単かつ正確に行うことができる。
その結果、打鈴体によって、目的の被打鈴体を正確に叩打することが可能になり、また、叩打時の叩打力および叩打位置のバラツキを抑制でき、音色、音圧を良好に保つことができる。
【0049】
また、本実施形態によれば、実打機構を小型化することができる。これにより、人形体を大型化することなく実打機構を人形体の内部に収納することができる。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す側面図であって、非打鈴時の状態を示す図である。
【図3】本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す平面図である。
【図4】本実施形態に係るピックアップ機構部の具体的な構成例を示す図である。
【図5】本実施形態のピックアップ機構部による報音装置の構成例を示す回路図である。
【図6】棒鈴台にスリットを形成した構成を説明するための図である。
【図7】本発明に係るからくり打鈴装置の一実施形態を示す側面図であって、打鈴時の状態を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
10…からくり打鈴装置
11…基台
12…駆動用ステッピングモータ
121…回転軸
13…固定軸
14…回転取り付け台
15…実打機構
151…打鈴体
151a…撞木
152b…取り付け部
152…支持体
153…ソレノイド
153a…作動軸
155…コイルバネ
16−1〜16−7…棒鈴
17…棒鈴台
18…ピックアップ機構部
181…第1取り付け板
182…第2取り付け板
183−1〜183−7…アンテナ柱
184…ピックアップ用コイル
185…磁石
20…人形体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
装飾体に取り付けた打鈴体と、
所定に間隔をおいて配置され、上記打鈴体によって選択的に叩打される音階の異なる複数の被打鈴体と、
上記打鈴体によって叩打された上記被打鈴体の振動が伝達され、各伝達された叩打音に応じた音をピックアップ可能なピックアップ機構部と、を有し、
上記ピックアップ機構部は、
磁力を帯び、上記各被打鈴体に対応して近接して設けられた複数のアンテナ体と、
上記各アンテナ体の振動をピックアップして電力に変換するピックアップ用コイルをと、を含み、
上記アンテナ体は、対応する上記被打鈴体との配置間隔を調整可能である
からくり打鈴装置。
【請求項2】
上記被打鈴体は鈴台に取り付けられ、
上記ピックアップ機構部は上記鈴台の近傍に配置され、
上記鈴台には、上記ピックアップ用コイルにてピックアップ可能な音圧を得るための音圧調整部が形成されている
請求項1記載のからくり打鈴装置。
【請求項3】
上記ピックアップ用コイルは一つであって、上記複数のアンテナ体の配置領域近傍に配置されている
請求項1または2記載のからくり打鈴装置。
【請求項4】
上記ピックアップ機構部は、
上記複数のアンテナ体が螺合関係をもって移動可能に取り付けられる取り付け部を含む
請求項1、2、または3記載のからくり打鈴装置。
【請求項5】
上記ピックアップ機構部は、
上記被打鈴体の叩打音に時間差を持たせてピックアップした音を出力可能である
請求項1から4のいずれか一に記載のからくり打鈴装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−308910(P2006−308910A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−132171(P2005−132171)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000115773)リズム時計工業株式会社 (208)
【Fターム(参考)】