説明

がんの治療および診断の標的遺伝子としてのWHSC1およびWHSC1L1

がん、例えば、膀胱癌、乳癌、胆管細胞癌、CML、食道癌、HCC、NSCLC、SCLC、骨肉腫、膵癌、前立腺癌、腎細胞癌、軟部組織腫瘍、およびリンパ腫を発症する素因を診断するための、本発明の目的とする方法が、本明細書に記載される。ある態様において、この診断法は、WHSC1またはWHSC1L1遺伝子の発現レベルを測定する段階を含む。本発明は、がん、例えば、膀胱癌、乳癌、胆管細胞癌、CML、食道癌、HCC、NSCLC、SCLC、骨肉腫、膵癌、前立腺癌、腎細胞癌、軟部組織腫瘍、およびリンパ腫のような、WHSC1またはWHSC1L1に関連した疾患の治療において有用な治療剤をスクリーニングする方法をさらに提供する。本発明は、細胞増殖の阻害、およびWHSC1またはWHSC1L1に関連した疾患の症状の治療または軽減の方法をさらに提供する。本発明は、二本鎖分子およびそれらをコードするベクターを含む生成物、ならびにそれらを含む組成物も特徴とする。さらに、WHSC1もしくはWHSC1L1遺伝子の発現、またはWHSC1もしくはWHSC1L1ポリペプチドの生物学的活性に対する効果を指標として使用して、肺癌の治療および/または予防のための物質を同定する方法も開示される。


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【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象由来の生物学的試料におけるWHSC1遺伝子の発現レベルまたはWHSC1L1遺伝子の発現レベルのいずれかまたは両方を決定する段階を含む、対象においてがんを検出または診断する方法であって、
該遺伝子の正常対照レベルと比較した該レベルの増加が、該対象ががんに罹患しているかまたはがんを発症するリスクを有することを示し、
該発現レベルが、以下からなる群より選択される方法によって決定される、前記方法:
(a)WHSC1のmRNAまたはWHSC1L1のmRNAのいずれかまたは両方を検出する方法;
(b)WHSC1遺伝子によってコードされるタンパク質またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるタンパク質のいずれかまたは両方を検出する方法;および
(c)WHSC1によってコードされるタンパク質の生物学的活性またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるタンパク質の生物学的活性のいずれかまたは両方を検出する方法。
【請求項2】
前記増加が正常対照レベルより少なくとも10%高い、請求項1記載の方法。
【請求項3】
対象由来の生物学的試料が生検試料または血液試料である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
以下からなる群より選択される試薬を少なくとも1つ含む、がんを診断するためのキット:
(a)WHSC1またはWHSC1L1のmRNAを検出するための試薬;
(b)WHSC1またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるタンパク質を検出するための試薬;および
(c)WHSC1またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるタンパク質の生物学的活性を検出するための試薬。
【請求項5】
試薬が、以下からなる群より選択される、請求項4記載のキット:
(a)WHSC1またはWHSC1L1のmRNAに対するプローブ;および
(b)WHSC1またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるタンパク質に対する抗体。
【請求項6】
以下を含む、がんの治療もしくは予防、またはがん細胞増殖の阻害のための候補物質をスクリーニングする方法:
(a)試験物質を、WHSC1またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b)該ポリペプチドと該試験物質との間の結合活性を検出する段階;および
(c)該ポリペプチドに結合する試験物質を選択する段階。
【請求項7】
以下を含む、がんの治療もしくは予防、またはがん細胞増殖の阻害のための候補物質をスクリーニングする方法:
(a)試験物質を、WHSC1およびWHSC1L1遺伝子のいずれかまたは両方を発現している細胞と接触させる段階;
(b)WHSC1の発現レベルまたはWHSC1L1遺伝子の発現レベルのいずれかまたは両方を検出する段階;および
(b)試験物質の非存在下で検出される発現レベルと比較して、WHSC1遺伝子の発現レベルまたはWHSC1L1遺伝子の発現レベルのいずれかまたは両方を低下させる試験物質を選択する段階。
【請求項8】
以下を含む、がんの治療もしくは予防、またはがん細胞増殖の阻害のための候補物質をスクリーニングする方法:
(a)試験物質を、WHSC1またはWHSC1L1遺伝子によってコードされるポリペプチドと接触させる段階;
(b)段階(a)のポリペプチドの生物学的活性を検出する段階;および
(c)試験物質の非存在下で検出される生物学的活性と比較して、該ポリペプチドの生物学的活性を抑制する試験物質を選択する段階。
【請求項9】
生物学的活性が、細胞増殖活性、メチルトランスフェラーゼ活性、またはIQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、もしくはβカテニンポリペプチドに対する結合活性である、請求項8記載の方法。
【請求項10】
以下を含む、がんの治療もしくは予防、またはがん細胞増殖の阻害のための候補物質をスクリーニングする方法:
(a)WHSC1またはWHSC1L1遺伝子の転写調節領域と、該転写調節領域の制御下で発現されるレポーター遺伝子とを含むベクターが導入されている細胞と、試験物質を接触させる段階;
(b)該レポーター遺伝子の発現または活性を測定する段階;および
(c)試験物質の非存在下での発現または活性と比較して、該レポーター遺伝子の発現または活性を低下させる試験物質を選択する段階。
【請求項11】
以下を含む、がんの治療もしくは予防、またはがん細胞増殖の阻害のための候補物質をスクリーニングする方法:
(a)試験物質の存在下で、IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも1つまたはその機能的等価物を、WHSC1ポリペプチドまたはその機能的等価物と接触させる段階;
(b)段階(a)の、IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも1つと、WHSC1ポリペプチドとの間の結合を検出する段階;ならびに
(c)試験物質の非存在下で検出される結合と比較して、IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも1つと、WHSC1ポリペプチドとの間の結合を阻害する試験物質を選択する段階。
【請求項12】
センス鎖とアンチセンス鎖とを含み、かつWHSC1またはWHSC1L1遺伝子を発現している細胞に導入された場合に該遺伝子の発現を阻害する二本鎖分子であって、
前記センス鎖が配列番号:29、32、35、および38からなる群より選択される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖が該標的配列に相補的なヌクレオチド配列を含み、該センス鎖およびアンチセンス鎖が互いにハイブリダイズすることで二本鎖分子を形成する、前記二本鎖分子。
【請求項13】
約19〜約25ヌクレオチド長である、請求項12記載の二本鎖分子。
【請求項14】
一本鎖ヌクレオチド配列を介して連結されたセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む単一のポリヌクレオチド分子である、請求項12または13記載の二本鎖分子。
【請求項15】
前記ポリヌクレオチドが、以下の一般式を有する、請求項14記載の二本鎖分子:
5'−[A]−[B]−[A']−3'
式中、[A]は配列番号:29、32、35、および38からなる群より選択される標的配列に対応するヌクレオチド配列を含むセンス鎖であり;[B]は約3〜約23ヌクレオチドからなるヌクレオチド配列であり;かつ[A']は前記標的配列に相補的なヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖である。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項記載の二本鎖分子をコードするベクター。
【請求項17】
センス鎖核酸およびアンチセンス鎖核酸を含むポリヌクレオチドの組み合わせの各々を含み、かつ標的遺伝子の発現を阻害するベクターであって、
前記センス鎖核酸が配列番号:29、32、35、および38からなる群より選択されるヌクレオチド配列を含み、前記アンチセンス鎖核酸が該センス鎖に相補的な配列からなり、該センス鎖およびアンチセンス鎖の転写物が互いにハイブリダイズすることで二本鎖分子を形成する、前記ベクター。
【請求項18】
WHSC1もしくはWHSC1L1遺伝子に対する薬学的に有効な量の二本鎖分子または該二本鎖分子をコードするベクターと、薬学的に許容される担体とを対象に投与する段階を含む、対象においてがんを治療または予防する方法であって、
前記二本鎖分子が、WHSC1またはWHSC1L1遺伝子を発現している細胞へ導入された場合に、細胞増殖およびWHSC1またはWHSC1L1遺伝子の発現を阻害する、前記方法。
【請求項19】
二本鎖分子が請求項12〜15のいずれか一項記載の二本鎖分子である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
ベクターが請求項16または17記載のベクターである、請求項18記載の方法。
【請求項21】
WHSC1もしくはWHSC1L1遺伝子に対する薬学的に有効な量の二本鎖分子または該二本鎖分子をコードするベクターと、薬学的に許容される担体とを含む、がんの治療または予防のための組成物であって、
前記二本鎖分子が、WHSC1またはWHSC1L1遺伝子を発現している細胞へ導入された場合に、細胞増殖およびWHSC1またはWHSC1L1遺伝子の発現を阻害する、前記組成物。
【請求項22】
二本鎖分子が請求項12または15のいずれか一項記載の二本鎖分子である、請求項21記載の組成物。
【請求項23】
ベクターが請求項16または17記載のベクターである、請求項21記載の組成物。
【請求項24】
以下を含む、WHSC1ポリペプチドまたはその機能的等価物と、IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも1つまたはその機能的等価物との間の結合を阻害するための物質をスクリーニングする方法:
(a)試験物質の存在下で、IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドのうちの少なくとも1つまたはその機能的等価物を、WHSC1ポリペプチドまたはその機能的等価物と接触させる段階;
(b)段階(a)の、IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも1つまたはその機能的等価物と、WHSC1ポリペプチドまたはその機能的等価物との間の結合を検出する段階;ならびに
(c)IQGAP1ポリペプチド、TIAM1ポリペプチド、AKT2ポリペプチド、およびβカテニンポリペプチドからなる群より選択されるポリペプチドのうちの少なくとも1つまたはその機能的等価物と、WHSC1ポリペプチドまたはその機能的等価物との間の結合を阻害する試験物質を選択する段階。

【図1−1】
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【図1−2】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図3D】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5−1】
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【図5−2】
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【図5−3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2013−518560(P2013−518560A)
【公表日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−535280(P2012−535280)
【出願日】平成23年2月2日(2011.2.2)
【国際出願番号】PCT/JP2011/000585
【国際公開番号】WO2011/096211
【国際公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.WINDOWS
【出願人】(502240113)オンコセラピー・サイエンス株式会社 (142)
【Fターム(参考)】