説明

き裂進展評価装置、き裂進展評価方法及びき裂進展評価プログラム

【課題】連続体に初期き裂が発生してからき裂が最終破断に至るまでのき裂の進展を評価するき裂進展評価装置を提供する。
【解決手段】解析モデル作成部11が、有限要素法による解析に用いられる解析モデルを作成する。応力ひずみ解析部12が、解析モデルを用いて、連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、負荷によって連続体の有限要素に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する。要素損傷評価部13が、前記解析結果に基づいて、負荷のサイクル毎に、連続体の有限要素について、前記ひずみによる損傷を評価する。き裂進展表示部15が、前記損傷の評価結果に基づいて、連続体に生じるき裂の進展状態を表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、き裂進展評価装置、き裂進展評価方法及びき裂進展評価プログラムに関し、特に、有限要素法を用いて連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価装置、き裂進展評価方法及びき裂進展評価プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
はんだ材料や各種接合用樹脂材料(接着剤)においては、その接合部の安定した接合信頼性が重要である。具体的には、実使用環境において繰り返し印加される温度サイクルや振動等の機械的サイクルに対して、接合部が十分な耐久性能を有することが必要とされる。接合部の設計段階においては、有限要素法等を利用したシミュレーションを行って応力やひずみを算出し、算出された応力やひずみの値に基づいて、寿命等を間接的に評価する手法がある。この手法は、従来から多くの部品や装置開発評価で用いられている。特に、温度サイクル疲労のような繰り返し疲労寿命サイクル数の予測には、有限要素法等を利用したシミュレーション結果から得られたひずみの値に基づいて、コフィンマンソン則により繰り返し疲労寿命サイクル数の予測を行う方法が用いられている。
【0003】
図15は、はんだ接合部102の解析モデルを示す。この解析モデルは、有限要素法等を利用したシミュレーションのための解析モデルである。この解析モデルを用いて、太線の円で囲った部分の有限要素についてひずみ振幅の値Δεinを求め、以下の式1に示すコフィンマンソン則
f =1/2・(Δεin/ε0 -n ・・・(式1)
によって繰り返し疲労寿命サイクル数Nf を算出する方法が従来から用いられている。式1において、n及びε0 は、定数である。
【0004】
なお、電子部品が持つ電極構造について、はんだ接合部の破断寿命を算出する寿命診断装置が提案されている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2004−45343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
有限要素法とコフィンマンソン則とにより繰り返し疲労寿命サイクル数Nf を算出する従来の技術(以下、単に従来技術と言う)は、初期形状を持つはんだ接合部に生じる応力及びひずみを用いて寿命を評価する技術である。このため、はんだ接合部にき裂が発生する際の繰り返し疲労寿命サイクル数の予測を精度良く行うことができる。
【0006】
しかし、従来技術においては、はんだ接合部の解析モデルの形状として初期形状(製造時の形状)を用いるため、はんだ接合部においてき裂が進展した場合の応力状態を想定することが困難である。また、温度サイクルや機械的サイクル試験は、数100サイクル〜数万サイクルを繰り返す方法であるが、現状のコンピュータでは、1サイクルあたりの計算に数時間〜数日を要する。従って、数100サイクルの繰り返しサイクルをコンピュータ上で実施するのは、計算時間がかかり過ぎて現実的ではない。このため、従来技術によっては、はんだ接合部にき裂が進展して、最終的に破断するまでの完全破断寿命を予測することや、き裂の進展過程を予測することは事実上困難である。
【0007】
本発明は、連続体に初期き裂が発生してからき裂が最終破断に至るまでのき裂の進展を評価するき裂進展評価装置の提供を目的とする。
【0008】
また、本発明は、連続体に初期き裂が発生してからき裂が最終破断に至るまでのき裂の進展を評価するき裂進展評価方法の提供を目的とする。
【0009】
また、本発明は、連続体に初期き裂が発生してからき裂が最終破断に至るまでのき裂の進展を評価するき裂進展評価プログラムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明のき裂進展評価装置は、連続体に生じるき裂の進展を評価する。き裂進展評価装置は、連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成するモデル作成部と、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する解析部と、前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する評価部と、前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する表示部とを備える。
【0011】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置が、更に、前記解析モデルを用いた損傷の評価結果に基づいて、前記連続体の複数の有限要素の各々の剛性を変更する変更部を備える。前記解析部が、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷により前記剛性が変更された前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記現サイクルの次サイクルの負荷により生じる応力及びひずみを解析する。
【0012】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置において、前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、累積非線形ひずみ値を算出し、前記累積非線形ひずみ値に基づいて非線形ひずみ振幅の値を算出し、前記非線形ひずみ振幅の値に基づいてコフィンマンソン則を用いて損傷値を算出し、前記損傷値に基づいてその累積値を算出し、前記累積値と予め設定された閾値とを比較する。前記変更部が、前記比較結果に基づいて、前記連続体の複数の有限要素の各々について、その有限要素の剛性を変更する。
【0013】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置において、前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記負荷のサイクルの現サイクルにおける累積非線形ひずみ値から前記現サイクルの直前サイクルにおける累積非線形ひずみ値を減ずることにより、前記現サイクルにおける前記非線形ひずみ振幅の値を算出する。
【0014】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置において、前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、予め設定された順番の負荷のサイクルにおける前記累積非線形ひずみ値と、前記予め設定された順番の負荷のサイクルまでのサイクル数とに基づいて、前記累積非線形ひずみ値の平均値を求め、前記平均値に基づいて前記予め設定された順番の負荷のサイクルにおける前記非線形ひずみ振幅の値を算出する。
【0015】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置において、前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を所定の値の回数だけ前記連続体に加えたときの損傷値を、前記現サイクルにおける前記損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する。
【0016】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置において、前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記損傷値の変化率を算出し、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を前記変化率に対応する所定の値の回数だけ前記連続体に加えたときの損傷値を、前記現サイクルにおける前記損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する。
【0017】
好ましくは、本発明のき裂進展評価装置において、前記表示部が、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する。
【0018】
また、本発明のき裂進展評価方法は、連続体に生じるき裂の進展を評価する。き裂進展評価方法は、連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成し、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析し、前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価し、前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する。
【0019】
また、本発明のき裂進展評価プログラムは、連続体に生じるき裂の進展を評価する。き裂進展評価プログラムは、コンピュータに、連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成する処理と、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する処理と、前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する処理と、前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する処理とを、実行させる。
【発明の効果】
【0020】
本発明のき裂進展評価装置及びき裂進展評価方法は、連続体の解析モデルを作成し、この解析モデルを用いた応力ひずみ解析の結果に基づいて連続体の複数の有限要素の各々の損傷を評価し、この損傷を評価結果に基づいて当該連続体に生じるき裂の進展状態を表示する。このように、有限要素の各々の損傷を評価することにより、比較的計算量の少ない処理で連続体に生じるき裂の進展状態を知ることができ、そのための処理時間を短縮することができる。また、初期処理において作成した連続体の解析モデルを用いて、き裂進展評価処理を行うことができ、き裂進展に応じて解析モデルを作成し直すことなく、き裂の進展を評価することができる。
【0021】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、更に、解析モデルを用いた損傷の評価結果に基づいて、連続体の複数の有限要素の各々の剛性を変更し、この前記剛性が変更された連続体の複数の有限要素の各々について、応力及びひずみを解析することを繰り返す。これにより、解析モデルを変更することなく、連続体の複数の有限要素の各々の剛性を変更するのみで、連続体に生じるき裂の進展の状況を評価することができ、そのための処理時間を短縮することができる。
【0022】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、連続体の複数の有限要素の各々について、累積非線形ひずみ値を算出し、累積非線形ひずみ値に基づいて非線形ひずみ振幅の値を算出し、非線形ひずみ振幅の値に基づいてコフィンマンソン則を用いて損傷値を算出し、損傷値に基づいてその累積値を算出し、前記累積値と予め設定された閾値とを比較し、前記比較結果に基づいて、有限要素の剛性を変更する。これにより、比較的容易に有限要素の各々の損傷を評価することができ、この結果、比較的計算量の少ない処理で連続体に生じるき裂の進展状態を知ることができる。また、初期処理において作成した連続体の解析モデルを用いて、き裂進展に応じて解析モデルを作成し直すことなく、き裂の進展を評価することができる。
【0023】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、連続体の複数の有限要素の各々について、現サイクルにおける累積非線形ひずみ値から現サイクルの直前サイクルにおける累積非線形ひずみ値を減ずることにより、現サイクルにおける非線形ひずみ振幅の値を算出する。これにより、現サイクルにおける非線形ひずみ振幅の値を、正確にかつ容易に算出することができる。
【0024】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、連続体の複数の有限要素の各々について、累積非線形ひずみ値とサイクル数とに基づいて累積非線形ひずみ値の平均値を求め、前記平均値に基づいて当該サイクルにおける非線形ひずみ振幅の値を算出する。これにより、現サイクルにおける非線形ひずみ振幅の値を、複数の負荷のサイクルの各々における非線形ひずみ振幅の値を算出することなく、容易に算出することができ、非線形ひずみ振幅の値の算出時間を短縮することができる。
【0025】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、連続体の複数の有限要素の各々について、現サイクルの負荷と同一の負荷を所定の値の回数だけ連続体に加えたときの損傷値を、現サイクルにおける損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する。これにより、現サイクルにおける損傷値(累積損傷値)を、複数の負荷のサイクルの各々における損傷値を算出することなく、容易に算出することができ、累積損傷値の算出時間を短縮することができる。
【0026】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、算出した損傷値の変化率を算出し、負荷を変化率に対応する所定の値の回数だけ加えたときの損傷値(累積損傷値)を、算出した損傷値に所定の値を乗じることにより算出する。これにより、負荷のサイクル毎に累積損傷値を算出することなく、損傷値と所定の値との乗算により、精度良くかつ効率的に累積損傷値を算出することができる。
【0027】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、予め定められた負荷のサイクル毎に、き裂の進展状態を表示する。従って、例えば、連続体において設計変更による補強が必要な箇所を容易に認識することができ、また、連続体の設計変更の影響を容易に認識することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
図1は、本発明のき裂進展評価装置の構成の一例を示す図である。き裂進展評価装置1は、連続体に生じるき裂の進展を評価するコンピュータであり、解析モデル作成部11、応力ひずみ解析部12、要素損傷評価部13、要素剛性変更部14、き裂進展表示部15とを備える。き裂進展評価装置1が備えるこれらの各部は、CPUと主メモリ上に存在しCPU上で実行されるプログラムとにより実現される。
【0029】
解析モデル作成部(以下、作成部)11は、き裂進展評価の対象である連続体の解析モデルを作成する。この解析モデルは、周知のように、連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析(シミュレーション)に用いられるモデル(有限要素モデル)であって、連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルである。即ち、この解析モデルは、応力ひずみ解析部12における解析処理のためのモデルである。また、この解析モデルは、本発明においては、要素損傷評価部13及び要素剛性変更部14においても参照される。
【0030】
例えば、この解析モデルは、電子部品と基板とを接合するはんだ接合部について作成される。この場合、電子部品のはんだ接合部が連続体を構成する。作成部11は、電子部品の情報、基板の情報、はんだ接合部の位置情報、はんだ接合部に繰り返し加えられる負荷の情報、はんだ接合部を構成する材料の情報に基づいて、はんだ接合部の解析モデルを作成する。このようなはんだ接合部の解析モデルは、後述する図7、図8及び図15に示される。
【0031】
本発明によれば、後述するように、この解析モデルは、一旦作成された後、再度作成される(更新される)ことは無い。即ち、本発明においては、解析モデルは、1個の解析対象について1回作成されるのみである。これにより、解析に数時間〜数日を要することが無い。
【0032】
応力ひずみ解析部(以下、解析部)12は、周知のように、前記解析モデルを用いて、連続体に繰り返し(サイクリックに)加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する(応力ひずみ解析を行う)。解析部12による前記解析結果は、要素損傷評価部13に送られる。負荷のサイクルは、シミュレーションのための所定の数だけ当該連続体に加えられる。応力ひずみ解析は、当該所定の数のサイクルの各々について行われる。負荷は、例えば温度や機械的圧力等である。
【0033】
具体的には、解析部12は、連続体の複数の有限要素の各々について、その累積相当クリープひずみ値及び/又は累積相当塑性ひずみ値を、前記応力ひずみとして求める。ここで、「累積相当」又は「累積」クリープひずみ値とは、当該サイクル以前の個々のサイクルにおいて算出されたクリープひずみ値を累積した値であり、当該サイクルまでの累積値である。塑性ひずみ値についても同様である。
【0034】
本発明においては、解析モデルが再度作成されることは無いので、実際には、解析モデルの作成と並列に、解析部12による解析処理を実行することができる。これにより、更に処理時間を短縮することができる。
【0035】
図2は、連続体に加えられる負荷のサイクルの一例として、温度サイクルの例を示す図である。図2は、連続体に繰り返し加えられる所定回数の温度サイクルのうち、第1の温度サイクル(第1サイクル)と第2の温度サイクル(第2サイクル)のみを示す。この例では第1及び第2サイクルは同一の負荷勾配のサイクルであるが、両者は相互に異なるサイクルであっても良い。第3の温度サイクル(第3サイクル)以降のサイクルは、第1及び/又は第2サイクルと同様であるので、その図示を省略する。なお、図9は、実際の負荷のサイクル(温度サイクル)の一例である。
【0036】
図2において、時刻to 〜時刻t1 までが第1の温度サイクル(第1サイクル)、時刻t1 〜時刻t2 までが第2の温度サイクル(第2サイクル)である。図2の例では、各温度サイクルにおいて、連続体を温度T1 まで加熱し、所定の時間当該温度T1 に保持し、当該連続体を温度T2 まで冷却し、所定の時間当該温度T2 に保持する。図2において、#1〜#8は時間増分である。時間増分は、解析部11による応力ひずみ解析処理、要素損傷評価部13による累積損傷値Dの算出処理の処理単位となる時間である。
【0037】
なお、連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクルにおいて、現在、応力ひずみ解析処理、損傷評価処理及び/又は剛性変更処理の対象となっているサイクルを、「現サイクル」と言うこととする。また、現サイクルの1個前のサイクルを「直前サイクル」と言い、現サイクルの1個後のサイクルを「次サイクル」と言うこととする。
【0038】
要素損傷評価部(以下、評価部)13は、解析部12による前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、連続体の複数の有限要素の各々について、連続体に生じるひずみによる損傷を評価する。即ち、評価部13は、連続体の複数の有限要素の各々について、累積非線形ひずみ値を算出し、累積非線形ひずみ値に基づいて非線形ひずみ振幅の値を算出し、非線形ひずみ振幅の値に基づいてコフィンマンソン則を用いて損傷値を算出し、損傷値に基づいてその累積値(累積損傷値D)を算出し、累積損傷値Dと予め設定された閾値とを比較する。評価部13による評価結果は、要素剛性変更部14に送られる。
【0039】
具体的には、最初に、評価部13は、周知のように、連続体の複数の有限要素の各々の累積相当クリープひずみ値及び/又は累積相当塑性ひずみ値に基づいて、当該有限要素の累積非線形ひずみ値を算出し、記憶する。このために、評価部13は記憶部(図示せず、以下同じ)を備える。
【0040】
図3は、評価部13が時間の経過に伴って逐次算出する累積非線形ひずみ値の例を示す。この例では、連続体に図2の温度サイクルが加えられた場合の累積非線形ひずみ値を示す。図3に示すように、累積非線形ひずみ値は時間とともに増加する。図3において、εincycle1は、第1サイクルについての計算途中(第1サイクルの時間増分#4についての損傷値の算出処理が終了した時点)の累積非線形ひずみ値である。εincycle2は、第2サイクルについての計算途中(第2サイクルの時間増分#1についての損傷値の算出処理が終了した時点)の累積非線形ひずみ値である。* εincycle1は、第1サイクルについての最終の累積非線形ひずみ値(最終累積非線形ひずみ値)である。
【0041】
次に、評価部13は、記憶した累積非線形ひずみ値に基づいて、連続体の複数の有限要素の各々について、その非線形ひずみ振幅の値を算出し、これに基づいて、コフィンマンソン則を用いて、当該有限要素の損傷値を算出する。この損傷値は、負荷のサイクルの各々において算出される。当該サイクル(現サイクル)までの損傷値を累積したものが累積損傷値Dである。
【0042】
非線形ひずみ振幅の値としては、例えば累積非線形ひずみ値の1/2の値が用いられる。この値は、厳密には累積非線形ひずみ値とは異なるが、累積損傷値Dの算出結果に大きな影響を与える程ではない。これにより、非線形ひずみ振幅の値を算出するための処理時間を短縮することができる。
【0043】
次に、評価部13は、当該有限要素の非線形ひずみ振幅の値に、以下の式で示すコフィンマンソン則を適用して、当該有限要素の繰り返し疲労寿命サイクル数を算出する。この値は、負荷のサイクル毎に算出される。
Nfi =C・(Δεi -n (1≦i≦k) ・・・(式2)
式2において、Nfi は第iの負荷のサイクル(第iサイクル)についての繰り返し疲労寿命サイクル数を示す。Δεi は第iサイクルについての非線形ひずみ振幅の値を示す。C、nは定数である。前述した式1の乗数の項を展開すると、式2のように、非線形ひずみ振幅の値の−n乗に定数を掛けた式の形となる。
【0044】
評価部13は、1/Nfi =1/C・(Δεi -nを第iサイクルについての損傷値として算出する。即ち、繰り返し疲労寿命サイクル数の逆数である。更に、評価部13は、以下の式3を用いて、当該サイクル(現サイクル)までの損傷値を加算することにより、累積損傷値Dを算出し、これを記憶する。
D=1/C・(Δε1 -n+1/C・(Δε2 -n+・・・+1/C・(Δεk -n
・・・(式3)
更に、評価部13は、記憶部に記憶された累積損傷値Dと予め定められた閾値(例えば1)とを比較する。閾値は経験的に定めることができる。この比較の結果は、要素剛性変更部に送られる。
【0045】
要素剛性変更部(以下、変更部)14は、評価部13による前記損傷の評価結果に基づいて、連続体の複数の有限要素の各々について、その剛性を変更する(低下させる)。本発明においては、有限要素の剛性として、例えばヤング率又は降伏応力が用いられる。
【0046】
具体的には、評価部13が累積損傷値Dが閾値以上であると判断した場合、変更部14は、当該有限要素の剛性を所定の値に低下させる。評価部13が累積損傷値Dが閾値以上でないと判断した場合、変更部14は、当該有限要素の剛性を変化させずに、そのままの値とする。
【0047】
変更部14は、当該有限要素の剛性を0に近い値(例えば、当該有限要素の剛性の初期値の1/100の値)に低下させる。即ち、有限要素の剛性の値は0とはされない。これにより、負荷のサイクルの現サイクルの次サイクルにおける応力ひずみ解析処理において、例えば、累積相当クリープひずみ値と累積相当塑性ひずみ値が極端に大きな値(不合理な値)となることを回避することができる。
【0048】
なお、変更部14は、負荷のサイクルの現サイクルについてのき裂進展評価処理で一旦剛性を所定の値に低下させた有限要素については、現サイクルの次サイクル以降についてのき裂進展評価処理において、剛性の値を再度低下させることはしない。
【0049】
このように、変更部14が有限要素の剛性を変更した後、解析部12は、当該有限要素の剛性を変更された連続体について、当該複数の有限要素の各々において、負荷のサイクルの現サイクルの次サイクルによって生じる応力及びひずみを、有限要素法によって解析する。これにより、累積損傷値Dに基づく剛性の変更が、解析部12による応力ひずみ解析処理に反映される。
【0050】
表示部15は、評価部13による前記損傷の評価結果に基づいて、解析モデルを用いて、連続体に生じるき裂の進展状態を表示する。き裂の進展状態は、例えば、連続体の複数の有限要素の各々について累積損傷値Dを表示することにより、表示される。このようなき裂の進展状態は、例えば後述する図10〜図13に示される。
【0051】
また、表示部15は、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する。即ち、表示部15によるき裂の進展状態の表示は、1サイクル毎に又は複数のサイクル(例えば10サイクル)毎に更新され、表示の更新のサイクル数は予め定められる(以下において、同じ)。
【0052】
更に、表示部15は、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に、前記連続体に生じるき裂の長さを算出して表示する。き裂の長さは、例えば、当該連続体の解析モデルにおける累積損傷値が予め定められた閾値以上の有限要素が存在する領域の情報に基づいて、算出される。このような連続体に生じるき裂の長さは、例えば図14に示される。
【0053】
更に、表示部15は、前記き裂の長さと、当該連続体の寸法情報とに基づいて、連続体にき裂が発生して進展し最終的に破断するまでの完全破断寿命を算出する。完全破断寿命は、前述のように、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に算出される。
【0054】
以上の図1の例においては、非線形ひずみ振幅の値として累積非線形ひずみ値の1/2を用いるが、これに代えて、非線形ひずみ振幅の値を、以下のようにして算出するようにしても良い。
【0055】
即ち、評価部13が、連続体の複数の有限要素の各々について、負荷のサイクルの現サイクルにおける累積非線形ひずみ値から、現サイクルの直前サイクルにおける累積非線形ひずみ値を減ずる。これにより、連続体の複数の有限要素の各々について、現サイクルにおける非線形ひずみ振幅の値が算出される。即ち、両者の差分が現サイクルにおける非線形ひずみ振幅の値である。
【0056】
更に、非線形ひずみ振幅の値を、以下のようにして算出するようにしても良い。
【0057】
即ち、評価部13は、連続体の複数の有限要素の各々について、予め設定された順番の負荷のサイクルにおける累積非線形ひずみ値と、予め設定された順番の負荷のサイクルまでのサイクル数とに基づいて、累積非線形ひずみ値の平均値を求める。更に、評価部13は、平均値に基づいて、予め設定された順番の負荷のサイクルにおける非線形ひずみ振幅の値を算出する。
【0058】
この場合、各々の負荷のサイクルについての累積非線形ひずみ値を記憶部に記憶させる処理を不要とすることができる。また、評価部13が、負荷のサイクルの現サイクルについての累積非線形ひずみ値から負荷のサイクルの現サイクルの直前サイクルについての累積非線形ひずみ値を減算する処理を不要とすることができる。
【0059】
また、以上の図1の例においては、累積損傷値Dを式3を用いて算出するが、これに代えて、以下のように算出するようにしても良い。
【0060】
即ち、評価部13が、連続体の複数の有限要素の各々について、負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を所定の値の回数だけ連続体に加えたときの損傷値を、現サイクルにおける損傷値に所定の値を乗じることにより算出する。即ち、この場合における所定の値は、連続体に加えられるサイクル数である。評価部13は、連続体の複数の有限要素の各々について、前記算出した損傷値を、所定の値の回数だけ負荷のサイクルを繰り返した場合における累積損傷値とする。
【0061】
例えば、現サイクルが第15サイクルであり、所定の値が100であるとする。この場合、評価部13は、第15サイクルにおける損傷値の算出処理を行い、これに所定の値100を乗じる(即ち、損傷値を100倍する)。これにより、第1500サイクルにおける累積損傷値Dを算出する。これにより、累積損傷値Dの算出時間を短縮することができる。
【0062】
更に、累積損傷値Dを、以下のように算出するようにしても良い。
【0063】
即ち、評価部13が、連続体の複数の有限要素の各々について、損傷値の変化率を算出する。更に、評価部13は、負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を前記変化率に対応する所定の値の回数だけ連続体に加えたときの損傷値を、現サイクルにおける損傷値に所定の値を乗じることにより算出する。この場合の所定の値もサイクル数である。前記変化率に対応する所定の値は、予め記憶部に記憶され、連続体の複数の有限要素の各々の損傷値の変化率と所定の値との対応情報に基づいて定まる。評価部13は、連続体の複数の有限要素の各々について、前記算出した損傷値を、所定の値の回数だけ負荷のサイクルを繰り返した場合における累積損傷値とする。
【0064】
この場合において、変化率に対応する所定の値は、例えば第1の値N1及び第2の値N2が用意される。第1の値N1は、損傷率の変化率が小さい負荷のサイクルに対応し、大きい値とされる。第2の値N2は、損傷率の変化率が大きい負荷のサイクルに対応し、小さい値とされる。所定の値として、複数の値を用意するようにしても良い。
【0065】
評価部13は、損傷率の変化率が小さい場合、第1の値N1を当該サイクルにおける損傷値に乗じることにより、当該サイクルにおける負荷と同一の負荷をN1回だけ連続体に加えたときの損傷値を算出する。また、評価部13は、損傷率の変化率が大きい場合、第2の値N2を当該サイクルにおける損傷値に乗じることにより、サイクルにおける負荷と同一の負荷をN2回だけ連続体に加えたときの損傷値を算出する。
【0066】
以上により、各々の負荷のサイクルについて損傷値を算出することなく、所定の値の回数だけ負荷のサイクルを繰り返した場合における累積損傷値を得ることができる。従って、累積損傷値の算出時間を短縮することができる。また、複数の所定の値を変化率に応じて使い分けることにより、より正確に累積損傷値を算出する。
【0067】
更に、累積損傷値Dを、以下のように算出するようにしても良い。即ち、前記損傷率の変化率に代えて、非線形ひずみ振幅の値に基づいて、前述のようにして累積損傷値Dを求めるようにしても良い。
【0068】
簡単に説明すると、評価部13が、連続体の複数の有限要素の各々について、負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を非線形ひずみ振幅の値に対応する所定の値の回数だけ連続体に加えたときの損傷値を、現サイクルにおける損傷値に所定の値を乗じることにより算出する。非線形ひずみ振幅の値に対応する所定の値は、予め記憶部に記憶され、連続体の複数の有限要素の各々の損傷値の非線形ひずみ振幅の値と所定の値との対応情報に基づいて定まる。
【0069】
この場合も、例えば、第1の値N1は、非線形ひずみ振幅の値が小さい負荷のサイクルに対応し、大きい値とされる。第2の値N2は、非線形ひずみ振幅の値が大きい負荷のサイクルに対応し、小さい値とされる。所定の値として、複数の値を用意するようにしても良い。
【0070】
評価部13は、前述の場合と同様に、非線形ひずみ振幅の値の大小に応じて、第1又は第2の値N1又はN2を用いて損傷値を算出し、これを累積損傷値とする。これにより、前述の場合と同様の効果を得ることができる。
【0071】
図4及び図5は、本発明のき裂進展評価処理フローの一例を示す図であり、連続体に温度サイクルが加えられた場合のき裂進展評価処理フローを示す。図4に示すステップS1〜ステップS11は図2の第1サイクルについてのき裂進展評価処理であり、図5に示すステップS12〜ステップS21は図2の第2サイクルについてのき裂進展評価処理である。第3サイクル以降についてのき裂進展評価処理は第2サイクルについてのき裂進展評価処理と同様である。
【0072】
解析部12が、連続体の複数の有限要素の各々(全ての有限要素)について、第1サイクルについての応力ひずみ解析を行う(ステップS1)。次に、評価部13が、定数Nを設定し(ステップS2)、累積損傷値Dの初期値を0に設定した上で(ステップS3)、以下のステップS4〜ステップS11までの処理を、連続体の複数の有限要素の各々について行う。
【0073】
即ち、評価部13が、ステップS1における応力ひずみ解析結果に基づいて、第1サイクルについての累積非線形ひずみ値εincycle1を計算する(ステップS4)。即ち、図3に示す第1サイクルの時間増分#4についての損傷値の算出処理が終了した時点における累積非線形ひずみ値εincycle1が計算される。
【0074】
評価部13が、累積非線形ひずみ値εincycle1の1/2を非線形ひずみ振幅の値Δε1 として算出し(ステップS5)、非線形ひずみ振幅の値Δε1 に式2に従うコフィンマンソン則(Nf1 =C・(Δε1 -n)を適用して、繰り返し疲労寿命サイクル数Nf1 を計算する(ステップS6)。更に、評価部13が、値1/Nf1 に定数Nを乗じて累積損傷値Dを計算し、これを記憶部に記憶する(ステップS7)。
【0075】
次に、評価部13が、最終時間増分についての処理が終了したか否かを判断する(ステップS8)。処理が終了していないと判断した場合は、ステップS4に戻る。処理が終了した場合、評価部13は、累積非線形ひずみ値を、第1サイクルについての最終累積非線形ひずみ値* εincycle1として記憶する(ステップS9)。
【0076】
次に、評価部13が、累積損傷値Dが1以上であるか否かを判断する(ステップS10)。累積損傷値Dが1以上でない場合、図5に示すステップS12に進む。累積損傷値Dが1以上である場合、変更部14が、当該連続体の複数の有限要素の各々の剛性を所定の値に低下させて(ステップS11)、図5に示すステップS12に進む。
【0077】
図5に示すステップS12において、解析部12が、連続体の複数の有限要素の各々について、第2サイクルについての応力ひずみ解析を行い(ステップS12)、以下のステップS13〜ステップS21までの処理を、連続体の複数の有限要素の各々について行う。
【0078】
即ち、評価部13が、応力ひずみ解析の結果に基づいて、第2サイクルについての累積非線形ひずみ値εincycle2を計算する(ステップS13)。即ち、図3に示す第2サイクルの時間増分#1についての損傷値の算出処理が終了した時点における累積非線形ひずみ値εincycle2が計算される。
【0079】
次に、評価部13が、第1サイクルについての最終累積非線形ひずみ* εincycle1を記憶部から読み出し(ステップS14)、εincycle2* εincycle1との差の1/2を非線形ひずみ振幅の値Δε2 として算出する(ステップS15)。更に、評価部13が、非線形ひずみ振幅の値Δε2 に式2に示すコフィンマンソン則(Nf2 =C・(Δε2 -n)を適用して、繰り返し疲労寿命サイクル数Nf2 を計算する(ステップS16)。更に、評価部13が、累積損傷値D(D=N/Nf1 +N/Nf2 )を計算し、これを記憶する(ステップS17)。
【0080】
次に、評価部13が、最終時間増分についての処理が終了したか否かを判断する(ステップS18)。処理が終了していない場合は、ステップS13に戻る。処理が終了したと判断した場合、評価部13は、累積非線形ひずみ値を記憶する(ステップS19)。
【0081】
次に、評価部13が、累積損傷値Dが1以上であるか否かを判断する(ステップS20)。累積損傷値Dが1以上でない場合、ステップS22に進む。累積損傷値Dが1以上である場合、変更部14が、当該連続体の複数の有限要素の各々の剛性を所定の値に低下させて(ステップS21)、第3サイクルについてのき裂進展評価処理へ進む(ステップS22)。なお、表示部15は、例えば前記ステップS21の後、連続体の各々の有限要素の累積損傷値を、当該連続体に生じるき裂の進展状態を示す情報として表示する。
【0082】
図4及び図5の例において、第1サイクルにおいて剛性を所定の値に低下させた有限要素(図4のステップS11参照)は、解析モデルから削除されず、第2サイクル以降のサイクルにおいても累積損傷値Dの算出処理の対象とされる(図5のステップS17参照)。このように、剛性を所定の値に低下させた有限要素を解析モデルから削除しないので、連続体の解析モデルを再度作成する処理を不要とすることができる。
【0083】
また、図4及び図5の例においては、第1サイクルにおいて剛性を所定の値に低下させた有限要素も、第2サイクルにおける応力ひずみ解析の対象とされる(図4のステップS11、図5のステップS12参照)。第2サイクルにおける当該解析結果は、第1サイクルにおいて剛性を低下させなかった有限要素の当該解析結果とは、当然に異なる。累積損傷値Dは、当該解析結果に基づいて算出されるので(図5のステップS17参照)、ある有限要素の剛性の低下は、他の有限要素の累積損傷値Dに影響を及ぼす。これにより、有限要素を解析モデルから削除することなく、剛性を所定の値に低下させるのみで、連続体の解析モデルを再度作成する処理を不要とすることができる。
【0084】
図6は、本発明のき裂進展評価処理フローの他の例を示す図である。この例では、連続体に温度サイクルが加えられた場合、図4及び図5の処理のように第1及び第2サイクルを区別することなく、き裂進展評価処理を行う。
【0085】
解析部12が、連続体の複数の有限要素の各々について、予め設定された第kサイクルについて応力ひずみ解析を行う(ステップS31)。更に、評価部13が、定数Nを設定し(ステップS32)、累積損傷値Dの初期値を0に設定した上で(ステップS33)、以下のステップS34〜ステップS40までの処理を連続体の複数の有限要素の各々について行う。
【0086】
即ち、評価部13が、ステップS31における応力ひずみ解析結果に基づいて、第kサイクルについての累積非線形ひずみ値εincyclekを計算し(ステップS34)、これを用いて、εincyclek/2kを第kサイクルについての非線形ひずみ振幅の値Δεk として算出する(ステップS35)。更に、評価部13が、非線形ひずみ振幅の値Δεk に式2に示すコフィンマンソン則(Nfk =C・(Δεk -n)を適用して、繰り返し疲労寿命サイクル数Nfk を計算し(ステップS36)、これを用いて累積損傷値D(D=k・N/Nfk )を計算し、これを記憶する(ステップS37)。
【0087】
次に、評価部13が、最終時間増分についての累積損傷値Dの算出処理が終了したか否かを判断する(ステップS38)。処理が終了していない場合、ステップS34に戻る。処理が終了した場合、評価部13は、累積損傷値Dが1以上であるか否かを判断する(ステップS39)。累積損傷値Dが1以上でない場合、ステップS41へ進む。累積損傷値Dが1以上である場合、変更部14が、当該連続体の複数の有限要素の各々の剛性を所定の値に低下させて(ステップS40)、次サイクルについてのき裂進展評価処理へ進む(ステップS41)。
【0088】
次に、本発明のき裂進展評価装置1による電子部品のはんだ接合部について、具体的なシミュレーションを行った結果を、図7〜図14を参照して説明する。
【0089】
この例では、き裂進展評価装置1は、BGA(Ball Grid Array )パッケージのはんだ接合部のき裂進展シミュレーションを実施する。当該き裂進展シミュレーションにおいて、き裂進展評価装置1は、例えば、所定の値(サイクル数)を100に設定して、15サイクル分の温度サイクルについてき裂進展評価処理を行い、1500サイクル分の温度サイクルをはんだ接合部に加えたときのき裂の進展を評価する。
【0090】
図7は、当該き裂進展シミュレーションにおいてき裂進展評価装置1が作成するBGAパッケージの解析モデルを示す図である。き裂進展評価装置1の作成部11は、図7に示すように、電子部品(半導体チップ)100、実装基板101、はんだ接合部102からなる解析モデルを作成する。実際には、図7は表示部15がそのディスプレイ上に表示する画面である。図7において、画面の右端は、当該解析モデルの有限要素を色分けして表示するために、その番号に応じて色分けされたバーを示す(図8において同じ)。
【0091】
図8は、図7に示すBGAパッケージの解析モデルの部分拡大図である。当該き裂進展シミュレーションでは、き裂進展評価装置1は、はんだ接合部102のはんだ材料であるSnPbの共晶はんだを連続体として、当該はんだ接合部102に生じるき裂について、き裂進展評価処理を行う。
【0092】
なお、図8に示す解析モデルにおけるはんだ接合部102を更に拡大して示すと、図15に等しくなる。即ち、図15は、図8に示す解析モデルの更なる部分拡大図である。図10〜図13は、図15に対応し、当該解析モデルについての本発明によるき裂進展評価の結果を示す。
【0093】
図9は、はんだ接合部102に加えられる温度サイクルを示す図である。当該温度サイクルの1サイクルにおいて、はんだ接合部102は、−40℃に約30分間保持された後に、125℃に約30分間保持される。実際の1サイクルの時間は約1.16時間である。き裂進展評価装置1は、図9に示す温度サイクルの温度条件を、はんだ接合部102に加えられる負荷の情報として用いて、き裂進展評価処理を行う。
【0094】
図10〜図13は、き裂進展シミュレーションの結果を示す図である。実際には、図10〜図13は、表示部15がそのディスプレイ上に表示する画面である。図10〜図13において、画面の右端は、はんだ接合部102の有限要素の累積損傷値Dの大きさを色分けして表示するために、有限要素の番号に応じて色分けされたバーを示す。
【0095】
当該バーにおいて、斜線を施した領域は、累積損傷値Dが予め定められた閾値以上の値であることを示す。図10に示すはんだ接合部102において、バーにおける斜線領域と同一の斜線を施された領域は、当該予め定められた閾値以上の累積損傷値Dを有する有限要素(剛性が0に近い値とされた有限要素)が存在する領域である。従って、はんだ接合部102における斜線領域が、き裂が発生した(進展した)箇所を示す。
【0096】
図10、図11、図12及び図13は、各々、200サイクル終了時点、500サイクル終了時点、700サイクル終了時点、及び、900サイクル終了時点におけるはんだ接合部102の有限要素のき裂進展状態を示す。図10〜図13を参照すると、はんだ接合部102に加えられる温度サイクルのサイクル数が増加するにつれて、き裂の箇所が拡大する(進展する)ことが判る。
【0097】
図14は、当該き裂進展シミュレーションにおいてき裂進展評価装置が算出する、予め定められたサイクル数毎のはんだ接合部に生じるき裂の長さを示す図である。き裂進展評価装置1の表示部15は、例えば図10〜図13に示すき裂の進展箇所の領域情報に基づいて、はんだ接合部102に生じるき裂の長さを算出し、表示する。図14において、曲線200はき裂進展評価装置1が算出するき裂の長さを示し、曲線201はき裂の長さの実測値を示す。本発明のき裂進展評価装置1によれば、およそ正しくき裂の進展状態のシミュレーションを行うことが可能であることが判る。
【0098】
以上から把握できるように、本発明の実施形態の特徴を述べると以下の通りである。
【0099】
(付記1)連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価装置であって、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成するモデル作成部と、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する解析部と、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する評価部と、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する表示部とを備える
ことを特徴とするき裂進展評価装置。
【0100】
(付記2)当該き裂進展評価装置が、更に、
前記解析モデルを用いた損傷の評価結果に基づいて、前記連続体の複数の有限要素の各々の剛性を変更する変更部を備え、
前記解析部が、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷により前記剛性が変更された前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記現サイクルの次サイクルの負荷により生じる応力及びひずみを解析する
ことを特徴とする付記1に記載のき裂進展評価装置。
【0101】
(付記3)前記変更部が、前記連続体の複数の有限要素の各々のヤング率又は降伏応力を変更することにより、前記剛性を変更する
ことを特徴とする付記2に記載のき裂進展評価装置。
【0102】
(付記4)前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、累積非線形ひずみ値を算出し、前記累積非線形ひずみ値に基づいて非線形ひずみ振幅の値を算出し、前記非線形ひずみ振幅の値に基づいてコフィンマンソン則を用いて損傷値を算出し、前記損傷値に基づいてその累積値を算出し、前記累積値と予め設定された閾値とを比較し、
前記変更部が、前記比較結果に基づいて、前記連続体の複数の有限要素の各々について、その有限要素の剛性を変更する
ことを特徴とする付記2に記載のき裂進展評価装置。
【0103】
(付記5)前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記負荷のサイクルの現サイクルにおける累積非線形ひずみ値から前記現サイクルの直前サイクルにおける累積非線形ひずみ値を減ずることにより、前記現サイクルにおける前記非線形ひずみ振幅の値を算出する
ことを特徴とする付記4に記載のき裂進展評価装置。
【0104】
(付記6)前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、予め設定された順番の負荷のサイクルにおける前記累積非線形ひずみ値と、前記予め設定された順番の負荷のサイクルまでのサイクル数とに基づいて、前記累積非線形ひずみ値の平均値を求め、前記平均値に基づいて前記予め設定された順番の負荷のサイクルにおける前記非線形ひずみ振幅の値を算出する
ことを特徴とする付記4に記載のき裂進展評価装置。
【0105】
(付記7)前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を所定の値の回数だけ前記連続体に加えたときの損傷値を、前記現サイクルにおける前記損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する
ことを特徴とする付記4に記載のき裂進展評価装置。
【0106】
(付記8)前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記損傷値の変化率を算出し、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を前記変化率に対応する所定の値の回数だけ前記連続体に加えたときの損傷値を、前記現サイクルにおける前記損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する
ことを特徴とする付記4に記載のき裂進展評価装置。
【0107】
(付記9)前記変化率に対応する所定の値は、予め記憶部に記憶され、前記連続体の複数の有限要素の各々の前記損傷値の変化率と所定の値との対応情報に基づいて定まる
ことを特徴とする付記8に記載のき裂進展評価装置。
【0108】
(付記10)前記表示部が、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する
ことを特徴とする付記1に記載のき裂進展評価装置。
【0109】
(付記11)前記表示部が、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に、前記連続体に生じるき裂の長さを算出して表示する
ことを特徴とする付記1に記載のき裂進展評価装置。
【0110】
(付記12)前記表示部が、前記き裂の長さと前記連続体の寸法情報とに基づいて、前記連続体の完全破断寿命を算出する
ことを特徴とする付記11に記載のき裂進展評価装置。
【0111】
(付記13)前記連続体が、電子部品のはんだ接合部からなる
ことを特徴とする付記1に記載のき裂進展評価装置。
【0112】
(付記14)連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価方法であって、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成し、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析し、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価し、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する
ことを特徴とするき裂進展評価方法。
【0113】
(付記15)連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価プログラムであって、
前記プログラムは、コンピュータに、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成する処理と、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する処理と、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する処理と、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する処理とを、実行させる
ことを特徴とするき裂進展評価プログラム。
【0114】
(付記16)連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体であって、
前記プログラムは、コンピュータに、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成する処理と、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する処理と、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する処理と、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する処理とを、実行させる
ことを特徴とするき裂進展評価プログラムを記録した記録媒体。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上、説明したように、本発明のき裂進展評価装置によれば、例えば、はんだ接合部にき裂が進展して最終的に破断するまでのき裂の進展状態を精度良く表示することができる。その結果、はんだ接合部の完全破断寿命を精度良く予測することができる。
【0116】
また、本発明のき裂進展評価装置によれば、例えば、はんだ接合部に生じるき裂の進展状態やき裂の進展方向を予め定められた負荷のサイクル毎に表示できるため、はんだ接合部において設計変更による補強が必要な箇所を容易に認識することができる。また、設計変更後のはんだ接合部に対して本発明のき裂進展評価装置を適用すれば、はんだ接合部の設計変更の影響を容易に認識することができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】本発明のき裂進展評価装置の構成の一例を示す図である。
【図2】連続体に加えられる温度サイクルの一例を示す図である。
【図3】累積非線形ひずみ値の一例を示す図である。
【図4】本発明のき裂進展評価処理フローの一例を示す図である。
【図5】本発明のき裂進展評価処理フローの一例を示す図である。
【図6】本発明のき裂進展評価処理フローの他の一例を示す図である。
【図7】BGAパッケージの解析モデルを示す図である。
【図8】BGAパッケージの解析モデルの部分拡大図である。
【図9】はんだ接合部に加えられる温度サイクルを示す図である。
【図10】き裂進展シミュレーションの結果を示す図である。
【図11】き裂進展シミュレーションの結果を示す図である。
【図12】き裂進展シミュレーションの結果を示す図である。
【図13】き裂進展シミュレーションの結果を示す図である。
【図14】サイクル数毎のはんだ接合部に生じるき裂の長さを示す図である。
【図15】はんだ接合部の解析モデルを示す図である。
【符号の説明】
【0118】
1 き裂進展評価装置
11 解析モデル作成部
12 応力ひずみ解析部
13 要素損傷評価部
14 要素剛性変更部
15 き裂進展表示部
100 電子部品
101 基板
102 はんだ接合部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価装置であって、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成するモデル作成部と、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する解析部と、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する評価部と、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する表示部とを備える
ことを特徴とするき裂進展評価装置。
【請求項2】
当該き裂進展評価装置が、更に、
前記解析モデルを用いた損傷の評価結果に基づいて、前記連続体の複数の有限要素の各々の剛性を変更する変更部を備え、
前記解析部が、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷により前記剛性が変更された前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記現サイクルの次サイクルの負荷により生じる応力及びひずみを解析する
ことを特徴とする請求項1に記載のき裂進展評価装置。
【請求項3】
前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、累積非線形ひずみ値を算出し、前記累積非線形ひずみ値に基づいて非線形ひずみ振幅の値を算出し、前記非線形ひずみ振幅の値に基づいてコフィンマンソン則を用いて損傷値を算出し、前記損傷値に基づいてその累積値を算出し、前記累積値と予め設定された閾値とを比較し、
前記変更部が、前記比較結果に基づいて、前記連続体の複数の有限要素の各々について、その有限要素の剛性を変更する
ことを特徴とする請求項2に記載のき裂進展評価装置。
【請求項4】
前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記負荷のサイクルの現サイクルにおける累積非線形ひずみ値から前記現サイクルの直前サイクルにおける累積非線形ひずみ値を減ずることにより、前記現サイクルにおける前記非線形ひずみ振幅の値を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のき裂進展評価装置。
【請求項5】
前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、予め設定された順番の負荷のサイクルにおける前記累積非線形ひずみ値と、前記予め設定された順番の負荷のサイクルまでのサイクル数とに基づいて、前記累積非線形ひずみ値の平均値を求め、前記平均値に基づいて前記予め設定された順番の負荷のサイクルにおける前記非線形ひずみ振幅の値を算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のき裂進展評価装置。
【請求項6】
前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を所定の値の回数だけ前記連続体に加えたときの損傷値を、前記現サイクルにおける前記損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のき裂進展評価装置。
【請求項7】
前記評価部が、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記損傷値の変化率を算出し、前記負荷のサイクルの現サイクルの負荷と同一の負荷を前記変化率に対応する所定の値の回数だけ前記連続体に加えたときの損傷値を、前記現サイクルにおける前記損傷値に前記所定の値を乗じることにより算出する
ことを特徴とする請求項3に記載のき裂進展評価装置。
【請求項8】
前記表示部が、予め定められた1又は複数の負荷のサイクル毎に、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する
ことを特徴とする請求項1に記載のき裂進展評価装置。
【請求項9】
連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価方法であって、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成し、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析し、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価し、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する
ことを特徴とするき裂進展評価方法。
【請求項10】
連続体に生じるき裂の進展を評価するき裂進展評価プログラムであって、
前記プログラムは、コンピュータに、
連続体に生じる応力及びひずみの有限要素法による解析に用いられる解析モデルであって、前記連続体を複数の有限要素に分割した解析モデルを作成する処理と、
前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、当該負荷によって前記連続体の複数の有限要素の各々に生じる応力及びひずみを有限要素法によって解析する処理と、
前記解析結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に繰り返し加えられる負荷のサイクル毎に、前記連続体の複数の有限要素の各々について、前記連続体に生じるひずみによる損傷を評価する処理と、
前記損傷の評価結果に基づいて、前記解析モデルを用いて、前記連続体に生じるき裂の進展状態を表示する処理とを、実行させる
ことを特徴とするき裂進展評価プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2008−170242(P2008−170242A)
【公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−2965(P2007−2965)
【出願日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【出願人】(000005223)富士通株式会社 (25,993)
【Fターム(参考)】