説明

こたつ布団

【課題】椅子使用タイプのこたつに関し、足のふくらはぎ部分の下方から冷気の侵入を防いで暖かさに優れ、足の出し入れの容易なこたつ布団を提供する。
【解決手段】こたつに掛けた時に垂れ下がる側面6Aに、下縁から所定高さまで開口し使用者が椅子に座ったまま両足を内部に挿入可能な空間を形成する足挿入部2Aが設けられたこたつ布団1Aにおいて、足挿入部2Aは弾性体が少なくとも幅方向に渡されて幅方向に縮小した布部材からなる別布8Aで下縁側から一定の高さで幅方向に渡されて塞がれ、別布8Aの上辺上側に所定サイズの空間である足差込口25Aを形成し、使用者が別布8Aの上辺側を下向きに付勢することで足差込口25Aが下方向に拡大して椅子に座ったまま両足を内部に差込み可能なサイズとなり、付勢力を解除することで足差込口25Aが弾性体の復元力で上方向に縮小して、足挿入部2Aにおける下側からの外気の侵入を防ぐものとした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、こたつ布団に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のこたつ布団は、特開2001−235158号公報や実登3063572号公報に記載されているように、こたつに入るときこたつ布団の側面全体を持ち上げて使用する場合、椅子を使用するこたつでは椅子とこたつ布団との間に隙間ができて足の裏側が寒く、また足挿入部になる一つの切り込みに足を入れる場合は下からの冷気の侵入を防ぐ形状の椅子が必要となるため、椅子が重く取扱いに不便であり、いずれもその隙間部分を完全に塞げる形状のこたつ布団はなく暖かさと省エネ性に欠けていた。また、上からその切り込みに掛けて覆う布団は、こたつの上部の辺縁部に縫いつけたものであり、掛けたときに密着せずに横からの防寒性に欠け、且つ、こたつの形に縫われているので布団が広がらず寝ころんで使用できないものであった。
【特許文献1】特開2001−235158号公報
【特許文献2】実登3063572号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は、上記のような問題点を解決しようとするものであり、椅子使用タイプのこたつに関し、足のふくらはぎ部分の下方から冷気の侵入を完全に防ぐことを可能として、暖かさに優れしかも足の出し入れが容易なこたつ布団を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
そこで、本発明は、椅子を使用するこたつに用いるこたつ布団であって、こたつに掛けた時に垂れ下がる側面に、その下縁から所定高さまで開口し使用者が椅子に座ったまま両足を内部に挿入可能な空間を形成する足挿入部が設けられたこたつ布団において、その足挿入部は、弾性体が少なくとも幅方向に渡されて設けられ幅方向に縮小し少なくとも幅方向に弾性伸縮性を備えた別布で、下縁側から一定の高さで幅方向に渡されて塞がれているとともに、その別布の上辺上側に所定サイズの空間である足差込口を形成しており、使用者が別布の上辺側を下向きに付勢することでこの足差込口が下方向に拡大して椅子に座ったまま両足を内部に差込み可能なサイズとなり、付勢力を解除することで足差込口が弾性体の復元力で上方向に縮小して、足挿入部における下側からの外気の侵入を防ぐようにした。
【0005】
これにより、例えば使用時に足差込口から別布の上辺に足を掛けて別布を引き下げて足差込口を下方向に拡大させ、足を差込んでから後足を外せば別布の弾性復元力で足差込口が上方向に縮小することから、下方向からの外気の侵入を殆ど遮断することができ、足のふくらはぎ裏側が冷たくなることがなくこたつ内部の暖かさを確保しやすいものとなる。
【0006】
一方、こたつに掛けたときに垂れ下がるこたつ布団の側面に、こたつの足から側面の中心方向に適度な幅をとって2箇所以上の切り込み入れ、切り込みの間を膝掛け布団とし、それを持ち上げて出来る空間を足差込み部分である足挿入部とし、空間の上部は足差込口となり、下部には別布を足挿入部の左右の布団に繋ぎ合わせ、下からの冷気を完全に塞ぐ様にする。別布は、布の1部か上辺を踏み込むことで高さを自由に低く出来る作りの布で、足の出し入れが容易な布団になる。また、膝掛け布団の左右の側辺に他の別布である布部材を取り付け、足差込口を挟む様に膝掛け布団以外の側面上か足差込み口の別布との両方に取付ける事で、足差込口の上と左右を囲み横からの冷気を防ぎ、足脚部を包み込む様に体に密着して暖かい布団となる。こたつの足を挟んで90度に接する2つの側面を、取り外せるゴム等の弾性体の留め具で繋ぎ合わせることで布団を固定し側面が弛まないようにした。また留め具を外すと十分に広がるこたつ布団となり上記課題を解決した。
【0007】
また、上述したこたつ布団において別布を弾性糸を編成または織成してなり生地自体が弾性収縮する布部材からなるものとすれば、ゴム等の弾性体を別途設ける必用がないとともに、取付け状態で皺やたるみが少なく、外観に優れたものとなる。
【0008】
さらに、切り込みの間を膝掛け布団としない上述したこたつ布団において、その側面の足挿入部の周囲所定位置から延設され少なくとも表面が布製の足挿入部を覆う覆い部材を設け、非使用時は少なくとも足挿入部の足差込口の総てを覆い、使用時にはこれを開くことで足差込口を露出させて足が差込み可能となるものとすれば、足差込口から外気が侵入することを最小限に抑えることができ、この覆い部材を、足挿入部の上方位置から下方向に延出され通常時は下垂し使用時には膝掛け布団となるものとすれば、使用者の足の露出部分が減ってさらに暖かいものとなる。
【0009】
さらにまた、上述したこたつ布団において、電源に接続可能なスイッチ手段に接続された電熱線が別布の弾性伸縮による変形に追従可能な状態で別布に配設されて電熱回路を形成し、電源に接続されたスイッチ手段をONとすることで通電して別布が発熱するものとすれば、別布を厚くすることなく足挿入部からの温度低下が回避できるとともに、こたつ布団本体を厚くしたり他に外掛け布団や内掛け布団を併用したりすることなくこたつ内を暖かい状態に維持しやすいものとなる。
【0010】
加えて、上述したこたつ布団において、二人以上の使用者が並んで同時に両足を挿入可能な幅を有する足挿入部を備えているものとすれば、長方形で長辺の1側面に複数人が使用する大型こたつに対しても、簡易な構成で対応可能なものとなる。
【0011】
さらに加えて、上述したこたつ布団は、外掛け布団または内掛け布団であるものとすれば、これよりも厚い通常のこたつ布団と組み合わせる場合であっても、上述した作用・効果を簡易且つ低コストで実現することができるとともに、秋や春などの本格的な暖房を要さない時期における単独使用に適したものとなる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によると、足の出し入れが容易であるとともに足の裏側からの冷気の侵入を完全に防ぐことのできる、暖かいこたつ布団を提供できるものである。
【0013】
即ち、本発明のこたつ布団を使用すると、足の裏側からの冷気を完全に塞ぐことができて暖かく省エネになる。また、足挿入部の下の別布に表面と裏側にタックを設けたことにより足で踏み込みやすく足の出し入れが簡単で膝への負担の少ないこたつ布団となり、膝掛け布団と他の別布である布部材とで足脚部を包み込むようにしたことで、布団が体に密着して暖かい。さらに、このような椅子使用のこたつの場合、下からの冷気を防ぐために冷気防止用の板付きの椅子を使用するが、椅子が重く動かしにくい欠点があるところ、本発明のこたつ布団を使うと普通の椅子でもよく、見た目がスッキリとして重くなく、夏場にダイニングテーブルとしても違和感がない椅子テーブルセットになる。さらに、椅子使用のこたつは寝ころんで使用出来ないと思われがちなところ、本発明のこたつ布団は留め具を外す事で充分に広がり、従来のこたつのように寝ころんでも使用できるようになった。さらにまた、弾性体の留め具を使う事でこたつ布団をすっきりまとめ、スペースもとらないし、一枚の布団で切り取り部分がでないものとして布を無駄にせず、型縫い縫製をしないものとして合理的なものとなる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下に、図面を参照しながら本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0015】
図1乃至図3は、本発明における第一の実施の形態のこたつ布団1Aを示している。図1(A)はこたつ布団1Aを椅子使用タイプのこたつである高足こたつに掛けた状態の正面図を示しており、図1(B)はこたつ布団1Aの使用状態における図1(A)のX−X線に沿う方向からの断面図を示している。図1(A)を参照して、こたつ布団1Aは、例えば2枚の布の間に綿等の断熱材を挟み込んでなる断熱性に富む布部材からなり、こたつに掛けたときに垂れ下がる4つの側面6A,6A,6A,6Aに、それぞれ使用者が椅子に座った状態でこたつ内部に足を挿入するための空間となる足挿入部2Aが側面6Aの下縁から一定の高さで設けられているが、その下側の半分以上が、外気遮断部材としての別布8Aが幅方向に渡されて塞がれているとともに、足挿入部2Aにおいて別布8Aの上方に開口した足差込口25Aを、覆い部材3Aで開閉可能としている点を特徴としている。
【0016】
図2(A)の覆い部材3Aが上方向に開放した状態のこたつ布団1Aを示す正面図を参照して、足挿入部2Aは、こたつ布団1Aの側面6Aの下縁から使用者の膝上の高さくらいまで略方形状に切り欠くことにより設けられている。そして、この足挿入部2Aの下側半分以上を塞ぐ別布8は、足挿入部2Aの幅の1.5倍〜3倍の布がゴム紐などの弾性体70を幅方向に伸展した状態で渡して設けられ、これが収縮することで幅方向に縮小して足挿入部2Aの幅よりもやや大きい状態となって、側面6Aの裏側に少なくともその両端側を固定されている。
【0017】
別布8Aは、例えば方形の布を中央で上下に折って2重とし、その折り目の内側にゴム紐またはゴムバンドなどの紐状または帯状の弾性体70を挿入してその部分を袋縫いとするか、一枚の断熱性に富む布の上辺付近を折り返して袋縫いとしてその内側に弾性体70を通すこと等で容易に作成することができ、これを留め金具等の固定手段やミシン縫いなどにより足挿入部2A左右の布団本体部分に弾性体70の両端部とともに固定することで取付けられる。
【0018】
別布8Aの高さは、例えば使用者が座って膝が直角になった状態で床から太ももの裏側くらいまでの高さとすれば、下側から外気が侵入してふくらはぎの裏側が冷たくなることを充分に防止できるものとなる。そして、別布8Aの上方に形成される足差込口25Aの縦幅は、例えば図1(B)に示すように使用者の太ももの厚さ程度とすれば、使用状態において外気が侵入する隙間を最小とすることができる。
【0019】
側面6Aの足差込口25Aの上側から、図1(A)に示すような足差込口25Aを総て覆う形状の、例えば断熱性に富む布部材からなる覆い部材3Aが延設されて、上下に開閉可能に設けられ、非使用時に下垂して足差込口25Aを総て覆い、足差込み時には図2(A)に示すように上方向に開いて足差込口25Aを露出させ、使用時には図1(B)に示すように使用者の膝の上に載って、膝掛け布団となる。
【0020】
そして、足差込口25Aは膝の高さ位置の縦幅がふとももの厚さ程度しかないことから、使用者が椅子に座ったまま足を差込みにくいようにも見えるが、少なくとも幅方向に所定範囲で弾性伸縮可能とされた別布8Aが、その上辺付近を足で踏み込む等して下方向に付勢されることで、図2(B)に示すように下方向に拡大して使用者が椅子に座ったまま両足を差込みやすいものとなり、付勢を解除することで、図2(A)および図1(B)に示すような状態に戻り、こたつ内部への外気の侵入を最小限とした点が本発明の重要な特徴部分となっている。
【0021】
即ち、使用者は覆い部材3Aを持ち上げて足差込口25Aを露出させ足で別布8Aを踏み込むこと等により、椅子に座ったままの状態で容易に足差込口25Aを下方向に拡大させ、容易に両足を差込んでこたつ内に挿入することができ、別布8Aが戻ることにより足差込口25Aを縮小して外気の侵入を最小限としてこたつを暖かく使用することが出来るものである。また、使用中は覆い部材3Aが膝掛け布団となるため、膝上も暖かいものとなり、非使用時には覆い部材3Aが足差込口25Aを完全に覆うため、こたつ内の暖気が外部に漏れにくいものとなる。
【0022】
尚、本実施の形態において、こたつ布団1Aの4つの側面6A,6A,6A,6Aは、それぞれ略方形に裁断されたものでもよいが、こたつ布団1A全体を平面に広げた状態において全体として略方形とし、こたつに掛けた時に角部の略扇形または略菱形の余り部分を内側に折り込むようにしてもよい。そして、いずれの場合も、隣り合う側面6A,6A同士の側線部分を引き寄せた状態で係合させるためのファスナーやホック、或いは係合ベルト等の係合部材を使用してこたつに固定することにより、すっきりとしたコンパクトな状態でこたつに掛けることが可能となる。
【0023】
本実施の形態の応用例として、外気遮断手段としての別布を、図3(A)に示すように、例えばポリウレタン繊維等からなる弾性糸を編成または織成して得た弾性伸縮性に富む布部材からなり、取付け状態において平坦になる別布8Cとすることにより、弾性体70を設ける必要がないとともに幅方向に縮小した取付け状態における縦皺を小さくまたは少なくして、外観に優れたものとすることができ、また、図3(B)に示すように、足挿入部を2人以上の使用者が並んで同時に両足を挿入して使用できる幅の足挿入部2Dとし、別布をこれに合わせたサイズの別布8Dとすれば、大型長方形のこたつでも簡易な構成且つ低コストで対応可能となり、さらに、図3(C)に示すように、別布を、その表面および裏面の所定位置に少なくとも1本ずつ紐状またはベルト状の部材が湾曲されて中央部が突出するように両端を固定され幅方向に設けられてなる足掛け部17eを備えた別布8Eとすれば、その上辺よりも低い位置の足掛け部17eに足を掛けることで別布の踏み込み動作が容易となり、さらにまた、これらの各応用例を適宜組み合わせることで、各作用を同時に発揮させることもできる。
【0024】
加えて、図4(A)に示すように、足挿入部は方形のものに限らず使用者が椅子に座ったまま両足を挿入可能な形状であれば、例えば上部が円弧状の足挿入部2Cであってもよく、そして、覆い部材も、少なくとも非使用時に足差込口を完全に覆うものであれば、例えば図4(A),(B)に示すように左右から観音開き状に開閉する覆い部材3C,3Dの組合せであってもよい。尚、上述した各覆い部材は、こたつ布団本体とは別体の部材をこたつ布団本体に取付けて設けることに限定されず、こたつ布団本体に足挿入部を作成する際にスリットまたは切り込みを入れた際に切断されずに残った部分を開閉の要とし、元々こたつ布団本体の一部であったものが所定の形状にカットされ覆い部材として利用されることも含むことは言うまでもない。
【0025】
次に、本発明の第二の実施の形態について、図5乃至図8を用いて説明する。
【0026】
図5は本実施の形態のこたつ布団1Bをこたつに掛けた時を示す図で、3Bは足脚部の膝掛け布団になる部分の覆い部材であり、こたつの縁11aから切り込み12a,12bを側面に入れた切り込み間の布団で、それを持ち上げた時に出来る空間としての足挿入部2Bの足差込口25Bと、下部に8Bの別布で作られて足挿入部2Bの左右の布団を繋ぎ合わせた布が冷気を塞ぐように取付けられている。切り込み12a,12bを入れるとき大切なのは、こたつの足60に接する側面6Bから側面6Bの中心に向かって適切な幅7をとって切り込む事で、これに別布8Bを取付ける部分が出来るとともに、こたつ布団1Bを固定する要となる。幅7は、側辺の左右にそれをとっても十分な足差込口25Bができる幅とする。そこに、弾性体の留め具13a,13bを取付ける事ができる。切り込みの形はどんな形でもよく、各側面6Bに適切な数だけ取付け、切り込みの上辺30は、こたつ上面15まででもいいし側面6の途中まででも良い。足差込口25Bは縦幅15cm以上で横幅は両足を入れて十分ゆとりがある広さとする。
【0027】
布部材5a,5bは保温性のある布で、形が4分の1円か、1つの角を作る2辺とその角の二等分線の長さが等しい4角形で、足差込口25Bに取付けた時、内側になる布の真ん中あたりに、1辺の5分の4位の長さのつまみ縫い14を縁までして、こたつに掛けたとき自然に内側に折りたたまる様にする。5a,5bの布部材は1つの角を作る2辺の長さが膝掛け布団の側辺の長さと同じで、膝掛け布団になる覆い部材3Bの左右の側辺と覆い部材3B以外のこたつ布団の側面上に、それぞれ全長を繋ぎ合わせる。それにより、足差込口25Bの左右と上を囲むようにし、横からの冷気を防ぎ、足脚部に密着して、暖かい掛け布団になる。
【0028】
膝掛け布団になる覆い部材3Bの左右の側辺4a,4b又はその周囲に、布部材5a,5bが付きもう一方をこたつ布団1B本体の覆い部材3B以外の側面6B上に取付け、足差込口25Bの上と左右を囲み横からの冷気を防止し、覆い部材3Bと一緒に足脚部に密着し包み込んで暖かく使用できる。長方形の長い側面の場合には3本または4本の切り込みを入れる。4本のときは前記と同様にする。3本のときは真ん中の切り込みの左右の側辺に付けた布部材5b,5a同士を繋ぎ合わせ、それを足差込口25Bの別布8Bにとりつけて足差込口25Bを囲む。
【0029】
図6はこたつ布団1Bの展開図で、正方形または長方形の四角を曲線16に切ったもので留め具13aとスナップボタン等の留め具18a,18bは布団の裏に付き、留め具13bは表地に付ける。各四角も同様にする。
【0030】
図7は足挿入部2Bを塞ぐ別布8Bの正面図で、こたつ布団1B本体と繋ぎ合わせた状態を示す。これにより、上方に4辺が囲まれた足差込口25Bができる。10が別布8Bの上辺で9a,9bは表のタックを示す。上辺10と表のタック9a,9bの下部にゴム等の弾性体23a,23b,23cをそれぞれ通す(図8参照)。19a,19b,19c,19dは、ミシン掛けしないタック上辺部で、これにより布を寄せた時たるみ部分17a,17b,17c,17dが生まれてポケット状になる。ミシン縫い22はたるみ部分17a,17bの幅を固定し、たるみ部分17a,17bを踏み込んだ時、布がほつれないよう補強縫いになり、タック9a,9bの下辺に向かい途中まで縫い止める。図8は同じ別布8Bの断面図で、タック9a,9b,9c,9dが表と裏に交互に重ならないように取られ、表にはタックの上辺で縫製されないタック上辺部19a,19bがあり、19c,19dは裏のタック上辺部で17c,17dはポケット状のたるみ部分で、布団内側で足を掛ける所になる。
【0031】
図7の足挿入部2Bに取り付ける別布8Bは、保温性があり横幅は足差込口25Bの1.5倍以上の長さで、縦幅は20cm以上で椅子の座面の高さかそれ以上で、タックを入れるので縦幅の三倍以上の長さが必要である。タック9a,9b,9c,9dは別布8Bの上辺から下に向かい表と裏に交互に重ならないように取られ、幅が5〜7cm位で、別布8Bの表に2〜3個裏に2〜3個位とする。それぞれタック9a,9b,9c,9dの上辺と下辺はミシン縫い20a,20bをかけ筒状にするが、タック9a,9b,9c,9dの真ん中あたりのタック上辺部19a,19b,19c,19dは、12〜20cm位ミシンをかけないで、ポケット状のたるみ部分17a,17b,17c,17dのようにして足を掛ける所とする。足を掛ける部分の強化と幅を決めるため、ポケット状のたるみ部分17a,17bの左右を上から縦に3cm位ミシン縫い22の様に縫いつける。裏側のタック9c,9dも同様にする。
【0032】
上辺10と表のタック9a,9bの全部にゴム等の弾性体23a,23b,23cを通し、布を寄せて縮め足差込口25Bの幅よりもやや広くして広がらないように縫い止め、布団に取付け上辺10を足で踏み込んだ時、床まで届く位の弾力性をもたせる。これにより、タック9a,9b,9c,9d部分を踏むと上辺10の高さが低くなり、足の出し入れが容易な布となり、弾性体23a,23b,23cの働きですぐ元の状態に戻り、足挿入部2Bの左右の布団と繋ぎ合わせることで、下からの冷気を完全に防ぎ、暖気を逃がさないで足の出し入れが楽なこたつ布団となる。各側面6Bも同様にする。また、布を二重にし、上記の様に弾性体を通して布を縮めて、表と裏面に足掛けの紐を付けても同様のものができる。
【0033】
図5において、こたつに掛けたとき垂れ下がる布団の側面で、こたつの足60を挟んで90度に接する二つの側面6B,6Bの表に、取り外せる弾性体を使った留め具13bで、こたつの足60の外側を通り繋ぎ合わせることでこたつ布団1Bはコンパクトに固定できる。留め具13aはこたつ布団1Bの内側で別布8Bの上辺10あたりに取付け、もう一方も90度に接する側面6B,6Bに同様に取付ける事で、別布8Bを踏み込んだ時、布団が弛まないようにする。留め具13a,13bは全体が弾性体で出来ていなくてもよい。
【0034】
こたつの足60のあたりに掛かる布団の扱いについては、重なりが広がらないよう、布団でこたつの足60を左右から包み込む様に内側に折り込み入れて、布団の内側に付けた図6に示すスナップボタン等の留め具18a,18bで留め、その上を留め具13bで押さえるとすっきりと広がりを押さえる。各4角も同様にする。
【0035】
図9は本発明における第三の実施の形態のこたつ布団に取付ける、電熱線を備えた別布8Fを示している。これは、上述の弾性体70で布を幅方向に寄せてなる別布8A,8D,これにタック9a,9b,9c,9dを設けた別布8B,布自体が弾性収縮する別布8C、足掛け部17e,17eを設けた別布8Eにも総て共通して適用できるものであり、通電することにより発熱する電熱線80を布が幅方向に伸縮してもこれに追従できるように設けられてなるものである。
【0036】
電熱線80は、一般的な電気カーペットに用いるものと同じものでもよく、プラグ等でコンセント等の電源に接続可能なコントローラ81等のスイッチ手段に接続されて発熱回路を形成し、縦波状に設ける等により左右に伸縮し易く別布8Fの弾性伸縮による変形に追従可能となっている。そして、電熱線80は、布が二重枚以上重ねられたものについてはその内側に納めるとともに内部でずれないように電熱線80に沿う両側を上下の布を縫い合わせればよく、布が一枚の場合は、その内側面に糸などで縫いつけて固定すればよい。このように、電熱線80を設けた別布8Fは、熱の遮断能力が十分ではない布であっても、通電して自ら発熱することにより、こたつ内部の暖かさを十分に確保できるものである。
【0037】
尚、上述した説明において、本発明のこたつ布団は内側に綿等の断熱素材を備えて所定の厚さを有した高足こたつ用の通常のこたつ布団について説明したが、こたつ布団には通常の布団よりも薄い外掛け布団や内掛け布団もあり、これらにおいても上述と同様に適用できることは言うまでもない。この場合、単独使用の場合に加えて、従来の通常のこたつ布団との組合せにおいても上述した作用・効果を発揮することができる。例えば、従来の通常のこたつ布団の内掛け布団として用いる場合、外側の通常のこたつ布団がめくれて隙間が生じても、その内側において内掛け布団に設けた別布の作用により外気の侵入を防ぐことができる。また、縦スリット状の切り込みが足挿入部となる従来の通常の布団と併用する場合に、その外側を外掛け布団としての本発明で覆うことで、上記同様に外気の侵入を防ぐことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】(A)は本発明における第一の実施の形態を示す正面図、(B)は(A)のX−X線に沿う方向からのこたつ布団の使用状態における断面図。
【図2】(A)は図1のこたつ布団の覆い部材を開いた状態を示す正面図、(B)は(A)において、別布に上方向から付勢して足差込口を拡大した状態を示す正面図。
【図3】(A),(B),(C)は第一の実施の形態における応用例を示す部分正面図。
【図4】(A)は第一の実施の形態における他の応用例を示す正面図、(B)は(A)のこたつ布団の覆い部材を開いた状態を示す正面図。
【図5】本発明における第二の実施の形態を示す斜視図。
【図6】図5のこたつ布団を展開した状態を示す平面図。
【図7】図5のこたつ布団の別布の詳細を示す拡大部分図。
【図8】図7の別布の断面図。
【図9】本発明における第三の実施の形態のこたつ布団に取付ける別布。
【符号の説明】
【0039】
1A,1B こたつ布団、2A,2B,2C,2D 足挿入部、3A,3B,3C,3D 覆い部材、4a,4b 側辺、5a,5b 布部材、6A,6B 側面、8A,8B,8C,8D,8E,8F 別布、9a,9b,9c,9d タック、10 上辺、11a 縁、12a,12b 切り込み、13a,13b,18a,18b 留め具、17a,17b,17c,17d たるみ部分、17e 足掛け部、19a,19b,19c,19d タック上辺部、23a,23b,23c,70 弾性体、80 電熱線、81 コントローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子を使用するこたつに用いるこたつ布団であって、前記こたつに掛けた時に垂れ下がる側面に、該側面の下縁から所定高さまで開口し使用者が椅子に座ったまま両足を内部に挿入可能な空間を形成する足挿入部が設けられたこたつ布団において、
前記足挿入部は、弾性体が少なくとも幅方向に所定範囲で渡されて設けられ幅方向に縮小し少なくとも幅方向に弾性収縮性を備えた別布で前記下縁側から一定の高さで幅方向に渡されて塞がれているとともに、前記別布の上辺上側に所定サイズの空間である足差込口を形成しており、前記使用者が前記別布の上辺側を下向きに付勢することで前記足差込口が下方向に拡大して椅子に座ったまま両足を内部に差込み可能なサイズとなり、付勢力を解除することで前記足差込口が前記弾性体の復元力で上方向に縮小して、前記足挿入部における下側からの外気の侵入を防ぐものとされている、
ことを特徴とするこたつ布団。
【請求項2】
こたつに掛けたとき垂れ下がるこたつ布団の各側面に、こたつの足から前記側面の中心方向に適度な幅をとり、2箇所以上の切り込みを前記こたつ布団の縁から上方向に入れ、前記切り込みの間を膝掛け布団として使用し、前記切り込みの間を持ち上げて出来る空間を足挿入部とし、前記足挿入部の下部には別布をその下辺を前記こたつ布団の縁に揃えて前記足挿入部の左右の前記こたつ布団に繋ぎ合わせ、それにより前記側面に4辺が囲まれた足差込口を前記足挿入部の上部に作ったこたつ布団であって、
前記別布は、布を二重又は三重に重ねて、弾性体を前記布の上辺又は上辺及び下辺までの間に横に何本か通して前記弾性体の上下を縫い伸縮可能な状態に前記布の間に縫い込んでひだを寄せた布であり、前記こたつ布団に取付けたとき前記布の上辺または一部を踏み込むことで前記上辺の高さが自由に下がるものとし、前記こたつ布団を持ち上げたときの下からの冷気を塞ぐように、横に伸縮するよう前記足挿入部の下部に取付けられている、ことを特徴とするこたつ布団。
【請求項3】
前記別布は、縦幅が20cm以上で、横幅が前記足挿入部の1.5倍から3倍の長さの布をひだを寄せて布幅を縮めて縫い止め、前記足挿入部の幅よりもやや広めにした横に伸縮する布である、ことを特徴とする請求項2に記載したこたつ布団。
【請求項4】
前記別布は、上辺と下辺との間に足を掛ける紐又はポケット状のたるみ又は出っ張りを表面と裏面に1から数個ずつ着けたものである、ことを特徴とする請求項1,2または3に記載したこたつ布団。
【請求項5】
前記膝掛け布団の左右の側辺又は該膝掛け布団の周囲に、自然に前記足挿入部の中心側に折り畳まるようにつまみ縫いされ、1辺が前記膝掛け布団の側辺と同じ長さで膝掛け布団の側辺部分に揃えて取付けられ前記1辺と一つの角を作るもう1辺を前記膝掛け布団以外の前記側面上又は前記足挿入部の別布に全長を繋ぎ合わせられた布部材が、前記膝掛け布団と前記足挿入部の左右を囲むように設けられたことを特徴とする、請求項2,3または4に記載したこたつ布団。
【請求項6】
前記別布は、弾性糸を編成または織成してなり生地自体が弾性収縮する布部材からなる、ことを特徴とする請求項1,2または4に記載したこたつ布団。
【請求項7】
前記側面に、前記足挿入部の周囲所定位置から延設され少なくとも表面が布製の前記足挿入部を覆う覆い部材を備えており、非使用時は少なくとも前記足挿入部の前記足差込口の総てを覆い、使用時には前記覆い部材を開くことで前記足差込口を露出させて足が差込み可能となる、ことを特徴とする請求項1に記載したこたつ布団。
【請求項8】
前記覆い部材は、前記足挿入部の上方位置から下方向に延出され、通常時は下垂し、使用時には膝掛け布団となることを特徴とする請求項7に記載したこたつ布団。
【請求項9】
前記こたつの足を挟んで90度に接する前記こたつ布団の2つの側面に、弾性体又は弾性体を一部に使用して作成され長さ方向の両端側の2箇所で繋留可能であるとともに取り外し可能とされた留め具で、前記こたつの足の外側または内側を渡して通るように表面または裏面を繋ぎ合わせることにより前記こたつ布団を側面が弛まない状態で前記こたつの脚に固定する、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7または8に記載したこたつ布団。
【請求項10】
前記別布は、電源に接続可能なスイッチ手段に接続された電熱線が、前記別布の弾性伸縮による変形に追従可能な状態で別布に配設されて電熱回路を形成し、電源に接続された前記スイッチ手段をONとすることで別布が発熱することを特徴とする、請求項1,2,3,4,5,6,7,8または9に記載したこたつ布団。
【請求項11】
二人以上の使用者が並んで同時に両足を挿入可能な幅を有した前記足挿入部を備えている、ことを特徴とする請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9または10に記載したこたつ布団。
【請求項12】
請求項1,2,3,4,5,6,7,8,9,10または11に記載したこたつ布団は、外掛け布団または内掛け布団であることを特徴とするこたつ布団。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
椅子を使用するこたつに用いるこたつ布団であって、前記こたつに掛けた時に垂れ下がる側面に、該側面の下縁から所定高さまで開口し使用者が椅子に座ったまま両足を内部に挿入可能な空間を形成する足挿入部が設けられたこたつ布団において、
前記足挿入部は、弾性体が少なくとも幅方向に所定範囲で渡されて設けられ幅方向に縮小し少なくとも幅方向に弾性収縮性を備えた別布前記下縁側から一定の高さで幅方向に渡され左右両端部を前記足挿入部左右の前記こたつ布団本体部分に固定されて塞がれているとともに、前記別布の上辺上側に所定サイズの空間である足差込口を形成しており、前記使用者が前記別布の一部又は上辺を下向きに踏み込んで付勢することで前記足差込口が下方向に拡大して椅子に座ったまま両足を内部に差込み可能なものとなり、付勢力を解除することで前記足差込口が前記弾性体の復元力で上方向に縮小して、前記足挿入部における下側からの外気の侵入を防ぐものとされている、
ことを特徴とするこたつ布団。
【請求項2】
前記別布は、上辺と下辺との間に足を掛ける紐又はポケット状のたるみ又は出っ張りを表面と裏面に1から数個ずつ着けたものである、ことを特徴とする請求項1に記載したこたつ布団。
【請求項3】
前記別布は、弾性糸を編成または織成してなり生地自体が弾性収縮する布部材からなる、ことを特徴とする請求項1または2に記載したこたつ布団。
【請求項4】
前記側面に、前記足挿入部の周囲所定位置から延設され少なくとも表面が布製の前記足挿入部を覆う覆い部材を備えており、非使用時は少なくとも前記足挿入部の前記足差込口の総てを覆い、使用時には前記覆い部材を開くことで前記足差込口を露出させて足が差込み可能となる、ことを特徴とする請求項1に記載したこたつ布団。
【請求項5】
前記別布は、電源に接続可能なスイッチ手段に接続された電熱線が、前記別布の弾性伸縮による変形に追従可能な状態で別布に配設されて電熱回路を形成し、電源に接続された前記スイッチ手段をONとすることで別布が発熱することを特徴とする、請求項1,2,3または4に記載したこたつ布団。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2006−218286(P2006−218286A)
【公開日】平成18年8月24日(2006.8.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−335282(P2005−335282)
【出願日】平成17年11月21日(2005.11.21)
【特許番号】特許第3803831号(P3803831)
【特許公報発行日】平成18年8月2日(2006.8.2)
【出願人】(302029820)
【Fターム(参考)】