説明

ごみ焼却施設における発電方法

【課題】 変動する不安定なごみ処理量であっても発電出力を一定に保ち経済性も成り立つことができる、新規なごみ焼却施設における発電方法の開発を技術課題とした。
【解決手段】 ごみ焼却炉の排熱を利用した発電設備において発電出力の増加および/または一定化のため、焼却ごみに間伐材などや林地の残材、家畜排泄物、稲わら等、農作物の非食用部、食品廃棄物などの生物資源を混合して発電することを特徴として成り、変動する不安定なごみ処理量であっても発電出力を一定に保つことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は変動する不安定なごみ処理量であっても発電出力を一定に保ち、経済性も成り立つごみ焼却施設における発電方法に係るものである。
【背景技術】
【0002】
山の保全特に人工林において計画的な植林下草刈り、枝打ち間伐などが欠かせない手入れであるが近年建築材料以外の材の需要例えば足場丸太、電柱用丸太、炭鉱杭、炭薪の消費が減少及び無くなった。また林業は造林、保育、伐出の三つに分類される伐出等の人件費高騰、建築材料の輸入増加等の要因で造林、保育管理不足となって人工林の廃墟が進んできた。またごみ、汚泥、産業廃棄物などの処理方法として燃焼処理は従来より多数行われてきた。
【0003】
従来ごみ焼却処理、特に汚泥焼却処理では脱水乾燥処理後燃焼させその後排気ガス、灰の無公害化処理を優先させ発展してきた。脱水乾燥処理を十分に行って化石燃料を使用しないごみ自身で燃焼可能な状態にさせその廃熱の有効利用するために、ごみ発電で焼却時に出る蒸気で蒸気タービンを回しガスを発生させたガスタービンの併用など各種方法によってその発電効率向上を図る技術が多数開発されてきた。
【0004】
ごみ焼却炉はごみ焼却炉、汚泥焼却炉、産業廃棄物焼却炉などの総称として呼ぶ。
従来多くのごみ焼却施設でストーカ式方式から高効率を目指す大型ガス化溶融炉技術によって高効率化が進んできたが施設の大型化、焼却炉量の大量化となった。
生物資源(バイオマス)とは間伐材などや林地の残材、家畜排泄物、稲わら等農作物の非食用部、食品廃棄物などの総称を呼ぶ。従来少量しか生産出来ない(安定調達の困難な)生物資源(バイオマス)を燃料とした高効率発電は困難であった。
ごみ処理場はその処理可能量は季節変動や、将来の人口増加を見込み現在発生するのごみ量に比較して大きな処理量を持っている、
ところで発電量は入力するごみの量×ごみの発熱量×効率×電力換算値であり、ごみの発熱量×効率が一定であっても入力するごみの量が変動すれば発電量も変化する。
一方、発電した電気を利用する若しくは出力変動は避けなければならない項目である。
このため不足分を化石燃料で補う方法が検討されたり、若しくは必要な時間帯を選択し発電が必要な時間帯のみしごみ処分量を増加させる方法も考えられる。
【0005】
例えば特開2000−279916号公報(特許文献1)には、下水汚泥、生ごみ一般廃棄物などの発熱量が低い廃棄物の燃焼時には、化石燃料若しくは炭化物を混合して燃焼することが開示されている。
【0006】
また特開2010−261397号公報(特許文献2)には、蒸気タービンの回転数を一定に制御する方法が開示されているが、この方法は蒸気加減弁の開閉を使用している。
【0007】
また特開2009−150626号公報(特許文献3)には、消却ごみ量の内容、量の変動にたいし最適条件で燃焼できるように各燃焼プロセスの最適化を行うことが開示されているが発電装置を組み込みその発電量の一定化のため投入ごみの内容、質の制御にまでは検討されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2000−279916号公報
【特許文献2】特開2010−261397号公報
【特許文献3】特開2009−150626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような背景を認識してなされたものであって、変動する不安定なごみ処理量であっても発電出力を一定に保ち経済性も成り立つことができる、新規なごみ焼却施設における発電方法の開発を技術課題としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
すなわち請求項1記載のごみ焼却施設における発電方法は、ごみ焼却炉の排熱を利用した発電設備において発電出力の増加および/または一定化のため、焼却ごみに生物資源を混合して発電することを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項2記載のごみ焼却施設における発電方法は、前記要件に加え、発電量を監視し変動時は変動が少なくなるよう生物資源の混合比率を変化させ発電出力の一定化を図ることを特徴として成るものである。
【0012】
更にまた請求項3記載のごみ焼却施設における発電方法は、前記要件に加え、投入ごみの量、質等の変動が生じたときは不足分を補う量の生物資源の混合比率を変化させ発電出力の一定化を図ることを特徴として成るものである。
【0013】
更にまた請求項4記載のごみ焼却施設における発電方法は、前記要件に加え、ごみ焼却炉の排熱を利用した発電設備はその発電電力の一部若しくは全てを売電(買電)し混合した生物資源によって増加した発電量見合い分を生物資源生産費に充当することを特徴として成るものである。
【0014】
更にまた請求項5記載のごみ焼却施設における発電方法は、前記要件に加え、ごみ焼却炉の処理能力は一時間あたり100トン以上の大型高効率発電施設であって主焼却ごみのに対し生物資源の混合比率は30%以下とすることを特徴として成るものである。
【0015】
更にまた請求項6記載のごみ焼却施設における発電方法は、前記要件に加え、前記生物資源は木質燃料であることを特徴として成るものである。
そしてこれら各請求項記載の要件を手段として、前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0016】
本願は炉起動時以外補助燃料を使用しない状態で十分燃焼可能なごみ燃焼炉の熱出力増加のために木質燃料を一例とした生物資源を混合燃焼している。
また本発明はごみ焼却炉に発電装置を組み込み発電量が一定になるように生物資源の混合比率を変化させている。
このため本発明によれば、変動する不安定なごみ処理量であっても発電出力を一定に保ち経済性も成り立つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明のごみ焼却施設における発電方法を実現するための装置構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明のごみ焼却施設における発電方法の最良の形態は以下の実施例に示すとおりのものであるが、この実施例に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例】
【0019】
ごみ焼却炉発電とは家庭や事業所より発生する可燃ごみ、厨芥類、紙布類、ビニール類、木竹などを回収し燃焼時は適正な処理(排ガス処理などの環境対策を含め)を行いながらごみの持つ熱エネルギーを電気に変換回収する装置である。
ごみ焼却炉の発電であっては投入ごみ量が不足し出力変動が生じた時不足分を化石燃料で補う方法もある。
地球温暖化防止に配慮すれば化石燃料の消費は減少させることが望ましい。また必要な時間帯を選択しごみ処分量を変動させる方法もあるが燃焼出力の変動は炉の負担増加、売電価格の変動となる。
【0020】
本発明は変動する不安定なごみ処理量であっても発電出力を一定に保つ方法の発明である。
生物資源(バイオマス)とは間伐材などや林地の残材、家畜排泄物、稲わら等農作物の非食用部、食品廃棄物などの総称を呼ぶ。間伐材しては木材を一定形状で裁断した木チップ、若しくは木材を高圧圧縮した木質ペレットなどが良く、家畜排泄物は汚泥処理と同様な脱水乾燥処理後使用することが望ましい。
混合割合の制御は発電出力を監視しながら所謂フィードバック制御を行う方法や、投入ごみ量、質(水分、熱要)を監視し不足分を補う所謂フィードフォワード制御を行う方法がある。
【0021】
ごみ焼却炉の排熱を利用した発電設備はその発電電力の一部若しくは全てを売電(買電)し混合した生物資源によって増加した発電量見合い分を生物資源生産費に充当する。
ごみの量に対し生物資源の混合比率は30%以下とする。
【0022】
限りある生物資源を効率良く燃焼発電するためには発電効率の良い(高い)施設を使用しなければならない。高効率は大型化と通年連続運転が必要条件であり大型施設とは1日の処理量が100トン以上1000トンクラスの条件であってかつ通年連続運転が必要となると年間処理量は約3×104 トン以上の規模となる。間伐材の安定調達を検討すると日本の山林面積2.5×107 ヘクタールでの年間成長率は3×107 立米程度であり燃料となる間伐材調達は年間105 トンである。大型高効率炉を全国に多数配置し間伐材専用焼却炉すると数年で全国の山林が禿げ山となってしまうのでその専用炉方法は使用できない。
【0023】
有効方法としては高効率燃焼炉としてごみ燃焼炉を併用し大部分はごみ燃焼に使用し余った分の30%以下を木材の燃焼とすることで効率良く燃焼が可能となる。
間伐材使用時の試算
1日処理量100トンのごみ焼却炉
焼却ごみ熱量2100kcal/kg
発電効率14% 電気熱量 860Kcal/kwh
発電量 =100×103 ×2100×0.14/860
=34.1×103 kwh
ごみが30%不足時の熱量で検討すると
不足熱量は30トン×2100=63×106 kcal
ごみが10%不足時の熱量で検討すると
不足熱量は10トン×2100=21×106 kcal
間伐材で不足分を代替
間伐材(木質燃料)の熱量 5000Kcal/Kgとすると
30%時 63×106 kcal/5×103 =12.6×103
10%時 21×106 kcal/5×103 =4.2×103
ごみ不足時は上記の量の木質燃料を混合燃焼することで同一の熱量が得られる。
すなわち同一量の発電が可能となる。
1日4.2トンの木質燃料がごみ焼却炉のごみ不足分を補う時は14%の高効率で
発電可能となる。
【0024】
従来のバイオマス専用焼却発電施設は小型であって発電効率は5%以下と効率が悪いが、大型で燃焼物の汎用性の高いごみ焼却炉、汚泥焼却炉の余剰分を使用することで高効率化が可能となった。
生物資源の燃料の使用は十分経済的に合理性が出来る発電後の売電代金を林業の造林、保育、伐出の経費の補助とすれば建築用材料などの伐出材料価格が押さえられ、造林、保育経費も賄え、家畜排泄物を補助燃料とすれば畜産関係に還元する。農作物はそこに還元する。
【0025】
図1は本装置のブロック図を示す。
投入ごみ1は図示しないごみ収集車などによって搬入一時集積溜置き後制御部6の指示により燃焼炉4に定期的に投入連続燃焼される。制御部6は燃焼炉内部の状態を常に監視し最適条件で燃焼出来るように燃焼炉内部の制御や空気3などの各種制御を行う。燃焼熱は発電部5に送られ発電される。制御部6はこの発電量も常に監視し変動が発生すればその変動が減少するように燃焼炉4の制御を行う。ごみ1の投入量が目標処理量より大きい時はその投入量の停止制御を行い、逆にごみ1の投入量が目標処理量より少ない時および/または一時集積溜置き量が少ない時は生物資源2の投入を指示する。生物資源2の投入量はごみ1の投入量の重量、体積、水分含有量、目視などにより投入ごみの発熱量を算出し不足発熱量分の生物資源の発熱量を考慮した量を混合投入する。
【0026】
燃焼炉4内部例えばストーカ式炉の各段での燃焼状態、燃焼量、温度などより空気3の制御だけでなく生物資源2の投入量を決めている。発電部5の制御においては発生熱量(スチームなど)が大きい時は熱を逃がすなど発電量の一定化を行うが、不足時は燃焼炉4の稼働量の上昇制御だけでなく生物資源2の投入量の制御で発電量の一定化を行うことができる。
燃焼炉4の初期状態からの起動や急な出力増加時は図示しない補助燃料である化石燃料や天然ガスの使用も行う。
生物資源2の高効率燃焼発電を行うためにごみ1と生物資源2の比率は30%以下とする。
【符号の説明】
【0027】
1 ごみ
2 生物資源
3 空気
4 燃焼炉
5 発電部
6 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ごみ焼却炉の排熱を利用した発電設備において発電出力の増加および/または一定化のため、焼却ごみに生物資源を混合して発電することを特徴とするごみ焼却施設における発電方法。
【請求項2】
発電量を監視し変動時は変動が少なくなるよう生物資源の混合比率を変化させ発電出力の一定化を図ることを特徴とする請求項1記載のごみ焼却施設における発電方法。
【請求項3】
投入ごみの量、質等の変動が生じたときは不足分を補う量の生物資源の混合比率を変化させ発電出力の一定化を図ることを特徴とする請求項1または2記載のごみ焼却施設における発電方法。
【請求項4】
ごみ焼却炉の排熱を利用した発電設備はその発電電力の一部若しくは全てを売電(買電)し混合した生物資源によって増加した発電量見合い分を生物資源生産費に充当することを特徴とする請求項1、2または3載のごみ焼却施設における発電方法。
【請求項5】
ごみ焼却炉の処理能力は一時間あたり100トン以上の大型高効率発電施設であって主焼却ごみのに対し生物資源の混合比率は30%以下とすることを特徴とする請求項1、2、3または4記載のごみ焼却施設における発電方法。
【請求項6】
前記生物資源は木質燃料であることを特徴とする請求項1、2、3、4または5記載のごみ焼却施設における発電方法。

【図1】
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【公開番号】特開2013−64571(P2013−64571A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−204350(P2011−204350)
【出願日】平成23年9月20日(2011.9.20)
【出願人】(511228414)有限会社ミタケ総業 (1)
【Fターム(参考)】