説明

さつまいもの表面処理方法及びこれを利用して製造された表面処理済みのさつまいも

【課題】収穫後のさつまいもの表面の色感及び殺菌効果を増進させ、流通及び貯蔵性を高める、さつまいもの表面処理方法を提供する。
【解決手段】さつまいもの表面を、殺菌水により処理する段階と、前記殺菌水処理されたさつまいもの表面を酸溶液で処理する段階と、前記酸溶液で処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階と、前記乾燥されたさつまいもの表面を、上記さつまいもの重量の1〜10%重量のオイルにより、30秒〜5分間処理する段階とを含むさつまいもの表面処理方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、さつまいもの収穫後、品質の低下を防止し、商品性を増進させることができるさつまいもの表面処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
最近、さつまいもの抗癌、抗酸化作用、及び血中コレステロールの降下作用などの薬理的効果が認められて、成人病の予防のための健康食品として脚光を浴びることにより、おやつ用さつまいもの需要が増加している。
【0003】
さつまいもは、アルカリ性食品として、各種のビタミン、無機質、及び良質の食物繊維が含まれており、農薬をほとんど使用せずに栽培可能な低公害の健康食品である。
【0004】
さつまいもの球根は、エネルギーの供給源である炭水化物の含有量が最も多く、タンパク質、脂肪、食物繊維、カリウム、リン、鉄、灰分などが均等に入っている。さつまいものでんぷんは、熱量が336kcalとして高い側に属し、タンパク質の中には、必須アミノ酸が、均等にバランスよく含まれており、ビタミンAが豊富に含まれているので、毎日100gのさつまいもを摂取すれば、ビタミンA(ベータカロチン:ビタミンAの前駆物質)の1日の必要量を100%供給することができる。
【0005】
韓国は、温帯の北部に位置して、さつまいもの生育期間が比較的短い。夏季には温度が高く、湿気が多いので、山間高冷地を除外した大部分の地域において、初霜が9月20日以後に降りる地域であれば、安全に栽培することができる。さつまいもの主な生産地としては、韓国の南部地域である全羅南道が、栽培面積の24%を占めており、人口が密集されている京畿地域が、近年栽培面積が増加して21%を占めている。
【0006】
80年代までは、でんぷん加工用と酒精用として政府に購買させる目的で、さつまいもを栽培し、一部は冬の食用としても栽培していたが、現在では、多くの面積が、おやつ用さつまいもの早期栽培用に転換された。
【0007】
市場に出荷されているさつまいもは、従来では、ほとんど土が付いているままで流通されていたが、最近、流通業者が、さつまいもを洗浄し、表面乾燥して流通する形態に変化されている。
【0008】
洗浄されたさつまいもは、プラスチックフィルムによる小包装で流通される時、包装紙の内部の高湿な条件により、黒斑病及び軟腐病が急速に進行されるので、冬季には3日、そして翌年3〜4月頃の春季には2日ほどに流通期間が短くなる問題がある。また、段ボール箱で包装され、売台においてオープン販売する場合にも、特有の明るい紫色成分が退色するので、商品の価値を低下させる問題がある。
【0009】
また、呼吸及び蒸散作用により、貯蔵及び流通期間中、鮮度及び品質に影響を及ぼし、さつまいもの表皮が薄くなり、むけやすくなる問題がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、さつまいもの収穫後、品質の低下を防止し、商品性を増進させるために、さつまいもの色感及び殺菌効果を増加させることができる、さつまいもの表面処理方法、及びこれを利用して製造された表面処理済みのさつまいもを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の一つの側面によれば、さつまいもの表面を、pH1〜4の酸溶液で、1〜10分間処理する段階を含む、さつまいもの表面処理方法を提供する。
【0012】
具体的に、本発明は、(i)さつまいもの表面を、電解水、塩素水、オゾン水、又は二酸化塩素水で、30秒〜2分間処理する段階と、(ii)上記殺菌処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階と、(iii)上記乾燥されたさつまいもの表面を、pH1〜4の酸溶液で、1〜10分間処理する段階とを含む、さつまいもの表面処理方法を提供する。
【0013】
また、本発明は、(i)さつまいもの表面を、pH1〜4の酸溶液で、1〜10分間処理する段階と、(ii)上記酸溶液が処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階と、(iii)上記乾燥されたさつまいもの表面を、上記さつまいもの重量の1〜10%重量のオイルにより、30秒〜5分間処理する段階とを含む、さつまいもの表面処理方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】左側写真は、本発明の一つの実施例に係り、さつまいもをそれぞれpH1.5及びpH2.5のレモン汁で処理して、1日が経過したさつまいもの色度を示す写真であり、右側写真は、それぞれpH1.5、pH2.5、及びpH3.5のクエン酸で処理して、1日が経過した色度を示す写真である。
【図2】本発明の一つの実施例に係り、塩素水処理とpH2.5のクエン酸溶液を利用した酸処理とを併行した後、1日が経過したさつまいもの色度を示す写真である。
【図3】本発明の一つの実施例に係り、pH2.5のクエン酸溶液を利用した酸処理とオイル処理とを併行した後、1日が経過したさつまいもの色度を示す写真である。
【図4】本発明の一つの実施例に係り、塩素水処理、pH2.5のクエン酸溶液を利用した酸処理、及び0.5%のさつまいも色素処理を併行した後、1日が経過したさつまいもの色度を示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明をより詳しく説明する。
【0016】
最近、さつまいもの流通は、さつまいもの表面を洗浄し乾燥させた後、行われる形態に変化されている。
【0017】
土壌と共に収穫されたさつまいもは、表皮が薄く、よく剥け、衝撃に弱いので、表皮に付着された土壌微生物により容易に汚染されて、軟腐病又は黒斑病などの腐敗が容易に発生する。従って、さつまいもの流通中、表面色の退色作用の防止及びさつまいもの新鮮度の維持のための、さつまいもの表面処理技術が要求されている。
【0018】
これにより、本発明は、さつまいもの表面に、pH1〜4の酸溶液を、1〜10分間処理することにより、色感を良くし、菌の生育を抑制して、さつまいもの商品性を増進させることができる方法を開示する。
【0019】
さつまいもの表面に処理される酸溶液のpHは、pH1〜4、望ましくは、1.5〜3.0の範囲を有することが良い。上記酸溶液のpHが1未満である場合、過度な赤色になり、さつまいもの自然的な色感を有しにくく、4を超過する場合、色感の増進の効果が大きくない問題がある。
【0020】
また、上記酸溶液は、レモン汁、クエン酸、酢、りんご酸、琥珀酸、酒石酸、乳酸、及びアスコルビン酸から構成される群から選択することができる。但し、食用可能なものであれば、これらに限定されるものではない。
【0021】
上記酸溶液は、1〜10分間、望ましくは5分間、さつまいもの表面に噴霧又は浸漬処理することができ、1分未満で処理する場合は、色感の増進の効果が大きくなく、10分超過で処理する場合は、効果に対して処理時間が過度となる。
【0022】
一方、本発明におけるさつまいもの表面処理方法は、上記酸溶液処理工程の前後に、さつまいもの表面を電解水、塩素水、オゾン水、又は二酸化塩素水のような殺菌水により、30秒〜2分間処理する工程を更に含むことができる。
【0023】
具体的に、(i)さつまいもの表面に、電解水、塩素水、オゾン水、又は二酸化塩素水を、30秒〜2分間処理する段階と、(ii)上記殺菌処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階と、(iii)上記乾燥されたさつまいも表面に、pH1〜4の酸溶液を、1〜10分間処理する段階とを含む。
【0024】
上記電解水、塩素水、オゾン水、及び二酸化塩素水の処理濃度としては、電解水は50〜150ppm、塩素水は50〜200ppm、オゾン水は2〜10ppm、そして二酸化塩素水は5〜30ppmであることが、殺菌力と処理時間とを考慮するにおいて好ましい。
【0025】
上記処理時間は、30秒〜2分、望ましくは1分が良く、30秒未満であれば、殺菌効果が少なく、2分超過であれば、殺菌効果に対して工程時間が多く所要される問題がある。
【0026】
上記殺菌水処理工程の後に、さつまいもの表面を40〜60℃の熱風などにより乾燥し、上述した酸溶液の処理工程を行うことができる。あるいは、上記酸溶液処理を先に行い、殺菌水処理を行うこともできるが、殺菌及び保存の面から酸処理工程を後に行うことが良い。
【0027】
また、本発明におけるさつまいもの表面処理方法は、上記酸溶液処理工程の後に、さつまいもの表面をオイル処理する工程を更に含むことができる。
【0028】
具体的に、本発明におけるさつまいもの表面処理方法は、(i)さつまいもの表面を、pH1〜4の酸溶液で、1〜10分間処理する段階と、(ii)上記酸溶液が処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階と、(iii)上記乾燥されたさつまいもの表面を、上記さつまいも重量の1〜10%重量のオイルで、30秒〜5分間処理する段階とを含むことができる。
【0029】
オイル処理工程において使用されるオイルは、大豆油、オリーブ油、ブドウの種油、ヤシ油、紅花油、ひまわり油、コーン油、菜種油、及び綿実油から構成される群から選択され、食用可能なものであれば、これらに限定されるものではない。
【0030】
上記オイル処理工程においては、上記さつまいも重量の1〜10%重量のオイル、例えば、100Kgのさつまいもを処理する時、1〜10Kgのオイルを使用することにより、さつまいもの表面に均等にオイルを付けることができるように、噴霧又は浸漬処理される。この時、処理時間は、30秒〜5分間、望ましくは1〜5分間、より望ましくは1分間行うことが好ましい。30秒未満で処理する場合、表面処理が十分でなく、5分超過で処理する場合、オイルが過度に付く問題がある。上記オイル処理工程の後には、40〜60℃の熱風などにより、さつまいもの表面を乾燥することが好ましい。
【0031】
また、本発明におけるさつまいもの表面処理方法は、上記酸溶液処理工程の後に、30〜70℃の熱水を、10秒〜5分間処理する段階を含むことができ、あるいは、上述した殺菌水処理工程と酸溶液処理工程との間に、天然色素処理工程を含むことができる。
【0032】
上記天然色素処理工程においては、紫色のさつまいも、赤色の大根、ビート、赤キャベツなどの食用作物から抽出された色素に、上記殺菌水により処理されたさつまいもを、10秒〜10分、望ましくは30秒〜2分間浸漬することが、さつまいもの表面色感を良くし、保管中にさつまいもが柔らかくなることを防止する次元で好ましい。
【0033】
以下、本発明の好ましい実施例を通して、本発明の構成及び作用をより詳しく説明する。ただし、これは、本発明の好ましい例示として提示されたものであり、いかなる意味でも、これによって本発明が制限されることで解釈されることはできない。
【0034】
ここに記載されていない内容は、この技術分野において熟練された者であれば、十分に技術的に類推されることができるものであるので、その説明を省略する。
【0035】
実施例1:酸溶液処理
1−1:レモン汁処理
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもを、それぞれpH1.5及び2.5のレモン汁溶液に5分間浸漬した後、60℃の熱風乾燥機により20分間乾燥した。乾燥の直後、1日経過後、2日経過後、及び3日経過後の色度変化を観察し、その結果を表1に示した。また、上記レモン汁(pH2.5)処理の前と処理の1日後、さつまいもの表面の総菌数及び黴の数の変化を測定し、表2に示した。各群に10個のさつまいもを使用し、各数値は、群毎の平均値である。
【0036】
1−2:クエン酸処理
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもをそれぞれpH1.5及び2.5のクエン酸溶液に5分間浸漬した後、60℃の熱風乾燥機により20分間乾燥した。乾燥の直後、1日経過後、2日経過後、及び3日経過後の色度変化を観察し、その結果を表1に示した。また、上記クエン酸(pH2.5)処理の前と処理の1日後、さつまいもの表面の総菌数及び黴の数の変化を測定し、表2に示した。各群に10個のさつまいもを使用し、各数値は、群毎の平均値である。
【0037】
【表1】

【0038】
【表2】

【0039】
その結果、表1及び図1に示したように、酸溶液処理の後に1日が経過する時まで、a値(赤色指数)がある程度増加した後、安定しており、低いpHの酸溶液を処理する場合、より鮮明な赤色を示すことが分かる。b値(黄色指数)は、処理の後に減少し、時間が経過するに伴い、再度本来の値以上に増加された。L値(明るさ指数)は、低いpHの酸溶液処理の直後にある程度減少した後、再度安定化しており、反対にpH2.5以上の酸溶液処理の群においては、ある程度増加した後に安定された。
【0040】
色相選好度が高いさつまいものL、a、及びb値は、L値が44〜50、a値が17〜22、そしてb値が8.0〜13であることを考慮する時、実施例のような酸処理により、選好度の高い色相に変化されたことが分かる。
【0041】
また、総菌数や黴の数も、酸処理の後に減少したので、上記酸処理工程が、殺菌効果を有することが分かり、レモン汁よりはクエン酸処理が、若干良いことが分かる。
【0042】
実施例2:複合処理1
2−1:塩素水及びレモン汁処理
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもを100ppmの塩素水に1分間浸漬し、表面を乾燥した後、pH2.5のレモン汁溶液に5分間浸漬し、表面を乾燥した。対照群としては、塩素水及び酸溶液による処理をしていない群、100ppmの塩素水のみで処理した群、及びpH2.5のレモン汁溶液のみで処理した群を利用した(各群に10個のさつまいもを使用した)。1日経過後の色度変化を観察し、その結果を表3に示した。また、1日経過の後、さつまいもの表面の総菌数及び黴の数の変化を測定し、表4に示した。各数値は、群毎の平均値である。
【0043】
2−2:塩素水及びクエン酸処理
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもを100ppmの塩素水に1分間浸漬し、表面を乾燥した。これらをpH2.5のクエン酸溶液に5分間浸漬し、表面を乾燥した。対照群としては、塩素水と酸溶液とによる処理をしていない群、100ppmの塩素水のみで処理した群、及びpH2.5のクエン酸溶液のみで処理した群を利用した(各群に10個のさつまいもを使用した)。処理の1日後、色度変化を観察し、その結果を表3に示した。また、処理の1日後、さつまいもの表面の総菌数及び黴の数の変化を測定し、表4に示した。各数値は、群毎の平均値である。
【0044】
【表3】

【0045】
【表4】

【0046】
表3に示したように、b値は酸や塩素水を単独処理した場合には差がないが、これらを複合処理した場合、L値は1.05〜1.49に上昇し、a値は4.36〜6.33に増加することにより、特に赤色指数が多く上昇して、色感が良くなることが分かる。即ち、さつまいもの表面に酸や塩素水を単独に処理した場合より、複合処理した場合に、色度の嗜好度が遥かに高いことを示している(図2参照)。また、表4に示したように、酸や塩素水を単独に処理した場合に対して複合処理した場合に、総菌数が102cfu/g程度減少し、黴の数は101cfu/g程度減少することにより、複合処理した場合に殺菌効果がより大きいことが分かる。
【0047】
実施例3:複合処理2
3−1:酸処理及び大豆油処理
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもをpH2.5のクエン酸溶液に5分間浸漬した。上記さつまいもの表面を乾燥し、上記さつまいも重量の10%重量の大豆油(食用油)を、3分間噴霧処理した。対照群としては、クエン酸と大豆油による処理をしていない群、クエン酸のみで処理した群、及び大豆油のみで処理した群を利用した(各群に10個のさつまいもを使用した)。処理の1日後、色度変化を観察し、その結果を表5に示した。数値は、各群の平均値である。
【0048】
3−2:酸処理及びオリーブ油処理
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもをpH2.5のクエン酸溶液に5分間浸漬した。上記さつまいもの表面を乾燥し、上記さつまいも重量の10%重量のオリーブ油を3分間噴霧処理した。対照群としては、クエン酸とオリーブ油による処理をしていない群、クエン酸のみで処理した群、及びオリーブ油のみで処理した群を利用した(各群に10個のさつまいもを使用した)。処理の1日後、色度変化を観察し、その結果を表5に示した。数値は、各群の平均値である。
【0049】
【表5】

【0050】
表5及び図3に示したように、クエン酸及び大豆油を単独で処理した場合より、これらを複合処理した場合、赤色を示すa値が6.39〜7.61程度に上昇し、さつまいもの赤色がより濃くなり、嗜好性が良いことが分かる(図3参照)。
【0051】
実施例4:複合処理3
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもを50℃の熱水に1分間浸漬した後、冷水に浸して冷却した。表面の水気を除去し、pH2.5のクエン酸溶液に5分間浸漬した後、さつまいもの表面を乾燥し、処理の1日後の色度変化を観察した。その結果、熱水処理なしでクエン酸溶液のみで処理した場合より、これらを複合処理した場合、a、b値はほとんど差がなかったが、L値がより上昇したことにより、さつまいもの表面の明るさがより明るくなったことが分かった。
【0052】
実施例5:複合処理4
同じ土壌から共に収穫された、表面色感及び状態が類似したさつまいもを選別し、洗浄し、その水気を除去した。その後、これらのさつまいもを100ppmの塩素水に1分間浸漬し、表面を乾燥した後、紫色のさつまいもから抽出した色素(Brix37.5)0.5%に10分間浸漬した。その後、上記さつまいもの表面を乾燥し、pH2.5のクエン酸溶液に5分間浸漬処理し、さつまいもの表面を乾燥した。そして、処理の1日後の色度変化を観察し、その結果を図4に示した。図4を参照すれば、さつまいもの表面に酸や塩素水、又は色素処理を単独で行った場合より、複合処理した場合に色度が遥かに優秀なことが分かる。
【0053】
以上、添付された表を参照して本発明の実施例を説明したが、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、多様な形態に具現されることができ、本発明が属する技術分野において通常の知識を有する者は、本発明の技術的な思想や必須的な特徴を変更しなく、異なる具体的な形態に実施されることができることを理解することができるであろう。従って、上述した実施例は、すべての面から例示的なものであり、限定的なものではないと理解しなければならない。
【0054】
本発明によれば、さつまいもの表面にpH1〜4の酸溶液を1〜10分間処理する表面処理工程は、さつまいもの色素の安定化を図って色感を高め、殺菌効果を付与して微生物などによる汚染を抑制することができるので、さつまいもの貯蔵及び流通性を増加させることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
さつまいもの表面を、殺菌水により処理する段階と、
前記殺菌水処理されたさつまいもの表面を酸溶液で処理する段階と、
前記酸溶液で処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階と、
前記乾燥されたさつまいもの表面を、上記さつまいもの重量の1〜10%重量のオイルにより、30秒〜5分間処理する段階と
を含むさつまいもの表面処理方法。
【請求項2】
前記殺菌水処理段階は、上記さつまいもの表面に、電解水、塩素水、オゾン水及び二酸化塩素水のうちから選択された一つ以上を利用して、噴霧処理又は浸漬処理する段階であることを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項3】
前記電解水、塩素水、オゾン水、及び二酸化塩素水の処理濃度が、電解水が50〜150ppm、塩素水が50〜200ppm、オゾン水が2〜10ppm、そして二酸化塩素水が5〜30ppmであることを特徴とする請求項2に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項4】
前記殺菌水処理段階は、30秒〜2分間処理する段階を含むことを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項5】
前記殺菌水処理段階の後に、40〜60℃の温度において、熱風乾燥を行う段階を更に含むことを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項6】
前記酸溶液処理段階は、上記殺菌処理されたさつまいもの表面に、pH1〜4の酸溶液を、1〜10分間噴霧又は浸漬させることを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項7】
前記酸溶液としては、レモン汁、クエン酸、酢、りんご酸、乳酸、アスコルビン酸、琥珀酸、及び酒石酸から構成される群から選択されるいずれか一つを使用することを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項8】
前記酸溶液で処理されたさつまいもの表面を乾燥する段階において、40〜60℃の温度において熱風乾燥することを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項9】
前記オイルは、大豆油、オリーブ油、ブドウの種油、ヤシ油、紅花油、ひまわり油、コーン油、菜種油、及び綿実油から構成される群から選択されるいずれか一つを使用することを特徴とする請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項10】
前記酸溶液処理段階と、前記乾燥段階との間に、前記さつまいもの表面を30〜70℃の熱水を利用して、10秒〜10分間処理する段階を更に含む請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項11】
前記殺菌水処理段階と、前記酸溶液処理段階との間に、前記さつまいもの表面を天然色素で処理する段階を更に含む請求項1に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項12】
前記天然色素処理段階は、紫色のさつまいも、赤色の大根、ビート、及び赤キャベツのうちから選択された、一つ以上から抽出した色素に、前記殺菌水処理されたさつまいもを、10秒〜10分間処理する段階を含む請求項11に記載のさつまいもの表面処理方法。
【請求項13】
請求項1の方法により製造された表面処理済みのさつまいも。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公開番号】特開2011−24542(P2011−24542A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−176461(P2009−176461)
【出願日】平成21年7月29日(2009.7.29)
【出願人】(597174300)農業協同組合中央会 (1)
【Fターム(参考)】