説明

さび止め油組成物

【課題】鋼板、軸受、鋼球、ガイドレールなどの様々な金属加工後の部品、素手による組み付けをした金属部品などにさび発生因子が付着している場合において、さび発生因子を除去する洗浄工程を経ずとも長期間に亘ってさび発生を抑制することが可能なさび止め油組成物を提供すること。
【解決手段】組成物全量基準で0.1〜10質量%の、親水親油指数が10〜12であるノニオン系界面活性剤と、ザルコシン型化合物、スルホン酸塩、エステル、アミン、カルボン酸、脂肪酸アミン塩、カルボン酸塩、パラフィンワックス、酸化ワックス塩、アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体及びホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種のさび止め添加剤と、を含有し、40℃における動粘度が1〜50mm/sであることを特徴とするさび止め油組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はさび止め油組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
金属が錆びる最大の原因は酸素、および水分であることは周知であるが、さらに塩化ナトリウムなどもさび発生因子となる。このことは沿岸付近の金属製品が腐食しやすいことからも経験的に理解できる。一方、鋼板、軸受、鋼球、ガイドレールなどの金属製部材の分野おいても、部品を素手による組み付けをした場合に、塩化物などのさび発生因子が付着し錆びの発生の原因となる。そのため、さび発生因子の洗浄除去、さび止め油の塗油などの対応がとられている。
【0003】
さび止め油としては、スルホン酸金属塩、スルホン酸アミン塩、カルボン酸、エステル、アミン等のさび止め添加剤(腐食抑制剤)が配合されたものが一般的であるが、被処理体の保管が長期に及ぶ場合にはさび止め添加剤(腐食抑制剤)のみでは十分なさび止め性が得られないことがある。そこで、さび止め油の塗膜の厚膜化によりさび止め性の向上を図るべく、上記さび止め添加剤に加えて、ワックス、ペトロラタムなどの重質成分が配合されたさび止め油の使用が提案されている。この塗膜によって外部から来るさび発生因子である酸素や水分を遮断する(例えば、特許文献1を参照。)。
【0004】
また、ワックスなどの重質成分が配合されたさび止め油の場合、粘度上昇による持ち出し量の増加、脱脂性の悪化、スプレー塗布の際の噴霧性の悪化などの問題があるため、ザルコシン型化合物を配合しワックスなどの重質成分を配合せずに、さび止め性を維持する方法も提案されている(例えば、特許文献2を参照。)。
【0005】
また、従来の金属加工工程において、洗浄工程とさび止め工程の二つの工程を一元化して、洗浄性とさび止め性を兼ね備えた洗浄兼さび止め添加剤組成物が提案されている(特許文献3を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−302690号公報
【特許文献2】特開2007−039764号公報
【特許文献3】特開2007−262543号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、上記従来の技術では、様々な金属加工後の部品や素手による組み付けをした金属部品にさび発生因子が付着している場合、未だ長期間に亘って優れたさび止め性能を維持することが困難である。そのため、より長期間に亘ってさび止め性能を維持するさび止め油の開発が要望されている。
【0008】
本発明は、このような実状に鑑みなされたものであり、その目的は、鋼板、軸受、鋼球、ガイドレールなどの様々な金属加工後の部品、素手による組み付けをした金属部品などにさび発生因子が付着している場合において、さび発生因子を除去する洗浄工程を経ずとも長期間に亘ってさび発生を抑制することが可能なさび止め油組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するためには、先ずさび発生因子を金属表面から除去あるいは脱離することが必要であるが、これに対しては一般的にはさび止め油の粘度が低いほど良好となる。これに対し、さび止め性はさび止め油の粘度が高いほど油膜が厚くなるため良好である。さらに、極性が高くイオン性のさび発生因子を金属表面から脱離させるためにはさび止め油にイオン性物質を取り込むことが必要であり、界面活性剤と水の存在が不可欠となる。
【0010】
本発明者らは上記したような問題の解決を目指して、鋭意研究を重ねた結果、さび止め油組成物中の添加剤として、特定のノニオン系界面活性剤と特定のさび止め添加剤とを併用することで、様々な金属加工後の部品や金属部品を素手による組み付けをした場合などに付着するさび発生因子が残存している場合においても、従来にない長期間に亘ってさび止め性能を維持することができる組成物を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明のさび止め油組成物は、潤滑油基油と、組成物全量基準で0.1〜10質量%の、親水親油指数が10〜12であるノニオン系界面活性剤と、ザルコシン型化合物、スルホン酸塩、エステル、アミン、カルボン酸、脂肪酸アミン塩、カルボン酸塩、パラフィンワックス、酸化ワックス塩、アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体及びホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種のさび止め添加剤とを含有し、40℃における動粘度が1〜50mm/sであることを特徴とする。
【0012】
ここで、親水親油指数とは、界面活性剤分子の親水基部分に対する親油基部分の質量比であり、下式によって計算される。
親水親油指数=(親水基部分の分子量÷界面活性剤全体の分子量)×100÷5
【0013】
本発明でいう親油基部分とは、アルキル基、シクロアルキル基等の炭化水素基などである。また、親水基部分とは、界面活性剤分子から親油基部分を除いた残基を意味し、例えば以下に示す界面活性剤の場合、式中の点線で囲んだ部分が親水基部分である。
【化1】

【0014】
本発明のさび止め油組成物によれば、従来さび発生因子の代表であった水が、大気中の水分の吸湿等により組成物中に混入した場合であっても、優れたさび止め性能を発揮することができる。すなわち、本発明のさび止め油組成物が大気と接触した場合には、主として上記特定のノニオン系界面活性剤が大気中の水分を吸湿して自然に含水することによって、上記特定のさび止め添加剤の機能が高められ、その結果、優れたさび止め性能が発揮される。
【0015】
本発明においては、上記潤滑油基油が、40℃における動粘度0.7〜40mm/sの鉱油及び/又は合成油と、40℃における動粘度150〜700mm/sの鉱油及び/又は合成油とからなることが好ましい。
【0016】
また、ノニオン系界面活性剤は、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤及び多価アルコール型非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0017】
さらに、ノニオン系界面活性剤は、ソルビタンの脂肪酸エステル又は下記一般式(1)で表されるオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
−N−〔(CO)−H〕 (1)
[式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、a及びcはそれぞれ1又は2であって、a+c=3を満たし、bは1〜7の整数を表す。]
【0018】
また、本発明のさび止め油組成物は、さび止め添加剤としてスルホン酸塩を含有し、該スルホン酸塩がアミンスルホネート、ナトリウムスルホネート、カルシウムスルホネート及びバリウムスルホネートから選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
【0019】
また、本発明のさび止め油組成物は、予め、組成物全量基準で0.1〜10質量%の水を含有することを特徴としてもよい。
【発明の効果】
【0020】
以上の通り、本発明によれば、特定のさび止め添加剤を配合することによって、鋼板、軸受、鋼球、ガイドレールなどの金属部品に素手による組み付けをした場合などに付着するさび発生因子が残存している場合においても、特にさび発生因子を除去する洗浄工程を経なくても、長期間に亘ってさび発生を抑制することが可能となる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0022】
本発明のさび止め油組成物に含まれる潤滑油基油としては、鉱油及び/又は合成油が使用可能である。
【0023】
鉱油としては、具体的には、原油を常圧蒸留及び減圧蒸留して得られた潤滑油留分に対して、溶剤脱れき、溶剤抽出、水素化分解、溶剤脱ろう、接触脱ろう、水素化精製、硫酸洗浄、白土処理の1種もしくは2種以上の精製手段を適宜組み合わせて適用して得られるパラフィン系又はナフテン系の鉱油などが挙げられる。
【0024】
また、合成油としては、ポリオレフィン、アルキルベンゼンなどが好適に使用される。
【0025】
ポリオレフィンとしては、炭素数2〜16、好ましくは炭素数2〜12のオレフィンモノマーを単独重合又は共重合したもの、並びにこれらの重合体の水素化物等が挙げられる。
【0026】
上記したポリオレフィンは従来公知の方法により製造することができる。従来公知の方法により得られるポリオレフィンは、通常、二重結合を有しているが、本発明においてはこれらのポリオレフィン中の二重結合炭素を水素化した、いわゆるポリオレフィンの水素化物を基油として用いることが好ましい。ポリオレフィンの水素化物を用いると、得られるさび止め油組成物の熱・酸化安定性が向上する傾向にある。
【0027】
本発明のさび止め油組成物に含まれる潤滑油基油は、40℃における動粘度0.7〜40mm/sの鉱油及び/又は合成油と、40℃における動粘度150〜700mm/sの鉱油及び/又は合成油とからなることが好ましい。
【0028】
本発明におけるさび止め油組成物に含まれる潤滑油基油の含有量は、特に限定されず任意であるが、組成物全量を基準として、好ましくは50質量%以上、より好ましくは60質量%以上、さらに好ましくは70質量%以上である。
【0029】
また、本発明のさび止め油組成物は、(A)親水親油指数が10〜12であるノニオン系界面活性剤である。親水親油指数が10未満の場合又は12を超える場合のいずれにおいても、さび止め性が不十分となる。
【0030】
ノニオン系界面活性剤(非イオン界面活性剤ともいう)は、親水親油指数が10〜12のものであればいずれのタイプでも使用可能であるが、好ましくは、多価アルコール型非イオン界面活性剤またはエチレングリコール型非イオン界面活性剤及びポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤であり、なかでも、ソルビタンの脂肪酸エステル又は一般式(1)で表されるオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミンが好ましく用いられる。特に、一般式(1)で表されるオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミンが最も好ましく用いられる。
−N−〔(CO)−H〕 (1)
[式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、a及びcはそれぞれ1又は2であって、a+c=3を満たし、bは1〜7の整数を表す。]
【0031】
ポリオキシエチレンアルキルアミンの具体例は、(ジ)ポリオキシエチレンモノシクロヘキシルアミン、(モノ)ポリオキシエチレンジシクロヘキシルアミンが挙げられる。中でも、(ジ)ポリオキシエチレンモノシクロヘキシルアミン、(モノ)ポリオキシエチレンジシクロヘキシルアミンが好ましく用いられる。
【0032】
オキシエチレンアルキルアミンの具体例は、(ジ)オキシエチレンモノシクロヘキシルアミン、(モノ)オキシエチレンジシクロヘキシルアミンが挙げられる。中でも、(ジ)オキシエチレンモノシクロヘキシルアミン、(モノ)オキシエチレンジシクロヘキシルアミンが好ましく用いられる。
【0033】
ソルビタンの脂肪酸エステルとしては、ソルビタンとカプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ペンタデシル酸、パルミチン酸、パルミトイル酸、ステアリン酸、オレイン酸、バクセン酸、リノール酸及びリノレン酸等の脂肪酸とのエステルであり、それらのモノエステル、ジエステル及びトリエステルが挙げられる。
【0034】
本発明のさび止め油組成物において、親水親油指数が10〜12のノニオン系界面活性剤の含有量は、さび止め性の点から、組成物全量基準として、0.1〜10質量%、好ましくは0.5〜8質量%、より好ましくは1.0〜6質量%である。
【0035】
また、上記以外のノニオン系界面活性剤としては、具体的には例えば、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテル、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、高級アルコールエチレンオキシド付加物、ポリオキシアルキレン脂肪酸エステル、グリセリン及びペンタエリスリトールの脂肪酸エステル、しょ糖の脂肪酸エステル、多価アルコールのポリオキシアルキレン付加物の脂肪酸エステル、アルキルポリグリコシド、脂肪酸アルカノールアミドが挙げられる。これらの中でも、本願のさび止め油組成物のさび止め性により優れることから、アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコール、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアリールエーテルが好ましい。
【0036】
また、本発明のさび止め油組成物は、さび止め添加剤として(B1)ザルコシン型化合物、(B2)スルホン酸塩、(B3)エステル、(B4)アミン、(B5)カルボン酸、(B6)脂肪酸アミン塩、(B7)カルボン酸塩、(B8)パラフィンワックス、(B9)酸化ワックス塩、(B10)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体及び(B11)ホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種を含有する。
【0037】
(B1)ザルコシン型化合物は、下記一般式(2)、(3)又は(4)で表される構造を有する。
−CO−NR−(CH−COOX (2)
[R−CO−NR−(CH−COO]Y (3)
[R−CO−NR−(CH−COO]−Z−(OH)m’ (4)
(式中、R1は炭素数6〜30のアルキル基又は炭素数6〜30のアルケニル基;R2は炭素数1〜4のアルキル基;Xは水素原子、炭素数1〜30のアルキル基、又は炭素数1〜30のアルケニル基;Yはアルカリ金属又はアルカリ土類金属;Zは2価以上の多価アルコールの水酸基を除いた残基;mは1以上の整数で、Yがアルカリ金属の場合は1、アルカリ土類金属の場合は2;m’は0以上の整数;nは1〜4の整数;m+m’はZの価数、を示す。)
【0038】
1は、潤滑油基油への溶解性などの点から、炭素数6以上のアルキル基又はアルケニル基であることが必要であり、炭素数7以上であることが好ましく、炭素数8以上であることがより好ましい。また、貯蔵安定性などの点から、炭素数30以下のアルキル基又はアルケニル基であることが必要であり、炭素数24以下であることが好ましく、炭素数20以下であることがより好ましい。
【0039】
2は、貯蔵安定性などの点から、炭素数4以下のアルキル基であることが必要であり、炭素数3以下であることが好ましく、炭素数2以下であることがより好ましい。nは、貯蔵安定性などの点から、4以下の整数であることが必要であり、3以下であることが好ましく、2以下であることがより好ましい。
【0040】
Xで表されるアルキル基又はアルケニル基としては、貯蔵安定性などの点から炭素数30以下であることが必要であり、炭素数20以下であることが好ましく、炭素数10以下であることがより好ましい。また、よりさび止め性に優れるなどの点から、アルキル基であることが好ましい。Xとしては、よりさび止め性に優れるなどの点から、水素原子、炭素数1〜20のアルキル基又は炭素数1〜20のアルケニル基であることが好ましく、水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であることがより好ましく、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基であることがさらにより好ましい。
【0041】
Yは、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を表し、具体的には例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。これらの中でも、よりさび止め性に優れる点から、アルカリ土類金属が好ましい。なお、バリウムの場合、人体や生態系に対する安全性が不十分となるおそれがある。
【0042】
Zは、2価以上の多価アルコールの水酸基を除いた残基を表す。このような多価アルコールとしては、例えば、2価アルコール、3価アルコール、4価アルコール、5価アルコール、6価アルコール及びポリグリセリン又はこれらの脱水縮合物等が挙げられる。
【0043】
一般式(4)中、mは1以上の整数、m’は0以上の整数であり、かつm+m’はZの価数と同じである。つまり、Zの多価アルコールの水酸基のうち、全てが置換されていても良く、その一部のみが置換されていても良い。
【0044】
上記一般式(2)〜(4)で表されるザルコシンの中でも、よりさび止め性に優れる点から、一般式(2)および(3)の中から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。また、一般式(2)〜(4)の中から選ばれる1種の化合物のみを単独で使用しても良く、2種以上の化合物の混合物を使用しても良い。
【0045】
(B2)スルホン酸塩の好ましい例としては、スルホン酸アルカリ金属塩、スルホン酸アルカリ土類金属塩またはスルホン酸アミン塩が挙げられる。スルホン酸塩はいずれも人体や生態系に対して十分に高い安全性を有するものであり、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアミンとスルホン酸とを反応させることにより得ることができる。
【0046】
スルホン酸塩を構成するアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられ、具体的には、ナトリウムスルホネートが挙げられる。スルホン酸塩を構成するアルカリ土類金属としては、カルシウム及びバリウムスルホネートが挙げられる。なお、安全性の観点からカルシウムが望ましい。
【0047】
スルホン酸塩がアミン塩である場合、アミンとしては、モノアミン、ポリアミン、アルカノールアミン等が挙げられる。
【0048】
モノアミンとしては、炭素数1〜13のアルキル基を有するモノアルキルアミン、炭素数1〜8のアルキル基を2個有するジアルキルアミン、炭素数1〜5のアルキル基を3個有するトリアルキルアミン、及びメチル基2個と炭素数2〜13個のアルキル基1個を有するトリアルキルアミン;
炭素数1〜13のアルケニル基を有するモノアルケニルアミン、炭素数2〜8のアルケニル基を2個有するジアルケニルアミン、炭素数2〜5のアルケニル基を3個有するトリアルケニルアミン;
メチル基2個と炭素数2〜13のアルケニル基1個を有するジメチルモノアルケニルアミン;
芳香族置換アルキルアミン、炭素数5〜16のシクロアルキルアミン、アルキル基およびシクロアルキル基を有するモノアミン、アルキルシクロアルキルアミンが挙げられ、これらモノアミンの全ての置換異性体も挙げられる。ここでいうモノアミンには、油脂から誘導される牛脂アミン等のモノアミンも含まれる。
【0049】
ポリアミンとしては、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、プロピレンジアミン、ジプロピレントリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピレンペンタミン、ペンタプロピレンヘキサミン、ブチレンジアミン、ジブチレントリアミン、トリブチレンテトラミン、テトラブチレンペンタミン、ペンタブチレンヘキサミン等のアルキレンポリアミン;
炭素数1〜23のアルキル基を有するN−アルキルエチレンジアミン;
炭素数2〜23のアルケニル基を有するN−アルケニルエチレンジアミン;
N−アルキルまたはN−アルケニルアルキレンポリアミン及び、これらポリアミンの全ての置換異性体が挙げられる。また、ここでいうポリアミンには油脂から誘導されるポリアミン(牛脂ポリアミン等)も含まれる。
【0050】
アルカノールアミンとしては、例えば、
炭素数1〜16のアルコールのモノアルカノールモノアミン、
炭素数1〜7のアルコールのジアルカノールモノアミン、
炭素数1〜5のアルコールを3個有するトリアルカノールモノアミン、
炭素数2〜4のアルキル基1個と炭素数2〜5のアルコール2個を有するモノアルキルジアルカノールモノアミン、
炭素数2〜4のアルキル基2個と炭素数2〜5のアルコール1個を有するジアルキルモノアルカノールモノアミン、
シクロヘキシルと炭素数2または3のアルコールを1個有するモノシクロヘキシルモノアルカノールモノアミン、
シクロヘキシルと炭素数2または3のアルコールを2個有するモノシクロヘキシルジアルカノールモノアミン、
が挙げられ、これらアルカノールアミンの全ての置換異性体も挙げられる。
【0051】
前記スルホン酸は、常法によって製造された公知のものを使用することができる。具体的には、一般に鉱油の潤滑油留分のアルキル芳香族化合物をスルホン化したものやホワイトオイル製造時に副生するいわゆるマホガニー酸等の石油スルホン酸、あるいは洗剤等の原料となるアルキルベンゼン製造プラントから副生するポリオレフィンをベンゼンにアルキル化することにより得られる、直鎖状や分岐鎖状のアルキル基を有するアルキルベンゼンをスルホン化したものやジノニルナフタレン等のアルキルナフタレンをスルホン化したもの等の合成スルホン酸等、が挙げられる。
【0052】
上記原料を用いて得られるスルホン酸塩としては、例えば以下のものが挙げられる。アルカリ金属の酸化物や水酸化物等のアルカリ金属の塩基またはアンモニア、アルキルアミンやアルカノールアミン等のアミンとスルホン酸とを反応させることにより得られる中性(正塩)スルホネート;上記中性(正塩)スルホネートと、過剰のアルカリ金属の塩基、またはアミンを水の存在下で加熱することにより得られる塩基性スルホネート;炭酸ガスの存在下で上記中性(正塩)スルホネートをアルカリ金属の塩基またはアミンと反応させることにより得られる炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート;上記中性(正塩)スルホネートをアルカリ金属の塩基またはアミンならびにホウ酸または無水ホウ酸等のホウ酸化合物との反応、あるいは上記炭酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネートとホウ酸または無水ホウ酸等のホウ酸化合物との反応によって得られるホウ酸塩過塩基性(超塩基性)スルホネート、またはこれらの混合物等が挙げられる。
【0053】
また、スルホン酸塩としては、ナフタレン環に結合する2つのアルキル基の総炭素数が14〜30であるジアルキルナフタレンスルホン酸塩;ベンゼン環に結合する2つのアルキル基がそれぞれ直鎖アルキル基または側鎖メチル基を1個有する分岐鎖状アルキル基であり、且つ2つのアルキル基の総炭素数が14〜30であるジアルキルベンゼンスルホン酸塩;およびベンゼン環に結合するアルキルの炭素数が15以上であるモノアルキルベンゼンスルホン酸塩からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
【0054】
本発明においては、上記のうち、中性、塩基性、過塩基性のアルカリ金属スルホネート及びアルカリ土類金属スルホネートから選ばれる1種または2種以上を用いることがより好ましく;塩基価が0〜50mgKOH/g、好ましくは10〜30mgKOH/gの中性または中性に近いアルカリ金属スルホネートおよび/または塩基価が50〜500mgKOH/g、好ましくは200〜400mgKOH/gの(過)塩基性のアルカリ金属スルホネートを用いることが特に好ましい。
【0055】
ここで、塩基価とは、通常潤滑油基油等の希釈剤を30〜70質量%含む状態で、JISK 2501「石油製品および潤滑油−中和価試験法」の6.に準拠した塩酸法により測定される塩基価を意味する。
【0056】
本発明のスルホン酸塩のうち、中でも、ナトリウムスルホネート、アミンスルホネート、カルシウムスルホネート及びバリウムスルホネートが好ましく、ナトリウムスルホネート、アルキレンジアミンスルホネート及びカルシウムスルホネートが特に好ましい。
【0057】
また、本発明のさび止め油組成物に意図的に水を配合する場合、スルホン酸塩としてはナトリウムスルホネート及びアミンスルホネートが好ましく、ナトリウムスルホネート及びアルキレンジアミンスルホネートが特に好ましい。
【0058】
(B3)エステルとしては、(B3−1)多価アルコールの部分エステル、(B3−2)エステル化酸化ワックス、(B3−3)エステル化ラノリン脂肪酸等が挙げられる。
【0059】
(B3−1)多価アルコールの部分エステルとは、多価アルコール中の水酸基の少なくとも1個以上がエステル化されておらず水酸基のままで残っているエステルであり、その原料である多価アルコールとしては任意のものが使用可能であるが、分子中の水酸基の数は好ましくは2〜10、より好ましくは3〜6であり、且つ炭素数が2〜20、より好ましくは3〜10である多価アルコールが好適に使用される。これらの多価アルコールの中でも、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトールおよびソルビタンからなる群より選ばれる少なくとも1種の多価アルコールを用いることが好ましく、ペンタエリスリトールあるいはソルビタンを用いることがより好ましい。
【0060】
他方、部分エステルを構成するカルボン酸としては、任意のものが用いられるが、カルボン酸の炭素数は、好ましくは2〜30、より好ましくは6〜24、更に好ましくは10〜22である。また、当該カルボン酸は、飽和カルボン酸であっても不飽和カルボン酸であってもよく、また直鎖状カルボン酸であっても分岐鎖状カルボン酸であってもよい。
またはこれらの混合物が挙げられ、これら脂肪酸の全ての置換異性体も挙げられる。
また、基油に対する溶解性の観点からは不飽和カルボン酸が好ましく、例えばオレイン酸が挙げられる。また、耐ステイン性の観点からは飽和脂肪酸が好ましく、例えばイソステアリン酸が挙げられる。
【0061】
部分エステルを構成するカルボン酸として、ヒドロキシカルボン酸を用いてもよい。ヒドロキシカルボン酸は、飽和カルボン酸であっても不飽和カルボン酸であってもよいが、安定性の点から飽和カルボン酸が好ましい。また、ヒドロキシカルボン酸は、直鎖カルボン酸または分岐カルボン酸であってもよいが、直鎖カルボン酸、あるいは炭素数1または2、より好ましくは炭素数1の分岐鎖すなわちメチル基を1〜3個、より好ましくは1〜2個、特に好ましくは1個有する分岐カルボン酸が好ましい。
【0062】
このようなヒドロキシカルボン酸を含む原料として、羊の毛に付着するろう状物質を、加水分解等により精製して得られるラノリン脂肪酸を好ましく使用することができる。部分エステルの構成カルボン酸としてヒドロキシカルボン酸を用いる場合、水酸基を有さないカルボン酸を併用してもよい。
【0063】
水酸基を有さない不飽和カルボン酸におけるカルボン酸基の個数は特に制限されず、一塩基酸または多塩基酸のいずれでもよいが、一塩基酸が好ましい。水酸基を有さない不飽和カルボン酸の中でも、さび止め性および基油に対する溶解性の点からはオレイン酸等の炭素数18〜22の直鎖不飽和カルボン酸が好ましく、また、酸化安定性、基油に対する溶解性および耐ステイン性の点からは、イソステアリン酸等の炭素数18〜22の分岐飽和カルボン酸が好ましく、特にイソステアリン酸が好ましい。
【0064】
多価アルコールとカルボン酸との部分エステルにおいて、構成カルボン酸に占める不飽和カルボン酸の割合は5〜95質量%が好ましい。不飽和カルボン酸の割合を5質量%以上とすることで、さび止め性および貯蔵安定性を更に向上させることができる。同様の理由から、当該不飽和カルボン酸の割合は、10質量%以上がより好ましく、20質量%以上が更に好ましく、30質量%以上が一層好ましく、35質量%以上が特に好ましい。他方、当該不飽和カルボン酸の割合が95質量%を超えると、大気暴露性および基油に対する溶解性が不十分となる傾向にある。同様の理由から、当該不飽和カルボン酸の割合は、80質量%以下がより好ましく、60質量%以下が更に好ましく、50質量%以下が特に好ましい。
【0065】
不飽和カルボン酸には、水酸基を有する不飽和カルボン酸および水酸基を有さない不飽和カルボン酸の双方が包含されるが、不飽和カルボン酸全量に占める水酸基を有さない不飽和カルボン酸の割合は、80質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましい。
【0066】
上記部分エステルが、構成カルボン酸に占める不飽和カルボン酸の割合が5〜95質量%である部分エステルである場合、当該部分エステルのヨウ素価は、5〜75が好ましく、10〜60がより好ましく、20〜45が更に好ましい。部分エステルのヨウ素価が5未満であると、さび止め性および貯蔵安定性が低下する傾向にある。また、部分エステルのヨウ素価が75を超えると、大気暴露性および基油に対する溶解性が低下する傾向にある。本発明でいう「ヨウ素価」とは、JIS K 0070「化学製品の酸価、ケン化価、ヨウ素価、水酸基価および不ケン化物価」の指示薬滴定法により測定したヨウ素価を意味する。
【0067】
(B3−2)エステル化酸化ワックスとは、酸化ワックスとアルコール類とを反応させ、酸化ワックスが有する酸性基の一部または全部をエステル化させたものをいう。エステル化酸化ワックスの原料として使用される酸化ワックスとしては、例えば酸化ワックス;アルコール類としては、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状の飽和1価アルコール、炭素数1〜20の直鎖状または分岐状の不飽和1価アルコール、上記エステルの説明において例示された多価アルコール、ラノリンの加水分解により得られるアルコール等、がそれぞれ挙げられる。
【0068】
(B3−3)エステル化ラノリン脂肪酸とは、羊の毛に付着するろう状物質を、加水分解等の精製によって得られたラノリン脂肪酸とアルコールとを反応させて得られたものを指す。エステル化ラノリン脂肪酸の原料として使用されるアルコールとしては、上記エステル化酸化ワックスの説明において例示されたアルコールが挙げられ、中でも多価アルコールが好ましく、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン、ソルビタン、ペンタエリスリトール、グリセリンがより好ましい。前記アルキルまたはアルケニルコハク酸エステルとしては、前記アルキルまたはアルケニルコハク酸と1価アルコールまたは2価以上の多価アルコールとのエステルが挙げられる。これらの中でも1価アルコールまたは2価アルコールのエステルが好ましい。
【0069】
(B4)アミンとしては、前記スルホン酸塩の説明において例示されたアミンが挙げられる。上記アミンの中でも、モノアミンは耐ステイン性が良好であるという点で好ましく、モノアミンの中でもアルキルアミン、アルキル基およびアルケニル基を有するモノアミン、アルキル基およびシクロアルキル基を有するモノアミン、シクロアルキルアミンならびにアルキルシクロアルキルアミンがより好ましい。また、耐ステイン性が良好であるという点から、アミン分子中の合計炭素数3以上のアミンが好ましく、合計炭素数5以上のアミンがより好ましい。
【0070】
(B5)カルボン酸としては、任意のものを使用できるが、好ましくは、脂肪酸、ジカルボン酸、ヒドロキシ脂肪酸、ナフテン酸、樹脂酸、酸化ワックス、ラノリン脂肪酸等が挙げられる。前記脂肪酸の炭素数は特に制限されないが、好ましくは6〜24、より好ましくは10〜22である。また、該脂肪酸は、飽和脂肪酸でも不飽和脂肪酸でもよく、また直鎖状脂肪酸でも分岐鎖状脂肪酸でもよく、これらの混合物でもよい。これら脂肪酸の全ての置換異性体も挙げられる。
【0071】
ジカルボン酸としては、好ましくは炭素数2〜40のジカルボン酸、より好ましくは炭素数5〜36のジカルボン酸が用いられる。これらの中でも、炭素数6〜18の不飽和脂肪酸をダイマー化したダイマー酸、アルキルまたはアルケニルコハク酸が好ましく用いられる。ダイマー酸としては、例えば、オレイン酸のダイマー酸が挙げられる。また、アルキルまたはアルケニルコハク酸の中でも、アルケニルコハク酸が好ましく、炭素数8〜18のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸がより好ましい。
ヒドロキシ脂肪酸としては、好ましくは炭素数6〜24のヒドロキシ脂肪酸が用いられる。また、ヒドロキシ脂肪酸が有するヒドロキシ基の個数は1個でも複数個でもよいが、1〜3個のヒドロキシ基を有するものが好ましく用いられる。このようなヒドロキシ脂肪酸としては、例えば、リシノール酸が挙げられる。
【0072】
ナフテン酸とは、石油中のカルボン酸類であって、ナフテン環に−COOH基が結合したものをいう。樹脂酸とは、天然樹脂中に遊離した状態またはエステルとして存在する有機酸をいう。酸化ワックスとは、ワックスを酸化して得られるものである。原料として用いられるワックスは特に制限されないが、具体的には、石油留分の精製の際に得られるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトラタムや合成により得られるポリオレフィンワックス等が挙げられる。
【0073】
ラノリン脂肪酸とは、羊の毛に付着するろう状物質を、加水分解等の精製をして得られるカルボン酸である。
【0074】
これらのカルボン酸の中でも、さび止め性、脱脂性および貯蔵安定性の点から、ジカルボン酸が好ましく、ダイマー酸がより好ましく、オレイン酸のダイマー酸がより好ましい。
【0075】
(B6)脂肪酸アミン塩としては、前記のカルボン酸の説明において記載した脂肪酸と、前記アミンの説明において記載したアミンとの塩をいう。
【0076】
(B7)カルボン酸塩としては、前記カルボン酸のアルカリ金属塩、アルカリ土類金属塩、アミン塩等が挙げられる。カルボン酸塩を構成するアルカリ金属としてはナトリウム、カリウム等が挙げられ、アルカリ土類金属としてはバリウム、カルシウム、マグネシウム等が挙げられる。中でも、カルシウム塩が好ましく用いられる。また、アミンとしてはアミンの説明において例示したアミンが挙げられる。なお、バリウム塩は人体や生態系に対する安全性が不十分となるおそれがある。
【0077】
(B8)パラフィンワックスとしては、例えば、石油留分の精製の際に得られるパラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタムや合成により得られるポリオレフィンワックス等が挙げられる。
【0078】
(B9)酸化ワックス塩の原料として使用される酸化ワックスとしては特に制限されないが、例えば、前記に記載したパラフィンワックス等のワックスを酸化することによって製造される酸化パラフィンワックス等が挙げられる。
【0079】
酸化ワックス塩がアルカリ金属塩である場合、原料として使用されるアルカリ金属としては、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。酸化ワックス塩がアルカリ土類金属塩である場合、原料として使用されるアルカリ土類金属としては、マグネシウム、カルシウム、バリウム等が挙げられる。酸化ワックス塩が重金属塩である場合、原料として使用される重金属としては、亜鉛、鉛等が挙げられる。中でもカルシウム塩が好ましい。なお、人体や生体系に対する安全性の点から、酸化ワックス塩はバリウム塩および重金属塩でないことが好ましい。
【0080】
(B10)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体としては、アルキル又はアルケニルコハク酸とアルコールとのエステル、アルキル又はアルケニルコハク酸とアミノアルカノールとの反応生成物、アルキル又はアルケニルコハク酸無水物とザルコシンとの反応生成物、アルキル又はアルケニルコハク酸無水物とダイマー酸との反応生成物等が挙げられる。
【0081】
これらの中でも、(B10)成分としては、アルケニルコハク酸とアルコールとの部分エステル(モノエステル)が好ましく用いられる。ここでいう、アルケニル基の炭素数については任意であるが、通常炭素数8〜18のものが使用される。また、部分エステルを構成するアルコールとしては、1価のアルコールであっても、2価以上の多価アルコールであっても良いが、1価アルコール及び2価アルコールが好ましい。1価アルコールとしては、通常炭素数8〜18の脂肪族アルコールが用いられる。また、直鎖状のものであっても分岐状のものであっても良く、飽和のものであっても不飽和のものであっても良い。また、2価アルコールとしては、通常アルキレングリコール、ポリオキシアルキレングリコールが用いられる。
【0082】
(B11)ホウ素化合物としては、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム等が挙げられる。
【0083】
本発明のさび止め油組成物においては、さび止め添加剤として、上記(B1)〜(B11)成分のうち1種を単独で使用してもよく、また同種のさび止め添加剤を2種以上混合して使用してもよく、さらに異種のさび止め添加剤を2種以上混合して使用してもよいが、(B1)ザルコシン型化合物を必須とすることが好ましい。(B1)ザルコシン型化合物は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせてもよく、また、(B2)〜(B11)成分のいずれか1種又は2種以上と組み合わせて用いてもよい。
【0084】
また、本発明の組成物に用いるさび止め添加剤としては、水が共存する条件下でより優れたさび止め性を発揮するという点から、スルホン酸塩またはエステルが好ましく、さらにスルホン酸塩とエステルを併用することがより好ましい。
【0085】
上記さび止め添加剤以外に、高級脂肪族アルコール等に代表されるアルコール類;リン酸モノエステル、リン酸ジエステル、亜リン酸エステル、リン酸、亜リン酸のアミン塩等に代表されるリン酸誘導体類、亜リン酸誘導体類等をさび止め添加剤として含有させることもできる。
【0086】
本発明のさび止め油組成物において、さび止め添加剤(B1)〜(B11)成分のうち(B1)サルコシン型化合物、(B5)カルボン酸及び(B10)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体以外のさび止め添加剤を用いる場合の含有量は特に制限されないが、さび止め性の点から、組成物全量基準として、好ましくは0.1質量%以上、より好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは1.0質量%以上である。また、さび止め添加剤(B1)〜(B11)成分のうち(B1)サルコシン型化合物、(B5)カルボン酸及び(B10)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体以外のさび止め添加剤の含有量は、貯蔵安定性の点から、組成物全量を基準として、好ましくは20質量%以下、より好ましくは15質量%以下、更に好ましくは10質量%以下である。
【0087】
本発明のさび止め油組成物において、(B1)〜(B11)成分のうちさび止め添加剤として(B5)カルボン酸を用いる場合の含有量は特に制限されないが、さび止め性の点から、組成物全量基準として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上である。カルボン酸の含有量が前記下限値未満であると、その添加によるさび止め性向上効果が不十分となる恐れがある。また、カルボン酸の含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。カルボン酸の含有量が前記上限値を超えると、基油に対する溶解性が不十分となり、貯蔵安定性が低下する恐れがある。
【0088】
本発明のさび止め油組成物において、(B1)〜(B11)成分のうちさび止め添加剤として(B1)サルコシン型化合物を用いる場合の含有量は特に制限されないが、さび止め性の点から、組成物全量基準として、好ましくは0.05質量%以上、より好ましくは0.1質量%以上、更に好ましくは0.3質量%以上である。サルコシン型化合物の含有量が前記下限値未満であると、さび止め性及びその長期維持性が不十分となる傾向がある。また、サルコシン型化合物の含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは10質量%以下、より好ましくは7質量%以下、更に好ましくは3質量%以下である。サルコシン型化合物の含有量が前記上限値を超えても、含有量に見合うさび止め性及びその長期維持性の向上効果が得られない傾向にある。
【0089】
また、本発明のさび止め油組成物において、(B1)〜(B11)成分のうちさび止め添加剤として(B10)アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体を用いる場合の含有量は特に制限されないが、さび止め性の点から、組成物全量基準として、好ましくは0.01質量%以上、より好ましくは0.03質量%以上、更に好ましくは0.05質量%以上である。アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体の含有量が前記下限値未満であると、その添加によるさび止め性向上効果が不十分となる恐れがある。また、アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体の含有量は、組成物全量を基準として、好ましくは2質量%以下、より好ましくは1.5質量%以下、更に好ましくは1質量%以下である。アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体の含有量が前記上限値を超えると、含有量に見合った効果が得られない。
【0090】
上記さび止め添加剤を製造するに際し、脱色を目的として塩素系漂白剤が使用されることがあるが、本発明においては、漂白剤として過酸化水素等の非塩素系化合物を用いるか、あるいは脱色処理を行わないことが好ましい。また、油脂類の加水分解等で塩酸等の塩素系化合物が使用されることがあるが、この場合も、非塩素系の酸または塩基性化合物を使用することが好ましい。更に、得られる化合物に水洗等の十分な洗浄処理を施すことが好ましい。上記さび止め添加剤の塩素濃度は、本発明の組成物の特性を損なわない限りにおいて特に制限されないが、好ましくは200質量ppm以下、より好ましくは100質量ppm以下、さらに好ましくは50ppm以下、特に好ましくは25質量ppm以下である。
【0091】
本発明のさび止め油組成物の40℃における動粘度は、1〜50mm/sであり、好ましくは2〜45mm/s、より好ましくは3〜40mm/s、さらに好ましくは4〜30mm/sである。40℃における動粘度が1mm/s未満の場合、油膜を維持することができないため、さび止め性に問題が生ずる恐れがある。また40℃における動粘度が50mm/sを超えると、脱脂性、取り扱い性(スプレー噴霧性やべたつき感の増加)が低下する恐れがある。
【0092】
本発明のさび止め油組成物は、ノニオン系界面活性剤を含有していることにより使用過程で大気中の水分を吸湿して、よりさび止め効果が発揮される。その一方で、さび止め油組成物の使用に際し、予め水を含有させることもできる。ここでいう水としては、工業用水、水道水、イオン交換水、蒸留水、活性炭または一般家庭用浄水器で処理した水、及び大気中の水分を吸収した水等任意のものが使用可能である。
【0093】
本発明のさび止め油組成物において、水を添加する場合の水の含有量は、組成物全量基準で0.1〜10質量%の範囲内とすることが好ましい。水の含有量は、さび発生の抑制性の点から、0.1質量%以上が好ましく、0.5質量%以上がより好ましく、1.0質量%以上が最も好ましい。また、含有量の上限値は、さび発生の抑制性の点及び水の耐分離安定性を示す点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましい。
【0094】
水の配合方法は特に限定されないが、例えば(1)界面活性剤と水を予め混合し、その混合液を基油に配合する方法。(2)界面活性剤を基油に配合した後、水を配合する方法。(3)ホモジナイザーなどの攪拌装置を用いて、水を強制的に配合・分散させる方法。(4)スチームを基油中に吹き込み、水を強制的に配合・分散させる方法、及び(5)本発明のさび止め油組成物を金属製部材に塗布後に大気中の水分を自然に吸収させる方法などが、例示できる。
【0095】
本発明のさび止め油組成物の塩基価は、さび止め性の点から、好ましくは0.5mgKOH/g以上、より好ましくは1.5mgKOH/g以上、更に好ましくは3.0mgKOH/g以上、である。また、貯蔵安定性の点から、当該塩基価は、好ましくは30mgKOH/g以下、より好ましくは20mgKOH/g以下、更に好ましくは15mgKOH/g以下である。ここで、塩基価とは、JISK 2501「石油製品および潤滑油−中和価試験方法」の6.に準拠した塩酸法により測定される塩基価(mgKOH/g)をいう。
【0096】
本発明のさび止め油組成物においては、必要に応じて他の添加剤を含有させてもよい。具体的には例えば、酸性雰囲気での暴露さび止め性向上効果が著しいパラフィンワックスおよびペトロラタム;プレス成形性向上効果あるいは潤滑性向上効果が著しい硫化油脂、硫化エステル、長鎖アルキル亜鉛ジチオホスフェート、トリクレジルフォスフェート等のリン酸エステル、豚脂等の油脂、脂肪酸、高級アルコール、炭酸カルシウム、ホウ酸カリウム;酸化防止性能を向上させるためのフェノール系またはアミン系酸化防止剤;ベンゾトリアゾールまたはその誘導体、チアジアゾール、ベンゾチアゾール等の腐食防止性能を向上させるための腐食防止剤;ジエチレングリコールモノアルキルエーテル等の湿潤剤;アクリルポリマー、スラックワックス等の造膜剤;メチルシリコーン、フルオロシリコーン、ポリアクリレート等の消泡剤、界面活性剤、またはこれらの混合物が挙げられる。なお、上記他の添加剤の含有量は任意であるが、これらの添加剤の含有量の総和は本発明の組成物全量基準で10質量%以下が好ましい。
【0097】
本発明のさび止め油組成物においては、塩素および鉛の含有量はそれぞれ元素換算で、組成物全量基準として、好ましくは1000質量ppm以下、より好ましくは500質量ppm以下、更に好ましくは100質量ppm以下、更により好ましくは50質量ppm以下、一層好ましくは10質量ppm以下、特に好ましくは5質量ppm以下、最も好ましくは1質量ppm以下である。これらの元素のうちの1つでもその含有量が1000質量ppmを超える場合には、人体あるいは生態系等の環境に対する安全性が不十分となる可能性がある。
【0098】
なお、本発明における元素の含有量とは、以下の方法によって測定される値をいう。すなわち鉛の含有量とは、ASTM D 5185−95 “Standard Test Method for Determination of Additive Elements, Wear Metals, and Contaminants in Used Lubricating Oils and Determination of Selected Elements in Base Oils by Inductively Coupled Plasma Atomic Emission Spectrometry(ICP−AES)”;塩素の含有量とは、“IPPROPOSED METHOD AK/81Determination of chlorine Microcoulometry oxidative method”にそれぞれ準拠して測定される組成物全量を基準とした含有量(質量ppm)を意味する。上記測定方法における各元素の検出限界は通常1質量ppmである。
【0099】
本発明のさび止め油組成物は、さび止め性及び貯蔵安定性を高水準でバランスよく達成できるものであり、様々な金属製部材のさび止め油として好適に用いることができる。特に、さび止め性に関しては、JIS K 2246「さび止め油」で規定されている湿潤試験においてさび発生度がA級(さび発生度が0%)を維持する時間が1000時間以上であり従来にない優れた性能を維持する。
【0100】
被処理体である金属製部材は特に制限されず、具体的には、自動車ボディや電気製品ボディとなる冷延鋼板、熱延鋼板、高張力鋼板、亜鉛めっき鋼板等の表面処理鋼板、ブリキ用原板、アルミニウム合金板、マグネシウム合金板等の金属製板材、更には転がり軸受、テーパー転がり軸受、ニードル軸受等の軸受部品、建築用鋼材、精密部品等が挙げられる。
【0101】
このような金属製部材に対するさび止め油としては、金属製部材の加工工程等の過程で用いられる中間さび止め油、出荷時のさび止めのために用いられる出荷さび止め油などがあるが、本発明のさび止め油組成物はこれらすべての用途に使用することができる。
【0102】
本発明のさび止め油組成物を被処理体に塗布する方法は特に制限されず、例えば、スプレー、滴下、フェルト材等による転写、静電塗油等の方法により金属製部材に塗布することができる。これらの塗布法の中でも、スプレー法は、微細な霧状で塗布することにより油膜厚さを均一にできるので好ましい。スプレー法を適用する場合の塗布装置としては、本発明の組成物を霧化できるものであれば特に制限されず、例えば、エアースプレータイプ、エアレススプレータイプ、ホットメルトタイプのいずれも適用可能である。塗布工程においては、過剰のさび止め油組成物が塗布された後に、遠心分離器を用いたドレイン切り工程、あるいは長時間放置によるドレイン切り工程を設けることが好ましい。
【0103】
本発明の組成物の塗布方法が上記のいずれであっても、金属製部材上に過剰量塗布されたさび止め油組成物を回収、循環、再使用することが好ましい。なお、本発明の組成物の循環に際しては、循環系中に混入する異物の除去を併せて行うことが好ましい。例えば、本発明の組成物の循環経路の途中、好ましくは本発明の組成物を金属製部材に向けて噴出させる直前に、フィルターを設けて異物の除去を行うことができる。また、本発明の組成物を貯留するタンクの底部に磁石を設け、磁力により摩耗粉等の異物を吸着させて除去することもできる。
【0104】
このような工程において再使用される本発明の組成物の性能は、前工程油の混入等により低下することが懸念される。したがって、本発明の組成物を再使用する際には、使用油に対して定期的に動粘度や密度の測定、銅板腐食試験、さび止め性試験等を行ってその性状を管理し、必要に応じて更油、ドレイン廃棄、タンク清掃、浄油操作等を行うことが好ましい。
【実施例】
【0105】
以下、実施例及び比較例に基づき本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に何ら限定されるものではない。
【0106】
[実施例1〜20及び比較例1〜9]
表1〜4の実施例1〜20に示す組成を有する各種の本発明に係るさび止め油組成物、及び表5〜6に示す比較例1〜9に示すさび止め油組成物をそれぞれ調製した。各組成物の調製に用いた成分は、以下のとおりである。
【0107】
(A)成分
A1:ラウリルアミンのエチレンオキサイド付加物(EO付加モル数:3、親水親油指数:9.3)
A2:ステアリルアミンのエチレンオキサイド付加物(EO付加モル数:6、親水親油指数:10.5)
A3:モノシクロヘキシルアミンのエチレンオキサイド付加物(EO付加モル数:2、親水親油指数:11.1)
A4:ラウリルアミンのエチレンオキサイド付加物(EO付加モル数:5、親水親油指数:11.7)
A5:モノシクロヘキシルアミンのエチレンオキサイド付加物(EO付加モル数:4、親水親油指数:13.9)
A6:アラキン酸とソルビタンのエステル(親水親油指数:8.2)
A7:ラウリル酸とソルビタンのエステル(親水親油指数:10.9)
A8:カプリン酸とソルビタンのエステル(親水親油指数:11.9)
A9:カプロン酸とソルビタンのエステル(親水親油指数:14.5)
(B)成分
B1:オレオイルザルコシン(N−Methyloleamidoacetic acid)
B2−1:エチレンジアミンスルホネート
B2−2:Naジノニルナフタレンスルホネート
B2−3:中性Caスルホネート
B2−4:中性Baスルホネート
B3−1:ソルビタンモノイソステアレート
B3−2:コハク酸エステル(炭素数12のアルケニル基を有するアルケニルコハク酸とプロピレングリコールとのハーフエステル)
B4:ジシクロヘキシルアミン
B5: オレイン酸のダイマー酸
B6:オクタン酸とオクチルアミンの塩
B7:ラノリン脂肪酸のカルシウム塩
B8:融点46℃のパラフィンワックス
B9:酸化ワックスのカルシウム塩
(C)その他の添加剤
C1:酸化防止剤としてジ−t−ブチル−p−クレゾール
C2:金属不活性化剤としてのベンゾトリアゾール
(D)成分
D1:水(蒸留水)
(E)成分
E1:40℃における動粘度が0.75mm/sの鉱油
E2:40℃における動粘度が22mm/sの鉱油
E3:40℃における動粘度が480mm/s鉱油
E4:合成油(ポリα―オレフィン:40℃における動粘度が21mm/s)
【0108】
[試験方法]
<動粘度>
JIS K 2283に準拠して測定した。
<さび止め性試験−1(湿潤試験)>
JIS K 2246−2007「さび止め油」、6.34「湿潤試験方法」に準拠して評価した。さび発生度がA級(さび発生度が0%)を維持するまでの時間(h)を測定して評価した。
<さび止め性試験−2(中性塩水噴霧試験)>
JIS K2246−2007「さび止め油」、6.35「中性塩水噴霧試験」に準拠して評価した。さびが発生するまでの時間(h)を測定して評価し、評価は1時間ごとに行った。
<さび止め性試験−3(さび止め性試験)>
下記のステップで試験を実施した。
(1)清浄にした試験片(湿潤試験方法と同じもの)について、JIS K 2246−2007の6.31「指紋除去性試験」を準拠し、人工指紋液をプリントする。
(2)指紋をプリントした試験片を試料油中に浸漬塗布し、24h油切りする。
(3)湿潤試験と同じ要領で試験片を吊った状態とし、50℃、相対湿度95%に調整した高湿恒温槽内で2週間保持する。
上記の工程を終了後、さび発生の有無を評価した。さびが発生した場合を「有」、さびが発生しない場合を「無」とした。
<分離安定性>
さび止め油組成物を調製後、25℃に調整した恒温槽中に24h保持し、水の分離の有無を評価した。水が分離しない場合を、「無」、水が分離した場合を「有」とした。
<吸湿試験>
200mlのガラス容器に試料油を10g入れ、30℃,80%RHに調整した恒温槽に16h放置したときの水分量を測定した。
水分の測定方法:JIS K2275 カールフィッシャー式(水分気化装置を用いる)
上記試験の結果を表1〜6に示す。
【0109】
【表1】

【0110】
【表2】

【0111】
【表3】

【0112】
【表4】

【0113】
【表5】

【0114】
【表6】

【産業上の利用可能性】
【0115】
本発明はさび止め油組成物として利用され、特に、熱処理に供される金属製部品に対して長期間に亘ってさび発生を抑制することができ、良好な性能を発揮する。



【特許請求の範囲】
【請求項1】
潤滑油基油と、
組成物全量基準で0.1〜10質量%の、親水親油指数が10〜12であるノニオン系界面活性剤と、
ザルコシン型化合物、スルホン酸塩、エステル、アミン、カルボン酸、脂肪酸アミン塩、カルボン酸塩、パラフィンワックス、酸化ワックス塩、アルキル又はアルケニルコハク酸誘導体及びホウ素化合物から選ばれる少なくとも1種のさび止め添加剤と、
を含有し、
40℃における動粘度が1〜50mm/sであることを特徴とするさび止め油組成物。
【請求項2】
前記さび止め添加剤のうちザルコシン型化合物を必須成分として含有することを特徴とする、請求項1に記載のさび止め油組成物。
【請求項3】
前記潤滑油基油が、40℃における動粘度0.7〜40mm/sの鉱油及び/又は合成油と、40℃における動粘度150〜700mm/sの鉱油及び/又は合成油とからなることを特徴とする、請求項1又は2に記載のさび止め油組成物。
【請求項4】
前記ノニオン系界面活性剤が、エチレングリコール型非イオン界面活性剤、ポリエチレングリコール型非イオン界面活性剤及び多価アルコール型非イオン界面活性剤から選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載のさび止め油組成物。
【請求項5】
前記ノニオン系界面活性剤が、ソルビタンの脂肪酸エステル又は下記一般式(1)で表されるオキシエチレンアルキルアミン及びポリオキシエチレンアルキルアミンから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載のさび止め油組成物。
−N−〔(CO)−H〕 (1)
〔式中、Rは炭素数1〜24の炭化水素基を表し、a及びcはそれぞれ1又は2であって、a+c=3を満たし、bは1〜7の整数を表す。〕
【請求項6】
前記さび止め添加剤としてスルホン酸塩を含有し、該スルホン酸塩がアミンスルホネート、ナトリウムスルホネート及びカルシウムスルホネートから選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか1項に記載のさび止め油組成物。
【請求項7】
組成物全量基準で0.1〜10質量%の水を含有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか1項に記載のさび止め油組成物。

【公開番号】特開2011−6763(P2011−6763A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−153902(P2009−153902)
【出願日】平成21年6月29日(2009.6.29)
【出願人】(000004444)JX日鉱日石エネルギー株式会社 (1,898)
【Fターム(参考)】