説明

ざ瘡の処置のための、XMP−629の使用

本発明は、治療上有効量のXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物を被験体に投与することを含む方法を含めた、ざ瘡を治療するためのXMP.629を含めた物質の新規な使用を提供する。治療上有効量は、それによりざ瘡が改善される量を含む。ざ瘡の改善は、ざ瘡の臨床的症状または徴候を含めた、ざ瘡の1以上の症状または徴候の改善によって示され、好ましくは、炎症病巣カウントの低下非炎症病巣カウントの低下、合計病巣カウントの低下、または透明なまたは殆ど透明な皮膚の増大した割合によって示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本発明は、ここに引用してその開示の全体を援用する、2003年7月23日に出願された米国仮出願第60/489,618号、および2004年3月14日に出願された米国仮出願第60/554,705号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
(発明の背景)
ざ瘡(尋常性ざ瘡)は通常の皮膚障害であって、米国において特に流行している。2000年についての米国国勢調査局によって提供された見積りに従うと、ざ瘡に罹ったアメリカ人の合計数はほぼ4100万〜4800万である。ざ瘡の開始は、通常、思春期において、または思春期を丁度越えた頃に起こり、6〜14年間しばしばそれよりも長く継続し得る。American Academy of Dermatologyは、それらの年齢12〜24歳の85%〜100%は間歇的または執拗ないずれかのざ瘡に罹っており、これは、若者の多数において、ざ瘡に属される瘢痕をもたらすと報告している(非特許文献1、2)。さらに、ざ瘡は、特に婦人において、人生の30年代〜50年代に依然として問題のままであり得る。非特許文献3は、米国における全ての男性成人のほぼ3%および全ての女性成人の12%がざ瘡に罹っていると報告した。
【0003】
コメドまたはコメドンと呼ばれる基本的なざ瘡病巣は油および細菌が詰まった拡大された毛包である。ざ瘡の通常の症状または兆候は開放面皰(黒色面皰)および閉鎖面皰(白色面皰)を含み、これは、温和なざ瘡の症状または兆候であり、他方、丘疹は、通常、皮膚上に小さなピンク色の隆起として出現する腫れた病巣であり、触れるのに戸惑いかねない。膿疱または小膿疱は基底が赤であり得る腫れた膿が満たされた病巣である。小結節は皮膚内に深く存在する大きな痛い充実病巣であって、嚢胞は、疼痛および瘢痕を引き起こしかねない深く腫れた膿が満たされた病巣である。ざ瘡における病理学的事象の臨床的症状または兆候は、非炎症性開放および閉鎖面皰ないし炎症性丘疹、膿疱および小結節の範囲である。殆どの患者は非炎症性および炎症性病巣の混合が伴い、他方、いくらかの患者は他の者よりも一つのタイプの病巣が圧倒的に伴う。
【0004】
尋常性ざ瘡の病因は毛包脂腺単位を中心とするものであり;これらの単位は顔、上部背中、胸および上部外側腕の最大かつ最も数が多い。毛包脂腺単位は、毛包に結合した皮脂(脂)腺よりなる。皮脂腺は、手のひら、足底、脚の背部、および下部唇を除いて全身に位置する。皮脂腺は、通常は、小胞の開口を通じて皮膚表面に移される皮脂と呼ばれる油状物質の複雑な混合物を生じる。ざ瘡は、皮脂が通過するのを妨げる小胞開口の封鎖に由来すると信じられている。殆どのざ瘡研究者は、増大した皮脂生産、毛包脂腺単位の閉鎖、毛包脂腺単位の細菌集落化および炎症のような、ざ瘡病巣の発生に関与する多数の因子があると信じている。
【0005】
皮膚のグリース状外見に導く増大した皮脂生産は、ざ瘡の発生に関係する。皮脂は皮脂腺からの脂肪―リッチな分泌であって、その生産は皮脂腺のサイズおよび成長速度に直接的に依存する。皮脂生産は男性ホルモンの制御下にあり、アンドロゲンは、皮脂腺の拡大および増大した皮脂生産の刺激体として示されている。ざ瘡の開始は、典型的には、思春期前および思春期の間におけるホルモンサージに関係している。
【0006】
毛包脂腺単位の封鎖もまた、ざ瘡の発生における寄与因子として帰せられている。毛包脂腺単位の封鎖は、毛包脂腺管(ポア)の周りでのキラチノサイトの増殖の結果であり得、それにより、該管の封鎖に至る。黒色面皰(開放面皰)および白色面皰(封鎖面皰)はそのような封鎖に由来する。
【0007】
ざ瘡の発生におけるもう一つの寄与因子は、毛包脂腺単位の細菌集落化である。ざ瘡の病因に関連する細菌はグラム陽性であって、嫌気性である。それらの嫌気性の性質のため、かくして、ざ瘡培養とはかけ離れて同定されている細菌は、好気性条件下で首尾よく培養されているものであり;かくして、細菌の更なる株がざ瘡の発生に関与し得る可能性がある。今日までに同定されている細菌の殆どは、P.acnes、P.avidum、およびP.granulosumのようなPropionibacteriumc属に属する。程度は低いが、Staphylococcus epidermisおよびStaphylococcus aureusが同定され、ざ瘡に関連付けられている。嚢胞管に捕獲された皮脂はP.acnesの増殖に好都合である。P.acnesは、炎症を促進する酵素および化学剤(例えば、リパーゼ、プロテアーゼ、ヒアルロニダーゼ、および化学走性因子)を生産することによって、面皰ざ瘡から炎症性ざ瘡へ変換するにおいて役割を演じえる。例えば、最近の報告は好球中誘引におけるP,acnesに対する役割を報告している(非特許文献4および1)。
【0008】
炎症は、ざ瘡の発生におけるなおもう一つの寄与因子である。炎症は、典型的には、非炎症性ざ瘡の初期相後に由来し、そこでは、嚢胞上皮の異常な放出およびP.acnesの増殖の双方がある。捕獲されたP.acnesは閉鎖面皰(白色面皰)の内容物を相互作用して、炎症性病巣を生じる。該病巣は表層(赤色丘疹+表層膿疱)であるかまたは深く(膿疱、小結節および嚢胞)、もし適切に治療しなければ、非常にしばしば瘢痕に至る。
【0009】
ざ瘡の発生に帰せられる他の因子は摩擦(機械的ざ瘡)のような外部物理的因子または刺激性脂または化粧品との接触(化粧品ざ瘡)を含む。
【0010】
ざ瘡の臨床的表示は三つのカテゴリー、面皰、丘疹膿疱性、および小結節嚢胞ざ瘡に分けられ、後者のカテゴリーは最も重症である。面皰ざ瘡はざ瘡の最も早い臨床的発現であり、通常典型的には中央の額、顎、鼻、および鼻傍領域見出される非炎症性面皰を含む。この形態のざ瘡は、十代前または初期十代に発生し、増大した皮脂生産および上皮細胞の異常な脱落によって引き起こされ得る。P.acnesでの集落化はこのカテゴリーでは通常起こらず、かくして、炎症性病巣は典型的には存在しない。非炎症性面皰ざ瘡(非炎症性病巣を伴うざ瘡の温和な形態)の初期相の後、(炎症性病巣を伴う)丘疹膿疱ざ瘡と呼ばれる炎症性ざ瘡の温和〜中程度の形態が発生しかねず、そこでは、散らばった小さな丘疹(例えば、直径が5mm未満)および最小の面皰を伴う(例えば、化膿物質の目に見える中心コアを伴う)膿疱がある。丘疹膿疱ざ瘡は成人の婦人においてその20代および30代において発生する傾向がある。最も遅い段階の小結節または小結節嚢胞ざ瘡はざ瘡の最も重症かつ執拗な段階であって、大きく深い炎症性小結節または嚢胞(例えば、直径が5mmを超える)に関連する。小結節は化膿性または出血性となり得る。化膿性小結節病巣は、腫れた表皮嚢胞との類似性のため嚢胞と呼ばれてきた。嚢胞の再発破裂および再上皮化は、しばしば、醜い瘢痕が伴う上皮が覆った洞跡に至る。
【0011】
現在、ざ瘡の治療で利用できる多数の処方ベースの店頭販売(OTC)の療法オプションがある。種々の治療処方があるが、全てのざ瘡患者のほぼ半分は溶液、ゲル、クリームまたはローションのような局所療法の少なくとも一つの形態を用いる。いくつかの通常に処方された局所治療は、例えば、過酸化ベンゾイル、レチノイドもしくはレチノイド誘導体、アゼライン酸のような、および過酸化ベンゾイルを伴うまたは伴わないクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンまたはエリスロマイシンを含めた抗生物質または抗生物質の組合せのような抗微生物剤を含む、いくつかのOTC治療における活性な剤の代表的な例は過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、硫黄およびサリチル酸を含む。
【0012】
多数の現在利用可能な治療オプションにかかわらず、ざ瘡は処方ベースの治療方法および店頭販売の治療方法双方に対して生憎と抵抗性であった。現存の治療の不利は、作用が開始する遅い時間、不都合な副作用プロフィール、細菌生物の効果的でない殺傷および、長期抗生物質療法の場合には、細菌耐性を含む。
【0013】
多くの療法では、いずれかの治療の利点が認識できる前にほぼ6〜8週間の導入期がある。現在、過酸化ベンゾイル、局所レチノイド、局所抗生物質の使用の数ヶ月後までは患者は認識可能な改良を見ない。この延長された期間は多くの若い成人患者には許容できず、受け入れられるに至り得ない。加えて、多くの患者は現在の療法でざ瘡の初期の悪化を呈する。例えば、レチノイドでの初期治療は、通常、存在するミクロ面皰の発生のため、治療の初期数週間で発生するざ瘡のフレアがもたらす。さらに、最大の改良は3〜4ヶ月間明らかとはならない(非特許文献5)。
【0014】
皮膚刺激のような不都合な副作用は現行の療法の多くで共通する。加えて、殆ど全てのざ瘡の産物はある程度の紅斑(皮膚発赤)、乾燥した皮膚、適用時の火傷、および(特にレチノイドでの)掻痒を引き起こす。さらに、多くのオーバー・ザ・カウンター適用は角質溶解なくして表面剥離を生じ、かくして、元となる病理学的プロセスに影響することなく表皮剥離を引き起こす。さらに、レチノイドの場合には、光感受性の危険性がある。
【0015】
細菌耐性の発生は、長期抗生物質療法での潜在的害である。いくつかの報告書は、抗生物質−耐性ざ瘡関連Propionibacteriumの発生は50%を超えると見積もっている(非特許文献6〜8)。P.acnesにおける耐性は、増大する頻度でもって欧州および合衆国で観察されている。研究によると、エリスロマイシンに対する耐性は最も頻繁であり、当該株の大部分はクリンダマイシンに対しての耐性であることを明らかにしている(非特許文献7)。テトラサイクリンおよびドキシサイクリンの間の交差−耐性も報告されている。細菌耐性の発生は、ざ瘡治療の単純な失敗を超えた結果であろう。Staphylococciに対する抗生物質耐性の拡大は増大する関心となった。何故ならば、そのような生物は免疫寛容患者において有害かつ時々は致死的な結果を有しかねないからである。より不都合なシナリオでは、5〜10年以内に、P.acnesの実質的に全ての株がエリスロマイシンに耐性となる、その結果、エリスロマイシン療法における臨床的効果が結果的に喪失されると予測されている(非特許文献6)。
【0016】
従って、効果的であり、速く作用し、好都合な副作用プロフィールを呈し、および/または細菌耐性を発生させないざ瘡についての改良された治療オプションに対する多大な要求が依然として存在する。
【0017】
XMP.629は、ヒト殺菌/浸透性−増大蛋白質(BPI)の機能的ドメインII(アミノ酸残基65〜99)に由来する生物学的に活性な化合物である。XMP.629はナノペプチドであって、生理学的pHにおいて正味の+4電荷を有する。対応する遊離塩基は1283ダルトンの分子量を有する。XMP.629におけるアミノ酸の全てはDエナンチオマーである。XMP.629のC−末端はアミド化されており、配列は以下の通りである:
NH−lys−leu−phe−arg−(3−(1−ナフチル)−ala)−gln−ala−lys−(3−(1−ナフチル)−ala)−CONH(配列番号:1)。
XMP.629は282nmにおいて水溶液中での最大UV吸収を有する。
【0018】
XMP.629は、例えば、共有される特許文献1および2に従前に記載されている。XMP.629およびその特性は、加えて、非特許文献9に記載されている。XMP.629の特性および活性は、例えば、ヘパリンの中和、内皮細胞増殖の阻害、および/または脈管形成の阻害を含む。XMP.629のさらなる特性および活性はLPS結合、LPS中和および/または抗菌、抗真菌または抗原生動物のような抗微生物活性を含む。XMP.629でのざ瘡の治療を教示または示唆する先行技術の開示はない。
【特許文献1】米国特許第6,515,105号明細書
【特許文献2】国際公開第01/000065号パンフレット
【非特許文献1】Bershad,The Mount Sinai Journal of Medicine,2001,Vol.68,p.279−286
【非特許文献2】White,Journal of American Academy of Dermatology,1998,Vol.39,p.S34−37
【非特許文献3】Tanら、Journal of American Academy of Dermatology,2001,Vol.44(Suppliment 3),p.439−445
【非特許文献4】Tuckerら、Journal of Investigative Dermatology,1980,Vol.89,p.9−16
【非特許文献5】Leyden.JJ.New England Journal of Medicine,1997,Vol.336,p.1156−1162
【非特許文献6】Eady,EA.,Dermatology,1998,Vol.196,p.59−66
【非特許文献7】Toyoda,M.,Morohashi,M.,Dermatology,1998,Vol.196,p.130−134
【非特許文献8】Espersen,F.,British Journal of Dermatology,1998,Vol.139,p.4−8
【非特許文献9】Limら、F−346:XMP.629,a Peptide Derived from Function Domain ii of BPI,Demonstrates Broad−Spectrum Antimicrobial and Endotoxin−Neutralizing Properties In Vitro and In Vivo」,ICAAC 2001 Poster Presentation,41st Interscience Conference on Antimicrobial Agents and Chemotherapy,Chicago,IL,December 16−19,2001
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0019】
(発明の開示)
本発明は、ざ瘡を治療するための新規な方法および物質を提供する。本発明は、治療上有効量のXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物を被験体に投与することを含むざ瘡を治療する方法を提供する。治療上有効量は、それによりざ瘡が改善される量を含む。ざ瘡の改善は、ざ瘡の臨床的症状または徴候を含めた、ざ瘡の1以上の症状または徴候の改善によって示され、好ましくは、炎症病巣カウントの低下非炎症病巣カウントの低下、合計病巣カウントの低下、または透明なまたは殆ど透明な皮膚の増大した割合によって示される。治療上有効量は、好ましくは、反復治療の後に細菌耐性の発生をもたらされない量である。
【0020】
また、本発明は、治療上有効量のXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物を被験体に投与することを含むざ瘡を改善する方法を提供し、該改善は以下の;炎症病巣カウントの低下非炎症病巣カウントの低下;合計病巣カウントの低下;または透明なまたは殆ど透明な皮膚の増大した割合の少なくとも一つによって示される。炎症性および/または非炎症性病巣ざ瘡は被験体の皮膚に現れる、および/または該皮膚における開放面皰または閉鎖面皰、丘疹、膿疱または小結節であり得る。炎症性および/または非炎症性ざ瘡病巣を現わすことができる被験体の皮膚の領域は例えば、顔、上部背中および胸を含む。炎症性および/または非炎症性ざ瘡病巣が欠けている(または殆ど欠けている)被験体の皮膚の領域は、透明または殆ど透明であると考えられる。
【0021】
また、本発明は、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む医薬組成物および調合物を含めた、新規な組成物を提供する。本発明は、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含み、さらに、以下の;ポロキサマー界面活性剤、EDTA、塩化ベンザルコニウム、プロピレングリコールおよび/またはヒドロキシエチルセルロースの1以上を含む組成物を提供する。
【0022】
また、本発明は、(i)治療上有効量のXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物、および(ii)少なくとも1つの抗ざ瘡剤をざ瘡を持つ被験体に同時投与することを含むざ瘡を治療する方法を提供する。該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない。ざ瘡は(i)および(ii)の同時投与によって改善される。抗ざ瘡剤は処方ベースであるか、または一般用医薬品であり得る。例示的抗ざ瘡剤は過酸化ベンゾイル、レチノイド、レチノイド誘導体、抗微生物剤、またはその組合せを含む。
【0023】
また、本発明は、被験体を美容的に処置する方法を提供する。該方法は、XMP.629またはその生理学的に受容可能な塩または誘導体を含む化粧品組成物および調合物を含めた、XMP.629またはその生理学的に受容可能な塩または誘導体を被験体に投与することを含む。美容有効量は、それにより被験体の皮膚が美容的に処置される量を含む。美容上有効量は、好ましくは、皮膚の透明性を美容的に改善し、および/または皮膚の赤みを減少させるのに有効な量である。
【0024】
また、本発明は、少なくとも1つの抗ざ瘡剤に対するざ瘡関連細菌の耐性または耐性の発生を低下させる、または逆行させる方法を提供する。該方法は治療上有効量のXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物をざ瘡を持つ被験体に投与することを含み、該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない。
【0025】
また、本発明は、XMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む、クリーム、ゲル、ローション、溶液、パッチ、含浸包帯、ゲルスティック、スプレー、エアロゾル、スワブ、およびワイプを提供する。該クリーム、ゲル、ローション、溶液、パッチ、含浸包帯、ゲルスティック、スプレー、エアロゾル、スワブ、およびワイプは、所望により、少なくとも1つの抗ざ瘡剤も含み、該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない。
【0026】
また、本発明は、ざ瘡を改善または治療する方法において被験体に順次または同時に投与するための、(i)XMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体、および(ii)少なくとも1つの抗ざ瘡剤を含むキットを提供し、該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない。
【0027】
また、本発明は、ざ瘡を改善または治療する方法において被験体に順次または同時に投与するための、単独、または少なくとも1つの抗ざ瘡剤と組み合わせて、XMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体を含有する製品を提供し、該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない。
【0028】
また、本発明は、少なくとも1つの抗ざ瘡剤に対するざ瘡関連細菌の耐性または該耐性の発生を経験する被験体を含めた、ざ瘡を持つ被験体を選択する工程、および単独で、または少なくとも1つの抗ざ瘡剤と組み合わせて、XMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体を投与する工程を含む方法を提供し、該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない。
【0029】
これまでの方法および物質は、好ましくは、反復投与のための組成物を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0030】
(発明を実施するための最良の形態)
本発明は、ざ瘡治療用を含めた新規な方法および物質を提供する。本発明は、治療上有効量のXMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を、それを必要とする患者を含めた、被験体に投与することを含むざ瘡を治療する方法を提供する。治療する、または治療は予防的および/または治療的処置を含む。治療上有効量は、ざ瘡を改善する寮を含む。ざ瘡の改善は、ざ瘡の臨床的な症状または徴候を含めた、ざ瘡の症状または徴候の1以上の減衰(例えば、減少、低下または除去)によって示され、好ましくは、以下の:炎症病巣カウントの低下非炎症病巣カウントの低下、合計病巣カウントの低下、または透明な、または殆ど透明な皮膚の増加した割合の少なくとも1つによって示される。治療上有効量は、好ましくは、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の反復投与の後に細菌耐性を誘導しない量である。
【0031】
本発明の理論に拘束されるつもりはないが、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体は、限定されるものではないが、抗微生物(例えば、耐性生物に関連することを含めた抗菌および/または抗真菌)メカニズムまたは活性抗炎症メカニズムまたは活性、角質溶解メカニズムまたは活性、および/または皮脂生産の低下、または皮脂腺メカニズムまたは活性の弁別を含めた、ざ瘡の病因に関与する1以上のメカニズムによって、その驚くべきかつ有利な効果を発揮することができる。
【0032】
本発明の方法および物質はXMP.629、XMP.629の薬学的に受容可能な塩およびXMP.629の誘導体に向けられる。XMP.629誘導体は、例えば、置換、付加、欠失による改変されたアミノ酸配列を有する化合物であり、該改変されたアミノ酸配列は、所望により、機能的に同等な分子、または機能的に増強された分子を依然として提供する。XMP.629誘導体は、限定されるものではないが、機能的に同等なアミノ酸残基がXMP.629配列内の残基に代えて置換された改変された配列を含むものを含む。例えば、XMP.629配列内の1以上のアミノ酸残基は、機能的同等体として作用する同様な極性のもう1つのアミノ酸によって置換することができる。該配列内のアミノ酸の置換は、当該アミノ酸が属するクラスの他のメンバーから選択することができる。例えば、非極性アミノ酸はアラニン、ロイシン、イソロイシン、バリン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファンおよびメチオニンのようなもう1つの非極性(疎水性)アミノ酸で置き換えることができる。もう1つの例は、極性中性アミノ酸を、グリシン、セリン、スレオニン、システイン、チロシン、アスパラギンおよびグルタミンのようなもう1つの極性中性アミノ酸で置換された場合である。同様に、塩基性アミノ酸は、アルギニン、リシンおよびヒスチジンのような正に荷電した(塩基性)アミノ酸で置き換えることができ、酸性アミノ酸はアスパラギン酸およびグルタミン酸のような負に荷電した(酸性)アミノ酸で置き換えることができる。前記した置換は、一般には、保存的置換であると理解される。
【0033】
XMP.629誘導体は、ここに引用して援用する、米国特許第6,515,104号および国際公開番号WO 01/00655(PCT/US00/17358)に記載された小さなペプチド−ベースの構築体を含む。そのような構築体は、米国特許第6,515,104号および国際公開番号WO 01/00655に記載された、殺菌/浸透性−増加蛋白質(BPI)の機能的ドメインII(アミノ酸65〜99)から同定され、選択される逆サブ配列に由来し、またはそれをベースとする配列を有する、長さが8〜14アミノ酸の部位である。そのような逆サブ配列は、BPIのアミノ酸99〜92に由来するアミノ酸モチーフに基づく最小コア配列よりなる。逆サブ配列は置換されたサブ配列(例えば、当該置換が95および91におけるものであるアミノ酸99〜92、99〜91、99〜90、99〜89、99〜88、99〜87、99〜86、または99〜85)を含む。そのような配列は、好ましくは、1以上のD−アミノ酸部位を有し、最も好ましくは、D異性体であるアミノ酸部位の各々または全てを有する。
【0034】
XMP.629誘導体は以下の配列を含む:
【0035】
【化1】

本明細書中で提示したXMP.629を含む組成物は、保存的置換を含むXMP.629誘導体を含むことができ、該置換されたアミノ酸は非天然アミノ酸残基またはアミノ酸アナログであり、但し、XMP.629誘導体は所望の機能的活性を保持する。天然に生じない、または誘導体化された天然に生じないアミノ酸の例はN−α−メチルアミノ酸、C−α−メチルアミノ酸、β−メチルアミノ酸、β−アラニン(β−Ala)、ノルバリン(Nva)、ノルロイシン(Nle)、4−アミノ酪酸(γ−Abu)、2−アミノイソ酪酸(Aib)、6−アミノヘキサン酸(ε−Ahx)、オルニチン(orn)、ヒドロキシプロリン(Hyp)、サルコシン、シトルリン、システイン酸、シクロヘキシルアラニン、α−アミノイソ酪酸、t−ブチルグリシン、t−ブチルアラニン、およびフェニルグリシンを含む。
【0036】
XMP.629の誘導体は、限定されるものではないが、通常は当該ペプチドの部分ではない更なる化学的部位を含む誘導体を含み、但し、該誘導体は当該ペプチドの所望の機能的活性を保持するものとする。そのような誘導体の例は(a)アミノ末端、またはもう1つの遊離アミノ基のN−誘導体、該アシル基はアルカノイル基、例えば、アセチル、ヘキサノイル、オクタノイル、アロイル基、例えば、ベンゾイル、あるいはFmoc(フルオロメチル−O−CO−)、カルボベンズオキシ(ベンジル−O−CO−)、モノメトキシスクシニル、ナフチル−NH−CO−、アセチルアミノ−カプロイル、アダマンチル−NH−COのようなブロッキング基であり得る;(b)カルボキシル末端、またはもう1つの遊離カルボキシルまたはヒドロキシ基のエステル;および(c)カルボキシル末端、またはアンモニアまたは適当なアミンとの反応によって生じたもう1つの遊離カルボキシル基のアミドを含む。
【0037】
また、化学誘導体の中には、例えば、(a)−CH−NH−への還元;(b)−CO−N(アルキル)−へのアルキル化;および(c)−NH−CO−への反転によりペプチド結合―CO−NH−の修飾によって得られる誘導体が含まれる。
【0038】
XMP.629およびXMP.629の薬学的に受容可能な塩および誘導体は種々のよく知られた化学的手法のよって調製することができる。XMP.629およびその塩または誘導体は、当業者に利用可能ないずれかの合成手段によって調製することができる。XMP.629およびその塩または誘導体を合成するのに使用される正確な方法は限定的なものと考えるべきではない。特に、というのは、技術は天然に生じるまたは天然に生じないDおよび/またはLアミノ酸を含めた、アミノ酸および/またはアミノ酸誘導体を合成し、およびそれを組み立てる更なる方法を開発するからである。標準的な方法を用いて、XMP.629およびその薬学的に受容可能な塩および誘導体を合成することができる。
【0039】
XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を調製する標準的な方法は液相合成である。多数のよく知られたロボットシステムも、液相化学のために開発されている。これらのシステムはTakeda Chemical Industries,LTD.(Osaka,Japan)によって開発された自動合成装置のような自動ワークステーション、および化学者によって行われる手動合成操作を模倣するロボットアームを利用する多くのロボットシステム(Zymate II,Zymark Corporation Hopkinton,Mass;Orca,Hewlett−Packard,Palo Alto,Calif.)を含む。前記デバイスのいずれも、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の調製に適している。これらのデバイス(もしあれば)がここで議論したように作動できるような、それらに対する修飾の性質および実行は、化学または合成分野における当業者に明らかであろう。
【0040】
ペプチド合成のためのもう1つの標準的な方法は固相合成であって、ペプチド鎖を系統的に構築するための自動機器を使用することができる。例えば、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体は、自動ペプチド合成器を用い、Merrifield,J.Am.Chem. Soc.,Vol.85,p.2149,1963およびMerrifieldら、Anal. Chem.,Vol.38,p.1905−1914,1966の方法に従って、共に譲渡された米国特許出願第08/183,222号(放棄)および米国特許第5,733,872号に記載された固相ペプチド合成によって調製することができる。
【0041】
本明細書中に記載されたように、XMP.629は、Merrifieldによって最初に記載された修飾された固相手法を用いて合成された。例えば、XMP.629またはその誘導体は、C−末端アミノ酸のカルボキシル基の樹脂へのカップリング、および引き続いてのN−α保護アミノ酸の付加を含む固相ペプチド合成によって得ることができる。該保護基は当該分野で知られたいずれかのそのような基とすることができる。かくして、XMP.629誘導体は十分に保護されたまたは部分的に保護されたXMP.629を含むことができ、XMP.629は少なくとも1つの保護基を含む。各新しいアミノ酸を成長する鎖に加える前に、鎖に付加された先のアミノ酸の保護基を除去する。適当な樹脂へのアミノ酸のカップリングは、例えば、Rivierら(米国特許第4,244,946号)によって記載されている。そのような固相合成は、例えば、Merrifield,1964,J.Am.Chem.Soc.85,2149;Valeら、1981,Science 213,1394−1397;Markiら、1981,J.Am.Chem.Soc.103,3178,および米国特許第4,305,872号および第4,316,891号によって記載されている。好ましい態様において、自動ペプチド合成器が使用される。
【0042】
ペプチドの合成において、慣用的なL−アミノ酸以外に、またはそれに加えて、D−アミノ酸または保護されたD−アミノ酸を利用することができる。ペプチド合成に適したD−アミノ酸は、例えば、Peptide Institute(Osaka,Japan),Peptides International(Louisville,Ky.),Bachem Bioscience(Philadelphia,PA)
,Bachem California(Torrance,Calif.),およびPolyPeptide Labs(Torrance,Calif.)から商業的に入手可能である。D−ポリペプチドを合成する方法はL−ポリペプチドを合成する方法に類似している。例えば、固相合成においては、保護されたまたは誘導体化されたD−アミノ酸をその未保護カルボキシルまたはアミノ基を介して不活性な固体支持体に付着させる。次いで、該アミノまたはカルボキシル基の保護基を選択的に除去し、適当に保護された相補的(アミノまたはカルボキシル)基を有する配列中の次のD−アミノ酸を混合し、固体支持体に既に付着した残基とでアミド結合を形成するのに適当な条件下で反応させる。次いで、アミノまたはカルボキシル基の保護基を、この新しく付加されたD−アミノ酸残基から除去し、次いで、次の(適当に保護された)D−アミノ酸を加え、等々。全ての所望のD−アミノ酸が適当な向きに連結された後、いずれの残存する末端および側鎖保護基(および固体支持体)も順次にまたは同時に除去して、合成ポリペプチドを得ることができる。XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体は、十分に保護されたまたは部分的に保護されたXMP.629化合物の場合におけるように、少なくとも1つの保護基を含むことができる。
【0043】
合成されたペプチドまたはペプチド誘導体の精製は、クロマトグラフィー(例えば、イオン交換、アフィニティー、サイジングカラムトマトグラフィー、および逆相HPLC(分析RF−HPLCを含めた高速液体クロマトグラフィー))遠心、分別溶解度、疎水性、質量スペクトル分析、アミノ酸分析を含めたよく知られた標準的方法によって、あるいはペプチドの精製のためのいずれかの他の標準的技術によって行う。ある具体例においては、質量スペクトル分析を使用する。もう1つの具体例において、逆相HPLCを使用する。もう1つの具体例において、アミノ酸分析を使用する。
【0044】
XMP.629誘導体、およびペプチドミメティックスのような他の小分子を用いて、XMP.629と同様な特性を有する類似の分子構造を調製することもできる。かくして、本発明では、明示的に開示されたものに加えて、本明細書中において例示された特別な具体例の構造、疎水性、電荷特徴、および側鎖特性を共有する分子を含むことが考えられる。
【0045】
XMP.629は遊離塩基、生理学的または薬学的に受容可能な塩またはその組合せとして本発明の組成物に存在させることができる。該生理学的または薬学的に受容可能な塩は無機または有機塩を含む。代表的な塩は臭化水素酸塩、塩酸塩、ムケート、スクシネート、n―オキサイト、スルフェート、マロネート、アセテート、二塩基性ホスフェート、一塩基性ホスフェート、アセテート三水和物、ビ(ヘプタフルオロブチレート)、マレエート、ビ(メチルカルバメート)、ビ(ペンタフルオロプロピオネート)、メシレート、ビ(ピリジン−3−カルボキシレート)、ビ(トリフルオロアセテート)、ビタルタレート、クロルヒドレート、クマレートおよびスルフェート五水和物を含む。XMP.629の好ましい生理学的または薬学的に受容可能な塩はアセテートである。
【0046】
XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体は(例えば、重量/容量または重量/重量にて約0.001%〜約10%、または約0.001%〜約1%、または約0.005%〜約0.5%の用量にて)局所、または(例えば、1日当たり約1μg/kg〜約100mg/kg、好ましくは1日当たり約0.1mg/kg〜約20mg/kgの用量にて)全身投与することができる。全身投与経路は、例えば、経口または経皮を含む。ざ瘡の治療では、局所投与が好ましい。
【0047】
好ましい具体例において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物は、液体(水性および非水性双方の溶液)、ゲル(水性および非水性双方)、ローション、血清、軟膏、ペースト、粉末、リポソーム、ラミネート、マイクロスフィア、パッチ、カプセル、および錠剤、ならびにクリーム(水中油型および油中水型エマルジョン双方)のような、局所適用で一般的に使用されるいずれかの化粧品または生理学的に受容可能な形態である。局所調合物は、例えば、軟膏、クリームまたはローション、含浸された包帯、パッチ、ゲル、ゲルスティック、スプレー、エアロゾル、ワイプおよびスワブとして提示することができる。好ましい局所処方はゲル、クリーム、溶液およびローションを含む。
【0048】
ざ瘡の局所治療において、活性剤の処方ビヒクルはさらなる考慮である。種々の適当な処方ビヒクルを利用することができ、いくつかのビヒクルは異なる皮膚のタイプで好ましいであろう。例えば、クリームは非刺激性かつ非乾燥調合物を好むであろう感受性または乾燥皮膚を持つ患者でより適切であり、他方、脂性皮膚を有する患者は、クリームによって感じる「脂性」に不満を覚える可能性もあり、乾燥効果を有する傾向があるゲルを好むであろう。しかしながら、いくつかのゲルはある患者では火傷−タイプの刺激を引き起こしかねず、また、ある種類の化粧品が皮膚に付着するのを妨げかねない。ローションは種々の皮膚のタイプで適切であり得、毛が生えた皮膚にわたってよく広がる傾向がある。しかしながら、ローションはしばしばプロピレングリコールを含有し、火傷または乾燥効果を有しかねない。溶液は、しばしば、アルコールにしばしば溶解させる抗生物質のような局所抗微生物剤と共に使用される。ゲルのように、溶液は脂性皮膚を持つ患者によって好まれるであろう。
【0049】
本発明の方法で有用な組生物は、水、アルコール、油(ミネラル、植物、動物および合成)、グリコール、着色剤、保存剤、乳化剤、ゲル化剤、ガム、エステル、ホルモン、ステロイド、抗酸化剤、シリコーン、ポリマー、フレグランス、フレーバー、日焼け止め、他の有効成分、酸、塩基、緩衝液、ビタミン、ミネラル、塩、ポリオール、蛋白質およびそれらの誘導体の必須油、他の酵素、補酵素、およびエキス、界面活性剤、洗剤、石鹸、アニオン物、ノニオン物、イオン物、ワックス、脂質、UV充填剤、安定化剤、充填剤、セルロース、グルカン、アミン、可溶化剤、増粘剤、糖および糖誘導体、セラミド、甘味剤等のような添加剤を含有することもできる。調合剤は、クリームまたは軟膏基剤およびローション用のエタノールまたはオレイルアルコールのような適合性の慣用的な担体を含有することができる。
【0050】
好ましくは、キレート化剤または錯化剤、等張剤、ゲル化剤、緩衝剤、界面活性剤、保存剤、および/または溶媒を含めた種々の剤を種々の濃度で本発明の化合物または組成物に加えることができる。例えば、EDTA二ナトリウム二水和物を含めたキレート化剤または錯化剤を本発明の化合物または組成物に加えることができる。例えば、ポリエチレングリコールを含めた、皮膚浸透を容易とすることができる溶媒および/または剤を本発明の化合物または組成物に加えることができる。加えて、例えば、塩化ベンザルコニウムを含めた保存剤として作用することができる剤を、保存剤として効果的でない濃度を含めて、本発明の化合物または組成物に加えることができる。例えば、ポロキサマー333、ポロキサマー334、ポロキサマー335またはポロキサマー403のようなポロキサマー界面活性剤(例えば、各々、BASFプルロニックP−103、P−104、P−105、またはP−123)を含めた界面活性剤を本発明の化合物または組成物に加えることができる。さらに、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、250HHX)のようなゲル化剤として作用することができる剤を本発明の化合物または組成物に加えることができる。
【0051】
種々の適当なクリーム、ローション、ゲル、スティック、軟膏、スプレー、パッチ、スワブ、ワイプまたはエアロゾル調合物は当該分野でよく知られており、HMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の調合物で有用であり、例えば、その開示をここに引用して援用する、Leonard Hill Booksによって出版されたHarry‘s Cosmetology、Remington’‘s Pharomaceutical SciencesおよびThe British and U.S.Pharmacopoeiasのような医薬および化粧品の標準的なテキストブックに記載されている。加えて、HMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の新規な組成物は以下の剤:ホロキサマー界面活性剤(例えば、米国特許第5,448,034号または第5,912,228号参照)、EDTA、塩化ベンザルコニウム(BAK)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)および/またはプロピレングリコール(PG)の1以上を含むことができる。[001]例えば、HMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の新規な組成物は以下の剤の組合せを含むことができる:ポロキサマー界面活性剤およびEDTA;またはポロキサマー界面活性剤およびBAK;またはポロキサマー界面活性剤およびプロピレングリコール;またはポロキサマー界面活性剤およびヒドロキシエチルセルロース;またはEDTAおよびBAK;またはEDTAおよびプロピレングリコール;またはEDTAおよびヒドロキシエチルセルロース;またはBAKおよびプロピレングリコール;またはBAKおよびヒドロキシエチルセルロース;またはプロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース;またはポロキサマー界面活性剤、EDTAおよびBAK;またはポロキサマー界面活性剤、EDTAおよびプロピレングリコール;またはポロキサマー界面活性剤、EDTAおよびヒドロキシエチルセルロース;またはポロキサマー界面活性剤、BAKおよびプロピレングリコール;またはポロキサマー界面活性剤、BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;またはポロキサマー界面活性剤、プロピレングリコール、およびヒドロキシエチルセルロース;またはEDTA、BAKおよびプロピレングリコール;またはEDTA、BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;またはBAK、プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース;またはポロキサマー界面活性剤、EDTA、BAKおよびプロピレングリコール;またはポロキサマー界面活性剤、EDTA、BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;またはEDTA、BAK、プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース;またはポロキサマー界面活性剤、EDTA、BAK、プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース。
【0052】
XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物は、種々の用量および調合物にて、ざ瘡の改善を行うのに必要な回数、被験体に投与することができる。被験体におけるざ瘡の改善は、例えば、ざ瘡の臨床的症状または徴候のようなざ瘡の1以上の症状または徴候を改善する(例えば、減少させる、低下させるまたは除去する)ことによるものを含めた、皮膚科学分野におけるいずれかのよく知られた基準によって示すことができる。好ましくは、ざ瘡の改善は以下の:炎症性病巣カウントの低下、非炎症性病巣カウントの低下、局所病巣カウントの低下、または透明なまたは殆ど透明な皮膚の増大した割合のうちの少なくとも1つによって示される。炎症性および/または非炎症性ざ瘡病巣は、被験体の皮膚上におよび/またはそこにおいて出現する開放または閉鎖面皰、丘疹、膿疱または小結節であり得る。炎症性および/または非炎症性ざ瘡病巣を表すことができる被験体の皮膚の領域は、例えば、顔、上部背中、および胸を含む。炎症性および/または非炎症性ざ瘡病巣を欠く(またはほとんど欠く)被験体の皮膚の領域は、透明またはほとんど透明と考えられる。本明細書中において提示した組成物の等量は(例えば、1日当たり約1〜約12投与)の1日当たり複数投与を含むことができる。好ましい態様において、本明細書中で提示した組成物の投与は1日当たり約1回〜5回行う。もう1つの好ましい態様において、本明細書中に提示した組成物の投与は1日当たり約3回〜約4回行う。なおもう1つの好ましい態様において、本明細書中に提示した組成物の投与は1日当たり約1回行う。
【0053】
本発明の治療の方法によると、ざ瘡は、治療上有効量のHMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む組成物を、所望の結果を達成するのに必要な量および時間にて投与することによって、被験体において、例えば、ヒトのような哺乳動物において(例えば、治療的にまたは予防的に)処置される。HMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上有効量は、いずれかの医学的治療に適用できる合理的な利点/危険性比率でざ瘡を治療するための十分な量を含む。しかしながら、本発明の合計日用法および組成物は、健全な医療的判断の範囲内にある主治医によって決定されるであろうことは理解されるであろう。いずれかの特定の被験体のための特別な治療上有効用量レベルは、治療すべき障害の段階、および障害の重症度、使用する具体的化合物の活性、使用する具体的化合物または組成物、被験体の年齢、体重、全身の健康、性別およびダイエット、投与の時間、投与の経路、使用する具体的化合物の排出速度、治療の持続、使用する具体的化合物と組み合わせた、または同時の薬物、および医療分野でよく知られた同様な因子を含めた種々の因子に依存するであろう。
【0054】
好ましい態様において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.005%〜約0.5%(重量/容量)の範囲である。もう1つの好ましい態様において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.01%〜約0.2%(重量/容量)の範囲である。なおもう1つの好ましい具体例において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.01%〜約0.1%(重量/容量)の範囲である。なおもう1つの好ましい具体例において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.05%〜約0.1%(重量/容量)の範囲である。好ましい組成物において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.01%(重量/容量)である。もう1つの好ましい組成物において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.05%(重量/容量)である。なおもう1つの好ましい組成物において、XMP.629またはその薬学的に受容可能な塩または誘導体の治療上の有効量は約0.1%(重量/容量)である。
抗ざ瘡剤とは、ざ瘡の治療で有用なおよび/または効果的なことが知られているいずれの剤もいうことができる。抗ざ瘡剤は、例えば、ざ瘡の臨床的症状または徴候を含めた、ざ瘡の1以上の症状または徴候を弱める(例えば、減少させる、低下させる、または除去する)ことによって、ざ瘡を改善することができる。抗ざ瘡剤は、例えば、処方ベースのおよび/または店頭販売(OTC)治療を含む。
【0055】
現在、ざ瘡の治療で利用できる多数の処方ベースの抗ざ瘡剤がある。処方ベースの抗ざ瘡剤は、小胞における細胞の異常なクランピング、増大した油生産、細菌集落化、および炎症のようなざ瘡の発生に寄与するいくつかの因子を低下させることを狙っている。個々の患者のための療法の皮膚科学的選択は、患者によって呈されるざ瘡病巣の程度、重症度、持続およびタイプに依存する。種々の治療調合物が存在するが、全てのざ瘡患者のほぼ半分は局所療法の少なくとも1つの形態を用いる。いくつかの通常処方される局所および経口抗ざ瘡治療は後に記載する。
【0056】
過酸化ベンゾイルはざ瘡、特に面皰ざ瘡についての最も普通の最前線治療である。それは、主として、(例えば、丘疹、膿疱および小結節/嚢胞よりなる炎症性ざ瘡のために)殺菌性であり、ある程度、面皰溶解性である(Lever Marks R.,Drugs,Vol.39(5),p.681;O’Loughlin,S.,Irish Medical Journal,Vol.90,p.3,1997)。過酸化ベンゾイルは種々の濃度(1、2.5、5および10%)および調合物(溶液、ゲル、およびローション)にて入手可能である;しかしながら、ゲルは、過酸化ベンゾイルを放出するにおいてクリームまたは油−ベースのローションよりも効果的なビヒクルのように見えるが、ゲルはより大きな刺激を引き起こしかねない(Lever Marks R.,Drugs,Vol.39(5),p.681−692,1990)。過酸化ベンゾイルの頻度および用量は、剤に対する許容性が発生すると共に増加させることができる。過酸化ベンゾイルの最も頻繁な有害効果は、温和な赤みおよび皮膚剥離のような刺激性反応である(Leyden,New England Journal of Medicine,Vol.336,p.1156−1162,1997)。過酸化ベンゾイルは毛髪および衣類を漂白もする(Lever Marks R.,Drugs,Vol.39(5),p.681−692,1990)。
【0057】
レチノール、レチナール、トレチノイン、イソトレチノイン、アダパレン(6−[3−(1−アダマンチル)−4−メトキシフェニル]−2−ナフトエ酸)、およびタザロテン等のようなレチノイドおよびレチノイド誘導体は、通常、面皰ざ瘡の治療で用いられる。アダパレンおよびタザロテンは最近開発された局所ポリ芳香族レチノイドであって、トレチノインよりも優れた治療的利点を供することができる。レチノイドは細胞摂取に際して核レチノイン酸受容体に結合し、遺伝子転写のある工程を変化させ、その結果、増殖、分化、炎症および皮脂生産のような代謝経路の変化をもたらす(Gollnick,H.ら、Dermatology,Vol.196,p.119−125,1998)。核レチノイン酸受容体の活性化は、ケラチノサイトの分化に影響し、炎症をブロックすると提唱されている(Bershad,S.V.,The Mount Sinal Journal of Medicine,Vol.68,p.279−286,2001)。
【0058】
経口イソトレチノイン(13−シスレチノイン酸)は10、20および40mgカプセルにてAccutane(登録商標)として市販されている。ビタミンAに関連するこの経口レチノイドは全てのタイプのざ瘡に適当ではないが、ざ瘡の制御のために、および長期緩解の誘導で有用である。それは皮脂分泌、小胞ケラチン化、および管および表面P.ざ瘡カウントを劇的に低下させると報告されている。特に、例えば、口唇炎、乾燥肌、掻痒、乾燥口、乾燥鼻、鼻出血、結膜炎、筋骨格徴候、湿疹、毛髪薄化および剥離を含めた、粘膜/皮膚効果、上昇したトリグリセライドレベル、筋骨格効果、頭痛、上昇した肝臓酵素レベル、無月経のような多数の副作用が治療の間に起こる。イソトレチノインは潜在的催奇物質であって、治療の間に妊娠は避けなければならない。Accutane(登録商標)治療はひどい鬱病および自殺のいつくかの報告と関連付けられてきたが、ざ瘡を持つひどく鬱なまたは醜形恐怖症患者の治療のために示されてきた。
【0059】
プレドニゾンのようなコルチコステロイドは、ざ瘡、特に小結節嚢胞ざ瘡の管理において限定されているが有限な地位を有する。プレドニゾンのような抗炎症経口剤は、嚢胞がイソトレチノインでのような他の療法でゆっくりと改善し得る時間の間を含めて、迅速に進行する病気で有用であり得る。トリアムシノロン(例えば、Kenalog(登録商標)100mg/mlまたはTAC−3(登録商標)3mg/ml)でのような病巣内コルチコステロイド注射も用いることができる。病巣内ステロイドの延長された継続使用は副腎抑制をもたらした。
【0060】
さらなるざ瘡療法はホルモン操作(例えば、エストロゲンおよび/またはプロゲスチン、グルココルチコイド、またはスピロノラクトンもしくはフルタミドを含めた抗アンドロゲン)、ならびにざ瘡外科的処置(例えば、面皰の手による除去、および/または膿疱または嚢胞の排出、瘢痕修正、皮膚擦傷法、瘢痕切除またはコラーゲンインプラント)を含む。
【0061】
レチノイン酸またはビタミンA酸としても知られた局所トレチノイン(Retin−A(登録商標)、AvitaTM)はポアを開くのを助け、面皰を緩め、除去することができる。Retin−A(登録商標)での処置は、通常、中程度〜重症のざ瘡を予定している。なぜならば、それは通常は軽い症例に対しては余りにも乾燥しているからである。しかしながら、それは、開放および閉鎖面皰よりなる非炎症性ざ瘡で選択される剤となり得る。療法の初期の4〜6週間の間では、皮膚の赤みおよび鱗状が見られるのが普通である。トレチノインは強力な抗面皰形成および面皰溶解効果を供し、また、間接的な抗微生物効果も保有する(O’Loughlin,S.,Irish Medical Journal,Vol.90,p.3,1997)。しかしながら、それは抗炎症効果は非常に小さく、皮脂抑制的とは考えられない。トレチノインは、面皰ざ瘡および丘疹嚢胞ざ瘡の軽度の形態で用いるために認可されている。トレチノインは、典型的には、より低い濃度のクリーム(0.025,0.05、および0.1%濃度で入手可能)、ゲル(0.01および0.025%)、またはマイクロエマルジョンゲル(0.1%)で出発し、毎日一回適用される。トレチノインは異なる調合物で入手可能であるので、トレチノイン溶液(0.05%)は最も強力であって、最も刺激性であり、医師は、患者の皮膚の感度および患者の環境に従って処置を仕立てることができる。例えば、ゲルは暑くかつ湿潤な気候で好ましく、他方、クリームは寒くかつ乾燥した気候により適している。トレチノイン表皮の角質層で殆ど留まり、吸収されると肝臓によって急速に代謝されるので、高濃度のトレチノインが全身毒性を引き起こすことなく皮膚に適用することができる(Lever L.,Marks R.,Drags,Vol.39(5),p.681−692,1990)。現在、より緩和性であって余り浸透しないように設計されるクリーム賦形剤と共によりトレチノイン濃度(0.025%)を利用する多数の調合物がある。例えば、該Retin−A(登録商標)Micro(トレチノインゲル、0.1%)マイクロスフィア調合物はトレチノインゲルのゆっくりとした送達として設計されており、そこでは、マクロポーラスビーズ(10〜25ミクロン)であるマイクロスポンジに有効成分が一体化されている。しかしながら、これらの改良にもかかわらず、皮膚科学のプラクティスにおけるトレチノインの使用は、しばしば、赤みおよび鱗状を伴う軽度の刺激性皮膚炎を発症した全てではないが殆どの患者によって限定されている。また、トレチノインは太陽光感度を増大させる。加えて、トレチノインの作用の開始は比較的遅れ、かつ変動し、殆どの患者では1〜3ヶ月で結果が見られる。ある患者では、面皰の駆逐が嚢胞反応を誘導し得る場合に、2〜4週間の処置の後に臨床的悪化を経験する。トレチノインは、局所抗生物質および/または過酸化ベンゾイルのような他の局所剤と組み合わせて用いることができ、それらの浸透を増強されることができる。
【0062】
タザロテンクリーム(TazoracTM)は合成アセチレン性レチノイドであって、ざ瘡の局所治療用でFDAによって認可されている。加えて、軽度〜中程度の尋常性ざ瘡用にタザロテンゲル(0.1%)も認可されている。タザロテンは、脱エステル化によって、カルボン酸活性形態に変換される。変換された形態はレチノイン酸受容体ファミリーの全ての三つのメンバーに結合し、遺伝子発現を修飾する。作用メカニズムはよく理解されていないが、タザロテンは培養された上皮細胞において炎症のマーカーを抑制することが示されている。タザロテンは、典型的には、全患部領域にわたって毎日一回適用される。ざ瘡の治療用のタザロテンクリームを用いるあるいくつかの特許で報告された有害な事象は、剥離、乾燥皮膚、紅斑、および火傷感覚、ならびに掻痒、刺激、顔疼痛、および刺痛を含むものであった。
【0063】
アダペレン(DifferinTM)はレチノイド活性を持つ合成ナフトエ酸誘導体である。アダペレンは局所トレチノインのそれと同様な局所的利点を有し、局所的な刺激はあまり引き起こさない。その作用メカニズムは二つあり;まず、それは、レチノイン酸受容体に結合し、引き続いて、細胞の分化を変調するその能力を介して面皰形成を阻害し;第二に、それは直接的な抗炎症活性を保有する。アダペレンはゲルまたはクリーム(0.1%濃度)として入手可能である。それはまず一週間当たり2〜3回適用され約二ヶ月の期間にわたって夜適用まで用法を増加させる。他のレチノイドのように、アダパレンは、療法の最初の1ケ月の末に向けて最初の炎症フレア−アップを引き起こしかねない。紅斑、スケーリング、乾燥、執拗な掻痒、および執拗な火傷および/または刺痛が、制御された臨床的研究においてアダパレンの用法で報告されている。
【0064】
アゼライン酸は、面皰溶解および抗炎症効果を共に有するジカルボン酸である。アゼライン酸は、P.acnesおよびStaphylococcus epidermidisに対する抗微生物活性を保有することが示されている。該抗微生物作用は、微生物の細胞蛋白質合成の阻害に帰すことができよう。それはトレチノインよりも効力が低いが、局所トレチノインまたは他のレチノイドを許容できない患者で有用である。局所アゼライン酸は、面皰、および軽度〜中程度の炎症性ざ瘡の治療において、局所過酸化ベンゾイルゲル(5%)、トレチノインクリーム(0.05%)、エリスロマイシンクリーム(2%)、および経口テトラサイクリン(0.5〜1g/日)と同様な効果を有する。アゼライン酸は有害効果の小さな割合と関連付けられており、最も通常物は局所的痒みおよび火傷感覚である。アゼライン酸での臨床試験においては、患者のほぼ1〜5%が掻痒(痒み)、火傷、刺創、および刺痛を報告している。また、その用法に伴うアレルギー性反応の可能性もある。
【0065】
抗生物質のような局所抗微生物剤は、P.acnesを殺すか、または阻害することによって、ざ瘡の治療で効果的であると考えられており、丘疹嚢胞ざ瘡の軽度な形態の治療で用いられている。局所抗生物質の代表的な例はクリンダマイシン(例えば、リンコマイシン)、ジトロマイシン、エリスロマイシン、ミノサイクリン、およびテトラサイクリンを含む。ざ瘡の治療のための、局所抗生物質であるエリスロマイシンの最初の使用はFultonによって報告された(Fulton,J.E.Jr.and Pablo,G. Topical antibacterial therapy for acne. Study of the family of erythomycins. Arch.Dermaton. 110:83−86,1974)。局所抗生物質は、P.acnesの小胞集団を減少させ、ならびにプロ−炎症分子を生じさせるこの生物の能力を低下させることによって働くと考えられている(Leyden,JJ.,American Journal of Clinical Dermatology,Vol.2(4),p。263−266,2001)。この結果、P.acnesのリパーゼ活性のマーカーである皮膚表面脂質の遊離脂肪酸がかなり減少される。引き続いての間接的抗面皰形成効果も観察される。局所クリンダマイシンおよびエリスロマイシンを用いる研究は、これらの剤での臨床的改善には、表面皮脂におけるP.acnesおよび遊離脂肪酸の低下が伴うことを示す(Lever L.,Marks R.,Drags,Vol.39(5),p.681−692,1990)。局所抗生物質の有意な副作用は、細菌耐性および交差耐性の誘導である。最近、1以上の抗ざ瘡抗生物質(最も普通にはエリスロマイシン)に対して耐性であるP.acnes単離体の報告が増大している。耐性株のこの出現は試料の失敗に関連付けることができる(Eady,EA.,Dermatolory,Vol.196,p.59−66,1998)。テトラサイクリン、エリスロマイシン、およびドキシサイクリンは抗生物質治療の頼みの綱である。しかしながら、これらの三つの抗生物質は静菌性であって殺菌性ではなく、かくして、再発の高い危険性がある。患者は適切な用量で開始し、少なくとも六ヶ月の治療で維持すべきである。また、ドキシサイクリンは感光反応を引き起こし得る。
【0066】
丘疹、嚢胞および膿疱ざ瘡の治療のために、経口抗生物質が数十年間用いられてきた。これらの抗生物質はテトラサイクリン(例えば、250および500mg用量形態)、エリスロマイシン(例えば、250、333、400および500mg用量形態)、ドキシサイクリンまたはミノサイクリン(例えば、50および100mg用量形態)、クリンダマイシン(例えば、75、150および300mg用量形態)、アンピシリン(例えば、250および500mg用量形態)、セファレキシン(例えば、500mg用量形態)のようなセファロスポリン、およびトリメトプリム/スルファメトキサゾール(例えば、二重強度(DS)錠剤)を含む。局所抗生物質に関して前記した抗生物質耐性の問題と共に胃腸(GI)不耐、光感受性、発疹、皮疹、蕁麻疹、および眩暈を含めた、種々の副作用も経口抗生物質に応じて観察されている。経口抗生物質は、例えば、過酸化ベンゾイルを含めた局所剤と組み合わせることができる。
【0067】
クリンダマイシン硫酸(Upjohn,Kalamazoo,MIによるDalacin TTM溶液およびCleocin−TTMゲル、ローションまたは溶液)は、静菌性であって、皮脂小胞に浸透することができ、かつP.acnesを減少させることができるマクロライドリンコマイシン抗生物質である。クリンダマイシン硫酸は、例えば、米国特許第3,969,516号に記載されている。患者は、典型的にはクリンダマイシンローション、ゲルまたは溶液(パッド)の薄いフイルムを患部領域に毎日二回適用する。クリンダマイシンは、50Sリボソームサブユニットに結合し、ペプチド鎖開始のプロセスを破壊することによって、リボソームレベルにおいて細菌の蛋白質合成を阻害する。イン・ ビトロ研究は、クリンダマイシンが、0.4mg/mlの最少阻止濃度(MIC)にてP.acnesの培養を阻害することを示す。加えて、皮膚表面の遊離脂肪酸はクリンダマイシンの適用の後に減少する。しかしながら、交差耐性がクリンダマイシンおよびエリスロマイシンの間で示されている(Kilkenny,M.,British Journal of Dermatology,Vol.139,p.840−845,1998)。
【0068】
局所調合物における抗生物質のような抗微生物剤の組合せは、ざ瘡の治療で用いられてきた。最初の組合せ局所療法の一つは、5%過酸化ベンゾイルと3%エリスロマイシとの混合物である。エリスロマイシンを単独で用いた場合に起こるstaphylococciの過剰増殖を過酸化ベンゾイルが妨げるように、P.acnesに対する相乗効果がイン・ビトロで観察された。もう一つの組合せ局所療法は、5%過酸化ベンゾイルと1%クリンダマイシン硫酸との混合物であるBenzaClinTMである。BenzaClinTMは中程度〜中程度に重症の顔ざ瘡の治療で用いられる。通常用いられるもう一つの抗生物質の組合せはBenzamycinTMである。BenzamycinTMは、エリスロマイシン(3%)および過酸化ベンゾイル(5%)の局所ゲル組合せである。抗生物質の組合せの局所調合物に関連する有害反応は皮膚刺激および乾燥皮膚を含む。
【0069】
処方ベースの抗ざ瘡剤に加えて、入手可能な多数のオーバー・ザ・カウンター(OTC)抗ざ瘡剤もある。殆ど全てのざ瘡に罹った者は、その治療の経過の間に少なくとも一回OTC製品を試みており;合衆国においては、一年当たり、ほぼ2300万の人々が局所OTCざ瘡治療オプションを用いると見積もられている。事実、殆どの人々は、皮膚科医師の助けを求める前に局所OTC治療を長く試みる。通常のOTCざ瘡製品はクレンザー、パッド、ローション、被覆製品、マスク、および美顔術を含む。OTC治療における活性剤は過酸化ベンゾイル、レゾルシノール、硫黄およびサリチル酸を含む。レゾルシノール、硫黄およびサリチル酸は、黒色面皰および白色面皰を破壊するのを助けることに帰せられている。加えて、サリチル酸は、油腺の小胞をライニングする細胞の放出を低下させるのを助け、それにより、炎症性ざ瘡の再発を低下させるその能力について記載されている。過酸化ベンゾイルを含むいくつかのOTC治療の代表的な例はOxy(登録商標)5(5%過酸化ベンゾイルローション)、Benzoyl(登録商標)10(10%過酸化ベンゾイルローション)、Benzashave(登録商標)(5%または10%過酸化ベンゾイルクリーム)、Advanced Formular Oxy Sensitive(登録商標)またはBenzac(登録商標)AC 2.5またはDesquam−E(登録商標)またはPanoxyl AQ(登録商標)2.5(2.5%過酸化ベンゾイルゲル)、Benzac(登録商標)5またはBenzac AC(登録商標)5または5−Benzagel(登録商標)またはDesqueam−E 5(登録商標)またはDesquam−X 5(登録商標)またはPanOxyl AQ(登録商標)5またはPanOxyl(登録商標)5(5%過酸化ベンゾイルゲル)、Benzac(登録商標)10またはBenzac AC(登録商標)10または10−Benzagel(登録商標)またはDesquam−E(登録商標)10またはDesquam−X(登録商標)10またはPanOxyl AQ(登録商標)10またはPanOxyl(登録商標)10(10%過酸化ベンゾイルゲル)を含む。サリチル酸を含むいくつかのOTC治療の例は、例えば、Stri−Dex(登録商標)パッド、Fostex(登録商標)クレンジングパッド、およびClearasil Maximum Strenght(登録商標)クレンジングパッド(2%サリチル酸パッド)を含む。さらに、多くのOTC角質溶解性ではなくして表面落屑を生じかねず、根底となるざ瘡の病理学的プロセスに影響することなく表皮剥離を引き起こし得る。加えて、亜鉛、ビタミンCおよびビタミンEを含めたビタミンおよびミネラルがざ瘡の治療で用いられる。
【0070】
本発明の態様において、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)を、ざ瘡の治療において、他の抗ざ瘡剤(1以上)と共に投与し、または同時に投与してもよい。同時投与または共投与は、相互と共にまたは組み合わせて、相互と一緒に、相互の前または後における、剤の投与を含む。XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)は同一または異なる経路によって投与してもよい。例えば、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)は局所投与してもよく、他方、他の抗ざ瘡剤(1以上)は、経口または皮下投与される。別法として、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)は共に局所投与してもよい。XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)は、順次に、中間適用の後に患者の真皮に適用してもよく、あるいは異なる局所調合物、例えば、ゲル、溶液、クリーム、ローションまたはパッドにて投与してもよい。XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)は、それらが、双方の剤がざ瘡の部位において効果的な濃度を達成するのを可能とするのに十分なように投与される限り、同時または順次に投与してもよい。XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)の順次の投与の間に、剤の投与の間に、数分〜数時間変化させる期間が介入してもよいとも考えられる。
【0071】
XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)と共投与または同時投与してもよい抗ざ瘡剤は、1以上の処方ベースのおよび/またはオーバー・ザ・カウンター(OTC)抗ざ瘡治療を含む。本発明に従って用いられる抗ざ瘡剤は、いずれの薬学的に受容可能なまたは美容上受容可能な調合物であってもよい抗ざ瘡剤のための好ましい調合物は、ゲル、溶液、ローション、クレンザー、クリーム、もしくはパッドのような局所調合物あるいは経口調合物である。XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)と共に使用してもよい好ましい処方ベースの抗ざ瘡剤は、過酸化ベンゾイル、レチノイドまたはレチノイド誘導体、アゼライン酸を含めた抗微生物剤、および過酸化ベンゾイルを含むまたは含まないクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、またはエリスロマイシンのような抗生物質または抗生物質の組合せを含む。XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)と共に使用してもよい好ましいOTC抗ざ瘡剤は過酸化ベンゾイル、レゾルシノール硫黄およびサリチル酸を含む。
【0072】
XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)の同時投与は、ざ瘡に対するより効果的なまたは増強された治療を提供することができる。例えば、二つの剤の同時投与は、いずれかの剤が単独で投与された場合に供するよりも大きな治療効果を供することができる。一つの例として、同時投与は、同様な治療効果の達成と共に一方または双方の剤の投与量の低下を可能とすることができる。別法として、同時投与はいずれかの剤単独で達成し得るよりもより迅速または完全な抗ざ瘡治療効果を生じさせることができる。加えて、ざ瘡関連細菌が耐性となった場合には、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)投与は、抗ざ瘡剤に対する細菌耐性を逆行させることができる。
【0073】
XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤(1以上)の同時投与の更なる利点は、試料に影響する、皮膚刺激、痒み、スケーリング、または太陽光感受性のような望ましくない副作用を有するかもしれない剤の量を低下させる能力である。また、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)は、治療利点を開始する増加した回数、耐性の発生の低下、および治療の減少した持続のような種々の方法にて他の抗ざ瘡剤の治療有効性を改良することができ、かくして抗ざ瘡剤のより広い使用を可能とする。
【0074】
XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)が他の抗ざ瘡剤と同時投与される場合、該XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および該抗ざ瘡剤は、各々、単独治療効果に十分な量で投与してもよく、あるいはそれらは単独治療量未満で投与してもよい。当業者であれば、良好な医療プラクティスおよび個々の患者の臨床的状態によって判断されるように、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)および他の抗ざ瘡剤についての有効な投与量、および単独治療または同時投与方法を容易に最適化することができよう。抗生物質のような抗微生物剤であるもう一つの抗ざ瘡剤と組み合わせたXMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)の投与を記載するのに用いる場合、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)に関連する組合せ療法効果に十分な量は、抗微生物(例えば、抗生物質)抗ざ瘡剤に対する当該生物の感受性を増大するのに効果的な量を少なくとも含み、抗微生物(例えば、抗生物質)抗ざ瘡剤に関する組合せ療法効果に十分な量は、XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)のその量と共に投与した場合に、殺菌または増殖阻害効果を生じる抗微生物(例えば、抗生物質)抗ざ瘡剤の量を少なくとも含む。抗微生物剤は抗菌、抗真菌および/または抗原性動物剤を含むことができる。
【0075】
XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)は、単独で、あるいはもう一つの抗ざ瘡剤と共に、またはそれと組み合わせて用いて、軽度、中程度または重症ざ瘡、好ましくは軽度または中程度ざ瘡を含めたざ瘡を治療することができる。The Consensus Conference on Acne Classfication(ざ瘡分類についての共通会議)(1990)は、ざ瘡の段階付けは、病巣およびそれらの合併症(例えば、ドレナージ、出血および疼痛)の総合評価を含む、パターン−診断システムの使用によって達成されることを提唱している。それは、病気の全体的インパクトを考慮する。病巣カウント近似に基づき、ざ瘡の重傷度等級は軽度、中程度または重症に割り当てることができる。軽度ざ瘡は面皰および/または数個〜5,6個の丘疹/嚢胞(例えば、+/++)、および小結節無しを含む。中程度ざ瘡は5,6個〜多くの丘疹/嚢胞(例えば、、++/+++)および数個〜5,6個の小結節(例えば、+/++)を含む。重症ざ瘡は多数および/または広範な丘疹/嚢胞(例えば、+++/++++)および多くの小結節(例えば、+++)を含む。
【0076】
以下の実施例は説明目的で掲げるものであって、断じて特許請求の範囲を限定するものと解釈されるべきではない。
【実施例】
【0077】
実施例1
調製および特徴付け実験
本実施例は、XMP.629の調製および特徴付けを取り扱う。XMP.629ならびにXMP.629の塩および誘導体は、米国特許第6,515,104号に記載され、参照されているのを含めた種々の合成手法によって調製することができる。本明細書中に記載するように、XMP.629はMerryfield(Merryfield,R.B.,Scienece,Vol.150,p.178−185,1965)によって最初に記載された修飾された固相手法を用いて合成した。各D−アミノ酸のα―アミノ基はt−ブチルオキシカルボニル(Boc)基で保護した。側鎖官能基は以下のように保護した:リシンは2−クロロベンジルオキシカルボニル誘導体として保護し、アルギニンはトシル誘導体として保護し、およびグルタミンはキサンチル誘導体として保護した。
【0078】
ペプチド鎖は、まず、C−末端アミノ酸Boc−D−1−Naph(Boc−D−1 Nal−OH)を4−メチルベンズヒドリルアミン(MBHA)樹脂支持体にカップリングすることによって組み立てた(Matsueda and Stewart,Peptides 2,p.45−50,1981)。該MBHA樹脂は、C−末端アミド基を含有する配列の合成のために用いた。ペプチド鎖は、まず、C−末端残基上のBoc−基をトリフルオロ酢酸(TFA)で除去し、トリエチルアミン(TEA)で中和し、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt)の存在下でジイソプロピルカルボジイミド(DIC)を用い、配列(Boc−D−Lys Cl−CBZ)中の次のアミノ酸誘導体をBoc−D−1−Naph−樹脂(Matsuida and Stewart,Peptides 2,p.45−50,1981)にカップリングさせることによって組み立てた。カップリング反応の進行はニンヒドリンテスト(Kaiserら、1970)を用いてモニターし、ここに完全なカップリングは陰性結果によって示された。もしニンヒドリンテストが、未反応アミンの存在を示す陽性であると判明すれば、合成を継続する前に、半分の量のアミノ酸誘導体および半分の量のジイソプロピルカルボジアミドを用いてカップリングを反復するか、あるいはジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下で無性酢酸を用いて樹脂をアセチル化した。ニンヒドリンテストが院生である場合、Boc−基をトリフルオロ酢酸(TFA)で除去し、樹脂をTEAで中和し、配列(Boc−D−Ala)における次の保護されたアミノ酸誘導体を同一手法を用いてカップリングさせた。所望の配列における残りのアミノ酸誘導体でのカップリングサイクルの反復の結果、十分に保護されたペプチド−樹脂が得られた。合成の完了の後、TFAでの処理によってN−末端Boc−基を除去し、樹脂をTEAで中和し、DIPEAの存在下で無水酢酸を用いてアセチル化した。次いで、十分に保護されたペプチド−樹脂を洗浄し、一定の重量まで乾燥した。
【0079】
次に、スカベンジャーの存在下で、得られた樹脂―ペプチドのサブ−ロットの液状フッ化水素での処理によってペプチドを樹脂から切断し、これにより粗生成物を得た。次いで、多工程分取用逆相HPLCプロセスによって生成物を精製し、その間に、HPLCによって画分の純度を評価した。凍結乾燥によって最終生成物を酢酸塩として単離し、Teflon(登録商標)でライニングしたポリプロピレンキャップを付した予め洗浄されるパイロジェンを除去したタイプIIIの琥珀色ガラスビンにパッケージした。いずれかのロットの再処理は、前記したプロセスの最終段階の全てまたは一部、例えば、精製または凍結乾燥を反復することによって行うことができる。また、XMP.629製品は、GMP正常条件下で、Polypeptide Laboratories,Inc.(Torrance,CA)のような商業的製造業者によっても調製された。
【0080】
そのような固相Boc戦略を用いるXMP.629についての例示的な合成スキームは以下にまとめる。
【0081】
【化2】

精製された生成物の分子同一性はテストによって確認した。種々のテストを行い、例示的な生成物規格以下に表1にまとめる。精製されたXMP.629は、配列決定された参照標準にて、質量スペクトル分析、アミノ酸分析、および分析逆相HPLCでテストした。純度は分析逆相HPLC技術によって評価した。定量的アミノ酸分析をアッセイをして用いて、精製された生成物中の活性物質の含有量を決定した。分析HPLC方法を用いて、(酢酸としての)生成物におけるアセテート対イオンを定量し、他方、比色カールフィッシャー滴定方法を用いて生成物中の残存する水を測定した。また、精製された生成物をガスクロマトグラフィーによって残存する有機溶媒につき、HPLCによって残存するトリフルオロ酢酸につき、およびイオン−選択的電極を用いる電位差方法によって残存する無機フッ化物につきテストした。追加のテストは、比旋光度、生物負荷、およびエンドトキシンレベルの測定を含んだ。
【0082】
【化2A】

XMP.629の精製された調製物は、種々のアッセイで用い、以下に記載したように実験した。
【0083】
前記したXMP.629についてのBoc合成は、保護されたペプチド−樹脂前駆体の切断および同時脱保護のために液状フッ水素を利用する。この工程がプロセスのスケール性に影響するであろう程度に、アルファ−アミノ基およびt−ブチル−ベースの側鎖保護基の9−フルオレニル−メチルオキシカルボニル(Fmoc−)保護を用いる固相合成に基づく商業的規模のプロセスは有用であろう。Fmoc−固相合成戦略を利用し、かつRinkアミド樹脂を用いるXMP.629についての合成スキームを以下に示す。
【0084】
【化3】

各アミノ酸のアルファ−アミノ基は9−フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc−)基で保護し、他方、側鎖官能基は以下のように保護する:D−リシンはt−ブチルオキシカルボニル基で保護し;D−グルタミンはそのトリチル誘導体として保護し;およびD−アルギニンは2,2,4,6,7−ペンタメチルジヒドロベンゾフラン−5−スルホニル−基で保護する。ペプチド鎖は、まずは、ジメチルホルムアミド(DMF)中のピペリジンの溶液を用いてRinkアミド樹脂上のFmoc−基を除去することによって組み立てる。樹脂をDMFおよびイソプロパノールで洗浄した後、溶媒としてのDMF中・1−ヒドロキシベンゾトリアゾール(HOBt;ほぼ2当量)の存在下でジイソプロピルカルボジイミド(DIC;ほぼ2当量)を用い、配列[Fmoc−D−(1−ナフチル)−アラニン;ほぼ2当量]中の最初のアミノ酸誘導体を最少1時間で樹脂にカップリングさせる。樹脂を洗浄した後、ニンヒドリンテストを用いてカップリング反応の完了を確認し[E.Kaiserら、Analitical Biochemistory,Vol.34,p.595,(1970)]、該テストは陰性であるべきであり、これは完全なカップリングを示す。もしニンヒドリンテストが、未反応アミンの存在を示す陽性であることが判明すれば、合成を継続する前に、ほぼ半分の量のアミノ酸誘導体を用い、溶媒としてのDMF中のHBTU、HOBtおよびジイソプロピルエチルアミン(DIPEA)の存在下でカップリングを反復し;あるいは溶媒としてのDMF中のピリジンの存在下で無水酢酸を用いて樹脂をアセチル化する。
【0085】
ニンヒドリンテストが陰性である場合、Fmoc−基をピペリジンで除去し、配列[N−α―Fmoc−N−ε―(t−ブチルオキシカルボニル)−D−リシン]中の次の保護されたアミノ酸誘導体を前記した手法を用いてカップリングされる。所望の配列中の残りのアミノ酸誘導体でのカップリングサイクルの反復により、十分に保護されたペプチド−樹脂が得られる。合成の完了の後、N−末端Fmoc−基はピペリジンでの処理によって除去する。次いで、保護されたペプチド−樹脂中間体を洗浄し、一定重量まで乾燥する。配列中のアミノ酸の全てはD−立体配座のものである。
【0086】
プロセスの第二の段階では、アニソールおよび水の存在下にてトリフルオロ酢酸(97:0.5:2.5、v/v)でペプチドを樹脂から切断し、続いて、エーテルで沈殿させる。粗製生成物を得るために、これをエーテルで洗浄し、真空下で一定重量まで乾燥する。
【0087】
プロセスの最終段階において、前記したBocプロセスで用いた同一の2工程分取逆相HPLCプロセスによって精製する。最終の精製された生成物溶液を凍結乾燥して、XMP.629酢酸を得ることができる。
【0088】
実施例2
抗微生物活性実験
本実施例は、XMP.629の抗微生物活性に関連する実験を取り扱う。ざ瘡に関連する細菌株の代表的なパネルに対するXMP.629および種々の既知の抗生物質における抗生物質活性のイン・ビトロの評価を行った。嫌気性生物についてNational Committee for Clinical Laboratory Standards(NCCLS)によって確立されたガイドラインを用い、ブロス希釈方法を使用して、XMP.629についての抗菌プロフィールを確立した。最少細菌濃度(MBC)および最小阻止濃度(MIC)を決定するためのアッセイを、XMP.629および他の既知の抗生物質につき行った。さらに、XMP.629のポスト抗生物質効果(PAE)を測定するためのテストを行った。
【0089】
P.acnes、P.avidum、P.granulosum、およびStaphylococcus epidermisのようなざ瘡に関連する細菌株の代表的なパネルからの接種物は、ほぼ5〜10の単離された細菌コロニーを予め還元されたMicroScan(登録商標)接種物水(Dade Behring,Deerfield,IL)に懸濁させ、細菌懸濁液を対数期まで増殖させる(ほぼ48時間)ことによって調製した。100μLの懸濁液を25mLのブレインハートインヒュージョンブロス(BHI)(Anaerobe Systems,Morgan Hill,CA)に加えることによって、1〜5×106/mLの間の接種物を達成した。
【0090】
4.0mg/mLの濃度にて水に溶解させたXMP.629のストック溶液を調製した。約1.25〜約160μg/mLの範囲の濃度のXMP.629の希釈溶液を水または処方緩衝液(130mM塩化ナトリウム、0.2%P103(ポロキサマー333)、および0.10%EDTA、pH7.3)いずれか中で作成した。クリンダマイシンおよびエリスロマイシンの水性ストック溶液は水中で調製した。
【0091】
MBCアッセイでは、水または処方緩衝液いずれか中の100μLのXMP.629または抗生物質を12×75mmポリプロピレンチューブ、続いて900μLの接種されたBHIに分注した。最終容量1mLを含有する各チューブを渦巻かせることによって混合した。水または処方緩衝液のみを含有する対照チューブを各単離体につき調製した。最初の増殖対照は、水対照チューブから10μLを取り出し、それを100倍希釈することによって測定した。この希釈から接種のため、および表面にわたってLaked Blood Agar(LBA)(Anaerobe Systems,Morgan Hill,CA)プレート上に延ばすために10μLを用いた。チューブおよびプレートを、嫌気性雰囲気中で37℃にて48時間インキュベートした。インキュベーションの後、チューブを混合し、さらなる平板培養のために、10μL試料を各チューブから取り出した。次いで、これらのプレートを嫌気性雰囲気中で、37℃にて48〜72時間さらにインキュベートし、得られたコロニーをカウントした。希釈ファクターにつき調整した後、接種物を≧99.9%だけ低下させる薬物または薬物の組合せの最小濃度を、最小殺菌濃度(MBC)と考えた。MBC50および90値は、テストした株のMBC値の、各々、50および90%が示された濃度と同等、またはそれ未満である場合を表す。培養チューブ中で目に見える増殖を阻害する抗生物質の最低濃度を、最小阻止濃度(MIC)と考えた。
【0092】
表2にまとめた二つの独立して行った実験からの結果は、代表的なPropionibacterium単離体のパネルに対するXMP.629の殺傷活性を示す。XMP.629は、Propionibacteriumのような、ざ瘡に関連する剤のいくつかに対して有意な抗菌活性を呈する。例えば、XMP.629はP.acnes、P.avidun、P.granulosum、およびStaphylococcus epidermisに対して抗菌活性を保有する。水または処方緩衝液に溶解させたXMP.629は、P.acnes、P.avidum、およびP.granulosumのような代表的なP.ropionibacteriumの複数株に活性を呈した。また、XMP.629は、グラム陰性およびグラム陽性生物に対して、および真菌に対して迅速な抗微生物活性を保有することが判明した。
【0093】
【化4】

前記したのと同様にして行った更なるテストにおいて、XMP.629は、Corynebacterium、Enterococcus、S.aureus、P.aeruginosa、およびCandidaのような、ざ瘡の発症に関連する他の更なる生物に対して活性を示した。他の既知の抗生物質とXMP.629との比較実験からの結果を以下に表3に示す。
【0094】
【化5】

尋常性ざ瘡は微生物共同体に関連し得る。P.acnesはそのような共同体の支配的メンバーであり得るが、他の特徴付けされていない細菌も関与し得る。実施例5に記載したアセテートゲルとしてのXMP.629および他の通常に使用される抗生物質の微生物活性は、標準化されたNCCLSプロトコルを用いてヒト病原体のパネルに対して評価した。XMP.629酢酸ゲルは、グラム−陰性生成物に対して優れた効果を有することが判明し、MIC値は典型的には表4に示すように2〜8μg/mLの範囲であった。多くの抗微生物化合物に対して難治性であるグラム−陰性生物B.fragilis、B.cepacia、P.mirabilisおよびS.marcescensに対してより低い効力が観察された。
【0095】
【化6】

XMP.629酢酸ゲルは、表5に示したように、バンコマイシン耐性Enterococcus faecium(VRE)株を含めた、グラム−陽性生物に対して一定の優れた活性を示した。XMP.629酢酸ゲルは、比較体抗生物質についての64μg/mL以上のMICと比較して、2.0μg/mLのMICを生じた。これらの結果は、XMP.629に対する標的受容体はユニークであって、他の抗微生物ペプチドと交差−反応しないことを示唆する。また、XMP.629酢酸ゲルはメチシリン耐性S.aureus(MRSA)株に対して高度に効果的であり、示したように、野生タイプ、およびP.aeruginosaの多薬物耐性株双方に対して等しく優れていた。
【0096】
これらのデータは、他の標準的抗生物質に対するテストした生物の感受性がXMP.629酢酸ゲルに対する感受性に影響しないことを示す。加えて、Pseudomonasの2つの株が当該化合物に対して等しい感受性を示したという事実は、XMP.629がこれらの耐性株によって用いられる流出薬物ポンプに対する基質ではないことを示した。
【0097】
【化7】

P.acnes株ATCC6919を、1、2および4mg/mLの濃度のXMP.629または他の抗生物質の処方緩衝液と共にインキュベートすることによって殺傷曲線を作成した。試料を取り出し、示された時間の間、平板培養した。インキュベーションの後、コロニーをカウントし、各薬物について殺傷キネティックスを測定した。
【0098】
殺傷アッセイからの結果は、XMP.629によるP.acnesの殺傷が時間および濃度依存性であることを示した。例えば、4μg/mLのより高い濃度では、検出不可能なレベルまでの8時間以内での目に見える細胞の迅速な低下が観察された。19時間において、テストした全ての濃度は、培養を検出される生物無しまで効果的に低下させた。P.acnesに対するさらなる殺傷曲線実験において、XMP.629は6時間の暴露内で殺菌性であった。殺傷キネティックス実験の結果は、XMP.629の致死的効果が、用量に応じて、微生物を殺傷するための10時間までの接触で示された。
【0099】
XMP.629についてのMBC値に対する抗生物質耐性の影響を決定するために、クリンダマイシン感受性およびクリンダマイシン耐性Propionibacterium株に対してさらなるMBC実験を行った。比較のために、さらなるPropionibacterium株をテストした。これらのテストした株についてのXMP.629に対するMBC値を表6に掲げる。
【0100】
結果は、P.acnesに対する処方緩衝液中のXMP.629についてのMBC50は1μg/mLであり、MBC90は2μg/mLであったことを示す。テストした36の株のうち、16はクリンダマイシン耐性であった(MIC>64μg/mL)。クリンダマイシン感受性および耐性株の間でXMP.629に対する感受性の見掛けの差はなかった。クリンダマイシン耐性はXMP.629に対していずれの耐性も付与しなかった。テストしたP.avidumおよびP.granulosum株の数は意味のあるMBC値を計算するのに不十分であったが、データはやはり表6にまとめた。
【0101】
【化8】

さらなる実験において、エリスロマイシン、メチシリンまたはバンコマイシンに耐性のP.acnes株は、XMP.629に対するこれらの株のMBC値に影響せず、これは、それがテストした他の抗微生物のそれとは異なる作用メカニズムを有することを示唆する。
【0102】
6つの個々のPropionibacterium acnes株に対するXMP.629についてのMBC値を表7に示す。P.acnesに対する実施例5に記載したXMP.629組成物についてのMBC50およびMBC90(表12参照)は共に2μg/mLであった。テストしたこれらの選択された株のうち、再度、クリンダマイシン感受性および耐性株の間にXMP.629に対する感受性の見掛けの差はなかった。
【0103】
【化9】

XMP.629についてのポスト−抗生物質効果(PAE)実験は、Carig,W.and S.Gudmundsson,「Postantibiotic Effect」,P.296,In: Lorian,V.(編) Antibiotics in Laboratory Medicine,第4版によって記載された手法に従って行った。ポスト抗生物質効果は、当該細菌との接触後に抗生物質が標的生物に影響する持続を測定する。この実験では、初期濃度5×10CFU/mL P.acnes(ATCC 6919)および1μg/mLを15、30または60分間インキュベートし、次いで、BHIに100倍希釈した。処理した生物およびマッチした未処理対照を7時間インキュベートした。試料を採取し、1時間の間隔でカウントした。回収は、経時的にプレートカウントによって決定した。
【0104】
ポスト抗生物質値は、対照および処理した培養の間での1 log10を増加させる時間の差である。生物の長い世代時間(遅い増殖)のため、回収時間は異常に長かった、>12時間。これは結果に影響したかもしれない。というのは、典型的なアッセイは5〜6時間以内に完了するからである。結果は、処方溶液を含むおよび含まない対照が、全て、ほぼ7時間までに1 logだけ増加したことを示した。同様な結果が、XMP.629で15分間にわたってテストした細菌で観察された。しかしながら、XMP.629と30分間接触した培養は数が幾分低下し、60分では、抗生物質除去の時点においてマッチした対照から数がより低下し、実験のコース(12時間)にわたってカバーしなかった。処理した群は必要なlog10だけ増加しなかったので、正確なPAE値は帰属できなかった(≧12時間)。しかしながら、実験は、滞留時間が15分よりも大きな場合、XMP.629が、ペプチドとの接触後5時間未満で感受性細菌に対して継続する阻害性であるが致死的ではない効果を有しないことを示す。XMP.629のさらなるポスト抗生物質効果は、15分間のP.acnesの0.5〜2.0 MBCへの暴露の後、影響された細胞は24時間のインキュベーションの後でさえ回復しないことを示した。
【0105】
XMP.629が、P.acnesに対して用いた通常知られた抗生物質の有効性を増強させたか否かを判断するために実験を行った。以下の手法に従って、XMP.629と共に増大させる濃度のエリスロマイシンおよびクリンダマイシンにてチェッカーボードアッセイを行った。
【0106】
ポリプロピレンチューブ(12×75mm)をチェッカーボード−様方法にて整列させ、活性の1つの100μLを各チューブに分注し、続いて、XMP.629および接種された培地を分注した。最終容量1mLを含有した各チューブを渦巻かせることによって混合した。10μL試料を対照チューブから取り出し、水中に100倍希釈し、10μLアリコートをBRUプレート上に広げた。チューブおよびプレートを37℃にて48時間インキュベートした。インキュベーションの後、チューブを混合し、平板培養のために10μL試料を再度各チューブから取り出した。全てのプレートを37℃にてほぼ48〜72時間インキュベートし、得られたコロニーをカウントした。希釈ファクターにつき調整した後、接種物を≧99.9%だけ低下させる薬物または薬物の組合せの最低濃度を最少殺菌濃度(MBC)と考えた。培養チューブ中の目に見える増殖を阻害した抗生物質の最低濃度を、最少阻止濃度(MIC)と考えた。薬物組合せの間の関係は、分率阻止濃度(FIC)または分率殺菌濃度(FBC)として計算する(Eliopoulos,G. and R.Moellering,「Antimicrobial Combinations],p.338,In: Lorian,V.(編) Antibiotics in Laboratory Medicine第4版」。
【0107】
抗生物質の組合せはクリンダマイシン耐性株UPC686(MIC>64μg/mL)、中間−エリスロマイシン株に変換された株ATCC6919(MIC=64μg/mL)およびクリンダマイシン/エリスロマイシン感受性株UP2022(MIC<1μg/mL)でチャレンジした。各株では、XMP.629についてのMBCは1μg/mLであった。64μg/mLまでの他の抗生物質の添加は、XMP.629の殺菌能力(FBC=2)に影響を有しなかった。株UPC686およびUP2022では、エリスロマイシン/クリンダマイシンについてのMIC値は影響されなかった(FIC=2)。これらの関係の結果は差無しと記載され、いずれの化合物も他の活性に陽性にもまたは陰性にも影響しない。しかしながら、エリスロマイシン中間−耐性株については、FICはXMP.629/エリスロマイシン組合せにつき0.75(FBC=2)であり、P.acnesの増殖阻害に対するさらなる影響と考えられるが、増強された殺菌特性は示されなかった。さらなる実験において、種々の抗生物質をXMP.629と組み合わせてテストし、結果を表8および表9に示す。
【0108】
【化10】

実施例3
耐性実験
本実施例は、耐性に関連する実験を取り扱う。耐性の発生は、ざ瘡の治療のための現行の抗生物質療法での知られた潜在的ハザードである。耐性がXMP.629に暴露されたP.acnesによって発生したか否かを判断するために実験を行った。
【0109】
エリスロマイシン、クリンダマイシンおよびXMP.629に対して耐性のP.acnesの株を発生させるために、各抗生物質のより高い増大させる濃度にてP.acnes株(ACTT 6919)を継続的に継代した。対照、ナイーブ、感受性培養を処理した生物で平行してチャレンジさせた。最初に、ブレインハートインヒュージョンブロス(BHI)(Anaerobe Systems,Morgan Hill,CA)中のほぼ5×10cfu/mLのP.acnesを増大させる濃度の薬物で処理した。48時間のインキュベーションの後、内容物をBrucella寒天(BRU)(Anaerobe Systems,Morgan Hill,CA)上で平板培養し、72時間インキュベートした。最高薬物濃度からのコロニーをBHIに懸濁し、再度、薬物でチャレンジさせた。抗生物質に対する耐性は、培養チューブ中での目に見える増殖、すなわち、対照よりも少なくとも4倍高い最少阻止濃度(MIC)の増加によって決定する。
【0110】
XMP.629、エリスロマイシンおよびクリンダマイシンのサブ−致死/阻止濃度におけるP.acnes ATCC 6919の反復した継代−培養を、64μg/mLのエリスロマイシンおよびクリンダマイシンまたは>4μg/mLのXMP.629における増殖が可能な維持できる培養が得られるまでルーチン的に行った。エリスロマイシンでは、11継代後に中間−耐性(IR)株(MIC=64μg/mL)が出現し、14継代後に耐性(R)株(MIC>64μg/mL)が出現した。マッチした、未処理の、対照生物についてのMIC値は依然として4μg/mLのままであった。サブ−致死濃度のXMP.629の存在下では、耐性コロニーが形成されない17継代の後には培養実験を停止し;これは<1.2×10の耐性率を表す。結果を以下に表10にまとめ、それは、XMP.629に対する耐性の発生が稀な事象であり、細菌によって容易に誘導できない標的または薬物修飾を必要とすることを示す。
【0111】
【化11】

さらなる耐性実験において、より高い増大させる濃度の抗生物質にて、ATCC 6919の継続した継代によってP.acnesのXMP.629耐性株を生じさせる試みにおいて、培養実験を行った。実施例5に記載したように1、2および4mg/mLのXMP.629組成物を用い(表12参照)、次いで、ナイーブおよび感受性培養を、処理した生物で平行してチャレンジさせて、5番目の処理毎の後にMICおよびMBCを測定した。表11に示すように、20継代の後に、XMP.629が影響した生物およびナイーブな対照株の間に有意な差はあるようには見えなかった。
【0112】
【化12】

実施例4
さらなる活性実験
本実施例は、その公知のエンドトキシン−関連活性を含めた、XMP.629のさらなる活性に関する実験を取り扱う。例えば、XMP.629は、内毒素血症のネズミモデルにおいてエンドトキシン中和活性を呈した。これらの実験では、15の雄CD−1マウスの群を、尾静脈注射を介して25mg/kg E.coli 0111:B4リポ多糖でチャレンジさせた。エンドトキシンチャレンジの直後に、マウスを0.07、0.2、0.65mg/kgのXMP.629、またはセーラインで静脈内で処理した。動物を毎日2回観察し、死亡率を7日間記録した。XMP.629は、エンドトキシン−チャレンジマウスにおける生存および完全な保護に対する用量−依存性効果が0.65mg/kgで観察されたことを示した。
【0113】
急性腹膜炎モデルでのさらなる実験において、マウスを1.4×10CFU E.coli 07:K1で腹腔内チャレンジし、1、3または10mg/kgのXMP.629、またはセーラインで腹腔内で処理した。マウスを毎日2回観察し、死亡率を7日間記録した。処理群およびセーラインの間の統計学的比較は、カイ平方検定を用いて行った。XMP.629は、E.coli 07:K1でチャレンジしたマウスにおける生存に対して有意な用量−依存性効果を示した。10mg/kgにおいては、87%の保護が観察された。さらなる実験において、XMP.629は20mg/kgの用量にて安全に静脈内投与された。
【0114】
この腹膜炎実験において、XMP.629は生存に対して用量依存性効果を示した。
【0115】
実施例5
XMP.629の組成物
XMP.629(またはXMP.629の薬学的に受容可能な塩または誘導体)を含む本明細書中に示したざ瘡治療組成物はいずれの美容上、生理学的または薬学的に受容可能な調合物におけるものであってもよい。好ましい態様において、本発明の組成物は局所適用のために処方される。より好ましい態様において、本発明の組成物はゲルとして処方される。
【0116】
例示的ゲル組成物は以下の表12(ならびに以下の実施例)に記載される。引き続いてのイン・ビトロ、動物およびヒトテストおよび使用のために、0.01%、0.05%、および0.10%を含めた種々のXMP.629濃度において、種々の代表的な組成物が調製される。安定性実験および/または活性実験でテストすることによることを含めて、緩衝剤成分、塩、等張剤、溶媒、ゲル化剤、保存剤、キレート化剤、湿潤剤および/または界面活性剤を含めた、例えば、種々の緩衝液(例えば、酢酸緩衝液)および/または塩、および/または等張剤(例えば、塩化ナトリウム)、プロピレングリコール(例えば、0〜10%重量/重量)、ヒドロキシエチルセルロース(例えば、0〜1.5%または0.4〜1.5%重量/重量)、塩化ベンザルコニウム(例えば、0〜0.01%重量/重量)、EDTA(例えば、0〜0.5%重量/重量)、または種々のポロキサマー界面活性剤(例えば、0〜1%重量/重量)を含めた、有効成分(例えば、XMP.629)と共に、種々の成分の濃度を変化させおよび/または最適化させる。
【0117】
【化13】

XMP.629は、種々の調合物において安定性および生物学的活性を示した。初期の実験では、XMP.629は5および20mg/mLを含めた種々の濃度にて水性溶液に可溶性であり、4℃にて6ヶ月を超える間、水性溶液中の生物学的活性によって示されるように安定なままであった。加えて、XMP.629はプロテアーゼ分解に対して実質的に耐性であった。さらなる実験において、25℃、40℃、および50℃のような温度下で、かつ0.5、1および2ヶ月のような種々の時点において、XMP.629の種々の調合物を安定性につきテストした。外見、pH、粘度、および濃度のような、変化させる時点および温度下で記録した観察は、これらの調合物の総じての安定性を示した。
【0118】
表12に示すように、XMP.629酢酸ゲルについての例示的な製造手法を以下に記載する。容器を製造するにおいて、36%酢酸溶液、酢酸ナトリウム三水和物、精製水を加える。透明な溶液が得られるまで、溶液をプロペラで混合する。溶液のpHをチェックし、6.0±0.2のpH範囲内にあることが確認される。種々のプロペラ混合にて、エデト酸二ナトリウム二水和物(EDTA)、塩化ナトリウム、塩化ベンザルコニウム(BAK)、プロピレングリコール(PG)およびポロキサマー333(プルロニックP−103)を加え、溶液が透明となるまで混合する。連続的プロペラ混合にて、XMP.629酢酸を加え、溶液が透明となるまで混合する。連続的プロペラ混合にて、ヒドロキシエチルセルロース250HHX(HEC)を分散させ、平滑かつ均一な透明ゲルが形成されるまで混合する。
【0119】
容器−クロージャー−システムを含めた、種々の製品、キットおよび容器は、組成物がゲル、ローション、クリーム、溶液(例えば、ウォッシュ)である場合、および/または組成物がワイプ、スワブ、エアロゾル、スプレー、ゲルスティック、パッチまたは含浸包帯で提示される場合を含めて、XMP.629の組成物で利用することができる。種々のプレゼンテーションを4つパッケージングするための例示的容器−クロージャーシステムが、以下のように、20、30および45gチューブのような商業的パッケージサイズに充填され、パッケージされるXMP.629酢酸ゲル(例えば、約1g〜約100g)、および3.5gチューブのような医師試料サイズについて記載されている:(a)3.5gチューブ−シールされたオリフィスGlamaseal(登録商標)、白色ポリプロピレンキャップ、公証3〜5グラム充填を含むラミネートチューブ(Glaminate(登録商標));(b)20gチューブ−シールされたオリフィスGlamaseal(登録商標)、白色ポリプロピレンキャップ、公証15g充填を備えたラミネートチューブ(Glaminate(登録商標));(c)30gチューブ−シールされたオリフィスGlamaseal(登録商標)、白色ポリプロピレンキャップ、公証20グラム充填を備えたラミネートチューブ(Glaminate(登録商標));(d)45gチューブ−シールされたオリフィスGlamaseal(登録商標)、白色ポリプロピレンキャップ、公証45g充填を備えたラミネートチューブ(Glaminate(登録商標))。
【0120】
個々の試料ならびに毎日、毎週または毎月(例えば、1ケ月、2ヶ月または3ヶ月)試料および対応する容器のためを含めて、組成物の試料サイズは所望により変化させることができ、多数の容器サイズを利用することができる。
【0121】
実施例6
さらなる組成物およびテスト
本実施例は、XMP.629の局所処方を含めた、および処方されたXMP.629の皮膚浸透特性を含めた種々の組成物を取り扱う。局所適用される調合物の組成は薬物生物学的利用性において重要な役割を果たすことができ、これは、本実施例に記載したように評価することができる。
【0122】
液体調合物、ゲル調合物、少量のエタノールおよび種々のゲル化剤を含有するものを含めたゲル調合物、異なるタイプの乳化剤を含有するものを含めたローション調合物、および種々のタイプの浸透促進剤を含有するものを含めたさらなる調合物を含めた種々の組成物(例えば、調合物)を調製した。
【0123】
また、種々の溶媒中のXMP.629酢酸の溶解性を評価した。調合物の開発は、短時間安定性実験のためを含めて、賦形剤調合物の調製を含むものであった。次いで、安定な賦形剤調合物を薬物物質に加えた。
【0124】
種々の調合物およびそれらの各賦形剤を、抗微生物活性または有効性テスト、あるいは皮膚浸透テストで評価した。
【0125】
皮膚浸透テスト、抗微生物活性テストおよび/または物理的評価テスト(例えば、pH、粘度および皮膚の感触)からのデータを用いて、種々の調合物を評価した。
【0126】
種々の量のPGを含有するものを含めたさらなる調合物をさらに評価した。好ましい調合物である1121−77Eは2%PGを含有する。
【0127】
種々の溶媒系および/または皮膚浸透促進剤を用い、溶解性実験を行った。例えば、酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中のXMP.629酢酸の室温における溶解度(mg/ml)は>1.64であり、精製水では<1.66であり、プロピレングリコールでは10.56<S<12.5であり、トランスクトールPについては<0.17であって、エタノールでは、200プルーフは<2.20であった。
【0128】
例えば、当該組成物の全重量に基づいて重量パーセンテージ[w/w(g)]で与えたリストした成分を含有する以下の調合物を含めた、XMP.629を含むまたは含まない、種々のゲル、ローションおよびクリーム組成物(例えば、調合物)を調製した:(A)56.9%酢酸ナトリウム緩衝液、0.10%EDTA二ナトリウム、および(B)10.0%プロピレングリコール、1.0%ポリソルベート20、30%エタノールアルコール(200プルーフ)、および(C)2%HPCを含有する1121−8A(ゲル);(A)46.9%酢酸ナトリウム緩衝液、0.10%EDTA 二ナトリウムおよび(B)20.0%プロピレングリコール、1.0%ポリソルベート20、30.0%エタノールアルコール(200プルーフ)、および(C)2.0%HPCを含有する1121−8B(ゲル);(A)46.9%酢酸ナトリウム緩衝液、0.10%EDTA 二ナトリウム、および(B)20.0%プロピレングリコール、1.0%ポリソルベート20、20.0%エタノールアルコール(200プルーフ)、10.0%トランスクトール、および(C)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−8C(ゲル);(A)46.9%酢酸ナトリウム緩衝液、0.10%EDTA二ナトリウム、および(B)20.0%プロピレングリコール、1.0%ポリソルベート20、30.0%エタノールアルコール(200プルーフ)、および(C)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−8D(ゲル);(A)61.25%酢酸緩衝液pH6.0、0.05%EDTAナトリウム、および(B)20.0%プロピレングリコール、0.17%メチルパラベン、0.03%プロピルパラベン、(C)0.5%HEC、250HHX、および(D)2.0%セチルアルコール、5.0%軽質鉱油、7.5%ステアリルアルコール、1.0%ポリソルベート20、および2.5%ソルビタンモノステアレートを含有する1121−10A(ローション);(A)1.5%ベンジルアルコール、0.01%クエン酸、86.49%精製水、および(B)0.50%HEC、250HHX、および(C)5.0%ステアリルアルコール、3.0%鉱油、1.25%prij25、および2.25%brij721を含有する1121−11(ローション);(A)1.5%ベンジルアルコール、88.0%精製水、および(B)0.50%HEC、250HHX、および(C)2.0%ステアリルアルコール、5.0%鉱油、2.0%brij72、および1.0%brij721を含有する1121−12(ローション);(A)10.0%プロピレングリコール、0.15%メチルパラベン、0.05%プロピルパラベン、74.8%精製水、および(B)10.0%乳化性ワックス、および5.0%軽質鉱油を含有する1121−13(ローション);(A)66.15%精製水、0.05%EDTAナトリウム、および(B)20.0%プロピレングリコール、0.17%メチルパラベン、0.03%プロピルパラベン、0.5%HEC、250HHX、および(C)1.0%セチルアルコール、5.0%軽質鉱油、5.0%ステアリルアルコール、0.8%brij72、および1.5%brij721を含有する1121−14(ローション);(A)10.0%プロピレングリコール、0.15%メチルパラベン、0.05%プロピルパラベン、78.3%精製水、および(B)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、および2.0%IPMを含有する1121−16(ローション);(A)0.17%メチルパラベン、0.03%プロピルパラベン、0.05%EDTA二ナトリウム、70.05%精製水、20.0%プロピレングリコール、および(B)0.4%HEC、250HHX、および(C)2.5%ステアリルアルコール、1.5%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート、1.0%brij72、および1.8%brij721を含有する1121−17(ローション);(A)10.05プロピレングリコール、0.15%メチルパラベン、0.05%プロピルパラベン、0.1%EDTA 二ナトリウム、および(B)0.2%ポロキサマー188、78.0%酢酸緩衝液、0.05%ビタミンE、TPGS、および(C)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、および2.5%イソプロピルミリステート(IPM)を含有する1121−20(A)(クリーム);(A)10.0%プロピレングリコール、0.15%メチルパラベン、0.05%プロピルパラベン、0.1%EDTA 二ナトリウム、(B)0.2%ポロキサマー188、および76.6%酢酸緩衝液、および(C)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート(IPM),および1.0%ステアリン酸を含有する1121−20(B)(クリーム);(A)10.0%プロピレングリコール、0.15%メチルパラベン、0.05%プロピルパラベン、0.1%EDTA二ナトリウム、(B)0.2%ポロキサマー188、および73.0%酢酸緩衝液、および(C)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート(IPM)、および5.0%オレイルアルコールを含有する1121−20(C)(ローション)。これらの調合物を物理的安定性についてテストした。
【0129】
当該組成物の全重量に基づいて重量パーセンテージ[w/w(g)]で与えたリストされた成分を含有する以下の調合物を含めた、さらなる組成物(例えば、調合物)を調製した:(A)0.05%XMP.629酢酸、(B)57.12%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および0.15%EDTA 二ナトリウム、二水和物、および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(D)30.0%エタノールアルコール、190プルーフ、および1.25%HEC、250HHXを含有する1121−18A;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(B)47.12%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)および0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(D)30.0%エタノールアルコール、190プルーフ、および1.25%HEC、250HHXを含有する1121−18B;1121−18C:表13参照;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(C)10.0%グリセリン、10.0%グリセリルモノオレエート、0.2%ポロキサマー333、および(D)77.75%エタノールアルコール、190プルーフ、および1.8%HPCを含有する1121−18D;1121−22A:表13参照;(A)10.0%プロピレングリコール、0.15%EDTA二ナトリウム、および(B)0.2%ポロキサマー333、76.8%酢酸緩衝液、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.05%XMP.629酢酸、および(D)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート、1.0%ステアリン酸、0.05%ビタミンE、TPGSおよび(E)0.25%トロラミンを含有する1121−22B(A);(A)20.0%プロピレングリコール、0.15%EDTA二ナトリウム、および(B)0.2%ポロキサマー333、68.05%酢酸緩衝液、0.005%塩化ベンザルコニウム、および0.05%XMP.629酢酸、および(D)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、2.%%イソプロピルミリステート、および0.05%ビタミンE TPGSを含有する1121−22C(A);1121−25A:表13参照;1121−25B:表13参照;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(B)48.55%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、および30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−25C;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(B)48.0%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.8%HPCを含有する1121−25D;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(B)10.0%グリセリン、0.2%ポロキサマー333、87.75%エタノールアルコール、190プルーフ、および(C)1.8%HPCを含有する1121−27A;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(B)10.0%グリセリン、10.0%グリセリルモノオレエート、77.95%エタノールアルコール、190プルーフ、および(C)1.8%HPCを含有する1121−27B;(A)0.05%XMP.629酢酸、および(B)10.0%グリセリン、10.0%グリセリルモノオレエート、0.2%ポロキサマー333、77.75%エタノールアルコール、200プルーフ、および(C)1.8%HPCを含有する1121−27C;(B)51.505%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA 二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、および0.005%塩化ベンザルコニウム、30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−32A;(B)48.395%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−32B;(B)48.6%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−32C;(B)48.05%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.8%HPCを含有する1121−32D;(A)20.0%プロピレングリコール、0.15%EDTA二ナトリウム、および(B)70.55%酢酸緩衝液、0.005%塩化ベンザルコニウム、および(C)0.4%HEC、250HHX、および(D)2.5%ステアリルアルコール、1.5%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート、1.2brij72、および1.8brij721を含有する1121−33A;(A)10.0%プロピレングリコール、0.15%EDTA二ナトリウム、および(B)0.2%ポロキサマー333、77.25%酢酸緩衝液、0.005%塩化ベンザルコニウム、および(D)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコ−ル、2.5%イソプロピルミリステート、1.0%ステアリン酸、0.05%ビタミンE、TPGS、および(E)0.25%トロラミンを含有する1121−33B;(A)20.0%プロピレングリコール、0.15%EDTA二ナトリウム、および(B)0.2%ポロキサマー333、68.5%酢酸緩衝液、0.005%塩化ベンザルコニウム、および(D)6.0%乳化性ワックス、2.0%ステアリルアルコール、1.0%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート、および0.05%ビタミンE TPGSを含有する1121−33C;(B)77.595%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA 二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−38A;(B)48.395%酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、30.0%エタノールアルコール、200プルーフ、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−38B;(A)20.0%プロピレングリコール、および0.15%EDTA二ナトリウム、および(B)70.145%酢酸緩衝液、0.005%塩化ベンザルコニウム、および(C)0.4%HEC、250HHX、および(D)2.5%ステアリルアルコール、1.5%セチルアルコール、2.5%イソプロピルミリステート、1.2%brij72、および1.8%brij721を含有する1121−39;1121−41A:表14参照;1121−41B:表14参照;1121−41C:表14参照;1121−43A:表14参照;1121−43B:表14参照;1121−77A:表15参照;1121−77B:表15参照;1121−77C:表15参照;1121−77D:表15参照;1121−77E:表15参照;1121−77F:表15参照;1121−80:表15参照;(A)0.052%XMP.629酢酸、および(B)97.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−85A;(A)0.052%XMP.629酢酸、および(B)97.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−85B;(A)0.052%XMP.629酢酸、および(B)96.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)1.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.1%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−85C;(A)0.052%XMP.629酢酸、および(B)96.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)1.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−85D;(A)0.052% XMP.629酢酸、および(B)95.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−85E;(A)0.052% XMP.629酢酸、および(B)95.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−85F;
(A)0.052% XMP.629酢酸、および(B)92.308% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)5.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−85G;(B)97.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.10%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−87A;(B)97.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−87B;(B)96.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)1.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−87C;(B)96.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)1.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−37D;(B)95.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(D)0.25% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、および(E)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−87E;(B)95.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−87F;(B)92.36% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)5.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.01%塩化ベンザルコニウム、および0.20%ポロキサマー333、および(E)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−87G。これらの調合物は、抗微生物有効性、皮膚浸透、安定性および/またはアッセイ方法開発につきテストした。
【0130】
例えば、当該組成物の全重量に基づいて重量パーセンテージ[w/w(g)]で与えられたリストされた成分を含有する以下の調合物を含めた、さらなる組成物(例えば、調合物)を調製した:(A)0.05% XMP.629酢酸、および(B)97.565% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.25% HEC、250HHXを含有する1121−48A;(A)0.05% XMP.629酢酸、および(B)92.565% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)5.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−48B;(A)0.05% XMP.629酢酸、および(B)87.565% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−48C;(A)95.48%精製水、USP、0.005%酢酸溶液(36%)、0.13%酢酸ナトリウム三水和物、0.15%EDTA二ナトリウム、 二水和物、および(B)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.2%ポロキサマー333、および(C)0.0025%BAK、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−92A;(A)95.48%精製水、USP、0.005%酢酸溶液(36%)、0.13%酢酸ナトリウム三水和物、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(B)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.2%ポロキサマー333、および(C)0.004%BAK、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−92B;(A)95.48%精製水、USP、0.005%酢酸溶液(36%)、0.13%酢酸ナトリウム三水和物、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(B)2.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.2%ポロキサマー333、(C)0.006%BAK、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−92C。これらの調合物を抗微生物有効性につきテストした。
【0131】
例えば、当該組成物の全重量に基づいて重量パーセンテージ[w/w(g)]で与えたリストされた成分を含有する以下の調合物を含めた、さらなる組成物(例えば、調合物)を調製した:(A)0.01% XMP.629酢酸、および(B)77.605% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−45A;(A)0.10% XMP.629酢酸、および(B)77.515% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)20.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(D)1.25%HEC、250HHXを含有する1121−45B;(B)97.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−69A;(B)87.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−69B;(A)0.0104% XMP.629酢酸、および(B)97.3546% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−71A;(A)0.0104% XMP.629酢酸、および(B)87.3546% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−71B;(A)0.052% XMP.629酢酸、および(B)97.313% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−73A;(A)0.052% XMP.629酢酸、および(B)87.313% 10mM酢酸ナトリウム溶液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−73B;(A)0.0104% XMP.629酢酸、および(B)97.261% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.25%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−75A;(A)0.0104% XMP.629酢酸、および(B)87.261% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15% EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50% HEC、250HHXを含有する1121−75B;(B)97.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.005%BAK、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−83A;(B)87.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%BAK、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−83B;(B)97.37% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)0.78%塩化ナトリウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−84A;(B)87.37% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)、0.15%EDTA二ナトリウム、二水和物、および(C)10.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.20%ポロキサマー333、および(D)1.50%HEC、250HHXを含有する1121−84B。これらの調合物は、分析方法開発および/または確認につきテストした。
【0132】
当該組成物の全重量に基づいて重量パーセンテージ[w/w(g)]で与えられたリストされた成分を含有する例えば以下の調合物を含めた、さらなる組成物(例えば、調合物)を調製した;0.06%酢酸および99.94%精製水を含有する1121−54A;0.082%酢酸ナトリウム、99.918%精製水を含有する1121−54B;2.95%酢酸溶液、97.05%酢酸ナトリウム溶液を含有する1121−54C;(A)97.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液、0.15% EDTA二ナトリウム、二水和物、および(B)0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(C)1.5%HEC、250HNXを含有する1121−58A;(A)97.115% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液、0.15%EDTA、および(B)0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、および0.2%ポロキサマー333、および(C)1.75%HEC、250HNXを含有する1121−58B;(A)96.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液、0.15%EDTA、および(B)1.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(C)15%HEC、250HNXを含有する1121−59A;(A)92.365% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液、0.15%EDTA、および(B)5.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および1.5%HEC、250HNXを含有する1121−59B;(A)92.15% 10mM酢酸ナトリウム緩衝液、0.15%EDTA、および(B)5.0%プロピレングリコール、0.78%塩化ナトリウム、0.005%塩化ベンザルコニウム、0.2%ポロキサマー333、および(C)1.75%HEC、250HNXを含有する1121−60A。これらの処方は、物理的評価、使用者の焦点基評価および/または微生物制限テストについてテストした。
【0133】
皮膚試料についての(H)−標識XMP.629の種々の調合物を用いるイン・ビトロ経皮吸収実験を行って、XMP.629の吸収特性を特徴付けた。薬物の高い皮膚レベルと共に高いイン・ビトロ皮膚浸透は、局所適用後におけるイン・ビボ皮膚効率と相関することが示された。また、全身暴露、すなわち、皮膚を通っての薬物伝達の速度および程度は、特定の調合物における有効成分の濃度を変化させることによって修飾させることができる。加えて、賦形剤の使用もまた、皮膚を通って浸透する量に対する皮膚中の活性部位の量を修飾することもできる。種々の調合物を用い、XMP.629および賦形剤の変化する量にて実験を行って、皮膚への、および皮膚を通っての浸透の程度を測定した。
【0134】
初期の皮膚浸透実験においては、4つの調合物(1121−18C、1121−25A、1121−25B、1121−22A)をテストした。処方1121−18Cに基づき、種々の量のPGを含有する5つのさらなる調合物(1121−41A、1121−41B、1121−41C、1121−43Aおよび1121−43B)をさらなる皮膚浸透実験のために調製した。イン・ビトロ皮膚実験は、種々のPGレベルを含有する調合物がXMP.629酢酸の同様な皮膚沈積および浸透を有することを示した。該調合物は、皮膚への、および皮膚を通っての薬物浸透の非常に好都合な量を示した。
【0135】
薬物の皮膚浸透に対するPGおよびHEC(250HHX)濃度の効果を、さらに、さらなる浸透実験で探求した。0%、1%、2%および5%PG、および1.25%および1.5%HEC250、HHXを含有する調合物を調製した。皮膚浸透実験は、水性ゲル調合物におけるPGの濃度の変化は、皮膚を通っての薬物伝達の速度および程度を有意には修飾しないことを示した。皮膚における最高薬物沈積は、PGを欠くテストした調合物からのものであった。加えて、より低いHEC濃度での増大した表皮沈積に対する傾向があった。
【0136】
調合物は皮膚を通っての薬物浸透の好都合な量を示したので、抗微生物活性テスト、安定性テストおよび物理的評価テストからの結果も評価した。
【0137】
好ましい調合物は2%PGを含有する1121−77Eであった(表12も参照)。
【0138】
初期の実験シリーズにおいて、以下の表13にリストした成分を含有する4つの調合物を調製し、テストした。もう1つの実験シリーズにおいて、変化する濃度(0〜20%)のプロピレングリコールを含めた、以下の表14にリストした成分を含有する5つのさらなる調合物を調製し、テストした。もう1つの実験シリーズにおいて、変化させる濃度のプロピレングリコール(0〜5%)およびヒドロキシエチルセルロース(HEC)(1.25または1.5%)を含めた、以下の表15にリストした成分を含有する7つのさらなる調合物を調製し、テストした。
【0139】
【化14】

浸透実験では、ドナーのヒト腹皮膚から切り出した表皮試料を、15mm直径のオリフィス、および9−セルマニフォールドに設置し、かつ再循環水浴の使用によって32℃の温度に維持したO−リングジョイントを備えたFranz静的拡散セル(Crown Bio Scientific,Clinton,NJ)上にアセンブルした。拡散セルは、1.767cmの公証面積を持つ開口、および12〜14mLの間の範囲の容量を持つレセプター区画を有する(これらの実験において、一般に、13.0〜13.5mL容量を用いた)。各拡散セルは、切り出されたヒト腹皮膚を下側にして置き、次いで、(拡散セルのレセプター側底部半分の溝に存在する)Teflon(登録商標)O−リングを設置することによってアセンブルした。次いで、拡散セルのドナー側頂部半分を皮膚上に存在するO−リングの頂部に置き、ピンチクランプを用いることによって所定の位置に保持した。各拡散セルのドナーおよびレセプター区画の間のジョイントをParafilm(登録商標)で包んで、レセプター溶液の蒸発を妨げた。各拡散セルは、注入ポート上のレセプター溶液レベルが膜のレベルとなるまで、充填を継続しつつ、皮膚下のいずれの気泡も追い出すよう注意して、0.1%アジ化ナトリウムおよび1.5%Oleth−20を含む脱気したPBSよりなる32℃まで温めたレセプター溶液を充填した。レセプター流体はTeflon(登録商標)磁気攪拌棒を用いて継続的に攪拌し、接種ループを〜5.0に切断し、あるいは別法として、ループの頂部から〜3.5cmに切断した。皮膚を、代表的なXMP.629調合物の適用に先立って、レセプター溶液と1時間平衡させた。
【0140】
例えば、表13〜15にリストした代表的なXMP.629調合物は、以下のように皮膚試料に適用した。放射性標識したH−XMP.629を含むスパイク調合物を調製して、ほぼ1.0μCi/用量の放射性標識濃度を達成した。ガラスv−バイアルにおいて、20μl(約20μCi)のストックH−XMP.629を分注した。フード中の窒素またはアルゴンガスの定常流下で、溶媒のほとんどは乾固することなく蒸発した。合計170mgの調合物基剤を3回に分けて蒸発した試料に加えた(56.3mg/回)。各部の間で、スパイクされた試料を陽性置換ピペット先端および遠心にて手動で混合した。手動混合および遠心を数回行って、均一性を確認した。調合物中のH−放射性標識の均一性は4mgの調合物で確認し、4mgの調合物を含む調合物当たり5標準を調製した。代表的なXMP.629調合物の用量(用量当たり5mg/cmまたは〜8.9mg調合物)を、陽性置換ピペットを用いて適合し、前記したように調製した拡散セル上の皮膚に広げた。テストした各調合物は変化させる様式で5拡散セルに適用した。
【0141】
投与から3、20および24時間後に、各攪拌セルからのレセプター流体(〜6.0mL)を、針上のテフロン(登録商標)チューブを満たしたシリンジを用いてサンプリングポートを通して収集し、次いで、32℃に維持した新鮮なレセプター流体と置き換えた。セルを注意深く逆さにして、気泡を除去した。収集したレセプター溶液試料を清浄なシンチレーションバイアルに入れ、それらの重量を記録した。各バイアルに、10mLのReady Gel(登録商標),Bio−Rad,Hercules,CAを加え、ゲルが形成されるまで、試料をプラットフォームロッカー上で振盪した。24時間の暴露期間の後、皮膚を乾燥スワブで2回連続的に拭った。各スワブを別々のシンチレーションバイアルに入れ、10mLのReady Value(登録商標),Bio−Rad,Hercules,CAを加えた。試料をプラットフォームロッカー上で振盪し、一晩静置した。24時間レセプター溶液後に残存するレセプター溶液を集め、シンチレーションバイアルに入れた。レセプター溶液の重量を記録した。セルキャップを取り除き、個々の50mLディスポーザブルビーカーに入れた。各セルキャップを95%エタノール(EtOH)中に少なくとも3時間浸漬し、1つの乾燥スワブで拭った。各キャップにつき、EtOH洗浄および対応するスワブをプールした。10ミリリットルのReady Value(登録商標)を加えた。次いで、4mLテトラヒドロフラン(THF)に一晩溶解させる1つのセロファンテープ−ストリップで、角質層から残存する調合物を除去した。10ミリリットルのReady Value(登録商標)を消化されたテープ−ストリップに加えた。表皮を物理的に真皮から分離し、各区画を2mLの2N KOHに別々に可溶化させた。可溶化の後、2.5mL組織中和溶液、5mL脱イオン水、および10mLのReady Gel(登録商標)を可溶化させた皮膚成分に加えた。ゲルが形成されるまで、試料をプラットフォームシェーカーで振盪した。
【0142】
レセプターおよび組織試料のためのReady Gel(登録商標)、および前記したように調製した全ての他の試料についてのReady Value(登録商標)を用い、液体シンチレーションカウンティングによって、全てのレセプター、ワイプ、テープ−ストリップ、表皮、真皮、およびセルキャップ洗浄試料をH放射能につき分析した。これらの試料の各々において適用された用量のパーセントを計算した。各拡散セルから回収された用量を、前記試料中の各々における適用された用量のパーセントの合計として計算した。
【0143】
種々のXMP.629調合物での薬物浸透の速度および程度を説明する結果は表16、18および20に示され、そこでは、適用された用量の累積パーセントおよびレセプター流体試料収集の時間が示される。各調合物につき回収された全用量と共に、暴露の24時間後における、テープ−ストリップ、表皮(可視および非可視)、真皮、およびレセプター流体における適用された用量のパーセントのさらなる結果を以下のように表17、19および21に示す。
【0144】
表13にリストしたXMP.629の調合物からの結果は、4つのテストした調合物の皮膚浸透が、表16に掲げたように適用した用量の3.9〜5.3パーセントの範囲であることを示した。(角質層のほとんどを含む)表皮レベルポストテープ−ストリップは適用された用量の6.6%〜15%の範囲であり、最高のレベルは水性ゲル調合物および水性ローション調合物、表17に示したように、各々、適用された用量の14%および15%で示された。最高皮膚レベルは、表17に示したように、水性ゲル、適用した用量の1.0%で得られた。皮膚レベルは、適用した用量の0.25%〜1.0%の範囲であった。おそらくは、24時間において皮膚表面から調合物を除去するのに用いたスワブへの薬物の結合のため、用量回収は低く、変動した。
【0145】
【化15−1】

【0146】
【化15−2】

【0147】
【化15−3】

表14にリストしたXMP.629の調合物からの結果は、4つのテストした調合物の皮膚浸透が、表19に示したように、適用した用量の2.80〜3.94パーセントの範囲であることを示した。これらの5つの調合物は、0%から20%まで変化するレベルのプロピレングリコールを含むものであった。角質層、ポストテープ−ストリップの殆どを含めた表皮レベルは、表18に示したように、5%〜20%プロピレングリコールを含む適用された用量の15.4%〜22.5%の範囲であった。最高の表皮レベルは、適用された用量の48%において0%プロピレングリコールにて観察され、これは、おそらくは、皮膚に残った残存調合物に帰すことができる。最高皮膚レベル(適用された用量の0.47%)は0%プロピレングリコールで得られた。皮膚レベルは、表19に示すように、適用された用量の0.15%〜0.47%の範囲であった。用量回収は83%〜100%の範囲であった。これらの結果は、驚くべきことに、調合物におけるポリエチレングリコールの濃度を変化させると、皮膚を通っての薬物伝達の速度および程度を有意に修飾しないことを示した。事実、いずれのプロピレングリコールも含有しない調合物からの皮膚におけるより高い薬物沈積に対する傾向の予期せぬ観察があった。
【0148】
【化16】

【0149】
【化17】

【0150】
【化18】

【0151】
【化19】

表15にリストしたXMP.629の調合物からの結果は、四つのテストした調合物の皮膚浸透は、表20に示した適用された容量の2.3〜2.8%の範囲であることを示した。角質層ポストテープ−ストリップの殆どを含む表皮レベルは、表21に示された適用された容量の3.2%〜10.8%の範囲であった。最高表皮レベルは、適用された用量の10.8%において0%プロピレングリコールで観察された。最高皮膚レベル(適用された用量の0.6%)は0%プロピレングリコールで得られた。皮膚レベルは、表21に示したように、適用された用量の0.05%〜0.60%の範囲であった。用量回収は66%〜85%の範囲であった。おそらくは、24時間において皮膚表面から調合物を除去するのに用いたスワブへの薬物の結合のため、用量回収は低く、かつ変動した。これらの結果は、(1)HXP.629のイン・ビトロ皮膚浸透は水性ゲル調合物中のプロピレングリコールおよびHECの濃度を変化させることによって認識可能に影響されず;(2)増大した薬物の表皮沈積についての傾向は、調合物A&F、A&G、B&Fの間の有意差(p<0.05、不対t−検定)に示されるように、より低いPG濃度を持つ調合物で観察され;(3)増大した薬物表皮沈積についての傾向は、調合物A&Bの間の有意差(p<0.05、不対t−検定)に示されるように、より低いHEC濃度を持つ調合物で観察され;(4)増大した薬物表皮沈積についての傾向は、調合物B&F、D&Fの間の有意差(p<0.05、不対t−検定)に示されるように、より低いPG濃度を持つ調合物で観察されたことを示した。
【0152】
【化20】

【0153】
【化21】

【0154】
【化22】

【0155】
【化23】

【0156】
【化24】

さらなるイン・ビトロ経皮吸収分析を行って、上皮の毛包脂腺単位(毛包および関連皮脂腺および管)へXMP.629が移動したかを判断した。例えば、Propionibacterium ACNES.Staphylococcus epidermisを含めた微生物共同体による毛包脂腺単位の集落化は、尋常性ざ瘡の病因に関与し得る。
【0157】
これらの分析で用いた皮膚は、美容的随意の外科的処置を受けた単一ドナーからのヒト腹皮膚であった。この実験は、前記したイン・ビトロ経皮吸収実験で用いたのと同一の調合物を評価した。これらの調合物は三つのゲル(エタノールを含有する2つ)および前記した一つのローションであった。これらの調合物の組成は前記表13にまとめる。
【0158】
皮膚試料をFranz拡散セル上に設置し、各調合物(5mg/cm)の8.8mgを、24時間の曝露の間に皮膚上に延ばした。24時間の曝露時間の後に、皮膚試料をスワブで拭い、免疫染色のために発送し、分析する前に−20℃で貯蔵した。免疫染色は、ウサギ抗XMP.629ポリクローナル抗体を用いて行った。ポリクローナル抗体はウサギで生産し、ウサギ血清を用いて抗体をアフィニティー精製した。
【0159】
免疫染色では、組織を5μMセクションに切り、アセトン中で5分間固定し、次いで、一晩乾燥した。次いで、染色に先立った、それらを中性緩衝化ホルマリン中で固体した。現実の免疫染色手法は間接的な免疫ペルオキシダーゼ方法であった。アセトン/ホルマリン−固定低温セクションをリン酸緩衝化生理食塩水(PBS、[0.15M NaCl,pH7.2])中で二回濯いだ。内因性ペルオキシダーゼを、グルコースオキシダーゼ(1U/mL,Sigma,St. Louis,MO)/グルコース(10mM)およびアジ化ナトリウム(1mM)との35℃における一時間のスライドのインキュベーションによってクウェンチした。次いで、スライドをPBS(0.15M NaCl,pH7.2)で二回濯いだ。次に、スライドをアビジン溶液(Avidin Biotin Blocking Kit,Vector Laboratories,Burlingame,CA)で15分間ブロックし、PBS(0.15M NaCl,pH7.2)で濯ぎ、続いて、ビオチン溶液(Avidin Biotin Blocking Kit,Vector Laboratories,Burlingame,CA)で室温にて15分間ブロックし、PBS(0.15M NaCl,pH7.2)で濯いだ。これに続いて、非特異的結合を低下させるように設計された蛋白質ブロックを適用した。蛋白質ブロックは以下のように調製した:リン酸―緩衝化生理食塩水(PBS[0.15M NaCl]、pH7.2);0.5%カゼイン;1%BSA;および1.5%正常ウマ血清。蛋白質のブロックに続き、一次抗体[ウサギポリクローナル抗XMP.629または対照ウサギIgG1(RblgG,Dako,Carpenteria,CA)]をスライドに適用し、室温にて一時間インキュベートした。次にスライドをPBS(0.15M NaCl,pH7.2)で二回濯ぎ、ビオチニル化二次抗体(ビオチニル化ロバ抗RblgG,Jackson Immunoresearch,West Grove,PA)を30分間で適用し、PBS(0.15M NaCl,pH7.2)で二回濯ぎ、ABC Elite試薬(ABC 「Elite」 キット、Vector Laboratories,Burlingame,CA)で30分間処理した。次いで、スライドをPBS(0.15M NaCl,pH7.2)で二回濯ぎ、3,3‘−ジアミノベンジジンテトラヒドロクロライド(DAB、Sigma,St. Louis,MO)で4分間処理した。全てのスライドをヘマトキシリンで逆染色し、脱水し、解釈のためにカバーグラスに乗せた。
【0160】
1%BSAを含むPBS(0.15M NaCl,pH7.2)を全ての抗体のための希釈剤として機能させた。PBS(0.15M NaCl,pH7.2)を全ての濯ぎ工程で用いた。全てのスライドを実験病理学者が読んで、染色された組織または細胞のタイプおよび染色の強度を同定した(グレーテッド+[曖昧]、1+[弱い]、2+[中程度]、3+[強い]、4+[強力]、Neg[陰性])。全てのスライドを組織エレメントおよび染色の適切性について判断した。
【0161】
免疫染色手法の結果を表22および表23にまとめる。表22は、染色の強度に従ってこれらのデータをまとめ、表23は陽性に染色された各セクションおける細胞の数によってこれらのデータをまとめる。「合計小胞」と題された表22における最後の欄は、「毛包」欄に含まれる病理学者が報告した値から賦形剤対照値を差し引いたものの合計である。表22に含まれるデータを調べると、これらの合計は、異なる調合物の間の比較を容易とするように半定量的態様を結果に加える試みにおいて代表的な実験によって行った。同一静脈において、表23の欄「合計小胞仮想数値」におけるデータは、各資料において染色された細胞の数の病理学者の書面による記載に割り当てられた数値の合計を表す。これらの合計は染色の厳正な経験的測定と考えるべきではなく、むしろ、双方の合計は、ことなる調合物の間の比較を容易とするような、各調合物での染色に数値を割り当てる半定量的試みと把握すべきである。
【0162】
薬物―含有調合物の全ては、検出可能な量のXMP.629を毛包に送達した。表22および表23に含まれる要約は、調合物1121−18Cおよび1121−22Aに関連する染色が、染色の強度、および染色された細胞の数双方においてより強いように見えたことを示す。調合物1121−18Cでの毛包合計値は1121−18Cでわずかにより高く、これは、1121−22Aでよりもこの調合物での増大したXMP.629局所化を示す。
【0163】
【化25】

【0164】
【化26】

実施例7
毒性実験
本実施例は、XMP.629で行った突然変異誘発、刺激、および親子実験を含めた毒性実験を扱う。
【0165】
A.遺伝子毒性/突然変異誘発実験
三つの代表的なテストであるエームス、マウスミクロ核、およびチャイニーズハムスター卵巣(CHO)染色体異常を行って、XMP.629の突然変異誘発性を評価した。
【0166】
A1.エームス試験
XMP.629を初期突然変異誘発アッセイで評価した。このSalmonella−Escherichia coli/哺乳動物―ミクロソーム復帰突然変異アッセイにおいて、XMP.629を、内因性代謝活性化システム(59)の存在下、または不存在下において、Salmonella−typhimuriumの四つの被検株(TA98、TA100、TA1535およびTA1537)におけるヒスチジン遺伝子座において、およびEscherichia coli被検株WP2uvrAにおけるトリプトファン遺伝子座において復帰突然変異を誘導する能力について評価した。実験材料、方法および手法はAmesら、1975(Mutat.Res.31;347−364)およびGreen and Muriel,1976(Mutat.Res.38:3−32)によって記載されたものに基づいた。アッセイの設計は、1997年7月21日に更新され、採用されたOECDガイドライン471に基づいた。初期用量範囲発見実験の結果に基づき、(a)1.00、3.33、10.0、33.3、66.7および100μg/プレートの用量におけるラット肝臓S9(ミクロソーム)画分と共に、および1.00、3.33、10.0、25.0、33.3および66.7μg/プレートの用量におけるS9なくして、四つの標準的なSalmonella被検株;および(b)3.33、10.0、33.3、100、250および333μg/プレートの用量におけるS9と共に、および1.00、3.33、10.0、33.3、66.7および100μg/プレートなくして被検株WP2uvrAを用いてXMP.629を評価した。XMP.629は、より低い用量において同様の条件下にて独立した確認試験で再評価した。
【0167】
阻害された増殖が、S9との最高の二つの用量における被検株TA100およびWP2uvrAにおいて、およびS9なくしての最高の1〜3用量における全ての5つの被検株で観察された。また、(復帰突然変異体頻度の減少が伴わない)バックグラウンド菌叢の薄化が、S9での最高の二つの用量における他の三つの被検株で観察された。加えて、テスト製品は、S9の有りおよび無しにて評価した全ての用量で自由に溶解できた。近似した、S9の有りおよび無しで全ての5つの被検株でテストしたXMP.629の全ての用量についての復帰突然変異体頻度は、同時賦形剤対照で観察されたものよりも低かった。したがって、XMP.629は、Salmonella−Escherichia coli/哺乳動物―ミクロソーム復帰突然変異アッセイで陰性であると判断された。
【0168】
A2.マウスミクロ核テスト
次に、Crl:CD−1(登録商標)(ICR)BRマウス骨髄における多染性赤血球PCEセルでミクロ核を検出することによって、XMP.629を、イン・ビボクラストゲン形成活性および/または有糸分裂装置の破壊につき評価した。アッセイの設計は、1997年7月21日に更新され、採用されたOECDガイドライン474に基づいた。このミクロ核アッセイにおいて、XMP.629は10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6.0)中で調合し、各計画された収穫時点において、用量レベル当たり6匹のオスへの腹腔内注射によって投与した。用量レベルは2、4または8mg/kgであった。2または4mg/kgにてXMP.629を投与した5匹の動物、および陽性対照を投与した5匹の動物を、骨髄の抽出量の投与からほぼ24時間後に安楽死させた。8mg/kgにてXMP.629を投与した収穫時点当たり5匹の動物、および賦形剤対照製品を投与した収穫時点当たり5匹の動物を、骨髄の抽出用の投与からほぼ24または48時間後に安楽死させた。このミクロ核テストは、正常な有糸細胞分裂に干渉する化合物についての迅速なスクリーニングとして働くことができる(Schmid,1975,Mutat.Res.31:9−15;Heddleら、1983,Mutat.Res.123:61−118;Heddleら、1991,Env.And Mol.Mutagen.18:277−291)。動物当たり少なくとも2000のPCEを、ミクロ核の頻度につき分析した。各アベナルについての少なくとも最初の500の赤血球におけるPECおよび正常染色性赤血球(NCE)の数をスコアリングすることによって、細胞傷害性を評価した。XMP.629は、8mg/kgまでにおいて、処理した動物のいずれにおいても臨床的毒性のいずれの徴候も誘導しなかった。XMP.629は、調べた用量のいずれにおいても、ミクロ有核PCEのいずれの統計学的に有意な増加も誘導しなかった。加えて、XMP.629は骨髄に対して細胞傷害性ではなかった。というのは、テストしたいずれの用量レベルにおいて観察されたPCE:NCE比率においても統計学的に有意な減少がなかったからである。従って、XMP.629マウス骨髄ミクロ核アッセイにおいて陰性であると判断された。
【0169】
A3.CHO染色体異常テスト
次に、内因性代謝活性化システムの有りおよび無しにて、培養されたCHO細胞において染色体異常を誘導する活性についてXMP.629を評価した。異常は、破壊が復帰しないかまたは異常な立体配座で復帰しないような修復プロセスにおける失敗またはミスの結果である(Evans,1962,Intl.Rev.Cytol.13:221−321;Evans,1976,pp.1−29 in:Chemical Mutagens,principles and Methods for their Detection,Vol.4,Hollaender,A(編)、Plenum Press,New York)。これらの染色体異常実験のためのアッセイ設計は、1997年7月21日に更新され、採用されたOECDガイドライン473に基づいた。XMP.629は、10mM酢酸ナトリウム緩衝液(pH6)中の20.0mg/mLストックとして供された。この溶液、および細胞培養グレードの水中で調製されたその希釈物を10%vol/vol(100μL/mL)で投与した。賦形剤対照培養を、100μL/mLの細胞培養グレードの水で処理した。初期アッセイにおいて、処理時間は、XMP.629の種々の濃度(30,60,120、240、480、686、980、1400および2000μg/mL)にて、代謝活性化の有りおよび無しにての3.0時間であり、培養は処理の開始から20.0時間で収穫した。30、60および120μg/mLで処理された細胞を、染色体異常について分析した。染色体異常、倍数性またはエンド再複製に関する細胞の有意な増加は観察されなかった。より低い用量を含む確認アッセイにおいて、処理時間は代謝活性化なしの20時間(3.75、7.5、15、30、60,90、120、160、200および240μg/mL)、および代謝活性化有りの3時間(15、30、60,90、120、160、200,240、300および360μg/mL)。
【0170】
再度、染色体異常、倍数性、またはエンド再複製を伴う細胞の有意な増加は観察されなかった。従って、XMP.629は、代謝活性化の有りおよび無しにて、CHO細胞において染色体異常を誘導するのに陰性であると考えられた。
【0171】
B.急性およびサブ急性毒性実験
B1.ウサギ一次皮膚刺激テスト
XMP.629を、この皮膚刺激実験についてのウサギ一次皮膚刺激におけるいずれかの潜在的皮膚刺激効果について評価し、XMP.629を、3匹のNew Zealand Whiteウサギにおいて無傷および擦り剥き皮膚についてテストした。全ての動物は、各無傷および擦り剥き背面皮膚適用部位に0.5mLのXMP.629を受容した。これは、ガーゼパッチを各適用部位の皮膚に直接的に大きい、該パッチを0.5mLのXMP.629溶液で飽和させることによって達成した。次いで、適用部位をガーゼ包帯および非刺激性半閉塞性テープで包んだ。次いで、Elizabethanカラーを4時間の曝露の間適用した。4時間の曝露時間の最後に、カラーおよびラッピングを取り外し、いずれの残存するXMP.629も除去した。パッチ除去後30〜60分、および24、48および72時間内に、紅斑および浮腫につき、標準Draizeスコアリングシステム(Draizeら、1944,J.Pharmacol,Exp.Ther.82:377−390)を用いてテスト部位を用いて評価した。結果は、XMP.629が擦り剥き皮膚に対して軽く刺激するにすぎず、テストしたウザギの無傷皮膚に対して刺激性でないことを示した。
【0172】
B2.ウサギ一次目刺激テスト
3匹のNew Zealand Whiteウサギの目に局所適用した場合の潜在的目刺激および/または腐食性効果につき、XMP.629をウサギ一次目刺激テストで評価した。
【0173】
全ての動物に、右側結膜嚢に滲み込ませた10mM酢酸ナトリウム中の2%溶液XMP.629の0.1mLを受容させた。テストした目を、ほぼ24時間ポスト−用量にて、100mLの生ぬるい水で1〜2分間洗浄した。標準Draizeスコアリングシステム(Draizeら、1944,前掲)を用い、5、8および15日に、ほぼ1、24、48、および72時間ポスト−用量において、処理したおよび対照目を目刺激について調べた。ナトリウムフルオレセインおよび紫外光を用いて、潜在的な角膜負傷について調べた。
【0174】
このテストからの結果は、いずれの時点に観察された角膜不透明性に対する影響も示さなかった。虹彩では、1未満の平均スコアが、評価した3匹のウサギについて滲み込ませた後48時間で記録され、1匹のウサギのみが72時間まで1のスコアおよび5.8および15日における0のスコアを有した。結膜では、1および2のスコアが1時間において記録され、全ての3匹のウサギにつき72時間の観察期間を通じておよび1匹のウサギでは5および8日に持続した。また、1および2の同様のスコアが結膜浮腫で観察され、全ての3匹のウサギについて軽度〜明白な膨潤が48時間まで見られ、2匹のウサギでは軽度の膨潤が5および8日に見られた。これらの効果は温和であって、目からの溶液の除去に際して可逆的であった。ナトリウムフルオロセインでの調査は、2匹のウサギにおいて染み込ませから24時間後に影響された2%および5%領域の一過的な効果を明らかとしたが、一匹のウサギの角膜において影響された20%領域を明らかとした。48時間において再度調べると、これらの効果は存在しなかった。これらの一過的効果はテスト製品溶液の高い張性に帰すことができようが、10mm酢酸ナトリウム賦形剤溶液はこの実験において別々に評価されなかった。
【0175】
総じての結果に基づき、10mM酢酸ナトリウム溶液中の2%XMP.629は温和な刺激性であると判断されたが、ウサギ目の結膜嚢に投与すると、温和な刺激は完全に可逆性である。
【0176】
B3.モルモット感作(最大化)テスト
皮内注射および局所パッチ適用を介してモルモットにおいて、アレルギー性接触皮膚炎のような皮膚感作反応を誘導するXMP.629の可能性を評価するために、感作(最大化)実験を行った。遅延した接触過敏を誘導する物質の潜在能力を測定する皮膚実験を行うための手法はよく知られており、例えば、ここに引用してその開示を援用する、Magnusson,B.et al.,Allergic Contact Dermatitis in the Guinea Pig,Charles C.Thomas Publishing Springfield,Illinois,1970およびKlecak,G.「Test Methods for Allergic Contact Dermatitis in Animals」、Dermatoxicology,第5版、Taylor & Francis Publishing,Washington D.C.,pages 437−457に記載されている。株Crl:(HA)BR(Albino Hartley)からの合計40匹の20月齢モルモット(20匹のオスおよび20匹のメス)を、感作実験の全投薬計画で使用した。
【0177】
まず、予備的な範囲を見出すテストを行って、第二のテスト、誘導相皮内注射および局所パッチ適用テストで用いるべきXMP.629のテストモードを決定した。範囲を見出すテストは、(i)2、4、8、16および20mg/mL XMP.629の注射濃度によって2匹のモルモット((1匹は雄、および1匹は雌)に皮内で;および(ii)5、10、15および20mg/mL XMP.629の濃度を含むパッチをセットするキットによって3匹のモルモット(1匹は雄、2匹は雌)に対して局所にて行った。皮内注射(各注射において0.1mLの5注射の二シリーズ)を肩/胴領域に第1日に投与し、注射したモルモットをその後ほぼ24および48時間に観察した。0.4mLのXMP.629の厚い均一な層を2×2cmのWhatman No.3濾紙上に延ばすことによって、局所パッチを調製した。局所パッチをモルモットの胴に適用し、重なるプラスチック接着性テープ、続いてさらなるラッピングテープによって被覆した。24時間の暴露時間の後、パッチを取り出し、適用部位を洗浄して、存在し得るいずれの過剰のXMP.629も除去した。局所パッチ投与からほぼ24および48時間後に、適用部位を観察した。皮内注射部位および局所適用部位を、感作等級分けを用いて評価した。処理の部位における皮膚を、皮膚刺激の徴候につき周囲の皮膚と比較した。いかにリストした等級分けに従ってスコア取りしたように、各部位は3の最大可能なスコアを達成することができたであろう:
0=反応無し
1=散らばった軽度の紅斑
2=中程度および散漫紅斑
3=強い紅斑および浮腫
予備的な範囲を見出すテストからの結果は、第二の誘導相テストにおける皮内注射および局所パッチ適用テスト双方についての20mg/mL XMP.629の濃度の使用を示唆した。
【0178】
第二の誘導相テストは、最初に投与すべき皮内注射にて2段階操作として行い、続いて、1週間後に閉塞パッチに暴露した。皮内注射では、3つの注射の2シリーズ(注射当たりの合計容量は0.1mLであり;XMP.629の合計濃度は20mg/mLであった)を、テストモルモットにおける頭部〜肩領域に位置する真皮深く投与した。24および48時間後の期間の後に、注射領域に評価を記録した。注射を完了してから1週間(8日)後に、局所パッチ(XMP.629の合計濃度は20mg/mLであった)をモルモットの胴に適用し、ほぼ48時間所定の位置に放置した。誘導相テストからの結果は、XMP.629の4mg/mLは最高非刺激用量であることを示した。1以上の皮膚刺激スコアを8mg/mLのXMP.629の容量について記録した。
【0179】
第二の誘導相テストの開始から2週間(22日)後に、第三のチャレンジ(最大化)テストを行った。第二の誘導相テストからの皮内注射または局所パッチを受容したモルモットの双方に、攻撃相において左および右側の脇腹に4mg/mLの濃度にてXMP.629の局所パッチを投与した。観察を記録するほぼ24時間前に、パッチを脇腹にシールした。超戦相からの結果は、4mg/mLのXMP.629を投与した動物が1を超えるスコアとはならないことを示し、これは、散らばった軽度の紅斑のみの存在を示す。ほとんどの個々の動物は、特に、パッチの適用から48時間の評価後において0のスコアを示した。従って、10mMの酢酸ナトリウム溶液中のXMP.629は、皮内注射および局所適用によって誘導容量を与えられた場合における、局所パッチチャレンジ後の弱い皮膚感作応答を示した。
【0180】
B4.ラット急性経口毒性テスト
XMP.629を、経口胃管栄養によって単一用量の後に急性毒性について評価した。実験は、各々、0.1、0.5および1.0%のXMP.629の濃度のゲルとしてのXMP.629を、10mL/kgの容量にて受容した5匹のオスおよび5匹のメス(CD[Crl:CD(SD)IGS BR])ラットの3つの処理群からのなるものであった。性別当たり5匹のラットのさらなる群を対照として供し、同一容量にて対照ゲルを受容させた。全てのラットを罹患率、死亡率、負傷および食物および水の利用性について毎日2回観察した。全てのラットについて実験の間に異なる間隔で体重を測定し、プレテストし;臨床的徴候についての観察を投与からほぼ2および4時間後に行い、プレテストし;および毎日の臨床的観察を14日まで毎日行った。実験終了において、肉眼での剖検を行い、巨視的観察を全ての動物で記録した。
【0181】
処理−関連効果は生存、体重または巨視的評価で観察されなかった。0.1または0.5%XMP.629の濃度では、全身毒性の臨床的徴候は記録されなかった。4匹の雄および1匹の雌において、XMP.629(1.0% XMP.629)の投与から4時間後に減少した活性が観察されたが、この治験は2日までに解決された。
【0182】
かくして、迅速に解決された一過程テスト製品−関連臨床的観察が、XMP.629の単一経口用量に続いて観察された。この実験からのデータに基づき、最小 致死用量は、1%XMP.629(10mg/mL)の高い容量よりも大きいと考えられた。
【0183】
B5.ラットサブ慢性毒性テスト
CD(登録商標)[Crl:CD(登録商標)(SD)IGS BR]ラットへの投与の少なくとも30連続日後に、XMP.629を潜在的サブ慢性用量毒性につき評価した。この実験は、各々が10匹ラット/性別/群を含む4つの主な実験群、および各々が6匹ラット/性別/群を含む4つのトキシコキネティック(TK)群よりなるものであった。4つの主な実験およびTK群のうち3つは、0.3、1.0および3.0mg/kg/日 用量レベルのボーラス皮下注射によって、3.0mL/kgの投与容量にてXMP.629を受容した。1つの主な実験およびTK群は、各々、対照群として供し、同一投与容量にて賦形剤(セーライン/酢酸ナトリウム緩衝液,pH6.0)を受容した。TK群を血漿中XMP.629濃度の評価のために用い、標準化されたアッセイにおける抗体形成に対するXMP.629の反復−用量投与からの潜在的効果を評価した。第1日および28日に、血漿分析のために血液を収集した。25日に、TK群を皮下注射によってキーホールリンペットヘモシアニン(KLH)抗原で免疫化した。31日に、血清分析のために、対照を含めた全てのTK群における全ての生存するラットからの二酸化炭素吸入後の心臓刺穿によって血液を収集して、抗KLH IgM抗体レベルを評価した。31日の最後の血液収集の後、さらに調査することなく生存するTKラットを捨てた。
【0184】
罹患率、死亡率、負傷、および食物および水の利用性につき、全てのラットを毎日2回観察した。体重をプレテストとして、全てのラットについて毎週測定し、臨床的徴候についての観察、および食物消費についての測定を主な実験ラットにつき実験の間に毎週行った。機能的観察バッテリー(FOB)を、および主な実験ラットにつき、テスト製品への暴露に先立って、および第4週の間に行った。検眼鏡調査を全てのラットにつきプレテストとして、主な実験ラットにつき実験終了前に行った。主な実験ラットについての処理期間の最後に、種々の血液学、臨床化学、および尿検査パラメーターを評価した。また、尿を収集し、テスト製品濃度の可能な分析のために維持した。実験の最後に、完全な剖検調査を主な実験ラットにつき行い、器官重量を測り、選択された組織を顕微鏡で調べた。
【0185】
臨床的徴候、生存、FOB評価、体重、食料消費、検眼鏡評価、または免疫系に対するテスト製品−関連効果はなかった。1.0および3.0mg/kg/日における、両性における好中球および単球の増加、および雌におけるパーセント網赤血球の軽度の増加を含めた血液学変化は、軽度の炎症応答が起こりつつあることを示唆した。赤色退色(0.3mg/kg/日以上における雄、および1.0mg/kg/日における1匹の雌、および注射部位における増粘(1.0および3.0mg/kg/日における雄および雌)を含めた、テスト製品−関連巨視的治験を、全ての用量レベルにわたって処理動物の注射部位において記録した。器官重量の増加が雄(1.0および3.0mg/kg/日)および雌(全ての用量)の脾臓、雌(全ての容量)の肝臓、および雄(3.0mg/kg/日)の副腎で起こった。顕微鏡的には、1.0および3.0mg/kg/日において、全ての用量にわたってほとんどの雄および雌の注射部位において、および雌の脾臓および雄の副腎において観察されたテスト製品−関連治験があった。他の顕微鏡的治験はバックグラウンド、またはラットにおける偶然の病巣であり、テスト製品投与とは無関係と考えられた。
【0186】
観察された主な知見は、30日間の0.3、1.0および3.0mg/kg/日の用量でのXMP.629の皮下注射によって処理されたラットでの注射部位病巣であった。偶然の用量−関連増加、および急性および慢性注射部位炎症の重症度が報告された。これらの効果は巨視的におよび微視的に記録した。加えて、他のパラメーター(すなわち、血液学および増大した脾臓および副腎の重量)で認められた変化を測定して、注射部位炎症と関連付けた。いずれの用量レベルにおいても、全身毒性の証拠は観察されなかった。これらのデータに基づき、全身効果についての観察された効果無しのレベル(NOEL)は、XMP.629の3.0mg/kg/日よりも大きかった。NOELは局所的効果につき決定できなかった。
【0187】
B6.ミニピッグサブ慢性毒性テスト
1ケ月の間にわたるHanfordミニピッグへの単一の毎日の皮膚適用によって投与した場合の潜在的毒性につきXMP.629を評価した。実験群の設計およびテストした投与レベルは以下のとおりであった:
【0188】
【化27】

テスト製品またはプラセボ対照を、29連続日の間、各動物の背面に毎日1回投与した。全身の健康、死亡率および瀕死率チェックを毎日2回行った。全身の健康の調査は、イン−ライフ開始に先立って、および実験の間毎週1回獣医が行った。動物を、投与後1時間および2時間の間における明白な毒性徴候(投与後観察)について毎日調べた。詳細な臨床的観察および個々の体重は、実験日ゼロで開始し、毎週、および予定した安楽死の日に行った。皮膚スコアリングは1週間当たり1回、および予定された安楽死の日に行った。
【0189】
イン−ライフ開始(日−9)に先立って、および投与期の最後近く(26日)に1回、血液学、凝固および臨床化学パラメーターを評価した。また、血液試料を、実験日26に抗テスト製品分析のため、および実験日0および27にトキシコキネティック(TK)分析のために収集した。眼科学調査を、イン−ライフ開始に先立って、および投与期間の最後の直前に1回行った。全ての動物を、投与期の最後(29および30日)に完全な肉眼による剖検に付した。生存する動物につき新鮮な器官重量を得、選択された組織を全てのブタから保存した。全ての動物からの剖検で収集した全ての組織を顕微鏡で調べた。加えて、ほぼ5グラムの肝臓試料を全ての動物から収集し、氷入りのセーラインで灌流し、ホイル中に包み、標識し、アルゴンをフラッシュし、液体窒素で直ちに凍結し、将来の分析のためにほぼ−70℃で貯蔵した。
【0190】
1つの対照群の雄の死亡は、26日の血液収集手法に関連した。全ての他の生物は、処理期間後の予定された安楽死まで生存した。毒性の臨床的徴候は観察されなかった。皮膚観察は、1つの70μg/kg/日雌におけるグレード2(よく規定された)紅斑の単一出現に限定された。平均体重、平均体重、変化、眼科学、血液学、凝固、臨床化学または期間重量データにおいて、対照およびテスト製品−処理群の間で認められた毒物学的に有意な差はなかった。
【0191】
血液収集手法の後に死亡した対照オスについての肉眼での剖検観察は、死前手法による、膨らんだ胃および十二指腸、赤味がかった胃粘膜、点状出血、肺水疱および出血組織(甲状腺、および甲状腺の周りの組織)を含んだ。予定された安楽死におけるいずれかの動物で認められた他の顕著な肉眼による剖検治験はなかった。収集された組織の顕微鏡調査は、処理−関連病巣を明らかとしなかった。
【0192】
トキシコキネティック分析で得られた血清試料の分析は、全ての血清濃度がアッセイの検出限界(1ng/mL)未満であったことを明らかとした。トキシコキネティック分析は行わなかった。
【0193】
この実験の結果に基づき、700μg/kg/日の用量レベルが、30日間のXMP.629の皮膚適用後に観察された効果無しレベル(NOEL)であると決定された。
【0194】
B7.マウス皮膚発癌実験
XMP.629を皮膚発癌実験で評価して、XMP.629酢酸ゲルプラセボ調合物中のテトラデコニルフォルボール酢酸(TPA)での反復した皮膚処理が、ヘミ接合性Tg.ACマウスにおいて皮膚腫瘍の発生を増加させるかを決定した。5匹のTg.ACトランスジェニックマウス/性別の4つの群(群3〜6)を、各々、150μL適用/マウス当たり2.5、5、10および20μg TPAの用量レベルにて、XMP.629酢酸ゲルプラセボ中のテトラデコニルフォルボール酢酸(TPA)で処理した。群1はXMP.629酢酸ゲルプラセボ単独で処理した。6番目の群(群2)は、150μL適用当たり1.25μgの用量レベルにてアセトンに溶解させたTPAで処理し、参照標準として供した。動物には、12連続週の間、1週間当たり3回(例えば、月曜、木曜および金曜)皮膚適用を介して動物に投与した。
【0195】
全ての動物を瀕死率および死亡率につき毎日2回観察した。ハンド−オン調査を、動物を第1日に、およびその後毎週体重を測った時点で毎週行った。その時点で、動物を、毒性、発癌性、および/または適用の部位における刺激の臨床的証拠につき調べた。動物を、投与に先立ち、およびしかる後毎週1回潜伏性または現実の腫瘍の発生につき適用の部位で観察した。適用の部位(SOA)および非適用部位(非SOA)での腫瘍の数を、毎週各動物で記録した。実験の最後に(85日)、生存する動物をCO窒息で安楽死させた。剖検は行わなかった。
【0196】
死亡率は、76日に死亡が発見された1匹の群1の雌、および28日に死亡が発見された1匹の群6の雌に限定された。XMP.629酢酸ゲル中のTPAでの処理の結果、皮膚刺激はもたらされず、あるいは体重に対する効果は有しなかった。
【0197】
適用当たり2.5および5.0μgにおけるXMP.629酢酸ゲルプラセボ中のTPAでの処理の結果、いずれの性別のいずれの動物においても腫瘍の発生はもたらされなかった。適用当たり10μg TPAで処理した単一のメスは、適用の部位において1つの潜在的、および1つの現実のパピローマを発生させた。適用当たり20μg TPAでの処理の結果、2/5雄および4/4雌において腫瘍発生がもたらされた。
【0198】
C.光安全性実験
XMP.629を、無毛モルモットに局所投与された光アレルギー潜在能力につき評価した。一次刺激性、光毒性(光刺激性)および接触過敏もこの実験で評価した。
【0199】
雄Crrl.IaF(HA)−HRbr(異系交配)白子無毛モルモットを7つの群に割り当て、以下に概説するように群当たり5匹のモルモットであった。
【0200】
【化28】

XMP.629はゲルとして調合した。光毒性比較体製品は、0.1、0.3および1.0mg/mLの濃度におけるメタノール中の8−メトキシプソラレンン(8−MOP)であった。接触過敏および光アレルギー比較体製品は、0(賦形剤)、10および30mg/mLのチャレンジ濃度におけるアセトン:トウモロコシ油(4:1,v/v)中の3,3’,4’,5’−テトラクロロサリシルアニリド(TCSA)であった。試薬および試薬ビヒクルは、各々、フロイントの完全アジュバント(FCA)および注射用滅菌水、ESPであった。
【0201】
各群についての調合物投与および紫外線照射(UVR)暴露レジメンは以下の通りであった。
【0202】
【化29】

実験の全ての相につき、テスト製品、テスト製品賦形剤、比較体製品および比較体製品賦形剤を、投与当たりほぼ2.0時間で、Velcro(登録商標)ラップを重ねた歯科ダムを備えた、モルモットに付着されたXilltopチャンバーを用いて投与した(0.3ml)。
【0203】
テスト製品およびテスト製品賦形剤の一次刺激性能力を、群1のモルモットで評価した。3つのチャンバー(調合物投与当たり1)を中線に沿った背面皮膚に付着させた。投与期間の後、チャンバーパッチを取り除き、適用部位を軽く拭いだ。
【0204】
テスト製品およびテスト製品賦形剤の皮膚光毒性能力を群2のモルモットで評価した。群3のモルモットは、8−MOPでの光毒性の誘導に関する比較体群として用いた。3つのチャンバー(調合物投与当たり1つ)を、中線に沿った背面皮膚に付着させ、閉塞させた。投与期間の後、チャンバーパッチを取り除き、適用部位を軽く拭いだ。拭いだ後群3のモルモットを太陽をシミュレートしたUVRにほぼ2.25時間暴露した。
【0205】
接触過敏および光アレルギーの誘導では、皮膚のうなじ領域のほぼ2.5cmは、イソフルラン/酸素麻酔下にある群4〜7のモルモットにおける、滅菌水およびFCAの調合物での皮内注射によって規定された。次いで、この皮膚領域を5回テープストリップした。うなじ領域に付着させた1つのチャンバーを用い、実験設計表に記載したように、調合物をチャンバーを介して局所投与した。チャンバーの除去の後、適用部位を軽く拭い、群6および7のモルモットのうなじ部位を前記したようにUVRに暴露した。(FCAでの注射を例外として)モルモットについての適切な手法を、誘導期の3、5、8、10および12日に1日1回反復した。
【0206】
22日に(接触過敏および光アレルギーチャレンジ)、前記したように、調合物を群4〜7のモルモットの適当な部位に局所適用した。3つのチャンバー(調合物投与当たり1つ)を、中線に沿った背面皮膚に付着させ、閉塞させた。次いで、チャンバーを取り除き、適用部位を軽く拭いだ。次いで、群6および7のモルモットを前記したようにUVRに暴露した。
【0207】
全てのモルモットを、実験の各日少なくとも2回、生存性につき観察した。全身の様子および臨床的徴候についての観察は、実験を通じて毎週行った。テスト製品投与部位の臨床的観察は、テスト製品投与(一次刺激性および接触過敏チャレンジ)およびテスト製品投与およびUVR暴露(光毒性および光アレルギーチャレンジ)から1、2および3日後に行った。体重は各相での投与の開始時において、しかる後毎週、および犠牲時に記録した。全てのモルモットを、テスト製品投与後3日目に犠牲にした。
【0208】
白子無毛[Crl:IAF(HA)−hrBR(異系交配)]雄モルモットへの0.3mL/皮膚部位でのプラセボゲル中10mg/mL(1.0%)と高い濃度でのXMP.629の単一局所投与は、一次刺激、光毒性、接触過敏または光アレルギーを示す皮膚の変化を引き起こさなかった。比較体製品8−MOPの単一局所投与は、皮膚光毒性を示す皮膚反応を生じた。比較体製品TCSAの投与は、接触過敏および光アレルギーを示す皮膚反応を生じた。体重、体重変化および臨床観察は顕著ではなかった。
【0209】
D.非経口
2つの更なる実験、意識のある遠隔測定カニクイザルにおける心欠陥安全性薬理学テスト、およびウサギおよびげっ歯類における一連の静脈内効率テストをXMP.629で行った。
【0210】
D1.安全性薬理学テスト
この安全性薬理学テストを行って、静脈内注入を介して投与した場合のXMP.629の可能な心血管効果を評価した。テストは、例えば、一般的薬理学実験についてのガイドラインで(Guidline for General Pharmacology Studies)(その開示を個々に引用して援用する日本国厚生省PAB/NNDの通達番号4、1995年1月29日)に示されたような単一−用量−誘導副作用を確認するための急性実験であった。
【0211】
遠隔測定デバイス/トランスミッター(Data Sciences,St.Paul,MN)を、テストサルに、中央−腹領域にわたって皮下ポケットに外科的に移植した。遠隔測定デバイスの血圧カテーテルを左鼡径部領域まで皮下操作し、左大体動脈に挿入し、カテーテルの先端は腹大動脈に入れた。加えて、心電図リードを適当な解剖学的領域まで皮下に通した(すなわち、負リードを首の右側の基部に進め、正のリードを、胸骨近くの胸郭ケイジの左側の5番目の肋間空間内に置いた)。
【0212】
一連の4つの急性実験において、XMP.629の静脈内投与を、遠隔測定システムを介して意識のあるカニクイザル霊長類(4匹の雄)に与え、そこでは、増大させる用量を4日間にわたって投与し、用量の間は3〜27日の洗浄期間であった。用量は2mL/kg/時間の率にて2時間にわたって投与した。賦形剤、10mM酢酸ナトリウム緩衝液を0日に投与し、XMP.629は、各々、4、7および34日に、5、10および20mg/kg/時間の用量レベルで投与した。用量当たりの注入容量は、最も最近の体重測定を用いて計算した。
【0213】
生存性チェックは動物につき毎日2回行った。体重は、外科的処置の日、および各用量に1または2日先立って動物から得た。心血管評価および体温測定は、投与の日に収集した同一頻度/期間において0日投与セッションに先立って1つの24時間の期間、移植された遠隔測定デバイス/トランスミッターを用いて放射線遠隔測定により収集した。投与の各日において、血圧波形、収縮期圧力、弛緩期圧力、平均圧力、ECG(軸方向リード)波形、心拍、体温、QA間隔、P−R間隔、QRS間隔、QT間隔、R−R間隔、およびQTC間隔のような種々の生理学的パラメーターに対するXMP.629の効果を、投与期間の2時間前、各注入期間の間の120分間の5分毎、および注入の終了後22時間(1時間の間に5分毎に1回、次いで、残りの22時間の間に30分毎に1回)観察した。加えて、手動による10のリード心電図をプレテストとして1回収集し、再度のモニタリング期間に続いて1回収集した。プロトロンビン時間、活性化部分トロンボプラスチン時間、およびフィブリノーゲンレベルを測定する凝固実験を行うために血液を手に入れ、それは、最後の用量(20mg/kg/2時間)に続いて注入に先立って、および注入の開始から120分後に行った。また、注入の最後に、XMP.629の血漿濃度の測定のために血液試料を得た。
【0214】
この実験からの結果は、XMP.629を5mg/kg/2時間にて静脈内注入として与えた場合に、有害な関連効果は観察されないことを示した。カニクイザルへの10または20mg/kg/2時間の静脈内容量でのXMP.629の投与は、心室過剰収縮および未熟な心室拍動を生じた。1匹の動物は20mg/kg/2時間の注入に続いてひどい臨床的徴候を有し、これは、傾眠、低下した体温、およびQTおよびQTc間隔の延長を含んだ。フィブリノーゲンの減少に伴うプロトロンビンおよび活性化部分トロンボプラスチン時間の延長は、20mg/kg/2時間XMP.629の注入に続いて4匹の動物のうち2匹で認められた。5、10または20mg/kg/2時間のXMP.629の静脈内注入に続いて、心拍、QA、P−R、QRAおよびR−R間隔に対するXMP.629に関する効果はなかった。
【0215】
D2.ウサギにおける静脈内効率テスト
一連のXMP.629での効率実験を行い、そこでは、その幾匹かを予めStaphylococcus aureus、E.coli、または他の細菌、あるいはCandida albicalsで感染させたウサギに、遅いIVプッシュまたは短時間(5〜30分)静脈内注入を0.1〜1.0mg/mLにて耳の縁静脈を介して与えた。注入状態または生物にかかわらず、膨潤および血管周囲空間への出血のような肉眼による巨視的変化は複数注入後に認められた。該膨潤のため、1〜20mg/kg/日のXMP.629の2〜5回の投与の後に静脈には注入できなかった。ヘマトキシリンおよびエオシンセクションの組織病理学的調査は、フィブリン血栓、領域的出血壊死、浮腫、領域的線維増殖症、急性出血、および血管壁の壊死を明らかとした。周囲の組織における二次的変化は浮腫、領域的線維増殖症、急性出血、および領域的出血性壊死、ならびに炎症の存在を含んだ。これらの巨視的変化は、行った他の効率実験におけるラットおよびマウスの尾静脈で観察された変化と同様であった。
【0216】
実施例8
ラットにおけるXMP.629の薬物動態学、分布および排出
本実施例は、静脈内投与されたSMP.629の薬物動態学特性を取り扱う。トリチウム化または非標識XMP.629いずれかでの薬物動態学実験を雄Sprague−Dawleyラットで行った。これらの実験は、単一静脈内ボーラス投与後におけるXMP.629の薬物動態学、分布および排出を評価した。
【0217】
A.[H]−標識XMP.629での薬物動態学実験
3つの群の雄Sprague−Dawleyラットに、尾静脈(ほぼ395μCi/KG体重)を介して[H]−標識XMP.629(Amersham,Piscataway,NJ)の0.3mg/kg静脈内容量を受容させた。ラットを3つの群に割り当て、群1(n=3)は尿および糞の収集で用い、群2(n=12)は血液サンプリングで用い、群3(n=6)は全身オートラジオグラフィー(WBA)で用いた。尿および糞は、投与後72時間の間群1から収集した。血液試料(群2)は投与後24時間収集した。ラットは投与後24時間まで選択された間隔でWBAのために犠牲にし、72時間において、残存する放射能の死体分析を行った。XMP.629酢酸同等物は、液体シンチレーションまたはオートラジオグラフィーを用いて測定した。
【0218】
結果は、[H]−標識XMP.629の血漿中濃度が投与後迅速に減少し(6時間以内に〜100×)、続いて、経時的に濃度はゆっくりと減少した。プールしたデータは、ほぼ0.24時間の平均半減期を持つ3つの区画モデルで最良にフィットした。モデルフィットから得られた薬物動態学パラメーターは表24に示す。投与後24時間までは、血漿中濃度はほぼ0.005μg/mLであった。アルファおよびベータ半減期は短く(各々、〜1分および〜45分)、続いてより長い末端半減期であった(〜8時間)。分布の中央の区画の容量は低かった(血液容量よりは大きいが、細胞外流体容量よりは低い〜120mL/kg)。クリアランスは低かった(肝臓血流のほぼ10%である〜360mL/時間/kg)。
【0219】
【化30】

実験した全身オートラジオグラフィーは、投与後のいくつかの時点において組織中のトリチウムの濃度を測定した。これらの濃度から、濃度vs.時間曲線下面積(AUC)は総じての暴露の尺度として計算した(表25参照)。トリチウムカウントによって測定したXMP.629酢酸の組織分布は、高度に灌流された組織(副腎、肝臓、甲状腺、肺および腎臓)が最大の薬物−同等濃度を含むことを示した。いくつかの組織において、トリチウム濃度は血漿中濃度よりも大きく、これは、H−XMP.629の同等体がこれらの組織に分布できることを示唆する。組織AUCに基づき、肝臓、リンパ節および骨髄は、H−XMP.629酢酸の同等体への最大の全暴露を有した。
【0220】
【化31】

XMP.629酢酸に関連する放射能の組織分布は、実験の薬物動態学部分で見られる薬物の迅速なクリアランスを仮定すれば解釈するのが困難である。放射性標識の組織分布は、親化合物の反映であると推定される。予備的計算は、投与されたトリチウムの多くが投与後72時間において体中に依然として存在することを示唆する。しかしながら、このトリチウムが親化合物、代謝産物、または他のトリチウム−含有分解生成物または微量汚染物に関連するかは知られていない。
【0221】
投与から72時間以内に、XMP.629に関連するトリチウムのほぼ8.7%(標準偏差=0.2)は尿中に排出された。XMP.629酢酸に関連するトリチウムの推定14.8%(標準偏差=1.0%)は糞中に排出された。このデータと合致して、実験の最後における死体中の残存トリチウムの分析は、放射能の79.7%(標準偏差=13.6%)が投与後72時間において体に残ることを示した。
【0222】
B.非標識XMP.629での薬物動態学実験
非放射性標識XMP.629を用い、薬物動態学実験をH−XMP.629について前記したのと同様にして行った。しかしながら、この実験においては、XMP.629の0.05または0.2mg/kg静脈内用量を2匹の雄および2匹の雌ラットに投与した。血液試料は投与後168時間収集し、血漿中XMP.629濃度は液体クロマトグラフィー/質量分析(LC/MS)を用いて測定した。
【0223】
収集された試料からの結果は、血漿中濃度が投与から4時間以内にほぼ100倍だけ減少したことを示した。個々のラット濃度データは2区画モデルで最良に記載された。モデルフィットから得られた薬物動態学パラメーターは表26に示す。アルファ半減期は短く(〜20分)、続いてより長い末端半減期であった(〜16時間)。AUCの大部分はアルファ相と関連し、これは、かなりの排出が分布平衡に先立って起こっていることを示唆する。クリアランスは低く(〜320mL/時間/kg)、分布の中央区画容量は細胞外流体容量に匹敵した。
【0224】
0.05mg/kg容量に続き、中央区画の容量は、0.2mg/kg容量につき計算された値と同様の203.2(標準誤差=33.6mL/kg)であった。
【0225】
【化32】

非放射性標識XMP.629での結果は、放射性標識XMP.629実験で得られたのと匹敵する結果を生じた。薬物動態学パラメーター(例えば、クリアランス、分布の容量、および平均半減期)は2つの実験の間で匹敵した(例えば、表24および表26参照)。1つはXMP.629を測定し、他方はH−XMP.629からのトリチウムを測定するこれらの実験の間の一般的合致は、XMP.629はラットにおいてかなり代謝されないことを示唆する。
【0226】
C.XMP.629の経口用量の薬物動態学
この実験は、経口胃管栄養法用量後におけるラットでのXMP.629の薬物動態学を測定するよう設計された。ラット(群当たり2匹の雄/2匹の雌)には、蒸留水、または5%グルコース溶液中の経口胃管栄養としての10mg/kg用量のXMP.629酢酸を受容させた。血液試料は投与後1分〜168時間の選択された時間に収集し、血漿を抽出し、LC/MS/MSを用いてXMP.629レベルを測定した。
【0227】
経口投与後の血漿中濃度は非常に低く、検出限界(1ng/mL)を超えた濃度は少なく、表27に示した薬物動態学パラメーターの計算を困難とする。ピーク濃度は投与後10〜20分で達成され、これは、吸収が迅速であって、胃で起こっているらしいことを示唆する。達成されたピーク濃度は蒸留水でのものよりも5%グルコース調合物で〜4倍高かった。生物学的利用性は極端に低く、蒸留水中のXMP.629では(〜0.001%)であり、5%グルコース調合物では〜4倍高かった。
【0228】
【化33】

D.局所用量の投与後におけるXMP.629の薬物動態学
本実験は、局所用量のXMP.629酢酸ゲルに続いてのラットにおけるXMP.629の薬物動態学を測定するように設計された。48匹のラットを3つの処理分に割り当て(群当たり8匹の雄/8匹の雌)、各群には異なる強度のXMP.629酢酸ゲルを受容させた。ゲルは、全体表面積のほぼ15%の毛を剃った領域に2mgのゲル/cmの速度で適用した(0.1、0.5または1.0重量%酢酸塩)。ゲルを20〜30分間風乾し、しかる後、動物を個々のハウジングに戻した。各ラットを用量適用後8および28時間の間に3つの選択された時点でサンプリングした。血液試料を遠心して、血漿が得られ、XMP.629の血漿中濃度はLC/MS/MSを用いて測定した。
【0229】
局所投与後の血漿中濃度は非常に低く、0.1%ゲルでの投与後に3ng/mLを超える濃度はなかった。0.5%ゲル用量群においては、測定可能な濃度のXMP.629を含有する単一の試料(6時間において3.5ng/mL)があった。最高用量において、1.0%ゲル、試料のほぼ60%は検出限界(1ng/mL)未満であり、この群における2つの値は19ng/mLよりも大きく、偽であると考えられ、残りの試料は<7.5ng/mLであった。全ての群における前記検出レベルデータの不足は薬物動態学パラメーターの計算を複雑とし、1.0%ゲル調合物からのデータでのみ試みられた。最高濃度はゲルの適用後30および120分の間で起こると見積もられた。1.0%ゲルの適用後におけるXMP.629酢酸の生物学的利用性はほぼ0.29%であり、これは、1/2bqlの濃度(0.5ng/mL)を全てのbql値に割り当てることによって決定された。
【0230】
E.静脈内用量の投与後におけるXMP.629の薬物動態学
本実験は、静脈内ボーラスまたは局所用量に続いてのSinclairミニ−ピッグにおけるXMP.629の薬物動態学を測定するように設計された。成体Sinclairミニ−ピッグ(投与群当たり2m/2F、クロスオーバー設計)には、カテーテルを通した耳静脈への短いIV注入としてほぼ0.05内または2mg/kg XMP.629酢酸を受容させた。血液試料は投与後168時間まで選択された回数収集し、血漿を抽出し、LC/MS/MSアッセイ(定量限界=1ng/mL)を用いてXMP.629につきアッセイした。
【0231】
血漿XMP.629レベルは最初の12時間以内に100倍減少でもって迅速に減少した。表28に示すように、初期半減期は0.03〜0.9時間であり、ベータ半減期は1〜1.3時間であって、末端半減期はほぼ15時間であった。分布の中央区画容量は血液容量(67〜102mL/kg)と同様であって、血漿クリアランス(105〜156mL/時間/kg)は肝臓または腎臓血漿流の小さな割合であった。
【0232】
【化34】

F.局所用量の投与に続いてのXMP.629の薬物動態学
XMP.629酢酸ゲル(グラムゲル当たり0.1,0.5または1% XMP.629酢酸)をミニ−ピッグの皮膚に適用した。各郡におけるゲルの用量は、BSAのcm当たり2mgのゲルの率にて体表面積(BSA)の15%の被覆する量として計算した。XMP.629酢酸ゲル適用後24時間に、適用領域を洗浄した。投与後168時間まで、血液試料を洗濯した回数収集し、血漿を抽出し、LC/MS/MSアッセイ(定量の限界=1mg/mL)を用いてXMP.629についてアッセイした。
【0233】
XMP.629の局所投与後におけるXMP.629の生物学的微量性は非常に低く検出可能な血漿濃度ではなかった。
【0234】
実施例9
XMP.629でのざ瘡臨床実験
ヒト臨床実験において、XMP.629の安全性および有効性を調べる。ざ瘡を持つ被験体を選択し、実施例5に記載されたXMP.629の組成物(表12参照)を投与した。
【0235】
A.皮膚刺激実験
XMP.629の累積皮膚刺激能力を測定するための皮膚実験を単一センターで行う。具体的には21日評価者−盲評価において、XMP.629(0.1%、酢酸塩)賦形剤ゲルまたは0.2%ラウリル硫酸ナトリウムいずれかを含むゲルを、35人の健康な被験体の皮膚に反復して適用する。被験体は18〜70歳の年齢の範囲の男性および女性を含む。被験体はいずれかの皮膚および人種のタイプのものである。
【0236】
Hill Topチャンバー(25mm直径)を用い、XMP.629(0.1%酢酸塩)、賦形剤ゲル、または0.2%ラウリル硫酸ナトリウムいずれかの0.2mLを含む吸収剤パッド(19mm直径)をパッチとして調製する。パッチは、被験体への投与のほぼ5〜60分前に調製し、示された部位にて被験体の背中に適用する。パッチは適当な接着テープで48時間所定の位置に保持する。ランダム化暗号に従い、ゲルを与えられた被験体の同一部位に一週間当たり3回適用する。被験体にはパッチを乾燥して維持するよう指令し、過剰な発汗をもたらす運動を回避するように依頼する。加えて、被験体には、適用された部位を実験の間太陽光に曝露しないよう指令する。
【0237】
各適用は、臨床家または研究者によって刺激または炎症の徴候について48時間後に観察する。臨床家または研究家は、パッチを除去してからほぼ5〜15分後に、各部位の皮膚反応の徴候を評価する。皮膚刺激性は、以下の通常に用いられる6−ポイントスケールに従って等級付けする。
【0238】
0=刺激の徴候無し
0.5=稀に検知できる紅斑
1=軽度の紅斑
2=わずかな浸潤を伴う検知可能な紅斑
3=顕著な浮腫を伴う紅斑
4=浮腫および水泡形成を伴う紅斑
テストしたゲルに対する皮膚反応の他の徴候は有害な事象として認識し、記録する。合計九つの読みを実験の間に行う。
【0239】
平均刺激スコアおよびそれらの頻度分布は、部位および評価日によって表を形成する。平均スコアは各部位につき日にわたって合計する。各部位についての累積刺激スコアは、合計刺激スコアを最高理論スコアで割ったものに対応する。特定の部位が刺激の酷さ(グレード4)のため継続しない場合、その部位についての最後の観察を素早く行う。パラメーターは、相互作用なくして対照および製品の主な効果を含めた2−方向偏差分析(ALOVA)の意味で、フィッシャーの保護最小有意差を用いて製品の差について対様式でテストする。
【0240】
実験で観察された有害な事象の大部分は掻痒または関連適用部位反応であり、閉塞性パッチングおよび刺激についての陽性対照を適用と合致した。総じて、XMP.629はこの実験において対照によってよく許容された。
【0241】
陽性対照(ラウリル硫酸ナトリウム、0.3%)の平均累積刺激スコアは0.25であり、これはXMP.629酢酸ゲル、0.1%(平均0.08)および薬物製品賦形剤ゲル(平均0.07)(p<0.001)よりも有意に刺激性であった。XMP.629酢酸ゲル、0.1%および薬物製品賦形剤ゲル(p=0.592)の間で累積刺激の有意な差は無かった。実験の条件下で、XMP.629酢酸ゲル、0.1%および薬物製品賦形剤ゲルは有意な累積刺激を生じさせる;ラウリル硫酸ナトリウム(0.3%)陽性対照は温和な累積刺激を生じた。
【0242】
本実験の累積刺激および有害事象安全性結果は、XMP.629酢酸ゲル、0.1%がよく許容され、軽度の刺激につき陽性対照と比較して有意な刺激を生じさせないことを示した。
【0243】
B.吸収実験
中程度〜非常に重症のざ瘡を持つ15人の被験体において、XMP.629酢酸ゲル0.1%への最大局所曝露について吸収評価実験を行った。
【0244】
実験集団は、顔、胸および背中の合計ほぼ1,000〜2,500cmのざ瘡関連面積、およびこれら三つの領域の最小一つにおける0〜5スケールでの3〜5の評価者グローバル重傷度スケールスコアを有するものとして定義される。中程度〜非常に重症の尋常性ざ瘡を持つ12歳以上の男性および女性よりなるものであった。
【0245】
本実験の目的は、中程度〜非常に重症のざ瘡を持つ被験体において複数適用を用いて最大曝露に続いて、XMP.629酢酸ゲル、0.1%の吸収および安全性を調べることであった。予備的効率は、病巣カウントおよび尋常性ざ瘡の評価者のグローバル重傷度スケール評価を通じて評価した。
【0246】
前記したざ瘡で選択された被験体は14日間毎日クリニックにやってきて、研究スタッフは4gのXMP.629酢酸ゲル0.1%を顔および胴の患部領域に適用し、例えば、一つの適用は合計14適用についての毎日の14日間である。この毎日の用量は、予測された典型的な上方臨床用量にわたって8倍増加を示した。プレ−用量血液試料を1、5、10および14日に吸い取った。1および14日に、血液を投与後15分、30分、および1、2、3、6および9時間にも吸い取った。吸い取った最終24時間投与後血液は15日に採取した。血清を分析して、XMP.629およびXMP.629に対する抗体を測定した。
【0247】
XMP.629の血清濃度についての薬物動態学パラメーターを1日および14日に測定した。平均、標準偏差および変動の係数(CV)をこれらのパラメーターの各々について計算した。もし可能であれば、1日〜14日の薬物動態学パラメーターの変化の評価は行うべきであった。トラフXMP.629血清レベルは1、5、10および14日にプレ−用量として測定すべきであった。これらのトラフ濃度の比較を行った。XMP.629血清濃度は検出限界(例えば、1mg/mL)未満であったので、薬物動態学分析は行わなかった。
【0248】
三人の被験体は四つの有害な事象を報告し、一つの温和な乾燥肌は実験薬物に関連すると考えられた。有害な事象は温和かつ可逆的であった。実験室テスト、生体徴候または物理的知見の治験において臨床的に有意な変化はなかった。
【0249】
皮膚科学/美容的効果(例えば、スケーリング、紅斑、火傷、刺痛および痒み)の評価を含めた皮膚安全性の非治療的評価は、表29に記載された以下のスケールを用いて測定した。
【0250】
【化35】

評価はベースラインにおいて10日および14日になされ、これを表30に示す。結果は、処理はいずれのスケーリング、痒み、火傷および刺痛にも関連しないことを示した。事実、処理は、14日においてベースラインにおける軽度(n=10)および中程度(n=2)紅斑をゼロまで低下させた。加えて、ベースラインにおける3人の被験体に存在する軽度な痒みは14日に解決された。
【0251】
【化36】

病巣カウントおよび(0透明〜5非常に重症のスケールを用いる)評価者グローバル重傷度スケール評価を通じて、予備的治療活性を評価した。生体徴候、臨床的実験室テスト、物理的試験および有害事象の発生を通じて安全性を評価した。
【0252】
予備的治療有効性の結果は、15日における、平均炎症性病巣カウントにおけるベースラインからの33%減少平均非炎症性病巣カウントにおける28%減少、および平均合計病巣カウントにおける30%減少を示した。15人の患者のうち11人(73%)は、15日において、顔、背中または胸いずれかで、それらの評価者グローバル重傷度スコアにおけるベースラインからの少なくとも1グレード改良を有した。この実験において、患者の53%は、顔における評価者グローバル重傷度スケールにおいてベースラインからの少なくとも1グレード改良、背中についての40%および胸についての33%を有した。かくして、XMP.629酢酸ゲル0.1%はよく許容され、測定可能な全身吸収を欠き、試料から14日後において、本実験で示したようにベースライン紅斑、病巣カウント、および評価者のグローバル重傷度スケールの低下を示した。
【0253】
C.有効性実験
ざ瘡の治療のためにXMP.629を用いる臨床実験を複数センターで行う。具体的には、0.01%、0.05%および0.1%のXMP.629を含むゲルでの一日一回の反復局所適用後に、二重―盲検実験を尋常性ざ瘡を持つ患者で行う。
【0254】
被験体集団は、12歳以上である男性または女性であって、軽度〜中程度尋常性ざ瘡を呈する。該実験は12週間に渡って行う。
【0255】
12週間後、以下の基準を評価して有効性を判断する:
(1)炎症性顔病巣カウントを含めた、炎症性病巣カウントのパーセント低下;
(2)非炎症性顔病巣カウントを含めた、非炎症性病巣カウントパーセント低下;
(3)合計顔病巣カウントを含めた、全病巣カウントにおけるパーセント低下;および
(4)顔における、を含めたグローバル静的医師スコアまたは評価者グローバル重傷度スケールに基づいて、透明または殆ど透明として判断した被験体の割合。
【0256】
一次終点は炎症性病巣カウントにおけるパーセント低下である。別の一次終点は、炎症性病巣カウント、非炎症性病巣カウントおよび/または合計病巣カウントにおけるベースラインからの平均低下、および/または好ましくは顔病巣カウントおよび顔皮膚クリアランスを評価することによって、評価者グローバル重傷度スケールに基づいて透明または殆ど透明と判断された被験体の割合である。二次的目的は非炎症性病巣カウントおよび合計病巣カウントにおけるパーセント低下、およびグローバル静的医師スコア(成功)に基づいて透明または殆ど透明と判断された被験体の割合である。変動の分析を用いて、炎症性、非炎症性、および合計病巣カウントにおけるパーセント低下に対する治療効果をテストする。コントラストを用いて、処理分の間の対様式企画を行う。処理のファクターでのPROC CATMOD文政を用いて、成功と考えられる被験体の割合をテストする。この手法内のコントラストは、対様式企画で用いる。変動の分析、Cochra Mantal − Haenszelテスト、およびランクテストを用いて、適切であれば、これらの終点を分析する。XMP.629の効率は、評価した四つの基準の1以上の低下によって示される。
【0257】
かくして、有効性評価は、尋常性ざ瘡の1以上の徴候および症状を評価することによるのを含めて、および改善が以下の:炎症性病巣カウントの減少(例えば、顔)非炎症性病巣カウントの減少(例えば、顔)合計病巣カウントの減少(顔)または透明または殆ど透明な皮膚の増大した割合(例えば、顔)の1以上によって示される場合を含めた、ざ瘡の改善の盲検調査者評価に基づく。病巣カウント(例えば、炎症性、非炎症性および/または合計における低下は、最小病床カウント、ベースラインからの変化(例えば、ベースラインカウント−実験の最後のカウント)、またはパーセント変化(例えば、変化/ベースラインカウント×100%)として分析することができる。透明または殆ど透明皮膚の増加した割合は、グローバル静的医師スコア、静的医師グローバル評価、調査者グローバル評価、評価者グローバル重傷度スケール、または他の公知のスケール(例えば、クック(Cook)スケールthese (Leeds)スケールなど)を用いることを含め、訓練された評価者(例えば、医師または調査者)、好ましくは医師グローバル評価によって種々の方法で分析される。例えば、カウントが顔である場合を含めた、(i)炎症性病巣カウント、(ii)非炎症性病巣カウント、(iii)合計病巣カウントにおける週12としてのベースラインからの有効性変数パーセント変化の一次尺度。有効性の二次測定は、表31に示したように、評価者のグローバル重傷度スコアによって判断して、例えば、週12における透明または殆ど透明である被験体のパーセントである
【0258】
【化37】

安全性は生体徴候、臨床的実験室テスト、XMP.629に対する抗体の検出、身体的質問知見皮膚安全性評価スコア(紅斑およびスケーリング)、ならびに許容性評価スコア(痒み、火傷、および刺痛)によって、および報告された有害な事象の発生によって評価される。
【0259】
有効性評価のための例示的実験集団は、20〜50の炎症性病巣(丘疹および嚢胞)カウント、100以下の非炎症性病巣(開放および閉鎖面皰)カウント、(直径が5mm以上の炎症性病巣として定義されている1または少数の小結節、および/または2または3の評価者グローバル重傷度スコア(表31参照)を持つ顔ざ瘡を有すると定義される。軽度〜中程度尋常性ざ瘡を持つ12歳以上の男性および女性よりなる。XMP.629の有効性は、前記したようなXMP.629での処置後に評価した、改善が、例えば、病巣カウントの減少(例えば、減少)および/または透明または殆ど透明な皮膚における改良(例えば、増加)を含めたざ瘡の1以上の徴候または症状の数および/または重傷度の低下によって示される場合を含めて、ざ瘡の改善によって示される。
【0260】
全ての米国特許、米国特許出願、国際PCT出願、およびそこに引用された刊行物は、ここに引用してその全体を一体化させる。本発明を1以上の具体例に関連付けて記載したら本発明はそれらの態様に限定されないことが理解されよう。反対に、本発明は添付の請求の範囲の精神および範囲に含み得る全ての代替物、修飾および同等物を含む。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体の、被験体におけるざ瘡を治療するための医薬の製造のための、使用。
【請求項2】
該医薬がざ瘡を改善するためのものである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体の、被験体においてざ瘡を改善するための医薬の製造のための使用。
【請求項4】
該医薬が少なくとも一つの抗ざ瘡剤との同時投与のためのものであり、該抗ざ瘡剤がXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、請求項1〜3のいずれか1項に記載の使用。
【請求項5】
該医薬が抗ざ瘡剤の前または後のための投与のためのものである、請求項4に記載の使用。
【請求項6】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体、および少なくとも一つの抗ざ瘡剤の、被験体においてざ瘡を治療するための、またはざ瘡を改善するための医薬の製造のための使用であって、該抗ざ瘡剤がXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、使用。
【請求項7】
該改善が以下の:炎症性病巣カウントの減少;非炎症性病巣カウントの減少;合計病巣カウントの減少;および/または透明または殆ど透明な皮膚の増大した割合のうちの少なくとも一つによって示される、請求項2、3または6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項8】
該改善が炎症性病巣カウントの減少によって示される、請求項7に記載の使用。
【請求項9】
該改善が非炎症性病巣カウントの減少によって示される、請求項7または8に記載の使用。
【請求項10】
該改善が合計病巣カウントの減少によって示される、請求項7〜9のいずれか1項に記載の使用。
【請求項11】
該改善が透明なまたは殆ど透明な皮膚の増大した割合によって示される、請求項7〜10のいずれか1項に記載の使用。
【請求項12】
該医薬は抗ざ瘡剤の治療的有効性を増強させるか、またはその能力を増加させるためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項13】
該医薬が、XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体および抗ざ瘡剤単独の個々のまたは相加的効果を超えた相乗的または増強効果を供するためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項14】
該XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体および抗ざ瘡剤が、単独治療有効性には十分である量である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項15】
該XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体および抗ざ瘡剤が単独治療的に有効な量未満である、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項16】
該医薬が抗ざ瘡剤の用量を減少させるためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項17】
該医薬が、抗ざ瘡剤による治療的利点の開始を早めるためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項18】
該医薬が、抗ざ瘡剤による治療の持続を減少させるためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項19】
該医薬が、抗ざ瘡剤に関連する1以上の副作用を低下させるためものものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項20】
該医薬が、抗ざ瘡剤に対するざ瘡関連細菌の耐性または耐性の発生を低下させるかまたは逆行させるためのものである、請求項4〜6のいずれか1項に記載の使用。
【請求項21】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体の、少なくとも一つの抗ざ瘡剤に対するざ瘡関連細菌の耐性または耐性の発生を低下または逆行させるための医薬の製造のための使用であって、該抗ざ瘡剤はXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、使用。
【請求項22】
該抗ざ瘡剤が処方ベースの抗ざ瘡剤または一般用医薬品である、請求項1〜19のいずれか1項に記載の使用。
【請求項23】
該処方ベースの抗ざ瘡剤が以下の:過酸化ベンゾイル、レチノイド、レチノイド誘導体、抗微生物剤、またはその組合せの一つから選択される、請求項22に記載の使用。
【請求項24】
該過酸化ベンゾイルが約2.5%〜約10%の範囲の量で投与される、請求項23に記載の使用。
【請求項25】
該レチノイドがトレチノインである、請求項24に記載の使用。
【請求項26】
該トレチノインが約0.01%〜約0.025%の範囲の量で投与される、請求項25に記載の使用。
【請求項27】
該レチノイド誘導体がアセチレン性レチノイドまたはナフトール酸レチノイドである、請求項23に記載の使用。
【請求項28】
該抗微生物剤がアゼライン酸である、請求項23に記載の使用。
【請求項29】
該抗生物質がクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンまたはエリスロマイシンである、請求項23に記載の使用。
【請求項30】
該抗生物質の組合せが、クリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンまたはエリスロマイシンと過酸化ベンゾイルである、請求項23に記載の使用。
【請求項31】
該過酸化ベンゾイルが約2.5%〜約10%の範囲の量で投与される、請求項30に記載の使用。
【請求項32】
該抗ざ瘡剤が抗微生物剤である、請求項20または21に記載の使用。
【請求項33】
該抗微生物剤がアゼライン酸である、請求項32に記載の使用。
【請求項34】
該抗ざ瘡剤が抗生物質である、請求項20または21に記載の使用。
【請求項35】
該抗生物質がクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンまたはエリスロマイシンである、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
該抗ざ瘡剤が抗生物質の組合せである、請求項20または21に記載の使用。
【請求項37】
該抗生物質の組合せがクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンまたはエリスロマイシンと過酸化ベンゾイルである、請求項36に記載の使用。
【請求項38】
該過酸化ベンゾイルが約2.5%〜約10%の範囲の量で投与される、請求項37に記載の使用。
【請求項39】
該医薬が、抗生物質耐性Propionibacteriumに関連するざ瘡を改善または治療するためもものである、請求項1〜38のいずれか1項に記載の使用。
【請求項40】
該PropionibacteriumがP.acnes、P.avidum、またはP.granalosumである、請求項39に記載の使用。
【請求項41】
該Propionibacteriumがエリスロマイシンおよび/またはクリンダマイシンに対して耐性である、請求項39または40に記載の使用。
【請求項42】
該被験体が軽度または中程度のざ瘡を有する、請求項1〜41のいずれかに記載の使用。
【請求項43】
該被験体がヒト被験体である、請求項1〜42のいずれかに記載の使用。
【請求項44】
XMP.629またはその生理学的に受容可能な塩または誘導体の、化粧品製品としての使用。
【請求項45】
皮膚を美容的に処置するための、請求項44に記載の使用。
【請求項46】
皮膚の透明性を美容的に改良するための、請求項45に記載の使用。
【請求項47】
皮膚の赤味を減少させるための、請求項45に記載の使用。
【請求項48】
該生理学的または薬学的に受容可能な塩がアセテートである、請求項1〜47のいずれか1項に記載の使用。
【請求項49】
該医薬または化粧品製品が少なくとも一つの添加剤を含む、請求項1〜48のいずれか1項に記載の使用。
【請求項50】
該添加剤がキレート化剤、等張剤、ゲル化剤、緩衝液、界面活性剤または保存剤である、請求項49に記載の使用。
【請求項51】
該医薬または化粧品製品が以下の:ポロキサマー界面活性剤;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);塩化ベンザルコニウム(BAK);プロピレングリコール;および/またはヒドリキシエチルセルロースの1以上を含む、請求項49に記載の使用。
【請求項52】
該ポロキサマー界面活性剤がポロキサマー333である、請求項51に記載の使用。
【請求項53】
該医薬または化粧品製品が経口、非経口または局所調合物である、請求項1〜52のいずれか1項に記載の使用。
【請求項54】
該医薬または化粧品製品が局所調合物におけるものである、請求項53に記載の使用。
【請求項55】
該局所調合物がクリーム、ゲル、ローションまたは溶液である、請求項54に記載の使用。
【請求項56】
該局所調合物がクリームである、請求項54に記載の使用。
【請求項57】
該局所調合物がゲルである、請求項54に記載の使用。
【請求項58】
該局所調合物がローションである、請求項54に記載の使用。
【請求項59】
該局所調合物が溶液である、請求項54に記載の使用。
【請求項60】
該局所調合物が含浸包帯で供される、請求項54に記載の使用。
【請求項61】
該局所調合物がパッチで供される、請求項54に記載の使用。
【請求項62】
該局所調合物がゲルスティックで供される、請求項54に記載の使用。
【請求項63】
該局所調合物がスプレーで供される、請求項54に記載の使用。
【請求項64】
該局所調合物がエアロゾルで供される、請求項54に記載の使用。
【請求項65】
該局所調合物がワイプで供される、請求項54に記載の使用。
【請求項66】
該局所調合物がスワブで供される、請求項54に記載の使用。
【請求項67】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.005%〜約0.5%(重量/容量)の範囲の量である、請求項1〜66のいずれか1項に記載の使用。
【請求項68】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.01%〜約0.2%(重量/容量)の範囲の量である、請求項67に記載の使用。
【請求項69】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.01%〜約0.1%(重量/容量)の範囲の量である、請求項68に記載の使用。
【請求項70】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.05%〜約0.1%(重量/容量)の範囲の量である、請求項69に記載の使用。
【請求項71】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.01%(重量/容量)の範囲の量である、請求項68に記載の使用。
【請求項72】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.05%(重量/容量)の範囲の量である、請求項68に記載の使用。
【請求項73】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.1%(重量/容量)の範囲の量である、請求項68に記載の使用。
【請求項74】
該医薬または化粧品製品が一日約1回〜5回の投与のためのものである、請求項1〜73のいずれか1項に記載の使用。
【請求項75】
該医薬または化粧品製品が一日当たり約3回〜約4回の投与のためのものである、請求項74に記載の使用。
【請求項76】
該医薬または化粧品製品が一日当たり約1回投与される、請求項74に記載の使用。
【請求項77】
該医薬または化粧品製品が反復投与のためのものである、請求項1〜76のいずれか1項に記載の使用。
【請求項78】
XMP.629またはその生理学的に受容可能な塩または誘導体を被験体に投与する工程を含むことを特徴とする、美容的処置の方法。
【請求項79】
皮膚を美容的に処置するための、請求項78に記載の方法。
【請求項80】
皮膚の透明性を美容的に改善するための、請求項79に記載の方法。
【請求項81】
皮膚の赤味を減少させるための、請求項78に記載の方法。
【請求項82】
XMP.629またはその生理学的に受容可能な塩または誘導体を皮膚に局所適用する工程を含む、請求項78〜81のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
XMP.629またはその生理学的または薬学的に受容可能な塩または誘導体、ならびに以下の:ポロキサマー界面活性剤;エチレンジアミンテトラ酢酸(EDTA);塩化ベンザルコニウム(BAK);プロピレングリコール;および/またはヒドロキシエチルセルロースの1以上を含む、組成物。
【請求項84】
BPI蛋白質製品ならびに以下の組合せ:ポロキサマー界面活性剤およびEDTA;ポロキサマー界面活性剤およびBAK;ポロキサマー界面活性剤およびプロピレングリコール;ポロキサマー界面活性剤およびヒドロキシエチルセルロース;EDTAおよびBAK;EDTAおよびプロピレングリコール;EDTAおよびヒドロキシエチルセルロース;BAKおよびプロピレングリコール;BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース;ポロキサマー界面活性剤、EDTAおよびBAK;ポロキサマー界面活性剤、EDTAおよびプロピレングリコール;ポロキサマー界面活性剤、EDTAおよびヒドロキシエチルセルロース;ポロキサマー界面活性剤、BAKおよびプロピレングリコール;ポロキサマー界面活性剤、BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;ポロキサマー界面活性剤、プロピレングリコール、およびヒドロキシエチルセルロース;EDTA、BAKおよびプロピレングリコール;EDTA、BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;BAK、プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース;ポロキサマー界面活性剤、EDTA、BAKおよびプロピレングリコール;ポロキサマー界面活性剤、EDTA、BAKおよびヒドロキシエチルセルロース;EDTA、BAK、プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロース;またはポロキサマー界面活性剤、EDTA、BAK、プロピレングリコールおよびヒドロキシエチルセルロースの1以上を含む、請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.005%〜約0.5%(重量/容量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項86】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.01%〜約0.2%(重量/容量)の範囲の量である、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項87】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.01%〜約0.1%(重量/容量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項88】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.05%〜約0.1%(重量/容量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項89】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.01%(重量/容量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項90】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.05%(重量/容量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項91】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体が約0.1%(重量/容量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83または84に記載の組成物。
【請求項92】
該EDTAが塩の形態である、請求項83〜91のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項93】
該EDTAがEDTA二ナトリウム、二水和物である、請求項92に記載の組成物。
【請求項94】
該EDTA二ナトリウム、二水和物が約0.15%(重量/重量)の量で組成物に存在する、請求項93に記載の組成物。
【請求項95】
該プロピレングリコールが約20%(重量/重量)までの量で組成物に存在する、請求項83〜93のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項96】
該ポロキサマー界面活性剤が約0.2%(重量/重量)の量で組成物に存在する、請求項83〜95のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項97】
該ポロキサマー界面活性剤がポロキサマー333である、請求項83〜96のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項98】
該ヒドロキシエチルセルロースが約1.25〜約1.50%(重量/重量)の範囲の量で組成物に存在する、請求項83〜97のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項99】
請求項83〜98のいずれか1項に記載の化粧品組成物。
【請求項100】
請求項83〜99のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項101】
さらに、少なくとも1つの抗ざ瘡剤を含み、該抗ざ瘡剤がXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、請求項100に記載の医薬組成物。
【請求項102】
XMP.629およびその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体、および少なくとも1つの抗ざ瘡剤を含み、該抗ざ瘡剤がXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、組成物。
【請求項103】
該抗ざ瘡剤が処方ベースの抗ざ瘡剤または一般用医薬品である、請求項101または102に記載の組成物。
【請求項104】
該処方ベースの抗ざ瘡剤が以下の:過酸化ベンゾイル、レチノイド、レチノイド誘導体、抗微生物剤、またはその組合せの1つから選択される、請求項103に記載の組成物。
【請求項105】
該過酸化ベンゾイルが約2.5%〜約10%の範囲の量である、請求項104に記載の組成物。
【請求項106】
該レチノイドがトレチノインである、請求項104に記載の組成物。
【請求項107】
該トレチノインが約0.01%〜約0.025%の範囲の量である、請求項106に記載の組成物。
【請求項108】
該レチノイル誘導体がアセチレン性レチノイドまたはナフトール酸レチノイドである、請求項104に記載の組成物。
【請求項109】
該抗微生物剤がアゼライン酸である、請求項104に記載の組成物。
【請求項110】
該抗生物質がクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリンまたはエリスロマイシンである、請求項104に記載の組成物。
【請求項111】
該抗生物質の組合せがクリンダマイシン、テトラサイクリン、ドキシサイクリン、またはエリスロマイシンと過酸化ベンゾイルである、請求項104に記載の組成物。
【請求項112】
該過酸化ベンゾイルが約2.5%〜約10%の範囲の量である、請求項111に記載の組成物。
【請求項113】
請求項102〜112のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項114】
該組生物がざ瘡を改善し、または治療するためのものである、請求項83〜98、または100〜113のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項115】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むクリーム。
【請求項116】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むゲル。
【請求項117】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むローション。
【請求項118】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含む溶液。
【請求項119】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含む含浸包帯。
【請求項120】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むパッチ。
【請求項121】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むゲルスティック。
【請求項122】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むスプレー。
【請求項123】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むエアロゾル。
【請求項124】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むスワブ。
【請求項125】
請求項83〜114のいずれか1項に記載の組成物を含むワイプ。
【請求項126】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体を含み、さらに、キレート化剤、等張剤、ゲル化剤、緩衝液、界面活性剤、または保存剤の少なくとも1つを含む、組成物。
【請求項127】
ざ瘡を改善し、または治療する方法において、被験体に順次または同時投与するための、(i)XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体、および(ii)少なくとも1つの抗ざ瘡剤を含むキットであって、該抗ざ瘡剤がXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、キット。
【請求項128】
XMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体を含む、製品。
【請求項129】
ざ瘡を改善し、または治療する方法において、被験体への順次または同時投与するための、請求項128に記載の製品であって、さらに少なくとも1つの抗ざ瘡剤を含み、該抗ざ瘡剤がXMP.629またはその生理学的もしくは薬学的に受容可能な塩または誘導体ではない、製品。

【公表番号】特表2006−528645(P2006−528645A)
【公表日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521302(P2006−521302)
【出願日】平成16年7月23日(2004.7.23)
【国際出願番号】PCT/US2004/023982
【国際公開番号】WO2005/009458
【国際公開日】平成17年2月3日(2005.2.3)
【出願人】(500570793)ゾーマ テクノロジー リミテッド (26)
【Fターム(参考)】