説明

しわ改善用美容セット並びにこれを使用する美容方法

【課題】本発明は、皮膚外用剤と経口用組成物とからなる美容セットを使用して、主に顔面のしわを改善する美容方法を確立すること。
【解決手段】下記(A)と(B)とを有することを特徴とするしわ改善用美容セット。
(A)ポリビニルアルコールと、固形〜半固形油分と、ビタミンA又はその誘導体と、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドとを配合したことを特徴とする皮膚外用剤
(B)ケイヒ抽出物と、ビタミンCと、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物とを配合したことを特徴とする経口用組成物

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤と経口用組成物とからなる美容セットに関する。さらに詳しくは、目尻や額や口元等主に顔面のしわを改善するために使用されるしわ改善用美容セット並びにこれを使用する美容方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
表情筋とは顔面神経の支配を受けている筋肉を意味し、一般に、老化に伴って、表情筋の機能低下や、表情筋を支えている皮膚の弾力の低下等により、顔面のしわやたるみが生じると言われている。特に顔面の目尻や額や眉間や口元に生じるしわは、美容上の最大の関心事である。
【0003】
これに対してしわ改善を目的とする皮膚外用剤として、特許文献1には、しわ伸ばし化粧用液状組成物が開示されている。当該組成物では、皮膜形成剤と成膜助剤よりなる皮膜物質に、成膜収縮力を増加させるためのシリカを含有させている。そして、成膜形成用樹脂としてポリビニルアルコール、皮膜形成用油脂としてワックス類が開示されている。
【0004】
一方、特許文献2には、レチノール配糖体に顕著な細胞賦活作用を有することを見出して、これを配合した化粧料によって、しわやたるみの形成を予防し改善できることが開示されている。
【0005】
また、特許文献3には、しわ改善を含む美肌用の経口投与を目的とする組成物として、糖タンパクとローヤルゼリーを含有する経口投与組成物が開示されている。
【0006】
さらに、特許文献4では、サルノコシカケ科カバノアナタケ(Fuscoporia obliqua)、ハマウツボ科カンカニクジュヨウ(Cistanche Tubulosa (Schenk) R. Wight)、ベンケイソウ科コウケイテン(Rhodiolarosea L.)、ウコギ科エゾウコギ(Acanthopanax senticosus Harms)、トチュウ科トチュウ(Eucommia ulmoides)等を検討することによって、しわを改善をする技術が開示されている。
【0007】
また、特許文献5には、アカネ科植物、キク科植物、ヒルガオ科植物、バラ科植物、タケ科植物、ウコギ科植物、モチノキ科植物等の植物抽出物を利用することによって、しわの改善を検討している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平5-933号公報
【特許文献2】特開平10−158290号公報
【特許文献3】特開2006−8597号公報
【特許文献4】特開2009−91280号公報
【特許文献5】特開2009−96773号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上述したしわ改善を目的とした皮膚外用剤や経口用組成物は、必ずしも満足するしわ改善効果が得られるものではなかった。
また、しわ改善を目的とする皮膚外用剤や経口用組成物は、それぞれ単独で使用することを大前提とした発明である。これに対して、上記特許文献3のように、美肌用の経口投与組成物と特定の皮膚外用剤をキットとし、しわの改善を目的とする試みはなされてはいる。
しかしながら、本発明に使用する特定成分を配合する皮膚外用剤と経口用組成物との併用によって、しわの改善を根本的に解決する美容方法についてはこれまで詳細に検討されたことはなかった。
【0010】
本発明者等は上述の観点に鑑み鋭意研究を重ねた結果、特定成分を配合する皮膚外用剤と特定成分を配合する経口用組成物とを併用することにより、驚くべきことに顔面のしわが効果的に改善されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
本発明は、主に目尻や額や眉間や口元等の顔面のしわを改善するために使用されるしわ改善用美容セット並びにこれを使用する美容方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
すなわち、本発明は、下記(A)と(B)とを有することを特徴とするしわ改善用美容セットを提供するものである。
(A)ポリビニルアルコールと、固形〜半固形油分と、ビタミンA又はその誘導体と、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドとを配合したことを特徴とする皮膚外用剤
(B)ケイヒ抽出物と、ビタミンCと、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物とを配合したことを特徴とする経口用組成物
【0013】
また、本発明は、前記皮膚外用剤が、皮膚外用剤全量に対して、ポリビニルアルコール0.4〜1.0質量%、固形〜半固形油分1.5〜10質量%、ビタミンA又はその誘導体0.01〜0.17質量%、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド0.00125〜0.01質量%を配合した乳化組成物であることを特徴とする上記のしわ改善用美容セットを提供するものである。
【0014】
さらに、本発明は、前記しわ改善用美容セットを使用する美容方法であって、下記ステップ1〜2を有することを特徴とする、しわを改善するための美容方法を提供するものである。
ステップ1:少なくとも1日1回、下記(B)経口用組成物を摂取するステップ
ステップ2:ステップ1の後、しわを改善したい顔面部に下記(A)皮膚外用剤を塗布するステップ
(A)ポリビニルアルコールと、固形〜半固形油分と、ビタミンA又はその誘導体と、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドとを配合したことを特徴とする皮膚外用剤
(B)ケイヒ抽出物と、ビタミンCと、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物とを配合したことを特徴とする経口用組成物
【発明の効果】
【0015】
本発明のしわ改善用美容セット並びにこれを使用する美容方法によって、顔面のしわを改善することが可能となる。そして、顔面のしわを改善することにより、顔面を若々しく、美しく見せることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の美容方法を行った場合の試験結果、すなわち目尻のしわの改善度の視感判定を示すグラフである。実線は本発明のB群(皮膚外用剤と経口用組成物の併用)を示し、点線はA群(皮膚外用剤のみの使用)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<(A)皮膚外用剤>
「ポリビニルアルコール」
皮膚外用剤に配合するポリビニルアルコールは皮膜形成剤であり、皮膜形成能があればその分子量は限定されない。所謂化粧品グレードの通常皮膜形成剤として使用されるポリビニルアルコールを配合すれば良い。
皮膚外用剤への配合量は適宜決定されるが、皮膚外用剤全量に対して0.5〜1.0質量%が好ましい。
【0018】
「固形〜半固形油分」
皮膚外用剤に配合する固形〜半固形油分は特に限定されないが、ワックスが好ましい。例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ホホバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル、セレシン、マイクロクリスタリンワックスが挙げられる。
また、固形〜半固形油分として、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、バチルアルコール等の常温で固体の高級アルコール類;ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸等の常温で固体の高級脂肪酸類;カカオ脂、硬化ヒマシ油、硬化油、水添パーム油、パーム油、硬化ヤシ油、ワセリン、各種の水添加動植物油脂、脂肪酸モノカルボン酸ラノリンアルコールエステル等が、挙げられる。
使用性の点から、マイクロクリスタリンワックスやポリエチレンワックスのワックス類や、ワセリン等の固形若しくは半固形の炭化水素油を用いることが特に好ましい。
皮膚外用剤への配合量は適宜決定されるが、皮膚外用剤全量に対して1.5〜10質量%が好ましい。
【0019】
「ビタミンA又はその誘導体」
皮膚外用剤に配合されるビタミンA又はその誘導体は脂溶性ビタミンであり、ビタミンA(レチノール)、ビタミンAアルデヒド(レチナール)、レチノイン酸、ビタミンAアセテート、ビタミンAパルミテートが好ましい。
皮膚外用剤の配合量は適宜決定されるが、皮膚外用剤全量に対して0.01〜0.17質量%が好ましい。
【0020】
「ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド」
皮膚外用剤に配合するジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドは、N-(4-amino-1-(benzylamino)-1-oxobutan-2-yl)-1-(3-aminopropanoyl)pyrrolidine-2-carboxamideであり、下記の構造式を有する公知の化合物である。

【化1】


市販品としては、SYN-AKE(DSM ニュートリション ジャパン株式会社)中の構成成分として挙げられる。
なお、N-(4-amino-1-(benzylamino)-1-oxobutan-2-yl)-1-(3-aminopropanoyl)pyrrolidine-2-carboxamideについては、しわに対する局所外溶剤としての利用が特表2008−518978号公報に記載されている。
皮膚外用剤の配合量は適宜決定されるが、皮膚外用剤全量に対して0.00125〜0.01質量%が好ましい。
【0021】
本発明に用いる(A)皮膚外用剤には、上記した必須構成成分の他に通常化粧品に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤型に応じて常法により製造することが出来る。
【0022】
本発明の皮膚外用剤の剤型は特に限定されないが、脂溶性のビタミンA又はその誘導体を安定に配合する目的から、水中油型乳化組成物又は油中水型乳化組成物等の乳化組成物であることが好ましい。さらには、使用感触の点から、乳液乃至クリーム状の水中油型乳化組成物が最も好ましい。
【0023】
<(B)経口用組成物>
「ケイヒ抽出物」
経口用組成物に配合するケイヒ抽出物とは、ケイヒを水又は有機溶剤で常法により抽出した成分である。ケイヒは、クスノキ科植物クスノキ(Cinnamomum)属に属するケイ(Cinnamomum cassia)の樹皮から調製される。また使用部位として限定されるものではなく、ケイの枝から調製されるケイシ抽出物を用いてもよい。ケイヒは漢方薬の重要な構成成分の一つで、他の生薬と配合して腱胃、発汗、解熱、鎮痛の作用が知られている。ケイヒ抽出物は栄養補給賦活効果があると言われており、食品配合成分としては公知の物質である。
本発明で使用するケイヒ抽出物は、常法により得ることができ、例えばその起源となる植物を抽出溶媒とともに常温又は加熱して浸漬または加熱還流した後、ろ過し濃縮して得ることができる。抽出溶媒としては通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば水性溶媒、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、あるいは有機溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、含水アルコール類、クロロホルム、ジクロロエタン、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等をそれぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。好ましくは溶媒として水もしくは30%エタノール抽出物が使用される。上記溶媒で抽出して得られた抽出物をそのまま、あるいは例えば凍結乾燥などにより濃縮したエキスを使用でき、また必要であれば吸着法、例えばイオン交換樹脂を用いて不純物を除去したものや、ポーラスポリマー(例えばアンバーライトXAD2)のカラムにて吸着させた後、所望の溶媒で溶出し、さらに濃縮したものを使用することができる。本発明では市販品のケイヒ抽出液(ケイヒエキスパウダーV 日本粉末薬品株式会社)を使用できる。
本発明においては、経口用組成物の味と本発明の効果を考慮すると、1日1回分の経口用組成物中に原生薬換算分として50〜200mgを配合することが好ましい。
【0024】
「ビタミンC」
経口用組成物に配合されるビタミンCは水溶性ビタミンとして周知のL−アスコルビン酸である。ビタミンCは肌細胞賦活効果や抗酸化作用を有する。
経口用組成物により1日1回摂取するビタミンCの摂取量は、100〜150mgが好ましい。本発明においては、経口用組成物の味と本発明の効果を考慮すると、1日1回分の経口用組成物中に100〜150mgを配合することが好ましい。
【0025】
「スターフルーツ葉抽出物」
本発明で使用するスターフルーツ葉抽出物は、スターフルーツの葉を水又は有機溶剤で常法により抽出した成分である。スターフルーツ(和名:ゴレンシ)は熱帯アジアに分布するカタバミ科の常緑植物である。スターフルーツ(Averrhoa carambola)の葉は、インドネシアのバリ島において、伝統料理の「ラワール」の食材として利用されている。また、スターフルーツの葉の抽出物は少量の使用で皮膚繊維芽細胞の増殖性を高めると同時に、さらにコラーゲン産生促進作用を有している。
本発明では市販品のスターフルーツ葉エキスパウダーMF(丸善製薬株式会社)を使用できる。
経口用組成物により1日1回摂取するスターフルーツ葉抽出物の摂取量は、原生薬換算分として100〜150mgが好ましい。本発明においては、経口用組成物の味と本発明の効果を考慮すると、1日1回分の経口用組成物中に原生薬換算分として100〜150mgを配合することが好ましい。
【0026】
「パフィア抽出物」
本発明で使用するパフィア抽出物は、パフィアを水又は有機溶剤で常法により抽出した成分である。
パフィア(Pfaffia paniculata)は、南米に自生するヒユ科の植物でブラジル人参とも呼ばれ、約300年以上前からブラジル原住民のインディオたちが万能の薬「パラトウド(paratudo)」として、パフィアの根を滋養や強壮の目的で広く用いられてきた素材である。日本には、20年前より輸入され健康食品原料として流通している。
パフィア抽出物はコラーゲン産生促進作用を有している。
本発明では市販品のパフィアエキスパウダー(松浦薬業株式会社)を使用できる。
経口用組成物により1日1回摂取するパフィア抽出物の摂取量は、原生薬換算分として100〜150mgが好ましい。本発明においては、経口用組成物の味と本発明の効果を考慮すると、1日1回分の経口用組成物中に原生薬換算分として100〜150mgを配合することが好ましい。
【0027】
本発明で使用する経口用組成物には、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物が配合される。スターフルーツ葉抽出物及びパフィア抽出物の両者を配合することが好ましい。
【0028】
「経口用組成物の実施形態」
本発明に使用する経口用組成物の形態は特に限定されない。例えば、錠剤、顆粒剤、液剤、ソフトカプセル剤、丸剤、粉末剤、キャンディー、ドロップ、トローチ、ガム、粉末ジュース、ドリンク剤、加工食品等の種々の形態で、上記必須成分を配合し常法により製造することが可能である。上記必須成分の他に、香料、油分、甘味料など、通常経口用組成物に配合可能な他の食品成分を適宜配合することが可能である。
本発明の経口用組成物は継続的な摂取遵守が特に重要となるので、飲みやすさの観点からは錠剤、顆粒剤、液剤、ソフトカプセル剤、丸剤、粉末剤等が好ましい。
本発明においては、常法によりゼラチンのソフトカプセル剤とすることが好ましい。ソフトカプセル1錠あたりに内包される上記必須成分と他の成分との合計量は適宜決定されるが、合計量で500mg程度が好ましい。この場合、1日に摂取するソフトカプセルは3錠程度が好ましく、これを1日1回3錠を、少なくとも4〜6週間に亘り継続的に摂取することが好ましい。
【0029】
本発明は上記(A)に示す皮膚外用剤と(B)に示す経口用組成物とを有することを特徴とするしわ改善用美容セットであり、同時に販売することにより本発明の美容セットが提供される。
【0030】
<美容方法>
本発明の美容方法は、上述したしわ改善用美容セットを使用して下記ステップ1及び2が実施される。
【0031】
「ステップ1」
少なくとも1日1回、下記(B)経口用組成物を摂取するステップ
(B)ケイヒ抽出物と、ビタミンCと、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物とを配合したことを特徴とする経口用組成物
「ステップ2」
ステップ1の後、しわを改善したい顔面部に下記(A)皮膚外用剤を塗布するステップ
(A)ポリビニルアルコールと、固形〜半固形油分と、ビタミンA又はその誘導体と、ジ酢酸ジペプチドのブチロイルベンジルアミドとを配合したことを特徴とする皮膚外用剤
【0032】
ステップ1の後、引き続いて(ステップ1の終了後、即ち経口用組成物の摂取後60分以内が好ましい)、上記(A)皮膚外用剤を塗布する。すなわち、(B)経口用組成物を摂取した後に、指先に適量(例えば、0.2g程度)の(A)皮膚外用剤をとり、目尻、眉間、額、口の周りのしわの気になる部分(即ちしわを改善したい顔面部分)に塗布することが好ましい。
【0033】
上述した本発明の美容方法を継続して行うことにより、目尻、眉間、額、口の周りのしわの気になる部分のしわ改善効果が期待される。本発明の美容方法は少なくとも6週間以上継続することが好ましい。
【実施例】
【0034】
以下実施例によって本発明をさらに具体的に説明する。本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。実施例における配合量は特に断りのない限り質量%で示す。
【0035】
(A)皮膚外用剤
常法により、下記処方の皮膚外用剤(水中油型乳化組成物)を得た。
<クリーム状美容液)>
(配合成分) (質量%)
グリセリン 10.0
1,3−ブチレングリコール 10.0
キサンタンガム 0.1
ポリビニルアルコール 0.5
トリステアリン酸ソルビタン 1.0
ポリオキシエチレンベヘニルアルコール 0.5
ステアリン酸グリセリル 0.5
モノステアリン酸ポリエチレングリコール(40E.O.) 1.0
ステアリルアルコール 1.0
ベヘニルアルコール 3.0
テトラ2−エチルヘキサン酸ペンタエリスリット 15.0
メチルポリシロキサン 2.0
流動パラフィン 3.0
トリイソステアリン酸グリセリル 1.0
マイクロクリスタリンワックス 2.0
ミリスチン酸ミリスチル 2.0
アルキル架橋ポリジメチルシロキサン 5.0
ビタミンAアセテート 0.15
N-(4-amino-1-(benzylamino)-1-oxobutan-2-yl)-1-(3-aminopropanoyl)pyrrolidine-2-carboxamide *1 0.0025
キレート剤 0.05
酸化防止剤 0.05
防腐剤 0.5
香料 0.05
イオン交換水 残 量

*1:SYN-AKE(DSM ニュートリション ジャパン株式会社)
【0036】
(B)経口用組成物
下記処方の経口用組成物を内包するソフトカプセルを常法により得た。ソフトカプセルは、ゼラチン100mg、グリセリン150mg、デンプン30mg、エリスリトール25mを主成分とし、蒸留水で調整したゼラチンカプセルである。
<カプセル中味成分(カプセル1錠 450mg)>
(配合成分) (mg)
ケイヒ抽出物(原生薬換算) *2 16.7
スターフルーツ葉抽出物(原生薬換算) *3 33.4
パフィア抽出物(原生薬換算) *4 33.4
ビタミンC 33.4
甘味料(ステビア、スクラロース、ソーマチン、エリスルトール、アステルパーム)
55.0
オリーブ油 237.0
グリセリン脂肪酸エステル 33.5
香料 23.0

*2:ケイヒエキスパウダーV(日本粉末薬品株式会社)
*3:スターフルーツ葉エキスパウダーMF(丸善製薬株式会社)
*4:パフィアエキスパウダー(松浦薬業株式会社)
【0037】
試験方法
<しわの視感判定基準>
しわグレード標準写真(しわグレード0〜7の8段階)(日本香粧品学会 化粧品機能評価法ガイドライン)を用いた視感評価を実施し、1/4値のスコア(例:3.25、3.5など)でスコア付けをした。しわ判定は皮膚科専門医が実施した。
「スコア:判定基準」
グレード0:しわは無い
グレード1:不明瞭な浅いしわが僅かに認められる
グレード2:明瞭な浅いしわが僅かに認められる
グレード3:明瞭な浅いしわが認められる
グレード4:明瞭な浅いしわの中に、やや深いしわが僅かに認められる
グレード5:やや深いしわが認められる
グレード6:明瞭な深いしわが認められる
グレード7:著しく深いしわが認められる
<被験者>
目尻のしわが、しわグレード標準写真を用いた視感判定で4〜5に該当する44〜55才の健常人女性パネル58名を用い、無作為に2群、すなわち皮膚外用剤単独使用群(A群)と、経口用組成物及び皮膚外用剤の両者の併用群(B群:本発明の美容方法に該当する)に群分けした(各n=29)。皮膚外用剤単独使用群は皮膚外用剤のみを6週間使用した。また、経口用組成物及び皮膚外用剤の両者の併用群は経口用組成物及び皮膚外用剤を6週間併用した。
<使用方法>
経口用組成物は1日1回夕食後3カプセルを経口摂取した。皮膚外用剤の美容クリームは(1回分の使用量がパウチパックに充填された乳化クリーム)、1日1回夜、指先に0.2gを取り、しわの気になる部分(両目尻、眉間、額、口の周り)に等分して肌に置き、なじませた。
<しわ改善度の評価>
試験開始日、試験開始4週後及び6週後(試験終了日)に目尻の写真撮影を行った。各時点における写真に対し皮膚科専門医がしわグレード標準写真を用いた写真判定を実施し、1/4値のスコアでスコア付けを行った。
しわ改善度は使用前後のスコアから次のようにして求めた。すなわち「しわ改善度」=「試料使用前のスコア」−「試料使用後のスコア」の式によって算出した。
なお、群間差に関しては、Mann−WhitneyのU検定を実施した。
また、皮膚外用剤単独使用群と、経口用組成物及び皮膚外用剤併用群のしわが改善した人数の群間比較は正確なWilcoxon検定で群間差を評価した。
【0038】
結果を「図1」に示す。しわ改善度の結果から、4週後以降、本発明の美容方法を行ったB群において、A群と比較して有意なしわの改善効果が認められた(Mann−WhitneyのU検定,p<0.05)。
なお、収集したサンプルに基づいて群間に違いがあるか検証するために、統計処理を行う。検定結果で示された有意確率が5%以下であれば、検定に用いたデータ項目(変数という)間に有意差があるという。有意差が出たということは、群間で何らかの原因で違いが生じたことを意味する。生物学試験を行うときは、最終的に有意差があったか否かが群間に変化があったかどうかを導き出す手法となる。図1のグラフ中のアスタリスクは危険率を表し、*は危険率0.05%以下を示している。
【0039】
一方、しわが改善した人数(スコアのグレードが改善された人数)と比率(%)を「表1」に示す。



[表1]しわの改善が認められた被験者の数
――――――――――――――――――――――――――――――――
A群 B群(本発明の実施)
――――――――――――――――――――――――――――――――
4週間後 3名(10%) 8名(28%)
――――――――――――――――――――――――――――――――
6週間後 14名(48%) 22名(76%)
――――――――――――――――――――――――――――――――

「表1」の結果より、使用開始4週後において、本発明の美容方法を実施したB群では、A群と比較して高いしわ改善傾向が認められた。さらに、使用開始6週後において、B群では、A群と比較してしわ改善効果は極めて顕著な高いしわ改善効果を示していた(正確なWilcoxon検定:p<0.05)。
なお、収集したサンプルに基づいて群間に違いがあるか検証するために、統計処理を行う。検定結果で示された有意確率が5%以下であれば、検定に用いたデータ項目(変数という)間に有意差があるという。有意差が出たということは、群間で何らかの原因で違いが生じたことを意味する。生物学試験を行うときは、最終的に有意差があったか否かが群間に変化があったかどうかを導き出す手法となる。
【産業上の利用可能性】
【0040】
本発明は、皮膚外用剤及び経口用組成物からなるしわ改善用美容セットである。本発明の美容セットを使用する美容方法によって、顔面のしわを改善し、顔面を若々しく、そして美しく見せることが出来る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記(A)と(B)とを有することを特徴とするしわ改善用美容セット。
(A)ポリビニルアルコールと、固形〜半固形油分と、ビタミンA又はその誘導体と、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドとを配合したことを特徴とする皮膚外用剤
(B)ケイヒ抽出物と、ビタミンCと、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物とを配合したことを特徴とする経口用組成物
【請求項2】
前記皮膚外用剤が、皮膚外用剤全量に対して、ポリビニルアルコール0.4〜1.0質量%、固形〜半固形油分1.5〜10質量%、ビタミンA又はその誘導体0.01〜0.17質量%、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミド0.00125〜0.01質量%を配合した乳化組成物であることを特徴とする請求項1記載のしわ改善用美容セット。
【請求項3】
前記しわ改善用美容セットを使用する美容方法であって、下記ステップ1〜2を有することを特徴とする、しわを改善するための美容方法。
ステップ1:少なくとも1日1回、下記(B)経口用組成物を摂取するステップ
ステップ2:ステップ1の後、しわを改善したい顔面部に下記(A)皮膚外用剤を塗布するステップ
(A)ポリビニルアルコールと、固形〜半固形油分と、ビタミンA又はその誘導体と、ジ酢酸ジペプチドジアミノブチロイルベンジルアミドとを配合したことを特徴とする皮膚外用剤
(B)ケイヒ抽出物と、ビタミンCと、スターフルーツ葉抽出物及び/又はパフィア抽出物とを配合したことを特徴とする経口用組成物

【図1】
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【公開番号】特開2011−148727(P2011−148727A)
【公開日】平成23年8月4日(2011.8.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−10855(P2010−10855)
【出願日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【特許番号】特許第4666537号(P4666537)
【特許公報発行日】平成23年4月6日(2011.4.6)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】