説明

すべり要素

基板と、前記基板上に施与された、すべり層材料からなる少なくとも1つの層とを有するすべり要素が記載されている。すべり層材料は、少なくとも1種類の架橋性バインダーもしくは少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料を含む1種類のすべりコーティング材から、または少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料もしくは少なくとも1種類の熱硬化樹脂材料からなるマトリクスを有する1種類の材料からなるものでよい。すべり層材料は、0.1〜15体積%の好ましい割合のFeを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板と、前記基板上に施与された、すべり層材料からなる少なくとも1つの層とを有するすべり要素に関する。本発明はまた、そのようなすべり要素の好ましい使用に関する。
【背景技術】
【0002】
発動機においてすべり軸受け要素として使われるすべり要素は、たいていは、すべり特性を最適化する特別に改変された表面を有する多層の材料からなっている。一般に、すべり軸受け要素の表面は、電気処理、蒸着、またはマカニカルプレーティングによって付着された、たとえば鉛、亜鉛またはアルミニウムをベースとする金属層である。
【0003】
その他、負荷容量や磨耗耐性といった特性が改変された合成樹脂基材を有する非金属すべり層が知られている。
【0004】
公知のコーティングは比較的高い負荷容量を有するものの、この負荷容量には厳しい限界があって、その負荷容量を超過した場合にはすべり機能の急速な低下に至る。したがって、それに伴って、充分なフェールセイフ特性を欠く基板材料が露出すると、侵食(Fressen)によってすべり軸受け要素が全面的機能不全を起こす。
【0005】
合成樹脂ベースのすべり軸受けコーティングは年来、機械構造物の磨滅を減少させるための補助手段として使用されている。一般に、さらなる注油なしでも長期間容易に可動でなければならない金属部分、プラスチック部分、およびゴム部分はコートされている。典型的な応用例においては、負荷はかなり低く、媒体の温度のような周囲条件は重要ではない。さまざまな特許出願、特に欧州特許出願公開第0 984 182 A1号(特許文献1)から、発動機での、すなわち、たとえば、そのようなすべり軸受け要素を有するクランク軸の軸受けでの応用も可能であることが知られている。この文献では、磨耗を少なくするために、とりわけFeを添加し得る、PI、PAI、エポキシ樹脂、または一種のフェノール樹脂からなるマトリクスを有するオーバーレイが開示されている。
【0006】
ドイツ特許出願公開第196 14 105 A1号(特許文献2)は、PTFEまたは熱可塑性フルオロポリマーからなるマトリクス材料と、Feおよび固体潤滑剤からなる、磨耗耐性およびキャビテーション耐性のあるプラスチックすべり層を開示している。この材料は、軸受け用に、たとえば、衝撃吸収体の誘導要素として使用され、その構造および軟質のフルオロポリマー・マトリクスの故に、低いすべり速度および小さい負荷にしか適しない。
【0007】
欧州特許出願公開第1 775 487 A2号(特許文献3)からは、金属担体材料と、その上に被覆したアルミニウム合金と、プラスチックすべり層とを有するすべり軸受け要素が知られている。このプラスチックすべり層の結合安定性およびキャビテーション耐性を改善するために、PI、PAI、PBI、EPおよびFPからなるバインダーと、MoS、黒鉛、PTFEおよびBNなどの固体潤滑剤とを含む材料が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0 984 182 A1号
【特許文献2】ドイツ特許出願公開第196 14 105 A1号
【特許文献3】欧州特許出願公開第1 775 487 A2号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、改善された耐磨耗性を有しつつより高いピーク負荷容量を有し、たとえば燃焼機関内部の可動部材におけるような高い運転温度およびすべり速度で使用可能である、すべり要素を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、すべり層材料が、少なくとも1種類の架橋性バインダーもしくは少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料を含むすべりコーティング材からなるか、または少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料もしくは少なくとも1種の熱硬化樹脂材料からなるマトリクスを含む材料からなり、すべり層材料がFeを含むすべり要素によって解決される。
【0011】
その際、すべり層材料が酸化鉄としてもっぱらFeを含むことが好ましい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
第1の態様によれば、すべりコーティング材が請求される。
【0013】
すべりコーティング材とは、表面の滑動性を改善するための添加剤を含み、基板の上に薄く塗布され、化学的または物理的過程(たとえば、溶媒の蒸発、または紫外線照射による硬化など)によって連続する薄い膜に形成される、液状または粉末状コーティング材料を意味する。
【0014】
すべりコーティング材の架橋性バインダーは好ましくは、PAI(ポリアミドイミド)、PI(ポリイミド)、エポキシ樹脂、PBI(ポリベンゾイミダゾール)および/またはシリコーン樹脂からなる。これらのポリマーは、高い耐熱性および優れた溶媒耐性(Medienbestaendigkeit)を特色とする。
【0015】
さらなる実施形態によれば、前記バインダーは紫外線によって硬化するバインダーでよい。この種のバインダーは好ましくは、不飽和ポリエステル樹脂および/またはシリコーンである。
【0016】
さらなる実施形態によれば、すべりコーティング材は少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料を有してもよい。
【0017】
第2の態様によれば、少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料または少なくとも1種類の熱硬化樹脂材料からなるマトリクスを含む材料が請求される。
【0018】
高融点熱可塑樹脂材料とは、融点が230℃を超えるような材料を意味する。
【0019】
好ましい高融点熱可塑樹脂として、好ましくは、ポリアリレート、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)および/またはPES(ポリエーテルスルホン)を使用することができる。
【0020】
好ましい熱硬化樹脂材料は、PAI(ポリアミドイミド)、PI(ポリイミド)、エポキシ樹脂、PBI(ポリベンゾイミダゾール)および/またはシリコーン樹脂である。
【0021】
請求される材料は、Feと組み合わせると、全く鉄酸化物を含まないまたは場合により他の鉄酸化物を含むすべり層材料よりも明らかに優れたピーク負荷容量を有することが示されている。最大で20%優れた負荷容量値が得られる。
【0022】
前記2つの態様によるバインダーまたはマトリクス材料をFeと組み合わせることによって、潤滑フィルムの有効性が改善され、これにより、特定の軸受け負荷によって生じる磨耗率の増大が低減されると推測される。それにより、負荷限界が上昇し、そのため、負荷限界を下回る負荷がかかった場合の軸受けの動作信頼性が有意に高まる。
【0023】
この作用は、Feの割合が0.1〜15体積%のときに顕在化する。それより小さな割合のときは、負荷容量の改善は認められない。逆に、それより大きな割合では、すべりコーティング材のマトリクス材料または架橋性バインダーが弱くなる。
【0024】
すべり層材料の総量に対するFeの割合は、好ましくは0.5〜8体積%である。
【0025】
クランク軸の軸受けにおけるピーク負荷容量が、すでに120MPaまで増加できることを示すことができた。これらのピーク負荷容量の値はまた、欧州特許出願公開第0 984 182 A1号(特許文献1)による材料の組み合わせで示される値を明らかに上回っている。本発明による値は、それ以外には、アルミニウムベースのスパッタ層によってしか達成されない。
【0026】
Feの粒径も重要であることが分かっている。0.01〜5μmの平均粒径を有するFeが好ましい。0.1〜0.5μmのd50を有する粉末が特に有利である。d50と示される値は、粒子サイズの中央値であり、その値より粒子の50%は小さく、粒子の50%は大きい。
【0027】
すべり層材料の固体潤滑剤の割合は、好ましくは30体積%までである。その範囲は、好ましくは9.5%以下、すなわち0〜9.5%である。特に好ましい範囲は、5体積%以上、30体積%までである。
【0028】
固体潤滑剤としては、層構造を有する金属硫化物、黒鉛、六方晶系窒化ホウ素(hBN)、および/またはPTFEが考慮の対象となる。さらに、すべり層材料は、硬質材料を5体積%以下の割合、特に3〜5体積%の割合で含んでもよい。
【0029】
硬質材料は、好ましくは窒化物、炭化物、ホウ化物、酸化物、および/または金属粉末であり、その際に硬質材料は、SiC、Si、B、立方晶系BN、TiOまたはSiO、およびAg、Pb、Au、SnBiおよび/またはCuからなる金属粉末であることが好ましい。
【0030】
特定の一実施形態は、Feを含有するすべり層からなる多層系であり、この多層系は、取込み層(Einlaufschicht)としての上層が、たとえば硬質微粒子の添加により軸をコンディショニングするように機能し、その下の層が耐久層(Lebensdauerschicht)として機能するように形成することができる。
【0031】
この多層系はまた、耐久層の下に、軸受けを特に磨耗耐性に関して最適化し、軸受け金属の完全な磨滅を遅らせることによって、軸受けの動作信頼性をさらに向上させる、追加のすべりコーティング材層を施与した構造であってもよい。
【0032】
基板とすべり層材料との間の追加層は、基板への付着に関しても最適化することができ、下塗剤のように、すべりコーティング材層、または高融点熱可塑性樹脂と熱硬化性樹脂とからなるマトリクスを有する層の結合を改善する目的をもつこともできる。これは、たとえば、マトリクス材料がほとんどまたは全く添加されていない、数マイクロメートルの厚さの層によって達成することができる。
【0033】
多層系は、複数の層からなる個別の成層体としても、厚さに関する層特性が連続的に変わる勾配層としても実現し得る。
【0034】
下層のFe含有量は、上層のFe含有量より高いことが好ましい。
【0035】
前記基板上に、Feを含むすべり層材料からなる1つの層と、Feを含まないすべり層材料からなる1つの層からなる2層を施与することが好ましい。この実施形態は、上層が急速に磨損し、最大の負荷容量が急速に回復されるので、幾何的適合が促進されるという利点を有する。この場合、さらなる磨損は下層のFe含有量によって低減される。
【0036】
多層系のさらなる実施形態は、下層のみがFeを含み、その上にある全ての層はFeを含まないようになっている。
【0037】
すべり層材料からなる層を3層以上、基板に施与する場合、最下層から最上層に向かってFeの割合が減少するのが有利である。最上層におけるFeの割合が僅かまたは全くないと、上層が急速に磨損し、最大の負荷容量が急速に回復されるので、幾何的適合が促進されるという利点がある。この場合、さらなる磨損は下層のFe含有量によって低減される。
【0038】
また、層内のFeの割合が下から上に向かって連続的に減少するようになっている。
【0039】
基板は、単一または複数の層からなっていてよい。
【0040】
基板は好ましくは、アルミニウム合金または銅合金からなる少なくとも1つの層を有する。以下の合金、すなわちNi−、Sn−、Zn−、Ag−、Au−、Bi−およびFe−合金も基板材料として適切である。全ての合金は、軸受け金属としても、薄いカバー層としても使用することができ、その際、すべり層は、組成に応じて軸材料を適合させるもしくはコンディショニングするための追加の取込み層としても、高い耐用性を有する独立のすべり層としても形成することができる。
【0041】
CuSn−、CuNiSi−、CuZn−、CuSnZn−、AlSn−、AlSi−、AlSnSi−軸受け金属合金上に、1つまたは複数のすべり層として本発明による1つまたは複数の層を使用することが特に好ましい。
【0042】
これらのすべり層は、中間層を設けてまたは中間層なしで施与することができる。中間層としては、ニッケル、銀、銅、および/または鉄とすることができる。
【0043】
多層系の場合、1つまた複数の層の厚さは1〜40μmの範囲にある。
【0044】
すべり軸受け要素は、100mm以下の軸受け胴であってよい。この場合、1つまたは複数の層の厚さは5〜15μmである。
【0045】
すべり軸受け要素が100mmを超える直径を有する軸受け胴である場合、厚さは15μm超、40μmまでであることが好ましい。
【0046】
基本的に、2つの実施形態が可能である。第1の実施形態では、本発明のすべり層は軸受け金属層上に直接施与される。第2の実施形態では、好ましくはスパッタリングまたは電着によって施与された既存の金属すべり層を備える軸受け金属からなる基板がコーティングされる。
【0047】
基板は好ましくは、1〜10μm、特に3〜8μmの粗さRを有する。Rは、DIN EN ISO 4287:1998による、平均的な表面粗さを意味する。
【0048】
粗さは、付着性を改善し、磨損したときに、最初に先端部のみが、すなわち、基板の極くわずかな表面部分が露出して、支持能力(Tragfaehigkeit)を高めるようにし、同時に大きく露出した領域の侵食感受性(Fressanfaelligkeit)が生じることはない。
【0049】
所望の粗さは、サンドブラストまたは研削などの機械的方法によるだけでなく、化学的なリン酸塩処理またはエッチングによっても形成することができる。
【0050】
好ましい使用は、流体潤滑用途である。
【0051】
このすべり要素は、燃焼機関中のすべり軸受けとして使用することが好ましい。
【0052】
このすべり要素は高いピーク負荷を特色としているので、このすべり要素を特にクランク軸のすべり軸受けとして使用することがもたらされる。さらなる好ましい使用は、このすべり要素をピストンスカート(Kolbenhemden)およびピストンリングとして使用するものであり、その際、特にリングフランク(Ringflanken)は、ピストン溝の表面(Kolbennutoberflaeche)と微細溶接(Mikroverschweissungen)されることを避けるために本発明の層構造を有する。
【0053】
以下に、いくつかの例を試験結果とともに列挙する。
【0054】
表1は、銅合金基板だけを、表2は、アルミニウム基板および二重層の例示的実施形態を含む。
【0055】
【表1】

【0056】
【表2】

【0057】
性能を評価するために、アンダーウッド(Underwood:UW)試験を実施した。この試験では、偏心重量をもつ軸が、しっかり取り付けられた連接棒(Pleuelstangen)中で回転する。連接棒中の支承は、試験対象の軸受けによって形成される。試験対象の軸受けは、1.4mmの壁厚および50mmの直径を有する。特定負荷は軸受け幅によって調整され、回転数は4000U/mである。評価基準は、100hの連続運転後におけるすべり層の疲労および磨損である。すべり表面の最大5%で層が基板にまで磨損するか、または疲労が出現する際の限界負荷は、MPaで表される。
【0058】
Feの作用を裏付けるために、表1にはRでそれぞれ標記した参照試験が挙げられる。試験によれば、Feの添加により最大20%までの負荷容量の増大が可能であることが認められる。
【0059】
アルミニウム基板の場合(例17〜22)、それぞれ基板の疲労耐性が制限因子になっているものの、この場合は、本発明のすべり層材料によって適合性が改善されているので、改善が得られる。しかしながら本発明によるすべり層材料の主目的は、合金中に軟質相がわずかな割合でしか含まれていない場合に、すべり特性を最適化することである。
【0060】
例23の二重層は、上層におけるバインダーの割合を低くし、固体潤滑剤の割合を高くすることによって適合性が増すように設計されている。
【0061】
例24は、硬質材料によってさらに研磨される球状ねずみ鋳鉄(Kugelgrauguss)などの粗悪な表面を有する軸用の層設計である。
【0062】
例25では、下層におけるFeの濃度が上昇して、磨耗耐性が高まっており、上層は好ましくは適合層として設計されている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板と、前記基板上に施与された、すべり層材料からなる少なくとも1つの層とを有するすべり要素において、
前記すべり層材料が、少なくとも1種類の架橋性バインダーもしくは少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料を有する1種類のすべりコーティング材から、または
少なくとも1種類の高融点熱可塑樹脂材料もしくは少なくとも1種類の熱硬化樹脂材料のマトリクスを有する1種類の材料からなること、および
前記すべり層材料がFeを含むことを特徴とするすべり要素。
【請求項2】
すべりコーティング材の架橋性バインダーが、PAI、PI、エポキシ樹脂、PBIおよび/またはシリコーン樹脂からなることを特徴とする、請求項1に記載のすべり要素。
【請求項3】
前記バインダーが、紫外線により硬化するバインダーであることを特徴とする、請求項1に記載のすべり要素。
【請求項4】
前記高融点熱可塑樹脂材料が、ポリアリレート、PEEK、および/またはPESからなることを特徴とする、請求項1に記載のすべり要素。
【請求項5】
前記熱硬化樹脂材料が、PAI、PI、エポキシ樹脂、PBI、および/またはシリコーン樹脂からなることを特徴とする、請求項1に記載のすべり要素。
【請求項6】
すべり層材料の総量に対するFeの割合が、0.1〜15体積%であることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項7】
すべり層材料総量に対するFeの割合が、0.5〜8体積%であることを特徴とする、請求項6に記載のすべり要素。
【請求項8】
Feが、0.01〜5μmの平均粒径を有することを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項9】
すべり層材料が、30体積%以下の割合の固体潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項10】
すべり層材料が、5体積%以上、30体積%以下の割合の固体潤滑剤を含むことを特徴とする、請求項9に記載のすべり要素。
【請求項11】
固体潤滑剤が、層構造を有する金属硫化物、黒鉛、六方晶系窒化ホウ素、および/またはPTFEであることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項12】
すべり層材料が、5体積%以下の割合の硬質材料を含むことを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項13】
すべり層材料が、3〜5体積%の割合の硬質材料を含むことを特徴とする、請求項12に記載のすべり要素。
【請求項14】
硬質材料が、窒化物、炭化物、ホウ化物、酸化物、および/または金属粉末であることを特徴とする、請求項12または13に記載のすべり要素。
【請求項15】
硬質材料が、SiC、Si、B、立方晶系BN、TiOまたはSiOであることを特徴とする、請求項14に記載のすべり要素。
【請求項16】
金属粉末が、Ag、Pb、Au、Sn、Biおよび/またはCuからなることを特徴とする、請求項14に記載のすべり要素。
【請求項17】
すべり層材料からなる2つの層が、基板上に施与されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項18】
下層中のFe含有量が上層中のFe含有量より高いことを特徴とする、請求項17に記載のすべり要素。
【請求項19】
前記基板上に、Feを含むすべり層材料の1つの層およびFeを含まないすべり層材料の1つの層からなる2層が施与されることを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項20】
下層がFeを含むことを特徴とする、請求項19に記載のすべり要素。
【請求項21】
すべり層材料からなる層が3層以上、基板上に施与されること、および、
前記Fe割合が最下層から最上層に向かって減少することを特徴とする、請求項1〜16のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項22】
層内のFe割合が下から上に向かって連続的に減少することを特徴とする、請求項1〜21のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項23】
基板が、Al−合金またはCu−合金からなる少なくとも1つの層を有することを特徴とする、請求項1〜22のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項24】
前記1つまたは複数の層の厚さが1〜40μmであることを特徴とする、請求項1〜23のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項25】
すべり軸受け要素が直径100mm以下の軸受け胴であること、および
前記1つまたは複数の層の厚さが5〜15μmであることを特徴とする、請求項24に記載のすべり要素。
【請求項26】
すべり要素が100mmを超える直径を有する軸受け胴であること、および
前記1つまたは複数の層の厚さが15μm以上、40μm以下であることを特徴とする、請求項24に記載のすべり要素。
【請求項27】
基板が従来のすべり層を含み、該すべり層上に前記すべり層材料が塗布されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項28】
すべり層が、電着またはスパッタリングされたすべり層であることを特徴とする、請求項27に記載のすべり要素。
【請求項29】
基板が軸受け金属層を含み、前記金属層上にすべり層材料が塗布されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項30】
基板が、ニッケル、銀、銅、および/または鉄からなる中間層を含み、前記中間層上にすべり層材料が塗布されることを特徴とする、請求項1〜26のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項31】
基板が、1〜10μmの粗さRを有することを特徴とする、請求項1〜30のいずれか一つに記載のすべり要素。
【請求項32】
流体潤滑用途のための、請求項1に記載のすべり要素の使用。
【請求項33】
燃焼機関中のすべり軸受けとしての、請求項1に記載のすべり要素の使用。
【請求項34】
クランク軸のすべり軸受けとしての、請求項1に記載のすべり要素の使用。
【請求項35】
ピストンリングとしての、請求項1に記載のすべり要素の使用。
【請求項36】
ピストンスカート(Kolbenhemd)としての、請求項1に記載のすべり要素の使用。

【公表番号】特表2012−514170(P2012−514170A)
【公表日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−544041(P2011−544041)
【出願日】平成21年12月28日(2009.12.28)
【国際出願番号】PCT/EP2009/067959
【国際公開番号】WO2010/076306
【国際公開日】平成22年7月8日(2010.7.8)
【出願人】(501014452)フエデラル―モーグル・ウイースバーデン・ゲゼルシヤフト・ミト・ベシユレンクテル・ハフツング (21)
【Fターム(参考)】