説明

ずり積み機のコンベア

【課題】走行車に上下方向に傾動可能に支持されて油圧シリンダーの作動により上下に傾動し、先端にテーブルを備えたコンベアと、先端にずりを前記テーブル上に掻き込むバケットを取付けて走行車に傾動かつ屈伸可能に支持されるブームを有し、コンベアにはずりの移送方向に延びる長尺のウェアプレートと、該ウェアプレートの両側に配置される無端チェーンに定間隔で連結され、該無端チェーンの循環駆動によりウェアプレート上を移動するフライトが設けられるずり積み機のコンベアにおいて、フライトとウェアプレートの間に入り込んだビリがより抜け出易くする。
【解決手段】フライト11を該フライト11が連結されるローラーチェーン7のローラーリンク10より移送方向の後方にせり出して形成し、リンク10が傾いたときのフライト11とウェアプレート6との間の隙間を大きくする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、切土時において、或いは地面、トンネル等を掘削するときにおいて生ずる土砂、地面に堆積するがれき(以下、これら土砂、がれき等を単に「ずり」という)を掻き込んでトラックやダンプカー、トロッコ等の運搬車に積み込む、ずり積み機に関し、ことに該ずり積み機に設けられるずり移送用のコンベアに関する。
【背景技術】
【0002】
ずり積み機の一つに図1に示すように、クローラタイプの走行車1に上下方向に傾動可能に支持されて油圧シリンダーの作動により傾動し、先端にテーブル2を備えたずり移送用のコンベア3と、走行車の前面に傾動かつ屈伸可能に支持されて油圧シリンダーの作動により傾動かつ屈伸し、先端にずり掻き込み用のバケット4を取付けたブーム5を有し、上記コンベア3は図2に示されるように、ずりの移送方向に延びる長尺のウェアプレート6と、該ウェアプレート6の両側に配置される無端状のローラーチェーン7と、該ローラーチェーン7に噛合する図示しないスプロケットを備え、該スプロケットを回転駆動する油圧モータ(図示しない)と、ローラーチェーン7の長手方向に一定間隔で両側のローラーチェーン7を連結するフライト8よりなり、ずりの積み込み時には、コンベア3を前下がりに傾動させてテーブル先端部を接地させ、バケット4でずりをテーブル2上に掻き込んでフライト8の移動によりウェアプレート6に沿って搬送し、コンベア後端下に待機するダンプカー等の運搬車に積み込むずり積み機が知られる(特許文献1)。
【特許文献1】特開平9−49251号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
前述のずり積み機では、コンベア3に掻き込まれたずりは、図3に示すフライト8がウェアプレート6に沿って図の矢印で示すコンベア長手方向へ移動することによりコンベア後方に押し出されるが、フライト8はずりを押出してウェアプレート上を移動中、ずりの粉粒(以下、ビリという)がウェアプレート6とフライト8との間に入り込み、噛み込むことがある。図4aは、両端の連結部81をローラーチェーン7のリンク10に取付けたフライト8が前上がりに傾いてフライト前端がビリ9に乗り上げた状態を示すもので、フライト下に入り込んだビリ9はフライト8が図の矢印方向へ移動するのに伴い、フライト8に引きずられながらフライト後方に移動し、やがて図4cに示すように後上がりに傾くフライトの後端から抜け出すが、ローラーチェーン7のリンク10は、チェーンの浮上がり防止のために上方に設置されるチェーンガイド13(図9)により浮上がりが規制されて傾きに限度があることから、リンク10と一体をなすフライト8の傾きにも限度があり、ビリの噛み込みは、フライト8が許容範囲内の限度まで傾いたときのフライト前端とウェアプレート6との間の最大隙間Δ(図4a)に相当するサイズまで可能となる。いま図4aに示すように、Δに相当するサイズのビリ9をフライト前端とウェアプレート6との間に噛み込んだとする。フライト8は前後に傾いたときの前後端とウェアプレート6との間の隙間はΔであるが、ウェアプレート6と平行状態での浮上がり量Δは、Δより小であるため、Δのサイズのビリは、そのままではフライト8とウェアプレート6との間を通り抜けできず、ビリが破損、損耗するか、或いは両者の間に支えた状態となってチェーンの切断、スプロケットの破損などによりフライト8の作動不良を来たし、ひいてはフライト8を停止させることがある。
【0004】
ウェアプレート6にはまた、その両側にフライト8よりこぼれ或いは取り残されたビリが溜り易く、溜まったビリがチェーンの移動の妨げとなることがある。
【0005】
本発明の第1の目的は、フライトとウェアプレートの間に入り込んだビリが抜け出易くしたずり積み機のコンベアを提供しようとするものであり、第2の目的は、ウェアプレート両側のビリを排出して溜りにくくし、チェーンの移動を損なうことがないようにしたずり積み機のコンベアを提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に係る発明は、第1の目的を達成するずり積み機のコンベアに関するもので、走行車に上下方向に傾動可能に支持されて油圧シリンダーの作動により上下に傾動し、先端にテーブルを備えたコンベアと、先端にずりを前記テーブル上に掻き込むバケットを取付けて走行車に傾動かつ屈伸可能に支持されるブームを有し、コンベアにはずりの移送方向に延びる長尺のウェアプレートと、該ウェアプレートの両側に配置される無端チェーンに定間隔で連結され、該無端チェーンの循環駆動によりウェアプレート上を移動するフライトが設けられるずり積み機のコンベアにおいて、前記フライトは連結される無端チェーンのリンクよりも搬送方向後方にせり出して位置することを特徴とし、
請求項2に係る発明は、第2の目的を達成するずり積み機のコンベアに関するもので、走行車に上下方向に傾動可能に支持されて油圧シリンダーの作動により上下に傾動し、先端にテーブルを備えたコンベアと、先端にずりを前記テーブル上に掻き込むバケットを取付けて走行車に傾動かつ屈伸可能に支持されるブームを有し、コンベアにはずりの移送方向に延びる長尺のウェアプレートと、該ウェアプレートの両側に配置される無端チェーンに定間隔で連結され、該無端チェーンの循環駆動によりウェアプレート上を移動するフライトが設けられるずり積み機のコンベアにおいて、前記ウェアプレートの両側にはウェアプレートの長手方向に適当間隔でビリをウェアプレート外に排出する排出口を設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に係る発明によると、フライトは該フライトが連結されるリンクより移送方向後方にせり出して位置するため、前上がりに傾斜するときには図7aに示すように、フライト後端を支点として傾斜するフライト11の前端とウェアプレート6の間の隙間δが小さくなり、ビリ12を噛みにくくする。一方後上がりに傾斜するときには、フライト11は図7cに示すように、ローラーチェーン7のリンク10に取付けられる連結部111の前端を支点として傾斜するため、フライト11の後端とウェアプレート6の間の隙間が大きくなり、ビリ12が抜け出易くなる。このためにフライト11やウェアプレート6の磨耗が低減されること、ずり移送時の摩擦が少なくなり、チェーン駆動用の動力が低減されること、チェーンの切断、スプロケットの損傷などによるフライトの作動不良や停止を回避することができること等の効果を有する。
【0008】
請求項2に係る発明によると、ウェアプレート両側のビリはチェーンの移動に伴って排出口に押出され、排出されるため、ウェアプレート両側に溜まるビリがチェーンの移動に支障をもたらすのを防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態のコンベアについて図面により説明する。図中、前述の図1〜図3に示すものと同一構造部分には同一符号を付した。
【0010】
図5は、図2に対応した本発明に係るコンベアの要部の平面図であり、図6は図5のB−B線断面を示すもので、フライト11は図2に示すフライト8よりもフライト11が連結される無端チェーンとしてのローラーチェーン7のリンク10より移送方向の後方にせり出して形成されている。
【0011】
本実施形態によると、フライト11は図7aに示すように、前上がりに傾斜するときには、ウェアプレート6に接地するフライト後端を支点として傾斜するため、フライト前端とウェアプレート6との間の隙間δは図4aに示す隙間Δより小さくなり、図6cに示すように後上がりに傾斜するときにはチェーンのリンク10に連結されるフライト11の連結部111の前端を支点として傾斜するため、フライト後端とウェアプレート6との間の隙間δは、図3cに示す隙間Δより大きくなる。因みにフライト11がウェアプレート6と平行に浮上がったときの浮上がり量δは前述のδより大きく、δより小、つまりδ>δ>δとなる。
【0012】
以上のようにフライト11は、前上がりに傾いたときのフライト前端とウェアプレート6との間の隙間δは図4aに示す隙間Δより小さく、δよりサイズの大きなビリは噛み込まないため、ビリの噛み込みが少なくなる。またフライト11が後上がりに傾いたときのフライト後端とウェアプレート6との間の隙間δは、図3cに示す隙間Δより大となる。そのため、δ以下のサイズのビリ12が噛み込んでもδ>δ>δとなって隙間が次第に大きくなるため、フライト下に入り込んだビリが抜け出易くなる。したがってフライト11やウェアプレート6の磨耗、チェーンの切断、スプロケットの刃の破損等によるフライト11の作動不良や停止、ローラーチェーン7駆動用モータの動力が軽減され、またリンクチェーンに比べチェーンの蛇行も生じにくい。
【0013】
図8は、本発明に係るコンベアの一部の側面図であり、図9は図8のC−C線断面を示すもので、コンベアは図1に示すようにウェアプレート6の両側にウェアプレート上のずりを囲う壁15を有し、ウェアプレート両側のローラーチェーン7は往側がウェアプレート上を、リターン側がウェアプレート下に配置され、壁15にはウェアプレート6の長手方向に適当間隔でウェアプレート6の上下にビリの排出口16が形成され、壁際のビリがローラーチェーン7の移動により排出口16を通してコンベア外に押出され、排出されるようにしてある。
【0014】
本実施形態では、無端チェーンとしてローラーチェーンを用いているが、リンクチェーンを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】ずり積み機の概略斜視図。
【図2】図1に示すずり積み機のコンベアの一部の平面図。
【図3】図2のA−A線断面図。
【図4】従来のフライトの作動状態を示す図。
【図5】本発明に係るコンベアの一部の平面図。
【図6】図5のB−B線断面図。
【図7】本発明に係るフライトの作動状態を示す図。
【図8】コンベアの一部の側面図。
【図9】図8のC−C線断面図。
【符号の説明】
【0016】
3・・コンベア
6・・ウェアプレート
7・・ローラーチェーン
8、11・・フライト
9、12・・ビリ
10・・リンク
13・・チェーンガイド
15・・壁
16・・排出口
81、111・・・フライトの連結部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車に上下方向に傾動可能に支持されて油圧シリンダーの作動により上下に傾動し、先端にテーブルを備えたコンベアと、先端にずりを前記テーブル上に掻き込むバケットを取付けて走行車に傾動かつ屈伸可能に支持されるブームを有し、コンベアにはずりの移送方向に延びる長尺のウェアプレートと、該ウェアプレートの両側に配置される無端チェーンに定間隔で連結され、該無端チェーンの循環駆動によりウェアプレート上を移動するフライトが設けられるずり積み機のコンベアにおいて、前記フライトは連結される無端チェーンのリンクよりも搬送方向後方にせり出して位置することを特徴とするコンベア。
【請求項2】
走行車に上下方向に傾動可能に支持されて油圧シリンダーの作動により上下に傾動し、先端にテーブルを備えたコンベアと、先端にずりを前記テーブル上に掻き込むバケットを取付けて走行車に傾動かつ屈伸可能に支持されるブームを有し、コンベアにはずりの移送方向に延びる長尺のウェアプレートと、該ウェアプレートの両側に配置される無端チェーンに定間隔で連結され、該無端チェーンの循環駆動によりウェアプレート上を移動するフライトが設けられるずり積み機のコンベアにおいて、前記ウェアプレートの両側にはウェアプレートの長手方向に適当間隔でビリをウェアプレート外に排出する排出口を設けたことを特徴とするコンベア。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−196746(P2009−196746A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−39005(P2008−39005)
【出願日】平成20年2月20日(2008.2.20)
【出願人】(000105626)コトブキ技研工業株式会社 (7)
【Fターム(参考)】