説明

そう痒状態の処置のためのMGLUR5アンタゴニストの使用

【課題】本発明は、代謝調節型グルタメート受容体(mGluR)にてアンタゴニスト活性を有する化合物の新規医薬的使用を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明は、そう痒状態の処置のための代謝調節型グルタメート受容体(mGluR5)受容体アンタゴニスト、特に式I


〔式中、R、R、R3、R4およびRの各可変基は明細書に定義したとおりの意義を有する。〕
の化合物の使用を提供することにより上記課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、代謝調節型グルタメート受容体(mGluR)にてアンタゴニスト活性を有する化合物の新規医薬的使用に関する。
【背景技術】
【0002】
グルタメートは、イオンチャネル型グルタメート受容体を介して作用する中枢神経系における主要な興奮性伝達物質である。また、それは、mGluRを介して、活性化調節経路においても主要な役割を果たす。
【0003】
アミノ酸配列相同性、アゴニスト薬理学および形質導入メカニズムとの共役(coupling)に基づいて、現在知られている8つのmGluRのサブタイプは、3つのグループに分類される。グループIの受容体(mGluR1およびmGluR5)は、ホスホイノシチドの加水分解および細胞内Ca++レベルの上昇をもたらすホスホリパーゼCの刺激に共役し、そして、いくつかの発現系においては、イオンチャネル、例えばKチャネル、Ca++チャネル、非選択的カチオンチャネルまたはNMDA受容体の調節に共役することが示されている。グループIIの受容体(mGluR2およびmGluR3)およびグループIIIの受容体(mGluR4、6、7および8)は、アデニル酸シクラーゼと負に共役し、哺乳動物において異種構造として発現した場合にcAMP形成を阻害すること、および、アフリカツメガエルの卵母細胞および小脳中の単極ブラシ細胞(unipolar brush cell)におけるGタンパク質活性化内部調節カリウムチャネルと共役すること、が示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
該mGluRは、mGluRサブタイプを区別しない化合物での研究に大きく基づいた、多くの神経学的および精神医学的障害のための、可能性のある重要な治療的標的と関係がある(概説のため、Knopfel et al., J. Med. Chem. 38, 1417−26, 1995; Conn and Pin, Annu. Rev. Pharmacol. Toxicol. 37, 205−37, 1997を参照)。特に、グループI mGluRに関して、個々の受容体サブタイプの役割の解明は、強力、全身的活性、サブタイプ選択的化合物の欠如によりかなり妨げられてきた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にしたがって、予期せぬことに、mGluR5アンタゴニスト、特に選択的mGluR5アンタゴニストが、そう痒状態の極めて効果的な処置を提供することが見出された。
【0006】
これらの知見は、ヒトおよびラットmGluR5のアンタゴニストとして高度の選択性および親和性を示す化合物(選択的mGluR5アンタゴニスト)で行われた実験に基づく。本明細書において使用される選択的mGluR5アンタゴニストは、典型的に、mGluR5においてmGluR1受容体におけるよりも約100倍高い活性、好ましくは約200倍高い活性、そして最も好ましくは約400倍高い活性を示す。
【0007】
選択的mGluR5アンタゴニストは、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態の、2−アリールアルケニル−、2−ヘテロアリールアルケニル−、2−アリールアルキニル−、2−ヘテロアリール−アルキニル−、2−アリールアゾ−および2−ヘテロアリールアゾ−ピリジン、さらに特に6−メチル−2−(フェニルアゾ)−3−ピリジノール、(E)−2−メチル−6−スチリル−ピリジンおよび式I
【化1】

〔式中、
は、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、シアノ、エチニルまたはジ(C1−4)アルキルアミノであり、
は、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル、ジ(C1−4)アルキルアミノメチル、4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル−カルボキシ、4−tert−ブチルオキシカルボニル−ピペラジン−1−イル−カルボキシ、4−(4−アジド−2−ヒドロキシベンゾイル)−ピペラジン−1−イル−カルボキシまたは4−(4−アジド−2−ヒドロキシ−3−ヨード−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル−カルボキシであり、
は、水素、(C1−4)アルキル、カルボキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル、(C1−4)アルキルカルバモイル、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノメチル、モルホリノカルボニルまたは4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル−カルボキシであり、
は、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、(C2−5)アルカノイルオキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル、アミノ(C1−4)アルコキシ、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルコキシ、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキルまたはヒドロキシ(C1−4)アルキルであり、そして
は、式
【化2】

(式中、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたは(C2−5)アルキニルであり、そして
は、水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、(C2−5)アルカノイルオキシ、(C1−4)アルコキシまたはシアノであり、そして
は、水素、ハロゲンまたは(C1−4)アルキルである。)
の基である。〕
で示される化合物を含む。
【0008】
さらに特に、該知見は、2−[2−(ピリジン−3−イル)エチニル]−6−メチル−ピリジン、2−メチル−6−(フェニルエチニル)−ピリジンおよび2−(3−フルオロ−フェニルエチニル)−6−メチルピリジンを含む化合物で行われた実験に基づく。
【0009】
式Iの化合物、それらの製造および選択的mGluR5アンタゴニストとしてのそれらの使用は、例えば、WO 99/02497において開示されている。
【0010】
選択的mGluR5アンタゴニストは、さらに、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態の、式II
【化3】

{式中、
Rは、水素または(C1−4)アルキルであり、そして
Aは、式
【化4】

〔式中、
aa、RbbおよびRccは、独立して、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、シアノまたはハロであり、
ddは、シアノまたはハロであり、
は、ヒドロキシ、(C1−4)アルキルまたは(C1−4)アルコキシであり、
は、水素または(C1−4)アルキルであり、
IIおよびRIIIは、それぞれ、水素であるか、または一体となってオキソ、=CH−CN、=N−OH、=N−O−(C1−4)アルキル、=CH−PO[(C1−4)アルキル]または=CH−CO−R[式中、Rは(C1−4)アルコキシまたは−NR(ここで、RおよびRは独立して水素、(C1−4)アルキルまたはフェニルである。)である。]を形成し、
IVおよびRは、独立して水素、(C1−4)アルキルまたはフェニルであり、そして
Xは(CH (ただし、nは0、1または2である。)、
CHR、(ただし、Rはヒドロキシ、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシカルボニル、カルバモイル、(C1−4)アルキルカルバモイル、フェニル、ピリジル、チエニルまたは(R,R)N−(C1−4)アルキルであり、ここで、Rは水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルカノイルもしくはベンゾイルであり、そして、Rは水素または(C1−4)アルキルである。)であるか、あるいは、もし、RIIおよびRIIIがそれぞれ水素であれば、
Xは、また、NR[ただし、Rは(C1−4)アルコキシ−カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、チエニル、(C1−4)アルカノイル、カルバモイル、モノ−もしくはジ(C1−4)アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル(ここで、Rにおける任意のフェニル環は、所望によりハロ、シアノ、(C1−4)アルキルもしくは(C1−4)アルコキシでモノ−またはジ置換されている。]であり得る。〕の基である。}
で示される化合物を含む。
【0011】
式IIの化合物は、式III
【化5】

の化合物を、式IV
【化6】

〔式中、RおよびAは上に記載したものであり、そしてYおよびYの一方は反応性エステル化ヒドロキシ基、例えばトリフルオロ−メチルスルホニルオキシ、またはハロゲンであり、そして他方は−C≡C−Y(ここで、Yは水素または金属基である。)である。〕
で示される化合物と反応させ、任意の官能基を一時的に保護し、そして得られた基を遊離塩基または酸付加塩の形態で回収することにより製造され得る。
【0012】
が水素である場合、該縮合は、好ましくはHeckまたはSonogashiraカップリング法にしたがって行われる。Yが金属基である場合、トリブチルスタニルが好ましくは使用される。式IIIおよびIVの出発物質は、一般に、既知である。
【0013】
本発明にしたがう抗そう痒剤としてのmGluR5アンタゴニストの活性は、ラットにおけるマグネシウム欠乏誘発皮膚病のモデルにおける例で明らかにされる。この皮膚病は、重度の広汎性そう痒に関連する一過性の紅斑性斑状丘疹状発疹(erythematous maculopapular rash)により特徴付けられる。該動物は自らをひっかきそして噛み、頭および体躯に擦り傷および損傷が起こる(Neckermann G., Bavandi A., Meingassner J.G., Br. J. Dermatol; 2000; 142: 669−679)。このモデルにしたがって、3週齢のIffa Credo(Lyon, France)から購入した雄性ヘアレスラット(Ico:OFA hr/hr)を、マグネシウムの少ない食餌(C10350, Altromin, Lage, Germany)および脱ミネラル水で維持する。発症後、5日連続で、各グループごとに5匹のラットに試験化合物を経口投与する。対照動物を同様にビヒクルのみで処置する。効力を、臨床試験および皮膚損傷の半定量的評価により評価する。紅斑性斑状丘疹状発疹の強度および程度を0(表れず)から4(もっとも重度の変化、体躯全体にわたって)で採点する。そう痒の強度を、0(表れず)、1(ほとんど損傷なし)または3(多くの損傷)を用いて、頭、肩、側腹部/横腹および背尾部の採点をすると、各動物ごとに、合計の最大の点数が12となる。動物は、処置の開始後の7日間、毎日試験する。
【0014】
本モデルにおいて、mGluR5アンタゴニストは約1〜約100mg/kg/日の1日投与量でそう痒の兆候を阻害することが見出される。例えば、2−[2−(ピリジン−3−イル)エチニル]−6−メチル−ピリジンの6mg/kg/日の経口的処置により、炎症性皮膚発赤(reddening)および湿潤は阻害されないが、そう痒の兆候は阻害される。
【0015】
さらに、抗そう痒剤としてのmGluR5アンタゴニストの活性は、そう痒剤であるCompound 48/80(Sigma, Catalog No. C 2313)の注射によってマウスにおいて誘発されたかゆみのモデルで証明される。マウスの皮膚に適用された当該そう痒剤は、注入部位でひっかき行動を誘発する[Kuraishi et al., European Journal of Pharmacology 275: 229−233 (1995)]。
【0016】
実験を、成体雌性または雄性C57BL/6マウス(25〜30g)で実施する。個々のマウスに、背首部(dorsal neck region)への上述のそう痒剤の皮下注射の30分前に、経口で試験化合物(対照の動物にはビヒクルのみ)を投与し、次いで、透明なPerspexボックス中に置く。注射後の30分間、最大3匹のマウスが実験者により厳重かつ連続的に観察される。「ひっかき事象(scratching episode)」とは、後肢を使って注射部位に焦点を当てたひっかきとして定義され、そしてなめることを含みそしてすべての体の領域にわたって全身的に指向される毛づくろい行動と区別される。かゆみ行動(itch behaviour)の持続時間を、3つのストップウォッチ(stop−clock)と接続したキーボードを使用することにより記録する。
【0017】
本モデルにおいて、mGluR5アンタゴニストは、約1〜100mg/kgの投与量で、そう痒剤により誘発されたひっかき事象の回数および持続時間を減少させることが見出される。例えば、2−メチル−6−フェニルエチニル−ピリジンは、30μg/10μlのそう痒剤の皮下注射により誘発されるひっかき事象の持続時間を、それぞれ、その後の3〜30mg/kgおよび10〜100mg/kgの経口投与により、有意に減少させる。
【0018】
これらの結果は、mGluR5アンタゴニストがそう痒状態の処置において有用であることを示している。
【0019】
上記にしたがって、本発明は、
a)そう痒状態の処置のためのmGluR5アンタゴニストの使用;
b)そう痒状態の処置のための医薬組成物の製造におけるmGluR5アンタゴニストの使用;
c)そう痒状態の処置における使用のための、活性成分としてmGluR5アンタゴニストを含む医薬組成物;
d)そう痒状態の処置方法であって、このような処置を必要とする対象において、治療上有効量のmGluR5アンタゴニストを該対象に投与することを含む方法、
を提供する。
【0020】
本発明にしたがう新規使用に関して、適用される投与量は、もちろん、例えば使用される化合物、宿主、投与様式ならびに処置されるべき症状の性質および重症度に依存して変動する。しかしながら、一般に、動物における満足な結果が、約0.1〜約100mg/kg(体重)の1日投与量で得られることが示されている。比較的大きい哺乳動物、例えばヒトにおいて、適用される1日投与量は、例えば1日5回までの分割投与で簡便には投与される本発明にしたがう使用のための、約5〜約1000mgの化合物の範囲である。
【0021】
mGluR5アンタゴニストは、例えば錠剤またはカプセル剤の形態で経口的に、または例えば静脈内、腹膜内、筋肉内、皮下、経鼻または皮内注入により非経腸的に、ならびに皮膚上への適用(例えばクリーム剤、軟膏剤、ゲル剤または溶液剤で)により、または皮内への適用(例えば、皮膚上のパッチ中の脂溶性担体で)、または胃腸送達(例えばカプセル剤または錠剤で)により、送達され得る。投与形態(inocula)のための好適な治療用組成物および投与量は、臨床適用に応じて変動する。該投与形態は、典型的に、乾燥したmGluR5アンタゴニスト製剤(例えば、凍結乾燥粉末)から、水、生理食塩水またはリン酸緩衝性生理食塩水のような生理学的に許容される希釈剤中で該製剤を懸濁させることにより調製される。
【0022】
活性成分としてmGluR5アンタゴニストを含む医薬組成物は、単回投与または複数回投与のどちらかで、単独または薬学的に許容される担体と組み合わせて投与される。適当な医薬担体には、不活性固体希釈剤または充填剤、滅菌水性溶液、およびさまざまな非毒性有機溶媒が含まれる。次いで、mGluR5アンタゴニストを薬学的に許容される担体と組み合わせることにより形成された医薬組成物は、錠剤、ロゼンジ剤、シロップ剤、注射可能な溶液などのような種々の投与形態で容易に投与される。これらの医薬担体は、所望により、香料、結合剤、賦形剤などのような追加的な成分を含み得る。
【0023】
したがって、経口投与の目的で、クエン酸ナトリウム、炭酸カルシウムおよびリン酸カルシウムのような種々の賦形剤を含む錠剤が、ポリビニルピロリドン、スクロース、ゼラチンおよびアラビアゴムのような結合剤とともに、デンプン、好ましくはジャガイモまたはタピオカデンプン、アルギン酸、およびある種の複合シリカ(complex silicate)のような崩壊剤と使用される。さらに、ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウムおよびタルクのような滑沢剤は、しばしば、錠剤化の目的のために有用である。類似の種類の固体組成物は、また、塩および硬ゼラチンカプセル中の充填剤として使用され得る。この目的のために好ましい材料には、ラクトースすなわち乳糖および高分子量のポリエチレングリコールが含まれる。水性懸濁液のエリキシル剤が経口投与のために望まれる場合には、活性mGluR5アンタゴニストは、水、エタノール、プロピレングリコール、グリセリンおよびそれらの組み合わせのような希釈剤とともに、さまざまな甘味剤または矯味剤、着色剤、および所望により乳化剤または懸濁化剤と組み合わせられる。
【0024】
非経腸投与のために、ゴマまたはピーナッツ油中または水性プロピレングリコール中のmGluR5アンタゴニストの溶液、ならびに対応する水溶性の薬学的に許容される金属塩の、滅菌水性生理食塩水が、使用される。このような水性溶液は、必要ならば適当に緩衝化され、そして液体希釈剤は、最初に、十分量の生理食塩水またはグルコースで等張化されなければならない。これら特定の水性溶液は、とりわけ静脈内、筋肉内、皮下および腹膜内注射に適している。使用される滅菌水性媒体は、すべて、当業者に周知の標準的技術により容易に入手可能である。さらに、手近な目的に適した適当な溶液を用いて前述の化合物を局所的に(例えば、装着されたカテーテルを経由して)投与することが可能である。
【0025】
本発明のさらなる実施態様により、治療的使用のための指導を書いた添付文書(package insert)、パッケージ材および医薬組成物を含む1またはそれ以上のmGluR5アンタゴニストの製剤を含む製品(article of manufacture)が提供される。使用のための指導は、通常、疼痛および/または不安要素を有する1またはそれ以上の機能不全の症候を改善するためにmGluR5アンタゴニストを投与することに関係する。製品は、通常、該化合物、または組成物および該対象の機能不全に関連する1またはそれ以上の症候を改善するためのその使用を示すラベルも含む。
【0026】
本発明にしたがうそう痒状態の処置方法は、そう痒状態構成要素を有する機能不全の1またはそれ以上の症候を処置または予防する目的で、それを必要とする対象に、mGluR5アンタゴニストの医薬製剤を送達する方法を意味することを意図する。該方法は、i)該機能不全が診断される前に(例えば機能不全の進行を予防する目的で送達される予防的プロトコール)、ならびにii)機能不全が診断された後に(例えば治療的プロトコール)、該製剤を患者に送達することを含む。
【0027】
そう痒状態を処置するための該方法にしたがって、mGluR5アンタゴニストは、任意の医薬形態または組成物の構造に導入される。それは、単独の医薬として、または他の医薬製剤と組み合わせて使用される。mGluR5アンタゴニストの薬物動態(pharmacokinetics)および薬物強度(pharmacodynamics)は異なる患者において変動するので、組織における治療的濃度を達成する最も好ましい方法は、投与量を徐々に増やし、そして臨床効果をモニターすることである。このような漸増的治療法のための最初の投与量は、投与経路に依存する。
【0028】
経皮および皮内投与は、好適な投与経路である。経皮投与に関して、mGluR5アンタゴニストは、任意の通常の液体または固体経皮医薬組成物で、例えばRemington’s Pharmaceutical Sciences 16th Edition Mack; Sucker, Fuchs and Spieser, Pharmazeutische Technologie 1st Edition, Springer および GB 2098865 AまたはDOS 3212053において記載されたように投与され得る。これらの内容を引用により本明細書中に包含させる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
そう痒状態の処置のためのmGluR5アンタゴニストの使用。
【請求項2】
mGluR5アンタゴニストが、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態の、式I
【化1】

〔式中、
は、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、シアノ、エチニルまたはジ(C1−4)アルキルアミノであり、
は、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル、ジ(C1−4)アルキルアミノメチル、4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル−カルボキシ、4−tert−ブチルオキシカルボニル−ピペラジン−1−イル−カルボキシ、4−(4−アジド−2−ヒドロキシベンゾイル)−ピペラジン−1−イル−カルボキシまたは4−(4−アジド−2−ヒドロキシ−3−ヨード−ベンゾイル)−ピペラジン−1−イル−カルボキシであり、
は、水素、(C1−4)アルキル、カルボキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル、(C1−4)アルキルカルバモイル、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、ジ(C1−4)アルキルアミノメチル、モルホリノカルボニルまたは4−(4−フルオロ−ベンゾイル)−ピペリジン−1−イル−カルボキシであり、
は、水素、ヒドロキシ、カルボキシ、(C2−5)アルカノイルオキシ、(C1−4)アルコキシカルボニル、アミノ(C1−4)アルコキシ、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルコキシ、ジ(C1−4)アルキルアミノ(C1−4)アルキルまたはヒドロキシ(C1−4)アルキルであり、そして
は、式
【化2】

(式中、
およびRは、独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシまたは(C2−5)アルキニルであり、そして
は水素、フッ素、塩素、臭素、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、(C2−5)アルカノイルオキシ、(C1−4)アルコキシまたはシアノであり、そして
は水素、ハロゲンまたは(C1−4)アルキルである。)
の基である。〕
で示される化合物である、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
mGluR5アンタゴニストが、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態の、式II
【化3】

{式中、
Rは、水素または(C1−4)アルキルであり、そして
Aは、式
【化4】

〔式中、
aa、RbbおよびRccは、独立して、水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ヒドロキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、シアノまたはハロであり、
ddは、シアノまたはハロであり、
は、ヒドロキシ、(C1−4)アルキルまたは(C1−4)アルコキシであり、
は、水素または(C1−4)アルキルであり、
IIおよびRIIIは、それぞれ、水素であるか、または一体となってオキソ、=CH−CN、=N−OH、=N−O−(C1−4)アルキル、=CH−PO[(C1−4)アルキル]または=CH−CO−R[式中、Rは(C1−4)アルコキシまたは−NR(ここで、RおよびRは独立して水素、(C1−4)アルキルまたはフェニルである。)である。]を形成し、
IVおよびRは、独立して水素、(C1−4)アルキルまたはフェニルであり、そして
Xは(CH (ただし、nは0、1または2である。)、
CHR、(ただし、Rはヒドロキシ、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ、ヒドロキシ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシ(C1−4)アルキル、(C1−4)アルコキシカルボニル、カルバモイル、(C1−4)アルキルカルバモイル、フェニル、ピリジル、チエニルまたは(R,R)N−(C1−4)アルキルであり、ここで、Rは水素、(C1−4)アルキル、(C1−4)アルカノイルもしくはベンゾイルであり、そして、Rは水素または(C1−4)アルキルである。)であるか、あるいは、もし、RIIおよびRIIIがそれぞれ水素であれば、
Xは、また、NR[ただし、Rは(C1−4)アルコキシ−カルボニル、ベンジルオキシカルボニル、ベンゾイル、チエニル、(C1−4)アルカノイル、カルバモイル、モノ−もしくはジ(C1−4)アルキルカルバモイルまたはフェニルカルバモイル(ここで、Rにおける任意のフェニル環は、所望によりハロ、シアノ、(C1−4)アルキルもしくは(C1−4)アルコキシでモノ−またはジ置換されている。]であり得る。〕の基である。}
で示される化合物である、請求項1に記載の使用。
【請求項4】
mGluR5アンタゴニストが、遊離の形態または薬学的に許容される塩の形態の、2−[2−(ピリジン−3−イル)エチニル]−6−メチル−ピリジンである、請求項1に記載の使用。
【請求項5】
そう痒状態の処置における使用のための医薬組成物の製造におけるmGluR5アンタゴニストの使用。
【請求項6】
そう痒状態の処置における使用のための、活性成分としてmGluR5アンタゴニストを含む医薬組成物。
【請求項7】
そう痒状態の処置方法であって、該処置を必要とする対象において、治療上有効量のmGluR5アンタゴニストを該対象に投与することを含む方法。

【公開番号】特開2012−131829(P2012−131829A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−84772(P2012−84772)
【出願日】平成24年4月3日(2012.4.3)
【分割の表示】特願2002−562330(P2002−562330)の分割
【原出願日】平成14年2月6日(2002.2.6)
【出願人】(504389991)ノバルティス アーゲー (806)
【Fターム(参考)】