説明

たくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置

【課題】巻取りドラムから引き出した昇降用コードをカーテン布の背面に沿わせる配置とすることができ、かつ、昇降用コードの移動をドラムの軸方向に誘導することができるたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置を提供する。
【解決手段】ドラム式たくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置11であり、巻取りドラム8を回転可能に支持するドラムホルダー12の巻取りドラム8に対してカーテン昇降用コード5が引き出される下部の位置に、巻取りドラム8から引き出されたカーテン昇降用コード5の引き出し位置を規定する誘導部23を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、ドラム式たくし上げカーテンのカーテン布を昇降させるため、下端をカーテン布の下部と連結したカーテンの昇降用コードを、巻き取ったり繰り出すために用いるたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置に関する。
【背景技術】
【0002】
図6に示すように、たくし上げカーテンは、建物側に固定するヘッドレール1にカーテン布2の上端部を固定し、このカーテン布2の幅方向両側等の複数箇所の位置にテープ3を上下方向に沿って縫着し、各テープ3に上下一定の間隔で合成樹脂や金属製のリング環4を取付け、各テープ3ごとに、上下に並ぶ前記リング環4にカーテン昇降用コード5をそれぞれ通し、各コード5は下端に接続したコードキャッチ6を介してカーテン布2の下部に連結するようにしている。
【0003】
ドラム式のたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置は、ヘッドレール1内に収納した回転軸7の各カーテン昇降用コード5と対応する位置に巻取りドラム8を回転軸7と一体に回転するよう設け、ヘッドレール1の端部に取付けた滑車9とこれに巻架して任意の位置で係止できるリング状のチエン10を用い、チエン10の操作で回転軸7を回動させてドラム8によるカーテン昇降用コード5の巻取り又は繰り出しにより、カーテン布2を上下動させるようになっている。
【0004】
従来、ドラム式たくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置は、図5(b)のように、カーテン昇降用コード5を巻取りドラム8の外周から単に下方に引き出すだけの構造になっている。
【0005】
カーテン布2の昇降を操作するとき、滑車9から垂れ下がるリング状のチエン10は、室内側に位置する垂れ下がり部分を操作するのが普通であるため、この室内側に位置する垂れ下がり部分の昇降操作の方向とカーテン布2の昇降が一致するようにする必要があり、このため、ヘッドレール1に吊り下げたカーテン布2に対して室外側に臨む位置関係にある巻取りドラム8の場合、昇降用コード5は、巻取りドラム8の室外側に臨む外周から引き出す必要があり、この位置から引き出された昇降用コード5は、カーテン布2の背面で最上部に取付けたリング環4に通してカーテン布2の背面に沿わせることになる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記のような従来の昇降用コード巻取り装置は、巻取りドラム8からの昇降用コード5の引き出し位置がカーテン布2から離れた位置関係になり、このため、昇降用コード5は巻取りドラム8とカーテン布2の間で角度をもち、カーテン布2を少しでも吊り上げると、図5(b)のように、カーテン布2の上部が巻取りドラム8に向けて引かれることになり、特に薄手や軽量のカーテン布2の場合、上部が室外側に屈曲することになり、カーテン布2の吊り下げ状態が見た目に不体裁になるという問題がある。
【0007】
また、ドラム式たくし上げカーテンにおいては、カーテン布2を最上部にたくし上げたときに、昇降用コード5の略全長を巻取りドラム8に巻き取らなければならず、このため、ドラム8の巻胴を軸方向に長くして、昇降用コード5の略全長を並列する螺旋状の密巻きにするようになっており、このような螺旋の密巻きを得るには、昇降用コード5の巻上げ時や繰り出し時に、昇降用コード5が螺旋巻きによる送り作用で巻取りドラム8の軸方向に移動することになるが、昇降用コード5を巻取りドラム8の外周から単に下方に引き出すだけの構造では、昇降用コード5の移動を巻取りドラム8の軸方向に誘導することができず、このために、昇降用コード5に位置ずれが生じ、巻上げ時に巻取りドラム8の一箇所に昇降用コード5が巻き付いて盛り上がり、巻上げが途中でできない事態が生じるという問題もある。
【0008】
そこで、この発明の課題は、巻取りドラムから引き出した昇降用コードをカーテン布の背面に沿わせる配置とすることができ、カーテン布の上部が巻取りドラムに向けて引かれて上部が室外側に屈曲することのないようにし、カーテン布の見た目の美観向上を図ることができ、しかも、昇降用コードの移動をドラムの軸方向に誘導することができるたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記のような課題を解決するため、この発明の昇降用コード巻取り装置は、回転軸を収納したヘッドレールの内部に、カーテン昇降用コードの巻取りドラムを前記回転軸と一体に回転するよう設け、この巻取りドラムを定位置で回転するようヘッドレールに固定したドラムホルダーで支持し、前記巻取りドラムから引き出したカーテン昇降用コードの下端を、ヘッドレールに吊り下げたカーテン布の下部と連結し、前記回転軸を回転操作して巻取りドラムをコード巻取り方向に回転させることでカーテン布をたくし上げ、また、コード繰り出し方向の回転でカーテン布を下降させるようにしたたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置において、前記巻取りドラムに対してカーテン昇降用コードが引き出される下部の位置に、巻取りドラムから引き出されたカーテン昇降用コードの引き出し位置を規定する誘導部を、巻取りドラムを回転可能に支持するドラムホルダーに設けた構成を採用したものである。
【0010】
上記誘導部が、ドラムホルダーの両端壁間に架設した底板に、巻取りドラムの軸方向に沿うよう設けた長いスリットで形成され、この誘導部を形成するスリットがヘッドレールの幅方向に複数本並べて設けられている構造とすることができる。
【0011】
また、上記誘導部が、ドラムホルダーの両端壁間に架設した横桟で形成され、この誘導部を形成する横桟がヘッドレールの幅方向に複数本並べて設けられている構造とすることができる。
【0012】
更に、上記誘導部が、ドラムホルダーに対して着脱可能になっている構造とすることができる。
【0013】
ここで、ヘッドレールは、下面が開口する断面コ字形のアルミ押し出し材で形成され、ドラムホルダーで支持した巻取りドラムを多角形の回転軸が貫通し、この巻取りドラムは、巻胴の両端にフランジを有し、一方端部に昇降用コードの端部を係止する結合部が設けられている。
【0014】
上記ドラムホルダーは、対向する端壁を両側の側板で結合一体化し、両端壁に設けた軸受孔でドラムの両端を支持し、両端壁間の下部に架設した底板に昇降用コードを引き出すためのスリットが設けられている。
【0015】
また、ドラムホルダーは、両端壁間の下部に横桟を架設することにより、この横桟に昇降用コードを引っ掛けるようにして引き出すようにする。
【発明の効果】
【0016】
この発明によると、ドラム式のたくし上げカーテンにおいて、巻取りドラムに対してカーテン昇降用コードが引き出される下部の位置に、巻取りドラムから引き出されたカーテン昇降用コードの引き出し位置を規定する誘導部を設けたので、この誘導部に昇降用コードを通すことで、巻取りドラムから引き出した昇降用コードをカーテン布の背面に沿わせる配置とすることができ、カーテン布の上部が巻取りドラムに向けて引かれて上部が室外側に屈曲することのないようにでき、カーテン布の見た目の美観向上を図ることができる。
【0017】
また、上記誘導部を巻取りドラムの軸方向に沿って長く形成したので、巻上げ時や繰り出し時に、誘導部で昇降用コードの移動をドラムの軸方向に誘導することができ、このために、昇降用コードの位置ずれの発生がなくなり、巻上げ時にドラムの一箇所に昇降用コードが巻き付いて盛り上がり、巻上げが途中でできない事態の発生を防ぐことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、この発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
ドラム式のたくし上げカーテンは、図6で示したように、アルミ等を用い、下面が開放する溝形断面に形成されたヘッドレール(シェードレール)1の外面にカーテン布2の上端を一対の面ファスナー等によって取付け、このカーテン布2の幅方向両側等の複数箇所の位置にテープ3を上下方向に沿って縫着し、各テープ3に上下一定の間隔で合成樹脂や金属製のリング環4を取付け、各テープ3ごとに、上下に並ぶ前記リング環4にカーテン昇降用コード5をそれぞれ通し、各コード5は下端に接続したコードキャッチ6を介してカーテン布2の下部に連結されている。
【0019】
ヘッドレール1内で各カーテン昇降用コード5と対応する位置に昇降用コード5の巻取り装置11が組み込まれ、各巻取り装置11でヘッドレール1の長さ方向に沿う回転軸7を支持している。
【0020】
上記巻取り装置11は、図1のように、ヘッドレール1内に固定するドラムホルダー12と、このドラムホルダー12で回転自在に支持した巻取りドラム8とからなり、上記した昇降用コード5が対応する巻取りドラム8に巻き取られている。
【0021】
図6で示したように、ヘッドレール1の端部において、回転軸7の端部に滑車9とこれに巻架して任意の位置で係止できるチエン10を備えたストッパー機構を取付け、チエン10の操作で回転軸7を回動させて巻取りドラム8によるカーテン昇降用コード5の巻取り又は繰り出しを行うことにより、カーテン布2を昇降動させるようになっている。
【0022】
上記巻取り装置11のドラムホルダー12は、合成樹脂を用い、距離をおいて対向する垂直の端壁13、13を両側の側板14で結合一体化して形成され、両端壁13、13に設けた軸受孔15、15で巻取りドラム8の両端を回転可能に支持し、一方端壁13の下部に設けた延長底板16のねじ孔に押さえ板17を介してビス18をねじ込み、延長底板16と押さえ板17でヘッドレール1の下部両側にある突条を挟むことにより、ヘッドレール1内に固定化される。
【0023】
上記巻取りドラム8は、合成樹脂を用い、回転軸7と嵌合して一体に回転するための角孔19が軸心に沿って貫通する巻胴20の両端にフランジ21と、一方端部に昇降用コード5の端部を巻き付け状に係止する結合部22が設けられ、上記ドラムホルダー12の両端壁13、13に設けた軸受孔15、15で巻胴20の両端が回転可能に支持され、巻胴20に昇降用コード5の略全長を並列する螺旋状の密巻きにすることができるようになっている。
【0024】
上記ドラムホルダー12は、巻取りドラム8に対してカーテン昇降用コード5が引き出される下部の位置に、巻取りドラム8から引き出されたカーテン昇降用コード5の引き出し位置を規定する誘導部23が設けられている。
【0025】
図1乃至図3に示す第1の例の誘導部23は、ドラムホルダー12の両端壁13、13間の下部に架設した底板24に、巻取りドラム8の軸方向に沿うよう設けた長いスリット25で形成され、このスリット25にカーテン昇降用コード5を通すようにする。
【0026】
このドラムホルダー12の幅方向(ヘッドレール1の幅方向)に対して、スリット25を設ける位置は、図3に示すように、底板24の中央又は底板24の幅方向の何れか一方に片寄った位置等に設定でき、たくし上げカーテンのヘッドレール1に取付けたカーテン布2と巻取り装置11の位置関係等に合わせて、これらの中から適応するものを選択して使用すればよい。
【0027】
また、上記誘導部23を形成するスリット25は、ドラムホルダー12の幅方向に複数本並べて設け、単一構造のドラムホルダー12でカーテン昇降用コード5の引き出し位置を選択できるようにすることができる。
【0028】
図4に示す第2の例の誘導部23は、ドラムホルダー12の両端壁13、13間に架設した横桟26で形成され、この誘導部23を形成する横桟26がドラムホルダー12の幅方向に複数本並べて設けられ、任意の横桟26にカーテン昇降用コード5を引っ掛けるようにして通すようにした構造としたものであり、横桟26は、カーテン昇降用コード5に対して摩擦抵抗の少ない金属や合成樹脂を用いて形成し、また、この横桟26を回転可能とし、摩擦抵抗の発生を低減するようにしてもよい。
【0029】
なお、何れの例の誘導部23も、ドラムホルダー12に対してビス等で着脱自在に取付け、取換え等に対応できるようにした構造としてもよい。
【0030】
この発明の巻取り装置は、上記のような構成であり、ヘッドレール1の内部に巻取り装置11を組み込み、ブラケットを建物構造物に固定することによって開口部の上部にヘッドレール1を固定配置し、例えば、ヘッドレール1の室内側に向く側板に、一対の面ファスナーを用いてカーテン布2を吊り下げ状に取付け、カーテン布2に下端を結合したカーテン昇降用コード5は、巻取り装置11の巻取りドラム8で巻取るようにする。
【0031】
上記カーテン昇降用コード5を巻取り装置11の巻取りドラム8で巻取るとき、たくし上げカーテンのヘッドレール1に取付けたカーテン布2と巻取り装置11の位置関係等に対応した誘導部23を備えたドラムホルダー12を採用するか、カーテン昇降用コード5の誘導部23からの昇降用コード5の引き出し位置を前記位置関係に対応して設定する。
【0032】
たくし上げカーテンの昇降操作時に、巻取りドラム8に対して巻取られるか繰り出される、カーテン昇降用コード5は、誘導部23を通過することになり、図5(a)に示すように、カーテン昇降用コード5を誘導部23に通すことで、カーテン昇降用コード5をカーテン布2に近づけることができ、誘導部23と最上部に取付けたリング環4の間でカーテン昇降用コード5は垂直に近づき、カーテン布2の上部が巻取りドラム8に向けて引かれて上部が室外側に屈曲することのないようにでき、たくし上げカーテンの見た目の美観向上を図ることができる。
【0033】
また、巻取りドラム8によるカーテン昇降用コード5の巻取り又は繰り出し時に、カーテン昇降用コード5は、誘導部23によって巻取りドラム8の長さ方向への移動が可能なように誘導されるが、特に巻取り時に昇降用コード5を螺旋巻きすることで、昇降用コード5に巻取りドラム8の軸方向の送りがかかることになり、このような昇降用コード5の巻取りドラム8の軸方向の送りによる移動を誘導部23で誘導するので、昇降用コード5の位置ずれの発生がなくなり、巻上げ時に巻取りドラム8の一箇所に昇降用コード5が巻き付いて盛り上がり、巻上げが途中でできない事態の発生を防ぐことができることになる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】(a)はこの発明に係る昇降用コード巻取り装置の使用状態を示す要部切り欠き正面図、(b)は同縦断側面図
【図2】昇降用コード巻取り装置のドラムホルダーに設けた誘導部の第1の例を示す斜視図
【図3】(a)乃至(c)は、ドラムホルダーに設けた誘導部の第1の例において、誘導部となるスリットの設ける位置の異なるものを示す底面図
【図4】昇降用コード巻取り装置のドラムホルダーに設けた誘導部の第2の例を示す斜視図
【図5】(a)はこの発明に係る昇降用コード巻取り装置と昇降用コードの関係を示す縦断側面図、(b)は従来の昇降用コード巻取り装置と昇降用コードの関係を示す縦断側面図
【図6】従来のドラム式たくし上げカーテンの背面図
【符号の説明】
【0035】
1 ヘッドレール
2 カーテン布
3 テープ
4 リング環
5 カーテン昇降用コード
6 コードキャッチ
7 回転軸
8 巻取りドラム
9 滑車
10 チエン
11 巻取り装置
12 ドラムホルダー
13 端壁
14 側板
15 軸受孔
16 延長底板
17 押さえ板
18 ビス
19 角孔
20 巻胴
21 フランジ
22 結合部
23 誘導部
24 底板
25 スリット
26 横桟

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転軸を収納したヘッドレールの内部に、カーテン昇降用コードの巻取りドラムを前記回転軸と一体に回転するよう設け、この巻取りドラムを定位置で回転するようヘッドレールに固定したドラムホルダーで支持し、前記巻取りドラムから引き出したカーテン昇降用コードの下端を、ヘッドレールに吊り下げたカーテン布の下部と連結し、前記回転軸を回転操作して巻取りドラムをコード巻取り方向に回転させることでカーテン布をたくし上げ、また、コード繰り出し方向の回転でカーテン布を下降させるようにしたたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置において、
前記巻取りドラムに対してカーテン昇降用コードが引き出される下部の位置に、巻取りドラムの軸方向に沿って長さを有し、巻取りドラムから引き出されたカーテン昇降用コードの引き出し位置を規定する誘導部を、巻取りドラムを回転可能に支持するドラムホルダーに設けたことを特徴とするたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置。
【請求項2】
上記誘導部が、ドラムホルダーの両端壁間に架設した底板に、巻取りドラムの軸方向に沿うよう設けた長いスリットで形成されていることを特徴とする請求項1に記載のたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置。
【請求項3】
上記誘導部を形成するスリットがヘッドレールの幅方向に複数本並べて設けられていることを特徴とする請求項2に記載のたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置。
【請求項4】
上記誘導部が、ドラムホルダーの両端壁間に架設した横桟で形成されていることを特徴とする請求項1に記載のたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置。
【請求項5】
上記誘導部を形成する横桟がヘッドレールの幅方向に複数本並べて設けられていることを特徴とする請求項4に記載のたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置。
【請求項6】
上記誘導部が、ドラムホルダーに対して着脱可能になっていることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載のたくし上げカーテンの昇降用コード巻取り装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−125834(P2008−125834A)
【公開日】平成20年6月5日(2008.6.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−314597(P2006−314597)
【出願日】平成18年11月21日(2006.11.21)
【出願人】(000175906)三光商事株式会社 (15)
【Fターム(参考)】