説明

たくし上げカーテンの昇降装置

【課題】カーテン生地に対し昇降コードを容易に着脱可能としながら、カーテン生地のたくし上げ操作時にカーテン生地の片上がりを生じさせないたくし上げカーテンの昇降装置を提供する。
【解決手段】ヘッドボックスからカーテン生地を吊下支持し、ヘッドボックスから垂下した昇降コードをカーテン生地に取着した複数の挿通部に挿通し、昇降コードの下端をカーテン生地の下端部に取着し、昇降コードを操作装置で昇降することによりカーテン生地をたくし上げ可能としたたくし上げカーテンにおいて、スライドファスナー8を構成する一方の帯部9aをカーテン生地2に上下方向に取着し、他方の帯部9bに挿通部4を取着し、挿通部4に昇降コード3を挿通した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、たくし上げカーテンのカーテン生地を昇降する昇降装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
たくし上げカーテンは、ヘッドボックスからカーテン生地が吊下支持され、昇降装置によりそのカーテン生地を下端部から引き上げ、あるいは下端部を下降させることにより、カーテン生地を昇降可能となっている。
【0003】
昇降装置は、ヘッドボックスから垂下される複数本の昇降コードの下端がカーテン生地の下端部に取着され、各昇降コードはヘッドボックスとカーテン生地の下端部との間でカーテン生地に取着された複数のリングに挿通されている。
【0004】
そして、操作手段により各昇降コードをヘッドボックスに向かって引き上げることによりカーテン生地を引き上げ可能であり、各昇降コードを下降させることによりカーテン生地の下端部を下降させるようになっている。
【0005】
このようなたくし上げカーテンでは、カーテン生地を洗濯する場合に、ヘッドボックス及び昇降コードからカーテン生地を取り外す必要がある。カーテン生地の上端部は、通常面ファスナーでヘッドボックスに接着されているので、カーテン生地を取り外す場合には、面ファスナーを剥がし、さらに昇降コードの下端に取着されたフックをカーテン生地から取り外し、さらに各リングから昇降コードを取り外す必要がある。
【0006】
また、洗濯されたカーテン生地を再設置する場合には、各リングに昇降コードを挿通するとともに、昇降コード下端のフックをカーテン生地の下端部に取着し、さらに面ファスナーでカーテン生地の上端部をヘッドボックスに接合する必要がある。
【0007】
しかし、このような昇降コードの取り外し作業及び取付作業が煩雑であるという問題点がある。
特許文献1には、昇降コードを挿通するリングを面ファスナーテープに取着し、その面ファスナーテープをカーテン生地に接合するようにしたローマンシェードが開示されている。このようなローマンシェードでは、面ファスナーテープをカーテン生地から取り外すことにより、昇降コードをカーテン生地から容易に取り外し可能である。
【0008】
特許文献2には、昇降コードを挿通するリングをスナップ留め具でカーテン生地に取着するこのような構成では、スナップ留め具を外すことにより、昇降コードをカーテン生地から取り外し可能である。
【特許文献1】特許第3048544号公報
【特許文献2】実公平7−25104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1に記載されたローマンシェードでは、各昇降コード毎に面ファスナーテープをカーテン生地に接合するため、面ファスナーテープの取付位置が上下方向にずれると、左右の面ファスナーテープに取着されたリングの高さがずれてしまう。すると、カーテン生地を引き上げたとき、カーテン生地に片上がりが生じてしまう。
【0010】
特許文献2に記載された構成では、スナップ留め具の保持スナップの取り付け位置を正確に位置決めすれば、左右方向に位置するリングの高さがずれることはない。しかし、昇降コードをカーテン生地から取り外すには、多数のスナップ留め具をすべて外し、昇降コードをカーテン生地に取着する場合には、多数のスナップ留め具をすべて係合させる必要があるため、その着脱作業が煩雑となるという問題点がある。
【0011】
この発明の目的は、カーテン生地に対し昇降コードを容易に着脱可能としながら、カーテン生地のたくし上げ操作時にカーテン生地の片上がりを生じさせないたくし上げカーテンの昇降装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1では、ヘッドボックスからカーテン生地を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下した昇降コードを前記カーテン生地に取着した複数の挿通部に挿通し、前記昇降コードの下端を前記カーテン生地の下端部に取着し、前記昇降コードを操作装置で昇降することにより前記カーテン生地をたくし上げ可能としたたくし上げカーテンにおいて、スライドファスナーを構成する一方の帯部を前記カーテン生地に上下方向に取着し、他方の帯部に前記挿通部を取着し、該挿通部に前記昇降コードを挿通した。
【0013】
請求項2では、前記昇降コードの下端部を、前記他方の帯部の下端部に取着した。
請求項3では、前記スライドファスナーは、前記帯部の上端部に開具を設けて、スライダーを下方へ引き下げることにより、前記帯部を接合可能とした。
【0014】
請求項4では、前記挿通部は、昇降コードを挿通可能としたリングで構成した。
請求項5では、前記他方の帯部の最下部に位置するリングに前記昇降コードの下端を取着した。
【0015】
請求項6では、前記スライドファスナーは、前記帯部にコイル状のファスナーエレメントを織込み、または編み込んで取着した。
請求項7では、前記カーテン生地の上端部を面ファスナーで前記ヘッドボックスに接合した。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、カーテン生地に対し昇降コードを容易に着脱可能としながら、カーテン生地のたくし上げ操作時にカーテン生地の片上がりを生じさせないたくし上げカーテンの昇降装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
以下、この発明を具体化したたくし上げカーテンの一実施の形態を図面に従って説明する。
図1に示すたくし上げカーテンは、ヘッドボックス1からカーテン生地2が吊下支持され、同じくヘッドボックス1から複数本の昇降コード3が垂下されている。各昇降コード3は、カーテン生地2の背面側に設けられる複数のリング(挿通部)4にそれぞれ挿通され、その下端にフック5が取着されている。そして、フック5がカーテン生地2の下端部に設けられるリング4を吊下支持している。
【0018】
前記昇降コード3の上端部は、前記ヘッドボックス1内においてその一方端部に案内され、同ヘッドボックス1の一方端部からストッパー装置(図示しない)を経て同ヘッドボックス1外へ案内されている。そして、各昇降コード3の端部にイコライザー6が取着され、そのイコライザー6に操作コード7が取着されている。前記ストッパー装置は、カーテン生地2の自重降下を阻止して、カーテン生地を所望高さに吊下支持する。
【0019】
前記カーテン生地2に対するリング4の取付構成を図2に従って説明する。前記カーテン生地2の背面において、前記昇降コード3の取付位置にはスライドファスナー8の一方の帯部9aが縫着されている。スライドファスナー8の他方の帯部9bにはリング4が所定間隔毎に取着され、そのリング4に前記昇降コード3が挿通され、最下部のリング4に前記フック5が掛止めされている。
【0020】
前記帯部9a,9bの側縁には、互いに噛合する噛合部10a,10bが設けられ、その噛合部10a,10bの上端部には、開具11a,11bがそれぞれ取着されている。また、前記噛合部10aにはスライダー12が上下方向に移動可能に支持されている。
【0021】
そして、スライダー12を開具11a位置まで引き上げた状態で、開具11bをスライダー12から開具11bに係合させ、この状態でスライダー12を引き下ろすと、噛合部10a,10bが噛み合って、帯部9bが帯部9aに接合される。従って、帯部9a,9bが接合されると、昇降コード3を挿通したリング4がカーテン生地2に取着された状態となる。
【0022】
前記スライドファスナー8の帯部9aは、複数本の昇降コード3に対応する位置にそれぞれ取着される。そして、各帯部9aの開具11aが同一高さとなるようにカーテン生地2に縫着されている。また、各帯部9bに取着されたリング4は、開具11bと最上部のリング4の間隔及び各リング4の間隔が一致するように取着されている。
【0023】
前記帯部9bの噛合部10bの下端部には、スライダー12の下限位置を設定する止め具13が取着されている。
前記スライドファスナー8は、図3に示すように、コイル状のファスナーエレメント14に芯紐15が挿通され、その芯紐15を帯部9a,9bに織込み、または編み込んでファスナーエレメント14が帯部9a,9bに取着されている。ファスナーエレメント14は、柔軟性を備えた熱可塑性樹脂で形成されている。このようなスライドファスナー8により、カーテン生地2がたくし上げられたとき自然な襞が生成される。
【0024】
また、スライドファスナー8は、図4及び図5に示すように、ジグザグ状のファスナーエレメント16を帯部9a,9bに縫合したものとしてもよい。
上記のように構成されたたくし上げカーテンでは、操作コード7を下方へ引くと、ヘッドボックス1から垂下される各昇降コード3が引き上げられ、フック5を介して各スライドファスナー8のリング4が最下部のリング4から順次引き上げられる。すると、カーテン生地2が下方から順次たくし上げられる。
【0025】
カーテン生地2を所望高さまで引き上げた後、操作コード7を手放すと、ストッパー装置が作動して、カーテン生地2が所望高さに吊下支持される。
また、この状態から操作コード7を僅かに下方へ引くと、ストッパー装置の作動が解除され、たくし上げられたカーテン生地2の自重により、カーテン生地2を下降させることが可能となる。
【0026】
カーテン生地2を洗濯する場合には、スライドファスナー8の下端部に位置するスライダー12を開具11a,11bに達するまで上方へ引き上げると、帯部9a,9bが分離される。この状態では、昇降コード3を挿通したリング4が取着された帯部9bとカーテン生地2が分離される。そして、カーテン生地2の上端部をヘッドボックス1から取り外せば、カーテン生地2を洗濯可能となる。
【0027】
洗濯したカーテン生地2をヘッドボックス1に設置する場合には、カーテン生地2の上端部をヘッドボックス1に接合し、次いでスライダー12を帯部9aの上端部に位置させた状態で、開具11aに開具11bを係合させ、この状態でスライダー12を止め具13位置まで押し下げると、帯部9a,9bが接合される。
【0028】
この状態では、昇降コード3を挿通したリング4がカーテン生地2に取着され、最下部のリング4にはフック5が取着されている。そして、操作コード7の操作によりカーテン生地2を昇降可能である。
【0029】
上記のようなたくし上げカーテンでは、次に示す作用効果を得ることができる。
(1)スライドファスナー8により、カーテン生地2に対し昇降コード3を容易に着脱することができる。従って、カーテン生地2を容易に取り外して洗濯することができる。
(2)スライドファスナー8は、開具11a,11bを係合させてスライダー12を押し下げることにより、帯部9a,9bが上下方向にずれて接合されることはない。従って、各スライドファスナー8のリング4の上下方向の位置ずれを防止することができるので、カーテン生地2のたくし上げ操作時における同カーテン生地2の片上がりを未然に防止することができる。
(3)スライドファスナー8は、スライダー12を上方から下方へ引き下げて帯部9a,9bを接合する構成であるので、その接合操作を容易に行うことができる。
【0030】
上記実施の形態は、以下の態様で実施してもよい。
・上記のようにリングをカーテン生地に着脱する構成を、たくし上げカーテンの側縁をガイドワイヤで保持する保持装置として使用することもできる。
・昇降コード3を、巻取軸で巻き取り、あるいは巻戻して、カーテン生地2を昇降するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】たくし上げカーテンを示す正面図である。
【図2】カーテン生地の昇降装置を示す正面図である。
【図3】スライドファスナーのファスナーエレメントを示す正面図である。
【図4】スライドファスナーのファスナーエレメントを示す正面図である。
【図5】スライドファスナーのファスナーエレメントを示す平面図である。
【符号の説明】
【0032】
1…ヘッドボックス、2…カーテン生地、3…昇降コード、4…挿通部(リング)、8…スライドファスナー、9a,9b…帯部、11a,11b…開具、12…スライダー、14,16…ファスナーエレメント。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヘッドボックスからカーテン生地を吊下支持し、前記ヘッドボックスから垂下した昇降コードを前記カーテン生地に取着した挿通部に挿通し、前記昇降コードの下端を前記カーテン生地の下端部に取着し、前記昇降コードを昇降することにより前記カーテン生地をたくし上げ可能としたたくし上げカーテンにおいて、
スライドファスナーを構成する一方の帯部を前記カーテン生地に上下方向に取着し、他方の帯部に前記挿通部を取着し、該挿通部に前記昇降コードを挿通したことを特徴とするたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項2】
前記昇降コードの下端部を、前記他方の帯部の下端部に取着したことを特徴とする請求項1記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項3】
前記スライドファスナーは、前記帯部の上端部に開具を設けて、スライダーを下方へ引き下げることにより、前記帯部を接合可能としたことを特徴とする請求項1又は2記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項4】
前記挿通部は、昇降コードを挿通可能としたリングで構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項5】
前記他方の帯部の最下部に位置するリングに前記昇降コードの下端を取着したことを特徴とする請求項4記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項6】
前記スライドファスナーは、前記帯部にコイル状のファスナーエレメントを織込み、または編み込んで取着したことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のたくし上げカーテンの昇降装置。
【請求項7】
前記カーテン生地の上端部を面ファスナーで前記ヘッドボックスに接合したことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のたくし上げカーテンの昇降装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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