説明

たこ焼き又はお好み焼き粉ミックス

【課題】焼きたて時だけでなく、冷めた後や、冷蔵・冷凍保存後の再加熱時でも、表面がカリッと、中身はふわっとクリーミーでありながら、まとわりつきが無く、しかも口溶けがよい食感のたこ焼き又はお好み焼きを提供すること。
【解決手段】たこ焼き又はお好み焼き粉ミックスにおいて、穀粉類100質量部に対して、アセチル化酸化澱粉1〜30質量部を含有させ、該たこ焼き又はお好み焼き粉ミックスを用いてたこ焼き又はお好み焼きを製造する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たこ焼き又はお好み焼き粉ミックスに関する。詳細には、特定量のアセチル化酸化澱粉を含有することで、焼きたて時だけでなく、冷めた後や、冷蔵・冷凍保存後の再加熱時でも、表面がカリッと、中身はふわっとクリーミーでありながら、まとわりつきが無く、しかも口溶けがよい食感のたこ焼き又はお好み焼きが得られるたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスに関する。
【背景技術】
【0002】
たこ焼きの食感を向上させる観点から、たこ焼き用ミックスに澱粉を用いる技術が提案されている。斯かる技術として、特許文献1には、可溶性澱粉として、酸化等を施して、冷水に不溶で熱水に可溶にした変性澱粉を用いることが記載されている。しかし、この技術で得られるたこ焼きは、中身の食感がクリーミーなものとはいえず、なめらかさも十分とはいえない。また、冷めた後や、冷蔵・冷凍保存後の再加熱後には、食感がぼそぼそに低下するという問題があった。
また、特許文献2には、穀粉類に油脂及びアセチル化澱粉を併用するたこ焼きミックスが記載されている。しかし、この技術で得られるたこ焼きは、口溶けの良い食感ではあるものの、口腔内でまとわりつくような食感が残り、なめらかさも不十分でふわっとクリーミーな食感とはいえないものであった。
【0003】
一方、アセチル化酸化澱粉は、増粘剤等として食品に添加できることが知られている。しかし、アセチル化酸化澱粉を、たこ焼きやお好み焼きに用いることは従来行われていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3665835号公報
【特許文献2】特開2003−52341号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、焼きたて時だけでなく、冷めた後や、冷蔵・冷凍保存後の再加熱時でも、表面がカリッと、中身はふわっとクリーミーでありながら、まとわりつきが無く、しかも口溶けがよい食感のたこ焼き又はお好み焼きを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、穀粉類100質量部に対して、アセチル化酸化澱粉1〜30質量部を含有することを特徴とするたこ焼き又はお好み焼き粉ミックス、及び該たこ焼き又はお好み焼き粉ミックスを用いて製造されたことを特徴とするたこ焼き又はお好み焼きを提供することにより、上記目的を達成したものである。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、焼きたて時だけでなく、冷めた後や、冷蔵・冷凍保存後の再加熱時でも、表面がカリッと、中身はふわっとクリーミーでありながら、まとわりつきが無く、しかも口溶けがよい食感のたこ焼き又はお好み焼きを提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスには、主として小麦粉からなる穀粉類100質量部に対して、アセチル化酸化澱粉1〜30質量部、好ましくは2〜20質量部を含有することを特徴とする。アセチル化酸化澱粉をこの範囲で含有することで、得られるたこ焼きやお好み焼きは、焼き色が良好なものとなり、かつ風味に優れ、その食感は、表面がカリッとしていて、中身がよりふんわりとクリーミーであり、しかもまとわりつきが無くトロッとした口溶けの好ましい食感となる。アセチル化酸化澱粉の含有量が1質量部未満であると、ふんわりクリーミーな食感が得られず、30質量部を超えると、ねっとりとした食感が高まり、口腔内でネチャつき、まとわりつくものとなるため好ましくない。
【0009】
上記アセチル化酸化澱粉としては、安定剤、増粘剤、乳化剤等として市販されているものを適宜用いることができる。また、澱粉を用いて常法によりアセチル化及び酸化加工したものも同様に用いることができる。アセチル化酸化澱粉に用いられる澱粉の由来としては、馬鈴薯澱粉、ワキシーコーンスターチ、コーンスターチ、小麦澱粉、タピオカ澱粉、米澱粉、甘藷澱粉等が挙げられ、これらの澱粉の1以上を用いることができる。これらの中でも、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉及び馬鈴薯澱粉から選択される1以上に由来することが、冷めた後や冷蔵冷凍保管後の再加熱時の食感の観点から好ましく、アセチル化酸化タピオカ澱粉がより好ましい。
【0010】
上記アセチル化酸化澱粉は、アセチル化度が0.02〜0.07であることが好ましい。なお、アセチル化度は、グルコース残基1個当りの置換水酸基の平均値である。アセチル化度が0.02より低いと、内部の食感が舌触りの悪いものとなる場合があり、アセチル化が0.07より高いと、トロッとした感じの欠けた、ゆるい食感となる場合がある。
【0011】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスに用いる穀粉類としては、小麦粉を主体とする(好ましくは全穀粉類中で小麦粉を50質量%以上含有する)ものであれば特に限定されないが、小麦粉としては薄力粉、中力粉、全粒粉、準強力粉、強力粉、デュラム小麦粉等が挙げられ、薄力粉や中力粉が好ましく、薄力粉がより好ましい。小麦粉以外の穀粉類としては、ライ麦粉、ライ小麦粉、米粉等が挙げられる。
【0012】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスは、さらに油脂をミックス100質量部に対して0.1〜5.0質量部、特に0.3〜3.0質量部含有することが好ましい。油脂を上記範囲で含有することにより、しっとりとした食感を付与することができる。なお、油脂の由来は、食用に適するものであれば特に制限はない。
【0013】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスは、上記の穀粉類、アセチル化酸化澱粉及び油脂のほかに、たこ焼き又はお好み焼き粉ミックスに従来用いられているその他の原材料を適宜含有することができる。その他の原材料としては、糖類、食塩、旨味調味料、植物性蛋白質(大豆粉、小麦蛋白等)、ヤマイモ粉、卵粉(全卵粉、卵黄粉、卵白粉)、雑節類(カツオ節、サバ節、ソーダ節、炒り子、マグロ節等)、粉末昆布、増粘剤、香辛料、エキス・スープ類、乾燥野菜類、等が挙げられる。本発明の効果を損ねないようにする観点から、その他の原料の含有量は、穀粉類100質量部に対して、合計で20質量部以下の範囲とすることが好ましい。
【0014】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスを用いてたこ焼きまたはお好み焼きを製造する際は、常法に従って、本発明のたこ焼き用またはお好み焼き用ミックスから適宜生地を調製して焼成すればよい。
【0015】
本発明のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスを用いて製造されたたこ焼きやお好み焼きは、焼成後直ぐに食してもよく、適宜冷ました後に食してもよく、冷蔵又は冷凍処理して保存後、電子レンジ等で解凍、再加熱して食してもよい。さらに、冷凍保存したたこ焼きを解凍、再加熱して食する場合、該冷凍保存したたこ焼きを、食する前日より解凍を兼ねて冷蔵保存にしておいて、食する当日に電子レンジ等で再加熱して食してもよい。
【実施例】
【0016】
以下、実施例を挙げて、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
【0017】
〔実施例1及び比較例1〕
下記の表1に示すたこ焼き原料粉1000gに、粉末油脂30g、砂糖10g、食塩10g及びかつお風味調味料40gを混合して、たこ焼き粉ミックスを得た。
このたこ焼き粉ミックス100gに、水320gと溶き卵30gを加え、攪拌混合して生地を調製した。このたこ焼き生地を190℃に熱したたこ焼き器に流し込んだ。そこに、たこのぶつ切り、天かす、ネギ及び紅生姜を加えて加熱し、たこ焼き器に接した部分が焼けてきたら、竹串を用いて、生地を反転させた。さらに全体に熱が通るまで焼成し、たこ焼きを得た。
【0018】
得られたたこ焼きについて、10名のパネラーにより、たこ焼きの表面と内部の食感を表2に示す評価基準により評価した。また、焼成から3時間室温で静置冷却後の内部の食感、及び、該静置冷却後に5℃にて21時間冷蔵保存し電子レンジにて再加熱(たこ焼き6個を1500Wにて1分間加熱)した際の内部の食感を、表2に示す評価基準により評価した。これらの結果の平均点を表3に示す。
【0019】
【表1】

【0020】
【表2】

【0021】
【表3】

【0022】
〔実施例2〕
実施例1−3で用いたたこ焼き原料粉1000gに、表4記載の量の粉末油脂、砂糖10g、食塩10g及びかつお風味調味料40gを混合して、たこ焼き粉ミックスを得た。このたこ焼き粉ミックスを用い、実施例1と同様にして、たこ焼きを得て、得られたたこ焼きについて評価を行った。これらの結果の平均点を表4に示す。
なお、表4中、粉末油脂配合量の括弧内の数値は、粉末油脂配合量(g)をミックス100質量部に対する配合量(質量部)に換算したときの値である。また、下記表4には、対比のため実施例1−3の結果を併せて示す。
【0023】
【表4】

【0024】
〔実施例3及び比較例2〕
下記の表5に示すお好み焼き原料粉1000gに、粉末油脂30g、砂糖5g、食塩15g、かつお風味原料30gを混合して、お好み焼き粉ミックスを得た。
このお好み焼き粉ミックス100gに、水120gを混合し、次いでキャベツ300g、卵2個、揚げ玉30gを加え、攪拌混合して生地を調製した。このお好み焼き生地を185℃に熱した鉄板上に2個に分けて円形に落とし、8分焼成し、反転し更に8分焼成して、お好み焼きを得た。
【0025】
得られたお好み焼きについて、10名のパネラーにより、実施例1と同様にして評価を行った。これらの結果の平均点を表6に示す。
【0026】
【表5】

【0027】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
穀粉類100質量部に対して、アセチル化酸化澱粉1〜30質量部を含有することを特徴とするたこ焼き又はお好み焼き粉ミックス。
【請求項2】
上記アセチル化酸化澱粉のアセチル化度が0.02〜0.07である請求項1記載のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックス。
【請求項3】
さらに油脂を上記ミックス100質量部に対して0.1〜5.0質量部含有する請求項1又は2記載のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックス。
【請求項4】
上記アセチル化酸化澱粉が、ワキシーコーンスターチ、タピオカ澱粉及び馬鈴薯澱粉から選択される1以上に由来する請求項1〜3のいずれか一項に記載のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックス。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のたこ焼き又はお好み焼き粉ミックスを用いて製造されたことを特徴とするたこ焼き又はお好み焼き。

【公開番号】特開2013−85524(P2013−85524A)
【公開日】平成25年5月13日(2013.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−229475(P2011−229475)
【出願日】平成23年10月19日(2011.10.19)
【出願人】(398012306)日清フーズ株式会社 (139)
【Fターム(参考)】