説明

たとえばフラット・カード、ローラ・カード、練篠フレームなどの紡績用前処理機において少なくとも一本のスライバを監視する装置

【課題】スライバの破断を確実に監視する。
【解決手段】たとえばフラット・カード、練篠フレームなどの、少なくとも一本のスライバが通過するローラ・ニップを形成する2個の回転ローラを有する紡績用前処理機にて少なくとも一本のスライバを監視する装置において、上記スライバの存在を監視する光学的監視機構(センサ)が上記各ローラの近傍に配備される。構造的に簡素な様式で信頼性高く且つ故障無しでスライバ破断を監視できるようにするために、上記センサ機構は、各ローラの周面に対する夫々の共有接線であって上記スライバの進行方向に対して概ね直交して配置された夫々の共有接線の間の領域内に配置され、且つ、上記センサの光路は上記各ローラの夫々の回転軸に対して平行に延在する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、たとえばフラット・カード、練篠フレームなどの、少なくとも一本のスライバが通過するローラ・ニップを形成する2個の回転ローラを有する紡績用前処理機において少なくとも一本のスライバを監視する装置であって、上記スライバの存在を監視する光学的監視機構(センサ)が上記各ローラの近傍に配備されるという装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ケンス用巻取器の回転プレートに対するスライバの送給は、フラット・カードの出力部において取出しローラを介して行われる。公知の装置(DE 40 28 365A)においては、当該光学的センサの視野内に繊維スライバが配置されているか否かを検出する光学的センサが取出しローラの下流に配置されている。上記センサは、スライバの存在または不在を監視する。スライバの不在は、障害または欠陥として機械制御器に報告される。上記センサは、上記取出しローラから所定距離となるべくローラ・ニップから離間して配置される。上記センサの光路は、ローラ回転軸に対して直交して延在する。スライバの張力は上記取出しローラからの距離にて変化し、すなわち、上記スライバは異なる深度にて沈下する。比較的に高いスライバ速度および高いスライバ速度にてスライバは付加的に、上記取出しローラの回転軸に平行に揺動し、すなわちスライバ・ファネルが存在しないにもかかわらず上記スライバは上記センサの光路から消失する。上記公知の装置によっては、スライバの破断を確実に監視することはできない。これに加え、上記の離間配置は上記センサに対する別体の保持デバイスを必要とするので不都合である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
故に本発明は、冒頭に記述された種類の装置であって、上記欠点を回避すると共に、特に簡素な構成であり、且つ、信頼性高く且つ故障無しでスライバの破断の監視を許容する装置を実現するという課題に基づいている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
上記課題は、請求項1の特徴部分の特徴により解決される。
すなわち1番目の発明によれば、たとえばフラット・カード、練篠フレームなどの、少なくとも一本のスライバが通過するローラ・ニップを形成する2個の回転ローラを有する紡績用前処理機において少なくとも一本のスライバを監視する装置であって、上記スライバの存在を監視する光学的監視機構(センサ機構)が上記各ローラの近傍に配備されるという装置において、上記センサ機構は、前記ローラの周面に対する夫々の共有接線の領域内に配置されており、該共有接線は上記スライバの進行方向に対して概ね直交して配置されており、上記センサの光路は上記各ローラの夫々の回転軸に対して平行に延在することを特徴とする、装置が提供される。
【0005】
センサの光線は、各ローラ間の狭幅間隙を通り、好適には繊維材料把持点の近傍に且つ各ローラの回転軸に対して平行に延在することから、信頼性の高いスライバ破断の監視を行うことができる。各ローラ間の上記狭幅間隙において、特に把持点の領域にてまたは該領域内においては繊維材料の形成された案内部が存在するので、上記センサの光線に対する繊維材料による遮断は常に確実である。更に、上記センサは、たとえば上記取出しローラに対して既に存在する保持要素もしくは軸受要素上に取付けられ得ることは有利な点である。
【0006】
請求項2乃至47は、本発明の利点の更なる側面を包含する。
すなわち2番目の発明によれば、1番目の発明において、前記監視機構は、不都合なスライバの破断を検出し得る非接触センサ機構(センサ)を備える。
3番目の発明によれば、1番目または2番目の発明において、前記回転ローラ対は、少なくとも一本のスライバが放出されるニップを形成している。
4番目の発明によれば、1番目から3番目のいずれかの発明において、前記ローラ対はスライバを下流の回転ローラ対に移送する。
5番目の発明によれば、1番目から4番目のいずれかの発明において、前記ローラ対は牽伸システムの一部である。
6番目の発明によれば、1番目から5番目のいずれかの発明において、前記牽伸システムは練篠フレームの一部である。
7番目の発明によれば、1番目から6番目のいずれかの発明において、前記牽伸システムはフラット・カード牽伸システムの一部である。
8番目の発明によれば、1番目から7番目のいずれかの発明において、前記繊維材料は2本以上のスライバから成る複合スライバの形態で存在する。
9番目の発明によれば、1番目から8番目のいずれかの発明において、前記繊維材料は一つのスライバの形態で存在する。
10番目の発明によれば、1番目から9番目のいずれかの発明において、前記センサの光路は、移動する繊維材料の作用ウェブの方向に整列される。
11番目の発明によれば、1番目から10番目のいずれかの発明において、前記センサは非接触検知用に設計されたセンサである。
12番目の発明によれば、1番目から11番目のいずれかの発明において、前記センサは、光電センサ、好適には光センサである。
13番目の発明によれば、1番目から12番目のいずれかの発明において、前記センサは反射センサの形態をなしている。
14番目の発明によれば、1番目から13番目のいずれかの発明において、前記センサに対しては閾値検出デバイスが組み合わされ、該デバイスはスライバの破断に追随して破断信号を発することにより、上記センサ、好適には前記光電センサの光受信器の出力信号の変化に応答する。
15番目の発明によれば、1番目から14番目のいずれかの発明において、前記閾値検出デバイスは、スライバの破断により生じた該デバイスの閾値の正の超過または負の超過が所定持続時間に亙り中断されずに継続したときにのみスライバの破断を信号通知する。
16番目の発明によれば、1番目から15番目のいずれかの発明において、前記センサによりディスプレイおよび/または切換えデバイスが制御可能である。
17番目の発明によれば、1番目から16番目のいずれかの発明において、スライバの破断の認識は光学的センサにより行われる。
18番目の発明によれば、1番目から17番目のいずれかの発明において、前記センサは、高度に焦点合わせされた光線を有する一方向光電的バリアである。
19番目の発明によれば、1番目から18番目のいずれかの発明において、前記光電的バリアは前記各ローラの回転軸に平行に配置される。
20番目の発明によれば、1番目から19番目のいずれかの発明において、前記光電的バリアは検出媒体としてレーザ光線を使用する。
21番目の発明によれば、1番目から20番目のいずれかの発明において、光は光ガイドにより監視箇所まで導かれる。
22番目の発明によれば、1番目から21番目のいずれかの発明において、スライバの破断が認識されたときには、所定の機械応答が開始される。
23番目の発明によれば、1番目から22番目のいずれかの発明において、前記応答は妥当性制御(plausibility controls)に依存して行われる。
24番目の発明によれば、1番目から23番目のいずれかの発明において、前記光線が特定時間に亙り中断されたときにのみ応答が開始される。
25番目の発明によれば、1番目から24番目のいずれかの発明において、前記光電的バリア(送信器)により発せられた光線の強度は、たとえば製品または材料などの異なる判断基準に対して適合可能である。
26番目の発明によれば、1番目から25番目のいずれかの発明において、前記光電的バリア受信器の感度は、たとえば製品または材料などの異なる判断基準に対して適合され得る。
27番目の発明によれば、1番目から26番目のいずれかの発明において、異なる製品条件に対する前記光電的バリアの感度および/または強度の調節内容は記憶されると共に、条件が同一である場合には、自動的に呼び出されて手動介入なしで使用され得る。
28番目の発明によれば、1番目から27番目のいずれかの発明において、スライバの破断を検出するために照光手段を備えた電子カメラが使用される。
29番目の発明によれば、1番目から28番目のいずれかの発明において、前記センサの光路は前記各ローラの狭幅間隙における周面に直接的に隣接して延在する。
30番目の発明によれば、1番目から29番目のいずれかの発明において、前記センサの光路は前記各ローラ間の把持ラインに直接的に隣接して延在する。
31番目の発明によれば、1番目から30番目のいずれかの発明において、前記光路は前記作用方向に対して前記ローラ対の下流に延在する。
32番目の発明によれば、1番目から31番目のいずれかの発明において、前記光学的センサ機構は送信器および受信器を備える。
33番目の発明によれば、1番目から32番目のいずれかの発明において、前記光学的センサ機構は静止的な保持デバイスに取付けられる。
34番目の発明によれば、1番目から33番目のいずれかの発明において、前記保持デバイスは前記ローラ対の側方の領域に設けられる。
35番目の発明によれば、1番目から34番目のいずれかの発明において、前記センサ機構はフレーム構造などに取付けられる。
36番目の発明によれば、1番目から35番目のいずれかの発明において、前記フレーム構造は略々C形状の構成である。
37番目の発明によれば、1番目から36番目のいずれかの発明において、前記フレーム構造は略々フォーク状の構成である。
38番目の発明によれば、1番目から37番目のいずれかの発明において、前記フレーム構造は略々矩形もしくは正方形の構成である。
39番目の発明によれば、1番目から38番目のいずれかの発明において、スライバの破断に対するセンサ監視機構および繊維材料の積み重なりに対するセンサ監視機構が前記保持デバイス上に存在する。
40番目の発明によれば、1番目から39番目のいずれかの発明において、スライバの破断に対する前記センサ監視機構は、前記各ローラの周面に対する夫々の前記共有接線の間の領域内において前記保持デバイス上に配置される。
41番目の発明によれば、1番目から40番目のいずれかの発明において、前記センサ監視機構の光路は、前記ローラ対の回転軸に対して平行に延在する。
42番目の発明によれば、1番目から41番目のいずれかの発明において、材料の積み重なりを監視する前記センサ機構とスライバの破断を監視する前記センサ機構とに対しては、共有の電気接続部が存在する。
43番目の発明によれば、1番目から42番目のいずれかの発明において、前記各センサ機構に対する共有の電気接続部は電気的評価機構に接続される。
44番目の発明によれば、1番目から43番目のいずれかの発明において、材料の積み重なりを監視する前記センサ機構とスライバの破断を監視する前記センサ機構との夫々の電気信号の評価は、別個に実施される。
45番目の発明によれば、1番目から44番目のいずれかの発明において、前記電気信号は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに対して、集合的信号として処理可能である。
46番目の発明によれば、1番目から45番目のいずれかの発明において、前記電子信号は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに対して、単一の評価物として処理可能である。
47番目の発明によれば、1番目から46番目のいずれかの発明において、スライバの破断時に、前記光路は前記送信器から前記受信器まで延在している。
48番目の発明によれば、1番目から47番目のいずれかの発明において、前記光学的監視機構の前記送信器および前記受信器は前記各ローラの夫々の端面から離間して配置される。
49番目の発明によれば、1番目から48番目のいずれかの発明において、前記光学的監視機構の前記送信器および前記受信器は前記各ローラの夫々の回転軸の間に配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、図面中に示された好適実施例に関して以下に詳細に説明される。
図1は、送給ローラ1と、送給テーブル2と、テーカイン3a、3b、3cと、シリンダ4と、ドッファ5と、ストリッピング・ローラ6と、把持ローラ7、8と、ウェブ案内要素9と、ウェブ用ファネル10と、取出しローラ11、12と、フラット案内ローラおよびフラット・バーを備えた回転フラット13と、ケンス15と、ケンス用巻取器またはカンコイラ16とを備えた例えばTruetzschlerフラット・カードTC 03などのカードを示している。上記各ローラの回転方向は湾曲矢印により夫々表される。符号Mはシリンダ4の中心点(軸心)を表している。参照番号4aは針布を表し、且つ、参照番号4bはシリンダ4の回転方向を表している。矢印Aは作用方向を表している。上記フラット・カードの上流には、タフト供給器17が配置される。送給回転盤ブロック18内には、巻取りプレート19が回転可能に取付けられる。巻取りプレート19は、スライバに対する入口および出口を有するスライバ・チャネル20(図3参照)と、回転プレート21とを備える。取出しローラ11、12間の吐出口における狭幅間隙内には、スライバの破断を監視する光電的バリア64が配置される。
【0008】
図2を参照すると、Truetzschler練篠フレームTD 03などの練篠フレームは、牽伸システム取入口および牽伸システム吐出口を有する牽伸システム23を備える。不図示のケンスから到来するスライバ24は、スライバ案内部に進入し、取出しローラにより引出され、測定要素を通過して搬送される。練篠システム23は、フォー・オーバー・スリー牽伸システムとして設計され、すなわちそれは、3個の底部ローラI、II、III(Iは底部吐出ローラ、IIは中央底部ローラ、および、IIIは底部送給ローラ)と、4個の頂部ローラ25、26、27、28とから成る。複数本の繊維スライバから成る複合スライバ24の牽伸作用は、牽伸システム23において行われる。上記牽伸作用は、予備牽伸および主要牽伸から構成される。ローラ対6/IIIおよび5/IIは上記予備牽伸領域を形成し、かつ、ローラ対27/IIおよび25、26、27/Iは上記主要牽伸領域を形成する。練篠された繊維スライバ(繊維ウェブ29)は、牽伸システム吐出口におけるウェブ案内部材30に到達して、スライバ・ファネル33を通して取出しローラ31、32により引出されて其処でスライバ34へと凝縮され、該スライバは引き続いてケンス用巻取器および回転プレート21によりスライバ・コイル35をなしてケンス36内に布置される。参照番号63は、ローラ・ニップにおいて取出しローラ31、32の吐出口に配置されてスライバの破断を監視する役割を果たす光電的バリアを表す。
【0009】
図3は、カード牽伸システム39が、上記フラット・カード(図1参照)と巻取りプレート19(図1参照)との間において該巻取りプレート19の上方に配置されるという実施例を示している。カード牽伸システム39はスリー・オーバースリーの牽伸システムとして設計され、すなわちそれは、3個の底部ローラI、II、IIIと3個の頂部ローラ41、42、43とから成る。牽伸システム39に対する入口には入力側測定ファネル44が配置されており、該牽伸システムの出口には出力側測定ファネル45が配置されている。出力側ファネル45の下流には、湾曲矢印の方向に回転すると共に該出力側ファネル45から延伸済みスライバ63を引出す2個の取出しローラ46、47が設けられている。取出しローラ46、47のローラ・ニップとスライバ・チャネル20の入口領域20aとの間には光電的バリア48が配置されていて、不都合なスライバの積み重なりを検出する。底部吐出ローラI、取出しローラ46、47および巻取りプレート19は主要モータ49により駆動され、底部送給ローラIIIおよび底部中央ローラIIは可変速度モータ50により駆動される。これらモータ49および50は不図示の電子的制御/調整デバイスに接続され、該デバイスに対しては全ての光電的バリアも接続されている。図2に示された牽伸システム23は、図3に示されたフラット・カード牽伸システム39と類似した様式(主要モータおよび可変速度モータ)で駆動される。取出しローラ46、47間のローラ・ニップには、スライバ63の破断を監視する役割を果たす光電的バリア61が配置される(図6(a)、図6(b)参照)。
【0010】
図4に示された如く、フラット・カード(図1参照)の場合、取出しローラ11、12の吐出口における狭幅間隙内にはスライバ14の破断を監視する役割を果たす光電的バリア64が配置される。
【0011】
図5(a)、図5(b)によると練篠フレーム(図2)においては、送信器63aおよび受信器63bを含む光電的バリア63が取出しローラ31、32の吐出口における楔形状領域に配置され、スライバ34の破断を監視する役割を果たす。取出しローラ31および32は夫々、湾曲矢印31aおよび32aの方向に回転する。TおよびTは夫々、スライバの進行方向cに対し直交して配置された共有接線を表す。共有接線Tは狭幅間隙に対する入口において取出しローラ31、32に点31bおよび32bにて接触し、且つ、共有接線Tは上記狭幅間隙の出口において取出しローラ31、32に点31cおよび32cにて夫々接触する(図5(a))。
【0012】
図5(b)に示された如く、送信器63aおよび受信器63bは各々、取出しローラ31、32の夫々の端面31d、31eおよび端面32d、32eから離間して配置される。この様にして、送信器63aと受信器63bとの間の光路を取出しローラ31、32間のローラ・ニップに対して可及的に接近させて位置決めすることが可能である。接線T2と、ローラ31、32間の把持点との間の空間(楔形状領域)においては、高度に焦点合わせされた光線が存在する。送信器63aおよび受信器63bは、スペースの理由からも、上記狭幅間隙から離間して配置される。送信器63aはローラ31および32の夫々の回転軸31fおよび32fの間の空間内に配置され、且つ、上記受信器はローラ31および32の夫々の回転軸31gおよび32gの間の空間内に配置される。送信器63aは保持要素65a上に取付けられ、且つ、受信器63bは保持要素65b上に取付けられる。
【0013】
図6(a)は、取出しローラ46、47(図3参照)の吐出口におけるローラ・ニップに対する前面図を示している。該ローラ・ニップの領域およびローラ・ニップの上流の領域には略々フォーク形状の保持要素60が組み合わされている。図6(b)に示された如くこの要素は、開放された略々U形状の長方形を形成する2本の平行な長手ストラット60a、60bであって一端にては交差ストラット60cにより相互に結合された長手ストラット60a、60bから成る。直角に突出する夫々の延長部60dおよび60eは、長手ストラット60a、60bの他の2つの端部に取付けられる。長手ストラット60a、60bの夫々の内側部の間には、光電的バリア48が配置され、それにより、送信器48aは長手ストラット60a上に取付けられ且つ受信器48bは長手ストラット60b上に取付けられるようになる。送信器48aと受信器48bとの間の光路は、48’と示される。延長部60dおよび60eの夫々の内側部の間には、光電的バリア61が配置され、それにより、送信器61aは延長部60d上に取付けられ且つ受信器61bは延長部60e上に取付けられるようになる。送信器61aと受信器61bとの間の光路は、61’と示される。62は、光電的バリア48および61に対する共有の電気接続部を表す。図6(a)に示された如く保持要素60に対しては、該取出しローラ46、47のローラ吐出口が組み合わされ、それにより、高度に焦点合わせされた光線である光路61’が取出しローラ46、47の夫々の回転軸に平行であるローラ・ニップ(楔形状の領域)内に延在するようになる。光電的バリア61は、スライバの破断を監視する手段を形成する。送信器61aと受信器61bとの間の光線61’が遮断されたとき、スライバ63は存在することになる(図3参照)。光線61’が遮断されることなしに送信器61aから受信器61bまで進行する場合、スライバ63は存在しない(欠陥)。スライバ63は、2つの取出しローラ46、47間におけるローラ・ニップ(狭幅間隙)内、特に繊維材料把持点(ニップ)の近傍または正に該把持点において規定様式で案内されるのが有利である。すなわち、スライバ63を光路61’から離脱させ得る偏り、振動などが無い状態でスライバ63が案内されるのが有利である。
【0014】
更に、取出しローラ46、47のローラ吐出口に関し、保持要素60は、ローラ・ニップ(楔形状の領域)の外側にて光路48’が好適には取出しローラ46、47の夫々の回転軸に対して平行に延在する様に配置される。光電的バリア48は、スライバの積み重なりを監視する手段を形成する。送信器48aと受信器48bとの間の光線48’が送信器48aから受信器48bまで遮断されることなしに進行するとき、スライバ63の積み重なりは存在しない(図3参照)。この様にして、スライバの破断およびスライバの積み重なりの両方に対する複合的な光学的監視をひとつの機構によって行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】スライバの破断を監視する本発明に係る機構に対してケンス用巻取器を備えたフラット・カードの概略的側面図である。
【図2】スライバの破断を監視する本発明に係る機構を有する牽伸システムの練篠システムの概略的側面図である。
【図3】スライバの破断およびスライバの積み重なりを監視する本発明に係る機構を有するフラット・カード牽伸システムの概略的側面図である。
【図4】図1に示されたフラット・カードの取出しローラの吐出口における楔形状領域の範囲における本発明に係る監視機構を示す図である。
【図5】(a)スライバの破断を監視する光電的バリアを備えた一対の取出しローラの側面図である。(b)図5(a)に対応する前面図である。
【図6】(a)一対の取出しローラにおけるスライバの破断を監視する機構と繊維材料の積み重なりを監視する機構とを有する保持デバイスの前面図である。(b)図6(a)に示されると共に電気的接続を備えた上記保持デバイスの斜視図である。
【符号の説明】
【0016】
6 ローラ
7、8 把持ローラ
9 ウェブ案内要素
10 ウェブ用ファネル
11、12 取出しローラ
13 回転フラット
14 スライバ
15 ケンス
16 カンコイラ
17 タフト供給器
18 送給回転盤ブロック
19 巻取りプレート
20 チャネル
20a 入口領域
21 回転プレート
23 牽伸システム
23 練篠システム
24 スライバ
25、26、27、28 頂部ローラ
30 ウェブ案内部材
31、32 通して取出しローラ
31d、31e 端面
31f 回転軸
31g 回転軸
32d、32e 端面
33 ファネル
34 スライバ
35 コイル
36 ケンス
39 牽伸システム
41、42、43 頂部ローラ
44 入力側測定ファネル
45 出力側ファネル
45 出力側測定ファネル
46、47 取出しローラ
48 光電的バリア
48’ 光路
48a 送信器
48b 受信器
49 主要モータ
50 可変速度モータ
60 保持要素
60a 長手ストラット
60a、60b 長手ストラット
60c 交差ストラット
60d、60e 延長部
61 光電的バリア
61’ 光路
61a 送信器
61b 受信器
63 光電的バリア
63a 送信器
63b 受信器
64 光電的バリア
65a 保持要素
65b 保持要素
c 進行方向
共有接線
共有接線

【特許請求の範囲】
【請求項1】
たとえばフラット・カード、練篠フレームなどの、少なくとも一本のスライバが通過するローラ・ニップを形成する2個の回転ローラを有する紡績用前処理機において少なくとも一本のスライバを監視する装置であって、上記スライバの存在を監視する光学的監視機構(センサ機構)が上記各ローラの近傍に配備されるという装置において、
上記センサ機構(61、61a、61b;63、63a、63b;64)は、前記ローラ(11、12;31、32;46)の周面に対する夫々の共有接線(T、T)の領域内に配置されており、該共有接線は上記スライバの進行方向(c)に対して概ね直交して配置されており、
上記センサ(61、61a、61b;63、63a、63b;64)の光路(61’)は上記各ローラ(11、12;31、32;46)の夫々の回転軸に対して平行に延在することを特徴とする、装置。
【請求項2】
前記監視機構は、不都合なスライバの破断を検出し得る非接触センサ機構(センサ)を備えることを特徴とする、請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記回転ローラ対は、少なくとも一本のスライバが放出されるニップを形成していることを特徴とする、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記ローラ対はスライバを下流の回転ローラ対に移送することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記ローラ対は牽伸システムの一部であることを特徴とする、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記牽伸システムは練篠フレームの一部であることを特徴とする、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記牽伸システムはフラット・カード牽伸システムの一部であることを特徴とする、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記繊維材料は2本以上のスライバから成る複合スライバの形態で存在することを特徴とする、請求項1乃至7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記繊維材料は一つのスライバの形態で存在することを特徴とする、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記センサの光路は、移動する繊維材料の作用ウェブの方向に整列されることを特徴とする、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記センサは非接触検知用に設計されたセンサであることを特徴とする、請求項1乃至10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記センサは、光電センサ、好適には光センサであることを特徴とする、請求項1乃至11のいずれか一項に記載の装置。
【請求項13】
前記センサは反射センサの形態をなしていることを特徴とする、請求項1乃至12のいずれか一項に記載の装置。
【請求項14】
前記センサに対しては閾値検出デバイスが組み合わされ、該デバイスはスライバの破断に追随して破断信号を発することにより、上記センサ、好適には前記光電センサの光受信器の出力信号の変化に応答することを特徴とする、請求項1乃至13のいずれか一項に記載の装置。
【請求項15】
前記閾値検出デバイスは、スライバの破断により生じた該デバイスの閾値の正の超過または負の超過が所定持続時間に亙り中断されずに継続したときにのみスライバの破断を信号通知することを特徴とする、請求項1乃至14のいずれか一項に記載の装置。
【請求項16】
前記センサによりディスプレイおよび/または切換えデバイスが制御可能であることを特徴とする、請求項1乃至15のいずれか一項に記載の装置。
【請求項17】
スライバの破断の認識は光学的センサにより行われることを特徴とする、請求項1乃至16のいずれか一項に記載の装置。
【請求項18】
前記センサは、高度に焦点合わせされた光線を有する一方向光電的バリアであることを特徴とする、請求項1乃至17のいずれか一項に記載の装置。
【請求項19】
前記光電的バリアは前記各ローラの回転軸に平行に配置されることを特徴とする、請求項1乃至18のいずれか一項に記載の装置。
【請求項20】
前記光電的バリアは検出媒体としてレーザ光線を使用することを特徴とする、請求項1乃至19のいずれか一項に記載の装置。
【請求項21】
光は光ガイドにより監視箇所まで導かれることを特徴とする、請求項1乃至20のいずれか一項に記載の装置。
【請求項22】
スライバの破断が認識されたときには、所定の機械応答が開始されることを特徴とする、請求項1乃至21のいずれか一項に記載の装置。
【請求項23】
前記応答は妥当性制御(plausibility controls)に依存して行われることを特徴とする、請求項1乃至22のいずれか一項に記載の装置。
【請求項24】
前記光線が特定時間に亙り中断されたときにのみ応答が開始されることを特徴とする、請求項1乃至23のいずれか一項に記載の装置。
【請求項25】
前記光電的バリア(送信器)により発せられた光線の強度は、たとえば製品または材料などの異なる判断基準に対して適合可能であることを特徴とする、請求項1乃至24のいずれか一項に記載の装置。
【請求項26】
前記光電的バリア受信器の感度は、たとえば製品または材料などの異なる判断基準に対して適合され得ることを特徴とする、請求項1乃至25のいずれか一項に記載の装置。
【請求項27】
異なる製品条件に対する前記光電的バリアの感度および/または強度の調節内容は記憶されると共に、条件が同一である場合には、自動的に呼び出されて手動介入なしで使用され得ることを特徴とする、請求項1乃至26のいずれか一項に記載の装置。
【請求項28】
スライバの破断を検出するために照光手段を備えた電子カメラが使用されることを特徴とする、請求項1乃至27のいずれか一項に記載の装置。
【請求項29】
前記センサの光路は前記各ローラの狭幅間隙における周面に直接的に隣接して延在することを特徴とする、請求項1乃至28のいずれか一項に記載の装置。
【請求項30】
前記センサの光路は前記各ローラ間の把持ラインに直接的に隣接して延在することを特徴とする、請求項1乃至29のいずれか一項に記載の装置。
【請求項31】
前記光路は前記作用方向に対して前記ローラ対の下流に延在することを特徴とする、請求項1乃至30のいずれか一項に記載の装置。
【請求項32】
前記光学的センサ機構は送信器および受信器を備えることを特徴とする、請求項1乃至31のいずれか一項に記載の装置。
【請求項33】
前記光学的センサ機構は静止的な保持デバイスに取付けられることを特徴とする、請求項1乃至32のいずれか一項に記載の装置。
【請求項34】
前記保持デバイスは前記ローラ対の側方の領域に設けられることを特徴とする、請求項1乃至33のいずれか一項に記載の装置。
【請求項35】
前記センサ機構はフレーム構造などに取付けられることを特徴とする、請求項1乃至34のいずれか一項に記載の装置。
【請求項36】
前記フレーム構造は略々C形状の構成であることを特徴とする、請求項1乃至35のいずれか一項に記載の装置。
【請求項37】
前記フレーム構造は略々フォーク状の構成であることを特徴とする、請求項1乃至36のいずれか一項に記載の装置。
【請求項38】
前記フレーム構造は略々矩形もしくは正方形の構成であることを特徴とする、請求項1乃至37のいずれか一項に記載の装置。
【請求項39】
スライバの破断に対するセンサ監視機構および繊維材料の積み重なりに対するセンサ監視機構が前記保持デバイス上に存在することを特徴とする、請求項1乃至38のいずれか一項に記載の装置。
【請求項40】
スライバの破断に対する前記センサ監視機構は、前記各ローラの周面に対する夫々の前記共有接線の間の領域内において前記保持デバイス上に配置されることを特徴とする、請求項1乃至39のいずれか一項に記載の装置。
【請求項41】
前記センサ監視機構の光路は、前記ローラ対の回転軸に対して平行に延在することを特徴とする、請求項1乃至40のいずれか一項に記載の装置。
【請求項42】
材料の積み重なりを監視する前記センサ機構とスライバの破断を監視する前記センサ機構とに対しては、共有の電気接続部が存在することを特徴とする、請求項1乃至41のいずれか一項に記載の装置。
【請求項43】
前記各センサ機構に対する共有の電気接続部は電気的評価機構に接続されることを特徴とする、請求項1乃至42のいずれか一項に記載の装置。
【請求項44】
材料の積み重なりを監視する前記センサ機構とスライバの破断を監視する前記センサ機構との夫々の電気信号の評価は、別個に実施されることを特徴とする、請求項1乃至43のいずれか一項に記載の装置。
【請求項45】
前記電気信号は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに対して、集合的信号として処理可能であることを特徴とする、請求項1乃至44のいずれか一項に記載の装置。
【請求項46】
前記電子信号は、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに対して、単一の評価物として処理可能であることを特徴とする、請求項1乃至45のいずれか一項に記載の装置。
【請求項47】
スライバの破断時に、前記光路は前記送信器から前記受信器まで延在していることを特徴とする、請求項1乃至46のいずれか一項に記載の装置。
【請求項48】
前記光学的監視機構の前記送信器および前記受信器は前記各ローラの夫々の端面から離間して配置されることを特徴とする、請求項1乃至47のいずれか一項に記載の装置。
【請求項49】
前記光学的監視機構の前記送信器および前記受信器は前記各ローラの夫々の回転軸の間に配置されることを特徴とする、請求項1乃至48のいずれか一項に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−233413(P2006−233413A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−50999(P2006−50999)
【出願日】平成18年2月27日(2006.2.27)
【出願人】(590002323)ツリュツラー ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト (85)
【Fターム(参考)】