説明

てんかんおよび関連疾患を治療するためのスルファメートおよびスルファミド誘導体

【課題】新規なスルファミドおよびスルファメート誘導体、これらを含有させた薬剤組成物およびこれらのてんかんおよび関連疾患の治療方法の提供。
【解決手段】新規化合物は下式に示される。


[式中、R1およびR2は、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され、R4は、水素および低級アルキルから成る群から選択され、aは、1から2の整数であり、Rは炭素環が縮合したO含有複素環である。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規なスルファメートおよびスルファミド誘導体、これらを含有させた薬剤組成物およびこれらをてんかんおよび関連疾患の治療で用いることに向けたものである。
【背景技術】
【0002】
てんかんは、根底にある慢性的プロセスが原因でヒトが反復発作を起こす状態を記述するものである。てんかんは単一の病気の存在ではなくむしろ臨床的現象を指す、と言うのは、てんかんの形態および原因はいろいろであるからである。2種以上のいわれのない発作であるとしててんかんの定義を用いると、てんかんの罹患率は世界中のいろいろな集団の中の約0.3から0.5パーセントであると推定され、てんかん患者数は1000人当たり5から10人であると推定される。
【0003】
発作を起こした患者を査定しかつ管理する時の必須段階は起こった発作の種類を決定することにある。いろいろな分類の発作を区別する主な特徴は、発作の活動が部分的(限局性と同義語)であるか或は全身的であるかである。
【0004】
部分発作は、発作の活動が大脳皮質の個別領域に限定されている発作である。発作中に意識が完全に保たれている場合、その臨床的徴候は比較的単純であると見なされ、そのような発作は単純部分発作と呼ばれる。意識が失われた場合、そのような発作は複雑部分発作と呼ばれる。重要な追加的サブグループには、部分発作として始まった後に皮質全体に拡散的に広がる発作が含まれ、それらは二次的全身性を伴う部分発作として知られる。
【0005】
全身性発作は、脳に左右対称様式で同時に生じる拡散領域を伴う。欠神もしくは小発作は、姿勢制御の損失なしに突然に起こる短時間の意識消失で特徴づけられる。非定型欠神発作には、典型的に、意識消失持続期間がより長いこと、突発および中断の度合が低いこと、そして運動徴候がより明らかであることが含まれ、それには、限局性もしくは片側性が含まれ得る。全身性発作の主要な種類である全身性強直間代性発作もしくは大発作は、前兆なしに突発性であることで特徴づけられる。発作の初期段階は一般に筋緊張性収縮、呼吸障害、交感神経系の緊張の顕著な増大であり、それによって心拍数、血圧および瞳孔の大きさの増加がもたらされる。発作の強直期は典型的に10−20秒後に間代期に進行し、それは、筋緊張性収縮に筋弛緩期間が重なることによってもたらされる。その弛緩期間は進行的に長引き、最終的に、発作期(これの持続期間は一般に1分以内である)が終了する。発作後期は無反応、筋弛緩および唾液分泌過剰で特徴づけられ、それによって、喘鳴呼吸および部分的気道閉塞がもたらされ得る。無緊張発作は、姿勢筋緊張が突然に失われて1−2秒間持続することで特徴づけられる。意識障害は短時間であり、通常は発作後錯乱を伴わない。間代性筋けいれん発作は筋収縮が突然に短時間起こることで特徴づけられ、これは体の一部または体全体に関係し得る(www.harrisonsonline.com,2001年3月29日)。
【0006】
炭酸脱水酵素阻害薬(CAI)は薬剤、主に抗緑内障薬および抗分泌薬または利尿薬として幅広く用いられていて、価値ある化合物である。しかしながら、全身性抗緑内障薬(例えばアセタゾールアミド)は潜在的に望まれない副作用を示し、それには知覚異常、腎結石症および体重損失が含まれる。トピラメートは良く知られている抗けいれん薬であり、これは1桁のミクロモルで炭酸脱水酵素阻害を示すが、このことは、トピラメートを服用したある患者が知覚異常を引き起こしたことを指摘したことで疑われている。
【0007】
てんかんおよび関連疾患の有効な治療、好適には炭酸脱水酵素阻害に起因する副作用を伴わない治療を提供することが必要とされているままである。
【発明の概要】
【0008】
本発明は、新規なスルファメートおよびスルファミド誘導体、これらを含有させた薬剤組成物およびこれらをてんかんおよび関連疾患の治療で用いることに向けたものである。より詳細には、本発明は、本明細書の以下に定義する如き式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物に向けたものである。
【0009】
本発明は、新規なスルファメート誘導体である式(I)
【0010】
【化1】

【0011】
[式中、
およびRは、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され、
aは、1から2の整数であり、
【0012】
【化2】

【0013】
は、
【0014】
【化3】

【0015】
から成る群から選択される環構造物であり、ここで、
bは、0から4の整数であり、そしてここで、
cは、0から2の整数であり、
は、各々独立して、ハロゲン,低級アルキル,ヒドロキシ置換低級アルキル,−O−(低級アルキル),−S−(低級アルキル),ニトロ,シアノ,アミノ,低級アルキルアミノ,ジ(低級アルキル)アミノおよび−C(O)O−(低級アルキル)から成る群から選択されるが、但し
【0016】
【化4】

【0017】

【0018】
【化5】

【0019】
の時はaが1であることを条件とし、更に、
が水素であり、Rが水素でありそしてaが1の時には
【0020】
【化6】

【0021】

【0022】
【化7】

【0023】
以外であることも条件とする]
で表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩に向けたものである。
【0024】
本発明は、更に、新規なスルファミド誘導体である式(II)
【0025】
【化8】

【0026】
[式中、
およびRは、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され、
は、水素および低級アルキルから成る群から選択され、
aは、1から2の整数であり、
【0027】
【化9】

【0028】
は、
【0029】
【化10】

【0030】
から成る群から選択され、ここで、
bは0から4の整数であり、そしてここで、
cは0から2の整数であり、
は、各々独立して、ハロゲン、低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが、但し
【0031】
【化11】

【0032】

【0033】
【化12】

【0034】
の時にはaが1であることを条件とする]
で表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩にも向けたものである。
【0035】
本発明は、更に、式(III)
【0036】
【化13】

【0037】
で表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩にも向けたものである。
【0038】
本発明の具体例は、薬学的に受け入れられる担体およびこの上に記述した化合物のいずれかを含んで成る薬剤組成物である。本発明の具体例は、この上に記述した化合物のいずれかと薬学的に受け入れられる担体を混合することで生じさせた薬剤組成物である。本発明を実現する例は、この上に記述した化合物のいずれかと薬学的に受け入れられる担体を混合することを含んで成る薬剤組成物製造方法である。
【0039】
本発明を具体化する例は、てんかんおよび関連疾患の治療を必要としている被験体におけるそれを治療する方法であり、この方法は、前記被験体にこの上に記述した化合物または薬剤組成物のいずれかを治療的に有効な量で投与することを含んで成る。
【0040】
本発明の別の例は、本明細書に記述する化合物のいずれかをてんかんまたは関連疾患の治療を必要としている被験体におけるそれを治療するための薬剤を製造する時に用いる例である。
【0041】
発明の詳細な説明
本発明は、式(I)で表される化合物および式(II)で表される化合物:
【0042】
【化14】

【0043】
に向けたものであり、ここで、
【0044】
【化15】

【0045】
,a,R,RおよびRは、本明細書で定義する通りである。本発明は、更に、式(III)で表される化合物にも向けたものである。前記式(I),式(II)および式(III)で表される化合物はてんかんおよび関連疾患の治療で用いるに有用である。
【0046】
本明細書で用いる如き「ハロゲン」は、特に明記しない限り、塩素、臭素、フッ素およびヨウ素を意味する。
【0047】
本明細書で用いる如き用語「アルキル」は、これを単独で用いるか或は置換基の一部として用いるかに拘らず、特に明記しない限り、直鎖および分枝鎖を包含する。例えば、アルキル基にはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、s−ブチル、t−ブチル、ペンチルなどが含まれる。特に明記しない限り、アルキルに関して「低級」を用いる場合、これは炭素原子数が1から4の炭素鎖組成を意味する。
【0048】
本明細書で用いる如き「アルコキシ」は、特に明記しない限り、上述した直鎖もしくは分枝鎖アルキル基の酸素エーテル基を表す。例えばメトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、s−ブトキシ、t−ブトキシ、n−ヘキシルオキシなど。
【0049】
本明細書で用いる如き記号「*」は立体中心の存在を表す。
【0050】
個々の基(例えばアルキル、アリールなど)が「置換されている」場合、そのような基は置換基のリストから独立して選択される置換基を1つ以上、好適には置換基を1から5個、より好適には置換基を1から3個、最も好適には置換基を1から2個持っていてもよい。
【0051】
置換基を言及する時の用語「独立して」は、そのような置換基が2個以上可能な時に前記置換基は互いに同じまたは異なってもよいことを意味する。
【0052】
本開示の全体に渡って用いる標準的命名法の下では、表示する側鎖の末端部分を最初に記述した後に隣接する官能性を結合点に向かって記述する。従って、例えば「フェニル−
アルキル−アミノ−カルボニル−アルキル」置換基は、式
【0053】
【化16】

【0054】
で表される基を指す。
【0055】
本明細書、特にスキームおよび実施例で用いる省略形は下記の通りである:
【0056】
【表1】

【0057】
本明細書で用いる如き用語「てんかんおよび関連疾患」または「てんかんまたは関連疾患」は、特に明記しない限り、被験体(好適には成人、子供または幼児)が1種以上の発作および/または振戦を経験する疾患のいずれかを意味する。適切な例には、これらに限定するものでないが、てんかん(これらに限定するものでないが、局在関連てんかん、全
身てんかん、全身発作と局所発作の両方を伴うてんかんなどが含まれる)、病気または状態の合併症としての発作(例えば、脳障害、フェニルケトン尿症、若年性ゴーシェ病、Lundborgの進行性ミオクローヌスてんかん、卒中、脳外傷、ストレス、ホルモン変化、薬物使用または離脱、アルコール使用または離脱、睡眠欠乏などを伴う発作)、本態性振戦、四肢静止不能症候群などが含まれる。そのような疾患は好適にはてんかん(種類、根底にある原因または源に関係なく)、本態性振戦または四肢静止不能症候群から選択され、より好適には、そのような疾患はてんかん(種類、根底にある原因または源に関係なく)または本態性振戦である。
【0058】
本明細書で用いる如き用語「被験体」は、治療、観察または実験の対象であるか或は対象であった動物、好適には哺乳動物、最も好適には人を指す。
【0059】
本明細書で用いる如き用語「治療的に有効な量」は、研究者、獣医、医者または他の臨床医が探求している活性化合物または薬剤が組織系、動物または人に生物学的もしくは医薬的反応(治療すべき病気または疾患の症状の軽減を包含)を引き出す量を意味する。
【0060】
本明細書で用いる如き用語「組成物」は、これに、指定材料を指定量で含んで成る製品ばかりでなく指定材料を指定量で組み合わせる結果として直接または間接的にもたらされる如何なる生成物も包含させることを意図する。
【0061】
本発明に従う化合物がキラル中心を少なくとも1つ有する場合、それらはそれに応じて鏡像異性体として存在し得る。本化合物がキラル中心を2つ以上有する場合、それらは追加的にジアステレオマーとして存在し得る。そのような異性体およびこれらの混合物の全部を本発明の範囲内に包含させると理解されるべきである。その上、本化合物の結晶形態の数種は同質異像として存在する可能性があり、このように、それらも本発明に包含させることを意図する。加うるに、本化合物の数種は水と一緒に溶媒和物(即ち水化物)または通常の有機溶媒と一緒に溶媒和物を形成する可能性があり、そのような溶媒和物もまた本発明の範囲内に包含させることを意図する。
【0062】
本発明に従う化合物を生じさせる過程で立体異性体の混合物がもたらされる場合には、通常の技術、例えば調製用クロマトグラフィーなどを用いてそのような異性体を分離することができる。このような化合物はラセミ形態で調製可能であるか、或は鏡像特異的合成または分割のいずれかを用いて個々の鏡像異性体を生じさせることも可能である。標準的技術、例えば光活性酸、例えば(−)−ジ−p−トルオイル−d−酒石酸および/または(+)−ジ−p−トルオイル−L−酒石酸などを用いて塩を生じさせた後に分別結晶化を行いそして遊離塩基を再生させてジアステレオマー対を生じさせることなどで、前記化合物を例えばそれらの成分である鏡像異性体に分割してもよい。また、ジアステレオマーであるエステルまたはアミドを生じさせた後にクロマトグラフィーによる分離を行いそしてキラル補助剤を除去することで前記化合物の分割を行うことも可能である。別法として、キラルHPLCカラムを用いて前記化合物の分割を行うことも可能である。
【0063】
本発明の化合物を生じさせる過程のいずれかを行っている間に、関係する分子のいずれかが有する敏感または反応性基を保護する必要がありそして/またはその方が望ましい可能性がある。これは通常の保護基、例えばJ.F.W.McOmie編集「Protective Groups in Organic Chemistry」、Plenum
Press、1973、そしてT.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、「Protective Groups in Organic Synthesis」、John Wiley & Sons、1991に記述されている如き保護基を用いて達成可能である。このような保護基は本技術分野で公知の方法を用いて後の便利な段階で除去可能である。
【0064】
本発明は、本発明の化合物のプロドラッグを本発明の範囲内に包含する。そのようなプロドラッグは、一般に、生体内で必要な化合物に容易に変化し得る本化合物の機能的誘導体である。このように、本発明の治療方法では、用語「投与する」に、具体的に開示した化合物を用いるか或は具体的には開示することができなかったが患者に投与した後に生体内で指定化合物に変化する化合物を用いて記述したいろいろな疾患を治療することを包含させる。適切なプロドラッグ誘導体を選択および調製する通常の手順は、例えばH.Bundgaard、Elsevier編集の「Design of Prodrugs」(1985)などに記述されている。
【0065】
本発明は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物および/または式(III)で表される化合物を薬学的に受け入れられる担体と一緒に含んで成る薬剤組成物を提供する。本組成物を好適には経口、非経口、鼻孔内、舌下もしくは腸投与、または吸入または吹送による投与に適した単位投薬形態物、例えば錠剤、ピル、カプセル、粉末、顆粒、非経口用無菌溶液もしくは懸濁液、定量エーロゾルもしくは液体スプレー、ドロップ、アンプル、オートインジェクター装置または座薬などの形態にする。別法として、本組成物を週に1回または月に1回の投与に適した形態で提供することも可能であり、例えば、筋肉内注射に適した持続性製剤を提供する時には本活性化合物の不溶塩、例えばデカン酸塩などが適合し得る。固体状の組成物、例えば錠剤などを調製する場合には、主活性成分を薬学的担体、例えば通常の錠剤用材料、例えばコーンスターチ、ラクトース、スクロース、ソルビトール、タルク、ステアリン酸、ステアリン酸マグネシウム、燐酸ジカルシウムまたはゴムなど、および他の薬学的希釈剤、例えば水などと一緒に混合することで、主成分の均一な混合物を含有する固体状の予備調合組成物を生じさせる。そのような予備調合組成物が均一であると述べる場合、これは、前記組成物を等しく有効な投薬形態物、例えば錠剤、ピルおよびカプセルなどに容易に細分することができるように活性材料が前記組成物の全体に渡ってむらなく分散していることを意味する。次に、この固体状の予備調合組成物を細分して本発明の活性材料の含有量が約1から約1000mgの前記種類の単位投薬形態物にする。本新規組成物の錠剤またはピルに被覆を受けさせるか或は他の様式で配合することで作用が長期であると言った利点を示す投薬形態物を生じさせることができる。例えば、錠剤またはピルが内部の投薬成分と外側の投薬成分を含んで成っていて、後者が前者を封じ込めている形態にしてもよい。この2つの成分を腸溶性層[これは胃の中で起こる崩壊に抵抗しかつ前記内部の成分が無傷のまま通過して十二指腸の中に入ることを可能にする働きするか或は放出を遅らせる働きをする]で分離してもよい。そのような腸溶性層または被膜としていろいろな材料を用いることができ、そのような材料にはいろいろな高分子量酸が含まれ、そのような材料はシェラック、セチルアルコールおよび酢酸セルロースの如き材料である。
【0066】
経口または注射による投与の目的で本発明の新規な組成物を取り込ませることができる液状形態には、水溶液、適切な風味のシロップ、水性もしくは油懸濁液および風味を付けた乳液(食用油、例えば綿実油、ゴマ油、ヤシ油または落花生油などばかりでなくエリキシルおよび同様な薬学的媒体を用いた)が含まれる。水性懸濁液で用いるに適した分散もしくは懸濁剤には、合成および天然ゴム、例えばトラガカント、アカシア、アルギン酸塩、デキストラン、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンまたはゼラチンなどが含まれる。
【0067】
本発明の薬剤組成物を調製する時、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物および/または式(III)で表される化合物を薬学的担体と一緒に通常の薬剤配合技術に従って密に混合するが、そのような担体は投与に望まれる製剤の形態に応じて幅広く態様な形態を取り得、例えば適切な可溶化剤を用いてi.v.注射用無菌製剤を生じさせる。単位投薬物に活性材料を約10から約300mg含有させてもよい。そのような
錠剤に下記の活性材料の中の数種または全部を含有させてもよい:含水ラクトース、前以てゼラチン状にしておいた澱粉、微結晶性セルロース、澱粉グリコール酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、精製水、カルナウバ蝋、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、二酸化チタン、ポリエチレングリコール、合成酸化鉄およびポリソルビトール80。本分野の技術者は、式(I)で表される化合物、式(II)で表される化合物および/または式(III)で表される化合物を含有させた経口用錠剤も同様に調製可能でありかつそれらにも同様な活性材料を含有させてもよいことを認識するであろう。
【0068】
本分野の技術者は、2種以上の活性材料を含んで成る薬剤組成物も公知方法に従って同様に調製可能であることを認識するであろう。
【0069】
本発明の1つの態様では、Rを水素およびメチルから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rを水素およびメチルから成る群から選択する。本発明の更に別の態様におけるRおよびRは各々水素であるか或はRおよびRは各々メチルである。
【0070】
本発明の1つの態様では、−(CH−を-CH−および-CH−CH−から成る群から選択する。本発明の別の態様における−(CH−は-CH−である。
【0071】
本態様では、Rを水素およびメチルから成る群から選択し、好適にはRは水素である。
【0072】
本発明の1つの態様におけるaは1である。
【0073】
本発明の1つの態様におけるbは0から2の整数である。本発明の別の態様におけるcは0から2の整数である。本発明の別の態様におけるbは0から1の整数である。本発明の別の態様におけるcは0から1の整数である。本発明の更に別の態様におけるbとcの合計は0から2の整数、好適には0から1の整数である。本発明の更に別の態様におけるbは0から2の整数でありそしてcは0である。
【0074】
本発明の1つの態様における
【0075】
【化17】

【0076】

【0077】
【化18】

【0078】
から成る群から選択した環構造物である。発明の別の態様における
【0079】
【化19】

【0080】
は、
【0081】
【化20】

【0082】
から成る群から選択した環構造物である。
【0083】
本発明の1つの態様における
【0084】
【化21】

【0085】
は、2−(クロマニル)、2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル)、2−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(2,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−b][1,4]ジオキシニル)および2−(7−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)から成る群から選択し
た環構造物である。本発明の別の態様における
【0086】
【化22】

【0087】
は、2−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(2,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−b][1,4]ジオキシニル)から成る群から選択した環構造物である。
【0088】
本発明の1つの態様では、
【0089】
【化23】

【0090】

【0091】
【化24】

【0092】
から成る群から選択する。本発明の別の態様では、
【0093】
【化25】

【0094】

【0095】
【化26】

【0096】
から成る群から選択する。
【0097】
本発明の1つの態様では、
【0098】
【化27】

【0099】
を2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル)、3−(3,4−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル)、2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(クロマニル)、2−(5−フルオロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)、2−(7−ニトロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(5−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(8−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(2,3−ジヒドロ−ナフト[2,3−b][1,4]ジオキシニル)および2−(4−メチル−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)から成る群から選択する。
【0100】
本発明の別の態様では、
【0101】
【化28】

【0102】
を2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル)、2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群から選択する。本発明の別の態様では、
【0103】
【化29】

【0104】
を2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)、2−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)および2−(6−ブロモ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシニル)から成る群から選択する。
【0105】
本発明の1つの態様では、Rをハロゲン,低級アルキル,ヒドロキシ置換低級アルキル,−O−(低級アルキル),ニトロ,シアノ,アミノ,低級アルキルアミノおよびジ(低級アルキル)アミノから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rをハロゲンおよびニトロから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rをクロロおよびニトロから成る群から選択する。
【0106】
本発明の1つの態様では、Rを(II)ハロゲンおよび低級アルキルから成る群から選択する。本発明の別の態様では、Rをクロロ,フルオロ,ブロモおよびメチルから選択する。
【0107】
本発明の1つの態様において、式(I)で表される化合物における
【0108】
【化30】

【0109】

【0110】
【化31】

【0111】
(ここで、bは1でありそしてRはハロゲン,ニトロ,シアノ,アミノ,低級アルキル,低級アルコキシおよび-C(O)O−(低級アルキル)から成る群から選択される)以外である。本発明の別の態様において、式(I)で表される化合物における
【0112】
【化32】

【0113】

【0114】
【化33】

【0115】
(ここで、bは1である)以外である。
【0116】
本発明の1つの態様における式(I)で表される化合物が有する立体中心はS配置である。本発明の別の態様における式(I)で表される化合物が有する立体中心はR配置である。
【0117】
本発明の1つの態様における式(II)で表される化合物が有する立体中心はS配置である。本発明の別の態様における式(II)で表される化合物が有する立体中心はR配置である。
【0118】
本発明の1つの態様における式(I)で表される化合物は、鏡像異性体豊富度(%ee)が約75%以上、好適には約90%以上、より好適には約95%,最も好適には約98%であるように一方の鏡像異性体が豊富な混合物として存在する。
【0119】
本発明の1つの態様における式(II)で表される化合物は、鏡像異性体豊富度(%ee)が約75%以上、好適には約90%以上、より好適には約95%,最も好適には約98%であるように一方の鏡像異性体が豊富な混合物として存在する。
【0120】
本発明の1つの態様における化合物は、100mg/kg時のMES活性が3/5のマウスに等しいか或はそれ以上である式(I)で表される化合物である。本発明の1つの態様における化合物は、100mg/kg時のMES活性が3/5のマウスに等しいか或はそれ以上である式(II)で表される化合物である。
【0121】
本発明の代表的な化合物は以下の表1および2に挙げる如くである。本発明の追加的化合物は表3に挙げる如くである。以下の表1、2および3中の見出しが「立体」の縦列に、星印付き結合の所に結合している複素環の炭素原子の所の立体配置を示す。全く表示しない場合、そのような化合物は立体配置混合物として生じた。“R”または“S”と表示する場合、そのような立体配置は一方の鏡像異性体が豊富に存在する出発材料が基になっている。
【0122】
【表2】

【0123】
【表3】

【0124】
【表4】

【0125】
【表5】

【0126】
式(I)で表される化合物の調製はスキーム1に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0127】
【化34】

【0128】
従って、式(V)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と式(VI)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を塩基、例えばNaH,TEA,DIPEA,ピリ
ジンなどの存在下の有機溶媒、例えばDMF,DMSOなど中で反応させることで相当する式(I)で表される化合物を生じさせる。
【0129】
式(II)で表される化合物の調製はスキーム2に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0130】
【化35】

【0131】
従って、式(VII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)とスルファミド(公知化合物)の反応を好適にはスルファミドを約2から約5当量の範囲の量で存在させて有機溶媒、例えばTHF,ジオキサンなど中で好適には約50°Cから約100°Cの範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度で起こさせることで相当する式(IIa)で表される化合物を生じさせる。
【0132】
別法として、式(VII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と式(VIII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を塩基、例えばTEA,DIPEA,ピリジンなどの存在下の有機溶媒、例えばDMF,DMSOなど中で反応させることで相当する式(II)で表される化合物を生じさせる。
【0133】
式(V)[式中、
【0134】
【化36】

【0135】

【0136】
【化37】

【0137】
である]で表される化合物の調製はスキーム3に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0138】
【化38】

【0139】
従って、式(X)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と式(XI)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を塩基、例えばナトリウムメトキサイド,ナトリウムエトキサイド,ナトリウムt−ブトキサド,カリウムメトキサイド,カリウムt−ブトキサドなどの存在下の有機溶媒、例えばメタノール,エタノール,IPAなど中で好適には約50°Cから約100°Cの範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度で反応させることで相当する式(XII)で表される化合物を生じさせる。
【0140】
前記式(XII)で表される化合物と適切に選択した還元剤、例えばLAHなどを有機溶媒、例えばTHF,ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(Va)で表される化合物を生じさせる。
【0141】
式(VII)[式中、
【0142】
【化39】

【0143】

【0144】
【化40】

【0145】
である]で表される化合物の調製はスキーム4に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0146】
【化41】

【0147】
従って、式(XIII)で表される適切に置換されている化合物[公知化合物または公知方法で調製可能な化合物(例えば前記スキーム3に記述した如く)とNHOH(公知化合物)を場合により有機溶媒、例えばアセトニトリルなど中で反応させることで相当する式(XIV)で表される化合物を生じさせる。
【0148】
前記式(XIV)で表される化合物と適切に選択した還元剤、例えばLAHなどを有機溶媒、例えばTHF,ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(VIIa)で表される化合物を生じさせる。
【0149】
式(VII)[式中、
【0150】
【化42】

【0151】

【0152】
【化43】

【0153】
から選択される]で表される化合物の調製はスキーム5に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0154】
【化44】

【0155】
従って、式(XV)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と3−クロロ−2−クロロメチル−プロペン(公知化合物)を塩基、例えば炭酸カリウム,炭酸ナトリウム,重炭酸ナトリウム,TEA,DIPEAなどの存在下の有機溶媒、例えばアセトニトリル,THF,ジオキサンなど中で好適には約50°Cから約100°Cの範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度で反応させることで相当する式(XVI)で表される化合物を生じさせる。
【0156】
前記式(XVI)で表される化合物とボランを有機溶媒、例えばTHF,ジオキサンなど中で反応させることで相当する式(XVII)で表される化合物を生じさせ、好適にはこれを単離しない。
【0157】
前記式(XVII)で表される化合物とアミノスルホン酸を好適には約50°Cから約100°の範囲内の温度、より好適にはほぼ還流温度で反応させることで相当する式(VIIb)で表される化合物を生じさせる。
【0158】
式(V)[式中、
【0159】
【化45】

【0160】

【0161】
【化46】

【0162】
から選択される]で表される化合物の調製はスキーム6に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0163】
【化47】

【0164】
従って、式(XVIII)で表される適切に置換されている化合物(前記スキーム5に示したようにして調製した化合物)と過酸化物、例えば過酸化水素などを塩基、例えばNaOH,KOHなどの存在下の有機溶媒、例えばクロロホルム,DCE,DCMなど中で反応させることで相当する式(Vb)で表される化合物を生じさせる。
【0165】
式(V)[式中、
【0166】
【化48】

【0167】

【0168】
【化49】

【0169】
から選択される]で表される化合物の調製はスキーム7に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0170】
【化50】

【0171】
従って、式(XIX)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と適切に選択した還元剤、例えばLAHなどを有機溶媒、例えばTHF,ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(Vc)で表される化合物を生じさせる。
【0172】
式(VII)[式中、
【0173】
【化51】

【0174】

【0175】
【化52】

【0176】
から選択される]で表される化合物の調製はスキーム8に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0177】
【化53】

【0178】
従って、式(XX)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)とNHOHを連成剤、例えばDCCなどの存在下で場合により有機溶媒、例えばアセトニトリルなど中で反応させることで相当する式(XXI)で表される化合物を生じさせる。
【0179】
前記式(XXI)で表される化合物と適切に選択した還元剤、例えばLAHなどを有機溶媒、例えばTHF,ジエチルエーテルなど中で反応させることで相当する式(VIIc)で表される化合物を生じさせる。
【0180】
式(V)[式中、
【0181】
【化54】

【0182】

【0183】
【化55】

【0184】
から選択されそしてaは1である]で表される化合物の調製はスキーム9に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0185】
【化56】

【0186】
従って、式(XXII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)と式(XXIII)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)を塩基、例えばKCO,NaCO,NaHCOなどの存在下の有機溶媒、例えばDMF,DMSO,アセトニトリルなど中で好適には約50°Cから約100°Cの範囲内の高温、より好適には約50°Cから約75°Cの範囲内の高温で反応させることで相当する式(Vd)で表される化合物を生じさせる。
【0187】
式(VII)[式中、
【0188】
【化57】

【0189】

【0190】
【化58】

【0191】
から選択されそしてaは2である]で表される化合物の調製はスキーム10に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0192】
【化59】

【0193】
従って、式(XXIV)[式中、Jは適切な脱離基、例えばBr,Cl,I,トシル,メシル,トリフリルなどである]で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)(例えばJがOHである相当する化合物を活性化させることなどで)とシアン化物、例えばシアン化カリウム,シアン化ナトリウムなどを有機溶媒、例えばDMSO,DMF,THFなど中で反応させることで相当する式(XXV)で表される化合物を生じさせる。
【0194】
前記式(XXV)で表される化合物に公知方法に従う還元、例えばそれを適切な還元剤、例えばLAH,ボランなどと反応させることによる還元を受けさせることで相当する式(VIIe)で表される化合物を生じさせる。
【0195】
式(VII)[式中、
【0196】
【化60】

【0197】

【0198】
【化61】

【0199】
から選択されそしてaは1である]で表される化合物の調製はスキーム11に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0200】
【化62】

【0201】
従って、式(XXVI)で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)(例えば前記スキーム9に概略を示した方法に従う)に公知方法に従う活性化を受けさせることで相当する式(XXVII)[式中、Jは適切な脱離基、例えばトシレート,Cl,Br,I,メシレート,トリフレートなどである]で表される化合物を生じさせる。
【0202】
前記式(XXVII)で表される化合物とフタルイミド塩、例えばカリウムフタルイミド,ナトリウムフタルイミドなどを有機溶媒、例えばDMF,DMSO,アセトニトリルなど中で好適には50°Cから約200°Cの範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度で反応させることで相当する式(XXVIII)で表される化合物を生じさせる。
【0203】
前記式(XXVI)で表される化合物とN(公知化合物)を有機溶媒、例えばエタノール,メタノールなど中で好適には約50°Cから約100°Cの範囲内の高温、より好適にはほぼ還流温度などで反応させることで相当する式(VIId)で表される化合物を生じさせる。
【0204】
式(V)[式中、
【0205】
【化63】

【0206】

【0207】
【化64】

【0208】
から選択されそしてaは2である]で表される化合物の調製も同様にスキーム12に概略を示す方法に従って実施可能である。
【0209】
【化65】

【0210】
従って、式(XXVII)[式中、JはCNである]で表される適切に置換されている化合物(公知化合物または公知方法で調製可能な化合物)に公知方法に従う加水分解、例えばそれを適切な酸または塩基と反応させることによる加水分解を受けさせることで相当する式(XXIX)で表される化合物を生じさせる。
【0211】
前記式(XXIX)で表される化合物に公知方法に従う還元、例えばそれを適切な還元剤、例えばLAHなどと反応させることによる還元を受けさせることで相当する式(Ve)で表される化合物を生じさせる。
【0212】
本分野の技術者は、式(V)および(VII)[式中、
【0213】
【化66】

【0214】

【0215】
【化67】

【0216】
から選択される]で表される化合物[例えば式(X),(XIII),(XV),(XVIII),(XIX),(XX),(XXII),(XXIV)などで表される化合物]の調製もベンゾ縮合出発材料の代わりに相当するナフチル縮合化合物を選択しかつ代わりに用いることで前記スキーム3から12に概略を示す方法に従って同様に実施可能であることを認識するであろう。
【0217】
本分野の技術者は、更に、式(V)で表される化合物または式(VII)で表される化合物の一方の鏡像異性体(または一方の鏡像異性体が豊富に存在する鏡像異性体混合物)が望まれる場合には妥当な出発材料の代わりに相当する一方の鏡像異性体(または一方の鏡像異性体が豊富に存在する鏡像異性体混合物)を用いて前記スキーム1から12に記述した如き方法を適用することができることも認識するであろう。
【0218】
以下の具体例は本発明の理解の補助で挙げるものであり、決して本請求項に挙げる発明を限定することを意図するものでなくかつそのように解釈されるべきではない。
【0219】
例1: ((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−イル)メチル)スルファミド(化合物番号3)
【0220】
【化68】

【0221】
カテコール(5.09g,46.2ミリモル)と炭酸カリウムをアセトニトリル中で一緒にして還流に1時間加熱した。2−クロロメチル−3−クロロ−1−プロペン(5.78g,46.2ミリモル)を加えた後、その反応物の還流を24時間継続した。その溶液を室温に冷却した後、濾過した。その濾液に蒸発を受けさせた後、その残留物を水で希釈しそしてジエチルエーテルで抽出した(3x)。その有機溶液を一緒にしてMgSOで乾燥させた後、濃縮した。クロマトグラフィー(ヘキサン中2%のエチルエーテル)で3−メチレン−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピンを無色の油として得た。
MS(ESI):163.2(M+H
1H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.94(m,4H),5.07(s,2H),4.76(s,4H).
【0222】
3−メチレン−3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン(5.00g,30.8ミリモル)を無水THF(100mL)に溶解させた。ボラン−THF(THF中1.0M,10.3mL)を0℃で加えた。この反応物を室温で5時間撹拌した。アミノスルホン酸(6.97g,61.6ミリモル)を加えた。この反応物を還流に一晩加熱した。この反応物を室温に冷却した後、水酸化ナトリウム水溶液(3.0M,100mL)を加えた。その溶液に酢酸エチルを用いた抽出を受けさせた(3x100mL)。その有機溶液を一緒にしてMgSOで乾燥させた。その溶液に濃縮を真空下で受けさせた後、クロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%から8%のメタノール)による精製で((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−イル)メチル)アミンを無色の油として得た。
MS(ESI):180.1(M+H
H NMR(300MHz,DMSO),δ:6.92(m,4H),4.21(m,2H),4.07(m,2H),3.33(幅広,2H),3.16(d,J=4Hz,1H),2.72(d,J=4Hz,1H),2.30(m,1H).
【0223】
((3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[b][1,4]ジオキセピン−3−イル)メチル)アミン(2.90g,16.2ミリモル)とスルファミド(3.11g,32.4ミリモル)を無水ジオキサン(60ml)中で一緒にして還流に一晩加熱した。クロロホルムを加えた後、沈澱物を濾過で除去した。その濾液に濃縮を真空下で受けさせた後、クロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%から8%のアセトン)による精製で表題の化合物をオフホワイトの固体として得た。
258.8(M+H
H NMR(300MHz,DMSO),δ:6.92(m,4H),6.71(幅広,1H),6.59(幅広,2H),4.19(m,2H),4.04(m,2H),3.00(m,2H),2.39(m,1H).
【0224】
例2: N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号1)
【0225】
【化69】

【0226】
ラセミ型2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチルアミン(4.4g,26ミリモル)とスルファミド(5.1g,53ミリモル)を1,4ジオキサン(100mL)中で一緒にして2時間還流させた。その反応物を室温に冷却し、濾過で固体を少量除去した後、廃棄した。その濾液に蒸発を真空下で受けさせた後、その残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:メタノール−10:1)で精製することで白色固体を得た.その固体に再結晶化をDCMを用いて受けさせることで表題の化合物を白色固体として得た。
融点: 97.5-98.5°C
計算分析値: C,44.25;H,4.95;N,11.47;S,13.13
測定分析値: C,44.28;H,4.66;N,11.21;S,13.15
NMR(DMSO d6)δ6.85(m,4H),6.68(bd s,3H,NH),4.28(m,2H),3.97(dd,J=6.9,11.4Hz,1H),3.20(m,1H),3.10(m,1H).
【0227】
例3: (ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−イルメチル)スルファミド(化合物番号2)
【0228】
【化70】

【0229】
カテコール(10.26g,93.2ミリモル)とナトリウムメトキサイド(メタノール中25重量%,40.3g,186ミリモル)とジクロロ酢酸メチル(13.3g,93.2ミリモル)を無水メタノール(100mL)中で一緒にした。その溶液を還流に一晩加熱した。その反応物を室温に冷却し、濃塩酸を添加して酸性にした後、真空下で体積を小さくして約50mLにした。水を加えた後の混合物にジエチルエーテル(3x100mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機溶液を一緒にしてMgSOで乾燥させ、濃縮して褐色固体を得た後、クロマトグラフィー(ヘキサン中2%の酢酸エチル)にかけることでベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸メチルエステルを無色の油として得た。
MS (ESI):195.10(M+H).
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.89(幅広,4H),6.29(s,1H),4.34(q,J=7Hz,2H),1.33(t,J=7Hz,3H).
【0230】
ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸メチルエステル(7.21g,40.0ミリモル)に水酸化アンモニウム(水中29%,10mL)を加えた後、この混合物にアセトニトリルをそれが均一になるに充分な量で加えた(〜5mL)。その溶液を室温で2時間撹拌した後、蒸留水を加えた。ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸アミドが白色固体として沈澱し、それを濾過で集めた後、さらなる精製無しに用いた。
MS (ESI): 160.00(M+H
H NMR (300MHz,DMSO),δ:7.99(s,幅広,1H),7.72(s,幅広,1H),6.94(m,2H)6.86 (m,2H),6.30(s,1H).
【0231】
ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−カルボン酸アミド(5.44g,32.9ミリモル)をテトラヒドロフラン(THF,100mL)に溶解させた。その溶液に室温で水素化リチウムアルミニウム(LAH,THF中1M,39.5mL,39.5ミリモル)をゆっくり加えた。その反応物を室温で24時間撹拌した。蒸留水を添加することで余分なLAHを分解させた。水酸化ナトリウム水溶液(3.0M,100mL)を加えた後、その溶液に酢酸エチル(3x100mL)を用いた抽出を受けさせた。その有機溶液を一緒にして水で洗浄した後、MgSOで乾燥させた。溶媒を蒸発させることでC−ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−イル−メチルアミンを無色の油として得た。
MS (ESI): 152.1(M+H
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.87(m,4H),6.09(t,J=4Hz,1H),3.13(d,J=4Hz,2H)
【0232】
C−ベンゾ[1,3]ジオキソール−2−イル−メチルアミン(2.94g,19.4ミリモル)とスルファミド(3.74g,38.9ミリモル)を無水ジオキサン(50mL)中で一緒にした後、その溶液を還流に一晩加熱した。その反応物に濃縮を受けさせた後、その残留物をクロマトグラフィー(ジクロロメタン中2%から10%のアセトン)にかけることで表題の化合物を白色固体として得た。
MS(ESI):230.0(M+H
H NMR(300MHz,CDCl),δ:6.87(m,4H),6.25(t,J=4Hz,1H),4.79(幅広,1H),4.62(幅広,1H),3.64(d,J=4Hz,2H).
【0233】
例4: (2S)−(−)−N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号4)
【0234】
【化71】

【0235】
カテコール(13.2g,0.12モル)と炭酸カリウム(16.6g,0.12モル)をDMF(250mL)に入れて撹拌しながらこれに(2R)−トシル酸グリシジル(22.8g,0.10モル)を加えた後、その反応物を60°Cで24時間撹拌した。その反応物を室温に冷却し、氷水(1L)で希釈した後、ジエチルエーテルで抽出した(4回)。その有機溶液を一緒にして10%の炭酸カリウムで3回、水で1回、そして食塩水で1回洗浄し、真空下で蒸発させることで白色固体を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:メタノール-50:1)で精製することで((2S)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メタノールを固体として得た。
【0236】
その固体(13.3g,68ミリモル)をピリジン(85mL)に溶解させて0°Cに冷却し、p−トルエンスルホニルクロライド(13.0g,68ミリモル)を加え、そしてその反応混合物を室温で20時間撹拌した。その反応物をジエチルエーテル(1L)お
よび1NのHCl(1.2L)で希釈した。その有機層を分離し、1NのHCl(500mL)で2回、水(150mL)で4回、そして食塩水で1回洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで白色固体を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(Hept:EA-2:1)で精製することでトルエン−4−スルホン酸(2S)−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステルを白色固体として得た。
【0237】
その白色固体をカリウムフタルイミド(14.4g,78ミリモル)と一緒にDMF(250mL)に入れて還流に1時間加熱し、室温に冷却した後、激しい撹拌下の水(1.5L)の中に注ぎ込んで30分間撹拌した。白色固体を濾過した後、その固体を水で数回、2%のNaOHそして再び水で洗浄した後、空気で乾燥させることで(2S)−2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオンを粉末状の白色固体として得た。
【0238】
その粉末状の白色固体をヒドラジン(2.75g,86ミリモル)と一緒にEtOH(225mL)に入れて還流に2時間加熱し、室温に冷却し、1NのHClを添加してpHを1.0にした後、15分間撹拌した。白色固体を濾過し、新鮮なEtOHで洗浄し(固体を廃棄)、そしてその濾液に蒸発を真空下で受けさせることで固体を得て、それをジエチルエーテルと希NaOH水溶液の間で分離させた。そのジエチルエーテル溶液を乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで明黄色の油を得た。その油をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH-10:1)で精製することで油を得た。その油の一部(4.82g,29ミリモル)を2−プロパノール(250mL)に入れて1NのHCl(30mL)で処理し、蒸気浴上で均一になるまで加熱した後、室温に冷却した。3時間後の混合物を氷で2時間冷却した。フレーク状の白色固体(相当する(2S)−C−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンのHCl塩)を濾過した後、2−プロパノールを用いて再び再結晶化させることで白色固体を得た。
[α]=−69.6(c=1.06,EtOH)
【0239】
その白色固体をDCMと希NaOHの間で分離させ、そのDCMを乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2S)−C−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンを油として得た。
[α]=−57.8(c=1.40,CHCl
【0240】
その油(2.1g,12.7ミリモル)とスルファミド(2.44g,25.4ミリモル)をジオキサン(75mL)に入れて2時間還流させた後、その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 10:1)で精製することで白色固体を得て、それをDCMから再結晶化させることで表題の化合物を結晶性白色固体として得た。
融点102−103°C
[α]=−45.1°(c=1.05,M);
H NMR(DMSOd6)δ 6.86(m,4H),6.81(bd s,3H,NH),4.3(m,2H),3.97(dd,J=6.9,11.4Hz,1H),3.20(dd,J=5.5,13.7Hz,1H),3.10(dd,J=6.9,13.7Hz,1H)
計算分析値: C,44.25;H,4.95;N,11.47;S,13.13
測定分析値: C,44.20;H,4.69;N,11.40;S,13.22.
【0241】
例5: N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−N’,N’ジメチルスルファミド(化合物番号6)
【0242】
【化72】

【0243】
ラセミ型2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチルアミン(8.25g,5.0ミリモル)とトリエチルアミン(1.52g,15ミリモル)をDMF(10mL)中で一緒にした後、氷浴で冷却しながらこれにジメチルスルファモイルクロライド(1.44g,10ミリモル)を加えた。次に、冷却を継続しながら、その反応混合物を3時間撹拌した。その反応混合物を酢酸エチルと水の間で分離させた後、その酢酸エチル溶液を食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得た。その油にフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル:ヘプタン−1:1)を用いた精製を受けさせることで白色固体を得て、それに再結晶化(酢酸エチル/ヘキサン)を受けさせることで表題の化合物を綿毛状白色固体として得た。
融点76-78°C
MS 273(MH
計算分析値: C,48.52;H,5.92;N,10.29;S,11.78
測定分析値: C,48.63;H,5.62;N,10.20;S,11.90
H NMR(CDCl)δ 6.87(m,4H),4.59(bd m,1H,NH),4.35(m,1H),4.27(dd,J=2.3,11.4Hz,1H),4.04(dd,J=7.0,11.4,1H),3.36(m,2H),2.82(s,6H).
【0244】
例6: N−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−N−メチルスルファミド(化合物番号7)
【0245】
【化73】

【0246】
ラセミ型2,3−ジヒドロ−1,4−ベンゾジオキシン−2−イルメチルアミン(825mg,5ミリモル)を蟻酸エチル(15mL)に溶解させて30分間還流させた後、真空下で蒸発させることでN−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−ホルムアミドを油として得た。
【0247】
その油をジエチルエーテル(25mL)に入れて0℃でTHF中1MのLAH(9.0mL,9.0ミリモル)で処理した後、室温で5時間撹拌した。その反応物を氷浴に入れて冷却した後、水(0.50mL)に続いて3NのNaOH(0.50mL)そして水(0.50mL)を用いて反応を消滅させた。次に、その混合物を室温で1時間撹拌した。固体を濾過で除去した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせることで残留物を得て、それを1NのHClとジエチルエーテルの間で分離させた。その水相を1NのNaOHで塩基性にした後、ジエチルエーテルで抽出した。その有機相を乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−メチル−アミンを油として得た。
MS 180(MH
H NMR(CDCl)δ 6.85(m,4H),4.30(m,2H),4.02(dd,J=7.9,11.6Hz,1H),2.85(m,2H),2.50(s,3H)
【0248】
その油(380mg,2.1ミリモル)とスルファミド(820mg,8.5ミリモル)をジオキサン(15mL)中で一緒にし、1.5時間還流させた後、真空下で蒸発させることで粗残留物を得た。その残留物をカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン1:1)で精製した後、その結果として得た固体に酢酸エチル/ヘキサンを用いた再結晶化を受けさせることで表題の化合物を白色固体として得た。
融点97−98°C
MS 257(M−1
計算分析値: C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41
測定分析値: C,46.48;H,5.65;N,10.90;S,12.07
H NMR(CDCl)δ 6.86(m,4H),4.52(bs,2H),4.46(m,1H),4.29(dd,J=2.3,11.5Hz,1H),4.05(dd,J=6.5,11.5Hz,1H),3.51(dd,J=6.7,14.9Hz,1H),3.40(dd,J=5.9,14.9Hz,1H),2.99(s,3H).
【0249】
例7: (2S)−(−)−N−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号8)
【0250】
【化74】

【0251】
前記例4に概略を示した手順に従って4−クロロカテコールを反応させることで(2S)−C−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンと(2S)−C−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンの混合物を得た(RP HPLCで6−クロロ:7−クロロ異性体が約3:1の比率)。
【0252】
その混合物を2−プロパノール(100mL)に溶解させた後、ジエチルエーテル中1NのHClをpH=1.0が達成されるまで加えた。沈澱した塩酸塩を濾過(2.65g)した後、メタノール/IPAを用いた再結晶化で白色結晶を得た。その白色結晶をDCMと希NaOHの間で分離させた。そのDCMを乾燥させた後、真空下で蒸発させることで精製された(2S)−C−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンを油として得た。
[α]=−67.8(c=1.51,CHCl
【0253】
その油(7.75ミリモル)とスルファミド(1.50g,15.5ミリモル)をジオキサン(50mL)中で一緒にして2.0時間還流させ、室温に冷却した後、真空下で蒸発させることで固体を得た。DCM/メタノールを20:1で用いたフラッシュカラムで生成物を精製することで表題の化合物を白色固体として得た。
MS 277(M−1
[α]=−59.9°(c=1.11,M)
H NMR(CDCl)δ 6.90(d,J=2.2Hz,1H),6.81(m,2H),4.76(m,1H),4.55(s,2H),4.40(m,1H),4.29(dd,J=2.4,11.5Hz,1H),4.05(dd,J=7.1,11.5Hz,1H),3.45(m,2H)
計算分析値: C,38.78;H,3.98;N,10.05
測定分析値: C,38.80;H,3.67;N,9.99.
【0254】
この上で調製した(2S)−C−(6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンの結晶化した塩酸塩の濾液を回収(6−クロロ:7−クロロ異性体が約1:1)した後、真空下で蒸発させることで固体を得て、それをDCM(200mL)と希NaOH(0.5M,50mL)の間で分離させた。そのDCM溶液を食塩水で1回洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それを逆相HPLC[10-50%のACN(TFAが0.20%の水にTFAが0.16%のACNを入れた)]で精製することで(2S)−C−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−メチルアミンを残留物として得た。
【0255】
その残留物をスルファミド(0.90g,9.4ミリモル)と一緒にジオキサン(25mL)に入れて2.5時間還流させ、室温に冷却した後、真空下で蒸発させることで油を得た。その油をフラッシュカラムクロマトグラフィーにかけてDCM/メタノールを10:1で用いて精製することで(2S)−(−)−N−(7−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドを白色固体として得た。MS 277(M−1
H NMR(CDCl/CDOD)δ 6.88(d,J=0.7Hz,1H),6.81(m,2H),4.37(m,1H),4.30(dd,J=2.3,11.6Hz,1H),4.04(dd,J=7.0,11.6Hz,1H),3.38(m,2H).
【0256】
例8: クロマン−2−イルメチルスルファミド(化合物番号10)
【0257】
【化75】

【0258】
クロマン−2−カルボン酸(4.5g,25ミリモル)とHOBT(3.86g,25ミリモル)をDCM(40mL)とDMF(10mL)に入れて一緒にした。室温でジメチルアミノプロピルエチルカルボジイミド(EDC,4.84g,25ミリモル)を加えた後の反応混合物を30分間撹拌した。水酸化アンモニウム(2.26mL,33.4ミリモル)を加えた後の反応混合物を16時間撹拌した。その反応混合物をDCM(50mL)と水(50mL)で希釈した後、その混合物のpHを1NのHClでpH=約3.0に調整した。そのDCMを分離した後、その水相にDCMを用いた抽出を2回受けさせた。そのDCM相を一緒にして乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル)で精製することで油を得た。
【0259】
その油(5.35g,30ミリモル)をTHF(90mL)に入れて撹拌しながらこれにTHF中1MのLAH(36mL,36ミリモル)を加えた後、その反応混合物を室温で20時間撹拌した。水で反応を消滅させ、それを2時間撹拌し、その溶液を傾斜法で取り出し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることでC−クロマン−2−イル−メチルアミンを油状アミンとして得た。
【0260】
その油状アミン(1.63g,10ミリモル)とスルファミド(1.92g,20ミリモル)をジオキサン(50mL)中で一緒にして2時間かけて還流にまでもっていった。その溶液を冷却した後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをカラムクロマトグラフィー(DCM:メタノール10:1)で精製することで白色固体を得た。その固体に酢酸エチル/ヘキサンを用いた再結晶化を受けさせることでクロマン−2−イルメチルスルファミドを白色固体として得た。
融点100−101°C
MS 241 (M−1
計算分析値: C,49.57;H,5.82;N,11.56;S,13.23
測定分析値: C,49.57;H,5.80;N,11.75;S,13.33.
【0261】
例9: クロマン−2−イルメチルスルファメート(化合物番号11)
【0262】
【化76】

【0263】
クロマン−2−カルボン酸(4.3g,24ミリモル)をTHF(70mL)に入れてTHF中の1MのLAH(30mL,30ミリモル)と一緒にした後、室温で2時間撹拌した。その反応混合物に水を用いた反応消滅を受けさせた後、撹拌を2時間実施した。そのTHF溶液を固体から傾斜法で分離した後、その固体を新鮮なTHFで洗浄した。そのTHF溶液を一緒にして乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることでクロマン−2−イル−メタノールを油として得た。
【0264】
そのクロマン−2−イル−メタノール(1.97g,12ミリモル)をDMF(30mL)に入れて氷浴でアルゴン下で約0℃に冷却し、95%のNaH(0.39g,15.6ミリモル)と一緒にした後、30分間撹拌した。次に、スルファモイルクロライド(2.78g,24ミリモル)を加えた後の反応混合物を1時間撹拌した。その反応混合物を酢酸エチル(100mL)と水(100mL)で希釈した。その酢酸エチル溶液を分離した後、その水相に酢酸エチルを用いた抽出を2回受けさせた。その酢酸エチル相を一緒にして乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン1:2)で精製することで白色固体を得た後、酢酸エチル/ヘキサンを用いて再結晶化させることで表題の化合物を白色固体として得た。
融点87−90°C
MS [M−H]242.1
計算分析値: C,49.37;H,5.39;N,5.76;S,13.18
測定分析値: C,49.46;H,5.17;N,5.72;S,13.09.
【0265】
例10: 2−(2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)−エチルスルファミド(化合物番号16)
【0266】
【化77】

【0267】
2−ブロモメチル−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン)(6.87g,30ミリモル)をDMSO(90mL)に入れて、これにシアン化カリウム(2.05g,31.5ミリモル)を加えた後、撹拌を周囲温度で20時間実施した。次に、その反応混合物を水(250mL)で希釈した後、ジエチルエーテルで2回抽出した。そのジエチルエーテルを水で洗浄した後に食塩水で2回洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで2−シアノメチル−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン)を白色固体として得た。
H NMR(CDCl)δ 6.89(m,4H),4.50(m,1H),4.31(dd,J=2.3,11.5Hz,1H),4.08(dd,J=6.2,11.6Hz,1H),2.78(d,J=6.1,Hz,2H)
【0268】
その2−シアノメチル−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン)をTHF(50mL)に溶解させ、THF中1MのBH(80mL,80ミリモル)を加え、その反応混合物を5時間還流させた後、周囲温度で16時間撹拌した。氷浴で冷却しながら2NのHClをpH=1.0が達成されるまで加えた。次に、その反応混合物を室温で1時間撹拌した後、真空下で蒸発させることで油を得た。その油を3NのNaOHとジエチルエーテルの間で分離させ、そのジエチルエーテル溶液を食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで粗2−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)エチルアミンを得た。
MS (M+H)180.
【0269】
その粗2−(2,3ジヒドロベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イル)エチルアミンをジオキサン(100mL)に入れてスルファミド(3.0g,31ミリモル)と一緒にした後、還流に2時間加熱した。その溶液を冷却した後、真空下で蒸発させることでオレンジ色の固体を得て、それをカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH−10:1)で精製することで白色固体を得た。その固体にDCMを用いた再結晶化を受けさせることで表題の化合物を固体として得た。
MS (M−1)257
融点101-103°C(corr)
H NMR(CDCl):δ 6.86(m,4H),4.70(m,1H),4.52(s,2H),4.30(m,2H),3.94(dd,J=7.4,11.3Hz,1H),3.43(dd,J=6.4,12.9Hz,2H),1.94(dd,J=6.5,12.9,2H).
元素分析:
測定値: C,46.48;H,5.60;N,10.81;S,12.41
計算値: C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41
【0270】
例11: (2S)−(−)−N−(6,7ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号29)
【0271】
【化78】

【0272】
4,5ジクロロカテコール(8.6g,48ミリモル)と炭酸カリウム(6.64g,48ミリモル)をDMF(200mL)に入れて撹拌した。(2R)−トシル酸グリシジル(9.12g,40ミリモル)を加えた後の反応混合物を60°Cで24時間撹拌した。その反応混合物を室温に冷却した後、氷水(600mL)で希釈しそしてジエチルエーテルで抽出した(4回)。その有機溶液を一緒にして10%の炭酸カリウムで3回そして食塩水で2回洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2S)−2−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン)メタノールの粘性油を得た。
【0273】
その(2S)−2−(6,7ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン)メタノール油(6.4g,27ミリモル)をピリジン(50mL)に溶解させて0°Cに冷却した。次に、p−トルエンスルホニルクロライド(5.2g,27ミリモル)を加えた後の反応混合物を室温で20時間撹拌した。その反応混合物をジエチルエーテルと1NのHCl(750mL)で希釈し、その有機層を分離し、1NのHCl(250mL)で2回、水(150mL)で1回そして食塩水で2回洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることでトルエン−4−スルホン酸(2S)−6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステルの明黄色固体を得た。
H NMR(CDCl3):δ 7.79(d,J=8.3Hz,2H),7.36(d,J=8.0Hz,2H),6.94(s,1H),6.83(s,1H),4.37(m,1H),4.2(m,3H),4.03(dd,J=6.3,11.7Hz,1H),2.47(s,3H).
【0274】
トルエン−4−スルホン酸(2S)−6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステル(8.0g,20.5ミリモル)をカリウムフタルイミド(6.1g,33ミリモル)と一緒にDMF(75mL)に入れて還流に1時間加熱し、室温に冷却し、激しい撹拌下の水(0.5L)の中に注ぎ込んだ後、30分間撹拌した。白色固体を濾過し、その固体を水で数回、2%のNaOHそして再び水で洗浄した後、空気で乾燥させることで(2S)−2−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−イソインドール−1,3−ジオン(6.0g,80%)を粉末状の白色固体として得た。
【0275】
その粉末状の白色固体をヒドラジン(1.06g,33ミリモル)と一緒にEtOH(80mL)に入れて還流に2時間加熱した後、室温に冷却した。その反応混合物に1NのHClを加えてそれのpHをpH1.0に調整した後、その反応混合物を15分間撹拌した。白色固体を濾過し、新鮮なEtOHで洗浄した(固体を廃棄)後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせることで固体を得て、それをジエチルエーテルと希NaOH水溶液の間で分離させた。そのジエチルエーテル溶液を乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで(2S)−2−アミノメチル−(6,7−ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン)の粘性油を得た。
H NMR(CDCl3):δ 6.98(s,1H),6.96(s,1H),4.
25(dd,J=2.0,11.2Hz,1H),4.15(m,1H),4.0(m,1H),2.97(d,J=5.5Hz,2H)
【0276】
その油の一部(3.8g,16ミリモル)とスルファミド(3.1g,32.4ミリモル)をジオキサン(100mL)に入れて2時間還流させた後、その粗生成物をフラッシュカラムクロマトグラフィー(DCM:MeOH 20:1)で精製することで表題の化合物を白色固体として得て、それに再結晶化を酢酸エチル/ヘキサンを用いて受けさせることで表題の化合物を結晶性白色固体として得た。
MS [M−H]311.0
融点119−121°C
[α]=−53.4°(c=1.17,M)
H NMR (DMSOd6):δ 7.22(s,1H),7.20(s,1H),6.91(bd s,1H),6.68(bd s,2H),4.35(m,2H),4.05(dd,J=6.5,11.5Hz,1H),3.15(m,2H)
元素分析:
測定値: C,34.52;H,3.22;N,8.95;Cl,22.64;S,10.24
計算値: C,34.64;H,2.68;N,8.87;Cl,22.94;S,10.35.
【0277】
例12: (2S)−(−)−N−(7−アミノ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号36)
【0278】
【化79】

【0279】
4−ニトロカテコールを用いて(2S)−(−)−N−(2,3−ジヒドロ−7−ニトロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(1.2g,4.15ミリモル)の調製を例4に概略を示した方法に従って実施した。次に、その(2S)−(−)−N−(2,3−ジヒドロ−7−ニトロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミドを10%Pd/Cと一緒にメタノール(120mL)に入れて水素雰囲気(39psi)下室温で3時間振とうした。固体を濾過し、DCM中10%のMで洗浄した後、その濾液に蒸発を真空下で受けさせることで粗生成物を得た。その粗生成物を0.2NのHCl(25mL)に溶解させた後、凍結乾燥させることで表題の化合物を相当する塩酸塩としてフレーク状の白色固体の状態で得た。
MS (M+H)260
H NMR (DMSO d6):δ 10.2(bd s,3H),6.86(m,1H),6.85(s,1H),6.74(dd,J=2.5,8.4Hz,1H),4.22(m,2H),3.88(dd,J=6.7,11.4Hz,1H),3.04(m,2H)
【0280】
例13: (2S)−(−)−N−(7−メチル−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチル)−スルファミド(化合物番号19)
【0281】
【化80】

【0282】
表題の化合物の調製を4−メチルカテコールを用いて出発して前記例4に記述した手順に従って実施することで白色固体を得て、それに酢酸エチル/ヘキサンを用いた再結晶化を受けさせることで表題の化合物を白色固体として得た。
MS [M−H]257
H NMR (CDCl3):δ 6.76(m,1H),6.66(m,2H),4.80(m,1H),4.57(bd s,1H),4.40(m,1H),4.28(m,1H),4.03(dd,J=6.9,11.4Hz,1H),3.45(m,2H),2.25(s,3H).
元素分析
計算値: C,46.50;H,5.46;N,10.85;S,12.41
測定値: C,46.65;H,5.60;N,10.84;S,12.61.
【0283】
例14: スルファミン酸6,7ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステル(化合物番号27)
【0284】
【化81】

【0285】
前記例11に記述した手順に従って調製した(2S)−6,7ジクロロ2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメタノール(2.0g,8.5ミリモル)をDMF(20mL)に入れて氷浴で冷却した。次に、95%の水素化ナトリウム(0.28g,11ミリモル)をアルゴン下で加えた後の反応混合物を30分間撹拌した。スルファモイルクロライド(1.97g,17ミリモル)を加えた後の反応混合物を氷浴で冷却しながら撹拌した。1時間後の反応混合物を水(50mL)で希釈した後、酢酸エチルで3回抽出した。その酢酸エチルを一緒にして食塩水で洗浄し、乾燥(NaSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘプタン1:1)で精製することで白色固体を得た。その白色固体にベンゼンを用いた再結晶化を受けさせることで表題の化合物を白色固体として得た。
融点109−111°C
MS [M−H]312
H NMR (DMSOd6)δ 7.65(s,2H),7.26(s,1H),7.25(s,1H),4.58(m,1H),4.41(dd,J=2.5,11.7Hz,1H),4.28(m,2H),4.11(dd,J=6.9,11.7Hz,1H).
【0286】
例15: スルファミン酸6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメチルエステル(化合物番号12)
【0287】
【化82】

【0288】
(2S)−6−クロロ−2,3−ジヒドロ−ベンゾ[1,4]ジオキシン−2−イルメタノール(6.4g,32ミリモル)の調製を前記例7に示した如き手順に従って実施した後、それをDMF(80mL)に入れて氷浴で冷却した。次に、95%の水素化ナトリウム(1.06g,42ミリモル)をアルゴン下で20分かけて加えた後の反応混合物を30分間撹拌した。スルファモイルクロライド(7.4g,64ミリモル)を10分かけて加えた後の反応混合物を氷浴で冷却しながら撹拌した。1時間後の反応物を水(300mL)で希釈した後、酢酸エチルで3回抽出した。その酢酸エチルを一緒にして食塩水で洗浄し、乾燥(MgSO)させた後、真空下で蒸発させることで油を得て、それをフラッシュカラムクロマトグラフィー(酢酸エチル/ヘキサン1:2)で精製することで白色固体を得た。その白色固体にベンゼンを用いた再結晶化を3回受けさせることで表題の化合物を白色固体として得た。
融点113−116°C
MS [M−H]278
[α]=−41.0°(c=1.32,M)
H NMR (CDCl3)δ 6.91(d,J=1.9Hz,1H),6.84(m,2H),4.82(bd s,2H),4.50(m,1H),4.41(m,2H),4.31(dd,J=2.3,11.6Hz,1H),4.12(dd,J=6.3,11.6Hz,1H)
元素分析:
測定値: C,38.57;H,3.42;N,4.92;S,11.53
計算値: C,38.65;H,3.60;N,5.01;S,11.46
【0289】
試験例1: インビボ検定:最大電気ショック試験(MES)
MES試験を用い、これを以下に詳述する手順に従って実施することで、抗けいれん活性の測定を実施した。Swinyard EA, Woodhead JH, White HS, Franklin MR. Experimental selection, quantification, and evaluation of anticonvulsants. In Levy RH他編集、Antiepileptic Drugs.第3版、New York: Raven Press, 1989:85−102。
【0290】
試験前16時間に渡ってオスCF−1アルビノマウス(25−35g)を絶食状態に置いた。マウスを無作為に選択して対照グループと試験グループに分け、これらのそれぞれの動物に媒体または試験化合物をいろいろな濃度で投与した。試験日、ショックを与える30分前のマウスに媒体(0.5%のメチルセルロース)または試験化合物(100−300mg/kg)を経口投与した。60Hzの交流を50mAで用いてそれを角膜経由で0.2秒間送ることによる電気ショックで発作を誘発した。試験グループのマウスには試験化合物を投与した後に電気刺激を15分から4時間の間隔で受けさせた。そのショックの結果として直ちに全身強直性伸展がもたらされた。そのけいれんの全過程を観察(典型的には電気刺激後1分以内)した時点で試験完了し、その後直ちに二酸化炭素吸入でマウスを安楽死させた。
【0291】
そのような発作の全身強直性伸展要素が無くなった時を試験終点として採用した。その要素が無いことは、発作を起こさせる放電が神経組織を通って広がらないようにする能力を試験化合物が有することを示している。試験化合物が示すED50値(適切な時に計算)は、MES誘発発作の後肢強直性伸展要素の防止を試験を受けさせた齧歯類の中の50%にもたらすに要した計算用量である。プロビット解析を用いてED50および95%信頼限界(FL)を計算した。
【0292】
本発明の代表的な化合物にこの上に記述した手順に従う試験を受けさせた時の結果は以下の表4に挙げる如くであった。結果を所定時間(所定試験化合物投与濃度)の時に全身強直性伸展が防止されたマウスの数/試験を受けさせたマウスの総数として示す。
【0293】
【表6】

例16:
経口用組成物の具体例として、例7に示したようにして調製した化合物番号8(100mg)をサイズOの硬質ゲルカプセルを充填するに充分な量の微細ラクトースと一緒に配合することで全体量を580から590mgにした。
【0294】
この上の明細に本発明の原理を説明の目的で示した各例を伴わせて教示してきたが、本発明の実施は本請求項およびこれらの相当物の範囲内に入る如き通常の変形、応用形および/または修飾形の全部を包含することは理解されるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)
【化1】

[式中、
およびRは、各々独立して、水素および低級アルキルから成る群から選択され、
は、水素および低級アルキルから成る群から選択され、
aは、1から2の整数であり、
【化2】

は、
【化3】

から成る群から選択され、ここで、
bは、0から4の整数であり、そしてここで、
cは、0から2の整数であり、
は、各々独立して、ハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが、但し
【化4】


【化5】

の時にはaは1であることを条件とする]
で表される化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩。
【請求項2】
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され、
が水素および低級アルキルから成る群から選択され、
aが1から2の整数であり、
【化6】


【化7】

から成る群から選択され、ここで、
bが0から2の整数であり、そしてここで、
cが0から1の整数であり、
が各々独立してハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが、但し
【化8】


【化9】

の時にはaが1であることを条件とする、
請求項1記載の化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩。
【請求項3】
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され、
が水素および低級アルキルから成る群から選択され、
aが1から2の整数であり、
【化10】


【化11】

から成る群から選択され、ここで、
bが0から2の整数であり、そしてここで、
cが0であり、
が各々独立してハロゲン,低級アルキルおよびニトロから成る群から選択されるが、但し
【化12】


【化13】

の時にはaが1であることを条件とする、
請求項2記載の化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩。
【請求項4】
およびRが各々独立して水素および低級アルキルから成る群から選択され、
が水素およびメチルから成る群から選択され、
aが1から2の整数であり、
【化14】

が2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル)、3−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル)、2−(クロマニル)、2−(6−クロロ−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)、および2−(4−メチル−ベンゾ[1,3]ジオキソリル)
から成る群から選択されるが、但し
【化15】

が3−(3,4−ジヒドロ−2H−ベンゾ[1,4]ジオキセピニル)の時にはaが1であることを条件とする、
請求項3記載の化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩。
【請求項5】
およびRが各々独立して水素およびメチルから成る群から選択され、
が水素およびメチルから成る群から選択され、
aが1から2の整数であり、
【化16】

が2−(ベンゾ[1,3]ジオキソリル)である、
請求項4記載の化合物またはこれの薬学的に受け入れられる塩。
【請求項6】
薬学的に受け入れられる担体および請求項1記載の化合物を含んで成る薬剤組成物。
【請求項7】
請求項1記載の化合物を有効成分として含んでなるてんかんまたは関連疾患の治療をするための製薬学的製剤。
【請求項8】
前記疾患が本態性振戦または四肢静止不能症候群である請求項7記載の製薬学的製剤。

【公開番号】特開2011−246472(P2011−246472A)
【公開日】平成23年12月8日(2011.12.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148530(P2011−148530)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【分割の表示】特願2007−516788(P2007−516788)の分割
【原出願日】平成17年6月16日(2005.6.16)
【出願人】(390033008)ジヤンセン・フアーマシユーチカ・ナームローゼ・フエンノートシヤツプ (616)
【氏名又は名称原語表記】JANSSEN PHARMACEUTICA NAAMLOZE VENNOOTSCHAP
【Fターム(参考)】