説明

ねずみ及び害虫の忌避剤

【課題】人体に安全で安心して使用でき、しかも、忌避効果において優れた威力を発揮するねずみ及び害虫の忌避剤を提供する。
【解決手段】にんにく(a)、唐辛子(b)、ローズマリー(c)、ベイリーフ(d)及びラベンダー(e)をそれぞれ取り合わせてなり、これらの破砕物ないし粉末又はこれらの抽出物をそれぞれ取り合わせて通気性を有する袋又はその他の容器に詰めてなる。a、b、c、d、eの比率が重量比で、(イ)a=1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)、(ロ)10>a>1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)、(ハ)0.1<a<1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)ただし、(b:c:d:e=1:1:1:1)の比率は変動可能とし、(イ)を汎用忌避剤、(ロ)をねずみ用忌避剤、(ハ)を害虫用忌避剤、とすることを特徴とするねずみ及び害虫の忌避剤とすることが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、唐辛子、にんにく、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーの混合物又はこれらの破砕物ないし粉末の混合物からなるねずみ及び害虫の忌避剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えばビスケット状の菓子に毒物を混入したねずみ取りや毒入り団子のようなものを用いてねずみを寄せ付けない、或いは前述の毒入り混入物を食べてねずみが死ぬのを待つと言った方法が公知である。しかし、前述の毒入り菓子などは、子供がお菓子とまちがって食べてしまう危険性があり、事実食べてしまって救急車を呼んだり、応急手当で一命をとりとめたと言う話が尽きない。また、にんにくの臭気成分を石けん中に含有させたねずみ忌避剤とその製造方法が開示されている(特許文献1参照)。にんにく精油を吸着剤に吸着させたねずみ忌避剤が開示されている(特許文献2参照)。また、にんにく及び唐辛子を主成分とし、これにカルダモ、ナツメグ、シナモンから選ばれた一種以上の香辛料を混合した穀物類の虫除け剤が開示されている(特許文献3参照)。
【0003】
しかし、従来の忌避剤は、前述のとおりねずみは、ねずみ用の忌避剤或いは害虫は害虫用の忌避剤のように専用の忌避剤を使い分けしなければならず、ねずみとゴキブリ、更に所謂米虫などが同時に出現する場合には、使用者にとって取り扱いが煩わしいばかりでなく、従来の忌避剤はその忌避剤の回りにねずみや害虫が来なくなる程度で、その家へのねずみや害虫の侵入を食い止める程の威力がなかった点で問題であった。そこで、ねずみと害虫の両方に忌避効果があり、その忌避効果が家の中にねずみや害虫が進入するのを阻止する程の威力があり、しかも人体に安全である忌避剤の開発の要請があった。
【0004】
【特許文献1】特開平09−194319号公報
【特許文献2】特開平07−285821号公報
【特許文献3】特開2002−226313号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、鋭意研究した結果、にんにくと唐辛子の他に第三成分となるローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーを加えることによって、相乗効果が発揮され、ねずみと害虫の両方に忌避効果があるばかりでなく、その忌避効果が家の中にねずみや害虫が進入するのを阻止する威力があることを知見して本発明に想到したものであって、本発明の目的は、前記のような問題点を解消し、ねずみ及び害虫の両方に忌避効果があり、しかも人体に無害な忌避剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記の課題を解決するために、本発明は、にんにく、唐辛子、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーをそれぞれ取り合わせてなるねずみ及び害虫の忌避剤とする(請求項1)。
【0007】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、にんにく、唐辛子、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダー、これらの破砕物ないし粉末又はこれらの抽出物をそれぞれ取り合わせて通気性を有する袋又はその他の容器に詰めてなるねずみ及び害虫の忌避剤とする(請求項2)。
【0008】
また、前記の課題を解決するために、本発明は、前記のにんにく(a)、唐辛子(b)、ローズマリー(c)、ベイリーフ(d)及びラベンダー(e)の比率が重量比で、
(イ) a=1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)
(ロ) 10>a>1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)
(ハ) 0.1<a<1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)
ただし、(b:c:d:e=1:1:1:1)の比率は変動可能とする。
において、(イ)を汎用忌避剤、(ロ)をねずみ用忌避剤、(ハ)を害虫用忌避剤、
とすることを特徴とする前記のねずみ及び害虫の忌避剤とすることが好ましい(請求項3)。
【発明の効果】
【0009】
本発明の忌避剤は、にんにく、唐辛子、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーを適宜取り合わせてねずみや害虫が出てきそうな場所、例えば台所、食堂或いは物置部屋などに置いておくだけで、ねずみ等の小動物、或いはゴキブリ、更に米、麦、トウモロコシ等の穀類に付くノシメマダラメイガ、コクゾウムシ等の害虫の進入を阻止することができる。従来の同類の忌避剤と異なり、ねずみや害虫等の両方に忌避効果があるので、本発明の忌避剤を適宜置いておくだけで効果があり、手間が省けて取り扱いが容易である。しかも、特別な刺激臭や毒性もなく、人体に安全であるので、子供の居る家庭やペットを飼っている家庭でも安心して使用することができて便利である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
本発明を実施するための最良の形態について、以下に詳細に説明する。しかし、本発明は、本実施の形態に制限されるものではない。本発明の材料である唐辛子、にんにく、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーについて以下に簡単に説明する。唐辛子は、ナス科トウガラシ属の一種で主として赤唐辛子を乾燥させたものが好ましい。にんにくは、ユリ科ネギ属(アリウム属)に属し、収穫したにんにく球を温室で20日位乾燥させ、水分を30%程落としたものが好ましい。
【0011】
ローズマリーは、シソ科に属し、学名をロスマリナス オフィシナリス(Rosmarinus officinalis)という常緑低木の薬用植物で、枝や葉を乾燥させたものが好ましい。ベイリーフは、地中海原産のクスノキ科の月桂樹の葉で、ローリエ、ローレルとも言われ、この葉を乾燥させたものが好ましい。ラベンダーは、シソ科の植物で、イングリッシュラベンダー、フリンジドないしキレバラベンダー、フレンチラベンダー等の種類の何れでもよく、これらの花を含む全草を乾燥させたものが好ましい。
【0012】
前記の唐辛子、にんにく、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーを適宜取り合わせて、通気性を有する袋やその他の容器に詰めるだけでよい。或いは、これらを粉砕器にかけるか、ミキサーで粉砕してその破砕物ないし粉末を通気性を有する袋やその他の容器に詰めてもよい。また、前記の唐辛子、にんにく、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーを微粉砕し熱水で6時間から8時間位煮沸して抽出した抽出液を通気性を有する容器に詰めてもよい。
【0013】
前記のにんにく、唐辛子、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーを取り合わせる比率は特に限定されるものではないが、通常は、汎用として重量比でほぼ同比率で取り合わせることが好ましい。また、害虫に比較してねずみの忌避効果を高めたい場合は、にんにく(a)の比率を高くして、10>a>1とし、逆に害虫の忌避効果を高めたい場合は、0.1<a<1として、にんにく(a)の比率を低く設定することが好ましい。これは、にんにくが主としてねずみの忌避剤として寄与し、にんにく以外のものが、主として害虫の忌避剤として寄与することによる。ただし、にんにくの比率に範囲を設けたのは、この範囲を超えると相乗効果が低減するおそれがあるからである。
【実施例】
【0014】
<実施例1>
前記の赤唐辛子の乾燥したものと、乾燥したにんにく片と、ローズマリーの葉及び枝を乾燥したものと、ベイリーフの葉を乾燥したものと、ラベンダーの花を含む全草を乾燥したものとを、そのままで重量比にて同じ割合(それぞれ10gずつ)で合計50gを網の袋に詰めた。
【0015】
<実施例2>
赤唐辛子の乾燥したものと、にんにく球の乾燥品と、ローズマリーの葉及び枝を乾燥したものと、ベイリーフの葉を乾燥したものと、ラベンダーの花を含む全草を乾燥したものとをそれぞれ別々にミキサーにかけて粉砕し、この粉砕物を重量比にて同じ割合(それぞれ10gずつ)で合計50gを和紙製の袋に詰めた。
【0016】
<実験例1>
約10坪の広さの物置に約3畳大の部屋(米置場)を作り、この部屋(米置場)に30kg入りの米を50袋(その中の1袋が開封済み)を床に置いておく。この物置には従来からゴキブリとねずみが出入りしており、たびたび米袋がかじられて中の米が食べられていた。また、開封済みの米袋にはコクゾウムシやノシメマダラメイガが発生していた。
【0017】
<実験結果>
前記部屋(米置場)の床に、実施例1の網袋にそれぞれ10gずつ合計50g入りの忌避剤10個を適宜の間隔をあけて置いたところ、以後ゴキブリとねずみは、米置場には勿論、10坪の物置中には進入せず、約3ヶ月間観察して1回も発見されていない。また、開封済みの米袋にコクゾウムシやノシメマダラメイガは発生していない。同様に、実施例1の網袋入りの忌避剤に代えて、実施例2の和紙袋入りの忌避剤を置いて観察したところ、実施例1と同様の結果が得られた。観察した結果では、粉砕品を袋詰めした実施例2の忌避剤の方がそのまま袋詰めした実施例1の忌避剤よりも速効性の点で優れているようである。
【0018】
<実験例2>
押入、部屋、玄関にそれぞれ前記実施例1と実施例2の忌避剤をそれぞれ置いておき、経過を観察した。
【0019】
<実験結果>
実施例1と実施例2の忌避剤を玄関や部屋に置いたことによって、この家の中には、ねずみやゴキブリは進入しなくなった。この家では、従来から市販のねずみ及び害虫忌避剤を試しているが、前記の実験例のように家の中にねずみや害虫が入るのを阻止する威力がある忌避剤は未だに見たことがない。また、前記の実験とあわせて、にんにくの比率を増減して複数のねずみ主体と害虫主体のタイプの違う忌避剤を調整して、ねずみが多くでるところにはねずみ用忌避剤を使用し、害虫が多くでるところには害虫用忌避剤を使用して実験したところ、ねずみタイプと害虫タイプとを使い分けた方が効率的に忌避効果が向上することが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0020】
本発明に係る忌避剤は、地球環境に優しく、人体に安全で安心して使用でき、しかも、忌避効果において優れた威力を発揮するので、極めて有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
にんにく、唐辛子、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダーをそれぞれ取り合わせてなるねずみ及び害虫の忌避剤。
【請求項2】
にんにく、唐辛子、ローズマリー、ベイリーフ及びラベンダー、これらの破砕物ないし粉末又はこれらの抽出物をそれぞれ取り合わせて通気性を有する袋又はその他の容器に詰めてなるねずみ及び害虫の忌避剤。
【請求項3】
前記のにんにく(a)、唐辛子(b)、ローズマリー(c)、ベイリーフ(d)及びラベンダー(e)の比率が重量比で、
(イ) a=1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)
(ロ) 10>a>1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)
(ハ) 0.1<a<1であって、(b:c:d:e=1:1:1:1)
ただし、(b:c:d:e=1:1:1:1)の比率は変動可能とする。
において、(イ)を汎用忌避剤、(ロ)をねずみ用忌避剤、(ハ)を害虫用忌避剤、
とすることを特徴とする請求項1又は2記載のねずみ及び害虫の忌避剤。

【公開番号】特開2007−119413(P2007−119413A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−315579(P2005−315579)
【出願日】平成17年10月31日(2005.10.31)
【出願人】(505405858)
【Fターム(参考)】