説明

はわさび粒状ペ−スト

【課題】
わさび、からし等、香辛料の本来保有する辛味や風味を損なうことなく、そのまま保持して長期間保存を可能とし、従来のわさびの欠点を改良した、辛味、風味の保存性が向上されたはわさび粒状ペーストを提供することにある。
【解決手段】
はわさびの葉、茎、根の各々の単独、または混合系を破砕して、1mm〜5mmの形状にして、主成分としてグリシンを含有する添加剤を含むはわさび粒状ペーストである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はわさびの葉、茎,根を破砕してえられた調味料であるはわさび粒状ペ−ストに関するものである。
【背景技術】
【0002】

豆腐は、畑の牛肉といわれる大豆を主成分とする健康食品として知られており、飽食の時代といわれる現代においても、老若男女を問わず大衆に好まれ食されている、また近年、わさびの持つ骨カルシウム増強効果、腸管吸収促進効果、殺菌、防菌、防徴効果が着目されるようになった。近年、わさびペ−ストを使用したわさび豆腐の製造が種々試みられるようになった(特許文献1参照)
【0003】
わさび等の香辛料にグルテンを0.5重量%以上含有させ、このグリシン(グリシン70〜90重量%卵白リゾチ−ム、甘味成分含む)添加香辛料を2.000〜10.000気圧の静水圧で、好ましくは5分以上加圧処理していることが提案されている(特許文献2参照)上記方法では製造上困難をきたす。
【0004】
香辛成分の活性化されたペースト状わさびを密封状態で、静水圧で加圧処理することにより、わさびの本来保有する辛味や風味を損なうことなく、そのまま保持して長期間保存を可能とする。辛味成分の活性化されたペースト状わさびを密封状態で2.000気圧以上、好ましくは2.000〜10.000気圧の静水圧で加圧処理することが提案されている(特許文献3参照)
【0005】
さらに抗酸化力および癌抑制作用を有するポリフェノ‐ルの分解を顕著に抑制し、長期間安定に保存することができる水生懸濁組成物を提供し、湿式粉砕した菊を含有する水性懸濁組成物であって、その水性懸濁組成物が、青汁、わさびペ−ストまたはからしペ−ストであることを提案されている(特許文献4参照)。しかし長期保存において十分な香辛料にはなっていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2002−119236号
【特許文献2】特開平6−327432号
【特許文献3】特開平6−253772号
【特許文献4】特開2007―197345号
【特許文献5】特開平10−42825号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、わさび、からし等香辛料の本来保有する辛味や風味を損なうことなく、そのまま保持して長期間保存を可能とし、上述の公知技術に存する欠点を改良した、辛味、風味の保存性が向上されたはわさび粒状ペ−ストを提供することにある。しかしながら、磨砕した生の沢わさびが用いられいたが、生の沢わさびでは水分が多すぎて、安定なはわさび粒状ペ−ストを製造することができなかった。
【0008】
また、本わさびの風味及び辛味は、わさびの辛味の前駆体成分であるグリシン(グリシン70〜90重量%卵白リゾチ−ム、甘味成分含む)の存在とこれを辛味成分に変える酵素ミロシナ−ゼの活性の残存、その酵素の反応が起こる温度と時間が重要となるが、従来の方法では、本わさびの風味及び辛味を有するはわさび粒状ペ−ストを製造することは極めて困難であった。さらにはわさびのイメージを持たせるには、薄い緑色の着色が必要であるが、従来の方法では、食品の添加剤として所望の緑色の着色を施すことは困難であった。
【0009】
本発明は、上記のような従来技術の問題点を解決するために提案されたものであり、その目的は、本わさびの風味及び辛味を有し、所望の着色を施したはわさび粒状ペーストを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者等は、上述したような従来技術の問題点を解決すべく鋭意検討を重ねた結果、本発明を完成するに至ったものである、はわさびの葉は香りが強く根ほど辛味はない、茎は香り、辛味もあるが、葉ほど香りは無く、根ほど辛味はない、根においては辛味は強く,葉ほど香りは無い、よって葉,茎,根をうまく混ぜ合わせる事により、無駄なくはわさび粒状ペーストを調整する事が出来る。
【0011】
はわさびの葉,茎,根の各々の単独、または混合系を破砕して、1mm〜5mmの形状にして,主成分としてグリシン(グリシン70〜90重量%卵白リゾチーム,甘味成分含む)を含有する添加剤を含むはわさび粒状ペーストである。
【0012】
またわさび等の香辛料にグリシン(グリシン70重量%〜90重量%卵白リゾチ−ム、甘味成分含む)を所望量含有せしめることにより辛味風味残存性を向上する。さらに、上述のグリシンと添加香辛料を添加することにより辛味風味残存率を相乗的に向上する。同時にこれらグリシンを添加処理により官能的にも品質が改良される。
【0013】
はわさびの葉,茎,根は葉の成分として30重量%〜40重量%、茎の成分として40重量%〜70重量%根の成分として10重量%〜20重量%のものを使用しているはわさび粒状ペーストである。
はわさびの葉、茎,根の各々の単独、または混合の破砕としてフードプロセッサーの破砕機によって3分〜5分程度で撹拌して平均1mm〜5mmの範囲にした粒状にしているはわさび粒状ペーストである、わさびの風味、辛味を持たせたはわさび粒上ペーストの製造において磨砕したわさびでは水分が多すぎて、はわさびの風味及び辛味は、わさびの辛味の前駆体成分であるグリシン(グリシン70重量%〜90重量%卵白リゾチーム,甘味成分含む)の存在と、これを辛味成分に変える酵素活性の残存、その酵素の反応が起こる温度と時間が重要となる。
【0014】
はわさびの製造方法について検討したところ、普通のはわさびの葉,茎、根の各々の単独、または混合系を破砕して、1mm〜5mmの形状にして、主成分としてグリシンの添加剤を含むことを特徴とするはわさび粒状ペーストの製造方法では、はわさびの風味はあるものの、辛味はなかった。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、本発明によれば、冷凍で原料を提供しなければならない生のわさびではなく、はわさび粒状ペーストを用いることによって、食品への添加が容易になって、辛味を持った食品を常に均一に安定した品質が得られる。また、生のわさびを用いた場合に比べて、食品の味のまろやかさ、色彩をだすことができるようになった。また豆腐などへの添加において、豆腐に均一配合できて、豆腐が固まりにくいといった問題を解決することができた。
【0016】
さらに、はわさびの葉、茎,根のすべての粒度と含有量とを調整することにより、わさびの風味も辛味も保持しつつ、添加した食品を食する場合の種々の食感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】製造方法
【図2】製品の包装姿
【図3】GC分析結果−1
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、実施例に基ずいて本発明に係るはわさび粒状ペーストの製造条件について検討した。
本発明は、はわさび葉、茎。根全てを用いて2mm〜5mmの粒状ペーストにする事により、練りわさび、わさび粉末に無い食感と香り、辛味を粒の中に残せる、しかし長時間の開封や熱に弱いため、香り、辛味が少々失われる、これを解決するには、はわさび粒状ペーストにグリシンを添加することにより、摩り下ろしたての生わさびの香り、辛味を生み出す事が出来る。
【実施例1】
【0019】
本発明で用いるわさびは佐賀県七山産を使用した。そのわさびは、図1に示す工程によって、上水によって洗浄した後、85℃の熱湯にて30秒滅菌洗浄して、すばやく5℃の冷水にて冷却した。わさびの葉,茎、根の各部分を分別して、各々葉部分300g、茎部分500gと、根部分200gを使用して、計1kg取り出して、各々の成分を5cm平均に破砕した。
【0020】
この裁断したものをイズミ社製フードプロセッサーによって、3分間処理して、5mm以下に製粒破砕した、この破砕したものに添加剤グリシン(グリシン70重量%〜90重量%卵白リゾチーム、甘味成分含む)を5重量%添加して十分に混合した、均一混合したもの全てをポリプロプレンフイルムの袋に充填して、真空パックに充填した、これにより香り,辛味、を長時間保守出来、広い範囲にわさびで加工食品に使用した。
【実施例2】
【0021】
本発明で用いるわさびは佐賀県七山産を使用した、そのわさびは、図1に示す工程によって、上水によって洗浄した後、85℃の熱湯にて30秒滅菌洗浄して、すばやく5℃の冷水にて冷却した。わさびの葉,茎、根の各部分を分別して、各々葉部分400g、茎部分400gと、根部分200gを使用して、計1kg取り出して、各々の成分を5cm平均に破砕した。
【0022】
この裁断したものをイズミ社製フードプロセッサーによって、3分間処理して、5mm以下に製粒破砕した、この破砕したものに添加剤グリシン(グリシン70重量%〜90重量%卵白リゾチーム、甘味成分含む)を5重量%添加して十分に混合した、均一混合したもの全てをポリプロプレンフイルムの袋に充填して、真空パックに充填した、これによってより香りが増して,辛味で若干を呈した。しかし両特徴を長時間保守出来、広い範囲にわさびで加工食品に使用することができた。
【実施例3】
【0023】
実施例1と同様な方法でわさび粒上ペーストを製造した、ただし添加剤グリシン(グリシン70重量%〜90重量%卵白リゾチーム,甘味成分含む)を5重量%から10重量%に増量した、この場合、辛味は5重量%の時より強く感じ、香りは実施例1より若干劣ったが、わさびの調味料として長時間使用することができた。
「比較例1」
【0024】
はわさび葉30重量%(300g)、茎50重量%(500g),根重量20%(200g)、合計1kgを洗浄しそして85℃の熱湯で30秒滅菌し、すばやく冷水5℃で十分に冷却し5cm平均に切断しイズミ社製フードプロセッサーにて3分間処理して、製粒破砕した。そこで添加剤グリシンを添加しないで、はわさび粒状ペーストを作製した。色、香り、辛味は実施例1より若干弱い、3日後に開封したら、香り、辛味共におちていた、やはり添加剤グリシンを添加しなければならない。
「比較例2」
【0025】
実施例1と同様な方法に、イズミ社製フードプロセッサーの操作時間をながくして、10分間撹拌した、はわさびのペーストが0.2mm〜.0.5mm程になり、粒状というより練り状になり、香り,辛味を強く感じるが、2〜3日たつと香りが粒状ペーストより早く無くなった、食感も出ず、加工食品への用途もはわさび粒状ペーストに比べて劣った。
【実施例4】
【0026】
はわさび粒状ペーストを使用してドレッシングを調整したものである、実施例1のはわさび粒状ペースト100gにサラダ油200ccと合わせてフードプロセッサーで1分撹拌した物と、醤油350cc、醸造酢200cc、水150ccの原料をそれぞれ混合した物と、2つの物を合わせてよく撹拌混合してドレッシング様調味料を作製した
その結果レタスやキャベツなどの野菜にかけて食すると10人中8人まで、今までのドレッシングと違い辛味、香りが強く、オイルの分離もない、色合いも満足でき、美味しいものであった。
【実施例5】
【0027】
実施例2のはわさび粒状ペーストを使用して、もろ味醤油漬けを調整したものである。はわさびの葉100g、茎500gをよく洗浄し85℃の熱湯で1分滅菌し取り出して冷水5℃で十分冷やして2cmに切断しておく、実施例2のはわさび粒状びペースト200gにもろ味30g、魚のだし汁140cc、醤油30ccをよく撹拌し、この中に2cm程度に切断したはわさびを漬け込み出来あがった。
その結果10人中8人がごはんと共に食すると、もろみ醤油とわさび粒状ペーストとの相性が良く、はわさびの辛味、香りが程好く味え美味しく、もろみ醤油漬けそのものを食しても美味しく感じた。
【実施例6】
【0028】
実施例1のはわさび粒状ペーストを使用して、ざる豆腐を調整したものである。10℃に冷やした豆乳1.000cc(固形成分12重量%)に天然にがり9g、実施例1で調製したはわさび粒状ペースト40gを加えよく撹拌混合して、凝固温度を80℃まで上げ固まったらざる容器へ取り出してはわさび豆腐を調製した。
その結果、この豆腐は大豆の甘味とわさびの香りと辛味さらにわさび粒状ペーストの粒の食感が有り、今までに無いわさび豆腐の味で10人中皆美味しいと感じた。
【符号の説明】
【0029】
1.破砕されたはわさびの粒子。
2.ポリプロプレンフィルム袋容器。
3.イソシアン酸アリル(辛み成分)


【特許請求の範囲】
【請求項1】
はわさびの葉、茎、根の各々の単独、または混合系を破砕して、1mm〜5mmの形状にして、主成分としてグリシンを含有する添加剤を含むことを特徴とするはわさび粒状ペ−スト。
【請求項2】
はわさびの葉、茎、根は葉の成分として30重量%〜40重量%、茎の成分として40重量%〜70重量%、根の成分として10重量%〜20重量%のものを使用していることを特徴とするは請求項1に記載のはわさび粒状ペ−スト。
【請求項3】
はわさびの葉、茎,根の各々の単独、または混合系の破砕として、破砕機によって高速粉砕して、平均粒子径を1mm〜5mmの範囲にした粒子にしていることを特徴とする請求項1、2に記載のはわさび粒状ペ−スト。
【請求項4】
主成分としてグリシンを含有する添加剤は、グリシンを粒状のはわさびに0.5重量%〜5重量%添加していることを特徴とする請求項1、2、3、のいずれかに記載のはわさび粒状ペ−スト。
【請求項5】
前記はわさび粒状ペーストを、豆腐、又はドレッシング、味噌、醤油の調味料に1重量%〜50重量%添加して使用することを特徴とする請求項1,2,3,4のいずれかに記載のはわさび粒状ペースト


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate