説明

はんだの組成物、及びはんだ接続部を製造する方法

はんだ組成物が、熱力学的に準安定な合金の粒子を有する。前記合金の元素の1つは、金属表面と共に金属間化合物を形成する。前記はんだ組成物は、半導体デバイスのバンピングにおける使用に特に適している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだの組成物に関する。
【0002】
本発明は、はんだ組成物を用いて第1の基板におけるボンディング領域と第2の基板におけるボンディング領域との間に導電性接続部を製造する方法であって、
前記第1の基板におけるボンディング領域上に前記はんだ組成物を付着するステップと、
前記はんだ組成物が前記第1の基板におけるボンディング領域と前記第2の基板におけるボンディング領域との間に挟まれるように前記第1の基板及び前記第2の基板を組み立てるステップと、
前記はんだ組成物を加熱することにより前記導電性接続部を提供するステップと、
を有する方法にも関する。
【0003】
本発明は更に、はんだ組成物の層が存在するボンディング領域を有する基板、及び導電性はんだ組成物を用いて相互接続されたボンディング領域を備えた第1及び第2の基板のアセンブリに関する。
【背景技術】
【0004】
はんだ組成物は、金属表面の接続に関してこれ自体が周知である。前記金属表面は、大きな領域にわたり延在しうるが、代わりに他に電気絶縁表面における小さな領域に限定されるかもしれない。後者の状況は、特に電子部品及び製品との関連で生じる。集積回路等は、特定の関連性の応用を表す。これらの集積回路は、複数のはんだ又は金属バンプを用いてフリップチップ配置においてキャリアに増加的に接続される。この関連で、集積回路ごとの多数のバンプの使用、及び近隣のバンプ間のピッチの減少、並びに特に両方の組み合わせに向かう傾向にある。
【0005】
キャリアに対する電子部品の接続部に関する必要条件は、前記接続部が機械的安定性及び導電性の両方を提供することである。はんだ組成物は、これらの必要条件を優れた形で満たす。これには複数の理由があり、即ち、第一に、はんだの導電性は、異方性導電接着剤等のような代替物の導電性より良く、この他に、はんだは、バンプとも称されるボール形部分にも付着されることができ、更に、はんだバンプは、組み立て前に付着されることができ、熱処理工程における高められた温度においてのみ流出する。前記熱処理工程において、バンプを有する基板を輸送することさえ可能である。前記高められた温度は、しかしながら、キャリア又は部品が壊れる又は損傷されるほど高くはない。
【0006】
いわゆる拡散はんだ(diffusion solders)が特に注目された。これらのはんだは、第1の金属成分及び第2の金属成分を有する。はんだ付けにおいて、前記第2の金属成分が融解され、前記第1の金属成分は固体である。前記第2の成分内への前記第1の成分の拡散は、前記第1の金属成分より低い融解温度を持つ金属間化合物相(intermetallic phase)の形成を引き起こす。この金属間化合物相は、しかしながら、もろく、はんだ接合部の機械的性質に関して不利になる傾向にある。国際出願WO−A96/19314号公報は、この問題を解決するために充填剤を含めることを提案している。国際出願WO−A02/20211号公報は、前記第2の成分のはんだ内に前記第1の金属成分を粒子として提供することを提案している。国際出願WO−A03/72288号公報は、このような拡散はんだに対するナノ粒子の付加を提案している。最後に、はんだ接続部は、前記成分と前記キャリアとの間の熱膨張における差の結果としての圧力を吸収することができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、現在利用可能なはんだ組成物は不利点をも持つ。これらの不利点の1つは、接点が特定の金属を有する場合に接着層を要することである。このような金属は、難はんだ付け性(poorly solderable)接点としても分類される。難はんだ付け性は、しばしば前記接点において形成される酸化物表面層に起因することができる。この酸化物表面層は、電気的に絶縁であり、はんだと金属との間の直接接続を妨げる。結果として、接着問題及び導電性問題の両方が生じる。これらの問題を解決するために、前記接点は、一般的に接着層を備える。このような接着層は、別々に付着される必要があり、これは追加の処理工程及び追加のコストを伴う。更に、接着層は、特に成分及びキャリアが特定の最小温度に耐える必要がある、このような難はんだ付け性金属の使用を制限する。この問題の複雑さは、第1の基板における接点が、前記第1の基板に面する第2の基板における接点と異なる金属を有することにより更に増大される。
【0008】
したがって、本発明の第1の目的は、少なくとも一方が難はんだ付け性接点を持つ、2つの対向する基板におけるボンディング領域間において電気接続を確立するために付着され得るはんだ組成物を提供することである。
【0009】
本発明の第2の目的は、冒頭の段落で述べられた種類の導電性接続部を製造する方法であって、前記接続部が、別個の接着層の付着無しで難はんだ付け性ボンディング領域上に確立されることができる方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前記第1の目的は、熱力学的に準安定な合金の粒子が、はんだ組成物内に分散され、前記合金が、金属酸化物を含む表面に対して前記組成物を付着すると、前記表面の金属と共に金属間化合物を形成する成分を有することにより達成される。
【0011】
前記第2の目的は、前記第1及び第2の基板の前記ボンディング領域の第1のボンディング領域が、合金化金属を含み、熱力学的に準安定な合金の粒子が分散されたはんだ組成物が付着され、前記合金が、前記第1の接点の前記合金化金属と共に金属間化合物を形成する成分を有することにより達成される。
【0012】
本発明のはんだ組成物は、実際に、対向した基板における接点に対する良い電気接続部の提供を可能にする化合物の化学的に安定な二相混合物である。しかしながら、本発明のはんだ組成物は、これ自体が化学的に安定であるが、前記組成物内の前記粒子は、熱力学的に準安定である。これは、前記組成物が加熱される場合に、前記粒子の構成要素が、異なる物理的化学的形状を呈する、例えば前記はんだ組成物内に拡散し、あるいは反応する、傾向を持つことを意味する。前記準安定な粒子の構成要素は、難はんだ付け性接点の表面における酸化物表面層を除去するように選択されることができる。前記酸化物表面層は、除去されるだけでなく、金属間化合物の導電性接着層により置き換えられる。この金属間化合物は、前記接点の成分及び前記熱力学的に準安定な粒子から生じる成分の両方を有する。
【0013】
はんだ付けにおいて本発明の前記はんだ組成物が、したがって、導入部で述べられた拡散はんだと比較して、完全に異なる反応に関与することが分かる。前記拡散はんだの反応は、前記はんだ自体の第1の成分と第2の成分との間である。前記金属間化合物相が前記はんだ内に形成される。これに反して、本発明において、前記反応は、前記準安定な粒子の構成要素と、接続されるべきものの1つの金属表面との間である。この点に関して、本発明の前記はんだは、前記表面を濡らし、特に前記酸化物層を除去する能力を持つのに対し、従来技術の拡散はんだは、これを達成する内在する能力を持たない。
【0014】
更に、前記粒子の組成が異なる。従来技術の文献は、前記粒子が合金を有することを全く開示していない。国際出願WO−A02/20211号公報において、これらは、特定のコア(core)と、より高い融点を持つ金属(即ち前記第1の金属成分)のシェル(shell)とを持つ粒子である。国際出願WO−A03/72288号公報において、前記粒子は、全く反応しないが、前記金属間化合物相の機械的性質を向上するナノ粒子である。
【0015】
限定されないが、最も好ましくは、本発明の前記はんだ内の粒子は、主として第1の成分及び第2の成分から構成される。前記粒子のこれらの成分は、異なる相に存在すると思われ、おそらく前記金属成分の一方の金属成分のコア、第1の相内の合金の第1のシェル及び第2の相内の合金の第2のシェルの構成である。他方の金属成分の外側シェルが存在することができる。この外側シェルは、しかしながら、実質的に交換される又は実質的に溶解されると仮定され、この後に、前記粒子は、マトリックス組成に化合される。前記第2のシェルは、例えば前記粒子の製造中の速い冷却工程のため、前記熱力学的に準安定な相に存在する。コア及びシェルのこのイメージが本質的に単純化された概念であることが分かる。前記イメージは、前記シェル内の孔、又は1つのシェル内の複数の領域、又は他の相内のコアを除外しない。
【0016】
本発明の発明者は、前記はんだ組成物内の全ての粒子が表面反応に参加するわけではないと、これにとらわれることなく、信じている。前記接着層は、この場合、前記接点と前記はんだ組成物との間の接着を提供する。本発明の重要なフィーチャは、更に、前記はんだ組成物内の過剰な粒子が、冷却後に、はんだ接続部の機械的安定性又は導電性に実質的に負の影響を与えずに前記はんだ接続部に第2の相として存在しつづけることである。
【0017】
本発明の第1の利点は、前記はんだ組成物が、多様な異なる表面に付着することである。これらは、アルミニウム、銅、金、及びニッケルのような金属並びにこれらの合金、ドープシリコンの抵抗接点のような半導体材料、インジウムスズ酸化物、ルテニウム酸化物及び窒化チタンのような導電性酸化物及び窒化物を含む。特に有利なのは、酸化表面を考慮して標準的なはんだバンプを許容しない環境における本発明の適用、特にアルミニウム、ニッケル(さもなければ金の表面を備える)、シリコン及びインジウムスズ酸化物に対する本発明の適用である。本発明の主な適用例は、それぞれラベル及び他の従来のICであり、特にBiSn又はPbSnのようなSnマトリックスを持つはんだ組成物を持つ、細かいピッチ処理に対する浸漬はんだ付け(immersion soldering)、ダイ接着処理、並びにチップ・オン・グラス処理及び特にディスプレイドライバである。
【0018】
本発明の第2の利点は、対向する基板における接点が、主成分として異なる金属を含み得ることである。この場合、前記接着層は、単一の基板の接点のみに形成されうる。適切な例は、アルミニウム及び銅、アルミニウム及び金、インジウムスズ酸化物及び銅又はアルミニウム等を含む。
【0019】
更なる利点は、前記はんだ組成物が無鉛であることができることである。無鉛はんだの使用は、環境面の理由で必要とされる。
【0020】
適用可能である熱力学的に安定な性質の粒子は、金属間化合物に対する合金化元素として、特に及び好ましくは、インジウム、スズ、ビスマス及び亜鉛のグループの1つ以上を有する。これらの元素は、特にアルミニウム、並びにタングステン、チタニウム、バナジウム及びニッケルのような他の元素と金属間化合物を形成することができる。実際に、ここで使用される合金化元素は、周期表の高位グループ(V,VI,Vb)の1つから選択され、前記接点に存在する元素は、周期表の下位グループ(III,IIIa,Iva)内にあり、したがって、合金を形成する希ガス構造の形成を可能にする。
【0021】
他の実施例において、前記粒子は、酸化アルミニウム又は酸化スズの上に選択的に酸化物を形成することができる元素を更に有する。この元素は、チタニウム、クロム、アルミニウム及びニッケルのグループから特に選択される。代替的なアプローチは、酸化アルミニウム層の除去に対する適切な酸性溶液を用いる処理である。酸化アルミニウム表面と関係なく、前記表面の酸化アルミニウムが、準安定な元素から形成された酸化物粒子のものとは別のエネルギレベルを持つようになるので、アルミニウムがこの成分として機能することができることが分かる。結果として生じる状況は、はんだバンプにおけるこれらの酸化物粒子の分散である。
【0022】
準安定な粒子の適切な組成は、例えば、SnAg4Ti4及びZnAl6Ag6である。これらの粒子組成はこれ自体が既知であるが、半導体デバイスのバンピングに使用されることができるはんだ液滴を得るための標準的なはんだ組成物における粒子としてのこれらの組成の使用は既知ではない。更に、現在では、これらの組成は、特定の必要条件にしたがって、半導体デバイスに使用される。ここで使用されるSnベースの粒子は、200ないし238℃の融点を持ち、Znベースの粒子は380ないし426℃の融点を持つ。前記粒子の融点より上の温度まで前記はんだ組成物を加熱する必要はなく、前記マトリックス材料の融点の上の温度までしか加熱する必要がないことが分かった。
【0023】
特に好適な実施例において、反応する要素はSnであり、前記はんだ組成物はSnを有する。粒子及び溶液の両方におけるスズの存在は、前記組成物の向上された安定性を提供する。スズを含むはんだの使用は、半導体アセンブリの分野において更に良く確立されている。このようなはんだの適切な例は、SAC(スズ−銀−銅)はんだ、及びSnCu、SnBi、PbSn、SnIn、SnZnのようなスズベースのはんだ、スズ、インジウム、ビスマス及び亜鉛の三元合金又は四元合金である。このようなスズ含有はんだと金のバンプ又はメタライゼーションとの組み合わせは、共晶AuSn相互接続が形成されることを可能にする点で最も好適である。スズ含有はんだの使用は、比較的低い融点を持つ点で更に有利である。結果として、本発明の前記はんだ組成物は、比較的低い温度しか耐えることができないキャリア上の難はんだ付け性接点に対して付着されることができる。このようなキャリアは、特に有機及び可とう性キャリアである。
【0024】
一般に、分散された粒子は、0.1ないし90%の重量濃度、及び好ましくは0.5ないし60%の重量濃度で存在する。前記濃度は、好ましくは、この範囲の下端において、最大で10%のオーダであり、これは金属間化合物の薄層を形成するのに十分である。厳密な濃度は、前記組成物の粘性及び粒子サイズをも考慮して、要望どおりに選択されることができる。前記接点の表面が、望まれるだけ前記金属間化合物により覆われることを確実にするためには、前記組成物のレオロジが重要な要素であることが理解される。もちろん、化学的安定性及び導電性の両方に対して、完全な接点が前記金属間化合物で覆われることは、高度に好適である。
【0025】
前記分散された粒子の平均直径は、例えば0.1ないし80μmの範囲内である。好ましくは、前記平均直径は、0.3ないし20μmの範囲内である。溶解が前記粒子内の元素の相、ひいては反応性を変化しうるので、前記分散された粒子の最小サイズは、前記はんだ組成物に溶解する傾向のみにより決定される。一様な厚さを持つ前記金属間化合物の薄層を得るためには小さなサイズが好ましいと理解される。更に、小さなサイズは、前記はんだ組成物における前記粒子の分布の一様性を向上させる。加えて、小さな粒子サイズは、前記はんだの個別のドット間のピッチが小さい応用例に対して必要とされるように見える。前記ピッチは、一般に、1つのはんだバンプの中心から近隣のはんだバンプの中心までの距離として規定される。“小さい”とは、この場合、15ないし40μmの距離を意味し、前記粒子は、少なくともこれより小さい、好ましくは更に小さい大きさのオーダであることが必要であると理解される。
【0026】
本発明の前記組成物は、前記ボンディング領域が、他に実質的に電気絶縁基板上のボンドパッドに限定される電子的応用例においてはんだバンプとして使用するのに特に適している。このようなボンドパッドは、一般に、100×100マイクロメートル以下の寸法を持ち、10×10ミクロン以下をも含むが、しかしながら、同様に、より大きくてもよい。代わりに、本発明の前記はんだ組成物は、他の応用に対して使用される。特定の応用例は、キャリアに対する部品のダイ接着である。半導体基板を有するダイの接着に対して驚くほど良い結果が得られた。他の応用例は、2つのより大きな板の接続及びはんだのリングの設備を含む。前記粒子サイズは、これに関連して、2つの対向する基板の個別の表面間の距離を決定するスペーサとして機能するように適合されてもよい。
【0027】
本発明の方法において、前記ボンディング領域、特に接点とも称されるボンドパッド、の一方が、アルミニウムを有することは大いに好ましい。この金属は、受動ネットワークのような集積回路及び他の構成要素において相互接続材料として使用されるだけではない。この金属は、低温におけるラベル及び他の可とう性基板に使用されることができ、自然な酸化物層により湿度等に対する良い保護を持つ。しかしながら、アルミニウムの使用は、しばしば、一般により高い温度において、別個の接着層が付着されなければならないことにより問題及び追加のコストを生じた。本発明において、これは問題にならない。
【0028】
前記第1の接点が前記第1の基板に存在し、前記第2の基板における接点が、前記はんだ組成物と共に合金を形成する厚くされた最上層を有することは、更に適している。逆は除外されないが、良い結果は、前記はんだ組成物が付着された基板において前記金属間化合物が形成される実験において得られた。これは、前記第1の接点の保護及び安定な接続部が前記はんだ組成物の提供後に直接的に形成されることができるという利点を持つ。前記第2の基板に対する接続部は、後の段階において、及びあるいは他の場所において形成されることができる。前記金属間化合物の高い安定性を考慮すると、これは、後のはんだ付け工程において再溶解されないが、しかしながら、前記金属間化合物の層は、続行された堆積の結果として厚くされることができる。
【0029】
厚くされた最上層の存在は、前記はんだ組成物との合金の形成を生じる。厚くされた最上層の例は、アンダーバンプメタライゼーション、スタッドバンプ及びガルバニック(galvanic)バンプ等を含む。適切な材料は、当業者にこれ自体が既知であり、例えばニッケル、銅及び金を含む。
【0030】
本発明の前記方法は、可とう性キャリアにおける、集積回路のような、構成要素の設備に対して特に適している。しかしながら、前記方法は間違いなくこの応用に限定されない。他の適切な応用は、1つのチップ上のボンドパッドが他のチップ上のボンドパッドに接続されるチップ・オン・チップ応用を含む。しばしば、必要ではないが、これらのボンドパッドの少なくとも1つがアルミニウム又はアルミニウム合金を有する。チップの第1の組み合わせは、メモリチップ及びプロセッサ又は他の論理チップの組み合わせである。代替的な組み合わせは、キャリアとして受動構成要素のネットワークを持つ集積回路である。他の組み合わせは、例えば上に受動構成要素又はネットワークが設けられた集積回路である。特に前記構成要素に対して、本発明のはんだは、これが小さなピッチの解決になる必要があるので、大いに適切であると思われる。また、別個の接着層が必要とされないので、コストが減少され、可とう性が増大される。このバージョンにおいて、このような受動ネットワークのメタライゼーション層は、アルミニウムからなる。本発明の前記組成物の使用は、マスク工程の実質的な削減を可能にする。更に、本発明の前記組成物は、アルミニウム又は酸化アルミニウムのみに対する限定的な湿潤性(wettability)を持つように調整されるだろう。このように、前記はんだ組成物は、マスクレスで使用されることができ、続行された接着は、前記金属間化合物の形成により確立される。
【0031】
前記金属間化合物の形成に必要とされる加熱は、局所的に又は完全な基板にわたり提供されることができる。リフローオーブンの使用はオプションであるが、必要とはされない。
【0032】
上述のように、前記はんだ組成物は基板上で使用されることができ、前記基板は、この後に売られるか、又は他の場所に輸送される。中間生成物は、したがって、本発明の前記はんだ組成物を液滴等の形で持つ基板である。前記基板は、一般に、集積回路の場合に構成要素の一部である。接点のパターンは、一般に使用されるボール・グリッド・アレイであってもよい。しかしながら、能動における(on active)ボンドパッドのパターンを使用し、この構造においてボンドパッドが半導体デバイスの能動素子を覆うことは、間違いなく除外されない。
【0033】
前記はんだは、バンプの形で、即ち個別に堆積された液滴により、構成要素の表面に付着されることができる。代替的であるが適切な方法は、浸漬はんだバンピングの使用である。この方法において、特にSnを含む層が、浸漬により、例えばニッケル又は銅の適切なアンダーバンプメタライゼーションに設けられる。この場合、対向する基板は、難はんだ付け性接点を持ちうる。浸漬はんだ付けの利点は、達成されることができる減少されたピッチである。
【0034】
本発明は更に、導電性はんだ接続を用いて相互に接続された接点を備えた第1及び第2の基板のアセンブリに関する。
【0035】
本発明の他の目的は、良い接点を提供する接着層を持つようなアセンブリを提供することである。
【0036】
この目的は、金属間化合物を有する接着層が、前記接点の少なくとも1つ及び前記はんだ接続部の接触面に存在し、前記化合物が、前記接点に存在する元素及び前記はんだ組成物から生じる合金化元素を有することにより達成される。
【0037】
本発明の組成物及び方法のこれら及び他の態様は、図面を参照して更に説明される。
【0038】
図は正しい縮尺で描かれておらず、異なる図における同じ参照番号は同様な部分を参照する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
図1は、従来技術の基板の概略的な断面図を示す。この基板は、集積回路デバイスである。この基板は、複数の素子、この場合にはMOSトランジスタ2及びポリシリコントラック3を有する。前記回路は、半導体本体1の表面における能動回路領域4に設けられている。回路2及び3に対する覆っている関係は、相互接続構造8が、回路デバイス2及び3を相互接続するように設けられ、回路を形成する。この実施例において、相互接続構造8は、第1のパターン化金属層5、第2のパターン化金属層6及び相互接続ビア(interconnection vias)7を有する。パターン化金属層5及び6は、例えば、AlCuのようなアルミニウム合金又はAlを有する。相互接続構造8の上には、パッシベート材料(passivating material)の層9が配置されている。前記パッシベート材料は、例えば窒化シリコン又は酸化シリコンである。このパッシベーション構造は、前記集積回路に対する不正アクセスに対する障害を設けるために、放射線を抑制し、反応性腐食液に対して化学的に安定である他の層を有してもよい。後者の態様は、第一に、スマートカード等における集積回路の応用に対して重要である。フォトリソグラフィ工程及びエッチングを用いて、第2のパターン化金属層6から延在し、パッシベート材料の層9を通過するビアコンタクトホール10が形成されている。例えばTiW又はTi/Ptを有するバリア層11は、例えばスパッタリング処理を用いて、パッシベート材料の層9上及びビアコンタクトホール10内に設けられる。バリア層11は、パッシベート材料の層9と比較して比較的薄く、約200ないし300nmの厚さを持つ。バリア層11の上に、金属層12が、例えばスパッタリング処理を用いて堆積されている。この金属層12は、例えばAuを有してもよく、100ないし200nmの厚さを持つ。この後に、Pb/Snバンプ13は、バンプ寸法を定めるためにフォトリソグラフィ工程により先行された電気めっきを用いてバリア層11及び金属層12の上に成長された。バリア層11、金属層12及びバンプ13は、一緒に、バンプ電極を形成する。前記バンプ電極は、能動回路領域4の実質的に真っ直ぐ上に位置する。
【0040】
図2は、本発明の基板を概略的な断面図において示す。この基板において、バリア層11及び金属層12は不在である。代わりに、バンプ13に対する材料として本発明の前記はんだ組成物を使用する。この材料は、はんだペーストとしてプリントされ、パッシベーション層9がはんだレジスト層として機能する。重量で4.5%のSn92Ag4Ti4の粒子と、重量で0.5%のSn90Al6Ag4の粒子とを有する共晶Sn43Bi57はんだ付け合金をマトリックス材料として使用する。前記はんだ組成物は、コンタクトホール10において、第2のパターン化金属層6に規定されるAl又はAl合金のボンドパッドに付着される。これらのボンドパッドは、自然な酸化アルミニウム層を備える。前記はんだ組成物は、前記マトリックス材料の融点より上までの加熱工程により前記ボンドパッドに付着するようにされる。共晶スズ−ビスマスの融点は139℃なので、前記加熱工程は、この例においては170℃で実行された。結果として生じる構造は、キャリアに付着される。前記ボンドパッドは、約50×50ミクロンのサイズを持つが、しかしながら、決定的ではなく、減少を受けやすい。
【0041】
図3は、概略的な断面図において、本発明のアセンブリ100を示す。前記はんだバンプ13を有する集積回路30は、この場合、アルミニウムトラック23を有するキャリア20に対してキャリア20の第1の側21において付着される。この後に、ボンディング工程が実行され、ここで超音波ボンディングが、温度250℃において及び10秒の間に34kHz及び5Wの出力で実行される。結果として生じる接続部は、SnAlの金属間化合物の接着層16及び26を有する。加えて、SnTiの粒子17が形成され、はんだバンプ13内に存在し、元々存在する酸化アルミニウム表面層から自由にされた酸素を留める。SnAgTiの粒子18は、内蔵された酸素を持つSnTiの粒子17に加えて存在しうる。これらは、接着層16及び26の形成中に反応しない又は部分的にしか反応しない粒子である。
【0042】
図4は、比較例の写真を示す。この場合、付加される粒子なしでSnBi合金を使用した。Dで示されるクラックが見え、これは、接続部が信用できないことを示す。Aで示される暗い相はスズ(Sn)を有し、おそらく、これはBiを更に有するスズが豊富な組成である。Bで示される白い相はBiを有し、おそらく、これはSnを更に有するBiが豊富な相である。通常のプロセスにおけるSnBi合金の分離は、時間の経過において生じる。これは、導電性又は機械的安定性のいずれにも負の影響を持たない。
【0043】
図5及び6は、第1の実験で作成された接続部の断面の写真を示す。前記写真間の差は、前記粒子の形態にある。図5は、針形粒子Cに対する結果を示し、図6は、不規則形状を持つ粒子Cに対する結果を示す。これらの粒子は、本発明の準安定合金を含む。前記表面から比較的遠く離れた粒子が前記表面と反応しなかったことが分かる。前記基板に対する反応後に第2の合金化元素に何が起こるかはこれまで未知であることが更に分かった。この場合、SnTiの粒子が使用された。Snは前記表面と反応してAl−Snを形成する。Tiはおそらく酸化物を形成する。このTiO2が別の相として存在するのか、又はSnTi粒子の一部であるのか若しくはSnBiに溶解されるのかは、明らかでない。これは比較的小さな量に関するので、形成される接続部の性質に対して重要ではない。表面6及び23はアルミニウムを含む。相A及びBは、図4と同じように区別されることができる。金属間化合物AlSnの接着層16及び26は、前記表面に存在する。完全な表面6及び23において必要ではないが、好ましくは延在する。
【0044】
この実験における前記粒子は、10ないし20ミクロンのオーダの直径を持つ。このサイズは、他の実験において10ミクロン以下、より好ましくは5ミクロン以下、最も好ましくは1ないし3ミクロンに減少される。この減少は、IC業界における小型化を考慮して行われる。高抵抗の接点が得られ、導電性が良い。
【0045】
図7は、概略的な断面図において本発明によるアセンブリ100の第2の実施例を示す。本発明のはんだ組成物13は、この例においてニッケル又は銅メタライゼーションの上に付着される。この場合、これ自体が既知である浸漬はんだ付けバンピングの技術を使用する。ニッケルメタライゼーション12は、好ましくは無電解プロセスにおいて付着される。これは、マスクレスプロセスであり、前記ニッケルメタライゼーションは、40ミクロン以下、場合によっては10ミクロンのオーダの非常に小さなピッチで付着されることができる。基板30は、この場合、アルミニウム・ボンドパッド24を有するキャリア20に付着される。このキャリア20は、特に半導体基板22と、相互接続構造体28と、パッシベーション層29とを持つ集積回路である。浸漬はんだ付けで付着されるはんだバンプの小さな高さを考慮すると、キャリア20の第1の側21におけるボンドパッド24は、好ましくは、例えば当技術分野においてこれ自体が既知である能動処理においてボンドパッドにおいて、パッシベーション層29の上に設けられる。能動処理におけるこのようなボンドパッドにおいて、ボンドパッド24は、縦の相互接続部等を介してパッシベーション層29の下の相互接続層25までルート変更される(rerouted)。この実施例は、従来の浸漬はんだ付けバンピングに対して、Auの追加のメタライゼーションがキャリア20に付着される必要がないという利点を持つ。これは、更に、溶解性が向上され、メタライゼーションとは逆に、能動層24上のアルミニウム・ボンドパッドは、標準的なプロセスの一部としてウエハファブにおいて適切に付着されることができるという利点を持つ。前記浸漬はんだ付けバンピング技術は、このはんだ付けプロセスが実質的な圧力無しで実行されることができるという利点を持つ。したがって、一般に高いボンディング圧力に耐えることができない、能動におけるボンドパッドと非常に適切に結合されることができる。ここでは示されないが、キャリア20と基板30との間の空間は、アンダフィルで適切に満たされる。前記キャリアにおける対応するボンドパッド24に接続されないはんだバンプ13及びボンドパッド6は、外部デバイス又は他のデバイスに対する接続に対して使用されることができる。前記外部デバイスに対する接続部は、当技術分野で既知である、ワイヤボンディング又はフリップチップを使用して適切に作られる。基板30は、トランジスタのような能動構成要素を有する集積回路を含み得るが、代わりに、キャパシタ、レジスタ、インダクタ及び随意にダイオードを有するパッシブチップであることができる。
【0046】
図8は、概略的な断面図において本発明の前記はんだ組成物の他の応用例を示す。ここで、はんだ組成物13は、キャリア20のヒートシンク200に対して半導体デバイス30の裏側31をはんだ付けするために使用される。特に、半導体デバイス30は、サポートウエハとしてシリコン基板1を有する。加えて、酸化物、窒化物又はシリサイドのような他の材料の埋められた層、及び/又はSiGe、SiC及びIII−V材料を含む他の材料の層とを含み得る。後者の材料は、エピタキシャルで成長されてもよい。驚いたことに、本発明のはんだ組成物13は、シリコンに対する良い接着力を持つことがわかった。第1の実験において、共晶スズ−ビスマスはんだに基づくはんだ組成物13を使用した。同様な結果は、スズ−銀−銅、スズ−銀及びスズ−銅合金のような、より高い融点を持つはんだを用いて同様な結果が達成されうる。図面に示されたように、デバイス30は、相互接続構造体8を備え、その最上層においてボンドパッド6が限定される。デバイス30の上側32に存在するパッシベーション層9における開口を介して露出されるこれらのボンドパッド6は、一般にアンダーバンプ・メタライゼーション(UBM)と称されるメタライゼーション12を備え、導電性接続部、この場合にはワイヤボンド33を備える。ワイヤボンド33は、キャリア20の一部であるコンタクトパッド201及び202に接続される。この場合、キャリア20は、HVQFN型のリードフレームである。このアセンブリは、エポキシのような従来の材料のカプセル化40により保護される。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】従来技術の基板の概略的な断面図を示す。
【図2】本発明による基板の概略的な断面図を示す。
【図3】本発明によるアセンブリの概略的な断面図を示す。
【図4】第1の試験結果の写真を示す。
【図5】第2の試験結果の写真を示す。
【図6】比較例の試験結果の写真を示す。
【図7】本発明のアセンブリの第2の例の概略的な断面図を示す。
【図8】本発明のアセンブリの第3の例の概略的な断面図を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだの組成物において、熱力学的に準安定な合金の粒子が分散され、前記合金が、金属酸化物を含む表面に前記組成物を付着すると前記表面の金属と共に金属間化合物を形成する元素を有する組成物。
【請求項2】
前記表面と反応する前記合金の元素が、Sn、Zn、In、Al及びBiのグループから選択されることを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記反応する元素がSnであり、前記はんだ組成物がSnを有することを特徴とする、請求項2に記載の組成物。
【請求項4】
前記分散された粒子が、0.1ないし90%の重量濃度、好ましくは0.5ないし60%の重量濃度で存在する、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
前記分散された粒子が、0.5ないし80μmの、好ましくは1ないし20μmの平均直径を持つ、請求項1ないし4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
はんだ組成物を用いて第1の基板におけるボンディング領域と第2の基板におけるボンディング領域との間に導電性接続部を製造する方法であって、
前記第1の基板におけるボンディング領域上に前記はんだ組成物を付着するステップと、
前記はんだ組成物が前記第1の基板におけるボンディング領域と前記第2の基板におけるボンディング領域との間に挟まれるように前記第1の基板及び前記第2の基板を組み立てるステップと、
前記はんだ組成物を加熱することにより前記導電性接続部を提供するステップと、
を有する方法において、
前記第1の基板におけるボンディング領域及び前記第2の基板におけるボンディング領域の第1のボンディング領域が、合金化金属及び対応する酸化物層を含み、
はんだ構成物が付着され、前記はんだ構成物において熱力学的に準安定な合金の粒子が分散され、前記合金が、前記第1のボンディング領域の前記合金化金属と共に金属間化合物を形成する元素を有する、
ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記第1のボンディング領域の前記合金化金属がAlである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記ボンディング領域がボンディングパッドに限定され、前記第1のボンディング領域が前記第1の基板に存在し、前記第2の基板におけるボンディング領域が、前記はんだ組成物と共に合金を形成する厚くされた最上層を有する、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のはんだ組成物が使用される、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
請求項1ないし5のいずれか一項に記載のはんだ組成物の層が存在するボンディング領域を有する基板。
【請求項11】
前記はんだ組成物の層が液滴形状である、請求項10に記載の基板。
【請求項12】
前記基板が集積回路の一部であることを特徴とする、請求項10に記載の基板。
【請求項13】
第1の領域において、導電性はんだ組成物を用いて相互に接続された表面を備えた第1の基板及び第2の基板のアセンブリにおいて、金属間化合物を有する接着層が前記第1の領域及び前記はんだ組成物の少なくとも一方の接触面に存在し、前記化合物が前記第1の領域に存在する元素及び前記はんだ組成物から生じる合金化元素を有することを特徴とするアセンブリ。
【請求項14】
熱力学的に準安定な合金の粒子が前記はんだ組成物において分散され、前記金属間化合物の合金化元素が前記熱力学的に準安定な合金から生じることを特徴とする、請求項13に記載のアセンブリ。
【請求項15】
前記第1の基板が集積回路を有し、前記第1の領域がボンドパッドとして識別される領域に限定される、請求項13に記載のアセンブリ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2008−500181(P2008−500181A)
【公表日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514227(P2007−514227)
【出願日】平成17年5月11日(2005.5.11)
【国際出願番号】PCT/IB2005/051547
【国際公開番号】WO2005/115679
【国際公開日】平成17年12月8日(2005.12.8)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【出願人】(506362727)
【Fターム(参考)】