説明

はんだペースト用フラックスおよびはんだペースト

【課題】保存安定性に優れ、低温かつ短時間で樹脂が硬化し、さらに耐久性に優れたはんだペーストと、それに用いるフラックスとを提供する。
【解決手段】本発明のはんだペースト用フラックスは、(A)熱硬化性プレポリマー、(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシモノマーまたはオリゴマー、(C)融点が80℃〜170℃のカルボン酸、および(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステルを含む。また、本発明のはんだペーストは、上記はんだペースト用フラックスと、はんだ金属粉末とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだペーストおよびそれに用いられるフラックスに関し、詳しくは、はんだペーストのフラックスにおける硬化樹脂膜形成用樹脂成分の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
電子製品の実装工程では、電子部品端子と回路基板電極とを接合するために、はんだペーストを使用するケースが多い。例えば、特許文献1には、所定の樹脂状物質を含有するフラックスとはんだ粉とを配合して得られるクリームはんだが記載されている。近年、電子製品の小型化・高性能化に伴って、はんだ接合部の微細化が進行している。このような電子部品が落下などにより衝撃を受けた場合、外部応力の負荷により接合部が損傷を受けるおそれがある。特に、接合部が微細であるほど衝撃を受けた場合の影響が大きいため、接合信頼性(接合強度)の低下が懸念される。
【0003】
また、微細化技術の確立と並行して、環境負荷の軽減についても製造工程において取り組むべき課題の1つになっている。この課題の解決策として、低温はんだ(例えば、Sn−Bi、Sn−Bi−AgなどのSnBi系はんだなど)を用いた低温接合プロセスによる消費電力の削減(CO2排出量の削減)という手段が挙げられる。
【0004】
しかし、SnBi系はんだは機械的強度が十分ではない。このため、SnBi系はんだを用いて微細な接合部を形成した場合には、接合部が衝撃を受けたときだけでなく、例えば製品が過酷な条件下で使用されたときにも、接合強度が低下するおそれがある。そこで、接合強度を向上させるために、はんだ粉末と熱硬化性樹脂類とを含むはんだペーストを接合材料として用いる手法が提案されている。はんだペーストを用いた接合部は、はんだ層の周囲に硬化樹脂膜が形成されるため、強度が向上すると考えられる。また、硬化樹脂膜が電子部品と回路基板との隙間を充填して、電子部品と回路基板との密着性を補強することも、強度の向上に寄与すると考えられる。このような熱硬化性樹脂としては、エポキシ類やシアネートエステル類などが知られている(特許文献2および特許文献3)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−205296号公報
【特許文献2】特開2006−334669号公報
【特許文献3】特開2002−224885号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述のはんだペーストは、はんだ付け時において、樹脂の硬化が進行する温度域で一定時間以上保持する必要がある。しかし、このように加熱状態を保持することは、生産面、部品や基板への熱負荷の面から好ましくない。しかも、加熱状態を保持することは、環境負荷を軽減するために低温はんだを用いるという本来の意図から逸脱することになる。
【0007】
一方、加熱保持時間を短くする、すなわち硬化時間を短くするために、反応性の高い樹脂や硬化剤などを用いることが知られている。しかし、反応性の高い樹脂や硬化剤を含むはんだペーストは、保存時にも反応が進みやすく、ペーストの粘度が上昇することから、保存安定性が低下する。
【0008】
加えて、近年、実装基板が配置される環境が多様化しており、例えば車載基板では、エンジンルーム内のエンジン付近のように、寒暖差が非常に大きく、しかも激しい振動がかかるといった、より過酷な環境への実装基板の配置が増えている。このようなケースでは接合部に高い耐久性(高温と低温との冷熱サイクルを繰り返す温度負荷条件下での耐クラック性等)が求められる。
【0009】
本発明の課題は、保存安定性に優れ、低温かつ短時間で樹脂が硬化し、さらに耐久性に優れたはんだペーストと、それに用いるフラックスとを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討を行った結果、以下の構成からなる解決手段を見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
(1)(A)熱硬化性プレポリマー、(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシモノマーまたはオリゴマー、(C)融点が80〜170℃のカルボン酸、および(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステルを含む、はんだペースト用フラックス。
(2)前記(A)熱硬化性プレポリマーが2官能エポキシプレポリマーを含む、(1)に記載のはんだペースト用フラックス。
(3)前記(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能性エポキシモノマーまたはオリゴマーが70〜125℃の軟化点を有する、(1)または(2)に記載のはんだペースト用フラックス。
(4)前記分子内に3つ以上の官能基を有する多官能性エポキシモノマーがトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートである、(3)に記載のはんだペースト用フラックス。
(5)前記(C)カルボン酸の融点が90〜140℃である、(1)〜(4)のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
(6)前記(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステルが、分子内にさらに芳香環を有する、(1)〜(5)のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
(7)前記(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシモノマーまたはオリゴマーの含有割合が、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して5〜50質量%である、(1)〜(6)のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
(8)前記(C)カルボン酸の含有割合が、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して1〜30質量%である、(1)〜(7)のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
(9)前記(D)シアン酸エステルの含有割合が、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して1〜20質量%である、(1)〜(8)のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
【0012】
(10)はんだ金属粉末と、(1)〜(9)のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックスとを含む、はんだペースト。
(11)前記はんだ金属粉末が、200℃以下の融点を有する低温はんだ金属粉末である、(10)に記載のはんだペースト。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一局面のはんだペースト用フラックスにおいては、(A)熱硬化性プレポリマーと、(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能性エポキシモノマーまたはオリゴマーと、(C)融点が80℃〜170℃のカルボン酸と、(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステルとが組み合わされている。このフラックスを用いることにより、保存安定性に優れたはんだペーストを調製することができる。
【0014】
また、本発明の他の一局面のはんだペーストは、はんだ金属粉末と、上記はんだペースト用フラックスとが組み合わされている。このはんだペーストは、保存安定性に優れる。しかも、上記はんだペーストを用いることにより、はんだ付けを低温かつ短時間で行っても十分に樹脂を硬化させることができ、さらに硬化後の硬化樹脂層について、その耐久性を優れたものとすることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明の一局面のはんだペースト用フラックスについて、具体的な実施形態を挙げて詳細に説明する。
はんだペースト用フラックスの一実施形態は、
(A)熱硬化性樹脂プレポリマー(以下、「A成分」と記載する場合がある)と、
(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシモノマーまたはオリゴマー(以下、「B成分」と記載する場合がある)と、
(C)融点が80℃〜170℃のカルボン酸(以下、「C成分」と記載する場合がある)と、
(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステル(以下、「D成分」と記載する場合がある)と、さらに必要に応じて、
(E)硬化剤(以下、「E成分」と記載する場合がある)と、
(F)上記A〜E成分を溶解し、または分散するための分散媒(以下、「F成分」と記載する場合がある)と、を含む。
なお、以下、はんだペースト用フラックスに含まれるF成分以外の成分を「固形分」という。
【0016】
上記はんだペースト用フラックスのA成分は、例えば、2官能のエポキシプレポリマー(2官能のエポキシ樹脂主剤)を主たる成分とするか、または2官能のエポキシプレポリマーのみからなる。はんだペースト用フラックスやそれを用いたはんだペーストの耐熱性および作業性の観点から、A成分は、2官能のエポキシプレポリマーを15質量%以上含むことが好ましく、20質量%以上含むことがより好ましい。
【0017】
2官能のエポキシプレポリマーとしては、例えば、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、臭素化ビスフェノールA型、水添ビスフェノールA型、ビスフェノールS型、ビスフェノールAF型、ビフェニル型、ナフタレン型、フルオレン型などの、各種のグリシジルエーテル型エポキシプレポリマーや、グリシジルエステル型エポキシプレポリマー、グリシジルアミン型エポキシプレポリマー、脂環型エポキシプレポリマーなどが挙げられる。なかでも、ビスフェノールA型、ビスフェノールF型、ビスフェノールS型、ナフタレン型が特に好ましい。
【0018】
A成分は、2官能のエポキシ樹脂プレポリマーだけでなく、例えば、ウレタンプレポリマー、不飽和ポリエステルプレポリマー、フェノールプレポリマー、ラジカル重合性アクリルプレポリマー、マレイミドプレポリマーなどの、他の熱硬化性プレポリマーを含んでいてもよい。このような他の熱硬化性プレポリマーは、1種類を単独で用いてもよく、または2種類以上を併用してもよい。
【0019】
上記はんだペースト用フラックスは、A成分の硬化速度を速めたり、硬度を増したりする目的で、さらにE成分を含んでもよい。特に、A成分がエポキシプレポリマー(エポキシ樹脂主剤)を含む場合において、はんだペースト用フラックスは、E成分として、エポキシプレポリマー用の硬化剤または硬化促進剤を含む。エポキシプレポリマー用の硬化剤または硬化促進剤としては、公知のものを適宜用いることができる。硬化剤は1種類を単独で用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0020】
エポキシプレポリマー用の硬化剤または硬化促進剤としては、例えば、イミダゾール類、ポリアミン、酸無水物、その他各種の硬化剤または硬化促進剤を用いることができる。
【0021】
イミダゾール類としては、例えば、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト、エポキシ−イミダゾールアダクト、エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物、2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−ヘプタデシルイミダゾールなどが挙げられる。
【0022】
ポリアミンとしては、例えば、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、メタキシリレンジアミンなどの脂肪族アミン、イソホロンジアミン、1,3−ビスアミノメチルシクロヘキサンなどの脂環族アミン、ジアミノジフェニルメタン、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルスルフォンなどの芳香族アミン、その他、ジシアンジアミド、有機酸ジヒドラジドなどが挙げられる。また、ポリアミン系の硬化剤は、ダイマー酸変性体のポリアミド、ケトン変性体のケチミン、エポキシド変性体のエポキシアダクト、チオ尿素変性体、マンニッヒ変性体、マイケル付加変性体などの各種変性体であってもよい。
【0023】
酸無水物としては、例えば、無水フタル酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸などの芳香族酸無水物;無水テトラヒドロフタル酸、無水メチルテトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリアルキルテトラヒドロフタル酸などの環状脂肪族酸無水物などが挙げられる。
【0024】
硬化剤(E成分)は、潜在性硬化剤または潜在性硬化促進剤であることが好ましい。
エポキシプレポリマー用の硬化剤または硬化促進剤の具体例としては、例えば、旭化成イーマテリアルズ株式会社製の潜在性硬化促進剤、商品名ノバキュアHX−3721、HX−3722、HX−3088、HXA−3792;日本曹達株式会社製の硬化促進剤、商品名NIPA−2E4MZ、NIPA−2P4MZ、HIPA−2E4MZ、HIPA−2E4MZ、NIPA−2MZ、HIPA−2MZ、TEP−2MZ、TIC−188;四国化成工業株式会社製のイミダゾール系硬化促進剤、商品名キュアゾール(登録商標)2PHZ−PW(2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール)、キュアゾール2P4MHZ−PW(2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール);同社製のイミダゾール系潜在性硬化剤、商品名C11Z−CNS(1−シアノエチル−2−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテイト)、キュアダクトP−050(エポキシ−イミダゾールアダクト)、キュアダクトL−07N(エポキシ−フェノール−ホウ酸エステル配合物);富士化成工業株式会社製の脂肪族ポリアミン系硬化剤、商品名フジキュア(登録商標)FXR−1020、フジキュアFXR−1030、フジキュアFXR−1050、フジキュアFXR−1080;味の素ファインテクノ株式会社製のアミンアダクト系硬化剤、商品名アミキュアPN−23、アミキュアMY−24、アミキュアPN−31、アミキュアPN−40;同社製のヒドラジド系硬化剤、商品名アミキュアVDH;エア・ウォーター株式会社製の硬化剤(フェノールアラルキル樹脂)、商品名HE−100シリーズ;三新化学工業株式会社製のカチオン系潜在性硬化促進剤(芳香族スルホニウム塩)、商品名サンエイド(登録商標)SI−60L、サンエイドSI−80L、サンエイドSI−100L;その他、Fa型ベンゾオキサジン(例えば、小西化学工業株式会社製の商品名BF−BXZ、BS−BXZ、BA−BXZ)、Pd型ベンゾオキサジン、などが挙げられる。
【0025】
E成分の含有量は特に限定されるものではなく、上記フラックスを用いたはんだペーストに要求される架橋の程度や架橋速度に応じて、適宜設定することができる。
【0026】
上記はんだペースト用フラックスのB成分は、分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシ化合物であれば、特に限定されない。官能基としては、例えば、グリシジル基、アリル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基が挙げられ、なかでもグリシジル基が好ましい。また、B成分における3つ以上の官能基は、少なくとも1つがグリシジル基であることが好ましい。
【0027】
B成分は、分子内に3個以上の官能基を有するため、上記A成分との架橋反応が進みやすく、低温加熱条件下でも短時間で架橋密度の高い硬化樹脂層が形成される。上記はんだペースト用フラックスがB成分を含まない場合は、はんだペーストの加熱条件を低温度または短時間に設定したときに、架橋密度の高い硬化樹脂層が形成されにくくなる。
【0028】
B成分の溶融温度または軟化点は、70〜125℃が好ましく、90〜125℃がより好ましい。B成分の溶融温度または軟化点が70℃を下回ると、保管中に増粘や硬化が生じやすくなり、はんだペーストの保存安定性が低下する傾向がある。逆に、B成分の溶融温度または軟化点が125℃を上回ると、はんだペーストの加熱条件を低温度または短時間に設定したときに、架橋密度の高い硬化樹脂層が形成されにくくなる傾向がある。
【0029】
はんだペースト用フラックスやはんだペーストの保管温度は一般的に氷点下であって、B成分の溶融温度または軟化点に比べてはるかに低い。そのため、上記はんだペースト用フラックスおよびそれを用いたはんだペーストは、保管中に架橋反応が生じにくく、保管中に増粘したり硬化したりすることを抑制できる。
【0030】
B成分の具体例としては、例えば、一般式(1):
【0031】
【化1】

【0032】
(一般式(1)中、R1およびR2は同一または互いに異なって、グリシジル基、アリル基、カルボキシアルキル基、またはヒドロキシアルキル基を示す。)で表される3官能エポキシモノマーが挙げられる。一般式(1)に示すように、シアヌル酸の各窒素原子にグリシジル基などの官能基が導入されたイソシアヌル酸エステルは、A成分としての熱硬化性プレポリマーにおける架橋構造を密にするだけでなく、はんだペーストを硬化して得られる硬化樹脂膜の熱膨張を抑制し、その耐熱性を向上させることができる。しかも、硬化樹脂膜の透明性を高く維持することができる。上記一般式(1)で表される3官能エポキシモノマーは、なかでも、下記式(1−1):
【0033】
【化2】

【0034】
で表される、R1およびR2がともにグリシジル基のトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC、軟化点120℃)が好ましい。
【0035】
また、B成分としては、例えば、下記式(2)で表されるナフタレン型の4官能エポキシモノマー(軟化点92℃)や、下記式(3)で表されるフェノールノボラック型エポキシオリゴマー、下記式(4)で表されるクレゾールノボラック型エポキシオリゴマー、下記式(5)で表されるジシクロペンタジエン型エポキシオリゴマーなどが挙げられる。
【0036】
【化3】

【0037】
(式(3)〜(5)中、nは1〜3の整数を示し、好ましくは、1または2を示す。)
【0038】
上記式(3)で表されるフェノールノボラック型エポキシオリゴマーは、繰返し単位の数nが2である場合に、軟化点が80℃である。上記式(4)で表されるクレゾールノボラック型エポキシオリゴマーは、繰返し単位の数nが2である場合に、軟化点が70℃である。また、上記式(5)で表されるジシクロペンタジエン型エポキシオリゴマーは、繰返し単位の数nが2である場合に、軟化点が90℃である。
【0039】
B成分の含有量は、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して、5〜50質量%が好ましく、10〜40質量%がより好ましい。B成分の含有量を5〜50質量%に設定することにより、はんだペーストの加熱条件を低温度かつ短時間に設定しつつ、架橋密度の高い硬化樹脂層を得ることができる。B成分の含有量が5質量%を下回ると、加熱条件が低温または短時間である場合に、架橋密度の高い硬化樹脂層を形成されにくくなる傾向がある。逆に、B成分の含有量が50質量%を上回ると、A成分の架橋が過度に進行して、はんだペーストの作業性が低下する傾向がある。
【0040】
上記はんだペースト用フラックスのC成分は、プロトン供与体(ブレンステッド酸)として、エポキシ基の開環を促進する。このC成分には、融点が80〜170℃のものが用いられる。融点が80℃を下回るカルボン酸を用いた場合、カルボン酸が比較的低い温度で融解するため、低温でも上記のエポキシ化合物の開環を促進し、その結果、はんだペーストの保管中に、増粘したり硬化したり保存安定性が悪くなる。さらに、低温での反応性が高くなると、はんだ金属の溶融温度域に達するよりもかなり低い温度で樹脂の硬化反応が促進され、はんだ金属の溶融や合体を阻害する可能性もある。一方、融点が170℃を上回るカルボン酸を用いた場合、はんだ金属の溶融とほぼ同じ温度あるいはより高い温度で、上記のエポキシ化合物の開環が促進される。その結果、短時間では十分に硬化されないか、あるいは硬化完了までに長時間の加熱が必要となり、架橋密度の高い硬化樹脂層が形成されにくくなる傾向がある。C成分の融点は、80〜170℃が好ましく、90〜140℃がより好ましい。
【0041】
C成分としては、例えば、グルタル酸(95℃)、イタコン酸(167℃)、シトラコン酸(90℃)、アゼライン酸(98℃)、2,2−ジメチルグルタル酸(85℃)、フェニルコハク酸(167℃)、クエン酸(100℃)、ジチオグリコール酸(135℃)、3,3−ジメチルグルタル酸無水物(125℃)、3,3−ジメチルグルタル酸(100℃)、無水コハク酸(120℃)、無水フタル酸(132℃)、マレイン酸(133℃)、マロン酸(136℃)、ソルビン酸(135℃)、フェニルマロン酸(153℃)、ベンジルマロン酸(118℃)などが挙げられる(カッコ内は融点を示す)。
【0042】
これらの中でも、グルタル酸、イタコン酸、シトラコン酸、アゼライン酸、2,2−ジメチルグルタル酸、フェニルコハク酸、クエン酸、ジチオグリコール酸、3,3−ジメチルグルタル酸無水物、3,3−ジメチルグルタル酸、フェニルマロン酸およびベンジルマロン酸が好ましく、グルタル酸がより好ましい。C成分は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0043】
C成分の含有量は、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して、1〜30質量%が好ましく、10〜25質量%がより好ましい。B成分の含有量を1〜30質量%に設定することにより、はんだペーストを加熱したときのA成分の架橋を適度に促進することができ、これにより、はんだペーストの加熱温度の低下や加熱時間の短縮の効果を得ることができる。C成分の含有量が1質量%を下回ると、上記効果が得られにくくなる傾向がある。逆に、C成分の含有量が30質量%を上回ると、A成分の架橋が過度に進行して、はんだペーストの作業性が低下する傾向がある。
【0044】
上記はんだペースト用フラックスのD成分は、分子内に2つ以上のシアナト基を有すること以外は特に限定されず、公知の各種のシアン酸エステルを適宜用いることができる。なかでも、シアン酸エステルのオリゴマーのように、分子内に3つ以上のシアナト基を有するシアン酸エステルは、はんだペーストを加熱したときに架橋密度が高くなりすぎるのを抑制して、架橋密度を適度な範囲に設定することができる。このため、硬化樹脂層が硬くかつ脆くなるという事態を回避して、硬化樹脂層の衝撃抵抗を優れたものとすることができる。また、D成分は、分子内にさらに芳香環を有するものが好ましい。分子内に芳香環を有するD成分は、はんだペーストを硬化させて得られる硬化樹脂層に柔軟性を付与する。その結果、硬化樹脂層にかかる応力を緩和することが可能となり、クラックの発生が抑制される。なお、分子内に1個のシアナト基しか有さないシアン酸エステルを用いた場合には、硬化樹脂層に十分な柔軟性を付与できなくなる傾向がある。
【0045】
D成分としては、下記式(6)で表される1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタンなどのビスフェノールE型シアン酸エステル;下記式(7)で表される2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンなどのビスフェノールA型シアン酸エステル;下記式(8)で表されるビス(4−シアナトフェニル)メタン、下記式(9)で表されるビス(4−シアナト−3,5−ジメチルフェニル)メタンなどのビスフェノールF型シアン酸エステル;下記式(10)で表されるポリ2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンなどのポリシアン酸エステル、などが挙げられる。なお、ポリ2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンは、商品名「BA−230」としてロンザ社(スイス)より市販されている。
【0046】
【化4】

【0047】
これらのD成分の中でも、上記式(6)で表される1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、上記式(7)で表される2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、および上記式(10)で表されるポリ2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンが好ましく、特に、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタンや、ポリ2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパンがより好ましい。D成分は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0048】
D成分の含有量は、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して、1〜20質量%が好ましく、5〜15質量%がより好ましい。D成分の含有量を1〜20質量%に設定することにより、硬化樹脂層の柔軟性を適度に設定することができる。D成分の含有量が1質量%を下回ると、硬化樹脂層に十分な柔軟性を付与しにくくなる傾向がある。逆に、D成分の含有量が20質量%を上回ると、硬化樹脂層が過度に柔軟になって、強度が低くなる傾向がある。
【0049】
上記はんだペースト用フラックスのF成分としては、例えば、テルピネオール、ヘキシレングリコール、ブチルカルビトール、ベンジルアルコール、イソパルミチルアルコール、イソステアリルアルコール、ラウリルアルコールなどのアルコール類;ジイソブチルアジペート、ジエチルフタレート、ジブチルフタレートなどのエステル類;ヘキサデカン、ドデシルベンゼンなどの炭化水素類、などの有機溶剤が挙げられる。F成分の含有量は適宜設定すればよいが、はんだペースト用フラックスの総量に対して1〜80質量%とするのが好ましい。
【0050】
上記はんだペースト用フラックスは、一般的にはんだペースト用のフラックスに用いられる他の添加剤を、本発明の効果を阻害しない範囲で、さらに含んでいてもよい。このような成分としては、上記熱硬化性樹脂以外の樹脂(ロジン、アクリル樹脂など)、活性剤(エチルアミン、プロピルアミンなどアミンのハロゲン化水素酸塩;乳酸、クエン酸、安息香酸などの有機カルボン酸など)、チキソトロピー剤(硬化ひまし油、蜜ロウ、カルナバワックスなど)、溶剤などが挙げられる。なお、上述のC成分は、活性剤としての機能も発揮し得る。
【0051】
また、上記はんだペースト用フラックスには、前述した各成分のほかに、本発明の効果を損なわない範囲で、必要に応じてさらに、酸化防止剤、防錆剤、キレート化剤などの他の成分を添加することができる。なお、上記他の成分は、例えば、フラックスとはんだ合金粉末とを混合する際に添加することもできる。
【0052】
次に、本発明の他の一局面のはんだペーストについて、詳細に説明する。
上記はんだペーストの一実施形態は、はんだ金属粉末と、上記はんだペースト用フラックスとを含む。
【0053】
上記はんだペーストに用いられるはんだ金属粉末は、一般的に用いられるはんだ金属粉末であれば特に限定されない。環境負荷の軽減から、本発明では、好ましくは低温はんだ金属粉末が用いられる。本明細書において、「低温はんだ金属」とは、200℃以下、好ましくは100℃〜200℃の融点を有するはんだ金属のことをいう。はんだ金属としては、SnBi系、SnIn系などが挙げられ、特にSnBi系が好ましい。SnBi系はんだ金属の具体例としては、Sn−Bi、Sn−Bi−Agなどが挙げられる。特に好ましいはんだ金属の組成としては、Sn−58Bi(Sn42質量%、Bi58質量%)、Sn−57Bi−1Ag(Sn42質量%、Bi57質量%、Ag1質量%)などが挙げられる。
【0054】
はんだ金属粉末の粒子径は、特に限定されないが、好ましくは0.5〜50μm、より好ましくは10〜50μm、特に好ましくは25〜45μmである。また、はんだ金属粉末は、1種類のみを用いてもよく、2種類以上を併用してもよい。
【0055】
本発明のはんだペーストは、通常、はんだ金属粉末を20〜95質量%、特に好ましくは、80〜90質量%の割合で含み、残部が他の成分である。
【0056】
本発明のはんだペーストは、例えば、電子機器部品などをはんだ接続する際に、主にスクリーン印刷により基板上に塗布して用いられる。基板への塗布後には、例えば150〜200℃程度でプリヒートを行い、最高温度170〜250℃程度でリフローを行う。基板上への塗布およびリフローは、大気中で行ってもよく、窒素、アルゴン、ヘリウムなどの不活性雰囲気中で行ってもよい。
【0057】
本発明のはんだペーストは、上記の構成により、「保存安定性」および「低温での短時間硬化」の相反する特性を備え、さらにはんだ付けにより硬化した後は、優れた耐久性を示す。したがって、本発明のはんだペーストは、例えば、回路基板への電子部品の実装用途に用いることができる。
【実施例】
【0058】
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0059】
実施例1
<はんだペースト用フラックスの調製>
以下のA〜Fの各成分を撹拌容器に投入して、室温で10分間撹拌・混合することにより、はんだペースト用のフラックスを得た。A〜E成分については、最初に、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対する含有割合を示し、次いで、はんだペースト用フラックスの総量に対する含有割合を[ ]内に示した。なお、C成分は活性剤としての機能も兼ねる。
A成分:ビスフェノールA型エポキシ樹脂(商品名:YD128、新日鐵化学(株)製)、71.1質量%、[64質量%]
B成分:トリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレート(TEPIC)、11.1質量%、[10質量%]
C成分:グルタル酸、11.1質量%、[10質量%]
D成分:1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、5.56質量%、[5質量%]
E成分:イミダゾール系硬化促進剤(商品名:「キュアゾール(登録商標)」2PHZ−PW、2−フェニル−4,5−ジヒドロキシメチルイミダゾール、四国化成工業(株)製)、1.11質量%、[1質量%]
F成分 :ブチルカルビトールアセテート(BCA)
F成分(分散媒)の含有割合は、はんだペースト用フラックスの総量に対して10質量%となるように調整した。
【0060】
<はんだペーストの調製>
はんだ金属粉末と上記はんだペースト用フラックスとを88:12の質量比で混合し、はんだペーストを得た。混合はコンディショニングミキサー((株)シンキー製:あわとり練太郎)を用いて、1分間行った。なお、はんだ金属粉末は、Sn−58Bi(Sn42質量%およびBi58質量%からなる合金)を用いた。
【0061】
実施例2〜18
表1に記載の各成分を、表1〜4に記載の分量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれはんだペースト用フラックスを得た。次いで、はんだ金属粉末と、得られたはんだペースト用フラックスとを、表1〜4に記載の質量比で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれはんだペーストを得た。なお、実施例16〜18では、はんだ金属粉末として、Sn−57Bi−1Ag(Sn42質量%、Bi57質量%およびAg1質量%からなる合金)を用いた。
【0062】
比較例1〜8
表5に記載の各成分を、表5に記載の分量で用いたこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれはんだペースト用フラックスを得た。次いで、はんだ金属粉末と、得られたはんだペースト用フラックスとを、表5に記載の質量比で混合したこと以外は、実施例1と同様にして、それぞれはんだペーストを得た。
なお、B、CおよびDの各成分を用いなかったこと以外は実施例1と同様にしてはんだペーストを調製した。これを対照として表5に示す。
【0063】
(評価)
実施例1〜18および比較例1〜8で得られたはんだペーストを用いて、保存安定性、硬度、接合強度、および硬化樹脂層の外観を、以下の方法で評価した。
【0064】
<保存安定性>
調製直後のはんだペーストの粘度を、レオメーター(アントンパール製、MCR301)を用いて測定した。次いで、はんだペーストを25℃で12時間静置した後、再度、粘度を測定した。静置後の粘度を調製直後の粘度で割ることにより増粘率(25℃、12時間)を求めて、はんだペーストの保存安定性を評価した。
増粘率が1.4以下の場合、保存安定性の観点から実用に適していると評価した。増粘率の評価基準は下記のとおりである。はんだペーストの保存安定性の評価結果を表1〜5に示す。
A+(極めて良好):1.1以下。
A(良好):1.1より大きく、1.2以下。
B(実用に供し得る):1.2より大きく、1.4以下。
C(不良):1.4より大きい。
【0065】
<硬度>
基板(ガラスエポキシ基板(FR−4))に、0.5gのはんだペーストを載せた。次いで、大気中にて、ホットプレートを用いて加熱(ピーク温度180℃、30秒間保持)し、はんだペーストを硬化させた。硬化後、JIS K5600−5−4(塗料一般試験方法−第5部:塗膜の機械的性質−第4節:引っかき硬度(鉛筆法))に準拠して引っかき硬度(鉛筆法)試験を行った。実施例3、12および13においては、はんだペースト用の加熱条件を、ピーク温度160℃、30秒間保持に変更した場合の硬度も測定した。
引っかき硬度がHよりも硬い場合、硬化樹脂層の硬度が実用に適していると評価した。硬度の評価基準は下記のとおりである。評価結果を表1〜5に示す。
A+(極めて良好):5Hまたは5Hよりも硬い。
A(良好):4H〜2H
B(実用に供し得る):H
C(不良):BまたはBよりも柔らかい。
【0066】
<接合強度>
チップ部品搭載用の基板に上記はんだペーストを印刷後、部品を搭載し、加熱溶融(リフロー)させることにより、はんだ付けを行った。基板には、ガラスエポキシ基板(FR−4)上にCu電極を備えるものを用いた。はんだペーストの加熱は大気中で行い、加熱条件は、ピーク温度180℃、保持時間30秒間とした。実施例3、12および13においては、加熱条件を、ピーク温度160℃、30秒間保持に変更した場合についても、接合強度を測定した。
はんだペーストの硬化後、JIS Z3198−7(鉛フリーはんだ試験方法−第7部:チップ部品のはんだ継手せん断試験方法)に準拠して、チップ部品のせん断強度を測定した。接合強さは、強度測定器(DAGE社製:ボンドテスターSeries 4000)を用いて測定されたはんだ継手破断時の引張り荷重(N)について、20回の測定結果から平均値を算出して求めた。
せん断強度(引張り荷重)が60N以上の場合、接合強度が実用に適していると評価した。接合強度の評価基準は下記のとおりである。評価結果を表1〜5に示す。
A+(極めて良好):145N以上。
A(良好):130N以上、145N未満。
B(実用に供し得る):60N以上、130N未満。
C(不良):60N未満。
【0067】
<硬化樹脂層の外観>
上記接合強度の評価で用いたサンプルに対して、冷熱サイクルを1000サイクル施した。冷熱サイクルの冷却条件は、−40℃、30分間とし、加熱条件は120℃、30分間とした。冷熱サイクルを施した後、硬化樹脂層の外観を目視で観察した。
目視観察の評価結果が下記のBランク以上である場合、硬化樹脂層の外観が実用に適している(すなわち、硬化樹脂層の柔軟性が適度であって、耐久性に優れている)と評価した。結果を表1〜5に示す。
A+(極めて良好):硬化樹脂層にクラックが全く観察されなかった。
A(良好):硬化樹脂層に若干のクラックが観察されたものの、凝視しなければ認識できない程度であった。
B(実用に供し得る):硬化樹脂層に目視で認識可能なクラックが発生していたが、クラックが微細で、実用上支障がない程度であった。
C(不良):顕著にクラックが発生しており、実用に耐え得ない場合。
【0068】
【表1】

【0069】
【表2】

【0070】
【表3】

【0071】
【表4】

【0072】
【表5】

【0073】
表1〜4に示すように、実施例1〜18のフラックスを用いて得られたはんだペーストは、保存安定性に優れ、硬化させた場合に優れた硬度を有することがわかる。さらに、実施例1〜18で得られたはんだペーストを用いて接続した場合、接合強度も強く、硬化樹脂層にクラックもほとんど生じておらず、耐久性にも優れていることがわかる。
【0074】
一方、表5に示すように、比較例1〜8のフラックスを用いて得られたはんだペースト(すなわち、A成分、B成分、C成分およびD成分の少なくとも1つを欠くフラックスを用いて得られたはんだペースト)は、保存安定性、硬度、接合強度、および硬化樹脂層の外観の少なくとも1つに劣り、実用的ではないことがわかる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)熱硬化性プレポリマー、(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシモノマーまたはオリゴマー、(C)融点が80〜170℃のカルボン酸、および(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステルを含む、はんだペースト用フラックス。
【請求項2】
前記(A)熱硬化性プレポリマーが2官能エポキシプレポリマーを含む、請求項1に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項3】
前記(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能性エポキシモノマーまたはオリゴマーが70〜125℃の軟化点を有する、請求項1または2に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項4】
前記分子内に3つ以上の官能基を有する多官能性エポキシモノマーがトリス−(2,3−エポキシプロピル)イソシアヌレートである、請求項3に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項5】
前記(C)カルボン酸の融点が90〜140℃である、請求項1〜4のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項6】
前記(D)分子内に2個以上のシアナト基を有するシアン酸エステルが、分子内にさらに芳香環を有する、請求項1〜5のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項7】
前記(B)分子内に3つ以上の官能基を有する多官能エポキシモノマーまたはオリゴマーの含有割合が、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して5〜50質量%である、請求項1〜6のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項8】
前記(C)カルボン酸の含有割合が、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して1〜30質量%である、請求項1〜7のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項9】
前記(D)シアン酸エステルの含有割合が、はんだペースト用フラックスの固形分の総量に対して1〜20質量%である、請求項1〜8のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックス。
【請求項10】
はんだ金属粉末と、請求項1〜9のいずれかの項に記載のはんだペースト用フラックスとを含む、はんだペースト。
【請求項11】
前記はんだ金属粉末が、200℃以下の融点を有する低温はんだ金属粉末である、請求項10に記載のはんだペースト。

【公開番号】特開2012−245529(P2012−245529A)
【公開日】平成24年12月13日(2012.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−117076(P2011−117076)
【出願日】平成23年5月25日(2011.5.25)
【特許番号】特許第4897932号(P4897932)
【特許公報発行日】平成24年3月14日(2012.3.14)
【出願人】(000233860)ハリマ化成株式会社 (167)