説明

はんだ付きグランドバー及びそれを用いたケーブルアッセンブリの製造方法

【課題】 作業効率を向上させることが可能なはんだ付きグランドバー及びそれを用いたケーブルアッセンブリの製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】 本発明のはんだ付きグランドバーは、グランドバー本体23と、複数の同軸ケーブルにおける外部導体を配すべきとして、グランドバー本体23の長手方向へ互いに離れた状態でグランドバー本体の一面に割り当てられる領域ARの間にそれぞれ設けられるはんだボールSBとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸ケーブルとコネクタとを接続する技術分野などにおいて好適なものである。
【背景技術】
【0002】
携帯型端末等の電子機器の信号配線として、互いに平行に配列された複数の同軸ケーブルの両端にコネクタを接続したケーブルアッセンブリが知られている。ケーブルアッセンブリの製造する場合、複数の同軸ケーブルにおける外部導体をグランドバーに配置し、これら外部導体とグランドバーとをはんだ付けする工程がある。
【0003】
このようなケーブルアッセンブリに関する先行技術として、グランドバーの一面に形成される複数の溝に外部導体を嵌め込むことで、同軸ケーブル間のピッチ幅を維持するようにした手法が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平2009−135013号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、近年における電子機器の小型化に伴って、同軸ケーブルの細径化や、同軸ケーブル間におけるピッチ幅の短縮化が進展しており、このような細径化や短縮化に対応する溝を形成することが困難となる傾向にある。したがって、グランドバーの一面に溝を形成する以外の手法が求められている。
【0006】
また、同軸ケーブルの細径化や、同軸ケーブル間におけるピッチ幅の短縮化に伴って、はんだをグランドバーと外部導体との間に正確に配置することが困難となり、ケーブルアッセンブリの製造に係る作業効率が悪くなる傾向にあった。
【0007】
そこで、本発明は、ケーブルアッセンブリの製造に係る作業効率を向上させることが可能なはんだ付きグランドバー及びそれを用いたケーブルアッセンブリの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、複数の同軸ケーブルにおける外部導体が配される一面を有するグランドバー本体と、前記一面に指定される各前記外部導体の配置領域の間にそれぞれ設けられるはんだボールとを備えることを特徴とするものである。
【0009】
このようなはんだ付きグランドバーでは、互いに隣り合うはんだボールが、前記配置領域に外部導体を位置決めするものとして作用し、また、前記配置領域上に配置された外部導体の径方向の位置ずれを抑制するものとして作用する。したがって、このようなはんだ付きグランドバーによれば、新たにはんだを配置することなく、各ケーブル間を規定幅に維持した状態で簡易に複数の同軸ケーブルを配列することが可能となる。こうして、ケーブルアッセンブリの製造に係る作業効率を向上させることができる。
【0010】
また、前記グランドバー本体の一方の端部とその端部に最も近い前記はんだボールとの間、及び、前記グランドバー本体の他方の端部とその端部に最も近い前記はんだボールとの間にそれぞれ設けられるはんだ部をさらに備え、前記はんだ部の高さは、前記はんだボールの高さよりも大きいことが好ましい。
【0011】
このようなはんだ付きグランドバーでは、はんだ部の高さがはんだボールよりも大きいことにより、はんだ部を位置決め手段として利用することができる。例えば、配列状態にある複数の同軸ケーブルにおける外部導体の上にはんだ付きグランドバーを積み重ねた場合、はんだ部の高さがはんだボールよりも大きいので、はんだ部の先端部分が、最外側に配置される外部導体を挟み込むように位置する。このため、はんだ部は、最外側に配置される外部導体をストッパーとして、グランドバー本体の横ずれを抑制し、同軸ケーブルの相対位置を位置決めするものとして作用する。したがって、同軸ケーブルをより一段と適切に配置することが可能となる。
【0012】
また、前記グランドバー本体の一方の端部に設けられる前記はんだ部と、前記グランドバー本体の他方の端部に設けられる前記はんだ部との間で最短となる直線距離、及び、前記グランドバー本体の一方の端部に最も近い前記はんだボールと、前記グランドバー本体の他方の端部に最も近い前記はんだボールとの間で最長となる直線距離は同程度とされることが好ましい。
【0013】
このようなはんだ付きグランドバーでは、例えば、配列状態にある複数の同軸ケーブルにおける外部導体の上にはんだ付きグランドバーを積み重ねた場合、はんだ部が、最外側に配置される外部導体をストッパーとして、グランドバー本体の横ずれをより一段と抑制して、同軸ケーブルの相対位置を位置決めすることが可能となる。
【0014】
また、前記はんだ部は、前記はんだボールを複数積み重ねたものであることが好ましい。
【0015】
このようなはんだ部であれば、はんだボールの設置と同様にして設けることができるため、はんだボール以外のものではんだ部を形成する場合に比べて、はんだ付きグランドバーの製造や構造を簡易化することができる。
【0016】
また、前記はんだボールは、2つ以上を組として、前記配置領域の間ごとに、前記配置領域上に配される前記外部導体の長手方向に沿って設けられることが好ましい。
【0017】
このようなはんだ付きグランドバーでは、はんだボールが、前記配置領域上に配される外部導体を通じて、同軸ケーブルの方向を規制するものとして作用する。したがって、このようなはんだ付きグランドバーによれば、複数の同軸ケーブルをより一段と容易に配列させることが可能となる。
【0018】
また、本発明は、ケーブルアッセンブリの製造方法であって、下側にすべきグランドバーの一面上に、複数の同軸ケーブルにおける外部導体を配置する同軸ケーブル配置工程と、各前記外部導体上に、上側にすべきはんだ付きグランドバーを配置する工程とを備え、前記下側にすべきグランドバーと、前記上側にすべきグランドバーとのいずれか一方又は双方は、複数の同軸ケーブルにおける外部導体が配される一面を有するグランドバー本体と、前記一面に指定される各前記外部導体の配置領域の間にそれぞれ設けられるはんだボールとを備えるはんだ付きグランドバーとされることを特徴とするものである。
【0019】
このような製造方法によれば、互いに隣り合うはんだボールが、前記配置領域に外部導体を位置決めするものとして作用し、また、前記配置領域上に配置された外部導体の径方向の位置ずれを抑制するものとして作用する。したがって、このようなはんだ付きグランドバーによれば、新たにはんだを配置することなく、各ケーブル間を規定幅に維持した状態で簡易に複数の同軸ケーブルを配列することが可能となる。こうして、ケーブルアッセンブリの製造に係る作業効率を向上させることができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のように、本発明によれば、ケーブルアッセンブリの製造に係る作業効率を向上させることが可能なはんだ付きグランドバー及びそれを用いたケーブルアッセンブリの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】第1実施形態に係るケーブルアッセンブリを示す上視図である。
【図2】枠体の構造を示す斜視図である。
【図3】図1のV−V線における断面図である。
【図4】図1のW−W線における断面図である。
【図5】グランドシェルの構造を示す斜視図である。
【図6】本実施形態に係るケーブルアッセンブリの製造方法を示すフローチャートである。
【図7】ケーブルアッセンブリの組み立ての様子を示す斜視図である。
【図8】第1のはんだ付きグランドバーを示す上視図である。
【図9】下側グランドバー配置工程後の様子を示す斜視図である。
【図10】同軸ケーブル配置工程後の様子を示す斜視図である。
【図11】第2のはんだ付きグランドバーを示す上視図である。
【図12】上側グランドバー配置工程後の様子を示す斜視図である。
【図13】図12のX−X線における断面図である。
【図14】第2実施形態に係るはんだ付きグランドバーを示す上視図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の好適な実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0023】
<第1実施形態>
図1に示すように、ケーブルアッセンブリ1は、複数の同軸ケーブル10と、各同軸ケーブル10の一端に接続されるコネクタ20とを主な構成要素として備える。なお、各同軸ケーブル10の他端側は図示していないが、一端側と同様にしてコネクタ20が接続されていても良く、接続されていなくても良い。
【0024】
同軸ケーブル10は、中心導体11と、中心導体11の外周面を被覆する絶縁層12と、絶縁層12の外周面を被覆する外部導体13と、外部導体13を被覆する絶縁性のジャケット14とを有する。
【0025】
中心導体11は、複数の導電性線材の撚り線から構成される。導電性線材の材料は、例えば、銅やニッケル等を挙げることができるが、導電性を有していれば特に制限されるものではない。
【0026】
絶縁層12は、樹脂から構成される。樹脂の種類は、例えば、ポリエステル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ナイロン、フッ素系樹脂を挙げることができる。なお、難燃性を向上させる観点では、水酸化マグネシウム等の金属水酸化物の粒子や、リン系難燃剤が混合されることが好ましい。
【0027】
外部導体13は、金属線の編組あるいは横巻き等から構成される。金属編組は、例えば、直径が0.1mm以下の多数の導電性の線材が編みこまれたものである。このような金属編組の材料は、例えば、銅やニッケルを挙げることができるが、導体性を有していれば特に制限されるものではない。
【0028】
ジャケット14は、熱可塑性樹脂等の樹脂から構成され、例えば押し出し成型により形成される。熱可塑性樹脂の種類は、例えば、ポリテトラフルオロエチレンや、テトラフルオロエチレン-パーフルオロアルキルビニルエーテル共重合体や、テトラフルオロエチレン-エチレン共重合体等のフッ素樹脂を挙げることができる。
【0029】
このような同軸ケーブル10の少なくとも一端は口出しされる。すなわち、コネクタ20に接続される端部のジャケット14から外部導体13が露出され、外部導体13から絶縁層12が露出され、絶縁層12から中心導体11が露出される。
【0030】
コネクタ20は、枠体21と、信号線用端子22と、グランドバー23と、グランドシェル24とを主な構成要素として備える。
【0031】
図2に示すように、枠体21は、底床部21aと、互いに対向する状態で底床部21aの脇に配置される一対の側壁部21b及び21cと、側壁部21b、21c及び底床部21aを繋ぐ奥壁部21dとをそれぞれ一体として形成される。
【0032】
底床部21aの一面のうち、奥壁部21dと、その奥壁部21dの近傍における側壁部21b及び21cとにより囲まれる領域には、側壁部21b、21c及び奥壁部21dの高さよりも低い段部31が設けられる。また、側壁部21bの内側面には、グランドバー23の一端部分を嵌め込むためのレール状の部材(以下、ガイド部という)32aが設けられる。側壁部21cの内側面には、ガイド部32bが、ガイド部32aに対向する状態で設けられる。一方、側壁部21bの上側面には、グランドシェル24を固定するための凹部33aが形成され、側壁部21cの上側面には凹部33bが形成される。
【0033】
信号線用端子22は複数設けられ、これら信号線用端子22の一端は、段部31上に露出した状態で所定間隔ごとに配置され、他端は、底床部21aの外側面上に露出した状態で所定間隔ごとに配置される。
【0034】
図3に示すように、各信号線用端子22における一端と他端との間の部位は、段部31と奥壁部21dとの境界付近から枠体21内部を介して底床部21aの外側面までに亘って配置される。また、底床部21aの外側面上に露出する他端部分は、コネクタ20の信号端子部位Psとされる。
【0035】
このような各信号線用端子22のうち段部31上に配置される一端部分には、同軸ケーブル10の中心導体11がはんだS1により固定され、これにより中心導体11と、コネクタ20の信号端子部位Psとが信号線用端子22を通じて電気的に接続される。信号端子部位Psには、コネクタ20の接続対象である電子機器の信号端子が電気的に接続され、その電子機器の信号端子と中心導体11との間で信号が授受される。
【0036】
図4に示すように、グランドバー23は一対設けられ、それぞれ棒状の金属板とされる。各グランドバー23における長手方向の長さは、グランドバー23の一端が対向される側壁部21bの内側面と、グランドバー23の他端が対向される側壁部21cの内側面との距離D以下とされる。
【0037】
このような一対のグランドバー23の間に複数の同軸ケーブル10における外部導体13が介在する状態で、各グランドバー23の両端部分がガイド部32a及び32b(図2)に嵌め込まれる。これら外部導体13は、グランドバー23の長手方向へ互いに同等の間隔をもって離れた状態で、それぞれグランドバー23の短手方向(幅方向)に沿って配置される。また、一対のグランドバー23と各外部導体13とははんだS2により電気的かつ機械的に接続される。一方、一対のグランドバー23と、枠体21の側壁部21b及び21cと、最外側の外部導体13とがはんだS3により機械的に接続される。
【0038】
グランドシェル24は、図5に示すように、矩形状の金属板でなる本体(以下、シェル本体という)24aと、そのシェル本体24aにおける短手方向の両端に配置される凸部24b及び24cとを一体として形成した金属板でなる。このシェル本体24aの中央部分には、複数の接触片24d〜24gが、シェル本体24aの長手方向に沿って形成される。図4に示したように、各接触片24d〜24gは、一方のグランドバー23に当接した状態とされる。また、図1に示したように、凸部24bは側壁部21bの凹部33aに嵌め込まれる一方、凸部24cは側壁部21cの凹部33bに嵌め込まれる。
【0039】
シェル本体24aにおける長手方向の一端部分は、図3に示したように折り曲げられており、コネクタ20のグランド端子部位Pgとされる。このグランド端子部位Pgには、接触片24d〜24g及びグランドバー23を通じて、各同軸ケーブル10の外部導体13が電気的に接続される。なお、グランド端子部位Pgは、コネクタ20の接続対象となる電子機器のグランド端子を介して接地される。
【0040】
次に、このようなケーブルアッセンブリ1の製造方法について説明する。図6に示すように、本製造方法は、下側グランドバー配置工程P1、同軸ケーブル配置工程P2、上側グランドバー配置工程P3、はんだ付け工程P4及びグランドシェル取付工程P5を主に備える。
【0041】
下側グランドバー配置工程P1は、図7に示すように、第1のはんだ付きグランドバー50を枠体21の底床部21a上に配置する工程である。この第1のはんだ付きグランドバー50は、グランドバー23(以下、グランドバー本体23という)と、複数のはんだボールSBとによって構成される。
【0042】
はんだボールSBは、図8に示すように、複数の同軸ケーブル10における外部導体13それぞれの配置対象としてグランドバー本体23の一面に指定される領域(以下、導体配置領域という)ARの間にそれぞれ1つずつ設けられる。
【0043】
はんだボールSBの設置手法としては、例えば、球状のはんだを吹き付ける手法等があり、当該はんだボールSBの形状は、グランドバー本体23の一面との接触面が平らとなる場合もあるがおおむね球状とされる。はんだボールSBの直径は、互いに隣り合う導体配置領域AR間の距離Dbに近似するほど良い。これは、互いに隣り合う導体配置領域AR間にあるはんだボールSBが溶融された場合、溶融状態にあるはんだボールSBがその両脇に配置された外部導体13との隙間を充填するように広がるからである。なお、外部導体の直径に対して、はんだボールの直径が少なくとも0.08mm以上であれば、はんだボールSBを、その両脇に配置された外部導体13に行き渡らせることができるので好ましい。また、外部導体間の距離(ピッチ幅)に対して、はんだボールの直径が少なくとも0.08mm以上であれば、はんだボールSBを、その両脇に配置された外部導体13に行き渡らせることができるので好ましい。
【0044】
このような第1のはんだ付きグランドバー50を枠体21の底床部21a上に配置する。具体的には、はんだボールSBが設けられるグランドバー本体23の一面とは逆側の面と、枠体21の底床部21aとが対向する状態で、第1のはんだ付きグランドバー50の両端をガイド部32a及び32bに嵌め込む。こうして、図9に示すように、第1のはんだ付きグランドバー50が枠体21の底床部21a上に配置される。
【0045】
同軸ケーブル配置工程P2は、図7に示すように、段部31に設けられる信号線用端子22の一端部上に中心導体11が位置し、グランドバー本体23の導体配置領域AR上に外部導体13が位置する状態で、同軸ケーブル10を配置する工程である。
【0046】
具体的には、まず、中心導体11、絶縁層12及び外部導体13がそれぞれ所定長だけ露出された同軸ケーブル10を複数本用意する。次いで、真っ直ぐとなる同軸ケーブル10の中心導体11が信号線用端子22の一端部上に位置し、外部導体13が導体配置領域AR上に位置する状態で、それぞれの同軸ケーブル10を配置する。こうして、図10に示すように、第1のはんだ付きグランドバー50の幅方向に沿って、複数の同軸ケーブル10を所定間隔ごとに配列する。
【0047】
上述したように、複数のはんだボールSBは、導体配置領域AR(図8)の間にそれぞれ設けられている。このため、互いに隣り合うはんだボールSBは、導体配置領域ARに配すべき外部導体13を位置決めするものとして作用し、また、その外部導体13の径方向の位置ずれを抑制するものとして作用する。したがって、各ケーブル間を規定幅に維持した状態で簡易に複数の同軸ケーブル10を配列することが可能となる。
【0048】
上側グランドバー配置工程P3は、図7に示すように、第1のはんだ付きグランドバー50に配置された各外部導体13上に第2のはんだ付きグランドバー60を配置する工程である。この第2のはんだ付きグランドバー60は、グランドバー本体23と、複数のはんだボールSBと、はんだボールを2段に重ねたはんだ部(以下、ボールタワーという)SBtとによって構成される。
【0049】
はんだボールSBは、図11に示すように、第1のはんだ付きグランドバー50と同じ位置関係となる導体配置領域ARの間にそれぞれ1つずつ設けられる。ボールタワーSBtは、グランドバー本体23の一方の端部とその端部に最も近いはんだボールSBとの間、及び、グランドバー本体23の他方の端部とその端部に最も近いはんだボールSBとの間にそれぞれ設けられる。これらボールタワーSBtの高さは、はんだボールSBの高さよりも大きいものとされる。また、一方のボールタワーSBtとそのボールタワーSBtに最も近いはんだボールSBとの間の距離D1、及び、他方のボールタワーSBtとそのボールタワーSBtに最も近いはんだボールSBとの間の距離D2は同程度とされる。なお、ボールタワーSBtにおける各段のはんだボールの形状と大きさは、はんだボールSBと同じであっても、異なっていても良い。
【0050】
このような第2のはんだ付きグランドバー60を、第1のはんだ付きグランドバー50に配置された各外部導体13上に配置する。具体的には、図7に示したように、まず、第2のはんだ付きグランドバー60のはんだボールSBと、第1のはんだ付きグランドバー50のはんだボールSBとを対向する。
【0051】
上述したように、一方のボールタワーSBtとそれに最も近いはんだボールSBとの間の距離D1、及び、他方のボールタワーSBtとそれに最も近いはんだボールSBとの間の距離D2は同程度とされている。このため、グランドバー本体23の両端に設けられるボールタワーSBtが、それらボールタワーSBtの間に設けられるはんだボールSBそれぞれを、第1のはんだ付きグランドバー50のはんだボールSBに対向するよう位置合わせするための基準として作用する。したがって、グランドバー本体23にボールタワーSBtがない場合に比べて、はんだ付きグランドバー23と24とにおけるはんだボールSBそれぞれを容易に対向させることが可能となる。このような作用効果は、ボールタワーSBt間で最短となる直線距離(以下、最短距離という)Dt(図11)が最外側のはんだボールSB同士間で最長となる直線距離(以下、最長距離という)Dx(図11)に近づくほど有効となる。
【0052】
次に、図12に示すように、第1のはんだ付きグランドバー50の各導体配置領域AR上に配置された外部導体13に対して、第2のはんだ付きグランドバー60を積み重ねる。
【0053】
上述したように、ボールタワーSBtはグランドバー本体23の両端に設けられ、そのボールタワーSBtの高さは、はんだボールSBよりも大きい状態にある。このため、図13に示すように、各外部導体13の上に第2のはんだ付きグランドバー60を積み重ねたときには、ボールタワーSBtの先端部分は、最外側に配置される外部導体13を挟み込むように位置する。したがって、ボールタワーSBtは、最外側に配置される外部導体13をストッパーとして、グランドバー本体23の横ずれを抑制し、枠体21と同軸ケーブル10との相対位置の位置ずれを抑制するものとして作用する。この結果、枠体21における側壁部21b及び21cとグランドバー本体23との間に隙間OPがあっても、たとえ側壁部21b及び21cがなかったとしても、同軸ケーブル10を適切に配置することが可能となる。
【0054】
このような作用効果は、ボールタワーSBt間の最短距離Dt(図11)が最外側のはんだボールSB同士の最長距離Dx(図11)と同程度に近づくほど有効となる。また、少なくとも、一方のボールタワーSBtとそれに最も近いはんだボールSBとの間の距離D1と、他方のボールタワーSBtとそれに最も近いはんだボールSBとの間の距離D2とが、隙間OPよりも小さければ、上記作用効果を奏する。なお、隙間OPは、具体的には、側壁部21bと側壁部21cとの間の距離からグランドバー本体の長さを減算した値を2で除算した値である。
【0055】
はんだ付け工程P4は、図6に示したように、中心導体接続工程P4Aと、グランドバー接続工程P4Bとからなる。中心導体接続工程P4Aは、同軸ケーブル10の中心導体11を信号線用端子22の一端部分にはんだ付けする工程である。具体的には、中心導体11及び信号線用端子22の一端部分に対して、溶融状態にあるはんだを塗布した後に冷却する。この結果、溶融状態にあるはんだは、図3に示したように、固化状態のはんだS1として形成され、このはんだS1によって信号線用端子22の一端部分に中心導体11が電気的に接続されかつ機械的に固定される。
【0056】
一方、グランドバー接続工程P4Bは、グランドバー本体23と同軸ケーブル10の外部導体13とガイド部32a及び32bとをはんだ付けする工程である。具体的には、まず、グランドバー本体23を加熱し、その熱伝導によりはんだボールSB及びボールタワーSBtを溶融する。なお、この加熱過程において第2のはんだ付きグランドバー60に対して押圧力を加えるようにしても良い。この結果、はんだボールSBは、互いに隣接する外部導体13同士の間と、第1のはんだ付きグランドバー50及び60におけるグランドバー本体23とに囲まれる空間を充填するように広がる。一方、ボールタワーSBtは、側壁部21b又は21cと、外部導体13と、第1のはんだ付きグランドバー50及び60におけるグランドバー本体23とに囲まれる空間を充填するように広がる。
【0057】
次に、溶融状態にあるはんだボールSB及びボールタワーSBtを冷却する。この結果、溶融状態にあるはんだボールSBは、図4に示したように、非球形のはんだS2として固化し、当該はんだS2によって各グランドバー本体23及び外部導体13が電気的に接続されかつ機械的に固定される。一方、溶融状態にあるボールタワーSBtは、図4に示したように、非球形のはんだS3として固化し、当該はんだS3によって各グランドバー本体23の端部とガイド部32a及び32bとが固定される。
【0058】
グランドシェル取付工程P5は、グランドシェル24を枠体21の所定位置に取り付ける工程である。具体的には、図7に示したように、シェル本体24aに形成される接触片24d〜24gが一方のグランドバー本体23に当接する状態で、凸部24b及び24cを対応する側壁部21bの凹部33a及び33bに嵌合して固定する。そして、図3に示したように、グランドシェル24と段部31と底床部21aと側壁部21b及び21cとにより囲まれる空間に、溶融状態にある樹脂を充填した後に冷却する。こうして、図1に示すケーブルアッセンブリ1を得ることができる。
【0059】
以上のように、本実施形態の第1のはんだ付きグランドバー50(60)では、グランドバー本体23における導体配置領域ARの間に複数のはんだボールSBが設けられる。このため、上述したように、互いに隣り合うはんだボールSBが、導体配置領域ARに配すべき外部導体13を位置決めし、その外部導体13の径方向の位置ずれを抑制する。したがって、複数の同軸ケーブル10を配置した後にはんだを新たに配置することなく、ケーブル間の幅を維持した状態で簡易に複数の同軸ケーブル10を配列することが可能となる。こうして、作業効率を向上させることが可能となる。
【0060】
また、グランドバー本体23は、枠体21の側壁部21bと21cとの間の距離Dと同程度の長さであり、当該グランドバー本体23の両端と、それら両端に最も近いはんだボールSBとの間にはボールタワーSBtが設けられる。このため、上側グランドバー配置工程P3では、図10に示したように、最外側に配置される外部導体13を挟み込むようにボールタワーSBtが位置し、これらボールタワーSBtの先端部分は、最外側の外部導体13と側壁部21b,21cの内側面との間に位置する。すなわち、配列状態にある各同軸ケーブル10の外部導体13上に第2のはんだ付きグランドバー60を配置した場合、ボールタワーSBtが、当該外部導体13に対するグランドバー本体23の横ずれを抑制し、枠体21と同軸ケーブル10との相対位置の位置ずれを抑制する。したがって、同軸ケーブル10を適切に配置することが可能となり、より一段と作業効率を向上させることが可能となる。
【0061】
<第2実施形態>
次に、ケーブルアッセンブリを製造する際に用いられるはんだ付きグランドバーの第2実施形態を説明する。第2実施形態では、第1実施形態における第1のはんだ付きグランドバー50に代えて、図14(A)に示す第1のはんだ付きグランドバー70が用いられる。また、第1実施形態における第2のはんだ付きグランドバー60に代えて、図14(B)に示す第2のはんだ付きグランドバー80が用いられる。
【0062】
これらはんだ付きグランドバー70及び80では、はんだボールSBの設置位置及び数が、第1実施形態のはんだ付きグランドバー50及び60と異なる。具体的には、はんだボールSBは、2つを組として、導体配置領域ARの間ごとに、グランドバー本体23の長手方向に対して直交する方向に沿って配設される。
【0063】
以上の本実施形態のはんだ付きグランドバー70及び80では、上述した同軸ケーブル配置工程P2及び上側グランドバー配置工程P3の際に、はんだボールSBが、同軸ケーブル10の方向を規制するものとして作用する。したがって、本実施形態のはんだ付きグランドバー70及び80によれば、第1実施形態における第1のはんだ付きグランドバー50及び60に比べて、複数の同軸ケーブル10をより一段と容易に配列することが可能となる。
【0064】
以上の実施形態はあくまで一例であり、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。
【0065】
例えば、上述の第1実施形態では、各はんだボールSBが、グランドバー本体23の幅方向の中心を通る直線上に配列されたが、当該中心を通る直線以外の直線上に配列されていても良い。また、グランドバー本体23の長手方向に沿って、互いに隣り合うはんだボールSB同士が隔てた状態で配置されていれば、各はんだボールSBが直線上に配置されていなくても良い。
【0066】
また、上述の第2実施形態では、各はんだボールSBが、2つを組として、導体配置領域ARの間ごとに、グランドバー本体23の長手方向に対して直交する方向に沿って配設された。しかしながら、組とすべきはんだボールSBの数は、3つ以上であっても良い。また、はんだボールSBを配設すべき方向は、グランドバー本体23の一面に配置されるべき外部導体13の方向に沿っていれば、グランドバー本体23の長手方向に対して直交する方向以外の方向であっても良い。なお、組とされるはんだボールSB同士は、上述の第2実施形態では直線上に配置されたが、グランドバー本体23の一面に配置されるべき外部導体13の方向に沿っていれば、非直線上に配置されても良い。また、組とされるはんだボールSB同士は、上述の第2実施形態では接触状態とされたが、非接触状態とされていても良い。
【0067】
また、上述の実施形態では、第1のはんだ付きグランドバー50(70)と、第2のはんだ付きグランドバー60(80)とにおけるグランドバー本体23のそれぞれにはんだボールSBが設けられた。しかしながら、第1のはんだ付きグランドバー50(70)と、第2のはんだ付きグランドバー60(80)とのいずれか一方のはんだボールSBが省略されても良い。ただし、互いに隣り合う導体配置領域ARに配置される外部導体13をより強固に固定する観点では、第1のはんだ付きグランドバー50(70)と、第2のはんだ付きグランドバー60(80)とのそれぞれにはんだボールSBを設けるほうが好ましい。
【0068】
また、上述の実施形態では、グランドバー本体23の一面に指定される各導体配置領域AR間の距離がそれぞれ同等とされたが、それら距離の一部又は全部が異なっていても良い。
【0069】
また、上述の実施形態では、第2のはんだ付きグランドバー60の端部と、その端部に最も近いはんだボールSBとの間に設けられるはんだ部として、はんだボールを重ねたもの(ボールタワーSBt)が適用された。しかしながら、はんだ部は、例えば、3段以上のはんだボールSBを重ねた構造とすることができ、円錐状のはんだとして構成することもできる。要するに、はんだ部は、はんだボールSBの高さよりも大きいものであれば、様々な構造又は形状のものを適用することができる。ただし、はんだ付きグランドバーの構造を簡易化する観点では、はんだボールを2段又はそれ以上重ねたはんだ部が好ましい。また、このようなはんだ部は、第1のはんだ付きグランドバー50(70)におけるグランドバー本体23に設けられていても良い。
【0070】
また、上述の実施形態では、はんだ部(ボールタワーSBt)が、グランドバー本体23からはみ出ていないものとされた。しかしながら、はんだ部の一部が、グランドバー本体23の一端から隙間OP(図13)分だけはみ出ていても良い。このようにすれば、ボールタワーSBtが、枠体の側壁部21b,21cをストッパーとして、グランドバー本体23の横ずれを抑制し、枠体21と同軸ケーブル10との相対位置の位置ずれを抑制するものとして作用する。したがって、ボールタワーSBt間の最短距離Dt(図11)と最外側のはんだボールSB同士の最長距離Db(図11)とに大幅な差があっても、同軸ケーブル10を適切に配置することが可能となる。なお、隙間OPは、具体的には上述したように、側壁部21bと側壁部21cとの間の距離からグランドバー本体の長さを減算した値を2で除算した値である。
【0071】
また、上述の実施形態では、下側にすべきグランドバーとして第1のはんだ付きグランドバー50が用いられ、上側にすべきグランドバーとして第2のはんだ付きグランドバー60が用いられた。しかしながら、第1のはんだ付きグランドバー50が上側にすべきグランドバーとして、第2のはんだ付きグランドバー60が下側にすべきグランドバーとして用いられても良い。また、第1のはんだ付きグランドバー50が上側及び下側にすべきグランドバーとして用いられても良く、第2のはんだ付きグランドバー60が上側及び下側にすべきグランドバーとして用いられても良い。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、グランドバーを取り扱う技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0073】
1・・・ケーブルアッセンブリ
10・・・同軸ケーブル
11・・・中心導体
12・・・絶縁層
13・・・外部導体
14・・・ジャケット
20・・・コネクタ
21・・・枠体
21a・・・底床部
21b,21c・・・側壁部
21d・・・奥壁部
22・・・信号線用端子
23・・・グランドバー本体(グランドバー)
24・・・グランドシェル
31・・・段部
32a,32b・・・ガイド部
33a,33b・・・凹部
50,70・・・第1のはんだ付きグランドバー
60,80・・・第2のはんだ付きグランドバー
SB・・・はんだボール
SBt・・・ボールタワー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グランドバー本体と、
複数の同軸ケーブルにおける外部導体を配すべきとして、前記グランドバー本体の長手方向へ互いに離れた状態で前記グランドバー本体の一面に割り当てられる領域の間にそれぞれ設けられるはんだボールとを備える
ことを特徴とするはんだ付きグランドバー。
【請求項2】
前記グランドバー本体の一方の端部とその端部に最も近い前記はんだボールとの間、及び、前記グランドバー本体の他方の端部とその端部に最も近い前記はんだボールとの間にそれぞれ設けられるはんだ部をさらに備え、
前記はんだ部の高さは、前記はんだボールの高さよりも大きい
ことを特徴とする請求項1に記載のはんだ付きグランドバー。
【請求項3】
前記グランドバー本体の一方の端部に設けられる前記はんだ部と、前記グランドバー本体の他方の端部に設けられる前記はんだ部との間で最短となる直線距離、及び、前記グランドバー本体の一方の端部に最も近い前記はんだボールと、前記グランドバー本体の他方の端部に最も近い前記はんだボールとの間で最長となる直線距離は同程度とされる
ことを特徴とする請求項2に記載のはんだ付きグランドバー。
【請求項4】
前記はんだ部は、前記はんだボールを複数積み重ねたものである
ことを特徴とする請求項2に記載のはんだ付きグランドバー。
【請求項5】
前記はんだボールは、2つ以上を組として、前記配置領域の間ごとに、前記配置領域に配されるべき前記外部導体の方向に沿って設けられる
ことを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか1項に記載のはんだ付きグランドバー。
【請求項6】
はんだ付きグランドバーを用いたケーブルアッセンブリの製造方法であって、
下側にすべきグランドバーの一面上に、複数の同軸ケーブルにおける外部導体を配置する同軸ケーブル配置工程と、
各前記外部導体上に、上側にすべきはんだ付きグランドバーを配置する工程と
を備え、
前記下側にすべきグランドバーと、前記上側にすべきグランドバーとのいずれか一方又は双方は、
グランドバー本体と、
複数の同軸ケーブルにおける外部導体を配すべきとして、前記グランドバー本体の長手方向へ互いに離れた状態で前記グランドバー本体の一面に割り当てられる領域の間にそれぞれ設けられるはんだボールとを備える前記はんだ付きグランドバーとされる
ことを特徴とするケーブルアッセンブリの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2013−93138(P2013−93138A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−233144(P2011−233144)
【出願日】平成23年10月24日(2011.10.24)
【特許番号】特許第5143268号(P5143268)
【特許公報発行日】平成25年2月13日(2013.2.13)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】