説明

はんだ付け用雰囲気ガス測定装置

【課題】可燃性ガス吸着用のフィルタを再生する際に酸素濃度計に送る雰囲気ガスを停止しても、酸素濃度計に負荷を与えることなく酸素濃度計を稼動した状態を維持できるようにする。
【解決手段】雰囲気ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計7に対して空転用ガスを通過させる空転用配管系50を備える。この構成によって、活性炭フィルタ4などを再生する際に酸素濃度計7に送る雰囲気ガスを停止しても、酸素濃度計7の内部に設けられたポンプにより空転用ガスを取り込むことができるので、負荷をかけずに酸素濃度計7を稼動した状態を維持できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、はんだ付け装置のチャンバ内に満たされた雰囲気ガスの酸素濃度を測定するはんだ付け用雰囲気ガス測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、リフロー式またはフロー式はんだ付け装置は、窒素ガス等の投入により大気よりも酸素濃度を低下させた雰囲気ガスで満たされたチャンバ内ではんだ付けを行っている。これは、チャンバ内の酸素濃度が高くなると、フラックスの松脂成分が炭化したり、はんだ付けするパターンや溶融はんだが酸化したりしてはんだ付け不良を招くおそれがあるからである。
【0003】
チャンバ内の雰囲気ガスが所定の低酸素濃度に保たれているか否かを監視するために、チャンバ内の雰囲気ガスを酸素濃度分析用ガス(サンプリングガス)として吸引して酸素濃度計に取込み、その酸素濃度を測定するようにしている。
【0004】
はんだ付けにおける雰囲気ガスの酸素濃度を測定する酸素濃度計には、ジルコニア式の酸素濃度計が用いられることが多い。図3に示すジルコニア式の酸素濃度計7は、検出センサ7a、ポンプ7b、演算部7c、流量計7d、ラインフィルター7e、接続部7f及び排出部7gを備えている。接続部7fには、サンプリングガスを送る配管チューブが接続される。ポンプ7bはラインフィルター7eを介して接続部7fに接続され、サンプリングガスを取り込んで検出センサ7aに向けて送り込む。ラインフィルター7eは、サンプリングガスの湿気などを取り除く。流量計7dはポンプ7bに接続され、酸素濃度計7内を流れるサンプリングガスの流量を計測する。
【0005】
検出センサ7aは流量計7dに接続され、サンプリングガスに含まれる酸素の濃度を検出する。例えば、検出センサ7aは、濃度を検出するジルコニアセラミックを備える。検出センサ7aのジルコニアセラミックは、700℃〜800℃に加熱された状態で酸素イオンが移動し易くなる。検出センサ7aは一端が閉じた筒形状であり、検出センサ7aの内壁側を大気に接触させ、検出センサ7aの外壁側にはサンプリングガスを導く。検出センサ7aは、大気とサンプリングガスのように酸素濃度の異なるガスに接触したときに酸素濃度の高い側から低い側にマイナス電荷をもつ酸素イオンが移動する。これにより、電位差が生じて大気の酸素濃度を基準にしたセル電圧を発生して演算部7cに出力する。演算部7cは、このセル電圧を計ることによりサンプリングガスの酸素濃度を計測し、酸素濃度値を外部の制御端末などに出力する。なお、検出センサ7a内を通過したサンプリングガスは排出部7gから外部へ排出される。
【0006】
上述したようにジルコニア式の酸素濃度計7は700℃〜800℃の高温下で機能するために、はんだ付けラインで発生した可燃性ガス(アルコール等)がサンプリングガスに含まれていると、検出センサ7a内で可燃性ガスと酸素とが反応してしまい、酸素濃度計が極端に低い酸素濃度を表示する狂いが生ずる。
【0007】
この場合、サンプリングガスを活性炭フィルタに通して、この活性炭フィルタにより可燃性ガスを吸着除去した上で酸素濃度計7に取り込む。これにより、検出センサ7a内で酸素が可燃性ガスと反応しないので正確な酸素濃度を検出できる。
【0008】
活性炭フィルタは吸着できる可燃性ガス量に限界があり、例えばサンプリングガス中のアルコール濃度が高かったり長時間運転したりすると、吸着量が飽和して酸素濃度計7への可燃性ガスの漏出が起こる。この場合、上述した酸化反応が発生して濃度表示に狂いが生じる問題がある。
【0009】
この問題に対処するために、特許文献1には、はんだ付け用雰囲気ガスフィルタ再生方法が開示されている。この雰囲気ガスフィルタ再生方法によれば、はんだ付け処理を実施していないときにフィルタ再生用ガスをヒータにより加熱し、この加熱されたフィルタ再生用ガスを一定時間だけ活性炭フィルタ内を通過させている。これにより、フィルタ再生用ガスにより吸着物質を取り除き、除去効率が低下した活性炭フィルタを再生することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特許第3377229号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
ところで、従来例に係る特許文献1によれば、はんだ付け装置のチャンバ内からのサンプリングガスが活性炭フィルタを経て酸素濃度計に至る濃度測定用経路と、活性炭フィルタに再生用ガスを通過させて局所排気ダクトへ排出する再生用経路との2つの経路を有している。
【0012】
はんだ付け装置を停止して濃度測定用経路から再生用経路に切り替えた場合、再生用ガスを活性炭フィルタに通過させて局所排気ダクトへ排出する。このとき、酸素濃度計は稼動しているが活性炭フィルタを介して酸素濃度計へ送られるサンプリングガスは停止している。酸素濃度計は、活性炭フィルタを再生する場合であっても一般的に常時稼動している。これは、酸素濃度計のスイッチを入れ忘れることを防止したり、酸素濃度計が湿気により腐食することを防止したりすることが主な理由である。
【0013】
このように酸素濃度計は常時稼動しているので、濃度測定用経路から再生用経路に切り替えた場合であっても、酸素濃度計の内部に設けられたポンプ7b(図3参照)によりサンプリングガスを取り込もうとする。再生用経路に切り替えた場合には再生用ガスを活性炭フィルタに通過させて局所排気ダクトへ排出するので、サンプリングガスを活性炭フィルタに通過させて酸素濃度計7に送ることは停止されている。このため、酸素濃度計7のポンプ7bは吸引するサンプリングガスが無いにもかかわらず吸引し続けてポンプ7bに負荷がかかる問題がある。
【0014】
そこで、本発明は上述した課題を解決したものであって、フィルタを再生する際に酸素濃度計に送る雰囲気ガスを停止しても、酸素濃度計に負荷を与えることなく酸素濃度計を稼動した状態を維持できるようにしたはんだ付け用雰囲気ガス測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上述した課題を解決するために、本発明に係るはんだ付け用雰囲気ガス測定装置は、はんだ付け装置のチャンバ内に満たされた雰囲気ガスがフィルタを経て酸素濃度計に至る濃度測定用配管系と、前記フィルタに再生用ガスを通過させる再生用配管系と、前記酸素濃度計に空転用ガスを通過させる空転用配管系と、前記濃度測定用配管系の経路から前記再生用配管系及び前記空転用配管系の経路に切り替える切替手段とを備えるものである。
【0016】
本発明において、濃度測定用配管系は、はんだ付け装置のチャンバ内に満たされた雰囲気ガスがフィルタを経て酸素濃度計に至る経路を構成する。再生用配管系は、フィルタに再生用ガスを通過させる経路を構成する。空転用配管系は、酸素濃度計に空転用ガスを通過させる経路を構成する。切替手段は、濃度測定用配管系の経路から再生用配管系及び空転用配管系の経路に切り替える。これにより、フィルタを再生する際に酸素濃度計に送る雰囲気ガスを停止しても、酸素濃度計に空転用ガスを送ることができる。従って、負荷をかけずに酸素濃度計を稼動した状態を維持できる。
【発明の効果】
【0017】
本発明に係るはんだ付け用雰囲気ガス測定装置によれば、雰囲気ガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計に対して空転用ガスを通過させる空転用配管系を備えるものである。
【0018】
この構成によって、フィルタを再生する際に酸素濃度計に送る雰囲気ガスを停止しても、酸素濃度計に空転用ガスを送ることができる。これにより、負荷をかけずに酸素濃度計を稼動した状態を維持できる。酸素濃度計に空転用ガスを送り込むことができるので、酸素濃度計が湿気により腐食することを防止できる。さらに空転用ガスを送り続けることでクリーニング効果を得ることができる。また、酸素濃度計を稼動し続けることができるので酸素濃度計の電源スイッチの入れ忘れを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】はんだ付け用雰囲気ガス測定装置100の構成例を示す図である。
【図2】はんだ付け用雰囲気ガス測定装置100におけるフィルタ再生時の動作例を示す図である。
【図3】ジルコニア式の酸素濃度計7の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
続いて、図面を参照しながら本発明に係るはんだ付け用雰囲気ガス測定装置を実施するための形態について説明する。本発明は、サンプリングガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計に対して空転用ガスを通過させる空転用配管系を備えることで、活性炭フィルタを再生する際に酸素濃度計に送るサンプリングガスを停止しても、酸素濃度計に負荷を与えることなく酸素濃度計を稼動した状態を維持できるようにするものである。
【0021】
図1に示すはんだ付け用雰囲気ガス測定装置100は、濃度測定用配管系30、再生用配管系40及び空転用配管系50を備えている。濃度測定用配管系30は、不図示のはんだ付け装置のチャンバ内に満たされた雰囲気ガスが可燃性ガス吸着用のフィルタなどを経て酸素濃度計に至る経路を構成する。この例で、濃度測定用配管系30は、サンプリングフィルタユニット60、電磁三方弁5,6、配管チューブ13,14,15から構成されている。
【0022】
サンプリングフィルタユニット60は、継手1を介して不図示のはんだ付け装置に接続され、はんだ付け装置のチャンバ内に満たされた低酸素濃度の雰囲気ガス(サンプリングガス)から不純物を取り除く。例えば、サンプリングフィルタユニット60は、エアフィルタ2、ミストフィルタ3及び活性炭フィルタ4を備えている。エアフィルタ2は、サンプリングガスに含まれるフラックスヒュームを取り除く。ミストフィルタ3は、サンプリングガスに含まれる水分を取り除く。活性炭フィルタ4は可燃性ガス吸着用のフィルタの一例であり、サンプリングガスに含まれる可燃性ガス(アルコール等)を取り除く。このようなサンプリングフィルタユニット60によりフラックスヒューム、水分及び可燃性ガスが取り除かれたサンプリングガスは、配管チューブ13〜15や電磁三方弁5,6を介してジルコニア式の酸素濃度計7に送られる。この例で、図3に示すジルコニア式の酸素濃度計7は、ガスを吸引するポンプ7bを備え、ポンプ7bに接続部7fを介して接続された配管チューブ15からサンプリングガス又は空転用ガスを吸引する。例えばポンプ7bは、配管チューブ15からサンプリングガスを取り込んで検出センサ7aに向けて送り込む。検出センサ7aは、サンプリングガス中に含まれる酸素の濃度を計測し、酸素濃度値を外部の制御端末などに出力する。
【0023】
電磁三方弁5は切替手段の一例であり、濃度測定用配管系30の経路から再生用配管系40の経路に切り替えると共に、再生用配管系40の経路から濃度測定用配管系30の経路に切り替える。この例で、電磁三方弁5は、配管チューブ13を介してサンプリングフィルタユニット60に接続され、また酸素濃度計7に導く配管チューブ14に接続され、さらに局所排気ダクトにガスを送る配管チューブ16に接続されている。例えば、電磁三方弁5は制御部70から制御信号を入力して濃度測定用配管系30に経路を切り替える場合には配管チューブ14に経路を切り替える。これにより、サンプリングフィルタユニット60を通過して配管チューブ13を介して送られたサンプリングガスは、配管チューブ14などを介して酸素濃度計7に送られる。また、電磁三方弁5は再生用配管系40に経路を切り替える場合には配管チューブ16に経路を切り替える。これにより、サンプリングフィルタユニット60を通過して配管チューブ13を介して送られた再生用ガスは、配管チューブ16を介して局所排気ダクトに送られる。
【0024】
電磁三方弁6は切替手段の一例であり、濃度測定用配管系30の経路から空転用配管系50の経路に切り替えると共に、空転用配管系50の経路から濃度測定用配管系30の経路に切り替える。この例で、電磁三方弁6は、配管チューブ14を介して電磁三方弁5に接続され、また外気を取り込むための配管チューブ17に接続され、さらに配管チューブ15を介して酸素濃度計7に接続されている。電磁三方弁6は制御部70から制御信号を入力して濃度測定用配管系30に経路を切り替える場合には配管チューブ14に経路を切り替える。これにより、配管チューブ14を介して送られたサンプリングガスは、配管チューブ15を介して酸素濃度計7に送られる。電磁三方弁6は空転用配管系50に経路を切り替える場合には配管チューブ17に経路を切り替える。これにより、ミストフィルタ8を通過して配管チューブ17を介して送られた空転用ガス(外気)は、配管チューブ15を介して酸素濃度計7に送られる。
【0025】
再生用配管系40は、可燃性ガス吸着用のフィルタに再生用ガスを通過させる経路を構成する。この例で、再生用配管系40は、カプラ9、レギュレータ10、スピコン(スピードコントローラ)11、電磁弁12、継手1、サンプリングフィルタユニット60、電磁三方弁5及び配管チューブ13,16,18〜21から構成されている。
【0026】
カプラ9の一端には、例えば工場エアー(再生用ガス)を送る配管チューブが接続される。カプラ9の他端には配管チューブ18を介してレギュレータ10が接続され、レギュレータ10には配管チューブ19を介してスピコン11が接続されている。レギュレータ10及びスピコン11は、再生用ガスの流量を調整する。
【0027】
電磁弁12は、配管チューブ20を介してスピコン11に接続され、また配管チューブ21及び継手1を介してサンプリングフィルタユニット60に接続されている。電磁弁12は制御部70から制御信号を入力して切替弁を開閉し、スピコン11などにより流量が調整された再生用ガスの経路を配管チューブ21に切り替える。これにより、再生用ガスは配管チューブ21などを介してサンプリングフィルタユニット60に送られる。
【0028】
サンプリングフィルタユニット60に送られた再生用ガスは、エアフィルタ2に吸着したフラックスヒューム、ミストフィルタ3に吸着した水分および活性炭フィルタ4に吸着した可燃性ガスを取り除いて配管チューブ13,16などを経て局所排気ダクトへ排出される。これにより、エアフィルタ2、ミストフィルタ3及び活性炭フィルタ4を再生(リフレッシュ)することができる。
【0029】
空転用配管系50は、酸素濃度計7に空転用ガスを通過させる経路を構成する。この例で、空転用配管系50は、ミストフィルタ8、電磁三方弁6及び配管チューブ15,17,22から構成されている。ミストフィルタ8は配管チューブ17,22に接続され、配管チューブ22から取り込んだ空転用ガス(外気)の水分などを吸着して配管チューブ17に送る。配管チューブ17に送られた空転用ガスは、電磁三方弁6、配管チューブ15を介して酸素濃度計7に送られる。これにより、酸素濃度計7に送るサンプリングガスを停止した場合に、酸素濃度計7の内部に設けられたポンプ7b(図3参照)により空転用ガスを取り込むことができるので、負荷をかけずに酸素濃度計7を稼動した状態を維持できる。また、酸素濃度計7に空転用ガスを送り込むことができるので、酸素濃度計7が湿気により腐食することを防止できる。さらに空転用ガスを送り続けることでクリーニング効果を得ることができる。また、酸素濃度計7を稼動し続けることができるので酸素濃度計7の電源スイッチの入れ忘れを防止することができる。
【0030】
続いて、はんだ付け用雰囲気ガス測定装置100の動作について説明する。先ず、サンプリングフィルタユニット60を再生する動作について説明する。図2は、フィルタ再生時の動作例を示す図である。図2に示す制御部70は、電磁三方弁5および電磁弁12を制御して濃度測定用配管系30から再生用配管系40に経路を切り替えると共に、電磁三方弁6を制御して濃度測定用配管系30から空転用配管系50に切り替える。
【0031】
例えば、制御部70は、電磁三方弁5の経路を配管チューブ16側へ切り替えるように制御する。このとき、配管チューブ14などを介して酸素濃度計7に送られるサンプリングガスは停止される。また、制御部70は、電磁弁12の切替弁を開くように制御する。これにより、カプラ9から送り込まれた再生用ガス(工場エアー)は、レギュレータ10及びスピコン11により流量を調整され、矢印P1,P2,P3に示すように電磁弁12、継手1を介してサンプリングフィルタユニット60に送り込まれる。サンプリングフィルタユニット60に送られた再生用ガスは、矢印P3に示すように、エアフィルタ2、ミストフィルタ3及び活性炭フィルタ4を通過する。このとき、再生用ガスは、エアフィルタ2に吸着したフラックスヒューム、ミストフィルタ3に吸着した水分および活性炭フィルタ4に吸着した可燃性ガスなどの不純物を取り除く。この不純物を取り除いた再生用ガスは、矢印P4,P5に示すように配管チューブ13、電磁三方弁5、配管チューブ16を経て局所排気ダクトへ排出される。これにより、エアフィルタ2、ミストフィルタ3及び活性炭フィルタ4を再生(リフレッシュ)することができる。
【0032】
また、制御部70は、電磁三方弁6の経路を配管チューブ17側へ切り替えるように制御する。これにより、配管チューブ22から吸い込まれた空転用ガス(外気)は、矢印Q1,Q2,Q3に示すように、ミストフィルタ8を通過して配管チューブ17に送られ、さらに電磁三方弁6、配管チューブ15を介して酸素濃度計7に送られる。従って、酸素濃度計7に送るサンプリングガスを停止した場合に、酸素濃度計7の内部に設けられたポンプ7bにより空転用ガスを取り込むことができるので、負荷をかけずに酸素濃度計7を稼動した状態を維持できる。
【0033】
上述したエアフィルタ2、ミストフィルタ3及び活性炭フィルタ4の再生(リフレッシュ)処理を行う時間は、20分〜60分程度である。この再生処理が終了した後でも、酸素濃度計7は空転用ガスを取り込んで稼動し続ける。
【0034】
続いて、サンプリングガスの酸素濃度を測定する場合の動作について説明する。この場合、図1に示す制御部70は、電磁三方弁5を制御して再生用配管系40から濃度測定用配管系30に切り替えると共に、電磁三方弁6を制御して空転用配管系50から濃度測定用配管系30に切り替える。
【0035】
例えば、制御部70は、電磁三方弁5の経路を配管チューブ16から配管チューブ14側へ切り替えると共に、電磁三方弁6の経路を配管チューブ17から配管チューブ14側へ切り替えるように制御する。また、制御部70は、電磁弁12の切替弁を閉じるように制御する。これにより、不図示のチャンバから送られるサンプリングガスは、図1の矢印R1に示すようにエアフィルタ2、ミストフィルタ3及び活性炭フィルタ4を通過する。さらに各フィルタを通過して不純物が取り除かれたサンプリングガスは、矢印R2,R3,R4に示すように配管チューブ13〜15、電磁三方弁5,6を介して酸素濃度計7に送られて酸素濃度が計測される。
【0036】
このように、本発明に係るはんだ付け用雰囲気ガス測定装置100によれば、サンプリングガスの酸素濃度を計測する酸素濃度計7に対して空転用ガスを通過させる空転用配管系50を備えるものである。
【0037】
この構成によって、活性炭フィルタ4などを再生する際に酸素濃度計7に送るサンプリングガスを停止しても、酸素濃度計7に空転用ガスを送ることができる。これにより、負荷をかけずに酸素濃度計7を稼動した状態を維持できる。酸素濃度計7に空転用ガスを送り込むことができるので、酸素濃度計7が湿気により腐食することを防止できる。さらに空転用ガスを送り続けることでクリーニング効果を得ることができる。また、酸素濃度計7を稼動し続けることができるので酸素濃度計の電源スイッチの入れ忘れを防止することができる。
【0038】
なお、切替手段として電磁三方弁5,6を用いたが、これに限らず手動式の切替弁を用いてもよい。さらに、空転用ガス(外気)や工場エア(再生用ガス)は、それぞれ文字通りの空気に限定されるものではなく、窒素ガスなどの不活性ガスなど適宜選択可能である。
【産業上の利用可能性】
【0039】
本発明は、はんだ付け装置のチャンバ内に満たされた雰囲気ガスの酸素濃度を測定するはんだ付け用雰囲気ガス測定装置に適用して極めて好適である。
【符号の説明】
【0040】
4・・・可燃性ガス吸着用のフィルタ、5・・・電磁三方弁(切替手段)、6・・・電磁三方弁(切替手段)、7・・・酸素濃度計、7b・・・ポンプ、30・・・濃度測定用配管系、40・・・再生用配管系、50・・・空転用配管系、100・・・はんだ付け用雰囲気ガス測定装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ付け装置のチャンバ内に満たされた雰囲気ガスがフィルタを経て酸素濃度計に至る濃度測定用配管系と、
前記フィルタに再生用ガスを通過させる再生用配管系と、
前記酸素濃度計に空転用ガスを通過させる空転用配管系と、
前記濃度測定用配管系の経路から前記再生用配管系及び前記空転用配管系の経路に切り替える切替手段と、
を備えることを特徴とするはんだ付け用雰囲気ガス測定装置。
【請求項2】
前記フィルタは可燃性ガス吸着用のフィルタであることを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用雰囲気ガス測定装置。
【請求項3】
前記切替手段は、前記再生用配管系及び前記空転用配管系の経路から前記濃度測定用配管系の経路に切り替え、
前記酸素濃度計は、前記チャンバ内に満たされた雰囲気ガスに含まれる酸素の濃度を測定することを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用雰囲気ガス測定装置。
【請求項4】
前記酸素濃度計はガスを吸引するポンプを備え、前記ポンプに接続された配管チューブから前記空転用ガス又は前記雰囲気ガスを吸引することを特徴とする請求項1に記載のはんだ付け用雰囲気ガス測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−38976(P2011−38976A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−188652(P2009−188652)
【出願日】平成21年8月17日(2009.8.17)
【出願人】(000199197)千住金属工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】