説明

はんだ寿命予測方法

【課題】 はんだ寿命の評価を、試作品を作製せずに、かつ期間の短縮化を図って行うことができ、さらに評価精度の向上を図ることができるはんだ寿命予測方法を提供する。
【解決手段】 配線基板組立体に対応して解析用配線基板組立体モデル3Mを設定するモデル設定ステップS1と、解析用配線基板組立体モデル3Mに対して、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションShzを用いてはんだ10の寿命を求めるはんだ寿命算出ステップS3とを備えた。試作品を用いずいわば仮想空間内で配線基板組立体のはんだ10の寿命を把握できる。このため、試作品の作製及びはんだ寿命が不良であるとされた場合の試作品の再作製が不要となる。また、試作品の作製及び再作製が不要となり、製品設計時間の短縮化を図ることができる。はんだ寿命予測を、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションを用いて行うので、予測の精度を向上できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、配線基板に用いられるはんだの寿命予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近時、自動車には電子部品システムが多用されるようになってきているが、これに伴い電子部品システムが備える配線基板に用いられるはんだの寿命予測方法は、電子部品システムの信頼性の確保を図るために益々重要になってきている。
従来、上述した配線基板については、部品搭載状態での設計が完了すると、冷熱サイクル評価を半年ないし1年以上の期間をかけて行うようにするのが一般的であった。冷熱サイクル評価では、赤道直下の気温等のように世界で最も高いと目される気温と北極や南極の近くで世界で最も低いと目される気温を採用し、繰返し冷熱負荷を一定期間与えるようにしている。なお、この評価方法を実行するためには特殊な恒温槽が必要とされている。
【0003】
そして、その冷熱サイクル評価により、はんだ部が破断し、電気的な導通が無くなり、不良(NG)と判定されると、当該冷熱サイクル評価の対象となった配線基板の設計は採用されず、電気的な導通が無くなった部分について見直されて再設計され、その再設計された配線基板を対象として、再度冷熱サイクル評価が行われる。この冷熱サイクル評価でNGと判定されると、再度設計の見直し及び冷熱サイクル評価が行われる。
そして、冷熱サイクル評価で良好であると判定されると、配線基板単体での評価が終了し、この評価終了によって初めて、車両に搭載した状態での配線基板の評価に進むことになる。上述した冷熱サイクル評価に基くはんだ寿命予測方法を以下、便宜上、従来第1例という。
【0004】
また、他の従来例として、特許文献1に示される方法(以下、便宜上、従来第2例という。)がある。この従来第2例では、半導体素子が搭載されたインターポーザに格子状に配列された複数個のはんだバンプを設けてなる半導体パッケージを、前記複数個のはんだバンプを介してプリント配線基板に接続するようにした半導体パッケージの実装状態を構造モデルとした解析方法であって、実際の温度サイクル試験におけるはんだ接合部の破壊形態に対応した破壊形態対応断面に基づいて2次元モデルを設定する工程(S1)と、この2次元モデルに基づいて有限要素法解析を行うことにより、前記はんだ接合部に発生する塑性ひずみを計算する工程(S2〜S4)と、前記2次元モデルに基づいて計算された塑性ひずみと前記実際の温度サイクル試験から得られる前記はんだ接合部の熱疲労寿命との関係を示すS−N曲線を作成し、このS−N曲線に基づいて前記はんだ接合部の熱疲労寿命を予測する工程(S5、S6)と、を備えている。
【0005】
そして、従来第2例では、S−N曲線にあてはめる工程S5及び熱疲労寿命Nf予測工程S6において、各種のBGA/CSP(半導体パッケージ)について2次元モデル解析及び温度サイクル試験を行い既にデータベース化されたS−N曲線(はんだ接合部の塑性ひずみ(ひずみS)と熱疲労寿命(サイクル数N)との関係を示す曲線)に、所望のBGA/CSPについて2次元モデル解析を行って得られた最大塑性ひずみ値を当てはめ、当該パッケージの熱疲労寿命を予測するようにしている。
【特許文献1】特開2000−304630号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上述した従来第1例では、実際に試作し、長時間の信頼性評価でNGになると、再度その時点から配線基板の設計をやり直しすることになる。このため、開発期間が長くなり、場合によっては目標の日程を守れないことが起こり得た。また、上述した信頼性評価の実験データはバラツキが多く、ノウハウが蓄積されにくく試行錯誤の繰返しとなり、これに伴い評価サンプルも多くなり開発費用の増大から製品のコストアップを招くものになっていた。また、車両の耐用年数の向上に対応した品質向上の取り組みに対して支障となり改善が求められた。
【0007】
また、上述した従来第2例では、パッケージ熱疲労寿命の予測について、2次元モデル解析を行って得られた最大塑性ひずみ値を基準にして求めており、寿命予測をする上で精度改善の余地があるというのが実情であった。
【0008】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、はんだ寿命の評価を、試作品を作製せずに、かつ期間の短縮化を図って行うことができ、さらに評価精度の向上を図ることができるはんだ寿命予測方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1記載の発明は、保持体にねじ締結されて該保持体と共に配線基板組立体を構成する配線基板が備える基板と部品とを接合するはんだの寿命を予測するはんだ寿命予測方法であって、前記配線基板組立体に対応して解析用配線基板組立体モデルを設定するモデル設定ステップと、該解析用配線基板組立体モデルに対して、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションを用いてはんだの寿命を求めるはんだ寿命算出ステップと、を備えたことを特徴とする。
請求項2記載の発明は、請求項1記載のはんだ寿命予測方法において、前記寿命算出ステップの実行に先だって、前記ねじ締結力から発生する歪応力について有限要素法に基いて応力解析し各はんだに対応して歪分布解析データを得る歪分布解析データ算出ステップを実行し、前記はんだ寿命算出ステップは、前記歪分布解析データ算出ステップで得られた各はんだの歪分布解析データのうち寿命が短いと懸念されるはんだに対応する歪分布解析データを前記寿命解析シミュレーションに用いることを特徴とする。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載のはんだ寿命予測方法において、前記寿命解析シミュレーションは、前記解析用配線基板組立体モデルのはんだの亀裂部の大きさが所定の大きさになる毎に、前記亀裂部によって当該はんだに作用する応力を累積する応力累積ステップと、該応力累積ステップで得られた累積応力値からはんだが破断するまでの寿命を予測する寿命予測ステップと、を含むことを特徴とする。
請求項4記載の発明は、請求項3記載のはんだ寿命予測方法において、前記所定の大きさは、前記はんだの組織径の2倍であることを特徴とする。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1から4までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法において、前記はんだ寿命算出ステップで算出したデータは、各はんだに対応して記憶手段に読み出し可能に記憶されることを特徴とする。
請求項6記載の発明は、請求項2から5までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法において、前記歪分布解析データ算出ステップで算出したデータは、各はんだに対応して記憶手段に読み出し可能に記憶されることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載の発明は、請求項3から6までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法において、応力累積ステップで得られたデータ及び寿命予測ステップで得られたデータは、各はんだに対応して記憶手段に読み出し可能に記憶されることを特徴とする。
請求項8記載の発明は、請求項5から7までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法において、前記記憶手段へのデータの記憶は、学習機能を持たせて行われることを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1から8までに記載の発明によれば、試作品を用いずいわば仮想空間内で配線基板組立体のはんだ寿命を把握するようにしている。このため、試作品の作製及びはんだ寿命が不良であるとされた場合の試作品の再作製が不要となる。また、試作品の作製及び再作製が不要となることによりその分、製品設計時間の短縮化を図ることができる。さらに、はんだ寿命予測を、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションを用いて行うので、寿命予測の精度を向上することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の一実施の形態に係るはんだ寿命予測方法を図面に基づいて説明する。
このはんだ寿命予測方法は、図1に示すように自動車1のエンジンルーム2などに配置される配線基板組立体(ECU基板Assy)3の設計を支援するために用いられ、この実行のために、コンピュータ4(図7)に格納されたプログラムが用いられるようになっている。そして、この寿命予測方法は、後述するように、試作品を用いておらず、机上にて(いわばバーチャル処理)で行われるものとなっている。
【0015】
前記配線基板組立体3は、図2及び図3に示すように、筐体(保持体)5と、この筐体5に形成された収納スペース6に配置されて筐体5にねじ7により保持されるプリント配線基板(以下、配線基板という。)8とからなっている。配線基板8は、略四角形の基板9と、基板9にはんだ10により接合される複数の電気部品(以下、部品という。)11とを備えている。
【0016】
基板9の四隅には、ねじ7が挿入される孔12が形成されており、この孔12に挿入されたねじ7が筐体5に螺合されることにより、基板9は筐体5に締結されるようになっている。このため、基板9にはねじ締結力が作用することになる。また、基板9には、コネクタ部品13が締結されている。このため、基板9にはコネクタ部品13による締結力が作用することになる。
【0017】
この実施の形態では、はんだ10の寿命予測(はんだ寿命予測)は、図4に示すように、配線基板組立体3に対応して解析用配線基板組立体モデル3Mを設定するモデル設定ステップS1と、ねじ締結力及びコネクタ部品13による締結力から発生する歪応力について有限要素法に基いて応力解析して各はんだ10に対応して歪分布解析データを得る歪分布解析データ算出ステップS2と、解析用配線基板組立体モデル3Mに対して、線形被害則(マイナー則又は修正マイナー則)を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションShzを用いてはんだ10(コンピュータ4による仮想空間に形成される解析用配線基板組立体モデル3Mにおけるはんだであるが、便宜上、実際のはんだ10と同一の符号を用いる。後述する組織16等についても符号を同様に用いる。)の寿命を求めるはんだ寿命算出ステップS3と、を実行することにより果たされるようにしている。
【0018】
はんだ寿命算出ステップS3においては歪分布解析データ算出ステップS2で得られた各はんだ10の歪分布解析データを寿命解析シミュレーションShzに用いるようにしている。この場合、当初は、全てのはんだ10の歪分布解析データを寿命解析シミュレーションShzに用いるが、その後は、後述する学習機能を発揮することにより、全てのはんだ10のうち寿命が短いと懸念されるはんだ10に対応する歪分布解析データのみを寿命解析シミュレーションShzに用いるようになる。
なお、学習機能は、歪分布解析データ算出ステップS2で得られる複数のはんだ10の歪分布解析データに限らず、はんだ寿命算出ステップS3、後述する応力累積ステップS4及び寿命予測ステップS5で得られたデータに対しても発揮されるようになっており、次回の解析を精度高く迅速に行うことができ、これにより解析の迅速化が図れるものになっている。
【0019】
寿命解析シミュレーションShzは、図5及び図6に示すように、解析用配線基板組立体モデル3Mのはんだ10の亀裂部15の大きさがはんだ10の組織16の径(組織径)dの2倍(所定の大きさ)になる毎に、亀裂部15によって当該はんだ10に作用する応力を累積する応力累積ステップS4と、応力累積ステップS4で得られた累積応力値からはんだ10が破断するまでの寿命を予測する寿命予測ステップS5と、を含んでいる。
【0020】
亀裂部15の大きさがはんだ10の組織径dの2倍になる毎に、亀裂部15によって当該はんだ10に作用する応力を累積するようにし、はんだ10の破断判定を行う上の元となるデータとして用いたのは、次の理由による。すなわち、図6(a)に示すようにはんだ10の組織16が並んでいる場合、図6(b)に示すように相隣接する2つの組織16が離間することにより空間17が形成され、この空間17により亀裂の進行が促進され易いと考えられるためである。
【0021】
はんだ寿命算出ステップS3、歪分布解析データ算出ステップS2、応力累積ステップS4及び寿命予測ステップS5で得られたデータは、各はんだ10に対応してコンピュータ4に接続されたデータベース(記憶手段)18に読み出し可能に記憶されるようになっている。この場合、データベース18へのデータの記憶は、学習機能を持たせて行われるようになっている。
また、基板9と部品11との接合に用いられるはんだ10は、対象とする部品11等によって用いられる材料が異なっているが、その材料についての物理的、化学的データは予めデータベース18に記憶されている。
【0022】
このはんだ寿命予測方法では、モデル設定ステップS1、はんだ寿命算出ステップS3、及び寿命解析シミュレーションShz(応力累積ステップS4及び寿命予測ステップS5)を含む全処理において、試作品を用いておらず、かつ各ステップでの処理はコンピュータ4が実行する、換言すれば、試作品を用いずいわば仮想空間内で製品(配線基板組立体3)の寿命を把握するようにしている。このはんだ寿命予測方法で得られたはんだ寿命が予め定められている規格内にあると判定された場合に、解析用配線基板組立体モデル3Mの信頼性が優れたものである、ひいては解析用配線基板組立体モデル3Mに対応する配線基板組立体3の設計の有効性が認定される。そして、この設計に基く配線基板組立体3について、車両に搭載された状態での評価が開始されることになる。
【0023】
上述したように構成されたはんだ寿命予測方法では、図7に示すように、まず、コンピュータ4にはオペレータ19の操作により、解析用配線基板組立体モデル3Mが設定される(工程K1)。
そして、ねじ締結やコネクタ部品13による寿命への影響を考慮すべく、ねじ締結力及びコネクタ部品13による締結力から発生する歪応力について有限要素法に基いて応力解析して各はんだ10に対応して歪分布解析データを得る(工程K2)。続いて、解析用配線基板組立体モデル3Mに対して、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションShzを用いてはんだ10の寿命を近似的に求める(工程K3)。
はんだ寿命解析シミュレーションShzにおいては、当初は全てのはんだ10の歪分布解析データが用いられ、その後、学習機能の発揮により複数のはんだ10の歪分布解析データのうち寿命が短いと懸念されるはんだ10に対応する歪分布解析データが用いられる。
【0024】
続いて、工程K3で得られたはんだ10の寿命が規格内であるか否かの判定が行われる(工程K4)。
工程K4において、工程K3で得られたはんだ10の寿命が規格内である(破断するものではない)場合は、設計が良好である(OK)として、開発を完了し、解析用配線基板組立体モデル3Mに対応する配線基板組立体3について、自動車1に搭載された状態での評価が開始される。
工程K3で得られたはんだ10の寿命が規格外である(NG)場合は、設計仕様を見直しすることになる。工程K3で得られたはんだ10の寿命が規格外である(NG)とされるのは、学習機能が発揮された後は、複数のはんだ10の歪分布解析データのうち寿命が短いと懸念されるはんだ10であり、設計仕様の見直し範囲が明確であり、設計を迅速に進めることができる。
【0025】
このはんだ寿命予測方法では、上述したように試作品を用いずいわば仮想空間内で製品(配線基板組立体3)のはんだ寿命を把握するようにしている。このため、試作品の作製及びはんだ寿命が不良であるとされた場合の試作品の再作製が不要となる。また、試作品の作製及び再作製が不要となることによりその分、製品設計時間の短縮化を図ることができる。さらに、はんだ寿命予測を、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションを用いて行うので、寿命予測の精度を向上することができる。
【0026】
また、本実施の形態では、データベース18に上記各データを記憶し、これらデータについて学習機能を発揮して利用できるので、上述したように工程3でNGとされる場合は、極めて少ないものとなる。さらに、このはんだ寿命予測方法は、上述した学習機能を発揮することにより、使用される毎に、工程K3でNGとされる割合が少なくなる。
【0027】
なお、上記実施の形態では、はんだ寿命算出ステップS3の実行に先だって、前記ねじ締結力から発生する歪応力について有限要素法に基いて応力解析して各はんだ10に対応して歪分布解析データを得る歪分布解析データ算出ステップS2を実行する場合を例にしたが、本発明はこれに限らず、歪分布解析データ算出ステップS2を廃止し、配線基板組立体3に対応して解析用配線基板組立体モデル3Mを設定するモデル設定ステップS1に続き、解析用配線基板組立体モデル3Mに対して、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションShzを用いてはんだ10の寿命を求めるはんだ寿命算出ステップS3を実行するように構成してもよい。
【0028】
また、本実施の形態では、解析用配線基板組立体モデル3Mのはんだ10の亀裂部15の大きさがはんだ10の組織径dの2倍(所定の大きさ)になる毎に、亀裂部15によって当該はんだ10に作用する応力を累積する(応力累積ステップS4)ように構成した場合を例にしたが、本発明はこれに限らず、解析用配線基板組立体モデル3Mのはんだ10の亀裂部15の大きさが所定の大きさになる毎に、亀裂部15によって当該はんだ10に作用する応力を累積するように構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の一実施の形態に係るはんだ寿命予測方法が用いられる配線基板組立体を搭載する自動車を模式的に示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態に係るはんだ寿命予測方法が用いられる配線基板組立体を示す斜視図である。
【図3】図2の配線基板を示す斜視図である。
【図4】本発明の一実施の形態に係るはんだ寿命予測方法で実行されるモデル設定ステップ及び歪分布解析データ算出ステップを示すフローチャートである。
【図5】図4のはんだ寿命算出ステップで用いられる寿命解析シミュレーションの処理内容を示すフローチャートである。
【図6】はんだの組織を模式的に示し、(a)は亀裂が生じる前の状態、(b)亀裂を生じた状態を示す図である。
【図7】本発明の一実施の形態に係るはんだ寿命予測方法の使用状態を模式的に示す工程図である。
【符号の説明】
【0030】
3…配線基板組立体、3M…解析用配線基板組立体モデル、10…はんだ、11…部品。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
保持体にねじ締結されて該保持体と共に配線基板組立体を構成する配線基板が備える基板と部品とを接合するはんだの寿命を予測するはんだ寿命予測方法であって、
前記配線基板組立体に対応して解析用配線基板組立体モデルを設定するモデル設定ステップと、
該解析用配線基板組立体モデルに対して、線形被害則を用いて構築されたはんだ寿命解析シミュレーションを用いてはんだの寿命を求めるはんだ寿命算出ステップと、を備えたことを特徴とするはんだ寿命予測方法。
【請求項2】
前記寿命算出ステップの実行に先だって、前記ねじ締結力から発生する歪応力について有限要素法に基いて応力解析し各はんだに対応して歪分布解析データを得る歪分布解析データ算出ステップを実行し、
前記はんだ寿命算出ステップは、前記歪分布解析データ算出ステップで得られた各はんだの歪分布解析データのうち寿命が短いと懸念されるはんだに対応する歪分布解析データを前記寿命解析シミュレーションに用いることを特徴とする請求項1記載のはんだ寿命予測方法。
【請求項3】
前記寿命解析シミュレーションは、前記解析用配線基板組立体モデルのはんだの亀裂部の大きさが所定の大きさになる毎に、前記亀裂部によって当該はんだに作用する応力を累積する応力累積ステップと、
該応力累積ステップで得られた累積応力値からはんだが破断するまでの寿命を予測する寿命予測ステップと、を含むことを特徴とする請求項1又は2記載のはんだ寿命予測方法。
【請求項4】
前記所定の大きさは、前記はんだの組織径の2倍であることを特徴とする請求項3記載のはんだ寿命予測方法。
【請求項5】
前記はんだ寿命算出ステップで算出したデータは、各はんだに対応して記憶手段に読み出し可能に記憶されることを特徴とする請求項1から4までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法。
【請求項6】
前記歪分布解析データ算出ステップで算出したデータは、各はんだに対応して記憶手段に読み出し可能に記憶されることを特徴とする請求項2から5までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法。
【請求項7】
応力累積ステップで得られたデータ及び寿命予測ステップで得られたデータは、各はんだに対応して記憶手段に読み出し可能に記憶されることを特徴とする請求項3から6までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法。
【請求項8】
前記記憶手段へのデータの記憶は、学習機能を持たせて行われることを特徴とする請求項5から7までのいずれかに記載のはんだ寿命予測方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−71558(P2006−71558A)
【公開日】平成18年3月16日(2006.3.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−257557(P2004−257557)
【出願日】平成16年9月3日(2004.9.3)
【出願人】(000003207)トヨタ自動車株式会社 (59,920)
【Fターム(参考)】