説明

はんだ接合部の寿命予測方法、はんだ接合部の寿命予測装置、及び電子機器

【課題】 個々のはんだ接合部に損傷が進行することにより発生する剛性の低下を考慮し、接合部の寿命をより高精度に評価を行うはんだ接合部の寿命予測方法、寿命予測装置及び電子機器を提供する。
【解決手段】 はんだ接合部を有する被測定対象の温度の履歴情報を参照するステップと、前記温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期の少なくともいずれか1つの物理量を調べるステップと、予め作成しておいた応答曲面を用いて前記サイクルカウントにより調べた物理量の中の少なくともいずれか1つからひずみ範囲を算出するステップと、前記ひずみ範囲から、予め求められている損傷値およびひずみ範囲のひずみ変動履歴を参照してひずみ範囲増加率を算出するステップと、を含むことを特徴とするはんだ接合部の寿命予測方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、はんだ接合部の寿命予測方法、はんだ接合部の寿命予測装置、及び電子機器に係る。
【背景技術】
【0002】
電子機器の使用状態下における不良には様々な種類が存在する。中でも、特に、はんだ接合部などの接合部の不良は、頻繁に発生する上、一度発生すると動作に重大な影響を及ぼす点において厄介な不良現象の一つである。はんだ接合部には、電源ON、OFFによる熱負荷、外部からの機械的負荷などの様々な負荷によってひずみが生じる。一回では破断しない程度のひずみであっても、繰り返し負荷を受けることにより、ひずみ振幅が蓄積し金属疲労を発生させることがある。このような疲労現象による破断にいたるまでの寿命を推定するための技術として、電子機器の構造ヘルスモニタリング技術が知られている。
【0003】
はんだ接合部をはじめとする金属の疲労寿命評価を高い精度で行うためには、評価点に発生するひずみの値を正しく見積もることが重要である。しかしながら、BGAはんだ接合部の寿命予測においては、き裂をはじめとして、はんだ接合部の損傷の進行によって発生するひずみの変動は考慮されない場合が多い。すなわち、はんだ接合部にき裂による損傷が進展し、剛性低下によりひずみの変動量が大きくなった後においても、損傷進行前と同じひずみ予測方法を使用する場合が多い。損傷モデル(温度変動からはんだ接合部の損傷値を予測するためのモデル)の作成にかかる手間や、実装時のアルゴリズムの簡略化を考慮すると、損傷を考慮しない方法でも、寿命予測自体の精度は劣るが実用的な予測は可能である。しかしながら、本来ははんだ接合部にひずみ振幅が蓄積すると、はんだ内をき裂が進展し、はんだ接合部の剛性が低下することから、温度変動の進行に伴って個々のはんだ接合部が受け持つ応力の割合も変化する。よって、外側に存在するダミーバンプよりさらに内側の信号バンプの寿命を予測する場合、損傷の進行を考慮しないと現実の寿命との間に誤差が生じることになる。ここでの寿命誤差の主な原因は、剛性の変化により各バンプに予測されるひずみの値と現実のひずみとの間に差が生じることである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2010−73795号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
第1実施形態では、個々のはんだ接合部に損傷が進行することにより発生する剛性の低下を考慮し、接合部の寿命をより高精度に評価を行うはんだ接合部の寿命予測方法を提供する。
【0006】
第2実施形態では、第1実施形態を実現するはんだ接合部の寿命予測装置を提供することを目的とする。
【0007】
第3本実施形態では、効率的な破断検知が可能な構成を有する電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1実施形態によれば、はんだ接合部を有する被測定対象 の温度の履歴情報を参照するステップと、前記温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期の少なくともいずれか1つの物理量を調べるステップと、予め作成しておいた応答曲面を用いて前記サイクルカウントにより調べた物理量の中の少なくともいずれか1つからひずみ範囲を算出するステップと、前記ひずみ範囲から、予め求められている損傷値およびひずみ範囲のひずみ変動履歴を参照してひずみ範囲増加率を算出するステップと、を含むことを特徴とするはんだ接合部の寿命予測方法が提供される。
【0009】
第2実施形態によれば、はんだ接合部を有する被測定対象の温度の履歴情報を保存した第1の記憶部と、温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、周期の少なくともいずれか1つの物理量からひずみ範囲を求めるための応答曲面を保存した第2の記憶部と、損傷値の履歴情報が保存された第3の記憶部と、損傷値からひずみ範囲の増加率を求めるためのひずみ変動履歴が保存された第4の記憶部と、前記第1の記憶部を参照し、温度の履歴情報を取得する第1の制御部と、前記温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期の少なくともいずれか1つの物理量を調べる第2の制御部と、前記第2の記憶部を参照し、前記サイクルカウントにより調べた物理量物理量の中の少なくともいずれか1つからひずみ範囲を算出する第3の制御部と、前記第3の記憶部及び前記第4の記憶部を参照し、前記第3の制御部により算出されたひずみ範囲からひずみ範囲増加率を算出する第4の制御部と、 を有することを特徴とするはんだ接合部の寿命予測装置が提供される。
【0010】
第3実施形態によれば、電子部品と、実装基板と、前記電子機器と前記実装基板とを機械的に接合し、かつ前記電子機器と前記実装基板との間で電気信号をやり取りを媒介する第1の接合部と、前記電子機器と前記実装基板とを機械的に接合し、かつ前記電子機器と前記実装基板との間で電気信号をやり取りを媒介しない第2の接合部と、前記第1の接合部と前記第2との間に形成され、前記電子機器と前記実装基板とを機械的に接合し、かつ、前記実装基板と前記電子部品との接合状態を監視する第3の接合部と、を有することを特徴とする電子機器が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】第1実施形態に係るプロセスフロー図。
【図2】第2実施形態に係るブロック図。
【図3】第2実施形態の構成を示す概念図。
【図4】図3のA1の範囲に係るはんだ接合部の拡大図。
【図5】図4のA2の範囲に係るはんだ接合部の拡大図。
【図6】はんだ接合部の位置、温度サイクル、ひずみ範囲の関係を示す概念図。
【図7】温度サイクル数とひずみ範囲との関係を示す概念図。
【図8】ひずみ範囲の変動履歴をFEMによる数値解析により求めた結果。
【図9】理論的な一定温度幅、一定時間の負荷状態を示す概念図。
【図10】実際の温度変動履歴を示す概念図。
【図11】はんだが破断に到るまでの指数則を示す概念図。
【図12】温度振幅とその頻度の関係を示す概念図。
【図13】ひずみ範囲とその頻度の関係を示す概念図。
【図14】損傷値とひずみ範囲の増加率との関係を示す図。
【図15】ひずみ変動履歴データベースの作成プロセスフロー図。
【図16】ひずみ変動履歴データベースを作成する装置のブロック図。
【図17】第1実施形態の変形例を示すプロセスフロー図。
【図18】誤差修正ルーチンを実行する装置のブロック図。
【図19】第1実施形態の変形例に係る寿命予測修正の実施例。
【図20】第3実施形態の構成を示す概念図。
【図21】第3実施形態の変形例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
【0013】
(第1実施形態)
第1実施形態としてはんだ寿命予測方法を図1〜2を用いて説明する。
【0014】
(第001〜002ステップ)
第1の制御部(更新イベント検出部)11は寿命更新のイベントが検出されると、その時点まで保存されていた第2の記憶部(温度履歴データベース)22に温度情報を参照する。
【0015】
寿命更新のイベントは、第1の記憶部(更新イベント保存部)21に保存されたファームウエアに一定時間ごとにイベントのトリガーを与える指示プログラムを保存しておき、更新イベント検出部11がこれを実行することにより実現することが出来る。
【0016】
温度履歴データベース22には過去の温度履歴が保存されている。基板1の温度は検出部7にて測定され、温度履歴データベース22に保存される。
【0017】
(第003ステップ)
第2の制御部(サイクルカウント調査部)12は、温度履歴データベース22を参照し、サイクルカウントにより温度振幅、サイクル数、平均温度、周期などの情報を調べる。
【0018】
温度履歴データベース22は、検出部7で測定される温度と、その温度が測定された時刻を時系列データとして保存している。
【0019】
(第004ステップ)
第3の制御部(温度振幅−ひずみ範囲変換部)13はサイクルカウント調査部12により得られた温度振幅、サイクル数、平均温度、周期などの情報から、第3の記憶部(応答曲面データベース)23に保存されている応答曲面を参照し、温度振幅ΔTをひずみ範囲Δεに変換する。
【0020】
応答曲面データベース23は温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、周期とひずみ範囲との関数である応答曲面を保存している。この応答曲面を用いれば、温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、周期からひずみ範囲を求めることが出来る。この応答曲面は事前に第3の記憶部(応答曲面データベース)23に保存されている。
【0021】
(第005ステップ)
第4の制御部(ひずみ範囲増加率算出部)14は、第4の記憶部(損傷値データベース)24及び第5の記憶部(ひずみ変動履歴データベース)25を参照し、変換されたひずみ範囲Δεを用いて、今回イベントが更新された時点におけるはんだ接合部71に蓄積した損傷の進行により発生した、ひずみ範囲の増加率を算出する。
【0022】
損傷値データベース24は損傷値と、その損傷値が求められた時刻とを時系列データとして保存している。ひずみ変動履歴データベース25は損傷値とひずみ範囲増加率との関数を保存している。
【0023】
例えば、損傷値データベース24により、ある時刻t1における損傷値D1が求められると、その損傷値D1からひずみ範囲増加率αが求められる。このひずみ範囲増加率αを用いて、ひずみ範囲Δε1から例えば新たなひずみ範囲Δε2=α・Δε1が求められる。
【0024】
(第006ステップ)
第5の制御部(ひずみ範囲再カウント部)15は第005ステップで算出されたひずみ範囲の増加率を考慮して、損傷値をカウントし直す。そして、新たに求められた損傷値を今回のイベントが更新された時刻と共に第4の記憶部(損傷値データベース)24に保存する。
【0025】
前述の例をとれば、新たに求められたひずみ範囲Δε2から後述する式1、式2を用いて新たな損傷値D2を求めることができる。この新たに求められた損傷値D2を損傷値データベースにその時刻t2と共に保存する。
【0026】
(第007ステップ)
第6の制御部(損傷値判断部)16は、第7の記憶部(しきい値データベース)27を参照し、新たな損傷値が特定のしきい値以上であるか否かを判断する。新たな損傷値が特定のしきい値以上である場合には、所定のアクションを取ることを指示する信号を損傷値判断部26が発信することを許容する。
【0027】
所定のアクションとしては、故障が近いことを想定してデータのバックアップを自動的に取る、ユーザーに故障の可能性を伝える、機器を管理しているサーバーに寿命が近いことを伝える、などが考えられる。
【0028】
特定のしきい値は、製品の種類に応じて、または製品の用途等に応じて適宜設定される。例えば、発電所や医療機器などの高い信頼性が求められる場合には、そのしきい値は厳しく設定できる。これに対し、故障した場合にも補償される機構が準備されているネットワークシステムのサーバーなどに適用される場合には、そのしきい値は緩く設定できる。
【0029】
(作用・機能・技術的意義)
ここで、被測定対象である製品としてはんだ接合部を有する実装基板を想定し、この製品が出荷された後、使用環境下での温度変動負荷を対象とした、BGAの疲労寿命予測方法を例として、第1実施形態の技術的意義について更に説明する。
【0030】
第1実施形態では、各はんだ接合部の損傷によって剛性が低下した効果を考慮してはんだ接合部の寿命予測を行うことを特徴とする。
【0031】
はんだ接合部の損傷進行の模式図を図6に示す。この図は、図5に示すはんだ接合部のうち、ダミーバンプ1(A−1)、ダミーバンプ2(B−2)、信号バンプの3(C−3)について、BGAが温度サイクル負荷を受けた際、損傷の進行によるひずみ範囲の変動を模式的に示したものである。なお、ダミーバンプ1、ダミーバンプ2、信号バンプの3は図4に示す部品4−7の右上隅の一点破線で囲った領域A2を示している。そして、領域A2は図3に示す電子機器の部品4−7の一点破線で囲った領域A1の詳細図である。なお、本明細書では、図5において、左上のダミーバンプ1を基点に、右から左にA、B、C、・・・、上から下に1、2、3、・・・としてはんだ接合部の位置を表記することがある。
【0032】
温度サイクルΔTの進行に従って、最も外側に位置するダミーバンプ1のひずみ範囲がまず大きくなる。次にダミーバンプ2、最後に信号バンプ3の順にひずみ範囲が大きくなっていく。この現象は、ひずみが蓄積することにより、はんだ接合部のき裂が進行し、はんだ接合部の剛性が低下することが原因となって発生する。そこで、温度変動の情報からひずみを算出する際にあらかじめダミーバンプのひずみ変動履歴を数値解析で調べておくことにより、剛性の低下を考慮したひずみ算出が可能になり、寿命の高精度化が期待できる。
【0033】
図7はFEMによる数値解析から図4に示すダミーバンプ(A−2〜E−2)及び信号バンプのひずみ変動履歴を示した一例である。この場合、外側のダミーバンプから順にひずみ変動が大きくなっていくことが観察され、上記図6と同様の傾向を示す結果となっていることが理解される。
【0034】
これに対し、図8は従来の評価方法でひずみ振幅を評価した場合である。この場合、はんだ接合部におけるき裂等の損傷の進行や破断とは無関係にひずみ振幅が決定される。
【0035】
(データベースの準備)
これらの考察を基に、次のように第1実施形態を以下の通りに実施することが出来る。
【0036】
まず、寿命を予測する必要がある各はんだ接合部に関して、温度サイクル進行に伴って発生する剛性の低下を考慮するための、ひずみの変動履歴を表すデータベースを事前に作成する。
【0037】
ここで、図9に示すような温度サイクルが作用する状態を想定した、有限要素法などの数値解析において、はんだ接合部の損傷による剛性の低下を考慮した方法を適用することにより、図6のような温度サイクル数とひずみ範囲Δεの関係を得ることができる。しかし、図6の温度サイクル数とひずみ範囲Δεの関係は、温度幅(図9におけるΔT)や保持時間(図9におけるΔt2、Δt4)、上昇、下降時間(図9におけるΔt1、Δt3)の値によって変動する。また、市場で製品が受ける温度履歴は、図9に示すような一定温度幅、一定時間のサイクルではなく、図10に示すような、より複雑な温度変動を受ける。このような複雑な温度の変動に対して、損傷を考慮した上で正しいひずみ範囲を推定するためのデータベースが必要とされる。
【0038】
そこで、データベースに保存する情報として、寿命予測が必要とされる各はんだ接合部の損傷値とひずみ範囲の増加量の関係を用いる。損傷値Dとは、異なる振幅の負荷が作用する場合の疲労度合を示す指標であり、D=1に達した時点で寿命に達し、破断に至る。図11に一定ひずみ範囲Δεの振幅が繰り返された場合の寿命予測方法を示す。一定ひずみ範囲Δεの振幅が繰り返される場合には、破断までの繰り返し数Nは指数則(特にはんだの場合はCoffin-Manson則やBasquin則と呼ばれる指数則)に従って導かれる。ここで、
α、β:材料によって決定される定数
Nf:き裂発生サイクル
はΔεのひずみが繰り返されたと仮定した際のき裂発生サイクル数
N:実際にΔεが負荷されたサイクル数、
Δε:ひずみ範囲
DはNサイクル負荷時の損傷値
である。
【0039】
これに対し、図1、図12〜14には異なるひずみ範囲(温度範囲)の振幅が複数作用した場合の寿命予測方法を示す。
【0040】
温度履歴データ(図10)はサイクルカウントと呼ばれる方法により、温度振幅データに変換される(図1の第0003ステップ)。また、温度履歴のサイクル数、及び周期も同時に調査される。温度振幅データの例を図12に示す。サイクルカウントの具体的な手法は例えばASTM E 1049-85, “Standard Practices for cycle counting in fatigue analysis”, ASTM Standards, Vol. 03.01(Reapproved 1997), Philadelphia, 1999.参照。
【0041】
さらに、温度振幅データは、事前に作成しておいた応答曲面により、はんだ接合部に発生するひずみ範囲に変換される(図1の第0004ステップ)。ひずみ範囲に変換された例を図13に示す。ここで、応答曲面は、事前にさまざまな温度範囲のケースを想定した数値解析により作成され、はんだ接合部に発生するひずみを高精度に予測できる式である。この応答曲面作成の時点では、複雑になることを避けるために、各はんだ接合部は進行サイクルに関わらず一定の剛性を持つものと仮定し、損傷の進行による剛性の低下は考慮しないものとすることを許容する。異なるひずみ範囲Δεの振幅が作用する場合の寿命は、線形累積損傷則(Miner則とも呼ばれる)に従い、それぞれのひずみ範囲によって導かれる破断寿命Nの逆数の和Dを求めることができる(式1、式2)。この損傷値Dが1に達した時点ではんだ接合部は破断に至る。このDを損傷値として定義することにより、疲労寿命に至るまでのはんだ接合部の損傷の進行度合を表すことができる。
【数1】

【数2】

【0042】
はんだ接合部(図5のA−1、A−2、B−1)に対して、損傷値Dの値を横軸にとり、縦軸にひずみ範囲Δεの増加率をとった関係図の一例を図14に示す。ここで、ひずみ範囲Δεの増加率とは、損傷が進行する前の初期状態において,ある温度振幅が加えられた時にはんだ接合部に発生するひずみ範囲を初期状態のひずみ範囲Δε0として、損傷値がDの際に同じ温度振幅を加えることによって発生するひずみ範囲が,初期状態のひずみ範囲Δε0に対して増加した割合を示す値であり、損傷の進行を考慮したFEM等の数値解析によって求めることができる。具体的な手法は、例えば日本機械学会論文集(A編)73巻736号(2007-12)"はんだバンプ接合部の損傷パスシミュレーション"を参照。
【0043】
この関係を数値解析等によってひずみ変動履歴データベース25に事前に保存し、製品の使用環境下における温度履歴から求められる損傷値Dと照らし合わせることにより、損傷の進行によるひずみ範囲Δεの増加率を知ることができる。図15〜16にひずみ変動履歴データベースの作成手順、及びひずみ変動履歴データベースを作成する装置のブロック図を示す。
【0044】
(ひずみ変動履歴データベースの作成手順)
(第011〜012ステップ)
第11の制御部(サイクル決定部)31は温度範囲、温度保持時間、温度上昇時間、温度下降時間、温度繰り返しサイクル数を決定する。
【0045】
(第013ステップ)
第12の制御部(数値解析部)32は損傷の進行を考慮した数値解析を行う。具体的には、FEMにより指定された温度条件を設定し、はんだ内部に発生するひずみ範囲がCoffin-Manson則やBasquin則で定められた疲労寿命回数に達した段階で、寿命に達した部分を削除または剛性を極端に低下させることによってき裂を模擬し、損傷の進行を考慮する。詳細は前記日本機械学会論文集(A編)73巻736号(2007-12)を参照。
【0046】
(第014ステップ)
第13の制御部(ひずみ変動履歴算出部)33は各温度サイクル毎のひずみ変動履歴を算出する。また、ひずみ変動履歴算出部33は求めた各温度サイクル毎のひずみ変動履歴を第5の記憶部(ひずみ変動履歴情報データベース)25に保存する。
【0047】
(第015ステップ)
第14の制御部(損傷値算出部)34は第11の記憶部(はんだ疲労データベース)26を参照し、各温度サイクル毎の損傷値Dを算出(推定)する。また、損傷値算出部34は、各温度サイクルにおけるひずみ範囲Δεの増加率と、これに対応する求めた損傷値Dとを第5の記憶部(ひずみ変動履歴情報データベース)25に保存する。
【0048】
なお、この第015ステップは、リアルタイム、または定められたタイミングなど、任意の機会に行うことができる。定められたタイミングとしては、例えば、定期的や電源ON時または/及びOFF時が例示される。
【0049】
(効果)
ここで、ひずみ範囲Δεの増加量を知るために損傷値Dを利用することの第一の利点として、加えられた温度の範囲や保持時間、上昇、下降時間を考慮しなくとも、損傷値のみを参照することでひずみ範囲の増加率を知ることができることが挙げられる。すなわち、一定温度振幅のような単純な温度変動ではなく、実使用環境下の複雑な温度変動に対しても、適用が容易である。第二の利点として、損傷値Dとひずみ範囲Δεの増加率の関係にロバスト性があり、加えられる温度範囲や保持時間等によって関係が大きく変わることが少ない点が挙げられる。
【0050】
これらの利点により、代表的な温度履歴による損傷値とひずみ範囲の関係を数値解析によって事前に調べておくことにより、様々な温度履歴に対するひずみ範囲の増加率を簡易かつ比較的高い精度で知ることが可能になる。
【0051】
より高精度なひずみ範囲増加率の推定のために、温度範囲や保持時間、上昇、下降時間をパラメータとした数値解析によって、図14の関係をデータベースに複数保持し、加えられた温度範囲によって適切な関係式を適用する方法をとることも可能である。
【0052】
なお、第1実施形態では、温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期を調べ、予め作成しておいた応答曲面を用いてひずみ範囲を算出する方法を示したが、これに限定されるものではない。被測定対象の使用環境等によっては、温度の振幅,サイクル数,周期の,全ての物理量を使用しなくても推定可能な場合がある。具体的には、振幅とサイクル数だけで推定が可能な場合もある。
【0053】
よって、温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期の少なくともいずれか1つの物理量が調べられること、及び、この調査した物理量に対応する応答曲面が準備されていて、サイクルカウントにより調べた物理量の中の少なくともいずれか1つからひずみ範囲を算出することできれば、はんだ接合部の寿命予測が可能となる場合がある。
【0054】
(第1実施形態の変形例)
第1実施形態の変形例について説明する。本変形例と第1実施形態とは、寿命予測する手順は同じであるが、ダミーバンプの破断が検出された際に、ダミーバンプの予測される寿命と、実際の寿命との間の誤差を算出し、誤差を修正するルーチンを組み込む点が相違する。図17は誤差修正のルーチンを組み込んだ寿命予測方法を示す。また、図18はこの寿命予測方法を実行するために必要となる構成のうち、第1実施形態に追加される構成を示す。
【0055】
(第021〜022ステップ)
第1実施形態の寿命予測方法(ステップS025)の前に、ダミーバンプ破断検出イベントを設ける。
【0056】
第21の制御部(破断イベント検出部)51はダミーバンプが破断されているか否かを判断する(第022ステップ)。ダミーバンプが破断されていないと判断した場合、第1実施形態(第001〜009ステップ)を実行する(図1)。
【0057】
(第023ステップ)
ダミーバンプが破断されていると判断した場合、第22の制御部(損傷値修正部)52は、損傷値データベース24を参照し、予め求められている損傷値を読み出す。そして、
損傷値修正部52は、予め与えられている損傷値と、新たに求められた損傷値とを比較する。さらに、損傷値修正部52は、比較した結果における損傷値に差が認められる時は、破断していないはんだ接合部の寿命予測値を修正する(第023ステップ)。
【0058】
寿命予測値の修正方法について図19に示す例を用いて説明する。損傷値Dは1に達した時点で破断するはずだが、図19に示すようにD=0.75の時点ではんだ接合部の破断が検出されたとする。この場合、ΔD=0.25(=1−0.75)に相当する損傷値が予測されない何らかの理由で加えられたものと判断し、破断されていない残りのはんだ接合部の損傷値をD=0.75で除する。すなわち、損傷値0.4を0.75で除した0.533を新たな損傷値とする。
【0059】
また、損傷値修正部52は、算出された修正後の損傷値0.533を第21の記憶部(ダミーバンプ状況データベース)61に記憶する。第21の記憶部(ダミーバンプ状況データベース)61に保存されたはんだ接合部破断の情報や損傷値は、必要に応じてSMART(Self-Monitoring, Analysis and Reporting Technology)等の情報伝達手段を用いてホスト側に提供される。その後、第1実施形態(第001〜009ステップ)を実行する(図1)。
【0060】
(第2実施形態)
第2実施形態について、図2、図3を用いて説明する。第2実施形態ははんだ接合部の寿命予測装置の実施形態である。
【0061】
図3は実装基板1に半導体メモリ4−1〜4−8、コンデンサ6、測定部7、制御部10が搭載されている第2実施形態の例を示した模式図である。半導体メモリ4−1〜4−8は実装基板にはんだ等の接合部を介して接続されている。検出部7は半導体メモリ4−1〜4−8の各接合部について電気的特性を測定し、その接続状態を観察する。また検出部7は実装基板1の温度を測定する。半導体メモリの一部は記憶部20として用いることができる。
【0062】
図2は第2実施形態にかかるブロック図である。第2実施形態は、検出部7、制御部10、記憶部20を構成要素として有する。これらは情報や信号の受け渡しを媒介する信号ラインLを介して互いに接続されている。信号ラインは有線、無線、これらを混在させた形態を用いることができる。
【0063】
制御部10は、第1実施形態に対応して、更新イベント検出部11、サイクルカウント調査部12、温度−ひずみ範囲変換部13、ひずみ範囲増加率算出部14、ひずみ範囲再カウント部15、損傷値判断部16を有する。記憶部20は、更新イベント保存部21、温度履歴データベース22、応答曲面データベース23、損傷値データベース24、ひずみ変動履歴データベース25、はんだ疲労データベース26、しきい値データベース27を有する。
【0064】
第1実施形態の変形例に対応して、制御部10は破断イベント検出部31、損傷値修正部32を、記憶部20はダミーバンプ状況データベース61を更に有してもよい。
【0065】
具体的な態様としては、例えば、制御部10にはCPUを用いることができる。また、記憶部20には半導体メモリを用いることができる。記憶部はこれに限られるものではなく、情報やプログラムを記憶できる記録媒体であればよく、NAND型半導体メモリ、HDD、ROMなどのLSIを用いることができる。
【0066】
検出部7(破断イベント検出部31)には、例えばはんだ接合部71の抵抗値を測定する回路、または/及びインピーダンスを測定する回路等を具備することができる。検出部7は接合部の電気的特性を測定することにより、破断を検出することができる。例えば、接合部が破断すると電気抵抗が急激に大きくなることから、破断を検出することが可能となる。また、温度を測定するために、検出部7には熱電対を具備することができる。はんだ接合部の抵抗値を測定する回路、インピーダンスを測定する回路がアナログ回路、熱電対の出力がアナログ信号である場合には、検出部7にA/D変換器を含んでもよい。アナログ信号がデジタル信号に変換されることにより、制御部10、記憶部20でこれらの信号を容易に取り扱うことが出来るようになる。
【0067】
第2実施形態の動作、作用、効果については第1実施形態及びその変形例にて述べたので省略する。
【0068】
(第3実施形態)
第3実施形態について説明する。第3実施形態は、破断を検出するための信号線の形成の仕方に工夫がある。この様子を図20を用いて説明する。
【0069】
図20では、矩形状の半導体メモリ4にはんだ接合部71が複数配置されている。半導体メモリ4に含まれているシリコンチップ73は、半導体メモリ4の最外周よりも一回り小さく、半導体メモリ4の内部にして形成されている。
【0070】
はんだ接合部71は矩形状の線対象軸の方向に、ダミーバンプ領域(第2の接合部、B−1)、破断検出領域(第3の接合部、B−2)、信号線領域(第1の接合部、B−3)、破断検出領域(第3の接合部、B−4)、ダミーバンプ領域(第2の接合部、B−5)が、この順番で形成されている。すなわち、信号線領域とダミーバンプ領域の間に破断検出領域が介挿された構成となっている。
【0071】
ダミーバンプ領域(B−1、B−5)は、図20において二点破線で囲まれた領域である。この領域のダミーバンプは、電子機器である半導体メモリ4と実装基板1とを機械的に接合しているが、半導体メモリ4と実装基板1との間の電気信号をやり取りは媒介しない。
【0072】
信号線領域(B−3)は、図20において一点破線で囲まれた領域である。この領域のはんだ接合部は、電子機器である半導体メモリ4と実装基板1とを機械的に接合するだけでなく、半導体メモリ4と実装基板1との間の電気信号をやり取りも媒介する。
【0073】
破断検出領域(B−2、B−4)は、図20において破線で囲まれた領域である。この領域のはんだ接合部は、電子機器である半導体メモリ4と実装基板1とを機械的に接合しているが、半導体メモリ4と実装基板1との間の電気信号をやり取りは媒介しない。しかし、破断を検出するための信号線72がこの領域に存在するはんだ接合部の一部を利用して形成されている。信号線72は検出部7に接続されていて、半導体メモリ4と実装基板1との接合状態を監視することができる。図20に示す例では、破断検出領域の最も外側のはんだ接合部のうち互いに隣接する2個を1組とした時に、互いに対向する4組を一本の電気回路で直列に接続しているが、状況に応じて、対偶関係にある2箇所のみ、或いは1箇所のみとすることもできる。この時、四隅の中でも最も温度変化が激しい領域を含むように選択すると、早期にはんだ接合部の破断を検出することが可能となる。
【0074】
このように、ダミーバンプ領域と信号線領域の間に破断検出領域を設ける利点として、破断検出領域はダミーバンプ領域と比較して相対的にばらつきによる寿命の影響が小さく、高い精度での寿命予測が可能になる点が挙げられる。ダミーバンプ領域はパッケージの外周部周辺に存在するため、破断検出領域や信号領域と比較して早期に破断する。物理的に解釈すると、この現象は、パッケージ外側のはんだ接合部ほど大きな機械的負荷を受け持ち、パッケージ内部側のはんだ接合部は、外側のはんだ接合部が受け持った負荷以外の残りの負荷を平均的に受け持っていることに相当する。このとき、パッケージ内部側の各はんだ接合部に発生するひずみ範囲は外側と比較すると平均化(内部側の各はんだ接合部は平均的に同等な負荷を受け持つ)されているため、結果として寿命のばらつきが小さくなる。このばらつきの傾向は、温度サイクル試験などの負荷試験により実験的に検証されている。
【0075】
破断検出領域のばらつきが小さいことの利点は、第1実施形態における第023ステップで行われる信号バンプの損傷値修正の際にも利点として働く。すなわち、破断を検出するはんだ接合部のばらつきが小さいことから、破断の検出により損傷値を修正する他のはんだ接合部においても、修正後の損傷値のばらつきが小さくなり、結果として高精度な寿命予測が可能となる。早期検出を優先する場合はパッケージ外側のダミーバンプ領域で破断検出を行うことが望ましいが、寿命予測精度の視点では、ダミーバンプ領域より内側のはんだ接合部で破断検出を行う方が高精度の予測が可能になる。破断検出をするはんだ接合部を適切に選択することにより、早期検出と高精度の寿命予測のバランスをとることが可能となる。
【0076】
(第3実施形態の変形例)
第3実施形態の変形例として、第2実施形態を第1実施形態とを破断検出用のチェーンにより結合することにより、適格に寿命評価を行うことが出来る。この様子を図21に示す。
【0077】
図21における各半導体メモリ(4−1、4−2、・・・4−N)は破断検出用信号線72にて一筆書きにて検出部7に接続されている。これにより、1箇所の検出部7にて複数の半導体メモリ4のはんだ接合部を監視できる。
【0078】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、診断自体が機器に与える負荷を考慮した、効率的なテスト項目の実施を可能とするテストスケジュールを作成することが可能となる。
【0079】
これら実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、様々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同時に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 ・・・ 実装基板(回路基板)
2 ・・・ コネクタ
3 ・・・ ボス穴
4、4−1〜4−8 ・・・ 被測定対象(半導体メモリ)
6 ・・・ コンデンサ
7 ・・・ 検出部(破断検出部、温度測定部)
10 ・・・ 制御部
11 ・・・ 第1の制御部(更新イベント検出部)
12 ・・・ 第2の制御部(サイクルカウント調査部)
13 ・・・ 第3の制御部(温度−ひずみ範囲変換部)
14 ・・・ 第4の制御部(ひずみ範囲増加率算出部)
15 ・・・ 第5の制御部(ひずみ範囲再カウント部)
16 ・・・ 第6の制御部(損傷値判断部)
31 ・・・ 第11の制御部(サイクル決定部)
32 ・・・ 第12の制御部(数値解析部)
33 ・・・ 第13の制御部(ひずみ変動履歴算出部)
34 ・・・ 第14の制御部(損傷値算出部)
51 ・・・ 第21の制御部(破断イベント検出部)
52 ・・・ 第22の制御部(損傷値修正部)
20、20−1、20−2 ・・・ 記憶部
21 ・・・ 第1の記憶部(更新イベント保存部)
22 ・・・ 第2の記憶部(温度履歴データベース)
23 ・・・ 第3の記憶部(応答曲面データベース)
24 ・・・ 第4の記憶部(損傷値データベース)
25 ・・・ 第5の記憶部(ひずみ変動履歴データベース)
26 ・・・ 第6の記憶部(はんだ疲労データベース)
27 ・・・ 第7の記憶部(しきい値データベース)
61 ・・・ 第21の記憶部(ダミーバンプ状況データベース)
71 ・・・ はんだ接合部(はんだバンプ)
72 ・・・ 破断検出用信号線
73 ・・・ Siチップ
81 ・・・ ホスト機器
B−1、B−5 ・・・ ダミーバンプ領域
B−2、B−4 ・・・ 破断検出領域
B−3 ・・・ 信号線領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
はんだ接合部を有する被測定対象の温度の履歴情報を参照するステップと、
前記温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期の少なくともいずれか1つの物理量を調べるステップと、
予め作成しておいた応答曲面を用いて前記サイクルカウントにより調べた物理量の中の少なくともいずれか1つからひずみ範囲を算出するステップと、
前記ひずみ範囲から、予め求められている損傷値およびひずみ範囲のひずみ変動履歴を参照してひずみ範囲増加率を算出するステップと、
を含むことを特徴とするはんだ接合部の寿命予測方法。
【請求項2】
算出されたひずみ範囲増加率を考慮して新たな損傷値を求めるステップと
を更に含むことを特徴とする請求項1に記載の寿命予測方法。
【請求項3】
前記新たに求められた損傷値をデータベースに保存するステップと
を有することを特徴とする請求項2に記載の寿命予測方法。
【請求項4】
前記新たに求められた損傷値が所定のしきい値以上である場合に予め定められたアクションをとるステップと
を更に有することを特徴とする請求項2又は3のいずれか1項に記載の寿命予測方法。
【請求項5】
前記はんだ接合部の少なくとも一部が破断した際に、予め与えられている破断時の損傷値と新たに求められた損傷値とを比較するステップと、
比較した結果に差が認められる場合には、新たに求められた損傷値をもとに破断していないはんだ接合部の寿命予測値を修正するステップと、
を有することを特徴とする請求項2乃至5のいずれか1項に記載のはんだ接合部の寿命予測方法。
【請求項6】
前記はんだ接合部はアレイ型接続構造を有することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の寿命予測方法。
【請求項7】
事前の数値解析によりはんだ接合部のひずみ変動履歴とはんだ接合部の損傷の関係をデータベースに記憶するステップと、
前記データベースに記憶された情報と前記被測定対象が使用環境下で測定された負荷の情報とから前記はんだ接合部のひずみ変動履歴を推定するステップと
を更に有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の寿命予測方法。
【請求項8】
はんだ接合部を有する被測定対象の温度の履歴情報を保存した第1の記憶部と、
温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、周期の少なくともいずれか1つの物理量からひずみ範囲を求めるための応答曲面を保存した第2の記憶部と、
損傷値の履歴情報が保存された第3の記憶部と、
損傷値からひずみ範囲の増加率を求めるためのひずみ変動履歴が保存された第4の記憶部と、
前記第1の記憶部を参照し、温度の履歴情報を取得する第1の制御部と、
前記温度の履歴情報からサイクルカウントにより温度変動の振幅、サイクル数、平均温度、及び周期の少なくともいずれか1つの物理量を調べる第2の制御部と、
前記第2の記憶部を参照し、前記サイクルカウントにより調べた物理量の中の少なくともいずれか1つからひずみ範囲を算出する第3の制御部と、
前記第3の記憶部及び前記第4の記憶部を参照し、前記第3の制御部により算出されたひずみ範囲からひずみ範囲増加率を算出する第4の制御部と、
を有することを特徴とするはんだ接合部の寿命予測装置。
【請求項9】
電子部品と、
実装基板と、
前記電子機器と前記実装基板とを機械的に接合し、かつ前記電子機器と前記実装基板との間で電気信号をやり取りを媒介する第1の接合部と、
前記電子機器と前記実装基板とを機械的に接合し、かつ前記電子機器と前記実装基板との間で電気信号をやり取りを媒介しない第2の接合部と、
前記第1の接合部と前記第2との間に形成され、前記電子機器と前記実装基板とを機械的に接合し、かつ、前記実装基板と前記電子部品との接合状態を監視する第3の接合部と、
を有することを特徴とする電子機器。
【請求項10】
請求項8に記載の寿命予測装置を有することを特徴とする請求項9に記載の電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2012−63279(P2012−63279A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−208553(P2010−208553)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】