ひとパピローマウイルス・カプシド蛋白およびウイルス様粒子の製造
【課題】パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列の発現方法を提供。
【解決手段】細胞中におけるパピローマウイルスカプシド蛋白の発現を容易にする条件下、発現系を用いて細胞中でパピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を発現する。別の態様では、ウイルス様−粒子(VLPs)、そのフラグメント、カプソメアまたは部分がパピローマウイルスカプシド蛋白から生成する。さらに、別の態様では、ウイルス様−粒子は天然の感染パピローマウイルス粒子の抗原的特徴を含む。バキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞中ひとパピローマウイルス6型(HPV−6)および11型(HPV−11)のL1メジャーカプシド蛋白の発現方法および6型(HPV−6)、11型(HPV−11)、16型(HPV−16)および18型(HPV−18)ウイルス様−粒子の製造方法も得られる。
【解決手段】細胞中におけるパピローマウイルスカプシド蛋白の発現を容易にする条件下、発現系を用いて細胞中でパピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を発現する。別の態様では、ウイルス様−粒子(VLPs)、そのフラグメント、カプソメアまたは部分がパピローマウイルスカプシド蛋白から生成する。さらに、別の態様では、ウイルス様−粒子は天然の感染パピローマウイルス粒子の抗原的特徴を含む。バキュロウイルス発現系を用いて昆虫細胞中ひとパピローマウイルス6型(HPV−6)および11型(HPV−11)のL1メジャーカプシド蛋白の発現方法および6型(HPV−6)、11型(HPV−11)、16型(HPV−16)および18型(HPV−18)ウイルス様−粒子の製造方法も得られる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は総体的にパピローマウイルス(Papillomavirus:PV)に関する。より具体的には、本発明は、バキュロウイルス発現系を用いるひとパピローマウイルス6型(HPV−6)および11型(HPV−11)カプシド蛋白コード配列の発現、HPVウイルス様粒子(VLPs)の製造およびHPV上のエピトープを認識する抗体の産生、HPVワクチン開発、HPV感染の検出のための血清学的テストのためのこれらのVLPsの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
パポバウイルス科は溶解性感染および良性または悪性のいずれかの腫瘍の両方を誘発する1群のDNAウイルスを構成する。構造的には、全て72カプソメアを有する裸の20面体のビリオンであり、2本鎖環状DNAを含む。この科に含まれるウイルスは;(1)ひとおよび動物のパピローマウイルスであり、(2)マウスポリオマウイルスであり、(3)サル空胞ウイルスおよび(4)ひとウイルスBKおよびJCである。
【0003】
ひとパピローマウイルス(HPV)は、組織−特異的方法で皮膚、生殖器、口および呼吸器の上皮に感染する。HPVによる感染は良性疾患および悪性疾患の両方の進行に密接に関連している(非特許文献1および2)。例えば、HPV1型(HPV−1)は足底いぼに、HPV6型または11型(HPV−6またはHPV−11)は尖圭コンジローム(肛門生殖器のいぼ)に存在し、一方、HPV16型または18型(HPV−16または18)は通常、頸部鱗状上皮の前悪性および悪性細胞溶解物に存在する(非特許文献3、4、5および6参照)。
【0004】
インビトロにおけるHPVの増殖の困難性は免疫学的研究のための抗原産生への別のアプローチの研究に導いた。例えば、ボネら、HPV−6bL1 ORFのPstI-XboII制限フラグメントはHPV6尖圭コンジローム患者からの血清および対照により決定されたように免疫学的特異性を欠き(非特許文献7、8、9、10および11)は原核生物系における組換えカプシド蛋白コード配列を発現させ、それらを生殖管のHPV感染患者から得られた血清のウエスタン・ブロッティング分析に用いた。これらの研究から得られた結果は、変性した、すなわち、HPVカプシド蛋白の直鎖状エピトープに対する抗体がある種の感染患者の血清中に検出され得ることを示唆した。
【0005】
ウイルス粒子全体は立体配座エピトープを目的とする抗体を含む、ひと血清中の抗体の検出に用いられてきた。多くの天然に存在するHPV誘導融解はわずかの粒子しか産生しないので、これらの研究を行うのは非常に困難であった。しかしながら、ウイルス粒子全体は、HPV−1型−誘導足底いぼから免疫学的研究を行うのに十分な量で得られる(非特許文献12、13および14)および実験的−誘導HPV−11型無胸腺マウス・ゼノグラフ(非特許文献15および16)。より具体的には、クライダーらの特許文献1は、無胸腺マウス・ゼノグラフ・モデル系を用いて実験室にて感染性HPV−11ビリオンの増殖方法を開示している。しかしながら、この系は生殖器HPV感染のための血清学的試験の検討のために用いられた感染性ウイルスの相当量を産生し得るが、この系は非常に高くつき、また面倒である。さらに、この系では性器HPV型の1種のみががこれまで増殖されており、その利用性は限定されている。さらに、この系を用いて産生された感染性ウイルスはバイオハザードを示し、従ってワクチン製剤に用いることは困難である。
【0006】
ゾウらは、非特許文献17において、ワクシニアウイルスHPV−16L1/L2二重組換え発現ベクターで感染後CV−1細胞核中のHPV−16ウイルス−様粒子の形成を報告している。しかしながら、著者らはL1のみを発現するベクターでVLP類を産生させることはできなかった。さらに、産生されたVLP類ははっきりした対称性を欠き、大小がさまざまであり、本発明のHPVビリオン(55nm)またはVLP類のいずれよりも小さく直径がわずか約35−40nmである(バキュロウイルスは、直径約50nmのHPV−11VLP類を産生した)。
【0007】
ミンソンの特許文献2は所望の特異性を有するモノクローナル抗体のためのハイブリドーマ培養上清のスクリーニング法を開示している。
ミンソンの方法は例えば、ひとパピローマウイルス16型(HPV−16)のL1蛋白を、マウスにおける標的抗原とし用いてこの蛋白に対する抗体の産生を挙げることができる。しかしながら、ミンソンはL1蛋白の発現またHPVウイルス−様粒子(VLPs)を開示していない。
【0008】
スクールニクらの特許文献3はパピローマウイルスに対する型−特異的抗体を溶出する、数種のパピローマウイルスの読み取り枠の初めの領域から誘導される短いペプチド配列を開示している。しかしながら、発明者らは主要な後部の読み取り枠、L1を目的とする配列は開示していない。
【0009】
ランカスターらの特許文献4は、発明者がパピローマウイルス型−特異的エピトープをコードすると主張するパピローマウイルスL1カプシド蛋白読み取り枠の約30個のポリヌクレオチド配列を開示している。しかしながら、発明者らはこの配列を認識する抗体を産生する感染動物を開示していない。そのかわり、発明者らはこの配列(10個のアミノ酸ペプチド、すなわち、デカペプチド)のうしパピローマウイルス1型(BPV−1)変異型を合成し、ついで、うさぎを免疫化し、BPV−1およびBPV−2のいずれかの誘導線維乳頭腫(fibropapilloma)組織と反応する抗血清能力を試験した。このペプチド抗血清はBPV−1組織とのみ反応し、BPV−2組織とは反応しなかった。ついで、発明者は、このペプチドが型−特異的である抗原決定基を含み、従って、すべてのパピローマウイルスL1コード配列はこの遺伝子座に型−特異的エピトープを含むと結論した。この逆説を支持するデータを持たない発明者の側からは理論的な推測である。さらに、このアミノ酸配列は一般により高いオーダーの抗原的構造、すなわち、この明細書に記載された方法により製造されるような3次元構造を有する立体配座エピトープであり得ないと考えられている。
【0010】
パピローマウイルス感染に関する別の問題は別の治療的および予防的様式の必要性である。このような様式の1つは最近ほとんど研究されていないパピローマウイルスワクチンであろう。1944年に、ビバーシュタインが患者のいぼから誘導した自原性ワクチンで尖圭コンジローム患者を処置した(非特許文献18)。その後、パウエルらは、尖圭コンジロームの処置のための自原性いぼワクチンの現在典型的に用いられている製造技術を開発した(非特許文献19)。自原性ワクチンの効果を評価するために、たった1つの2重盲検プラセボー対照研究がおこなわれた(非特許文献20)。著者らは、自原性ワクチン治療は尖圭コンジロームの治療には効果がなかったと結論づけたが、この解釈は誤っているかもしれない。被検患者の数が有効な反対の結論を引き出すことを妨げた。いずれにしても、自原性ワクチンには、ここに述べたように、いくつかの不利な点がある。第1に、ワクチンを製造するために患者に比較的大きないぼがある(2g〜5g)ことが必要である。第2に、実験者が、処置患者が来るたびに実験装置を用い、専門家としての意見を求められる。すなわち、ワクチン製造は非常に高価につき、かつうんざりするものであり、比較的小さないぼの場合は不可能である。
【0011】
不幸にして、ウイルス増殖の伝統的な方法は未だパピローマウイルスの研究には採用することができず、また既述のように別の方法もまた、免疫学的研究のための有効量の感染ビリオンを製造することができない。無胸腺系マウスにおけるHPV−11のインビボ増殖は、非常に高価であり、労働集約的であり、現在はHPV−11に限定されているところから、かなり実用的でない。従って、免疫学的研究およびワクチン製造に使用するためのHPVカプシドのエピトープの別の製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許出願5,071,757
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第5,045,447号
【特許文献3】アメリカ合衆国特許第4,777,239号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第5,057,411号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ライヒマンら、パピローマウイルス、1191−1200頁(1990年)
【非特許文献2】マンデルら、感染病の原理と操作3版、ニューヨーク州、ニューヨーク、チャーチル・リビングストーン
【非特許文献3】クラムら、「ひとパピローマウイルス感染および頸部新形成:新考察」インターナショナル・ジャーナル・オブ・ガイネコロジカル・パトロジー3巻376−388頁(1984年)
【非特許文献4】ズール・ホーセン、生殖器パピローマウイルス感染83−90頁(1985年)
【非特許文献5】リグビーら、ウイルスおよび癌、ケンブリッジ(イギリス)
【非特許文献6】コーツキィら、「生殖器ひとパピローマウイルス感染の疫学」エピデミオロジー改訂版10巻122−163頁(1988年)
【非特許文献7】UCLAシンポジウム・モルキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー新訂版124巻77−80頁(1990年)
【非特許文献8】ジェニソンら、エシェリヒア・コリ−発現融解蛋白を用いることによるひとパピローマウイルス6b型の免疫活性抗原の同定(ジャーナル・オブ・ビロロジー62巻2115−2123頁(1988年))
【非特許文献9】リーら、コンジロームにおけるひとパピローマウイルス6bL1型読み取り枠蛋白およびひと血清における対応する抗体(ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻2684−2690頁(1987年))
【非特許文献10】スティールら、ひとパピローマウイルス1型の分裂または非分裂エピトープに対するひと血清の体液試験(ビロロジー174巻388−398頁(1990年))
【非特許文献11】ストライクら、ひとパピローマウイルス6b型の完全なL1およびL2読み取り枠を含む7個のDNAセグメントのエシェリヒア・コリにおける発現および共通抗原(commom antigen)の位置(ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー70巻543−555頁(1989年))
【非特許文献12】キーンツラーら、ひと足底いぼにおけるひとパピローマウイルス1型(HPV−1)の体液および細胞媒介免疫性、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・デルマトロジー108巻65−672頁(1983年)
【非特許文献13】フィッツァーら、ひとパピローマウイルス1型(HPV−1)感染の血清疫学的研究(インターナショナル・ジャーナル・オブ・カンサー21巻161−165頁(1978年))
【非特許文献14】スティールら、ひとパピローマウイルスの分裂および非分裂エピトープに対するひと血清の体液検定(ビロロジー174巻388−398頁(1990年))
【非特許文献15】クライダーら、感染性ひとパピローマウイルス11型のインビボにおける実験室的生産、(ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻590−593頁(1987年))
【非特許文献16】クライダーら、尖圭コンジロームからパピローマウイルスによるひと子宮頸部のインビボにおける形態学的変化(ネイチャー317巻639−641頁(1985年))
【非特許文献17】ゾウら、上皮細胞におけるワクシニア組換えHPV16L1およびL2ORFの発現はHPVビリオン−様粒子の組立てのために十分である(ビロロジー185巻251−257頁(1992年))
【非特許文献18】ビバーシュタイン、いぼの免疫治療、Arch. Dermatol Syphilol50巻12−22頁(1944年)
【非特許文献19】パウエルら、自原性ワクチンによる尖圭コンジロームの処置、サザン・メディカル・ジャーナル63巻202−205頁(1970年)
【非特許文献20】マリソンら、尖圭コンジロームの自原性ワクチン治療:2重盲検対照研究、Br.J.Vener.Dis.58巻62−65頁(1982年)
【発明の概要】
【0014】
本発明は1993年3月9日に出願された現在係属中のアメリカ合衆国特許出願番号08/028,517号および1994年3月7日に出願された現在係属中のアメリカ合衆国特許出願(番号未通知)の1部継続出願である。
アメリカ合衆国政府は国立保健研究所(National Institute of Health)からの公共保健助成金(Public Health Service Awards)であるAI−82509、AI−35159およびCA−11198に応じて本発明に一定の権利を有し得る。
【0015】
発明の要約
本発明は細胞中のパピローマウイルス(PV)のカプシド蛋白コード配列の発現方法に関するものであり、この方法は、細胞中で蛋白を容易に発現させる条件下でパピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を含む発現ベクターでの細胞の形質転換を含む。
本発明の別の態様は、パピローマウイルスカプシド蛋白から生成されたウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分を提供するものである。この発明において、ウイルス−様粒子は天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含むことが判明した。
【0016】
本発明のより好ましい具体例において、バキュロウイルス発現系を用いて、Sf−9昆虫細胞において、ひとパピローマウイルス6型(HPV−6)および11型(HPV−11)のL1カプシド蛋白コード配列の発現方法を提供する。HPV−6およびHPV−11コード配列は当分野における標準的技術を用いてバキュロウイルス形質転換ベクター中にクローニングされた。得られたバキュロウイルス形質転換ベクターは、組換えバキュロウイルス(Ac6L1またはAc11L1)を生成するオートグラファ・カリホルニカ(Autographa californica)核多面体ウイルス(AcNPV)でSf−9昆虫細胞に同時形質転換され、組換えバキュロウイルスを回収した。その後、細胞中に蛋白を容易に発現させ得る条件下、Sf−9昆虫細胞はAc6L1またはAc11L1のいずれかに感染させた。L1蛋白がウイルス−様粒子(VLPs)を生成することが判明した。VLPsは、Ac11L1組換えバキュロウイルスで感染させたSf−9細胞から得られたネガチィブ−染色スクロースバンドの画分の電子顕微鏡により同定された。さらに、VLPsは、うさぎ抗血清により明らかにされたように天然のHPV−11ビリオンに類似する免疫学的および形態学的特徴を有することが判明した。
【0017】
本発明によるウイルス−様粒子類は診断法に用いることができ、HPV細胞レセプターの同定および特徴化に1役果たし、またワクチン開発(治療および予防の両方)に用い得る。HPV−11およびHPV−6の産生のためにこの明細書に記載の本発明の方法は、同様の他の動物および/またはひとパピローマウイルスからの免疫学的試薬の製造のために用いることができる。さらに、本発明により産生されたVLPsはパピローマウイルスの免疫学的研究を実施し、パピローマウイルスに対するワクチンを開発するための豊富な試剤を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】Fig.1Aは、野生型AcNPVおよび組換えAc11L1−感染Sf−9細ライゼートのクーマシーブルー染色SDSポリアクリルアミドゲルを示す。Fig.1Bは、HPVL1共通エピトープに特異的なうさぎポリクローナル抗血清で確認された、野生型AcNPVおよびAc11L1感染SF−9細胞ライゼートのウエスタンブロットを示す。
【図2】Fig.2は、Ac11L1−感染SF−9細胞からのスクロース密度遠心分離により回収されたHPV−11ウイルス−様粒子の電子顕微鏡写真を示す。示されたVLPsは直径約52nmであり(拡大基準による測定)、20面体対称を有しており、天然−生成パピローマウイルスの形態学的特徴に関して公開された観測に一致している。
【図3】Fig.3は、組換えL1とのうさぎ抗血清免疫反応性のウエスタンブロッティングおよびイムノドットブロッティングの比較を示す。A図において、組換えL1昆虫細胞ライゼートは変性条件下でウエスタン・ブロッティングされた。B図において、非−組換え(+)または組換えL1(L1)昆虫細胞ライゼートを非−変性条件下で染色膜においた。A列はHPVL1共通エピトープに特異的なうさぎポリクローナル抗血清で確認された。B列はHPVL1のアミノ末端アミノ酸配列に特異的なうさぎポリクローナル抗血清で確認された。C列はうさぎポリクローナル全ウイルス粒子抗血清で確認された。
【図4】Fig.4は、組換えL1昆虫細胞ライゼートを用いたウエスタンブロッティング試験を示す。A〜X列は用いられた種々の1次抗体に対応する(A列およびB列は免疫前および免疫後うさぎ抗−全ウイルス粒子抗血清変性L1共通エピトープと反応させた;C列は免疫後うさぎ抗−変性L1共通エピトープ抗血清と反応させた;D〜O列は尖圭コンジローム患者抗血清と反応させた。P〜X列は対照血清と反応させた)。
【図5】Fig.5は、昆虫細胞ライゼートを用いるイムノドットブロッティング試験を示す。列のアルファベットは用いられた種々の1次抗体に対応し、それはFig.4の記載と同様である。
【図6】Fig.6は、HPV−6L1組換えバキュロウイルス(Ac6L1)の構築および発現により産生された、HPV6型VLPsの電子顕微鏡写真を示す。
【図7】Fig.7は、HPV−16L1組換えバキュロウイルス(Ac16L1)の構築および発現により産生された、HPV16型VLPsの電子顕微鏡写真を示す。
【図8】Fig.8は、HPV−11L1VLPsに対する尖圭コンジローム患者の血清反応性を示す。
【図9】Fig.9は、HPV−11ビリオンとHPV−11VLPsに対する血清反応性間の相関関係を示す。
【図10】Fig.10(a)は、HPV−11L1(レーン2)およびHPV−16L1(レーン3)蛋白のウエスタンブロッティングを示す(左図)。分子量対照マーカーは左端であり、矢印はHPV−11およびHPV−16組換えL1蛋白の大体の位置を示す。Fig.10(b)は、レーン1:AcNPV(野生型バキュロウイルス−感染試料);レーン2:Ac11L1(組換えAc11L1−感染試料);レーン3:Ac6L1(組換えAc6L1−感染試料)のイムノドットブロッティングを示す(右図)。
【図11】Fig.11は、Ac11L1−感染Sf−9細胞培養上清中の組換えHPV−11L1のSDSPageおよびウエスタンイムノブロッティング検出を示す(A図:SDS page(クーマシー染色);B図:ウエスタンブロッティング、PVL1共通抗原血清を使用;レーン1:非−組換えAcNPV−感染細胞培養上清からの高速ペレット;レーン2:Ac11L1−感染Sf−9細胞培養上清からの高速ペレット;分子量マーカー(Mr)は左端;右端の矢印は55kD Mr組換えL1の位置を示す)。
【図12】Fig.12は、粗−およびCsCl−精製VLP調製物(A−Ac11L1−感染Sf−9細胞無含有培養上精からペレット化されたVLPs;B−CsCl−精製VLPs;線分=50nm)の電子顕微鏡分析を示す。
【図13】Fig.13は、精製組換えVLPsおよびHPV−11全ビリオン(レーン1:免疫前血清;レーン2:免疫後血清;A−うさぎR−366、精製HPV−11全ビリオンで免疫化;B−うさぎR−399、HPV−11VLPsで免疫化;抗原:VLP(HPV−11L1ウイルス−様粒子);WVP(HPV−11全ウイルス粒子))のイムノドットブロッティング分析を示す。
【図14】Fig.14は、異種移植(xenograft)幾何平均直径(GMD)のドットプロット分析を示す。
【図15】Fig.15は、HPV−11、HPV−16およびHPV−18精製VLP調製物(レーンA、HPV−11L1VLPs;レーンB、HPV−16L1VLPs;レーンC、HPV−18L1VLPs)のウエスタンブロッティング免疫試験を示す。
【図16】Fig.16(A〜C)は、HPV−11、16および18型に由来する塩化セシウム−精製VLPsの電子顕微鏡写真を示す。VLPsは明細書に記載と同様にして精製され、2%リンタングステン酸でネガティブ−染色された。A)HPV−11L1VLPs;B)HPV−16L1VLPs;C)HPV−18L1VLPs;線分は100nmに対応する。
【図17】Fig.17は、同種および異種VLPs調製物での免疫後VLPうさぎ抗血清の免疫反応性を示す。抗原:HPV−11L1VLPs、白い棒;HPV−16L1VLPs、点斜線の棒;HPV−18L1VLPs、黒色斜線。抗血清:A)抗−PVL1共通抗原(common antigen)うさぎ抗血清;B)HPV−11全ビリオンうさぎ抗血清;C、D)HPV−11L1VLPsで免疫化した2わのうさぎから;E、F)HPV−16L1VLPsで免疫化した2わのうさぎ;G、H)HPV−18L1VLPsで免疫化した2わのうさぎから。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、細胞中で蛋白を容易に発現させる条件下バキュロウイルス発現系を用いて、細胞中でのパピローマウイルスカプシド蛋白コード配列の発現方法に関するものである。本発明の別の態様では、ウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分パピローマウイルスカプシド蛋白から生成されることが判明した。さらに、ウイルス−様粒子は天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含むことが判明した。
【0020】
ここに用いる「ウイルス−様粒子類(VLPs)」とは、パピローマウイルスカプシド蛋白から生成され、天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含む、ウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分である。ここに用いる「抗原的特徴」とは、(1)VLPsまたは感染性ウイルスのいずれかで免疫化された動物および/またはひと中に産生される抗血清によって確認される、野生型(同じHPV型の天然感染性ウイルス粒子)と交差反応するウイルス−様粒子の能力;および/または(2)同種ウイルスに感染していることが判明している患者からのひと血清中の抗体を認識または検出し得る能力をいう。
【0021】
この明細書における「L1蛋白コード配列」または「L1カプシド蛋白コード配列」または「L1コード配列」とは、パピローマウイルス中のL1蛋白をコードする読み取り枠をいう。発現されると、L1蛋白コード配列は、天然パピローマウイルスビリオンに類似する免疫学的および形態学的特徴を有する蛋白、または蛋白複合体、または凝集体を産生する。本発明において用いられるL1コード配列はパピローマウイルスゲノムDNAから分離または精製されるか、標準的な遺伝子工学技術によって合成され得る。
【0022】
この明細書における、用語「形質転換すること」とは、細胞中にウイルス、プラスミドまたはベクターを導入するためのなんらかの手段をいう。この手段の例は、感染、りん酸カルシウム沈澱およびエレクトロポレーションを含む。
より好ましい具体例において、バキュロウイルス発現系を用いて、Sf−9昆虫細胞における、ひとパピローマウイルス11型(HPV−11)およびひとパピローマウイルス6型(HPV−6)のL1カプシド蛋白のコード配列の発現方法を提供するものである。これらのHPV型のカプシド蛋白コード配列は説明のためにのみ用いられ、いかなる動物またはひとパピローマウイルス型のいかなるL1カプシド蛋白コード配列も本発明の所期の範囲から逸脱することなく用いられ得ると理解されねばならない。このようなHPV型には、HPV型16、18、31、33、35(ギスマンら、カンサー・セルズ5巻275頁(1987年)、ここに引用してこの明細書の記載とする);およびバウスネルらのPCT公開WO92/16636号中に開示されたHPV型(引用してこの明細書の記載とする)を含む。
【0023】
本発明の方法に用いられる好ましい発現系はバキュロウイルス発現系であるが、いかなる他の発現系も採用し得る。ただし、その系がL1蛋白コード配列を発現し得ることが条件である。この系の例には、アデノウイルス、SV40、エシェリヒア・コリ、1993年3月9日CHO細胞、ワクシニア・ウイルス、昆虫ウイルス、酵母、バクテリオファージ・ウイルスまたは修飾ウイルス、DNAプラスミド、ベクターなどを含む原核および/または真核細胞系が含まれるがこれに限定されるものはない。L1コード配列の発現のための宿主細胞は用いられる発現系により変化する。適当な宿主細胞には、以下に限定されるものではないが、細菌(原核生物)、酵母などの微生物、哺乳動物細胞(真核生物)および昆虫細胞が含まれる。バキュロウイルス発現系を用いるときは、Sf−9またはSf−21などの昆虫細胞が好ましい。
【0024】
本発明の別の態様では、L1蛋白が、パピローマウイルスカプシド蛋白から産生されるウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分を生成することが判明したことである。ウイルス−様粒子は天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含むことが判明した。より具体的には、これらのVLPsは、生殖器のHPV−感染患者から得られた血清中に存在する抗体によって特異的に認識される抗原決定基を含む。例えば、ウエスタンブロッティングおよびイムノドットブロッティング試験法によって帰結される、変性または非変性カプシドエピトープのいずれかに対する抗血清とのVLP−含有昆虫細胞抽出物の反応は、天然HPV−11感染性ビリオン中に存在する立体配座エピトープがまた、本発明のバキュロウイルス−産生HPV−11VLPs上にも存在することを示唆する。バイオプシーによって証明された尖圭コンジロームの患者から得られたひと血清を用いるイムノドットブロッティング試験法は、ボネら(尖圭コンジロームのひと中の特異的抗体を検出するためのELISAにおけるひとパピローマウイルス11型の利用、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー72巻1343−1347頁(1991年)、ここに引用してこの明細書の記載とする)に記載のHPV−11全ウイルス粒子によるELISA試験で既に得られている結果と密接な相関関係を有する。
【0025】
天然HPV−11ビリオンに対するこれらの形態学的および免疫学的類似性はバキュロウイルス系で産生された組換えVLPsが、生殖器HPV感染およびあらゆるパピローマウイルスの血清−疫学および病原研究だけでなく、ワクチン開発にも有用であることを示唆している。すなわち、L1は自己−組立て(self assembly)のための固有の能力を有している。すなわち、他のパピローマウイルス蛋白は、バキュロウイルス系中でのVLP生成に必要ではない。これは、すべての型のパピローマウイルスのVLPsはここに記載の方法によって製造され得るという主張を支持する。
【0026】
本発明のVLPsはHPVによる感染に対する防御が必要な患者に抗体、すなわち、ワクチンを産生させるために、またはすでに存在するHPV感染に対する免疫応答をを高めるために使用することができる。本発明のVLPsは診断に有用な抗血清を得るための動物種に投与することができる。ポリクローナル抗体に加えて、モノクローナル抗体をコーラーおよびミルスタインの方法、またはそれらの修正方法を用いて、脾臓、または抗体−産生クローン、すなわち、ハイブリドーマを得るために注射された動物からの他の抗体産生細胞を不死化することによって得られ得る。
【0027】
得られた抗体は、頸部バイオプシーまたはパパニコラウ・スミアのHPV感染の診断およびひとまたは他の対象における疾患の程度の判断のために用いることができる。特に、本発明の抗体を用いる診断は病状の進展の観察を可能にする。この抗体はウイルスを検出するための、および感染または腫瘍の制御を目的とする抗ウイルス性または他の治療試剤による治療の進行を観察するための血清の分析に使用することができる。この抗体はまた種(species)の変化を考慮した受動的治療としても用い得る。
【0028】
本発明のVLPsは、HPV感染の疑いのある患者の血清中のHPVに対する抗体の存在を検出ための、または抗−HPVワクチンで処置されている患者の血清の測定のための免疫測定に使用され得る。
本発明のVLPsは、宿主に直接投与して、中和する抗体の生成を誘導し(ボネら、1992、前掲;およびローズら、印刷中、前掲、ここに引用してこの明細書の記載とする)、HPVに対する防御的免疫を授けるか、患者が既に感染しているならば、患者自身の免疫応答を強化することができる。すべての適用のために、VLPsは免疫原性形態で投与される。所望により、VLPsは、免疫原性供与担体物質と結合させることができるが、その物質は好ましくは免疫原的に中性であることが望ましい。所望の用途により、本発明のVLPsは、型特異的または広範囲のワクチンおよび診断剤として役立つ能力を有する。
【0029】
ワクチンとして投与されるべきVLPsは、防御されるべき患者へのそのような投与のための通常用いられる方法および/または将来の方法に従って製剤化することができ、また通常用いられるアジュバントと混合することができる。発現されたペプチドは、サブユニット・ワクチン製剤(多価であってもよい)における免疫原として用いることができる。多価ワクチン製剤は種々のHPVsからの1種の異なるL1蛋白をエンコードする各VLPsを含むことができる。生成物は、異種の蛋白を発現するベクター/宿主系からワクチン製剤化の目的で精製され得る。精製されたVLPsは適当な濃度に調整され、適当なアジュバントとともに製剤化され、包装される。適当なアジュバントは、以下に限定されるものではないが:鉱物性ゲル、例えば、水酸化アルミニウム;界面活性剤、例えば、リゾレシチン、プルロニック・ポリオール類;ポリアニオン類;ペプチド類;オイル・エマルジョン;および非常に有効なひとアジュバント類、例えば、BCG(バシル・カルメット−ゲラン)およびコルネバクテリウム・パルブムである。免疫原はリポソーム中に組み込むことができ、またポリサッカライド類および/または他のワクチン製剤用のポリマー類に結合させることができる。多くの方法が上記のワクチン製剤の投与のために用いられ得;以下に限定されるものではないが、これらには、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下および鼻内経路がある。もしそれらが、診断剤として直接用いられるときは、通常用いられる方法により精製され、用途に従って包装される。もしそれらが診断目的の抗体を産生させるために用いられるときは、適当な抗血清を調製するために、都合のよい実験動物を用いることができる。適当な宿主にはマウス、ラット、うさぎ、モルモット、またはひつじなどのさらに大きな哺乳動物を用いることができる。抗体は処置されるべき動物に適合するかぎり、治療的に用い得る。適切な種の特徴を有するモノクローナル抗体が、この用途には好ましい。
下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するものである。
【実施例】
【0030】
実施例I
方法
1.HPV−11ウイルスDNA及びpVL11L1バキュロウイルストランスファーベクター構築
HPV−11ゲノムDNAは、ローズ等、「エクスプレッション・オブ・ザ・フル−レングス・プロダクツ・オブ・ジ・HPV−6b・アンド・HPV−11L2・オープン・リーディング・フレームス・バイ・リコンビナント・バキュロウイルス,アンド・アンチゲニック・コンパリゾンス・ウィズ・HPV−11・ホール・ウイルス・パーティクルス」1990、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ 71巻、2725−2729頁(これを引用して明細書記載の一部とする)により開示されたように実験的に誘導された無胸腺マウス異種移植片から精製した。L1コード配列は、それぞれ5'および3'末端でBglIIおよびEcoRI制限酵素部位を導入するよう設計されたプライマーを用い、精製ゲノムDNAのRCR増幅によりクローンした。順向及び逆プライマー配列は、それぞれ、5'−CGC AGA TCT ATG TGG CGG CCT AGC−3'(配列番号:1)及び5'−CAT ATG AAT TCC CAC AAC ACA CTG ACA CAC−3'(配列番号:2)であった。(下線した)制限部位は、プライマー指定突然変異導入法により、推定L1開始コドンの近位、および推定L1停止コドンから約30ヌクレオチド下流に導入した。増幅は、500ngの各プライマーおよび2単位のTaq DNAポリメラーゼ(アンプリタク、パーキン−エルマー・シータス・コーポレーション、ノーウォーク、CT)を用い、実質的にボネズ等「アンティボディー−メディエイテッド・ニュートラリゼイション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・レアクション」1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されたように実施した。増幅後、PCR生成物はBglIIおよびEcoRIにより設計した。全HPV−11L1読み取り枠(ORF)を含んだ1539塩基対(bp)切断生成物は、ローズ等、「エクスプレッション・オブ・ザ・フル−レングス・プロダクツ・オブ・ザ・HPV−6b・アンド・HPV−11 L2・オープン・リーディング・フレームス・バイ・リコンビナント・バキュロウイルス,アンド・アンチゲニック・コンパリゾンス・ウィズ・HPV−11・ホウル・ウイルス・パーティクルス」1990、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,71巻、2725−2729頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるようにアガロースゲル電気泳動によって精製し、そしてバキュロウイルストランスファーベクター、pVL−1392(M.D.サマーズ、テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティー、カレッジ・ステイション、TX)の対応する部位にクローンした。得られる構築物、pVL11L1は、サマーズ等の方法、ア・マニュアル・オブ・メソーズ・フォー・バキュロウイルス・ベクタース・アンド・インセクト・セル・カルチャー・プロセデュアズ,1987、テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティー、カレッジ・ステイション、テキサス(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に従ってオートグラファ・カリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)ゲノムDNAによりSf−9細胞を同時形質導入するのに用いた。組換えバキュロウイルスを吸蔵(occlusion)−ネガティブ(occ-)プラクの視覚試験と選択により回収し、そしてサマーズ等の方法、ア・マニュアル・オブ・メソーズ・フォー・バキュロウイルス・ベクタース・アンド・インセクト・セル・カルチャー・プロセデュアズ,1987、テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティー、カレッジ・ステイション、テキサス(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に従ってさらに2回のプラク精製に付した。分離したウイルスストックからの蛋白発現をウエスタンブロットにより測定した。
【0031】
2.Sf−9細胞での組換えL1発現のSDS−PAGE及びウエスタンブロット検定
感染Sf−9細胞培養を150cm2組織培養フラスコ中で生育させて分析SDS−PAGE及びウエスタンブロットアッセイ用に調製した。非組換え又は組換えL1−感染細胞をパスツールピペットで再懸濁することにより収集し、同数の野生型又は組換えL1−感染細胞を4℃、500×gで10分間遠心分離した。上清を除き、細胞ペレットを水に移し、直ちに1mlの溶解緩衝液(30mMトリス、pH7.6;10mM MgCl2;1mM CaCl2;1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF);ロイペプチン(10μg/ml);1%NP−40)に再懸濁し、室温で15分間、間欠的に撹拌しながら放置した。4℃、500×gで2分間遠心後、上清に含まれるNP40可溶性フラクションを取り、ラームリ、「クリベイジ・オブ・ストラクチュラル・プロテインズ・デューリング・ジ・アセンブリィ・オブ・ザ・ヘッド・オブ・ザ・バクテリオファージ・T4」1970、ネイチャー、277巻、680−685頁(その開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、2Xラームリ試料緩衝液で1:1に希釈し、95℃に3分間加熱した。(核物質を含む)NP40不溶性ペレットを冷PBS(1mM PMSF:10μg/ml ロイペプチン)で一回洗浄し、1Xラームリ緩衝液中で煮沸、撹拌することにより溶解した。ローズ等、「エクスプレッション・オブ・ザ・フル−レングス・プロダクツ・オブ・ジ・HPV−6b・アンド・HPV−11 L2・オープン・リーディング・フレイムズ・バイ・リコンビナント・バキュロウイルス,アンド・アンチゲニック・コンパリゾンス・ウィズ・HPV−11・ホウル・ウイルス・パーティクルス」1990,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,71巻、2725−2729頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、試料を10%SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、次いでクーマシィブルー染色(Fig.1、パネルA)又はイモビロン−P膜(ミリポア・コーポレイション、ニュー・ベッドフォード、MA)へのブロッティング(Fig.1、パネルB)を行った。
【0032】
3.非組換え及び組換えL1ストック溶液の調製
これらのアッセイは、AcNPV又はAc11L1感染昆虫細胞のいずれかの抽出物から調製した澄明化(高速)上清ストック溶液の希釈液を用いて実施した。細胞当り10プラク形成単位のほぼ多重感染でAcNPV又はAc11L1のいずれかで感染したSf−9細胞の浮遊培養物(100ml)を27℃で72時間インキュベートした。次いで培養物を4℃、1,000×gで10分間遠心し、細胞ペレットを20ml均一化緩衝液(1M NaClを含む溶解緩衝液)に再懸濁し、氷上にダンスホモゲナイザーで50ストロークで均一化した。均一化物を冷却30mlねじ込み口金コレックス試験管に移し、4℃、3,000×gで10分間、遠心した。次いで低速上清フラクションを清澄な管に移し、4℃、100,000×gで30分間、遠心した。高速上清フラクションの全部蛋白濃縮物をストシェック、メソーズ・イン・エンザイモロジィ,182巻、54頁、アカデミック・プレス・インコーポレーテッド、ニューヨークの「クアンチティション・オブ・プロテインズ」,1990(この開示を引用して明細書記載の一部とする)の方法に従って280nmでスペクトル光度測定吸収により測定し、新鮮な均一化緩衝液(蛋白濃度はほぼ30mg/mlに等しい)で平衡に調整した。グリセロールを10%(v/v)まで加えてストック溶液はアリコートして−20℃で貯えた。
【0033】
4.ウエスタンブロットおよびイムノドットブロットアッセイ
ウエスタンブロットおよびイムノドットブロットアッセイを用いてウサギ抗血清およびヒト血清の線状および配座エピトープ抗体特異性を測定した。ウエスタンブロットアッセイ(Fig.3、パネルAおよびFig.4)は、ラームリ、「クリーベイジ・オブ・ストラクチャル・プロテインズ・デューリング・ジ・アセンブリィ・オブ・ザ・ヘッド・オブ・ザ・バクテリオファージ・T4」1990、ネイチャー,277巻、680−685頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように蛋白変性試薬を含む1×ラムリ試料緩衝液で1:100に希釈した2μl(約60μg全蛋白)の組換えL1ストック溶液を用いて実施し、95℃まで3分間、加熱した。変性試料を単−100mm幅広試料ウエルに乗せ、10%SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、イモビロン−P膜にブロットした。2%BSA溶液(キークガード・アンド・ペリィ・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド、ゲイサースバーグ、MD)で37℃で2時間ブロックしたのち、それぞれ約2.5μg全蛋白を含む24.4mm幅の細片にスライスした。次いで細片を抗血清でプローブした(Fig.3、パネルAおよびFig.4)。
【0034】
イムノドットブロットアッセイ用に、非組換えまたは組換えL1ストック溶液を冷PBS(1mM CaCl2)で1:1,000に希釈し、100μlアリコート(約3.0μg全蛋白を含む)をイモビロン−P膜上にドットした。組換えL1の天然の(native)コンフォーメイションを保存するために、イムノドットブロット試料調製物から蛋白変性試薬を除いた。ブロッキング、一次および2次抗体希釈溶液、洗浄並びに用いた基質は、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケイション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載される通りである。一次抗体インキュベーションは4℃で一晩実施し、二次抗体インキュベーションは室温で90分間行った。イムノドットブロット用に、基質溶液を除く全ての溶液は、CaCl2を1mM含有した。一次抗希釈は、ウサギに関しては1:2,000でヒト血清に関しては1:1,000であった。特異的に結合した抗体は、基質としてBCIP/NBT(キークガード・アンド・ペティ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド)を用い、それぞれ1:2,000および1:5,000の希釈液で用いたアフィニティ精製抗ウサギ(キークガード・アンド・ペティ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド、ゲイサースバーグ、MD)または抗ヒト(TAGOイムノダイアグノスティクス、バーリンゲノム、CA)IgG−アルカリフォスファターゼ抱合体で検出した。イムノドットブロット反応は、非組換えおよび組換えL1ドット強度の視覚比較により評価した。反応は、組換えL1ドットの色強度が同一細片上に存在する非組換えコントロールの色強度より大であれば陽性とした。
【0035】
5.抗血清
用いた変性L1抗血清は、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケーション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により抗pEX480として既に記載されている。本抗血清は、スタンレイ等、「コンストラクション・オブ・ア・ニュー・ファミリィ・オブ・ハイ・エフィシエンシィ・バクテリアル・エクスプレッション・ベクターズ:アイデンティフィケーション・オブ・cDNAクローンズ・コーディング・フォー・ヒューマン・リバー・プロテインズ」1984,EMBO.ジャーナル,3巻、1429−1434頁及びストローク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケーション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、ベータガラクトシダーゼのC末端に融合したHPV−6bL1読み取り枠の中央部分から誘導された160アミノ酸配列を含むゲル精製細菌発現融合蛋白によるウサギ免疫により得た。本配列は、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・LI・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケーション・オブ・ザ(コモン・アンチゲル)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ、70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるようにパピローマウイルスL1共通抗原を含む。用いたウサギ全ウイルス粒子抗血清は、ボネズ等、「アンティボディ−メディエイテッド・ニュートラリゼーション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」1992,ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載される通りであり、ボネズ等、「アンティボディ−メディエイテッド・ニュートラリゼーション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」1992,ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁及びクライダー等、「ラボラトリィ・プロダクション・イン・ビボ・オブ・インフェクティアス・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11」1989,ジャーナル・オブ・バイロロジィ,61巻、590−593頁(これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)に従って無胸腺マウス包皮異種移植片から得た精製非変性HPV−11ビリオンによるウサギの免疫により生成した。患者血清はバイオプシー証明尖圭コンジロームの個人から得た。ボネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エサイザ・ツー・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ワズ・コンディロマタ・アクミナタ」1991,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるようにHPV−11全ウイルス粒子基礎ELISAにより既に陽性と判っており、VLPに対して向けられた抗体を検出する能力を最大にするのに用いた。コントロール血清は終生性的接触のない修道尼から得た。これらの血清は、ボネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・ツー・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンディロマタ・アクミナタ」1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、HPV−11粒子基礎ELISAにより測定された通り、HPV−11抗体に対して陰性であった。
【0036】
6.HVP−11L1ウイルス様粒子の生成及び精製
組換えVLPは、一連の低及び高速遠心段階により、Ac11L1感染Sf−9細胞浮遊培養物の細胞フリー培養上清から直接精製した。感染Sf−9細胞は200ml浮遊培養物から低速(1,000×g)でペレット化し、細胞フリー上清を4℃で高速(100,000×g)で90分間、再び遠心した。高速ペレットを緩衝液A(50mM トリス、pH8.0;1M NaCl;10mM MgCl2;10mM CaCl2;2mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF);10μg/mlロイペプチン)に再び懸濁し、5.2g固体CsClを加え、新鮮な緩衝液A(0.4g/ml最終濃度)で全量13mlに調整した。遠心(100,000×g、22時間、10℃)後、得られた単一バンドを取り、12mlの新鮮な緩衝液A(C×Clなし)で希釈し、再び遠心し(100,000×g、90分、4℃)精製VLPをペレット化した。ショ糖濃度勾配遠心により精製したVLPは、2%中性緩衝化リンタングステン酸で染色後、電子顕微鏡により同定した(Fig.2、6及び7)。
【0037】
実施例II
Sf−9細胞での組換えHPV−11L1蛋白の発現及び免疫検定
組換えウイルスAc11L1を感染させた昆虫細胞からの全Sf−細胞蛋白のSDS−PAGE分析は、Ac11L1感染細胞中クーマシーブルー染色により見られる新規な55kD蛋白を証明した(Fig.1A、レーン3)。Fig.1(A及びB)を引用すると、Fig.1Aは、野生型AcNPV及び組換えAc11L1感染Sf−9細胞溶解質のクーマシー染色SDSポリアクリルアミドゲルを示し、Fig.1Bは、HPVL1共通エピトープに特異的なウサギポリクローナル抗血清でプローブした野生型AcNPV及び組換えAc11L1感染Sf−9細胞溶解質のウエスタンブロットを示す。非組換え(レーン1、2)及び組換えL1−感染(レーン3、4)Sf−9細胞溶解質は不溶性(レーン1、3)及び可溶性(レーン2、4)フラクションに分画され、10%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動に付した。分子対照(Mr)マーカー左に示し、右の矢印は、組換えL1(約55kD Mr)の特定位置を示す。本蛋白は、野生型AcNPVに存在せず、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNAセグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケイション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書開示の一部とする)により記載されるように、線状HPVL1共通抗原に対して調製されたウサギ抗血清に免疫反応性である蛋白と共に移動する。低いMrL1−免疫反応性バンドも検出され、全長L1生成物の崩壊から誘導されうる(Fig.1B、レーン3及び4)。本システムに生成されるL1の主な蛋白はNP40不溶性フラクション中に見られたが、約25−30%はNP40可溶性フラクションに存在した(Fig.1B、レーン4)。最大L1蓄積は感染後、何時間も生じた。
【0038】
実施例III
VLPの電子顕微鏡視覚化
ショ糖バンドVLPの染色されない調製品の電子顕微鏡写真(Fig.2、6及び7)は異なるVLPを示した。Fig.2はショ糖密度勾配の50−60%界面に存在したHPV−11カプシド様粒子を示す。Fig.6はバキュロウイルスシステムでのHPV−6bL1コード配列の発現の結果生じるHPV型6b(HPV−6b)カプシド様粒子を示し、それは同様の方法で厳密に精製された。Fig.7は、この方法もHPV−16L1コード配列の発現による、HPV型16(HPV−16)VLPの生成に適していることを示す。Fig.12及び16は、VLPが塩化セシウム濃度勾配遠心によっても精製できることを示す。Fig.2におけるVLPの直接測定により測定された粒子直径は、約52nmであった。本測定は、クルグ等「ストラクチャー・オブ・ウイルシズ・オブ・ザ・パピローマ−ポリオマ・タイプI:ヒューマン・ワァート・ウイルス」1965、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジィ,11巻、403−423頁(この開示を引用して明細書の一部とする)により記載されるように、分離されたパピローマウイルスビリオンの直径と一致する。
【0039】
実施例IV
HPV−11VLP−含有昆虫細胞抽出物のウサギ抗血清との免疫反応性
組換えL1蛋白の免疫学的性質は、天然又は変性L1蛋白エピトープと反応するウサギ抗血清を用いて研究した。共通パピローマウイルス抗原に対して向けられたウサギ抗血清pEX480は、ウエスタンブロットアッセイで変性組換えL1とよく反応したが、非変性条件下、抗原をブロッティング膜上に置くイムノアッセイの型であるイムノブロットによる同一抗原調製物と反応しなかった(Fig.3、比較細片A)。抗pEX480により発現される反応性のパターンと対象的に、HPV−11全ウイルス粒子を作ったウサギポリクローナル抗血清は、ウエスタンブロットにより組換えL1と反応しなかったが、イムノブロットアッセイでは組換えL1と強く反応した(Fig.3、比較細片C)。本反応性は、天然非組換えコントロール調製物に対する免疫後血清での反応性の欠除により証明されるように特異的であった(Fig.3、パネルB、細片C)。ウサギ抗血清pEX215はこれらのイムノアッセイに含まれ、二つの型のイムノアッセイで存在するL1の相対量の比較を可能にした。両様式でのPEX215抗血清の組換えL1との免疫反応性の程度は概ね等しく(Fig.3、細片B)、L1の量がほぼ等しいことを示す。さらに、本抗血清が両様式でL1と反応しうるという観察記録は、pEX215抗血清により確認される線状免疫反応性L1N末端エピトープ(複数もあり)が高い状態のL1コンフォーメーションの採用により弱められないことを示唆する。
【0040】
実施例V
VLP含有昆虫細胞抽出物のヒト血清との免疫反応性
線状ウイルス配座エピトープに対し向けられたヒト血清中の抗体の有病率を測定するため、バイオプシ−プローブ尖圭コンジロームの個人から得た血清を、抗原としてVLPを用いるウエスタンブロット及びイムノドットブロットアッセイで評価した。患者の又はコントロールの血清は、いずれもウエスタンブロットにより変性組換えL1と免疫反応性でなかった(Fig.4、細片D−O(患者)及びP−X(コントロール))。逆に、12患者の血清中11(Fig.5、細片Hを除き、細片D−Oは陽性と読み取れた)及び9コントロール血清中O(Fig.5、細片P−X)がイムノドットブロットにより組換えL1と免疫反応性で、高度に統計的に有意差があった(P=7×10−5;フィッシャーの正確試験)。この結果は、ボネズ等「ユース・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・トゥ・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンディロマタ・アクミナタ」1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、HPV−11粒子基礎ELISAで同一血清を用いて既に得られた結果とよく一致する。
【0041】
実施例VI
ELISA試験
CsCl精製VLPを分光測定器(A280)により定量し、冷PBS中8ng/μlの濃度に希釈した。PBS又は希釈VLP溶液(800ng全蛋白)のいずれかのアリコート(100μl)をウエルに入れ、プレートを4℃で一夜放置した。プレートを1%BSA溶液により、室温で2時間ブロックし、次いで抗血清を、二回、1:100の希釈で添加した。一次抗血清は室温で90分間、反応させた。プレートを4回洗浄し、二次抗体(ヒツジ抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ結合体)を加え(TAGO、1:5000)てプレートを室温で90分間、放置した。基質を各プレートに加えて405nmの吸収を読み取った。各実験に関するVLP吸収からPBSを引くことにより特異的吸収を計算し、平均吸収値を得た。
VLPを用いて得た結果(Fig.8)は、抗原(50%)としてHPV−11全蛋白粒子を用いた(RRP患者からの)同一血清のELISA試験で既に報告された結果と同じであった。これまでの全ウイルス粒子基礎ELISAからの結果との良好な相関関係はFig.9(r2=0.75)に示される。
【0042】
実施例VII
ウエスタンブロット及びイムノドットブロット
Sf−9浮遊培養物(100ml)は、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されるように、AcNPV(非組換えコントロール)、Ac11L1又はAc16L1組換えバキュロウイルスのいずれかで感染させ、27℃で72時間インキュベートした。図面11に関して、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、及びローズ等、1990、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,71巻、2725−2729頁(これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されるように試料を調製し、電気泳動に付し、イムノブロットした。VLPは、電子顕微鏡により証明されるように(データは示さず)、両試料調製品に存在した。全試料蛋白濃度は分光測光器(A280)によって使用する前に平衡化した。
【0043】
図面10(a)に関して、試料(20μg全蛋白/レーン)を、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されるように、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、一晩ウエスタンブロットした。ニトロセルロースブロットを、クリステンセン等、1991、ウイルス・リサーチ,21巻、169−179頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように1:1000の希釈で用い、ウサギ抗血清R5−409でプローブした。Fig.10(a)(左パネル)に示すように、組換えHPV−11L1(レーン2)及び組換えHPV−16LI(レーン3)蛋白を、抗パピローマウイルスL1共通エピトープ抗血清R5−409により、ほぼ等量検出した。HPV−16L1蛋白の予報されたアミノ酸配列は、HPV−11L1蛋白の予報された配列よりも5アミノ酸長く、これは組換えHPV−16L1蛋白により示されるやや低速度の移動と一致する。
【0044】
図面10(b)に関して、試料は希釈し(PBSでなされる2倍系列希釈)、25μg(底部)の全蛋白濃度で開始し、25ng(最上部)の全蛋白濃度で終る非変性条件下にニトロセルロースに適用した。ウサキ抗血清R−366を1:1000の希釈で用いた。右パネル(即ち、イムノブロット)で、全ウイルス粒子抗血清は、1000倍希釈範囲にわたり自生(native)組換えHPV−11L1VLP調製品を検出した。しかしながら、この同一過免疫ウサギ抗血清は、ウエスタンブロットによる分析用に用いたもの(20μg)よりも高濃度の抗原(25μg)でさえ、自生組換えHPV−16L1VLP調製品に免疫反応性でなかった。
過免疫ウサギ自生HPV−11ビリオン中和抗血清は自生HPV−16L1蛋白と交差反応せず、本抗血清により認識されるHPV−11カプシドの配座エピトープ(複数もあり)がHPV−16VLP調製品に存在する配座エピトープと免疫学的に異なることを示唆した。
【0045】
実施例VIII
ウエスタンイムノブロットアッセイ
VLPをAc11L1感染Sf−9細胞浮遊培養(200ml)の上清媒体中に検出し、これから直接精製した。細胞を低速度(1000×g)でペレット化し、次いで細胞フリー上清を高速度(100,000×g)で遠心した。細胞を低速度遠心(1000×g)で除き、「ひと・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)ウイルス−ライク・パーティクルス(VLP)インジュース・ザ・フォーメーション・オブ・ニュートラライジング・アンチボディ」(発表のために提出たれた)1993、においてローズ等に既に記載されるように(この開示を引用して明細書記載の一部とする)VLPを培養上清から調製した。パネルAはクーマシーブルーで染色した10%SDS−ポリアクリルアミドゲルである。パネルBは、ストライク等、1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、1:1000の希釈で用いた、HPV共通抗原に特異的なウサギ抗血清でプローブした、全く同じに負荷したゲルのウエスタンイムノブロットである。非組換え又は組換えL1−感染Sf−9細胞培養上清から得た高速度ペレットの試験は、組換えL1感染上清フラクションでのVLPの存在を示した。再び懸濁した組換えL1高速度ペレットは、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に既に記載されるように、平衡密度勾配遠心により精製した。この方法によりえられた単一バンドを無菌18標準針で取り、新鮮な緩衝液A(50mM トリス、pH8.0;1M NaCl;10mM MgCl2;10mM CaCl2;2mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF);10μg/mlロイペプチン)で12mlの容量に希釈し、4℃で100,000×gで90分間、再び遠心した。0.5mlの新鮮な緩衝液A(50%グリセロール)にペレットを再懸濁後、試料の蛋白の電子顕微鏡分析は、2%リンタングステン酸で染色されず、無傷のHPV VLPの存在を確認した(Fig.12)。
【0046】
既に記載されているように、組換えVLPはHPV−11全ウイルス粒子に向けられた抗体に免疫反応性であった。(ロース等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁参照、この開示を引用して明細書記載の一部とする。)本研究で、出願人は精製VLPでウサギを免疫し、全ビリオンによる免疫反応性について後免疫血清を試験した。ニュージランド白ウサギを、完全フロインドアジュバント中、精製VLP(〜20μg蛋白)の1:1エマルジョンで2部位で筋肉内に免疫した(部位当り0.25ml)。30日後、完全フロインドアジュバントで調製したVLPエマルジョンにより増加し、免疫血清を14日後、収集した。血清を、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に既に記載されるように、ドットブロットイムノアッセイで自生HPV−11ピリオン又は組換えVLPのいずれかと反応させた。抗VLP抗体と全ビリオンとの免疫交差反応は、図面13に示されるように、VLPが免疫原性であり、感染性HPV−11ビリオンの抗原性プロフィルを正確に増殖しているようであることを示す。図面13に関連して、非変性精製試料調製品をローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、セルロースに適用した。
【0047】
実施例IX
中和活性
感染HPV−11ハーシェイウイルス懸濁液の調製品(ジョン・クライダー、デパートメント・オブ・パソロジィ・アンド・マイクロバイオロジィ・アンド・イムノロジィ、ザ・ミルトンS.ハーシェイ・メディカル・センター、ハーシェイ、PAにより最初に提供された)はボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されている。4つの平行実験において、450μlの感染ウイルス懸濁液(バッチ4/90)を、50μl(1:10最終希釈)の前免疫抗HPV−11血清(グループ1)、後免疫抗HPV−11血清(グループ2)、前免疫抗VLP血清(グループ3)又は後免疫抗VLP血清)グループ4)のいずれかと37℃で1時間インキュベートした。グループ1と2は、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されている中和コントロールであり、グループ3と4は試験グループであった。慣用の環状切除のために切除されているヒト包皮の調製品もボネズ等、1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されている。包皮を1×1mm四角に切り、用いる各包皮からの小数の断片を手早く凍結し貯えた。残っている断片を4つのグループに等分し、各グループをインキュベーション期間の終りで、4つのウイルス懸濁液−血清混合物の一つに添加した。混合物を37℃で1時間インキュベートした。各実験グループについて、1包皮断片を、BALB/cバックグラウンドの3匹の雌同腹仔合致4〜6週令無胸腺nu/nuマウス(タコニック・ファームス、ジャーマンタウン、NY)の各腎臓の腎ノウの下に置いた。実験を異なる包皮を用いて異なる日に繰り反した。従って、各実験グループについて、全12移植片を移植した。動物は、移植の12週後に犠牲に付し、この時点で移植片を取り出し処理した。(ボネズ等、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁参照、この開示を引用して明細書記載の一部とする)図面14に関して、移植片は、ここに記載されるように分析用に調製し、(1)前−および(2)後−免疫ウサギHPV−11全ウイルス粒子血清または(3)前−および(4)後−免疫ウサギHPV−11L1ウイルス様粒子血清のいずれかで前処理したウイルス溶解質を感染させた。黒丸は第一増殖実験に相当し、中空の丸は第二増殖実験に相当する。水平棒は平均GMDを示す。移植片大きさ比較用に、幾何学的平均直径(GMD)は、回収した移植片の長さ、幅および高さの積の立方根を取ることにより計算した。
【0048】
安楽死の時点で、−移植片を中和コントロール前−および後−免疫抗HPV−11処理グループの各々から除いた。従って、これらのグループの各々で分析に利用しうる移植片の数は11であった(Fig.14)。前−および後−免疫コントロールグループの移植片の中央〔範囲〕GMD(mm)はそれぞれ2.9〔1.0、4.9〕および1.3〔1.0、2.6〕であった。差、1.6mmは統計的に有意(P=0.004、マン−ホイットニィU試験)であった。全12の移植した移植片は、前−および後−免疫抗VLP抗体処理グループのいずれでも分析に利用できた(Fig.4)。移植片の中央〔範囲〕GMD(mm)は、それぞれ2.3〔1.3、4.2〕および1.0〔1.0、1.8〕であった。大きさの差、1.3mmは統計的に有意(p<10−4)であった。第一と第二実験との間の移植片の大きさの差は、前−免疫グループでは統計的に有意ではなかった(P=0.62)が、後−免疫グループでは有意(P=0.007)であった。従って、出願人は、各増殖実験での前−および後−免疫抗VLP抗体処理グループ間の移植片の差を比較した。両者は統計的に有意(第一および第二増殖についてそれぞれP=0.002およびP=0.04)であった。
【0049】
実施例X
ウイルスDNAの起原
HPV−11ゲノムDNAの起原(ボネズ等、1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)およびAc11L1組換えバキュロウイルスの構築(ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)は記載されている。HPV−16ゲノム配列をCINIII病巣から回収し、標準的クローニング方法を用いてAc16L1バキュロウイルスを構築した(チェスターズおよびマックカンス、未発表データ)。HPV−18LI配列をポリメラーゼ連鎖反応によりHPV−18原型(H.ツール・ハアゼンにより提供)から増幅し、Ac11L1の構築(ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)に用いたのと同じ操作によりAc18L1バキュロウイルスを構築するのに用いた。
【0050】
実施例XI
組換えVLPの精製
組換えVLPを、ローズ等、1993、「ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・ウイルス−ライク・パーティクルス(VLPs)・インデュース・ザ・フォーメーション・オブ・ニュートラライゼーション・アンチボディズ・アンド・デデクト・ジエニタル・HPV−スペシフィック・アンチボディズ・イン・ヒューマン・セラ」印刷中、(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように精製した。精製HPV−11、HPV−16、またはHPV−18VLPを含む単一バンドを注射器によりCsCl密度勾配から取り、緩衝液A(リン酸緩衝食塩水(PBS);1mM MgCl2;1mM CaCl2;1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF))で12mlに希釈し、4℃で100,000×gで90分間沈殿させた。ペレットを50%グリセロールを含む緩衝液A200μlに再懸濁し、スペクトル光度測定法(280nm)により定量し、20℃で貯えた。組換えL1蛋白は、既に記載されている(ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)ようにSDS−PAGEおよびウエスタンブロットイムノアッセイにより分析した。5μgの精製HPV−11、−16または−18VLPを含む試料を、既に記載されている(ストライク等、1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)ように、電気泳動に付し、ブロットし、そして抗パピローマウイルスL1(抗−PVL1)共通抗原ウサギ抗血清でプローブした。HPV−11、−16および−18L1開いた読み枠(ORF)の予報されたコード容量は、それぞれ501アミノ酸(ダートマン等、1986、バイロロジィ,151巻、124−130頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)、505アミノ酸(シードーフ等、1985、バイロロジィ,145巻、181−185頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)および507アミノ酸(コール等、1987、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジィ,193巻、599−608頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)であり、予期された大きさ(〜55kD Mr)のL1−免疫反応性バンドがウエスタンブロットイムノアッセイにより試験した3つの試料調製物の各々に現れた(Fig.15)。低分子量L1免疫反応性蛋白が、CsCl精製VLP調製物のウエスタンブロットイムノアッセイによっても検出され(Fig.15)、これらの蛋白の相対量はその後の分析で変化した(データ示さず)ように、全長L1蛋白の崩壊生成物であるらしい。しかしながら、各試料での主な〜55kD MrL1免疫反応性バンドは、それらの可動性またはそれらの相対量のいずれも変化しなかった(データ示さず)。精製試料の電子顕微鏡(2%リンタングステン酸により染色しない)は、HPV−11(Fig.16A)、HPV−16(Fig.16B)およびHPV−18(Fig.16C)VLP調製物でVLP形成を確認した。
【0051】
実施例XII
ウサギVLP免疫血清の調製およびELISAの条件
HPV−11、HPV−16およびHPV−18L1 VLPウサギ免疫血清は、2匹のニュージーランド白ウサギを、既に記載された方法(ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ、これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)を用いて、各VLP調製物で2部位で筋肉内に免疫化することにより調製した(即ち、6匹のウサギを免疫化した)。ウサギ抗PVL1共通抗原(ストライク等、1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)、HPV−11全ビリオン(ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)並びにHPV−11、−16および−18VLP抗血清を3つの組換えVLP調製物に対するELISAで試験した(Fig.17)。本ELISAに関して、精製VLPをPBS中10ng/μlの濃度に希釈し、約1μgの抗原中またはPBSのみを含むアリコートを交互系列の96−ウエルELISAプレートに分与した。アッセイの条件は、試験前に、遮断溶液中に希釈(2%v/v)した非組換え(AcNPV)バキュロウイルス感染Sf−9細胞溶解質で一次抗血清を前吸収した以外は、正確に既に記載された(ローズ等、1993、「ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・ウイルス−ライク・パーティクルス(VLPs)・インデュース・ザ・フォーメーション・オブ・ニュートラライジング・アンチボディズ・アンド・ディテクト・ジェニタルHPV−スペシフィック・アンチボディズ・イン・ヒューマン・セラ」、印刷中、この開示を引用して明細書記載の一部とする)通りであった。全抗血清を、1:1000から1:128,000までの範囲の希釈で、数多くの場合に、2回試験した。Fig.17に示される全てのウサギ抗VLP抗血清についての吸収値は、これらの抗血清の1:16,000の最適希釈で得た。抗PVL1共通抗原およびHPV−11全ビリオンウサギ抗血清の吸収値は低希釈(1:1,000)で得た。特異的吸収値は各2回について実験値(抗原含有ウエル)からコントロール値(PVSウエル)を引くことにより決定し、平均(405nm)吸収値を決定した。
【0052】
実施例XIII
VLP ELISA
VLPをELISAイムノアッセイで試験して、患者血清中、特異抗体を検出する能力を評価し、結果をHPV−11全ビリオンエンザイムイムノアッセイで同一血清を用いて既に得られた結果(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)と比較した。抗原をリン酸緩衝食塩水(PBS)に希釈して既知の全ビリオンELISAで用いた量のそれ(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)に等しい量とし、抗原溶液または抗原のないPBSのいずれかを交互系列の96ウエルプレートにアリコートした。4℃で16時間コーチング後、これらの溶液を吸収して、ウエルを室温で2時間、希釈/遮断溶液(カークガード・アンド・ペリィ・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド、ガイサーズバーグ、MD)でブロックした。HPV−11全ウイルス粒子ELISA(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)により予め試験した59人のヒト血清(43患者、16コントロール)の全てを希釈/遮断溶液中に1:100希釈し、100μlアリコートをPBSのみで、または抗原溶液で処理したウエルに加えた(血清試料当り2回)。プレートを室温で90分間インキュベートし、次いで4回洗浄した(洗浄溶液、カークガード・アンド・ペリィ・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド、ガイサーズバーグ、MD)。抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ接合体(100μlアリコート、1:5000希釈、タゴ、バーリンゲーム、CA)を各ウエルに加えてプレートを室温で90分間インキュベートした。プレートを4回洗浄し、アルカリホスファターゼ基質(ジエタノールアミン緩衝液中p−ニトロフェニルリン酸)で発達させた各血清試料の405nmでの特異吸収は、各2回、抗原含有ウエルから得た値から、PBS処理ウエルから得た値を引くことにより計算して、平均増殖差を計算した。本明細書中のどこかで検討した全ビリオンELISAで、42名の患者血清(および20名コントロール血清)を処理のコースの間のカプシド抗体濃度の変化について分析した(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)。本ELISA研究で試験した全ての血清は、これまでの研究に加えて収集された。次いでこれまでの研究で分析された患者血清の一つを、処理結果に関連するがイムノアッセイの結果には関連しない理由で除去した。しかしながら、この血清の吸収値は利用しうるので、血清は本アッセイに含め、これによって本ELISA研究で分析した患者血清の数は43に増加した。分析したコントロール血清の数は、アッセイに関係する理論的考慮の結果、20から16に減じた。
【0053】
OD値として示される、16コントロール血清の中央〔範囲〕血清反応性(seroreactivity)は、43名の患者血清についての0.024〔−0.063、0.512〕に比べて0.005〔−0.029、0.025〕で、統計的に有意差(P=0.01;マン−ホワイトニィU試験)があった。カットフとしてのコントロールグループでの高いOD値を用いると、アッセイの感受性は49%(P=2×104;フィシャーの正確試験)であった。従って、HPV−11ELISAは、コンジューム刺針による患者とコントロールとを識別することができた。さらに、全血清を含む場合、またはHPV−11VLP ELISAで陽性の21血清のみを考慮した場合(r=0.87;P<10−6)、HPV−11VP LELISAおよびHPV−11ビリオンELISAによる試料血清反応性の間には、すぐれた相関があった(パーソンの生成物モーメントr=0.87;p<106)。
【0054】
結果
免疫学的観察は、組換えL1が自生のコンフォーメーションをとることを示唆する。変性L1共通抗体を作るウサギ抗血清は、変性組換えL1とのみ免疫反応性であった(すなわち、ウエスタンブロットによる)が、一方、未変性全ウイルス粒子を作るウサギ抗血清は、未変性組換えL1とのみ反応した(すなわち、イムノドットブロットによる)。さらに、ホネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・トゥ・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンディロマタ・アキュミナタ」,1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁、によるELISAでHPV−11ビリオンと反応性であった尖圭コンジロームの患者からのヒト血清も、未変性HPV−11組換えL1と反応した(Fig.4、8および9)。従って、本発明のVLPの配座エピトープは自生のHPV−11ビリオンに存在するものと類似であるように見え、そしてそれらは自然感染の間にヒト免疫系により認識される。パピローマウイルス血清学の幾つかの研究は、配座エピトープ抗体特異性がパピローマウイルス感染の良好な指標であることを示す(ボネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・トゥ・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンジィロマタ・アクミナタ」,1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−14347頁;ボネズ等、「エボリューション・オブ・ジ・アンチボディーズ・レスポンス・トゥ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・イン・ペイシェンツ・ウィズ・コンジローマ・アクミナツム・アコーディング・トゥ・トリートメント・レスポンス」,1991、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,1991、印刷中;ボネズ等;「アンチボディーメディエイテッド・ニュートラリゼイション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」,1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁;クリステンセン等、「デテクション・オブ・ヒューマン・セルム・アンチボディーズ・ザット・ニュートラライズ・インフェクティアス・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ」,1992、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,73巻、1261−1267頁;キーンズラー等、「ヒューモラル・アンド・セル−メディエイテッド・イムニティ・ツー・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ1(HPV−1)・イン・ヒューマン・ウォーツ」,1983、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジィ,108巻、665−672頁;およびスティール等、「ヒューモラル・アッセイズ・オブ・ヒューマン・セラ・トゥ・ディスラップド・アンド・ノンディスラップド・エピトープス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ1」,1990、バイロロジィ,174巻、388−398頁、これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)。これらの特異性はウイルス発生学で有意な役割を演ずることもできる。例えば、全HPV−11粒子に向けられたウサギ抗血清は、HPV−11感染性を中和する(ボネズ等、「アンチボディー−メディエイテッド・ニュートラリゼイション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」,1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁;およびクリステンセン等、「アンチボディー−メディエイテッド・ニュートラリゼイション・イン・ビボ・オブ・インフェクティアス・パピローマウイルス」,1990、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,64巻、3151−3156頁)。さらに、クリステンセン等、「デテクション・オブ・ヒューマン・セルム・アンチボディーズ・ザット・ニュートラライズ・インフェクティアス・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ」,1992、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,73巻、1261−1267頁は、ヒト血清を用い、抗全HPV−11ビリオン抗体と血清中和活性との相関を報告した。本発明の組換えLIVLPを有するそのような抗体は、診断および機能の重要性を有することができる。
【0055】
組換えバキュロウイルスの構築を考慮した場合、発明者が構築した初期の組換えバキュロウイルスのあるものは、正しいL1コード配列を有したが、検出可能程度のL1蛋白を生成していなかった。このことは発明者にHPV−11および幾つかの他のHPVL1コード配列の3'未翻訳部分を検査させることとなった。ペンタヌクレオチドmRNA崩壊シグナル配列、AUUUA、(ショー G.およびケイメン R.、「ア・コンサーブドAU・シーケンス・フロム・ザ3'・アントランスレイテッド・レジオン・オブ・GM−CSFmRNAメディエイツ・セレクティブmRNA・デテクション」、セル,1986,46巻、659−67頁;コールMD.およびマンゴSE.、「シス−アクティング・デターミナンツ・オブ・c−myc mRNA・スタビリティ」,1990、エンザイム,44巻、167−80頁;シューAB.等、「ツー・ディスティンクト・デスタビライジング・エレメンツ・イン・ザ・c−fos・メッセージ・トリガー・デアニレイション・アズ・ア・ファースト・ステップ・イン・ラピットmRNAデケイ」、ジーンズ・アンド・デベロップメント,1991,5巻、221−31頁;サバント−ボンセイルS.およびクリーブランドDW.、「エビデンス・フォア・インスタビリティ・オブ・mRNAs・コンテイニングAUUUA・モチーフス・メディエイテッド・スルー・トランスレイション−デペンデント・アセンブリィ・オブa:20sデグラディション・コンプレックス」、ジーンズ・アンド・デベロップメント,1992,6巻、1927−37頁、これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)はHPV−11L1コード配列の停止コドンの30ヌクレオチドにあること、さらに、検査した他のHPV型が同様にL1停止コドンの近くにAUUUA配列を有することが測定された。もこの配列を除くか、または変異を導入すれば、L1蛋白の発現濃度を増加できるであろう。従って、クローンのための制限酵素部位を取り込むだけでなく、L1停止コドンから30ヌクレオチド下流のAUUUAペンタヌクレオチドをも変異するHPV−11ゲノムDNAからのL1コード配列を増幅するPCRプライマーを設計した。本クローンのスケールアップは非常に高濃度のL1蛋白を生成した。BEVSシステムを用いる報告は、細胞培養の300−500mg/リットルの範囲で組換え蛋白生成の濃度を与えた。本発明においては、組換えL1蛋白生成の程が非常に高く、約600−800mg/リットルで、多分、3'未翻訳部分のL1崩壊シグナル配列の除去による。
【0056】
これらの結果は、同様の実験条件下、HPV−11VLPで免疫したウサギからの後免疫血清が、HPV−11全ビリオンで免疫したウサギから得た血清と同じように有効にヒト組織のHPV−11感染をブロックできることを示す。各前免疫血清では観察できなかった遮断は、初期のウイルス遺伝子発現の不存在と関連した。従って、その効果は、典型的なウイルス中和、すなわちウイルス侵入または脱カプシド化(decapsidation)と一致した(ジモック,1993、ニュートラリゼイション・オブ・アニマル・ウイルシス、ヘルリン:シュピングラー−ファーラク、この開示を引用して明細書記載の一部とする)。
ウイルス遺伝子発現の分析によるHPV−11中和の確認を得るために、全移植片は、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に既に記載されるように、HPV−11E1^E4スプライスmRNA転写物の存在について分析した(データ示さず)。E1^E4mRNAを、前または後免疫VLP血清で前処理したグループからの移植片の10/12(83%)および0/12(0%)に検出した。それぞれ(p<10−4)。同様に、前または後免疫抗全ビリオン血清で前処理したコントロールグループについて、E1^E4mRNAは8/11(73%)および0/11(0%)移植片に検出した、それぞれ(P=10−3)。これらの結果は、後免疫VLP血清によるウイルス接種物の処理は移植片生育およびウイルス遺伝子発現の顕著な阻害と関連すること、免疫中和と一致する効果を示す。すなわち、組換えVLPは、感染ウイルスによる免疫によって得た反応に類似する中和反応を大きく誘発できる。
【0057】
ゾー等、1991、バイロロジィ,185巻、251−257頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されたHPV16L1−L2 VLPは、大きさが、変化しやすく、HPVビリオン(50−55)またはバキュロウイルス生成HPV11VLP(50−55nm;ローズ等、印刷中、この開示を引用して明細書記載の一部とする)よりも小さかった(直径35−40nm)。これらの形態学的特性は、本発明において記載されるVLPのものと全く異なる。さらに、本発明の方法を用い、HPV L1蛋白のみが、その生物物理学的特性と抗原性質が天然のHPVビリオンのものを密接に反映する粒子の形成に十分なものである。
【0058】
同様の方法を用いて、カーンバウアーらは、抗BPV−1VLP抗体によるインビトロのマウスC127細胞のBPV−1−媒介形質導入の阻害を報告している(カーンボウアら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズUSA89巻12180−12184頁(1992年)、ここに引用することによって、この開示を明細書の記載とする)。その系で得られた結果は本発明で開示された結果を支持するものであり、その結果において、発明者らは生殖器のHPVおよびその正常な標的組織を用いて中和を証明している。BPV−1/C127細胞試験と無胸腺マウス雄牛仔牛皮膚異種移植系からの結果の一致は、先の開示として報告され(ギムら、インターナショナル・ジャーナル・カンサー49巻285−289頁(1993年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)、BPV−1/C127マウス腺維芽細胞系は非−産生であり、従って、中和はインビトロでの形質導入物の不存在からのみ推論し得る。さらに、BPV−1は自然にはマウスに感染しないし、C127細胞に入り得るメカニズムは天然の感染過程に関与しているメカニズムとは異なっているかもしれない。反対に、今回の研究で用いられた無胸腺マウスモデルはクライダーら(ネイチャー317巻639−641頁(1985年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)によりすでに報告された、天然の標的組織の生殖器HPVによる感染によるものであり、感染した移植片はインビボで維持され、感染移植片の形態学的および組織学的変換は感染性ビリオンの産生を伴う(クライダーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻590−593頁(1987年)参照、その開示をここに引用して明細書の記載とする)。ボネら、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディスイージーズ165巻376−380頁(1992年);クリステンセンら、ジャーナル・オブ・ビロロジー64巻3151−3156頁(1990年);クリステンセンら、ウィルス・リサーチ21巻169−179頁(1991年);クリステンセンら、ジャーナル・オブ・ビロロジー64巻5678−5681頁(1990年);およびクリステンセンら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー73巻1261−1267頁(1992年)による既報の抗体媒介移植片成長阻害、その開示をここに引用して明細書の記載とする。ウイルス性遺伝子発現の阻害の免疫細胞化学的および分子生物学的証拠は、ボネら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー72巻1343−1347頁(1991年);およびボネら、インターナショナル・インフェクティアス・ディスイージーズ165巻376−380頁(1992年)によりすでに報告されたように十分に実証されており、その開示をここに引用して明細書の記載とする。したがって、無胸腺マウス系でなされた観察は、自然感染で生じる事象をより正確に反映し得る。
【0059】
HPV−11に対する抗体の中和は、クリステンセンら(ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー73巻1261−1267頁(1992年)(その開示を引用して明細書の記載とする)による既報のように尖圭コンジロームを有するひとにおいて確認されているが、がそれらの生物学的意義は不明である。もし、中和がインビボにおけるパピローマウイルス感染に対する防御免疫学的エフェクターメカニズムであることを証明するならば、ついで、組換VLPsでの免疫化は感染の危険がある人達に防御免疫を授け得る。発明者らの結果はHPV−11 VLP抗体の中和活性の重要性はHPV−11感染性ビリオンに特異的な抗体の重要性と同様であることを示唆している。従って、VLPsは良好なワクチンの候補であると思われる。しかしながら、異なるHPV−型類間でのカプシド立体配座的決定基の交差反応程度は未だ未知であり、既報のギスマンら(ビロロジー76巻569−580頁(1977年);グロスら、Ongogenic Viruses,Pergamon版ニュヨーク(1983年);ヘージェンシーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー67巻315−322頁(1993年);ホーリーら(「パピローマウイルス属およびそれらの複製」B.N.フィールドおよびD.M.ナイプ編58章1625−1650頁)、ビロロジー第2版2巻Raven版ニュヨーク(1990年)カーンバウアーら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズUSA89巻12180−12184頁(1992年);クライダーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻590−593頁(1987年);クライダーら、ネイチャー317巻639−641頁(1985年);およびオースら、ジャーナル・オブ・ビロロジー24巻108−120頁(1977年)(その開示をここに引用してこの明細書の記載とする)に記載のように、それは低いのかもしれない。生殖器HPV疾患の防御のための免疫源としての使用のための組換VLPsの可能性の十分な特徴付けは他の生殖器のHPV型類から誘導されるVLPsに関連するさらなる検討が必要である。異種生殖器のHPV VLPsがHPV感染を中和し得るかどうかを決定することが、特に重要である。
【0060】
Fig.17に関して、HPV全ウイルス粒子(B)およびHPV−11 VLP抗血清(C、D)はHPV−11 VLPsと強く反応したが、これらの抗血清のいずれもHPV−16またはHPV−18調製物とは反応しなかった。同様に、HPV−16(E、F)およびHPV−18(G、H)L1 VLPうさぎ抗血清は体軸をなす (homotypic)VLPsとのみ反応した。これらの反応の特異性は前吸着実験において立証され、その中で、各うさぎVLP抗血清の免疫反応性は体軸をなしている(homotypic)が異型(heterotypic)でないVLPsによる前吸着により放棄された(データは示さず)。抗PVL1コモンアンティジェン抗血清はウエスタンイムノブロッティングによる組換L1蛋白と十分反応する(Fig.15)が、これはELISAにおいて、天然のVLP調製物とわずかに反応するのみである(Fig.17)。この結果はこの抗血清によって普通に認識されるエピトープはELISA試験法の条件下で遮蔽されており、この試験法で試験されたL1蛋白は明らかに非−変性であることを示唆している。
【0061】
本発明はHPV−11、−16および−18のL1 VLPエピトープは明らかに抗原的であることを示している。L2カプシド蛋白はこれらのVLP調製物中には存在しないが、HPV類型間で観察された違いはまた、ビリオンにもあてはまる可能性がある。L2はHPV粒子の総蛋白含有量の約10%であり(ドアバーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻2793−2799頁(1987年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)、粒子内における正確な位置は決定されていない(ベーカーら、バイオフィジカル・ジャーナル60巻1445−1456頁(1991年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)が、最近の研究はDNAカプシド封入のためにそれが必要であり、ズーら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー74巻763−768頁(1993年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)HPV−16 L2アミノ酸配列の比較的維持されるアミノ末端部分における大部分の存在が、非特異的DNA結合を成立させる(ズーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー68巻619−625頁(1994年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)ことを示唆している。L2アミノ酸配列の残りはパピローマウイルス間で非常に種々雑多である(ダノスら、ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・デルマトロジー83巻7−11頁(1990年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)が、L2−特異的抗体が完全なビリオンと反応するかどうかは明らかでない(コムリーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー60巻813−816頁(1986年);ヘーガンシーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー67巻315−322頁(1993年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)。すなわち、L2蛋白は本研究の結果を実質的に変えるとは思えない。
【0062】
過去の研究は種々のHPV型が血清学の技術を用いてお互いに区別し得ることを示している。例えば、足底いぼビリオンと反応する抗体は、通常の平板な肛門性器のまたは喉頭いぼのいずれかの患者の血清よりも、通常、足底いぼの患者の血清により多く見られる(ピフィスターおよびスル・ホーセンら、インターナショナル・ジャーナル・カンサー21巻161−165頁(1978年);キーンズラーら、ブリテッシュ・ジャーナル・オブ・デルマトロジー108巻665−672頁(1983年);およびビアクら、ジャーナル・オブ・メディカル・ビロロジー32巻18−21頁(1990年)、ここに引用してこの明細書の記載とする)。アニシモバら(1990年)もまたHPV−1およびHPV−2が抗原的に区別されることを、電子顕微鏡によって直接示している。しかしながら、他のHPV型もまた抗原的関係があるようである。例えば、公示されているHPV−6感染の患者からの血清中のHPV−11ビリオンを特異的に認識する抗体の検出はすでに報告されている(ボネら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー72巻1343−1347頁(1991年);およびボネら、ビロロジー188巻384−387頁(1992年);ここに引用してこの明細書の記載とする)。ほとんどのHPV型からのHPVビリオンの入手ができないことから、VLPsが、現在では、HPV類間の抗原親近性を調べるための利用し得る最も良い材料である。HPV型類間の抗原的相違はL1コード配列内の遺伝的多様性に反映しているようである。チャンらはパピローマウイルスL1アミノ酸配列の限られた範囲内での遺伝的相違に基づいたパピローマウイルスの系統発生的樹木を作成した(チャンら、ジャーナル・オブ・ビロロジー66巻5714−5725頁(1992年)、ここに引用してこの明細書の記載とする)。かれらの研究はHPV−6およびHPV−11間の比較的近い進化論的関係を示し、これはHPV−6およびHPV−11カプシド間の潜在的交差反応性に一致する。他方、HPV−16およびHPV−18は、それらのL1配列において非常に異なっており、お互いに、またはHPV−11とほとんど抗原的交差反応性がないものと思われる。これらの推論は本発明の結果と一致する。
【0063】
HPVカプシド抗原性変化の生物学的関連性は不明であるが、カプシド蛋白の相違はパピローマウイルス組織特異性で説明できる。パピローマウイルスの多様性から組換えVLPsの利用が推定的宿主および組織特異的分子レセプターの同定に有効かもしれない。さらに、VLPsはHPV類の抗原的特徴の輪郭的説明およびこれらのウイルスに対する免疫応答の研究の実行に有用であることを証明し得る。
本発明の理解を明確にするために、ある程度詳細に具体例および実施例により記載したが、特許請求の範囲内において、ある程度の変更および修正は行われ得ることは自明のことである。
【技術分野】
【0001】
本発明は総体的にパピローマウイルス(Papillomavirus:PV)に関する。より具体的には、本発明は、バキュロウイルス発現系を用いるひとパピローマウイルス6型(HPV−6)および11型(HPV−11)カプシド蛋白コード配列の発現、HPVウイルス様粒子(VLPs)の製造およびHPV上のエピトープを認識する抗体の産生、HPVワクチン開発、HPV感染の検出のための血清学的テストのためのこれらのVLPsの利用に関する。
【背景技術】
【0002】
パポバウイルス科は溶解性感染および良性または悪性のいずれかの腫瘍の両方を誘発する1群のDNAウイルスを構成する。構造的には、全て72カプソメアを有する裸の20面体のビリオンであり、2本鎖環状DNAを含む。この科に含まれるウイルスは;(1)ひとおよび動物のパピローマウイルスであり、(2)マウスポリオマウイルスであり、(3)サル空胞ウイルスおよび(4)ひとウイルスBKおよびJCである。
【0003】
ひとパピローマウイルス(HPV)は、組織−特異的方法で皮膚、生殖器、口および呼吸器の上皮に感染する。HPVによる感染は良性疾患および悪性疾患の両方の進行に密接に関連している(非特許文献1および2)。例えば、HPV1型(HPV−1)は足底いぼに、HPV6型または11型(HPV−6またはHPV−11)は尖圭コンジローム(肛門生殖器のいぼ)に存在し、一方、HPV16型または18型(HPV−16または18)は通常、頸部鱗状上皮の前悪性および悪性細胞溶解物に存在する(非特許文献3、4、5および6参照)。
【0004】
インビトロにおけるHPVの増殖の困難性は免疫学的研究のための抗原産生への別のアプローチの研究に導いた。例えば、ボネら、HPV−6bL1 ORFのPstI-XboII制限フラグメントはHPV6尖圭コンジローム患者からの血清および対照により決定されたように免疫学的特異性を欠き(非特許文献7、8、9、10および11)は原核生物系における組換えカプシド蛋白コード配列を発現させ、それらを生殖管のHPV感染患者から得られた血清のウエスタン・ブロッティング分析に用いた。これらの研究から得られた結果は、変性した、すなわち、HPVカプシド蛋白の直鎖状エピトープに対する抗体がある種の感染患者の血清中に検出され得ることを示唆した。
【0005】
ウイルス粒子全体は立体配座エピトープを目的とする抗体を含む、ひと血清中の抗体の検出に用いられてきた。多くの天然に存在するHPV誘導融解はわずかの粒子しか産生しないので、これらの研究を行うのは非常に困難であった。しかしながら、ウイルス粒子全体は、HPV−1型−誘導足底いぼから免疫学的研究を行うのに十分な量で得られる(非特許文献12、13および14)および実験的−誘導HPV−11型無胸腺マウス・ゼノグラフ(非特許文献15および16)。より具体的には、クライダーらの特許文献1は、無胸腺マウス・ゼノグラフ・モデル系を用いて実験室にて感染性HPV−11ビリオンの増殖方法を開示している。しかしながら、この系は生殖器HPV感染のための血清学的試験の検討のために用いられた感染性ウイルスの相当量を産生し得るが、この系は非常に高くつき、また面倒である。さらに、この系では性器HPV型の1種のみががこれまで増殖されており、その利用性は限定されている。さらに、この系を用いて産生された感染性ウイルスはバイオハザードを示し、従ってワクチン製剤に用いることは困難である。
【0006】
ゾウらは、非特許文献17において、ワクシニアウイルスHPV−16L1/L2二重組換え発現ベクターで感染後CV−1細胞核中のHPV−16ウイルス−様粒子の形成を報告している。しかしながら、著者らはL1のみを発現するベクターでVLP類を産生させることはできなかった。さらに、産生されたVLP類ははっきりした対称性を欠き、大小がさまざまであり、本発明のHPVビリオン(55nm)またはVLP類のいずれよりも小さく直径がわずか約35−40nmである(バキュロウイルスは、直径約50nmのHPV−11VLP類を産生した)。
【0007】
ミンソンの特許文献2は所望の特異性を有するモノクローナル抗体のためのハイブリドーマ培養上清のスクリーニング法を開示している。
ミンソンの方法は例えば、ひとパピローマウイルス16型(HPV−16)のL1蛋白を、マウスにおける標的抗原とし用いてこの蛋白に対する抗体の産生を挙げることができる。しかしながら、ミンソンはL1蛋白の発現またHPVウイルス−様粒子(VLPs)を開示していない。
【0008】
スクールニクらの特許文献3はパピローマウイルスに対する型−特異的抗体を溶出する、数種のパピローマウイルスの読み取り枠の初めの領域から誘導される短いペプチド配列を開示している。しかしながら、発明者らは主要な後部の読み取り枠、L1を目的とする配列は開示していない。
【0009】
ランカスターらの特許文献4は、発明者がパピローマウイルス型−特異的エピトープをコードすると主張するパピローマウイルスL1カプシド蛋白読み取り枠の約30個のポリヌクレオチド配列を開示している。しかしながら、発明者らはこの配列を認識する抗体を産生する感染動物を開示していない。そのかわり、発明者らはこの配列(10個のアミノ酸ペプチド、すなわち、デカペプチド)のうしパピローマウイルス1型(BPV−1)変異型を合成し、ついで、うさぎを免疫化し、BPV−1およびBPV−2のいずれかの誘導線維乳頭腫(fibropapilloma)組織と反応する抗血清能力を試験した。このペプチド抗血清はBPV−1組織とのみ反応し、BPV−2組織とは反応しなかった。ついで、発明者は、このペプチドが型−特異的である抗原決定基を含み、従って、すべてのパピローマウイルスL1コード配列はこの遺伝子座に型−特異的エピトープを含むと結論した。この逆説を支持するデータを持たない発明者の側からは理論的な推測である。さらに、このアミノ酸配列は一般により高いオーダーの抗原的構造、すなわち、この明細書に記載された方法により製造されるような3次元構造を有する立体配座エピトープであり得ないと考えられている。
【0010】
パピローマウイルス感染に関する別の問題は別の治療的および予防的様式の必要性である。このような様式の1つは最近ほとんど研究されていないパピローマウイルスワクチンであろう。1944年に、ビバーシュタインが患者のいぼから誘導した自原性ワクチンで尖圭コンジローム患者を処置した(非特許文献18)。その後、パウエルらは、尖圭コンジロームの処置のための自原性いぼワクチンの現在典型的に用いられている製造技術を開発した(非特許文献19)。自原性ワクチンの効果を評価するために、たった1つの2重盲検プラセボー対照研究がおこなわれた(非特許文献20)。著者らは、自原性ワクチン治療は尖圭コンジロームの治療には効果がなかったと結論づけたが、この解釈は誤っているかもしれない。被検患者の数が有効な反対の結論を引き出すことを妨げた。いずれにしても、自原性ワクチンには、ここに述べたように、いくつかの不利な点がある。第1に、ワクチンを製造するために患者に比較的大きないぼがある(2g〜5g)ことが必要である。第2に、実験者が、処置患者が来るたびに実験装置を用い、専門家としての意見を求められる。すなわち、ワクチン製造は非常に高価につき、かつうんざりするものであり、比較的小さないぼの場合は不可能である。
【0011】
不幸にして、ウイルス増殖の伝統的な方法は未だパピローマウイルスの研究には採用することができず、また既述のように別の方法もまた、免疫学的研究のための有効量の感染ビリオンを製造することができない。無胸腺系マウスにおけるHPV−11のインビボ増殖は、非常に高価であり、労働集約的であり、現在はHPV−11に限定されているところから、かなり実用的でない。従って、免疫学的研究およびワクチン製造に使用するためのHPVカプシドのエピトープの別の製造方法が求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】アメリカ合衆国特許出願5,071,757
【特許文献2】アメリカ合衆国特許第5,045,447号
【特許文献3】アメリカ合衆国特許第4,777,239号
【特許文献4】アメリカ合衆国特許第5,057,411号
【非特許文献】
【0013】
【非特許文献1】ライヒマンら、パピローマウイルス、1191−1200頁(1990年)
【非特許文献2】マンデルら、感染病の原理と操作3版、ニューヨーク州、ニューヨーク、チャーチル・リビングストーン
【非特許文献3】クラムら、「ひとパピローマウイルス感染および頸部新形成:新考察」インターナショナル・ジャーナル・オブ・ガイネコロジカル・パトロジー3巻376−388頁(1984年)
【非特許文献4】ズール・ホーセン、生殖器パピローマウイルス感染83−90頁(1985年)
【非特許文献5】リグビーら、ウイルスおよび癌、ケンブリッジ(イギリス)
【非特許文献6】コーツキィら、「生殖器ひとパピローマウイルス感染の疫学」エピデミオロジー改訂版10巻122−163頁(1988年)
【非特許文献7】UCLAシンポジウム・モルキュラー・アンド・セルラー・バイオロジー新訂版124巻77−80頁(1990年)
【非特許文献8】ジェニソンら、エシェリヒア・コリ−発現融解蛋白を用いることによるひとパピローマウイルス6b型の免疫活性抗原の同定(ジャーナル・オブ・ビロロジー62巻2115−2123頁(1988年))
【非特許文献9】リーら、コンジロームにおけるひとパピローマウイルス6bL1型読み取り枠蛋白およびひと血清における対応する抗体(ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻2684−2690頁(1987年))
【非特許文献10】スティールら、ひとパピローマウイルス1型の分裂または非分裂エピトープに対するひと血清の体液試験(ビロロジー174巻388−398頁(1990年))
【非特許文献11】ストライクら、ひとパピローマウイルス6b型の完全なL1およびL2読み取り枠を含む7個のDNAセグメントのエシェリヒア・コリにおける発現および共通抗原(commom antigen)の位置(ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー70巻543−555頁(1989年))
【非特許文献12】キーンツラーら、ひと足底いぼにおけるひとパピローマウイルス1型(HPV−1)の体液および細胞媒介免疫性、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・デルマトロジー108巻65−672頁(1983年)
【非特許文献13】フィッツァーら、ひとパピローマウイルス1型(HPV−1)感染の血清疫学的研究(インターナショナル・ジャーナル・オブ・カンサー21巻161−165頁(1978年))
【非特許文献14】スティールら、ひとパピローマウイルスの分裂および非分裂エピトープに対するひと血清の体液検定(ビロロジー174巻388−398頁(1990年))
【非特許文献15】クライダーら、感染性ひとパピローマウイルス11型のインビボにおける実験室的生産、(ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻590−593頁(1987年))
【非特許文献16】クライダーら、尖圭コンジロームからパピローマウイルスによるひと子宮頸部のインビボにおける形態学的変化(ネイチャー317巻639−641頁(1985年))
【非特許文献17】ゾウら、上皮細胞におけるワクシニア組換えHPV16L1およびL2ORFの発現はHPVビリオン−様粒子の組立てのために十分である(ビロロジー185巻251−257頁(1992年))
【非特許文献18】ビバーシュタイン、いぼの免疫治療、Arch. Dermatol Syphilol50巻12−22頁(1944年)
【非特許文献19】パウエルら、自原性ワクチンによる尖圭コンジロームの処置、サザン・メディカル・ジャーナル63巻202−205頁(1970年)
【非特許文献20】マリソンら、尖圭コンジロームの自原性ワクチン治療:2重盲検対照研究、Br.J.Vener.Dis.58巻62−65頁(1982年)
【発明の概要】
【0014】
本発明は1993年3月9日に出願された現在係属中のアメリカ合衆国特許出願番号08/028,517号および1994年3月7日に出願された現在係属中のアメリカ合衆国特許出願(番号未通知)の1部継続出願である。
アメリカ合衆国政府は国立保健研究所(National Institute of Health)からの公共保健助成金(Public Health Service Awards)であるAI−82509、AI−35159およびCA−11198に応じて本発明に一定の権利を有し得る。
【0015】
発明の要約
本発明は細胞中のパピローマウイルス(PV)のカプシド蛋白コード配列の発現方法に関するものであり、この方法は、細胞中で蛋白を容易に発現させる条件下でパピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を含む発現ベクターでの細胞の形質転換を含む。
本発明の別の態様は、パピローマウイルスカプシド蛋白から生成されたウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分を提供するものである。この発明において、ウイルス−様粒子は天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含むことが判明した。
【0016】
本発明のより好ましい具体例において、バキュロウイルス発現系を用いて、Sf−9昆虫細胞において、ひとパピローマウイルス6型(HPV−6)および11型(HPV−11)のL1カプシド蛋白コード配列の発現方法を提供する。HPV−6およびHPV−11コード配列は当分野における標準的技術を用いてバキュロウイルス形質転換ベクター中にクローニングされた。得られたバキュロウイルス形質転換ベクターは、組換えバキュロウイルス(Ac6L1またはAc11L1)を生成するオートグラファ・カリホルニカ(Autographa californica)核多面体ウイルス(AcNPV)でSf−9昆虫細胞に同時形質転換され、組換えバキュロウイルスを回収した。その後、細胞中に蛋白を容易に発現させ得る条件下、Sf−9昆虫細胞はAc6L1またはAc11L1のいずれかに感染させた。L1蛋白がウイルス−様粒子(VLPs)を生成することが判明した。VLPsは、Ac11L1組換えバキュロウイルスで感染させたSf−9細胞から得られたネガチィブ−染色スクロースバンドの画分の電子顕微鏡により同定された。さらに、VLPsは、うさぎ抗血清により明らかにされたように天然のHPV−11ビリオンに類似する免疫学的および形態学的特徴を有することが判明した。
【0017】
本発明によるウイルス−様粒子類は診断法に用いることができ、HPV細胞レセプターの同定および特徴化に1役果たし、またワクチン開発(治療および予防の両方)に用い得る。HPV−11およびHPV−6の産生のためにこの明細書に記載の本発明の方法は、同様の他の動物および/またはひとパピローマウイルスからの免疫学的試薬の製造のために用いることができる。さらに、本発明により産生されたVLPsはパピローマウイルスの免疫学的研究を実施し、パピローマウイルスに対するワクチンを開発するための豊富な試剤を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】Fig.1Aは、野生型AcNPVおよび組換えAc11L1−感染Sf−9細ライゼートのクーマシーブルー染色SDSポリアクリルアミドゲルを示す。Fig.1Bは、HPVL1共通エピトープに特異的なうさぎポリクローナル抗血清で確認された、野生型AcNPVおよびAc11L1感染SF−9細胞ライゼートのウエスタンブロットを示す。
【図2】Fig.2は、Ac11L1−感染SF−9細胞からのスクロース密度遠心分離により回収されたHPV−11ウイルス−様粒子の電子顕微鏡写真を示す。示されたVLPsは直径約52nmであり(拡大基準による測定)、20面体対称を有しており、天然−生成パピローマウイルスの形態学的特徴に関して公開された観測に一致している。
【図3】Fig.3は、組換えL1とのうさぎ抗血清免疫反応性のウエスタンブロッティングおよびイムノドットブロッティングの比較を示す。A図において、組換えL1昆虫細胞ライゼートは変性条件下でウエスタン・ブロッティングされた。B図において、非−組換え(+)または組換えL1(L1)昆虫細胞ライゼートを非−変性条件下で染色膜においた。A列はHPVL1共通エピトープに特異的なうさぎポリクローナル抗血清で確認された。B列はHPVL1のアミノ末端アミノ酸配列に特異的なうさぎポリクローナル抗血清で確認された。C列はうさぎポリクローナル全ウイルス粒子抗血清で確認された。
【図4】Fig.4は、組換えL1昆虫細胞ライゼートを用いたウエスタンブロッティング試験を示す。A〜X列は用いられた種々の1次抗体に対応する(A列およびB列は免疫前および免疫後うさぎ抗−全ウイルス粒子抗血清変性L1共通エピトープと反応させた;C列は免疫後うさぎ抗−変性L1共通エピトープ抗血清と反応させた;D〜O列は尖圭コンジローム患者抗血清と反応させた。P〜X列は対照血清と反応させた)。
【図5】Fig.5は、昆虫細胞ライゼートを用いるイムノドットブロッティング試験を示す。列のアルファベットは用いられた種々の1次抗体に対応し、それはFig.4の記載と同様である。
【図6】Fig.6は、HPV−6L1組換えバキュロウイルス(Ac6L1)の構築および発現により産生された、HPV6型VLPsの電子顕微鏡写真を示す。
【図7】Fig.7は、HPV−16L1組換えバキュロウイルス(Ac16L1)の構築および発現により産生された、HPV16型VLPsの電子顕微鏡写真を示す。
【図8】Fig.8は、HPV−11L1VLPsに対する尖圭コンジローム患者の血清反応性を示す。
【図9】Fig.9は、HPV−11ビリオンとHPV−11VLPsに対する血清反応性間の相関関係を示す。
【図10】Fig.10(a)は、HPV−11L1(レーン2)およびHPV−16L1(レーン3)蛋白のウエスタンブロッティングを示す(左図)。分子量対照マーカーは左端であり、矢印はHPV−11およびHPV−16組換えL1蛋白の大体の位置を示す。Fig.10(b)は、レーン1:AcNPV(野生型バキュロウイルス−感染試料);レーン2:Ac11L1(組換えAc11L1−感染試料);レーン3:Ac6L1(組換えAc6L1−感染試料)のイムノドットブロッティングを示す(右図)。
【図11】Fig.11は、Ac11L1−感染Sf−9細胞培養上清中の組換えHPV−11L1のSDSPageおよびウエスタンイムノブロッティング検出を示す(A図:SDS page(クーマシー染色);B図:ウエスタンブロッティング、PVL1共通抗原血清を使用;レーン1:非−組換えAcNPV−感染細胞培養上清からの高速ペレット;レーン2:Ac11L1−感染Sf−9細胞培養上清からの高速ペレット;分子量マーカー(Mr)は左端;右端の矢印は55kD Mr組換えL1の位置を示す)。
【図12】Fig.12は、粗−およびCsCl−精製VLP調製物(A−Ac11L1−感染Sf−9細胞無含有培養上精からペレット化されたVLPs;B−CsCl−精製VLPs;線分=50nm)の電子顕微鏡分析を示す。
【図13】Fig.13は、精製組換えVLPsおよびHPV−11全ビリオン(レーン1:免疫前血清;レーン2:免疫後血清;A−うさぎR−366、精製HPV−11全ビリオンで免疫化;B−うさぎR−399、HPV−11VLPsで免疫化;抗原:VLP(HPV−11L1ウイルス−様粒子);WVP(HPV−11全ウイルス粒子))のイムノドットブロッティング分析を示す。
【図14】Fig.14は、異種移植(xenograft)幾何平均直径(GMD)のドットプロット分析を示す。
【図15】Fig.15は、HPV−11、HPV−16およびHPV−18精製VLP調製物(レーンA、HPV−11L1VLPs;レーンB、HPV−16L1VLPs;レーンC、HPV−18L1VLPs)のウエスタンブロッティング免疫試験を示す。
【図16】Fig.16(A〜C)は、HPV−11、16および18型に由来する塩化セシウム−精製VLPsの電子顕微鏡写真を示す。VLPsは明細書に記載と同様にして精製され、2%リンタングステン酸でネガティブ−染色された。A)HPV−11L1VLPs;B)HPV−16L1VLPs;C)HPV−18L1VLPs;線分は100nmに対応する。
【図17】Fig.17は、同種および異種VLPs調製物での免疫後VLPうさぎ抗血清の免疫反応性を示す。抗原:HPV−11L1VLPs、白い棒;HPV−16L1VLPs、点斜線の棒;HPV−18L1VLPs、黒色斜線。抗血清:A)抗−PVL1共通抗原(common antigen)うさぎ抗血清;B)HPV−11全ビリオンうさぎ抗血清;C、D)HPV−11L1VLPsで免疫化した2わのうさぎから;E、F)HPV−16L1VLPsで免疫化した2わのうさぎ;G、H)HPV−18L1VLPsで免疫化した2わのうさぎから。
【発明を実施するための形態】
【0019】
発明の詳細な説明
本発明は、細胞中で蛋白を容易に発現させる条件下バキュロウイルス発現系を用いて、細胞中でのパピローマウイルスカプシド蛋白コード配列の発現方法に関するものである。本発明の別の態様では、ウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分パピローマウイルスカプシド蛋白から生成されることが判明した。さらに、ウイルス−様粒子は天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含むことが判明した。
【0020】
ここに用いる「ウイルス−様粒子類(VLPs)」とは、パピローマウイルスカプシド蛋白から生成され、天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含む、ウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分である。ここに用いる「抗原的特徴」とは、(1)VLPsまたは感染性ウイルスのいずれかで免疫化された動物および/またはひと中に産生される抗血清によって確認される、野生型(同じHPV型の天然感染性ウイルス粒子)と交差反応するウイルス−様粒子の能力;および/または(2)同種ウイルスに感染していることが判明している患者からのひと血清中の抗体を認識または検出し得る能力をいう。
【0021】
この明細書における「L1蛋白コード配列」または「L1カプシド蛋白コード配列」または「L1コード配列」とは、パピローマウイルス中のL1蛋白をコードする読み取り枠をいう。発現されると、L1蛋白コード配列は、天然パピローマウイルスビリオンに類似する免疫学的および形態学的特徴を有する蛋白、または蛋白複合体、または凝集体を産生する。本発明において用いられるL1コード配列はパピローマウイルスゲノムDNAから分離または精製されるか、標準的な遺伝子工学技術によって合成され得る。
【0022】
この明細書における、用語「形質転換すること」とは、細胞中にウイルス、プラスミドまたはベクターを導入するためのなんらかの手段をいう。この手段の例は、感染、りん酸カルシウム沈澱およびエレクトロポレーションを含む。
より好ましい具体例において、バキュロウイルス発現系を用いて、Sf−9昆虫細胞における、ひとパピローマウイルス11型(HPV−11)およびひとパピローマウイルス6型(HPV−6)のL1カプシド蛋白のコード配列の発現方法を提供するものである。これらのHPV型のカプシド蛋白コード配列は説明のためにのみ用いられ、いかなる動物またはひとパピローマウイルス型のいかなるL1カプシド蛋白コード配列も本発明の所期の範囲から逸脱することなく用いられ得ると理解されねばならない。このようなHPV型には、HPV型16、18、31、33、35(ギスマンら、カンサー・セルズ5巻275頁(1987年)、ここに引用してこの明細書の記載とする);およびバウスネルらのPCT公開WO92/16636号中に開示されたHPV型(引用してこの明細書の記載とする)を含む。
【0023】
本発明の方法に用いられる好ましい発現系はバキュロウイルス発現系であるが、いかなる他の発現系も採用し得る。ただし、その系がL1蛋白コード配列を発現し得ることが条件である。この系の例には、アデノウイルス、SV40、エシェリヒア・コリ、1993年3月9日CHO細胞、ワクシニア・ウイルス、昆虫ウイルス、酵母、バクテリオファージ・ウイルスまたは修飾ウイルス、DNAプラスミド、ベクターなどを含む原核および/または真核細胞系が含まれるがこれに限定されるものはない。L1コード配列の発現のための宿主細胞は用いられる発現系により変化する。適当な宿主細胞には、以下に限定されるものではないが、細菌(原核生物)、酵母などの微生物、哺乳動物細胞(真核生物)および昆虫細胞が含まれる。バキュロウイルス発現系を用いるときは、Sf−9またはSf−21などの昆虫細胞が好ましい。
【0024】
本発明の別の態様では、L1蛋白が、パピローマウイルスカプシド蛋白から産生されるウイルス−様粒子類(VLPs)、フラグメント類、カプソメア類、またはそれらの部分を生成することが判明したことである。ウイルス−様粒子は天然の感染性パピローマウイルス粒子に類似する抗原的特徴を含むことが判明した。より具体的には、これらのVLPsは、生殖器のHPV−感染患者から得られた血清中に存在する抗体によって特異的に認識される抗原決定基を含む。例えば、ウエスタンブロッティングおよびイムノドットブロッティング試験法によって帰結される、変性または非変性カプシドエピトープのいずれかに対する抗血清とのVLP−含有昆虫細胞抽出物の反応は、天然HPV−11感染性ビリオン中に存在する立体配座エピトープがまた、本発明のバキュロウイルス−産生HPV−11VLPs上にも存在することを示唆する。バイオプシーによって証明された尖圭コンジロームの患者から得られたひと血清を用いるイムノドットブロッティング試験法は、ボネら(尖圭コンジロームのひと中の特異的抗体を検出するためのELISAにおけるひとパピローマウイルス11型の利用、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー72巻1343−1347頁(1991年)、ここに引用してこの明細書の記載とする)に記載のHPV−11全ウイルス粒子によるELISA試験で既に得られている結果と密接な相関関係を有する。
【0025】
天然HPV−11ビリオンに対するこれらの形態学的および免疫学的類似性はバキュロウイルス系で産生された組換えVLPsが、生殖器HPV感染およびあらゆるパピローマウイルスの血清−疫学および病原研究だけでなく、ワクチン開発にも有用であることを示唆している。すなわち、L1は自己−組立て(self assembly)のための固有の能力を有している。すなわち、他のパピローマウイルス蛋白は、バキュロウイルス系中でのVLP生成に必要ではない。これは、すべての型のパピローマウイルスのVLPsはここに記載の方法によって製造され得るという主張を支持する。
【0026】
本発明のVLPsはHPVによる感染に対する防御が必要な患者に抗体、すなわち、ワクチンを産生させるために、またはすでに存在するHPV感染に対する免疫応答をを高めるために使用することができる。本発明のVLPsは診断に有用な抗血清を得るための動物種に投与することができる。ポリクローナル抗体に加えて、モノクローナル抗体をコーラーおよびミルスタインの方法、またはそれらの修正方法を用いて、脾臓、または抗体−産生クローン、すなわち、ハイブリドーマを得るために注射された動物からの他の抗体産生細胞を不死化することによって得られ得る。
【0027】
得られた抗体は、頸部バイオプシーまたはパパニコラウ・スミアのHPV感染の診断およびひとまたは他の対象における疾患の程度の判断のために用いることができる。特に、本発明の抗体を用いる診断は病状の進展の観察を可能にする。この抗体はウイルスを検出するための、および感染または腫瘍の制御を目的とする抗ウイルス性または他の治療試剤による治療の進行を観察するための血清の分析に使用することができる。この抗体はまた種(species)の変化を考慮した受動的治療としても用い得る。
【0028】
本発明のVLPsは、HPV感染の疑いのある患者の血清中のHPVに対する抗体の存在を検出ための、または抗−HPVワクチンで処置されている患者の血清の測定のための免疫測定に使用され得る。
本発明のVLPsは、宿主に直接投与して、中和する抗体の生成を誘導し(ボネら、1992、前掲;およびローズら、印刷中、前掲、ここに引用してこの明細書の記載とする)、HPVに対する防御的免疫を授けるか、患者が既に感染しているならば、患者自身の免疫応答を強化することができる。すべての適用のために、VLPsは免疫原性形態で投与される。所望により、VLPsは、免疫原性供与担体物質と結合させることができるが、その物質は好ましくは免疫原的に中性であることが望ましい。所望の用途により、本発明のVLPsは、型特異的または広範囲のワクチンおよび診断剤として役立つ能力を有する。
【0029】
ワクチンとして投与されるべきVLPsは、防御されるべき患者へのそのような投与のための通常用いられる方法および/または将来の方法に従って製剤化することができ、また通常用いられるアジュバントと混合することができる。発現されたペプチドは、サブユニット・ワクチン製剤(多価であってもよい)における免疫原として用いることができる。多価ワクチン製剤は種々のHPVsからの1種の異なるL1蛋白をエンコードする各VLPsを含むことができる。生成物は、異種の蛋白を発現するベクター/宿主系からワクチン製剤化の目的で精製され得る。精製されたVLPsは適当な濃度に調整され、適当なアジュバントとともに製剤化され、包装される。適当なアジュバントは、以下に限定されるものではないが:鉱物性ゲル、例えば、水酸化アルミニウム;界面活性剤、例えば、リゾレシチン、プルロニック・ポリオール類;ポリアニオン類;ペプチド類;オイル・エマルジョン;および非常に有効なひとアジュバント類、例えば、BCG(バシル・カルメット−ゲラン)およびコルネバクテリウム・パルブムである。免疫原はリポソーム中に組み込むことができ、またポリサッカライド類および/または他のワクチン製剤用のポリマー類に結合させることができる。多くの方法が上記のワクチン製剤の投与のために用いられ得;以下に限定されるものではないが、これらには、経口、皮内、筋肉内、腹腔内、静脈内、皮下および鼻内経路がある。もしそれらが、診断剤として直接用いられるときは、通常用いられる方法により精製され、用途に従って包装される。もしそれらが診断目的の抗体を産生させるために用いられるときは、適当な抗血清を調製するために、都合のよい実験動物を用いることができる。適当な宿主にはマウス、ラット、うさぎ、モルモット、またはひつじなどのさらに大きな哺乳動物を用いることができる。抗体は処置されるべき動物に適合するかぎり、治療的に用い得る。適切な種の特徴を有するモノクローナル抗体が、この用途には好ましい。
下記の実施例は本発明をさらに具体的に説明するものである。
【実施例】
【0030】
実施例I
方法
1.HPV−11ウイルスDNA及びpVL11L1バキュロウイルストランスファーベクター構築
HPV−11ゲノムDNAは、ローズ等、「エクスプレッション・オブ・ザ・フル−レングス・プロダクツ・オブ・ジ・HPV−6b・アンド・HPV−11L2・オープン・リーディング・フレームス・バイ・リコンビナント・バキュロウイルス,アンド・アンチゲニック・コンパリゾンス・ウィズ・HPV−11・ホール・ウイルス・パーティクルス」1990、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ 71巻、2725−2729頁(これを引用して明細書記載の一部とする)により開示されたように実験的に誘導された無胸腺マウス異種移植片から精製した。L1コード配列は、それぞれ5'および3'末端でBglIIおよびEcoRI制限酵素部位を導入するよう設計されたプライマーを用い、精製ゲノムDNAのRCR増幅によりクローンした。順向及び逆プライマー配列は、それぞれ、5'−CGC AGA TCT ATG TGG CGG CCT AGC−3'(配列番号:1)及び5'−CAT ATG AAT TCC CAC AAC ACA CTG ACA CAC−3'(配列番号:2)であった。(下線した)制限部位は、プライマー指定突然変異導入法により、推定L1開始コドンの近位、および推定L1停止コドンから約30ヌクレオチド下流に導入した。増幅は、500ngの各プライマーおよび2単位のTaq DNAポリメラーゼ(アンプリタク、パーキン−エルマー・シータス・コーポレーション、ノーウォーク、CT)を用い、実質的にボネズ等「アンティボディー−メディエイテッド・ニュートラリゼイション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・レアクション」1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されたように実施した。増幅後、PCR生成物はBglIIおよびEcoRIにより設計した。全HPV−11L1読み取り枠(ORF)を含んだ1539塩基対(bp)切断生成物は、ローズ等、「エクスプレッション・オブ・ザ・フル−レングス・プロダクツ・オブ・ザ・HPV−6b・アンド・HPV−11 L2・オープン・リーディング・フレームス・バイ・リコンビナント・バキュロウイルス,アンド・アンチゲニック・コンパリゾンス・ウィズ・HPV−11・ホウル・ウイルス・パーティクルス」1990、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,71巻、2725−2729頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるようにアガロースゲル電気泳動によって精製し、そしてバキュロウイルストランスファーベクター、pVL−1392(M.D.サマーズ、テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティー、カレッジ・ステイション、TX)の対応する部位にクローンした。得られる構築物、pVL11L1は、サマーズ等の方法、ア・マニュアル・オブ・メソーズ・フォー・バキュロウイルス・ベクタース・アンド・インセクト・セル・カルチャー・プロセデュアズ,1987、テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティー、カレッジ・ステイション、テキサス(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に従ってオートグラファ・カリフォルニア核多角体病ウイルス(AcNPV)ゲノムDNAによりSf−9細胞を同時形質導入するのに用いた。組換えバキュロウイルスを吸蔵(occlusion)−ネガティブ(occ-)プラクの視覚試験と選択により回収し、そしてサマーズ等の方法、ア・マニュアル・オブ・メソーズ・フォー・バキュロウイルス・ベクタース・アンド・インセクト・セル・カルチャー・プロセデュアズ,1987、テキサス・エイ・アンド・エム・ユニバーシティー、カレッジ・ステイション、テキサス(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に従ってさらに2回のプラク精製に付した。分離したウイルスストックからの蛋白発現をウエスタンブロットにより測定した。
【0031】
2.Sf−9細胞での組換えL1発現のSDS−PAGE及びウエスタンブロット検定
感染Sf−9細胞培養を150cm2組織培養フラスコ中で生育させて分析SDS−PAGE及びウエスタンブロットアッセイ用に調製した。非組換え又は組換えL1−感染細胞をパスツールピペットで再懸濁することにより収集し、同数の野生型又は組換えL1−感染細胞を4℃、500×gで10分間遠心分離した。上清を除き、細胞ペレットを水に移し、直ちに1mlの溶解緩衝液(30mMトリス、pH7.6;10mM MgCl2;1mM CaCl2;1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF);ロイペプチン(10μg/ml);1%NP−40)に再懸濁し、室温で15分間、間欠的に撹拌しながら放置した。4℃、500×gで2分間遠心後、上清に含まれるNP40可溶性フラクションを取り、ラームリ、「クリベイジ・オブ・ストラクチュラル・プロテインズ・デューリング・ジ・アセンブリィ・オブ・ザ・ヘッド・オブ・ザ・バクテリオファージ・T4」1970、ネイチャー、277巻、680−685頁(その開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、2Xラームリ試料緩衝液で1:1に希釈し、95℃に3分間加熱した。(核物質を含む)NP40不溶性ペレットを冷PBS(1mM PMSF:10μg/ml ロイペプチン)で一回洗浄し、1Xラームリ緩衝液中で煮沸、撹拌することにより溶解した。ローズ等、「エクスプレッション・オブ・ザ・フル−レングス・プロダクツ・オブ・ジ・HPV−6b・アンド・HPV−11 L2・オープン・リーディング・フレイムズ・バイ・リコンビナント・バキュロウイルス,アンド・アンチゲニック・コンパリゾンス・ウィズ・HPV−11・ホウル・ウイルス・パーティクルス」1990,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,71巻、2725−2729頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、試料を10%SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、次いでクーマシィブルー染色(Fig.1、パネルA)又はイモビロン−P膜(ミリポア・コーポレイション、ニュー・ベッドフォード、MA)へのブロッティング(Fig.1、パネルB)を行った。
【0032】
3.非組換え及び組換えL1ストック溶液の調製
これらのアッセイは、AcNPV又はAc11L1感染昆虫細胞のいずれかの抽出物から調製した澄明化(高速)上清ストック溶液の希釈液を用いて実施した。細胞当り10プラク形成単位のほぼ多重感染でAcNPV又はAc11L1のいずれかで感染したSf−9細胞の浮遊培養物(100ml)を27℃で72時間インキュベートした。次いで培養物を4℃、1,000×gで10分間遠心し、細胞ペレットを20ml均一化緩衝液(1M NaClを含む溶解緩衝液)に再懸濁し、氷上にダンスホモゲナイザーで50ストロークで均一化した。均一化物を冷却30mlねじ込み口金コレックス試験管に移し、4℃、3,000×gで10分間、遠心した。次いで低速上清フラクションを清澄な管に移し、4℃、100,000×gで30分間、遠心した。高速上清フラクションの全部蛋白濃縮物をストシェック、メソーズ・イン・エンザイモロジィ,182巻、54頁、アカデミック・プレス・インコーポレーテッド、ニューヨークの「クアンチティション・オブ・プロテインズ」,1990(この開示を引用して明細書記載の一部とする)の方法に従って280nmでスペクトル光度測定吸収により測定し、新鮮な均一化緩衝液(蛋白濃度はほぼ30mg/mlに等しい)で平衡に調整した。グリセロールを10%(v/v)まで加えてストック溶液はアリコートして−20℃で貯えた。
【0033】
4.ウエスタンブロットおよびイムノドットブロットアッセイ
ウエスタンブロットおよびイムノドットブロットアッセイを用いてウサギ抗血清およびヒト血清の線状および配座エピトープ抗体特異性を測定した。ウエスタンブロットアッセイ(Fig.3、パネルAおよびFig.4)は、ラームリ、「クリーベイジ・オブ・ストラクチャル・プロテインズ・デューリング・ジ・アセンブリィ・オブ・ザ・ヘッド・オブ・ザ・バクテリオファージ・T4」1990、ネイチャー,277巻、680−685頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように蛋白変性試薬を含む1×ラムリ試料緩衝液で1:100に希釈した2μl(約60μg全蛋白)の組換えL1ストック溶液を用いて実施し、95℃まで3分間、加熱した。変性試料を単−100mm幅広試料ウエルに乗せ、10%SDSポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、イモビロン−P膜にブロットした。2%BSA溶液(キークガード・アンド・ペリィ・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド、ゲイサースバーグ、MD)で37℃で2時間ブロックしたのち、それぞれ約2.5μg全蛋白を含む24.4mm幅の細片にスライスした。次いで細片を抗血清でプローブした(Fig.3、パネルAおよびFig.4)。
【0034】
イムノドットブロットアッセイ用に、非組換えまたは組換えL1ストック溶液を冷PBS(1mM CaCl2)で1:1,000に希釈し、100μlアリコート(約3.0μg全蛋白を含む)をイモビロン−P膜上にドットした。組換えL1の天然の(native)コンフォーメイションを保存するために、イムノドットブロット試料調製物から蛋白変性試薬を除いた。ブロッキング、一次および2次抗体希釈溶液、洗浄並びに用いた基質は、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケイション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載される通りである。一次抗体インキュベーションは4℃で一晩実施し、二次抗体インキュベーションは室温で90分間行った。イムノドットブロット用に、基質溶液を除く全ての溶液は、CaCl2を1mM含有した。一次抗希釈は、ウサギに関しては1:2,000でヒト血清に関しては1:1,000であった。特異的に結合した抗体は、基質としてBCIP/NBT(キークガード・アンド・ペティ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド)を用い、それぞれ1:2,000および1:5,000の希釈液で用いたアフィニティ精製抗ウサギ(キークガード・アンド・ペティ・ラボラトリーズ・インコーポレイテッド、ゲイサースバーグ、MD)または抗ヒト(TAGOイムノダイアグノスティクス、バーリンゲノム、CA)IgG−アルカリフォスファターゼ抱合体で検出した。イムノドットブロット反応は、非組換えおよび組換えL1ドット強度の視覚比較により評価した。反応は、組換えL1ドットの色強度が同一細片上に存在する非組換えコントロールの色強度より大であれば陽性とした。
【0035】
5.抗血清
用いた変性L1抗血清は、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケーション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により抗pEX480として既に記載されている。本抗血清は、スタンレイ等、「コンストラクション・オブ・ア・ニュー・ファミリィ・オブ・ハイ・エフィシエンシィ・バクテリアル・エクスプレッション・ベクターズ:アイデンティフィケーション・オブ・cDNAクローンズ・コーディング・フォー・ヒューマン・リバー・プロテインズ」1984,EMBO.ジャーナル,3巻、1429−1434頁及びストローク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケーション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、ベータガラクトシダーゼのC末端に融合したHPV−6bL1読み取り枠の中央部分から誘導された160アミノ酸配列を含むゲル精製細菌発現融合蛋白によるウサギ免疫により得た。本配列は、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNA・セグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・LI・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケーション・オブ・ザ(コモン・アンチゲル)」1989,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ、70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるようにパピローマウイルスL1共通抗原を含む。用いたウサギ全ウイルス粒子抗血清は、ボネズ等、「アンティボディ−メディエイテッド・ニュートラリゼーション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」1992,ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載される通りであり、ボネズ等、「アンティボディ−メディエイテッド・ニュートラリゼーション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」1992,ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁及びクライダー等、「ラボラトリィ・プロダクション・イン・ビボ・オブ・インフェクティアス・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11」1989,ジャーナル・オブ・バイロロジィ,61巻、590−593頁(これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)に従って無胸腺マウス包皮異種移植片から得た精製非変性HPV−11ビリオンによるウサギの免疫により生成した。患者血清はバイオプシー証明尖圭コンジロームの個人から得た。ボネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エサイザ・ツー・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ワズ・コンディロマタ・アクミナタ」1991,ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるようにHPV−11全ウイルス粒子基礎ELISAにより既に陽性と判っており、VLPに対して向けられた抗体を検出する能力を最大にするのに用いた。コントロール血清は終生性的接触のない修道尼から得た。これらの血清は、ボネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・ツー・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンディロマタ・アクミナタ」1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、HPV−11粒子基礎ELISAにより測定された通り、HPV−11抗体に対して陰性であった。
【0036】
6.HVP−11L1ウイルス様粒子の生成及び精製
組換えVLPは、一連の低及び高速遠心段階により、Ac11L1感染Sf−9細胞浮遊培養物の細胞フリー培養上清から直接精製した。感染Sf−9細胞は200ml浮遊培養物から低速(1,000×g)でペレット化し、細胞フリー上清を4℃で高速(100,000×g)で90分間、再び遠心した。高速ペレットを緩衝液A(50mM トリス、pH8.0;1M NaCl;10mM MgCl2;10mM CaCl2;2mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF);10μg/mlロイペプチン)に再び懸濁し、5.2g固体CsClを加え、新鮮な緩衝液A(0.4g/ml最終濃度)で全量13mlに調整した。遠心(100,000×g、22時間、10℃)後、得られた単一バンドを取り、12mlの新鮮な緩衝液A(C×Clなし)で希釈し、再び遠心し(100,000×g、90分、4℃)精製VLPをペレット化した。ショ糖濃度勾配遠心により精製したVLPは、2%中性緩衝化リンタングステン酸で染色後、電子顕微鏡により同定した(Fig.2、6及び7)。
【0037】
実施例II
Sf−9細胞での組換えHPV−11L1蛋白の発現及び免疫検定
組換えウイルスAc11L1を感染させた昆虫細胞からの全Sf−細胞蛋白のSDS−PAGE分析は、Ac11L1感染細胞中クーマシーブルー染色により見られる新規な55kD蛋白を証明した(Fig.1A、レーン3)。Fig.1(A及びB)を引用すると、Fig.1Aは、野生型AcNPV及び組換えAc11L1感染Sf−9細胞溶解質のクーマシー染色SDSポリアクリルアミドゲルを示し、Fig.1Bは、HPVL1共通エピトープに特異的なウサギポリクローナル抗血清でプローブした野生型AcNPV及び組換えAc11L1感染Sf−9細胞溶解質のウエスタンブロットを示す。非組換え(レーン1、2)及び組換えL1−感染(レーン3、4)Sf−9細胞溶解質は不溶性(レーン1、3)及び可溶性(レーン2、4)フラクションに分画され、10%ポリアクリルアミドゲル上で電気泳動に付した。分子対照(Mr)マーカー左に示し、右の矢印は、組換えL1(約55kD Mr)の特定位置を示す。本蛋白は、野生型AcNPVに存在せず、ストライク等、「エクスプレッション・イン・エシェリキア・コリ・オブ・セブン・DNAセグメンツ・コンプライジング・ザ・コンプリート・L1・アンド・L2・オープン・リーディング・フレームス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ6b・アンド・ザ・ロケイション・オブ・ザ(コモン・アンチゲン)」1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書開示の一部とする)により記載されるように、線状HPVL1共通抗原に対して調製されたウサギ抗血清に免疫反応性である蛋白と共に移動する。低いMrL1−免疫反応性バンドも検出され、全長L1生成物の崩壊から誘導されうる(Fig.1B、レーン3及び4)。本システムに生成されるL1の主な蛋白はNP40不溶性フラクション中に見られたが、約25−30%はNP40可溶性フラクションに存在した(Fig.1B、レーン4)。最大L1蓄積は感染後、何時間も生じた。
【0038】
実施例III
VLPの電子顕微鏡視覚化
ショ糖バンドVLPの染色されない調製品の電子顕微鏡写真(Fig.2、6及び7)は異なるVLPを示した。Fig.2はショ糖密度勾配の50−60%界面に存在したHPV−11カプシド様粒子を示す。Fig.6はバキュロウイルスシステムでのHPV−6bL1コード配列の発現の結果生じるHPV型6b(HPV−6b)カプシド様粒子を示し、それは同様の方法で厳密に精製された。Fig.7は、この方法もHPV−16L1コード配列の発現による、HPV型16(HPV−16)VLPの生成に適していることを示す。Fig.12及び16は、VLPが塩化セシウム濃度勾配遠心によっても精製できることを示す。Fig.2におけるVLPの直接測定により測定された粒子直径は、約52nmであった。本測定は、クルグ等「ストラクチャー・オブ・ウイルシズ・オブ・ザ・パピローマ−ポリオマ・タイプI:ヒューマン・ワァート・ウイルス」1965、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジィ,11巻、403−423頁(この開示を引用して明細書の一部とする)により記載されるように、分離されたパピローマウイルスビリオンの直径と一致する。
【0039】
実施例IV
HPV−11VLP−含有昆虫細胞抽出物のウサギ抗血清との免疫反応性
組換えL1蛋白の免疫学的性質は、天然又は変性L1蛋白エピトープと反応するウサギ抗血清を用いて研究した。共通パピローマウイルス抗原に対して向けられたウサギ抗血清pEX480は、ウエスタンブロットアッセイで変性組換えL1とよく反応したが、非変性条件下、抗原をブロッティング膜上に置くイムノアッセイの型であるイムノブロットによる同一抗原調製物と反応しなかった(Fig.3、比較細片A)。抗pEX480により発現される反応性のパターンと対象的に、HPV−11全ウイルス粒子を作ったウサギポリクローナル抗血清は、ウエスタンブロットにより組換えL1と反応しなかったが、イムノブロットアッセイでは組換えL1と強く反応した(Fig.3、比較細片C)。本反応性は、天然非組換えコントロール調製物に対する免疫後血清での反応性の欠除により証明されるように特異的であった(Fig.3、パネルB、細片C)。ウサギ抗血清pEX215はこれらのイムノアッセイに含まれ、二つの型のイムノアッセイで存在するL1の相対量の比較を可能にした。両様式でのPEX215抗血清の組換えL1との免疫反応性の程度は概ね等しく(Fig.3、細片B)、L1の量がほぼ等しいことを示す。さらに、本抗血清が両様式でL1と反応しうるという観察記録は、pEX215抗血清により確認される線状免疫反応性L1N末端エピトープ(複数もあり)が高い状態のL1コンフォーメーションの採用により弱められないことを示唆する。
【0040】
実施例V
VLP含有昆虫細胞抽出物のヒト血清との免疫反応性
線状ウイルス配座エピトープに対し向けられたヒト血清中の抗体の有病率を測定するため、バイオプシ−プローブ尖圭コンジロームの個人から得た血清を、抗原としてVLPを用いるウエスタンブロット及びイムノドットブロットアッセイで評価した。患者の又はコントロールの血清は、いずれもウエスタンブロットにより変性組換えL1と免疫反応性でなかった(Fig.4、細片D−O(患者)及びP−X(コントロール))。逆に、12患者の血清中11(Fig.5、細片Hを除き、細片D−Oは陽性と読み取れた)及び9コントロール血清中O(Fig.5、細片P−X)がイムノドットブロットにより組換えL1と免疫反応性で、高度に統計的に有意差があった(P=7×10−5;フィッシャーの正確試験)。この結果は、ボネズ等「ユース・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・トゥ・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンディロマタ・アクミナタ」1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、HPV−11粒子基礎ELISAで同一血清を用いて既に得られた結果とよく一致する。
【0041】
実施例VI
ELISA試験
CsCl精製VLPを分光測定器(A280)により定量し、冷PBS中8ng/μlの濃度に希釈した。PBS又は希釈VLP溶液(800ng全蛋白)のいずれかのアリコート(100μl)をウエルに入れ、プレートを4℃で一夜放置した。プレートを1%BSA溶液により、室温で2時間ブロックし、次いで抗血清を、二回、1:100の希釈で添加した。一次抗血清は室温で90分間、反応させた。プレートを4回洗浄し、二次抗体(ヒツジ抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ結合体)を加え(TAGO、1:5000)てプレートを室温で90分間、放置した。基質を各プレートに加えて405nmの吸収を読み取った。各実験に関するVLP吸収からPBSを引くことにより特異的吸収を計算し、平均吸収値を得た。
VLPを用いて得た結果(Fig.8)は、抗原(50%)としてHPV−11全蛋白粒子を用いた(RRP患者からの)同一血清のELISA試験で既に報告された結果と同じであった。これまでの全ウイルス粒子基礎ELISAからの結果との良好な相関関係はFig.9(r2=0.75)に示される。
【0042】
実施例VII
ウエスタンブロット及びイムノドットブロット
Sf−9浮遊培養物(100ml)は、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されるように、AcNPV(非組換えコントロール)、Ac11L1又はAc16L1組換えバキュロウイルスのいずれかで感染させ、27℃で72時間インキュベートした。図面11に関して、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、及びローズ等、1990、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,71巻、2725−2729頁(これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されるように試料を調製し、電気泳動に付し、イムノブロットした。VLPは、電子顕微鏡により証明されるように(データは示さず)、両試料調製品に存在した。全試料蛋白濃度は分光測光器(A280)によって使用する前に平衡化した。
【0043】
図面10(a)に関して、試料(20μg全蛋白/レーン)を、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されるように、10%SDS−ポリアクリルアミドゲルで電気泳動し、一晩ウエスタンブロットした。ニトロセルロースブロットを、クリステンセン等、1991、ウイルス・リサーチ,21巻、169−179頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように1:1000の希釈で用い、ウサギ抗血清R5−409でプローブした。Fig.10(a)(左パネル)に示すように、組換えHPV−11L1(レーン2)及び組換えHPV−16LI(レーン3)蛋白を、抗パピローマウイルスL1共通エピトープ抗血清R5−409により、ほぼ等量検出した。HPV−16L1蛋白の予報されたアミノ酸配列は、HPV−11L1蛋白の予報された配列よりも5アミノ酸長く、これは組換えHPV−16L1蛋白により示されるやや低速度の移動と一致する。
【0044】
図面10(b)に関して、試料は希釈し(PBSでなされる2倍系列希釈)、25μg(底部)の全蛋白濃度で開始し、25ng(最上部)の全蛋白濃度で終る非変性条件下にニトロセルロースに適用した。ウサキ抗血清R−366を1:1000の希釈で用いた。右パネル(即ち、イムノブロット)で、全ウイルス粒子抗血清は、1000倍希釈範囲にわたり自生(native)組換えHPV−11L1VLP調製品を検出した。しかしながら、この同一過免疫ウサギ抗血清は、ウエスタンブロットによる分析用に用いたもの(20μg)よりも高濃度の抗原(25μg)でさえ、自生組換えHPV−16L1VLP調製品に免疫反応性でなかった。
過免疫ウサギ自生HPV−11ビリオン中和抗血清は自生HPV−16L1蛋白と交差反応せず、本抗血清により認識されるHPV−11カプシドの配座エピトープ(複数もあり)がHPV−16VLP調製品に存在する配座エピトープと免疫学的に異なることを示唆した。
【0045】
実施例VIII
ウエスタンイムノブロットアッセイ
VLPをAc11L1感染Sf−9細胞浮遊培養(200ml)の上清媒体中に検出し、これから直接精製した。細胞を低速度(1000×g)でペレット化し、次いで細胞フリー上清を高速度(100,000×g)で遠心した。細胞を低速度遠心(1000×g)で除き、「ひと・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)ウイルス−ライク・パーティクルス(VLP)インジュース・ザ・フォーメーション・オブ・ニュートラライジング・アンチボディ」(発表のために提出たれた)1993、においてローズ等に既に記載されるように(この開示を引用して明細書記載の一部とする)VLPを培養上清から調製した。パネルAはクーマシーブルーで染色した10%SDS−ポリアクリルアミドゲルである。パネルBは、ストライク等、1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、1:1000の希釈で用いた、HPV共通抗原に特異的なウサギ抗血清でプローブした、全く同じに負荷したゲルのウエスタンイムノブロットである。非組換え又は組換えL1−感染Sf−9細胞培養上清から得た高速度ペレットの試験は、組換えL1感染上清フラクションでのVLPの存在を示した。再び懸濁した組換えL1高速度ペレットは、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に既に記載されるように、平衡密度勾配遠心により精製した。この方法によりえられた単一バンドを無菌18標準針で取り、新鮮な緩衝液A(50mM トリス、pH8.0;1M NaCl;10mM MgCl2;10mM CaCl2;2mM フェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF);10μg/mlロイペプチン)で12mlの容量に希釈し、4℃で100,000×gで90分間、再び遠心した。0.5mlの新鮮な緩衝液A(50%グリセロール)にペレットを再懸濁後、試料の蛋白の電子顕微鏡分析は、2%リンタングステン酸で染色されず、無傷のHPV VLPの存在を確認した(Fig.12)。
【0046】
既に記載されているように、組換えVLPはHPV−11全ウイルス粒子に向けられた抗体に免疫反応性であった。(ロース等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁参照、この開示を引用して明細書記載の一部とする。)本研究で、出願人は精製VLPでウサギを免疫し、全ビリオンによる免疫反応性について後免疫血清を試験した。ニュージランド白ウサギを、完全フロインドアジュバント中、精製VLP(〜20μg蛋白)の1:1エマルジョンで2部位で筋肉内に免疫した(部位当り0.25ml)。30日後、完全フロインドアジュバントで調製したVLPエマルジョンにより増加し、免疫血清を14日後、収集した。血清を、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に既に記載されるように、ドットブロットイムノアッセイで自生HPV−11ピリオン又は組換えVLPのいずれかと反応させた。抗VLP抗体と全ビリオンとの免疫交差反応は、図面13に示されるように、VLPが免疫原性であり、感染性HPV−11ビリオンの抗原性プロフィルを正確に増殖しているようであることを示す。図面13に関連して、非変性精製試料調製品をローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように、セルロースに適用した。
【0047】
実施例IX
中和活性
感染HPV−11ハーシェイウイルス懸濁液の調製品(ジョン・クライダー、デパートメント・オブ・パソロジィ・アンド・マイクロバイオロジィ・アンド・イムノロジィ、ザ・ミルトンS.ハーシェイ・メディカル・センター、ハーシェイ、PAにより最初に提供された)はボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されている。4つの平行実験において、450μlの感染ウイルス懸濁液(バッチ4/90)を、50μl(1:10最終希釈)の前免疫抗HPV−11血清(グループ1)、後免疫抗HPV−11血清(グループ2)、前免疫抗VLP血清(グループ3)又は後免疫抗VLP血清)グループ4)のいずれかと37℃で1時間インキュベートした。グループ1と2は、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により既に記載されている中和コントロールであり、グループ3と4は試験グループであった。慣用の環状切除のために切除されているヒト包皮の調製品もボネズ等、1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されている。包皮を1×1mm四角に切り、用いる各包皮からの小数の断片を手早く凍結し貯えた。残っている断片を4つのグループに等分し、各グループをインキュベーション期間の終りで、4つのウイルス懸濁液−血清混合物の一つに添加した。混合物を37℃で1時間インキュベートした。各実験グループについて、1包皮断片を、BALB/cバックグラウンドの3匹の雌同腹仔合致4〜6週令無胸腺nu/nuマウス(タコニック・ファームス、ジャーマンタウン、NY)の各腎臓の腎ノウの下に置いた。実験を異なる包皮を用いて異なる日に繰り反した。従って、各実験グループについて、全12移植片を移植した。動物は、移植の12週後に犠牲に付し、この時点で移植片を取り出し処理した。(ボネズ等、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁参照、この開示を引用して明細書記載の一部とする)図面14に関して、移植片は、ここに記載されるように分析用に調製し、(1)前−および(2)後−免疫ウサギHPV−11全ウイルス粒子血清または(3)前−および(4)後−免疫ウサギHPV−11L1ウイルス様粒子血清のいずれかで前処理したウイルス溶解質を感染させた。黒丸は第一増殖実験に相当し、中空の丸は第二増殖実験に相当する。水平棒は平均GMDを示す。移植片大きさ比較用に、幾何学的平均直径(GMD)は、回収した移植片の長さ、幅および高さの積の立方根を取ることにより計算した。
【0048】
安楽死の時点で、−移植片を中和コントロール前−および後−免疫抗HPV−11処理グループの各々から除いた。従って、これらのグループの各々で分析に利用しうる移植片の数は11であった(Fig.14)。前−および後−免疫コントロールグループの移植片の中央〔範囲〕GMD(mm)はそれぞれ2.9〔1.0、4.9〕および1.3〔1.0、2.6〕であった。差、1.6mmは統計的に有意(P=0.004、マン−ホイットニィU試験)であった。全12の移植した移植片は、前−および後−免疫抗VLP抗体処理グループのいずれでも分析に利用できた(Fig.4)。移植片の中央〔範囲〕GMD(mm)は、それぞれ2.3〔1.3、4.2〕および1.0〔1.0、1.8〕であった。大きさの差、1.3mmは統計的に有意(p<10−4)であった。第一と第二実験との間の移植片の大きさの差は、前−免疫グループでは統計的に有意ではなかった(P=0.62)が、後−免疫グループでは有意(P=0.007)であった。従って、出願人は、各増殖実験での前−および後−免疫抗VLP抗体処理グループ間の移植片の差を比較した。両者は統計的に有意(第一および第二増殖についてそれぞれP=0.002およびP=0.04)であった。
【0049】
実施例X
ウイルスDNAの起原
HPV−11ゲノムDNAの起原(ボネズ等、1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)およびAc11L1組換えバキュロウイルスの構築(ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)は記載されている。HPV−16ゲノム配列をCINIII病巣から回収し、標準的クローニング方法を用いてAc16L1バキュロウイルスを構築した(チェスターズおよびマックカンス、未発表データ)。HPV−18LI配列をポリメラーゼ連鎖反応によりHPV−18原型(H.ツール・ハアゼンにより提供)から増幅し、Ac11L1の構築(ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)に用いたのと同じ操作によりAc18L1バキュロウイルスを構築するのに用いた。
【0050】
実施例XI
組換えVLPの精製
組換えVLPを、ローズ等、1993、「ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・ウイルス−ライク・パーティクルス(VLPs)・インデュース・ザ・フォーメーション・オブ・ニュートラライゼーション・アンチボディズ・アンド・デデクト・ジエニタル・HPV−スペシフィック・アンチボディズ・イン・ヒューマン・セラ」印刷中、(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されるように精製した。精製HPV−11、HPV−16、またはHPV−18VLPを含む単一バンドを注射器によりCsCl密度勾配から取り、緩衝液A(リン酸緩衝食塩水(PBS);1mM MgCl2;1mM CaCl2;1mM フェニルメチルスルホニルフルオリド(PMSF))で12mlに希釈し、4℃で100,000×gで90分間沈殿させた。ペレットを50%グリセロールを含む緩衝液A200μlに再懸濁し、スペクトル光度測定法(280nm)により定量し、20℃で貯えた。組換えL1蛋白は、既に記載されている(ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,67巻、1936−1944頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)ようにSDS−PAGEおよびウエスタンブロットイムノアッセイにより分析した。5μgの精製HPV−11、−16または−18VLPを含む試料を、既に記載されている(ストライク等、1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)ように、電気泳動に付し、ブロットし、そして抗パピローマウイルスL1(抗−PVL1)共通抗原ウサギ抗血清でプローブした。HPV−11、−16および−18L1開いた読み枠(ORF)の予報されたコード容量は、それぞれ501アミノ酸(ダートマン等、1986、バイロロジィ,151巻、124−130頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)、505アミノ酸(シードーフ等、1985、バイロロジィ,145巻、181−185頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)および507アミノ酸(コール等、1987、ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジィ,193巻、599−608頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)であり、予期された大きさ(〜55kD Mr)のL1−免疫反応性バンドがウエスタンブロットイムノアッセイにより試験した3つの試料調製物の各々に現れた(Fig.15)。低分子量L1免疫反応性蛋白が、CsCl精製VLP調製物のウエスタンブロットイムノアッセイによっても検出され(Fig.15)、これらの蛋白の相対量はその後の分析で変化した(データ示さず)ように、全長L1蛋白の崩壊生成物であるらしい。しかしながら、各試料での主な〜55kD MrL1免疫反応性バンドは、それらの可動性またはそれらの相対量のいずれも変化しなかった(データ示さず)。精製試料の電子顕微鏡(2%リンタングステン酸により染色しない)は、HPV−11(Fig.16A)、HPV−16(Fig.16B)およびHPV−18(Fig.16C)VLP調製物でVLP形成を確認した。
【0051】
実施例XII
ウサギVLP免疫血清の調製およびELISAの条件
HPV−11、HPV−16およびHPV−18L1 VLPウサギ免疫血清は、2匹のニュージーランド白ウサギを、既に記載された方法(ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁、ローズ等、1993、ジャーナル・オブ・バイロロジィ、これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)を用いて、各VLP調製物で2部位で筋肉内に免疫化することにより調製した(即ち、6匹のウサギを免疫化した)。ウサギ抗PVL1共通抗原(ストライク等、1989、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,70巻、543−555頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)、HPV−11全ビリオン(ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)並びにHPV−11、−16および−18VLP抗血清を3つの組換えVLP調製物に対するELISAで試験した(Fig.17)。本ELISAに関して、精製VLPをPBS中10ng/μlの濃度に希釈し、約1μgの抗原中またはPBSのみを含むアリコートを交互系列の96−ウエルELISAプレートに分与した。アッセイの条件は、試験前に、遮断溶液中に希釈(2%v/v)した非組換え(AcNPV)バキュロウイルス感染Sf−9細胞溶解質で一次抗血清を前吸収した以外は、正確に既に記載された(ローズ等、1993、「ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・ウイルス−ライク・パーティクルス(VLPs)・インデュース・ザ・フォーメーション・オブ・ニュートラライジング・アンチボディズ・アンド・ディテクト・ジェニタルHPV−スペシフィック・アンチボディズ・イン・ヒューマン・セラ」、印刷中、この開示を引用して明細書記載の一部とする)通りであった。全抗血清を、1:1000から1:128,000までの範囲の希釈で、数多くの場合に、2回試験した。Fig.17に示される全てのウサギ抗VLP抗血清についての吸収値は、これらの抗血清の1:16,000の最適希釈で得た。抗PVL1共通抗原およびHPV−11全ビリオンウサギ抗血清の吸収値は低希釈(1:1,000)で得た。特異的吸収値は各2回について実験値(抗原含有ウエル)からコントロール値(PVSウエル)を引くことにより決定し、平均(405nm)吸収値を決定した。
【0052】
実施例XIII
VLP ELISA
VLPをELISAイムノアッセイで試験して、患者血清中、特異抗体を検出する能力を評価し、結果をHPV−11全ビリオンエンザイムイムノアッセイで同一血清を用いて既に得られた結果(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)と比較した。抗原をリン酸緩衝食塩水(PBS)に希釈して既知の全ビリオンELISAで用いた量のそれ(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)に等しい量とし、抗原溶液または抗原のないPBSのいずれかを交互系列の96ウエルプレートにアリコートした。4℃で16時間コーチング後、これらの溶液を吸収して、ウエルを室温で2時間、希釈/遮断溶液(カークガード・アンド・ペリィ・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド、ガイサーズバーグ、MD)でブロックした。HPV−11全ウイルス粒子ELISA(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)により予め試験した59人のヒト血清(43患者、16コントロール)の全てを希釈/遮断溶液中に1:100希釈し、100μlアリコートをPBSのみで、または抗原溶液で処理したウエルに加えた(血清試料当り2回)。プレートを室温で90分間インキュベートし、次いで4回洗浄した(洗浄溶液、カークガード・アンド・ペリィ・ラボラトリーズ・インコーポレーテッド、ガイサーズバーグ、MD)。抗ヒトIgGアルカリホスファターゼ接合体(100μlアリコート、1:5000希釈、タゴ、バーリンゲーム、CA)を各ウエルに加えてプレートを室温で90分間インキュベートした。プレートを4回洗浄し、アルカリホスファターゼ基質(ジエタノールアミン緩衝液中p−ニトロフェニルリン酸)で発達させた各血清試料の405nmでの特異吸収は、各2回、抗原含有ウエルから得た値から、PBS処理ウエルから得た値を引くことにより計算して、平均増殖差を計算した。本明細書中のどこかで検討した全ビリオンELISAで、42名の患者血清(および20名コントロール血清)を処理のコースの間のカプシド抗体濃度の変化について分析した(ボネズ等、1993、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,39巻、340−344頁、この開示を引用して明細書記載の一部とする)。本ELISA研究で試験した全ての血清は、これまでの研究に加えて収集された。次いでこれまでの研究で分析された患者血清の一つを、処理結果に関連するがイムノアッセイの結果には関連しない理由で除去した。しかしながら、この血清の吸収値は利用しうるので、血清は本アッセイに含め、これによって本ELISA研究で分析した患者血清の数は43に増加した。分析したコントロール血清の数は、アッセイに関係する理論的考慮の結果、20から16に減じた。
【0053】
OD値として示される、16コントロール血清の中央〔範囲〕血清反応性(seroreactivity)は、43名の患者血清についての0.024〔−0.063、0.512〕に比べて0.005〔−0.029、0.025〕で、統計的に有意差(P=0.01;マン−ホワイトニィU試験)があった。カットフとしてのコントロールグループでの高いOD値を用いると、アッセイの感受性は49%(P=2×104;フィシャーの正確試験)であった。従って、HPV−11ELISAは、コンジューム刺針による患者とコントロールとを識別することができた。さらに、全血清を含む場合、またはHPV−11VLP ELISAで陽性の21血清のみを考慮した場合(r=0.87;P<10−6)、HPV−11VP LELISAおよびHPV−11ビリオンELISAによる試料血清反応性の間には、すぐれた相関があった(パーソンの生成物モーメントr=0.87;p<106)。
【0054】
結果
免疫学的観察は、組換えL1が自生のコンフォーメーションをとることを示唆する。変性L1共通抗体を作るウサギ抗血清は、変性組換えL1とのみ免疫反応性であった(すなわち、ウエスタンブロットによる)が、一方、未変性全ウイルス粒子を作るウサギ抗血清は、未変性組換えL1とのみ反応した(すなわち、イムノドットブロットによる)。さらに、ホネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・トゥ・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンディロマタ・アキュミナタ」,1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−1347頁、によるELISAでHPV−11ビリオンと反応性であった尖圭コンジロームの患者からのヒト血清も、未変性HPV−11組換えL1と反応した(Fig.4、8および9)。従って、本発明のVLPの配座エピトープは自生のHPV−11ビリオンに存在するものと類似であるように見え、そしてそれらは自然感染の間にヒト免疫系により認識される。パピローマウイルス血清学の幾つかの研究は、配座エピトープ抗体特異性がパピローマウイルス感染の良好な指標であることを示す(ボネズ等、「ユーズ・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ・イン・アン・エライザ・トゥ・デテクト・スペシフィック・アンチボディーズ・イン・ヒューマンズ・ウィズ・コンジィロマタ・アクミナタ」,1991、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,72巻、1343−14347頁;ボネズ等、「エボリューション・オブ・ジ・アンチボディーズ・レスポンス・トゥ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・イン・ペイシェンツ・ウィズ・コンジローマ・アクミナツム・アコーディング・トゥ・トリートメント・レスポンス」,1991、ジャーナル・オブ・メディカル・バイロロジィ,1991、印刷中;ボネズ等;「アンチボディーメディエイテッド・ニュートラリゼイション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」,1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス、165巻、376−380頁;クリステンセン等、「デテクション・オブ・ヒューマン・セルム・アンチボディーズ・ザット・ニュートラライズ・インフェクティアス・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ」,1992、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,73巻、1261−1267頁;キーンズラー等、「ヒューモラル・アンド・セル−メディエイテッド・イムニティ・ツー・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ1(HPV−1)・イン・ヒューマン・ウォーツ」,1983、ブリティッシュ・ジャーナル・オブ・ダーマトロジィ,108巻、665−672頁;およびスティール等、「ヒューモラル・アッセイズ・オブ・ヒューマン・セラ・トゥ・ディスラップド・アンド・ノンディスラップド・エピトープス・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ1」,1990、バイロロジィ,174巻、388−398頁、これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)。これらの特異性はウイルス発生学で有意な役割を演ずることもできる。例えば、全HPV−11粒子に向けられたウサギ抗血清は、HPV−11感染性を中和する(ボネズ等、「アンチボディー−メディエイテッド・ニュートラリゼイション・オブ・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11(HPV−11)・インフェクション・イン・ザ・ヌード・マウス:デテクション・オブ・HPV−11 mRNAs・バイ・ザ・ポリメラーゼ・チェイン・リアクション」,1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁;およびクリステンセン等、「アンチボディー−メディエイテッド・ニュートラリゼイション・イン・ビボ・オブ・インフェクティアス・パピローマウイルス」,1990、ジャーナル・オブ・バイロロジィ,64巻、3151−3156頁)。さらに、クリステンセン等、「デテクション・オブ・ヒューマン・セルム・アンチボディーズ・ザット・ニュートラライズ・インフェクティアス・ヒューマン・パピローマウイルス・タイプ11・ビリオンズ」,1992、ジャーナル・オブ・ジェネラル・バイロロジィ,73巻、1261−1267頁は、ヒト血清を用い、抗全HPV−11ビリオン抗体と血清中和活性との相関を報告した。本発明の組換えLIVLPを有するそのような抗体は、診断および機能の重要性を有することができる。
【0055】
組換えバキュロウイルスの構築を考慮した場合、発明者が構築した初期の組換えバキュロウイルスのあるものは、正しいL1コード配列を有したが、検出可能程度のL1蛋白を生成していなかった。このことは発明者にHPV−11および幾つかの他のHPVL1コード配列の3'未翻訳部分を検査させることとなった。ペンタヌクレオチドmRNA崩壊シグナル配列、AUUUA、(ショー G.およびケイメン R.、「ア・コンサーブドAU・シーケンス・フロム・ザ3'・アントランスレイテッド・レジオン・オブ・GM−CSFmRNAメディエイツ・セレクティブmRNA・デテクション」、セル,1986,46巻、659−67頁;コールMD.およびマンゴSE.、「シス−アクティング・デターミナンツ・オブ・c−myc mRNA・スタビリティ」,1990、エンザイム,44巻、167−80頁;シューAB.等、「ツー・ディスティンクト・デスタビライジング・エレメンツ・イン・ザ・c−fos・メッセージ・トリガー・デアニレイション・アズ・ア・ファースト・ステップ・イン・ラピットmRNAデケイ」、ジーンズ・アンド・デベロップメント,1991,5巻、221−31頁;サバント−ボンセイルS.およびクリーブランドDW.、「エビデンス・フォア・インスタビリティ・オブ・mRNAs・コンテイニングAUUUA・モチーフス・メディエイテッド・スルー・トランスレイション−デペンデント・アセンブリィ・オブa:20sデグラディション・コンプレックス」、ジーンズ・アンド・デベロップメント,1992,6巻、1927−37頁、これらの開示を引用して明細書記載の一部とする)はHPV−11L1コード配列の停止コドンの30ヌクレオチドにあること、さらに、検査した他のHPV型が同様にL1停止コドンの近くにAUUUA配列を有することが測定された。もこの配列を除くか、または変異を導入すれば、L1蛋白の発現濃度を増加できるであろう。従って、クローンのための制限酵素部位を取り込むだけでなく、L1停止コドンから30ヌクレオチド下流のAUUUAペンタヌクレオチドをも変異するHPV−11ゲノムDNAからのL1コード配列を増幅するPCRプライマーを設計した。本クローンのスケールアップは非常に高濃度のL1蛋白を生成した。BEVSシステムを用いる報告は、細胞培養の300−500mg/リットルの範囲で組換え蛋白生成の濃度を与えた。本発明においては、組換えL1蛋白生成の程が非常に高く、約600−800mg/リットルで、多分、3'未翻訳部分のL1崩壊シグナル配列の除去による。
【0056】
これらの結果は、同様の実験条件下、HPV−11VLPで免疫したウサギからの後免疫血清が、HPV−11全ビリオンで免疫したウサギから得た血清と同じように有効にヒト組織のHPV−11感染をブロックできることを示す。各前免疫血清では観察できなかった遮断は、初期のウイルス遺伝子発現の不存在と関連した。従って、その効果は、典型的なウイルス中和、すなわちウイルス侵入または脱カプシド化(decapsidation)と一致した(ジモック,1993、ニュートラリゼイション・オブ・アニマル・ウイルシス、ヘルリン:シュピングラー−ファーラク、この開示を引用して明細書記載の一部とする)。
ウイルス遺伝子発現の分析によるHPV−11中和の確認を得るために、全移植片は、ボネズ等、1992、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディジージス,165巻、376−380頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)に既に記載されるように、HPV−11E1^E4スプライスmRNA転写物の存在について分析した(データ示さず)。E1^E4mRNAを、前または後免疫VLP血清で前処理したグループからの移植片の10/12(83%)および0/12(0%)に検出した。それぞれ(p<10−4)。同様に、前または後免疫抗全ビリオン血清で前処理したコントロールグループについて、E1^E4mRNAは8/11(73%)および0/11(0%)移植片に検出した、それぞれ(P=10−3)。これらの結果は、後免疫VLP血清によるウイルス接種物の処理は移植片生育およびウイルス遺伝子発現の顕著な阻害と関連すること、免疫中和と一致する効果を示す。すなわち、組換えVLPは、感染ウイルスによる免疫によって得た反応に類似する中和反応を大きく誘発できる。
【0057】
ゾー等、1991、バイロロジィ,185巻、251−257頁(この開示を引用して明細書記載の一部とする)により記載されたHPV16L1−L2 VLPは、大きさが、変化しやすく、HPVビリオン(50−55)またはバキュロウイルス生成HPV11VLP(50−55nm;ローズ等、印刷中、この開示を引用して明細書記載の一部とする)よりも小さかった(直径35−40nm)。これらの形態学的特性は、本発明において記載されるVLPのものと全く異なる。さらに、本発明の方法を用い、HPV L1蛋白のみが、その生物物理学的特性と抗原性質が天然のHPVビリオンのものを密接に反映する粒子の形成に十分なものである。
【0058】
同様の方法を用いて、カーンバウアーらは、抗BPV−1VLP抗体によるインビトロのマウスC127細胞のBPV−1−媒介形質導入の阻害を報告している(カーンボウアら、プロシーディングズ・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズUSA89巻12180−12184頁(1992年)、ここに引用することによって、この開示を明細書の記載とする)。その系で得られた結果は本発明で開示された結果を支持するものであり、その結果において、発明者らは生殖器のHPVおよびその正常な標的組織を用いて中和を証明している。BPV−1/C127細胞試験と無胸腺マウス雄牛仔牛皮膚異種移植系からの結果の一致は、先の開示として報告され(ギムら、インターナショナル・ジャーナル・カンサー49巻285−289頁(1993年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)、BPV−1/C127マウス腺維芽細胞系は非−産生であり、従って、中和はインビトロでの形質導入物の不存在からのみ推論し得る。さらに、BPV−1は自然にはマウスに感染しないし、C127細胞に入り得るメカニズムは天然の感染過程に関与しているメカニズムとは異なっているかもしれない。反対に、今回の研究で用いられた無胸腺マウスモデルはクライダーら(ネイチャー317巻639−641頁(1985年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)によりすでに報告された、天然の標的組織の生殖器HPVによる感染によるものであり、感染した移植片はインビボで維持され、感染移植片の形態学的および組織学的変換は感染性ビリオンの産生を伴う(クライダーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻590−593頁(1987年)参照、その開示をここに引用して明細書の記載とする)。ボネら、ジャーナル・オブ・インフェクティアス・ディスイージーズ165巻376−380頁(1992年);クリステンセンら、ジャーナル・オブ・ビロロジー64巻3151−3156頁(1990年);クリステンセンら、ウィルス・リサーチ21巻169−179頁(1991年);クリステンセンら、ジャーナル・オブ・ビロロジー64巻5678−5681頁(1990年);およびクリステンセンら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー73巻1261−1267頁(1992年)による既報の抗体媒介移植片成長阻害、その開示をここに引用して明細書の記載とする。ウイルス性遺伝子発現の阻害の免疫細胞化学的および分子生物学的証拠は、ボネら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー72巻1343−1347頁(1991年);およびボネら、インターナショナル・インフェクティアス・ディスイージーズ165巻376−380頁(1992年)によりすでに報告されたように十分に実証されており、その開示をここに引用して明細書の記載とする。したがって、無胸腺マウス系でなされた観察は、自然感染で生じる事象をより正確に反映し得る。
【0059】
HPV−11に対する抗体の中和は、クリステンセンら(ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー73巻1261−1267頁(1992年)(その開示を引用して明細書の記載とする)による既報のように尖圭コンジロームを有するひとにおいて確認されているが、がそれらの生物学的意義は不明である。もし、中和がインビボにおけるパピローマウイルス感染に対する防御免疫学的エフェクターメカニズムであることを証明するならば、ついで、組換VLPsでの免疫化は感染の危険がある人達に防御免疫を授け得る。発明者らの結果はHPV−11 VLP抗体の中和活性の重要性はHPV−11感染性ビリオンに特異的な抗体の重要性と同様であることを示唆している。従って、VLPsは良好なワクチンの候補であると思われる。しかしながら、異なるHPV−型類間でのカプシド立体配座的決定基の交差反応程度は未だ未知であり、既報のギスマンら(ビロロジー76巻569−580頁(1977年);グロスら、Ongogenic Viruses,Pergamon版ニュヨーク(1983年);ヘージェンシーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー67巻315−322頁(1993年);ホーリーら(「パピローマウイルス属およびそれらの複製」B.N.フィールドおよびD.M.ナイプ編58章1625−1650頁)、ビロロジー第2版2巻Raven版ニュヨーク(1990年)カーンバウアーら、プロシーディング・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンスィズUSA89巻12180−12184頁(1992年);クライダーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻590−593頁(1987年);クライダーら、ネイチャー317巻639−641頁(1985年);およびオースら、ジャーナル・オブ・ビロロジー24巻108−120頁(1977年)(その開示をここに引用してこの明細書の記載とする)に記載のように、それは低いのかもしれない。生殖器HPV疾患の防御のための免疫源としての使用のための組換VLPsの可能性の十分な特徴付けは他の生殖器のHPV型類から誘導されるVLPsに関連するさらなる検討が必要である。異種生殖器のHPV VLPsがHPV感染を中和し得るかどうかを決定することが、特に重要である。
【0060】
Fig.17に関して、HPV全ウイルス粒子(B)およびHPV−11 VLP抗血清(C、D)はHPV−11 VLPsと強く反応したが、これらの抗血清のいずれもHPV−16またはHPV−18調製物とは反応しなかった。同様に、HPV−16(E、F)およびHPV−18(G、H)L1 VLPうさぎ抗血清は体軸をなす (homotypic)VLPsとのみ反応した。これらの反応の特異性は前吸着実験において立証され、その中で、各うさぎVLP抗血清の免疫反応性は体軸をなしている(homotypic)が異型(heterotypic)でないVLPsによる前吸着により放棄された(データは示さず)。抗PVL1コモンアンティジェン抗血清はウエスタンイムノブロッティングによる組換L1蛋白と十分反応する(Fig.15)が、これはELISAにおいて、天然のVLP調製物とわずかに反応するのみである(Fig.17)。この結果はこの抗血清によって普通に認識されるエピトープはELISA試験法の条件下で遮蔽されており、この試験法で試験されたL1蛋白は明らかに非−変性であることを示唆している。
【0061】
本発明はHPV−11、−16および−18のL1 VLPエピトープは明らかに抗原的であることを示している。L2カプシド蛋白はこれらのVLP調製物中には存在しないが、HPV類型間で観察された違いはまた、ビリオンにもあてはまる可能性がある。L2はHPV粒子の総蛋白含有量の約10%であり(ドアバーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー61巻2793−2799頁(1987年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)、粒子内における正確な位置は決定されていない(ベーカーら、バイオフィジカル・ジャーナル60巻1445−1456頁(1991年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)が、最近の研究はDNAカプシド封入のためにそれが必要であり、ズーら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー74巻763−768頁(1993年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)HPV−16 L2アミノ酸配列の比較的維持されるアミノ末端部分における大部分の存在が、非特異的DNA結合を成立させる(ズーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー68巻619−625頁(1994年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)ことを示唆している。L2アミノ酸配列の残りはパピローマウイルス間で非常に種々雑多である(ダノスら、ジャーナル・オブ・インベスティゲイティブ・デルマトロジー83巻7−11頁(1990年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)が、L2−特異的抗体が完全なビリオンと反応するかどうかは明らかでない(コムリーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー60巻813−816頁(1986年);ヘーガンシーら、ジャーナル・オブ・ビロロジー67巻315−322頁(1993年)、その開示をここに引用して明細書の記載とする)。すなわち、L2蛋白は本研究の結果を実質的に変えるとは思えない。
【0062】
過去の研究は種々のHPV型が血清学の技術を用いてお互いに区別し得ることを示している。例えば、足底いぼビリオンと反応する抗体は、通常の平板な肛門性器のまたは喉頭いぼのいずれかの患者の血清よりも、通常、足底いぼの患者の血清により多く見られる(ピフィスターおよびスル・ホーセンら、インターナショナル・ジャーナル・カンサー21巻161−165頁(1978年);キーンズラーら、ブリテッシュ・ジャーナル・オブ・デルマトロジー108巻665−672頁(1983年);およびビアクら、ジャーナル・オブ・メディカル・ビロロジー32巻18−21頁(1990年)、ここに引用してこの明細書の記載とする)。アニシモバら(1990年)もまたHPV−1およびHPV−2が抗原的に区別されることを、電子顕微鏡によって直接示している。しかしながら、他のHPV型もまた抗原的関係があるようである。例えば、公示されているHPV−6感染の患者からの血清中のHPV−11ビリオンを特異的に認識する抗体の検出はすでに報告されている(ボネら、ジャーナル・オブ・ジェネラル・ビロロジー72巻1343−1347頁(1991年);およびボネら、ビロロジー188巻384−387頁(1992年);ここに引用してこの明細書の記載とする)。ほとんどのHPV型からのHPVビリオンの入手ができないことから、VLPsが、現在では、HPV類間の抗原親近性を調べるための利用し得る最も良い材料である。HPV型類間の抗原的相違はL1コード配列内の遺伝的多様性に反映しているようである。チャンらはパピローマウイルスL1アミノ酸配列の限られた範囲内での遺伝的相違に基づいたパピローマウイルスの系統発生的樹木を作成した(チャンら、ジャーナル・オブ・ビロロジー66巻5714−5725頁(1992年)、ここに引用してこの明細書の記載とする)。かれらの研究はHPV−6およびHPV−11間の比較的近い進化論的関係を示し、これはHPV−6およびHPV−11カプシド間の潜在的交差反応性に一致する。他方、HPV−16およびHPV−18は、それらのL1配列において非常に異なっており、お互いに、またはHPV−11とほとんど抗原的交差反応性がないものと思われる。これらの推論は本発明の結果と一致する。
【0063】
HPVカプシド抗原性変化の生物学的関連性は不明であるが、カプシド蛋白の相違はパピローマウイルス組織特異性で説明できる。パピローマウイルスの多様性から組換えVLPsの利用が推定的宿主および組織特異的分子レセプターの同定に有効かもしれない。さらに、VLPsはHPV類の抗原的特徴の輪郭的説明およびこれらのウイルスに対する免疫応答の研究の実行に有用であることを証明し得る。
本発明の理解を明確にするために、ある程度詳細に具体例および実施例により記載したが、特許請求の範囲内において、ある程度の変更および修正は行われ得ることは自明のことである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
細胞中でパピローマウイルスカプシド蛋白の発現を容易にする条件下、パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を含む組換え発現ベクターで細胞を形質導入することを含む、細胞中でのパピローマウイルスのカプシド蛋白コード配列発現方法。
【請求項2】
上記組換え発現ベクターがバキュロウイルス発現系である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記カプシド蛋白コード配列がL1蛋白コード配列、そのフラグメントまたは部分である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記パピローマウイルスが動物およびひとパピローマウイルスからなる群から選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記パピローマウイルスが生殖器ひとパピローマウイルス型である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
上記ひとパピローマウイルスが、HPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8からなる群から選ばれるものである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記ひとパピローマウイルスが、HPV−11である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
上記ひとパピローマウイルスが、HPV−6である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
上記細胞が、原核細胞および真核細胞からなる群から選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
上記細胞が哺乳動物細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
上記細胞が昆虫細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
上記形質導入段階が感染によるものである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
上記L1蛋白コード配列が、5個のヌクレオチドであるmRNA分解シグナル配列AUUUAの突然変異または欠失したものを含むものである、請求項3記載の方法。
【請求項14】
昆虫細胞でのパピローマウイルスのカプシド蛋白コード配列発現方法であって、
パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を、バキュロウイルス転移ベクター中にクローニングすること;
上記バキュロウイルス転移ベクターおよびオートグラフィカ・カリホルニカ核多面体(polyhedrosis)ウイルスゲノムDNAを昆虫細胞に同時形質導入すること、
組換えバキュロウイルスを回収すること、
細胞中で上記カプシド蛋白の発現を容易にする条件下、上記組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
上記カプシド蛋白コード配列がL1蛋白コード配列である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
上記昆虫細胞がSf−9細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
上記パピローマウイルスがひとパピローマウイルスである、請求項14記載の方法。
【請求項18】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−11である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
請求項1または14記載の方法により製造された組換えパピローマウイルスカプシド蛋白。
【請求項22】
請求項21記載の組換えカプシド蛋白から産生したパピローマウイルスウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分。
【請求項23】
天然の感染パピローマウイルス粒子の抗原的特徴に類似する、パピローマウイルスの組換えカプシド蛋白から産生したパピローマウイルスウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分。
【請求項24】
上記カプシド蛋白が、L1蛋白コード配列、そのフラグメントまたは部分によってコードされている、請求項23記載のウイルス−様粒子。
【請求項25】
上記L1蛋白コード配列がバキュロウイルス発現系を用いて、細胞中で発現されるものである、請求項24記載のウイルス様−粒子。
【請求項26】
上記パピローマウイルスが、ひとおよび動物パピローマウイルスからなる群から選ばれるものである、請求項23記載のウイルス様−粒子。
【請求項27】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8である、請求項26記載のウイルス様−粒子。
【請求項28】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−11である、請求項27記載のウイルス様−粒子。
【請求項29】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6である、請求項27記載のウイルス様−粒子。
【請求項30】
パピローマウイルス・ウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分の製造方法であって、
パピローマウイルスカプシド蛋白配列の発現を容易にする条件下、上記カプシド蛋白コード配列を含む組換え発現ベクターを細胞に感染させ、それによって上記ウイルス様−粒子を製造することを特徴とする方法。
【請求項31】
上記組換え発現ベクターがバキュロウイルス発現系である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
上記パピローマウイルスがひとパピローマウイルスである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−11である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6である、請求項33記載の方法。
【請求項36】
上記カプシド蛋白コード配列がL1蛋白コード配列である、請求項30記載の方法。
【請求項37】
上記細胞が昆虫細胞である、請求項30記載の方法。
【請求項38】
上記L1蛋白コード配列が、5個のヌクレオチドであるmRNA分解シグナル配列AUUUAの突然変異または欠失したものを含むものである、請求項36記載の方法。
【請求項39】
パピローマウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分の製造方法であって、
パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を、バキュロウイルス転移ベクター中にクローニングすること;
上記バキュロウイルス転移ベクターおよびオートグラフィカ・カリホルニカ核多面体(polyhedrosis)ウイルスゲノムDNAを昆虫細胞に同時形質導入すること、
組換えバキュロウイルスを回収すること、および
上記蛋白の発現を容易にする条件下、上記組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させること、それによって上記ウイルス様−粒子を製造すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項30または39記載の方法により製造されたパピローマウイルス・ウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分。
【請求項1】
細胞中でパピローマウイルスカプシド蛋白の発現を容易にする条件下、パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を含む組換え発現ベクターで細胞を形質導入することを含む、細胞中でのパピローマウイルスのカプシド蛋白コード配列発現方法。
【請求項2】
上記組換え発現ベクターがバキュロウイルス発現系である、請求項1記載の方法。
【請求項3】
上記カプシド蛋白コード配列がL1蛋白コード配列、そのフラグメントまたは部分である、請求項1記載の方法。
【請求項4】
上記パピローマウイルスが動物およびひとパピローマウイルスからなる群から選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項5】
上記パピローマウイルスが生殖器ひとパピローマウイルス型である、請求項4記載の方法。
【請求項6】
上記ひとパピローマウイルスが、HPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8からなる群から選ばれるものである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
上記ひとパピローマウイルスが、HPV−11である、請求項6記載の方法。
【請求項8】
上記ひとパピローマウイルスが、HPV−6である、請求項6記載の方法。
【請求項9】
上記細胞が、原核細胞および真核細胞からなる群から選ばれるものである、請求項1記載の方法。
【請求項10】
上記細胞が哺乳動物細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項11】
上記細胞が昆虫細胞である、請求項1記載の方法。
【請求項12】
上記形質導入段階が感染によるものである、請求項1記載の方法。
【請求項13】
上記L1蛋白コード配列が、5個のヌクレオチドであるmRNA分解シグナル配列AUUUAの突然変異または欠失したものを含むものである、請求項3記載の方法。
【請求項14】
昆虫細胞でのパピローマウイルスのカプシド蛋白コード配列発現方法であって、
パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を、バキュロウイルス転移ベクター中にクローニングすること;
上記バキュロウイルス転移ベクターおよびオートグラフィカ・カリホルニカ核多面体(polyhedrosis)ウイルスゲノムDNAを昆虫細胞に同時形質導入すること、
組換えバキュロウイルスを回収すること、
細胞中で上記カプシド蛋白の発現を容易にする条件下、上記組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項15】
上記カプシド蛋白コード配列がL1蛋白コード配列である、請求項14記載の方法。
【請求項16】
上記昆虫細胞がSf−9細胞である、請求項14記載の方法。
【請求項17】
上記パピローマウイルスがひとパピローマウイルスである、請求項14記載の方法。
【請求項18】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8である、請求項17記載の方法。
【請求項19】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−11である、請求項18記載の方法。
【請求項20】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6である、請求項18記載の方法。
【請求項21】
請求項1または14記載の方法により製造された組換えパピローマウイルスカプシド蛋白。
【請求項22】
請求項21記載の組換えカプシド蛋白から産生したパピローマウイルスウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分。
【請求項23】
天然の感染パピローマウイルス粒子の抗原的特徴に類似する、パピローマウイルスの組換えカプシド蛋白から産生したパピローマウイルスウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分。
【請求項24】
上記カプシド蛋白が、L1蛋白コード配列、そのフラグメントまたは部分によってコードされている、請求項23記載のウイルス−様粒子。
【請求項25】
上記L1蛋白コード配列がバキュロウイルス発現系を用いて、細胞中で発現されるものである、請求項24記載のウイルス様−粒子。
【請求項26】
上記パピローマウイルスが、ひとおよび動物パピローマウイルスからなる群から選ばれるものである、請求項23記載のウイルス様−粒子。
【請求項27】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8である、請求項26記載のウイルス様−粒子。
【請求項28】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−11である、請求項27記載のウイルス様−粒子。
【請求項29】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6である、請求項27記載のウイルス様−粒子。
【請求項30】
パピローマウイルス・ウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分の製造方法であって、
パピローマウイルスカプシド蛋白配列の発現を容易にする条件下、上記カプシド蛋白コード配列を含む組換え発現ベクターを細胞に感染させ、それによって上記ウイルス様−粒子を製造することを特徴とする方法。
【請求項31】
上記組換え発現ベクターがバキュロウイルス発現系である、請求項30記載の方法。
【請求項32】
上記パピローマウイルスがひとパピローマウイルスである、請求項30記載の方法。
【請求項33】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6、HPV−11、HPV−16、HPV−18、HPV−33、HPV−35、HPV−5およびHPV−8である、請求項32記載の方法。
【請求項34】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−11である、請求項33記載の方法。
【請求項35】
上記ひとパピローマウイルスがHPV−6である、請求項33記載の方法。
【請求項36】
上記カプシド蛋白コード配列がL1蛋白コード配列である、請求項30記載の方法。
【請求項37】
上記細胞が昆虫細胞である、請求項30記載の方法。
【請求項38】
上記L1蛋白コード配列が、5個のヌクレオチドであるmRNA分解シグナル配列AUUUAの突然変異または欠失したものを含むものである、請求項36記載の方法。
【請求項39】
パピローマウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分の製造方法であって、
パピローマウイルスカプシド蛋白コード配列を、バキュロウイルス転移ベクター中にクローニングすること;
上記バキュロウイルス転移ベクターおよびオートグラフィカ・カリホルニカ核多面体(polyhedrosis)ウイルスゲノムDNAを昆虫細胞に同時形質導入すること、
組換えバキュロウイルスを回収すること、および
上記蛋白の発現を容易にする条件下、上記組換えバキュロウイルスを昆虫細胞に感染させること、それによって上記ウイルス様−粒子を製造すること、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項40】
請求項30または39記載の方法により製造されたパピローマウイルス・ウイルス様−粒子、そのフラグメント、カプソメアまたは部分。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2010−99091(P2010−99091A)
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−23691(P2010−23691)
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2006−277056(P2006−277056)の分割
【原出願日】平成6年3月8日(1994.3.8)
【出願人】(506342682)ユニバーシティ・オブ・ロチェスター (3)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月5日(2010.2.5)
【分割の表示】特願2006−277056(P2006−277056)の分割
【原出願日】平成6年3月8日(1994.3.8)
【出願人】(506342682)ユニバーシティ・オブ・ロチェスター (3)
【Fターム(参考)】
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