ひび割れ制御方法、ひび割れ長設定具、及びひび割れ制御装置

【課題】試験片の厚さが厚い場合、試験片がかなり大きい場合や比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合でもひび割れの長さを容易に制御することを可能とする。
【解決手段】矩形体の一側面3c中央部に他側面3dへ向けて所定長さの切欠き溝13を形成した試験片3にひび割れ15を形成するひび割れ制御方法であって、試験片3の一側面3cと他側面3dとの間で切欠き溝13の開きを規制する方向から試験片3の側面に圧縮荷重P0を負荷し、切欠き溝の両側位置で矩形体の一側面を2点支持し、他側面に前記切欠き溝13に向けた荷重P1を2点支持に対して負荷し、2点支持及び荷重P1による3点曲げを試験片3に与えて切欠き溝13からひび割れ15を発生させるひび割れ制御方法としたことを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験片に予めひび割れを負荷するひび割れ制御方法、ひび割れ長設定具、及びひび割れ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ひび割れの進展に関する材料強度を知るために、種々の破壊力学用試験片が利用されている。中でも代表的なものは、コンパクト引張標準試験片(以下「CT試験片」という。)である。
【0003】
この CT試験片が金属のような延性材料の場合は自然割れであるひび割れを疲労試験により容易に導入することができる。しかし、CT試験片がセラミックスのような脆性材料である場合は、「破壊靱性の試験法」(非特許文献1)に示す通りひび割れの制御は困難であった。
【0004】
これに対し、本願出願人は、「亀裂導入装置、亀裂導入冶具及び亀裂導入方法」を提案した。これはヤング率の異なる材料の圧縮時に誘起する摩擦力を利用してひび割れ(亀裂)の長さ制御を行なう手法である。(特許文献1)
この手法では、試験片の切欠き溝を広げる方向に引張力を与えて切欠き溝からひび割れを発生させ、切欠き溝が存在する面に試験片のヤング率よりも大きな値のヤング率を持つ加圧板を配置する。この加圧板に圧縮荷重を負荷し、加圧板と接する試験片の接触面に圧縮の摩擦力を誘起させることにより、ひび割れの長さ制御を行う。このため、導入されるひび割れは、圧縮の摩擦力を発生する加圧板の材質や大きさに依存する。したがって加圧板に対する試験片の大きさと強度に依存することになり、比較的厚さが薄い試験片や強度の低い試験片について、ひび割れの導入が可能であった。
【0005】
これに対し、試験片の厚さが厚い場合や試験片がかなり大きい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合には、ひび割れの長さを自由に制御することができなかった。
【0006】
一方、コンクリート構造物では,コンクリートの乾燥収縮によるひび割れが生じることを前提として設計や施工が行われている。このため発生するひび割れが大きな欠陥となる場合、構造物の耐久性欠如を招くことになるのでひび割れ補修材料が数多く開発されている。
【0007】
ひび割れの補修は,ひび割れの調査結果に基づいてひび割れの状況を把握し、補修の目的に適した方法を採用する必要がある。そのため、ひび割れ補修材料の評価にあたってはコンクリート試験片にひび割れを形成する必要がある。
【0008】
しかし、コンクリート試験片は脆性材料である上に比較的厚さが厚く、寸法が大きくなりがちであるため、試験片にひび割れを導入しようとした場合、先に提案した技術ではひび割れを試験片内に留めることができなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2007−155665号公報
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】セラミックス基礎講座1、セラミックス実験、内田老鶴圃出版(平成13年4月25日)、p.153.)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
解決しようとする問題点は、試験片の厚さが厚い場合、試験片がかなり大きい場合や比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合等には、ひび割れの長さを制御することができなかった点である。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、試験片の厚さが厚い場合や、試験片がかなり大きい場合や比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合等でもひび割れの長さを制御するため、矩形体の一側面中央部に他側面へ向けて所定長さの切欠き溝を形成した試験片にひび割れを形成するひび割れ制御方法であって、前記試験片の一側面と他側面との間で前記切欠き溝の開きを規制する方向から該試験片の側面に圧縮荷重を負荷し、前記切欠き溝の両側位置で前記試験片の一側面を2点支持し、前記他側面に前記切欠き溝に向けた中央荷重を前記2点支持に対して負荷し、前記2点支持及び中央荷重による3点曲げを前記試験片に与えて前記切欠き溝からひび割れを発生させ、又は、前記試験片に前記切欠き溝を開く方向に荷重を与えて前記切欠き溝からひび割れを発生させることをひび割れ制御方法の特徴とする。
【0013】
本発明は、前記ひび割れ制御方法に用いるひび割れ長設定具であって、前記矩形体の側面に当接させる第1、第2加圧部と、前記第1、第2加圧部を近接する方向に移動させて前記圧縮荷重を負荷する加圧駆動部とを備えたことをひび割れ長設定具の特徴とする。
【0014】
本発明は、前記ひび割れ制御方法に用いるひび割れ制御装置であって、前記2点支持をベース側に対して行う支持台と、荷重発生部からの荷重を受けて前記他側面に前記中央荷重として伝達する加圧片とを備えたことをひび割れ制御装置の特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明は、矩形体の一側面中央部に他側面へ向けて所定長さの切欠き溝を形成した試験片にひび割れを形成するひび割れ制御方法であって、前記試験片の一側面と他側面との間で前記切欠き溝の開きを規制する方向から該試験片の側面に圧縮荷重を負荷し、前記切欠き溝の両側位置で前記試験片の一側面を2点支持し、前記他側面に前記切欠き溝に向けた中央荷重を前記2点支持に対して負荷し、前記2点支持及び中央荷重による3点曲げを前記試験片に与えて前記切欠き溝からひび割れを発生させ、又は、前記試験片に前記切欠き溝を開く方向に荷重を与えて前記切欠き溝からひび割れを発生させるひび割れ制御方法とした。
【0016】
このため、摩擦力を利用してひび割れの長さ制御を行なう手法ではなく、切欠き溝の開きを規制する方向から該試験片の側面に圧縮荷重を負荷することでひび割れの長さ制御を的確に行なうことができる。
【0017】
しかも、試験片の厚さが厚い場合や、試験片がかなり大きい場合、試験片が比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合等でもひび割れの長さを確実に制御することができる。
【0018】
本発明は、前記ひび割れ制御方法に用いるひび割れ長設定具であって、前記矩形体の側面に当接させる第1、第2加圧部と、前記第1、第2加圧部を近接する方向に移動させて前記圧縮荷重を負荷する加圧駆動部とを備えるひび割れ長設定具とした。
【0019】
このため、試験片の厚さが厚い場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合でも、ひび割れの長さを制御するための圧縮荷重を容易に負荷することができる。
【0020】
本発明は、前記ひび割れ制御方法に用いるひび割れ制御装置であって、前記2点支持をベース側に配置する支持台と、荷重発生部からの荷重を受けて前記他側面に前記中央荷重として伝達する加圧片とを備えるひび割れ制御装置とした。
【0021】
このため、試験片の厚さが厚い場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合でも、切欠き溝からひび割れを発生させる曲げ荷重を容易に負荷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】ひび割れ制御装置を概念的に示す概略正面図である(実施例1)。
【図2】CT試験片の寸法を示し、(a)は正面図、(b)は端面図である。(実施例1)
【図3】ひび割れ長設定具を取り付けた状態の概略平面図である。(実施例1)
【図4】ひび割れ長設定具を取り付けた状態の概略側面図である。(実施例1)
【図5】アクリルCT試験片の正面図である。(実施例1)
【図6】アクリルCT試験片の寸法の図表である。(実施例1)
【図7】アクリルCT試験片の実施条件を示す図表である。(実施例1)
【図8】アクリルCT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図9】アクリルCT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図10】図8の結果を示すグラフである。(実施例1)
【図11】図9の結果を示すグラフである。(実施例1)
【図12】図6に対応し、アクリルCT試験片の大きさを表す図表である。(実施例1)
【図13】図7に対応し、アクリルCT試験片の実験条件を表す図表である。(実施例1)
【図14】図8に対応し、アクリルCT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図15】ひび割れ制御方法及び装置に関し、(a)は、図1に対応しひび割れ制御装置を概念的に示す概略正面図、(b)は、同概略側面図である。(比較例)
【図16】ひび割れ長さの測定位置を示すアクリルCT試験片の正面図である。(比較例)
【図17】図6に対応し、アクリルCT試験片の大きさを表す図表である。(比較例)
【図18】図7に対応し、アクリルCT試験片の実験条件を表す図表である。(比較例)
【図19】図8に対応し、アクリルCT試験片の実施結果を示す図表である。(比較例)
【図20】図6に対応し、ガラスCT試験片の大きさを表す図表である。(実施例1)
【図21】図7に対応し、ガラスCT試験片の実験条件を表す図表である。(実施例1)
【図22】図8に対応し、ガラスCT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図23】図6に対応し、石膏CT試験片の大きさを表す図表である。(実施例1)
【図24】図7に対応し、石膏CT試験片の実験条件を表す図表である。(実施例1)
【図25】図8に対応し、石膏CT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図26】図6に対応し、超鋼合金CT試験片の大きさを表す図表である。(実施例1)
【図27】図7に対応し、超鋼合金CT試験片の実験条件を表す図表である。(実施例1)
【図28】図8に対応し、超鋼合金CT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図29】図6に対応し、モルタルCT試験片の大きさを表す図表である。(実施例1)
【図30】図7に対応し、モルタルCT試験片の実験条件を表す図表である。(実施例1)
【図31】図8に対応し、モルタルCT試験片の実施結果を示す図表である。(実施例1)
【図32】モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片を示し、(a)は、正面図、(b)は、端面図である。(実施例2)
【図33】図6に対応し、モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片の大きさを表す図表である。(実施例2)
【図34】図7に対応し、モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片の実験条件を表す図表である。(実施例2)
【図35】(a)は、モルタルの実施結果、(b)は、コンクリートの実施結果を示す図表である。(実施例2)
【図36】試験片の使用材料であるセメントの成績表を示す図表である。(実施例2)
【図37】図6に対応し、試験片の大きさを表す図表である。(実施例2)
【図38】図7に対応し、実験条件を表す図表である。(実施例2)
【図39】ひび割れの長さと幅を示す試験片の斜視図である。(実施例2)
【図40】ひび割れの長さと幅を示す試験片の要部拡大斜視図である。(実施例2)
【図41】モルタルひび割れ補修材料評価用試験片の実施結果である。(実施例2)
【図42】コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片の実施結果である。(実施例2)
【図43】ひび割れ制御装置を概念的に示す概略正面図である。(実施例3)
【図44】図6に対応し、試験片の大きさを表す図表である。(実施例3)
【図45】図7に対応し、実験条件を表す図表である。(実施例3)
【図46】図8に対応し、実施結果を示す図表である。(実施例3)
【発明を実施するための形態】
【0023】
試験片の厚さが厚い場合、試験片がかなり大きい場合、比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合等でもひび割れの長さを制御することができるという目的を、切欠き溝の開きを規制する方向の圧縮荷重と、3点曲げとにより実現した。
【実施例1】
【0024】
[ひび割れ制御装置]
図1は、ひび割れ制御装置を概念的に示す概略正面図である。
【0025】
図1のひび割れ制御装置1は、試験片3にひび割れを導入するひび割れ制御方法を実現するものであり、荷重発生部5と支持台7及び加圧片9とひび割れ長設定具11とを備えている。
【0026】
試験片3は、例えばコンクリートなどの脆性材料で矩形体に形成されたものであり、一側面3c中央部に他側面3dへ向けて所定長さの切欠き溝13を形成したものである。
【0027】
この試験片3は、破壊力学用CT試験片を一例として示している。CT試験片は、図2に示すアメリカ材料試験規格のASME,E-399によるものであり、このCT試験片の寸法は、図2(a)(b)の正面図及び端面図にそれぞれ示す通り、試験片の幅をBとして長さWを基準に各寸法が決定されている。図1と同一符号で説明すると、CT試験片3の中央部には切欠き(Notch)13が設けられ、その先端13aから自然割れであるひび割れ(亀裂)(Precrack)15を形成する。
【0028】
ひび割れ先端から材料強度を知るために設けられる引張用ピン穴3a,3b中心までの長さをaで表し、通常a/Wの値を利用して材料評価を行う。
【0029】
図1のように、荷重発生部5は、ベース17との間で荷重P1を発生する構成となっている。荷重P1を発生させる荷重発生部5は、ねじ機構を用いた手動のもの、或いは油圧などを用いたものなど種種選択することができる。
【0030】
支持台7は、例えば鋼により形成され、試験片3の2点支持をベース17側に配置する。なお、支持台7の材質は、特に限定されず、試験片3を支持することができるもので有れば種種選択することができ、例えばアクリル、ダイス鋼などを用いることもできる。
【0031】
支持台7には支持部7a,7bが突設されている。支持部7a,7bの上面7aa,7baは、試験片3の一側面3cに合わせて平面に形成されている。
【0032】
支持部7a,7bの上面7aa,7baに試験片3を乗せ、支持部7a,7bにより試験片3の一側面3cを切欠き溝13の両側位置でベース17に対して支持させる。
【0033】
上面7aa,7baの幅寸法は、荷重P1により試験片3に曲げモーメントを負荷でき、且つ荷重P1による上面7aa,7baからの反力で試験片3が圧壊しない程度のものである。
【0034】
支持部7a,7bの試験片3幅方向(図1の紙面直交方向)での長さ寸法は、試験片3の幅と同等に形成されている。但し、試験片3に曲げモーメントを負荷でき、且つ荷重P1による上面7aa,7baからの反力で試験片3が圧壊しない程度のものであれば、支持部7a,7bの長さを試験片3に対して大小選択することができる。
【0035】
なお、支持部7a,7bは、支持台7として一体に形成することなく、別体として構成することもできる。
【0036】
加圧片9は、例えばアルミニウムにより矩形棒状に形成され、荷重発生部5からの荷重P1を受けて試験片3の他側面3dに中央荷重として伝達する。
【0037】
なお、加圧片9の材質は、特に限定されず、試験片3に荷重を伝達できるもので有れば種種選択することができ、例えばアクリル、ダイス鋼などを用いることもできる。
【0038】
加圧片9の面9a,9bの幅寸法は、荷重P1により試験片3に曲げモーメントを負荷でき、且つ荷重P1による面9aからの力で試験片3が圧壊しない程度のものである。
【0039】
加圧片9の試験片3幅方向(図1の紙面直交方向)での長さ寸法は、試験片3の幅と同等に形成されている。但し、試験片3に曲げモーメントを負荷でき、且つ荷重P1による面9bからの力で試験片3が圧壊しない程度のものであれば、加圧片9の長さを試験片3に対して大小選択することができる。
【0040】
図3は、ひび割れ長設定具を取り付けた状態の概略平面図、図4は、同概略側面図である。
【0041】
図1、図3、図4のように、ひび割れ長設定具11は、第1、第2加圧部19,21と加圧駆動部23,25とを備えている。
【0042】
第1、第2加圧部19,21は、試験片3の側面3e,3fに当接させるものであり、加圧駆動部23,25は、第1、第2加圧部19,21を相互に近接する方向に移動させて試験片3に圧縮荷重を負荷するものである。
【0043】
第1、第2加圧部19,21は、加圧板27,29と加圧台31,33とを備えている。
【0044】
加圧板27,29は、鋼などにより矩形体状に形成されている。なお、加圧板27,29の材質は、特に限定されず、試験片3に荷重を伝達できるもので有れば種種選択することができ、例えばアルミニウムなどを用いることもできる。
【0045】
加圧板27,29の図3平面から見た長さ寸法は、試験片3の側面3e,3fに圧縮荷重P0を均等に負荷できるように、試験片3の厚みより大きく形成されている。なお、厚みと同等の長さでも同じ効果を得ることができる。
【0046】
加圧台31,33は、加圧駆動部23,25に結合され前記加圧板27,29に当接させものである。この加圧台31,33は、例えば金属製であり、加圧板27,29側へ向けて突出する山形形状に形成されている。加圧台31,33が山形形状に形成されることで剛性を高め、圧縮荷重P0発生時に変形を防止する。
【0047】
加圧台31,33の両端部には、貫通孔31a,33aが形成されている。
【0048】
前記一方の加圧板27と加圧台31との間には、鋼球などのボール35が介設されている。このボール35の存在により、加圧台31,33による圧縮荷重P0を試験片3の側面3e,3fに均等に確実に作用させることができる。
【0049】
加圧駆動部23,25は、前記試験片3を挟んで両側に配置された締結具としてボルト23a,25a及びナット23b,25bにより構成されている。ボルトボルト23a,25aは、加圧台31,33の貫通孔31a,33aに貫通配置されている。
【0050】
ボルト23a,25a及びナット23b,25bの締結により加圧台31,33を締結移動させることができる。
[ひび割れ制御方法]
本発明実施例のひび割れ制御方法は、前記ひび割れ制御装置1を用い、矩形体の一側面3c中央部に他側面3dへ向けて所定長さの切欠き溝13を形成した試験片3にひび割れ15を形成するひび割れ制御方法である。
【0051】
前記ひび割れ長設定具11を用い、試験片3の一側面3cと他側面3dとの間で前記切欠き溝13の開きを規制する方向から試験片3の側面3e,3fに圧縮荷重P0を負荷する。
【0052】
圧縮荷重P0の値は、加圧台31,33の微小変位を利用して測定する。すなわち、加圧台31に貼り付けたひずみケージGと図外の静ひずみ計とを結線し、静ひずみ計より換算することができる。したがって圧縮荷重P0は、静ひずみ計を見ながらボルト23a,25aに対してナット23b,25bを締め付けることにより容易に負荷することができる。
【0053】
この圧縮荷重P0を負荷された試験片3を支持台7の支持部7a,7bに載置し、前記切欠き溝13の両側位置で試験片3の一側面3cを上面7aa,7baにより2点支持させる。なお、この2点支持は、長さのある上面7aa,7baでの支持であり、図4の側面から見て両側2箇所での支持をいう。
【0054】
この状態で、荷重発生部5により前記他側面3dに加圧片9を介して前記切欠き溝13に向けた荷重P1を前記2点支持に対して負荷する。この荷重P1も試験片3の厚み方向全体に負荷している。
【0055】
前記支持台7による2点支持及び荷重P1による3点曲げを試験片3に与えて前記切欠き溝13からひび割れ15を発生させる。
【0056】
このときのひび割れ15の長さは、おおよそλとすることができる。ここでλは切欠き溝13先端13aと加圧板27,29の図1における最下面との間の距離である。
【0057】
上記のように荷重P1を負荷すると、切欠き溝13に最大引張応力が発生する。荷重P1を増すと、誘起する最大引張応力は試験片3の破壊応力に達する。このため、切欠き溝13先端13aからひび割れが発生し、進展する。
【0058】
しかし試験片3には、予め圧縮荷重P0が負荷されているため、発生したひび割れの先端は開口することができず、ひび割れの進展はその付近で停止する。
【0059】
したがって、試験片3の厚さBのみならず、大きさにもかかわらず、試験片3内にひび割れを留めることができる。さらに、ひび割れの長さ及び幅は、ひび割れ長設定具11の位置変更による距離λの位置、圧縮荷重P0により制御することが可能となる。
【0060】
当然のことながらCT試験片である試験片3の代わりに、切欠きを有する矩形状の他の試験片においても同様にして、試験片の厚さならびに大きさに係わらず,ひび割れを導入することができる。
[アクリルCT試験片:厚さ20mm]
ここでは試験片内に留めたひび割れの状態が明瞭に分かるような透明体で、さらに試験片の作製が極めて容易なアクリルを用いてひび割れの制御を試みた。この場合のアクリルは、住友ケミカル株式会社製の商品名スミペックス、厚さ20mmを用いた。
【0061】
図5は、アクリルCT試験片の正面図、図6は、試験片の寸法の図表である。CT試験片の寸法は,ASTM規格のE-399にしたがう48×50mmの長方形板であり、厚さB=20mm、幅W=40mmである。CT試験片には破壊靭性値を調べるための引張試験用の穴をドリル(寸法:φ10mm)を使用しボール盤で2箇所の所定の位置に設けた。また図中のNは切欠き溝であり、刃幅t=1.0mmのフライス加工により長さl=19mmに設けた。
【0062】
図7は、実施条件を示す図表である。図7のように、加圧片9、加圧板27,29、支持台31,33、距離λの諸元を決めた。
【0063】
図3,図4のように圧縮荷重P0、荷重P1を負荷し、CT試験片にひび割れが発生したときの破壊荷重PFとひび割れ長さδmaxを測定した。ここでδmaxはひび割れ長さの最長を示し、アクリルやガラスなどの透明体では、主に板厚の中央部における長さで与えられた。
【0064】
図8,図9は、実施結果を示す図表であり、図8は、λ=15mm一定としたときの、加圧応力σkとひび割れ長さδmaxとの関係、図9は、加圧応力σk=16MPa一定としたときの、距離λとひび割れ長さδmaxとの関係をそれぞれ示す図表である。図10は、図8の結果を示すグラフ、図11は、図9の結果を示すグラフである。
【0065】
図8、図10のように、距離λ=15mm一定としたとき、ひび割れ長さδmaxは加圧応力σkにより変化し、またひび割れ長さδmaxは加圧応力σk=16MPa一定としたとき、図9,図11のようにλにより変化し、δmaxはσkとλに依存する関係にある。
【0066】
このことから、アクリルのCT試験片に対し、ひび割れの長さを制御できることがわかる。
[アクリルCT試験片:厚さ30mm]
図12〜図14は、厚さ30mmのアクリルCT試験片に関して前記同様にひび割れの制御を試みたものであり、図12は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図13は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図14は、図9に対応し、実施結果を示す図表である。
【0067】
ここでの試験片は、図5に示すように厚み30mm以外は図5と同一寸法の透明体アクリルCT試験片である。
【0068】
図12の厚み30mmのCT試験片により、図13の実施条件で、図14のようにひび割れ長さδmaxを制御できた。
【0069】
図15は、比較例に係るひび割れ制御方法及び装置に関し、(a)は、図1に対応しひび割れ制御装置を概念的に示す概略正面図、(b)は、同概略側面図である。
【0070】
図15の比較例のひび割れ制御方法及び装置を、図1と対応する構成部分に同符号を付して説明する。加圧板27,29は、特許文献1と同様に、切欠き溝13が存在する面に圧縮荷重P0を負荷してひび割れの長さ制御を行う構成である。この圧縮荷重P0において試験片3の切欠き溝13を広げる方向に荷重P1(引張力)を与え、切欠き溝13からひび割れを発生させ、前記圧縮荷重P0によりひび割れの長さ制御を行う。
【0071】
図16は、ひび割れ長さの測定位置を示す試験片の正面図である。比較例によるひび割れ長さδmaxの測定は、図16に示す位置で行なった。
【0072】
図17は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図18は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図19は、図8に対応し、実施結果を示す図表である。
【0073】
図15の比較例のひび割れ制御方法及び装置により、図17のように、厚さBを、B=5,10,15,20,30mmと種種変化させてアクリルCT試験片にひび割れを導入させ、厚さが所定以上厚い場合には、摩擦力の不足でひび割れの制御ができないことが実証された。
【0074】
すなわち、切欠き溝13先端から距離λ=3mm(一定)だけ離れた加圧板27,29により圧縮荷重P0を負荷し、その後、引張用ピン穴3a,3bに差し込んだピンを試験機等で引っ張り、荷重P1を負荷した。
【0075】
この方法により、ある値の荷重P1=PFで切欠き溝13先端13aからひび割れが導入された。
実験では荷重P1の値がP1=PFになったときのひび割れ長さδmaxを得た。またこの場合のひび割れは湾曲するので、図16に示すひび割れ長さδmaxの他に逸れた距離δvも測定した。
【0076】
結果は図18の実施条件で図19のようになった。
【0077】
ひび割れは、試験片3の厚さB=20mm以下で、ひび割れの制御が可能であった。このひび割れ制御により、試験片3内にひび割れを留めることができた。
【0078】
しかしB=30mmでは、ひび割れを止めるための摩擦を誘起させる圧縮荷重P0がかなり高くなり、引張りを試みる以前にひび割れが発生したばかりか、試験片3の表面に加圧板27,29による圧痕である傷が残った。これは加圧板27,29直下がかなり圧縮されたためである。そして、試験片3外方部に内圧が作用し、切欠き溝13からひび割れ15が図16で示すように湾曲して発生した。これにより厚い試験片3の場合にはひび割れの制御に限界があることが分かった。
[ガラスCT試験片:厚さ18mm]
図20〜図22は、ガラスCT試験片に関してアクリルCT試験片と同様にひび割れの制御を試みたものであり、図20は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図21は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図22は、図9に対応し、実施結果を示す図表である。
【0079】
この場合のガラスは、セントラル硝子株式会社製のフロート板ガラスで品名FL18を用いた。
【0080】
ガラスについても、図20の試験片により、図21の実施条件で、図22のようにひび割れ長さδmaxを制御できた。
[石膏CT試験片:厚さ20mm]
図23〜図25は、石膏CT試験片に関してアクリルCT試験片と同様にひび割れの制御を試みたものであり、図23は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図24は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図25は、図8に対応し、実施結果を示す図表である。ここで石膏やモルタル、超硬合金のように透明体でない試験片のδmaxは、試験片の両表面に発生したひび割れ長さを測定して長い方の値を採用した。
【0081】
また、この場合の石膏は、サンエス石膏株式会社製のタイプRC−150の石膏粉末を用い、混水量25%で製作した工業用のものである。
【0082】
石膏についても、図23の試験片により、図24の実施条件で、図25のようにひび割れ長さδmaxを制御できた。
[超鋼合金CT試験片:厚さ12mm]
図26〜図28は、超鋼合金CT試験片に関してアクリルCT試験片と同様にひび割れの制御を試みたものであり、図26は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図27は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図28は、図8に対応し、実施結果を示す図表である。
【0083】
この場合の超鋼合金は、富士ダイス株式会社製のフジロイ超鋼合金タイプD60を用いた。
【0084】
超鋼合金についても、図26の試験片により、図27の実施条件で、図28のようにひび割れ長さδmaxを制御できた。
[モルタルCT試験片:厚さ40mm]
図29〜図31は、モルタルCT試験片に関してアクリルCT試験片と同様にひび割れの制御を試みたものであり、図29は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図30は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図31は、図9に対応し、実施結果を示す図表である。
【0085】
この場合のモルタルは、JIS R 5201(セメントの物理試験方法)に従って、基材モルタルを製造した。水セメント比50%、セメント細骨材比1:3(質量比)とした場合のセメントモルタルを寸法100×100×400mmに成形し、1d湿空[20℃,90%(RH)]及び27d水中(20℃)養生を行った。次に、基材モルタルを寸法100×100×50mm及び100×100×100mmに切断し、切り欠き溝から自然ひび割れを形成した。
【0086】
モルタルについても、図29の試験片により、図30の実施条件で、図31のようにひび割れ長さδmaxを制御できた。
【実施例2】
【0087】
[モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片:厚さ50mm]
図32は、モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片を示し、(a)は、正面図、(b)は、端面図である。大きさは、100×100×50mmであり、厚さ50mmの試験片を用いた。
【0088】
図33は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図34は、図7に対応し、実験条件を表す図表である。
【0089】
図35(a)は、モルタルの実施結果、(b)は、コンクリートの実施結果を示す図表である。
【0090】
モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片厚さ50mmについても、図32、図33の試験片により、図34の実施条件で、図35の破壊荷重に対し、試験片内でひび割れを止めることができた(備考○)。
[モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片:厚さ100mm]
図36は、試験片の使用材料であるセメントの成績表を示す図表、図37は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図38は、図7に対応し、実験条件を表す図表である。試験片の大きさは、100×100×100mmであり、厚さ100mmの試験片を用いた。
【0091】
使用材料において、セメントはJIS R 5210(ポルトランドセメント)に規定する普通ポルトランドセメントを使用した。その一般性状は図36の通りである。
【0092】
細骨材は川砂を、粗骨材は砂岩砕石を、練混ぜ水は水道水を、混和剤はAE減水剤を使用した。
【0093】
素材モルタルの作成は次の通りである。すなわち、使用材料としてセメント,細骨材及び水道水を使用し、JSCE-F 505(試験室におけるモルタルの作り方)に準じて、水セメント比50%,砂セメント比3のモルタルを練混ぜ、寸法100×100×400mmの金属製型枠を用いて成形した。その後、温度20±2℃,相対湿度80%以上の状態で1日静置し、27日間,20±2℃水中養生を行った。そして試験片形状の所定の寸法にコンクリートカッターで切断し、さらに切欠き溝を刃幅2mmのコンクリートカッターで設けた。
【0094】
また、素材コンクリートの作製は次の通りである。すなわち、使用材料としてセメント、細骨材、粗骨材、水道水及び混和剤を使用し、JIS A1138(試験室におけるコンクリートの作り方)に準じて、水セメント比50%のコンクリートを練混ぜ、寸法100×100×400mmの金属製型枠を用いて成形した。その後、温度20±2℃、相対湿度80%以上の状態で1日静置し、27日間,20±2℃水中養生を行った。そして試験片形状の所定の寸法にコンクリートカッターで切断し、さらに切欠き溝13を刃幅2mmのコンクリートカッターで設けた。
【0095】
ひび割れ制御方法及び装置は、実施例1の図1と同様であるが、補修材料評価用試験片では、特にひび割れ幅が問題となるので、ここではひび割れ幅を制御することとした。
【0096】
図39は、ひび割れの長さと幅を示す試験片の斜視図、図40は、同要部拡大斜視図である。
【0097】
図39,図40のようにひび割れの長さδA(δB)、幅αA(αB)等(A,Bは、試験片の厚み方向一側と他側とでの測定であることを区別する。)を測定した。なお、ひび割れ幅αAとαBは非接触型の2軸測定顕微鏡(ヴィジョン・エンジニアリング製)を用いて測定した。
【0098】
図41,図42は、図8に対応し、図41は、モルタルひび割れ補修材料評価用試験片の実施結果、図42は、コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片の実施結果を示す図表で、ひび割れ幅αAとαBを追加して示してある。なお、実施においてはαAとαBの平均ひび割れ幅αABを次の3つに区分して制御した。
【0099】
S:αAB≦0.15mm、 M:0.15mm<αAB<0.30mm、 L:αAB≧0.30mm
図41,図42のように、モルタル・コンクリートひび割れ補修材料評価用試験片:厚さ100mmについても、図37の試験片により、図38の実施条件で、図41,42の破壊荷重PFに対し、試験片内でひび割れを止めることができた。また希望した上記3つの区分にしたがう平均ひび割れ幅αABをもつ試験片を得ることができた。
【実施例3】
【0100】
図43〜図46は、実施例3に係り、図43は、ひび割れ制御装置を概念的に示す概略正面図、図44は、図6に対応し、試験片の大きさを表す図表、図45は、図7に対応し、実験条件を表す図表、図46は、図8に対応し、実施結果を示す図表である。
【0101】
本実施例では、前記試験片3に切欠き溝13を開く方向に荷重P1を与えて前記切欠き溝13からひび割れ15を発生させるようにした。荷重P1の負荷は、特許文献1等に記載の引張力付加装置を用いることができる。
【0102】
本実施例でも、ひび割れ長設定具11により切欠き溝13の開きを規制する方向から試験片3の側面3e,3fに圧縮荷重P0を負荷した。
【0103】
結果として、アクリルCT試験片:厚さ20mmについて、図44の試験片により、図45の実施条件で、図46のようにひび割れ長さδmaxを制御できた。
[実施例の効果]
本発明実施例は、矩形体の一側面3c中央部に他側面3dへ向けて所定長さの切欠き溝13を形成した試験片3にひび割れ15を形成するひび割れ制御方法であって、前記試験片3の一側面3cと他側面3dとの間で前記切欠き溝13の開きを規制する方向から該試験片3の側面に圧縮荷重P0を負荷し、前記切欠き溝の両側位置で前記矩形体の一側面を2点支持し、前記他側面に前記切欠き溝13に向けた荷重P1を前記2点支持に対して負荷し、前記2点支持及び荷重P1による3点曲げを前記試験片3に与えて前記切欠き溝13からひび割れ15を発生させ、又は、前記試験片3に前記切欠き溝13を開く方向に荷重P1を与えて前記切欠き溝13からひび割れを発生させるひび割れ制御方法とした。
【0104】
このため、摩擦力を利用してひび割れの長さ制御を行なう手法ではなく、切欠き溝の開きを規制する方向から該試験片の側面に圧縮荷重を負荷することでひび割れの長さ制御を的確に行なうことができる。
【0105】
しかも、試験片の厚さが厚い場合や、試験片がかなり大きい場合、試験片が比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合等でもひび割れの長さを確実に制御することができる。
【0106】
なお、試験片3は、圧縮荷重P0の負荷により座屈変形しない限り薄いものにも適用することができる。
【0107】
本発明実施例は、前記ひび割れ制御方法に用いるひび割れ長設定具11であって、前記試験片3の側面3e,3fに当接させる第1、第2加圧部19,21と、前記第1、第2加圧部19,21を近接する方向に移動させて前記圧縮荷重を負荷する加圧駆動部23,25とを備えるひび割れ長設定具11とした。
【0108】
このため、試験片の厚さが厚い場合、試験片がかなり大きい場合や比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合でも、ひび割れの長さを制御する圧縮荷重を容易に負荷することができる。ひび割れ長設定具11の位置変更により切欠き溝13先端13aと加圧板27,29の図1における最下面からの距離λを変更することで、ひび割れの長さ、及び幅を制御することができる。
【0109】
前記第1、第2加圧部19,21は、前記試験片3の側面3e,3fに当接する加圧板27,29と、前記加圧駆動部23,25に結合され前記加圧板27,29に当接する加圧台31,33とを備えた。
【0110】
このため、加圧駆動部23,25により加圧台31,33を駆動し、この加圧台31,33の駆動により加圧板27,29を介して試験片3に圧縮荷重P0を負荷することができる。
【0111】
したがって、加圧板27,29を試験片3に圧縮荷重P0を負荷するのに適した形状、材質とすることができる。
【0112】
前記加圧台31,33は、前記加圧板27,29側へ向けて突出する山形形状である。
【0113】
このため、加圧台31,33の剛性を確保し、加圧板27に圧縮荷重P0を確実に負荷することができる。
【0114】
前記加圧板27,29と前記加圧台31,33との間に、荷重伝達用のボール35を介設した。
【0115】
このため、加圧台31が加圧板27に対して姿勢が多少変位していても、加圧板27を介して加圧板27の側面3eへ圧縮荷重P0を的確に負荷することができ、加圧板29の側面3fへの圧縮荷重P0も的確に負荷することができる。
【0116】
前記加圧駆動部23,25は、前記試験片3を挟んで両側に配置され前記加圧台31,33に結合されて該加圧台31,33を締結移動させる締結具としてのボルト23a,25a及びナット23b,25bで構成された。
【0117】
このため、ボルト23a,25aに対するナット23b,25bの締め込みにより加圧台31,33を容易に駆動することができる。
【0118】
本発明実施例は、前記ひび割れ制御方法に用いるひび割れ制御装置1であって、前記2点支持をベース17側に対して行う支持台7と、荷重発生部5からの荷重を受けて前記他側面3dに前記中央荷重として伝達する加圧片9とを備えるひび割れ制御装置1とした。
【0119】
このため、試験片3の厚さが厚い場合、試験片がかなり大きい場合や比較的小さい場合、超硬合金のように材料が高強度を有する場合でも、荷重P1を試験片3の厚み方向全体に渡って的確に与え、切欠き溝13からひび割れを発生させる曲げ荷重を容易に負荷することができる。
【0120】
以上、本発明実施例は、次の効果を奏する。
(1)提示した冶具(支持台7及び加圧片9)を使用することにより容易にひび割れを導入できる。
(2)ひび割れは、試験片の厚さ,大きさ,材料強度にかかわらずひび割れを導入することができる。
(3)ひび割れは,各試験片の希望するおおよその位置で停止させることができる。
(4)導入されるひび割れは,比較的真直ぐに導入することができる。
(5)これまでひび割れの導入が困難であった超硬合金のみならず,石こうや板厚が厚いガラス,アクリル,モルタルからなるCT試験片にもひび割れを導入することができる。
(6)モルタルのみならず,コンクリートにおいてもひび割れ補修材料の評価用試験片にもひび割れを導入することができる。
【符号の説明】
【0121】
1 ひび割れ制御装置
3 試験片
3c 一側面
3d 他側面
3e,3f 側面
5 荷重発生部
9 加圧片
11 ひび割れ長設定具
13 切欠き溝
15 ひび割れ
17 ベース
19 第1加圧部
21 第2加圧部
23,25 加圧駆動部
27,29 加圧板
31,33 加圧台
35 ボール
P0 圧縮荷重
P1 荷重
【特許請求の範囲】
【請求項1】
矩形体の一側面中央部に他側面へ向けて所定長さの切欠き溝を形成した試験片にひび割れを形成するひび割れ制御方法であって、
前記試験片の一側面と他側面との間で前記切欠き溝の開きを規制する方向から該試験片の側面に圧縮荷重を負荷し、
前記切欠き溝の両側位置で前記試験片の一側面を2点支持し、前記他側面に前記切欠き溝に向けた中央荷重を前記2点支持に対して負荷し、前記2点支持及び中央荷重による3点曲げを前記試験片に与えて前記切欠き溝からひび割れを発生させる、
又は、前記試験片に前記切欠き溝を開く方向に荷重を与えて前記切欠き溝からひび割れを発生させる、
ことを特徴とするひび割れ制御方法。
【請求項2】
請求項1記載のひび割れ制御方法に用いるひび割れ長設定具であって、
前記試験片の側面に当接させる第1、第2加圧部と、
前記第1、第2加圧部を相互に近接する方向に移動させて前記圧縮荷重を負荷する加圧駆動部と、
を備えたことを特徴とするひび割れ長設定具。
【請求項3】
請求項2記載のひび割れ長設定具であって、
前記第1、第2加圧部は、前記試験片の側面に当接する加圧板と、
前記加圧駆動部に結合され前記加圧板に当接する加圧台と、
を備えたことを特徴とするひび割れ長設定具。
【請求項4】
請求項3記載のひび割れ長設定具であって、
前記加圧台は、前記加圧板側へ向けて突出する山形形状である、
ことを特徴とするひび割れ長設定具。
【請求項5】
請求項3又は4記載のひび割れ長設定具であって、
前記加圧板と前記加圧台との間に、荷重伝達用のボールを介設した、
ことを特徴とするひび割れ長設定具。
【請求項6】
請求項2〜5の何れかに記載のひび割れ長設定具であって、
前記加圧駆動部は、前記試験片を挟んで両側に配置され前記加圧台に結合されて該加圧台を締結移動させる締結具である、
ことを特徴とするひび割れ長設定具。
【請求項7】
請求項1記載のひび割れ制御方法に用いるひび割れ制御装置であって、
前記2点支持をベース側に対して行う支持台と、
荷重発生部からの荷重を受けて前記他側面に前記中央荷重として伝達する加圧片と、
を備えたことを特徴とするひび割れ制御装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図28】
【図29】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36】
【図37】
【図38】
【図39】
【図40】
【図41】
【図42】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【公開番号】特開2010−181245(P2010−181245A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
物理学 | 測定;試験 | 材料の化学的または物理的性質の決定による材料の調査または分析 | 機械的応力の負荷による固体材料の強さの調査 | 定曲げ力の適用によるもの
【出願番号】特願2009−24287(P2009−24287)
【出願日】平成21年2月4日(2009.2.4)
【出願人】(899000057)学校法人日本大学
【Fターム(参考)】
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 圧縮、耐圧試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査方法;試験の仕方 | 曲げ試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 力を掛ける方法(時間的、空間的) | 静的負荷による試験
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 調査対象項目 | 強度 | 亀裂、クラック
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 角状、ブロック状
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片、形状、構造及び部分、部品 | 切欠のあるもの
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験片の取扱い | チャック、把持機構
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | 荷重負荷装置
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 試験装置;構成、部分構成(治具を含む) | 治具
機械的応力負荷による材料の強さの調査 | 測定対象 | その他
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