説明

ふるいの目詰まり防止装置、該装置を備えたふるい装置および該装置を備えた混合攪拌分級装置

【課題】単純な構造で長期間の使用にも安定して耐えうる目詰まり防止装置、該装置を備えたふるい装置、該装置を備えた混合攪拌分級装置を得る。
【解決手段】回転ふるいのふるい面を打撃して目詰まりを防止するふるい装置の目詰まり防止装置33であって、前記回転ふるいの回転に伴って回転する回転体に設けられたカムレール35と、前記回転ふるいのふるい面に対向して回動可能に設けられた回動軸37と、該回動軸37の一端側に固定されると共に前記カムレール35に当接してカムレール35のレール形状に沿って前記回動軸37を回動させる方向に運動する従動片39と、回動軸37に取り付けられて回転ふるいのふるい面を打撃するハンマー41とを備えてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば土質を改良する際に土砂を分級するふるい装置に設けられ、該ふるい装置の目詰まりを防止する装置、該装置を設けたふるい装置および該装置を備えた混合攪拌分級装置に関する。
【背景技術】
【0002】
道路に埋設され水道管やガス管の埋め戻し工事を行なう場合などにおいて掘削土を改良して埋戻し土にする場合がある。このような場合には掘削土をふるいにかけて分級する必要がある。このような場合にふるい装置が用いられるが、ふるい装置はその他の種々の用途に使用される。
ふるい装置の一般的な形態として、円筒状の網目状ドラムの中に分級の対象となる土砂を投入して、ドラムを回転しながら網目のメッシュによって分級するものが一般的である。
【0003】
このようなふるい装置においては、ふるいである網目に土砂などが詰まるため、それを防止する対策が必要となる。
このような目詰まり防止方法として、一般的にはワイヤーブラシなどを網目に接触させてワイヤーブラシによって土砂を摺り落とすということが行なわれている。
【0004】
しかしながら、ワイヤーブラシ方式では土砂の種類によって十分な目詰まり防止効果が得られず、またワイヤーブラシが常時回転ふるいに接触していることによる回転ふるいの動力の無駄が発生するという問題がある。
このようなワイヤーブラシ方式の問題点を解決するものとして、特許文献1に示された床土ふるい機の目詰まり防止装置(以下、単に「目詰まり防止装置」という。)が提案されている。
【0005】
図13はこの特許文献1に提案された目詰まり防止装置の実施例の斜視図、図14は図1の一部を拡大して示す図、図15、図16は図14の矢視C―C図であり、目詰まり防止装置の動作説明図である。
図13、図14に示されるように、特許文献1に開示された目詰まり防止装置は、円筒形の回転ふるい100の一端にローラチェーン101が設けられ、このローラチェーン101に噛み合う鎖歯車103がフレーム105に固定されたブラケット107に回転可能に取り付けられている。そして、鎖歯車103の回転軸109にはクランク軸111が固定され、クランク113の端部に転輪115が回転自在に取り付けられている。以上の構造から、回転ふるい100が回転すると鎖歯車103が回転し、これによってクランク軸111が回転するようになっている。詳細は後述するが、クランク軸111の回転によってクランク113の端部に取り付けられた転輪115が後述する加振ローラ体117を動作させることになる。
【0006】
一方、加振ローラ体117がフレーム105に回転ふるい100を打撃可能に取り付けられている。以下、加振ローラ体117の構造および動作を説明する。加振ローラ体117は、両端がフレーム105に回転可能で回転ふるい100の全幅に亘って取り付けられた腕板取付軸119と、一端が腕板取付軸119に固定され、他端にローラ121が回転可能に取り付けられた腕板123と、腕板123の途中に取り付けられたL字形の腕板上昇片125と、腕板123に対して所定の角度で固定されたスプリング掛け腕127と、スプリング掛け腕127の他端に一端が固定され他端がフレーム105に固定されたコイルスプリング129とを備えて構成されている。
このような構造の加振ローラ体117は常時コイルスプリング129によってスプリング掛け腕127が引張られることによりローラ121が回転ふるい100に当接するようになっている(図15参照)。
【0007】
そして、腕板123が腕板取付軸119を中心に回転するように腕板上昇片125を引き上げるような力を加えることにより、腕板123が腕板取付軸119を中心に回転してローラ121が回転ふるい100から離れる(図16参照)。このときコイルスプリング129は引き伸ばされるので、バネの力によって加振ローラ体117は元に戻ろうとする力を受ける。したがって、腕板上昇片125に作用している力が解除されると、バネの力によって加振ローラ体117は元の状態、すなわちローラ121が回転ふるい100に当接する状態に勢いよく戻る。このとき、ローラ121が回転ふるい100の表面を力強く加振することで回転ふるい100に振動を与え目詰まりが防止される。
【0008】
上記の説明は加振ローラ体117単体の動きを説明したが、上記説明にある腕板上昇片125を引き上げるような力は前述したようにクランク113の端部に取り付けられた転輪115のクランク軸111の回転に伴う動作によって与えられ、かつ引き上げ力の解除も転輪115の動作によって行なわれる。
そこで、以下においては、転輪115の動きと加振ローラ体117の動きの関係について説明する。
【0009】
前述したように、回転ふるい100の回転(図15の矢印a参照)に伴い鎖歯車103が回転し、これによってクランク軸111が回転する。クランク軸111の回転によってクランク113の端部に取り付けられた転輪115が図15の矢印bに示すように回転し、腕板上昇片125に当接する(図16参照)。転輪115が腕板上昇片125に当接してさらにクランク軸111が回転することで、腕板上昇片125を引き上げる(押し上げる)(図16参照)。腕板上昇片125が押し上げられることにより、前述したように腕板123が腕板取付軸119を中心に回転してローラ121が回転ふるい100から離れる(図16参照)。クランク軸111がさらに回転すると、転輪115が腕板上昇片125から外れ腕板上昇片125を押し上げていた力が解除される。これによって、前述の動作によって加振ローラ体117の腕板123が回動してローラ121が回転ふるい100の表面を力強く加振する。
この例では、回転ふるい100一回転でクランク軸111が4.5回転するようになっているので、回転ふるい100が一回転する間に加振ローラ体117が4〜5回回転ふるい100の表面を加振することになる。
【0010】
【特許文献1】特開平10−249281号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
上記の特許文献1に開示された目詰まり防止装置は、加振ローラ体117に一定の時間間隔で打撃動作を行なわせて回転ふるい100を打撃して振動を与えるというものであり、ワイヤーブラシ方式に比較すると、優れた点を備えている。
しかしながら、加振ローラ体117に一定の時間間隔で打撃動作を行なわせるための具体的な構造には種々の問題がある。
【0012】
まず第1に、加振ローラ体117を動作させるための機構が、上述した説明及び図13、図14を見れば明らかなように極めて複雑である。特に、加振ローラ体117の腕板123を振り上げさせるための機構が、クランク軸111のクランク113の端部に設置した転輪115と腕板上昇片125とを接触させるという微妙な当接関係で成り立つ構造であるところ、長期間の使用では上記の当接関係にくるいが生じ、腕板123の振り上げ動作が正常に動作しなくなることが十分に考えられる。
また、加振ローラ体117を動作させるためにコイルスプリングを使用しているため、コイルスプリングの付勢力の劣化によって十分な加振力が得られなくなることも考えられる。
そもそも、土砂が絡みつく劣悪な環境での使用を考えると、従来例のような複雑な構造では上記の指摘以外の動作不良も生じることが十分考えられる。
【0013】
本発明は係る課題を解決するためになされたものであり、単純な構造で長期間の使用にも安定して耐えうる目詰まり防止装置、該装置を備えたふるい装置、該装置を備えた混合攪拌分級装置を得ることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0014】
(1)本発明に係るふるい装置に目詰まり防止装置は、回転ふるいのふるい面を打撃して目詰まりを防止するふるい装置の目詰まり防止装置であって、
前記回転ふるいの回転に伴って回転する回転体に設けられたカムレールと、前記回転ふるいのふるい面に対向して回動可能に設けられた回動軸と、該回動軸の一端側に固定されると共に前記カムレールに当接してカムレールのレール形状に沿って前記回動軸を回動させる方向に運動する従動片と、前記回動軸に取り付けられて前記回転ふるいのふるい面を打撃するハンマーとを備えてなることを特徴とするものである。
なお、ふるい面を打撃するとは、必ずしもふるい面そのものを打撃する場合に限定する趣旨ではなく、例えばふるい面に補強のためのリブなどが設置されているような場合にそのリブを打撃するような場合も含む趣旨である。
【0015】
(2)また、上記(1)に記載のものにおいて、ハンマーは回動軸の軸方向所望の位置に移動でき、かつ固定できるように構成されていることを特徴とするものである。
【0016】
(3)また、上記(1)または(2)に記載のものにおいて、ハンマーの先端に設けられた打撃部が交換可能に取り付けられていることを特徴とするものである。
【0017】
(4)また、上記(1)〜(3)のいずれかに記載のものにおいて、ハンマーがふるい面に当接せず、かつ従動片がカムレールに接触しないようにハンマーを保持する保持具を備えたことを特徴とするものである。
【0018】
(5)本発明に係るふるい装置は、上記(1)〜(4)のいずれかに記載のふるい装置の目詰まり防止装置を設置されてなることを特徴とするものである。
【0019】
(6)本発明に係る混合攪拌分級装置は、土砂を受け入れて土砂の混合攪拌および分級を行なう混合攪拌分級装置であって、回転駆動される回転筒体を有し、該回転筒体の上流側が混合攪拌部となり下流側が分級部となるように構成され、混合攪拌部には前記回転筒体とは独立に回転駆動される中心軸と、該中心軸から径方向に延出する攪拌羽根が設けられ、分級部には円筒状の多孔部材からなるふるい面が設けられると共に上記(1)〜(4)の何れかに記載のふるい装置の目詰まり防止装置を有することを特徴とするものである。
【0020】
上記の混合攪拌分級装置においては、投入された土砂を定量ずつ切り出す土砂切り出し装置と、定量切り出された土砂に土質改良剤を添加する改良剤添加装置と、土質改良剤が添加された土砂を受け入れて土砂の混合攪拌及び分級を行う混合攪拌分級装置と、を備え、これらの各装置が、各装置間を土砂が搬送されるように連結されてなる構成を採用し、特に混合攪拌分級を一つの装置で行うようにしたので、土質改良プラント全体をコンパクトにすることができる。
【0021】
なお、混合攪拌分級装置は、傾斜角度を調整する傾斜角度調整機構を備えるようにしてもよい。
【0022】
また、混合攪拌分級装置における攪拌羽根を、回転軸周りに所定の角度ずつずらして複数設け、これら複数の攪拌羽根が回転軸の軸方向に集まってなる攪拌羽根ブロックを形成し、これら攪拌羽根ブロックが回転筒体における混合攪拌部の上流端および下流端側に配置するようにしてもよい。
複数の攪拌羽根が回転軸の軸方向に集まっているとは、回転軸における混合攪拌部軸方向長さの25%以内の長さの範囲内に複数の攪拌羽根が配置されていることをいう。そして、攪拌羽根ブロックとは、上記のように配置された複数の攪拌羽根のひとかたまりの集合体をいう。
なお、上記の例においては、全ての攪拌羽根が攪拌羽根ブロックを形成する場合と、攪拌羽根ブロックを形成する攪拌羽根の他に攪拌羽根ブロックを形成しない攪拌羽根が設置されている場合の2つの場合を含む。
【0023】
また、混合攪拌分級装置における攪拌羽根を、複数の棒状体を連結して形成し、連結された棒状体が連結部において攪拌羽根の回転面内で回動可能になるように構成してもよい。
【0024】
また、混合攪拌分級装置における分級部に、目詰まり防止用のエアーを噴射するエアー噴射手段を設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0025】
本発明においては、回転ふるいの回転に伴って回転する回転体に設けられたカムレールと、前記回転ふるいのふるい面に対向して回動可能に設けられた回動軸と、該回動軸の一端側に該回動軸に固定されると共に前記カムレールに当接してカムレールのレール形状に沿って前記回動軸を回動させる方向に運動する従動片と、回動軸に取り付けられて回転ふるいのふるい面を打撃するハンマーとを備え、回転ふるいの回転に伴うカムレールと従動片の動作によりハンマーでふるい面を打撃する構造を採用したので、きわめて単純な構造で効果的なふるいの目詰まり防止効果を得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
[実施の形態1]
本実施の形態は、目詰まり防止装置を、例えば管埋め戻し工法において土質改良のために掘削土と土質改良剤の混合攪拌及び分級をするために用いる混合分級装置に設置したものである。
図1は、混合攪拌分級装置1の説明図、図2は図1の矢視A―A図である。
混合攪拌分級装置1は、土質改良剤が添加された掘削土を受け入れて掘削土の混合攪拌及び分級を行う装置である。
混合攪拌分級装置1は、図1に示されるように、掘削土の投入部となるホッパ3と、略円筒状の外殻5とを有し、この外殻5内に、第1モータ7によって回転駆動される回転筒体9が収容され、回転筒体9の中心部を回転筒体9の全長に亘って貫通する回転軸11と、回転軸11に設置された攪拌羽根13を備えて構成されている。回転軸11は第2モータ15によって回転駆動される。
【0027】
混合攪拌分級装置1の外殻5は、図1、図2に示されるように、架台17上に設置されている。そして、図1、図2に示されるように、架台17の後端下部が架台本体とヒンジ結合された足部19を介して地面に設置されている。それ故、架台17はその前端側を上下動させることで、その後端側が足部19とのヒンジ結合部で回動して、その傾斜角度を自在に変更できるようになっている。
【0028】
例えば、下流側に向かって約5度の角度で傾斜して配置する。下流側が下になるようにしているのは、外殻5内に設置された円筒体内を掘削土が下流側に自然に移動するようにするためである。
なお、架台17の傾斜角度は、前述のように任意に設定できるので、長時間の混合攪拌が必要な場合には、傾斜角度を小さくし、逆に混合攪拌時間が短時間でよい場合には、傾斜角度を大きくすればよい。
傾斜角度は、一般的には、5度前後に調整されるが、これに限られるものではない。
【0029】
回転筒体9の下流側の下方には、図1に示されるように、回転筒体9で分級された掘削土を下流側に搬送する小型コンベア21が設置されており、小型コンベア21のさらに下流側には図示しないトラックなどに搬送するための搬送コンベア23が設けられている。
また、回転筒体9の後端側には、図2に示されるように、分級によってオーバーサイズとされた掘削土を収容して排出するシュート25が設けられている。
【0030】
回転筒体9は、図8に示されるように、掘削土が投入される上流側が混合攪拌部27となり、混合攪拌部27の下流側が分級部29となっている。
ふるいの目詰まり防止装置は分級部29に設置されるので、まず分級部29の構造及び目詰まり防止装置について説明する。
【0031】
分級部29は、攪拌混合部で攪拌混合された掘削土を所定のサイズに分級するものである。そのため、分級部29は、分級サイズに応じた所定のメッシュの網からなる円筒網体31から構成されている。メッシュのサイズは、工事現場ごとに定められる分級の規格によって種々のサイズに設定できる。
なお、この例では、分級部29を円筒網体31から構成したが、多数の孔を有するものであれば、例えばエキスパンドメタルなどでもよい。
【0032】
分級部29は、掘削土を分級するため、目詰まりすることがある。そこで、これを防止するため、本実施の形態では、分級部29を構成する円筒網体31に振動を与えるように打撃して目詰まりを防止する目詰まり防止装置33を設置している。
図3は目詰まり防止装置33を含む分級部29の拡大図である。図4、図5は図3の矢視B−B図であり、図4と図5は回転筒体9が図4の状態からさらに図中矢印方向に回転した状態が図5の状態である。
以下、図3〜図5に基づいて目詰まり防止装置33について説明する。
【0033】
本実施の形態に係る目詰まり防止装置33は、図3に示すように、回転筒体9の周面を一周するように設けられたカムレール35と、外殻の内面壁に分級部29の全長に亘って取り付けた回動軸37と、回動軸37の一端側に回動軸37に固定してもうけられカムレール35に当接する従動片39と、回動軸37に取り付けた3本のハンマー41とを備えている。
【0034】
カムレール35は、図4、図5に示すように、回転筒体9を一周するように設けられ、この例では4箇所の山部43と谷部45が順番に連続して設けられている。山部43はなだらかな傾斜角度で上に向かって傾斜する上向傾斜部43aと、上向傾斜部43aの頂上と同一の高さで同じ高さが一定の距離続く頂上部43bと、急な傾斜角度で下に向かって傾斜する下向傾斜部43cとを備えている。谷部45は、下向傾斜部43cの最下点と同一高さでその高さで連続している。
【0035】
回動軸37は、外殻の内面側に固定された軸受によって両端部が回動可能に支持されている。
従動片39は角丸の略三角形の板体からなり、一端側が回動軸37に固定され、他端側にカムレール35上を転動するカムフォロワとなるコロ53が設けられている。
ハンマー41は、回動軸37に挿入されて回動軸37にハンマー41を所定の位置で固定できる取付部55と、取付部55から延出するハンマー軸57と、ハンマー軸57の先端部に設けられて円筒網体31を打撃する打撃片59とを備えている。
取付部55は筒状になっており、回動軸37の軸方向に移動して最適位置に固定できる構造である。
ハンマー軸57は金属製の棒状体からなり、所定の重量を有している。所定の重量を有していることが、円筒網体31に打撃力を与えることができる一要因になっている。
打撃片59はハンマー軸57の先端部に回転自在かつ着脱可能に取り付けられた金属製の円柱部材から構成されている。打撃片59を回転自在にしたのは、打撃片59が円筒網体31と接触しているときに打撃片59が回転することで打撃片59と円筒網体31との摩擦を小さくするためである。また、打撃片59を着脱可能にしたのは、打撃片59を取り替えることによりその重量を変え、これによって打撃力を変えることができるようにするためである。
【0036】
以上のように構成された目詰まり防止装置33の動作を説明する。
回転筒体9を回転させると、従動片39に設けられたコロ53がカムレール35上を転がる。コロ53がカムレール35の谷部45に位置しているときには、図4に示すように、ハンマー41の先端の打撃片59が円筒網体31に当接する状態になっている。回転筒体9が回転して、コロ53がカムレール35の上向傾斜部43aに位置すると従動片39の先端側が押し上げられ、この動きによって回動軸37が一定の角度だけ回動する。これによって、図5に示すように、ハンマー41の先端側が持ち上げられる。コロ53が頂上部43bを移動しているときにはこの状態で保持される。コロ53が下向傾斜部43cに位置すると、押し上げられていた従動片39が逆方向に急激に移動し、これによって回動軸37が上向傾斜部43aのときと反対方向に回動する。これによって、図4に示すように、ハンマー41が振り下ろされ、打撃片59が円筒網体31を打撃する。
カムレール35には4つの山谷が設けられているので、回転筒体9が1回転する間に4回の打撃動作が行なわれる。
【0037】
外殻5における目詰まり防止装置33を設置した部分は、点検できるようにするために、図6に示すように、開口部56を設け、この開口部56に蓋体58を設け、点検可能にしている。
図6では蓋体58を開放した状態を示している。
また、図6に示すように、開口部56には、開口部56を回転筒体9の軸方向に横切るように保持棒60を着脱可能に設置できるようになっている。保持棒60は、図6に示すように、ハンマー軸57の先端側を保持することで、ハンマー41を常時円筒網体31に非接触の状態にしておくものである。ハンマー軸57の先端側を保持させることにより、分級対象となる土の土質性状によって円筒網体31を打撃する必要が無い場合には打撃をしないようにできる。ハンマー軸57を保持棒60に保持させた状態では、図7に示すように、従動片39のコロ53がカムレール35に接触しないようになっている。
【0038】
以上説明したように、本実施の形態の目詰まり防止装置33においては、回転筒体9に設けたカムレール35によって従動片39に運動を与えることでハンマー41による打撃を可能にするという極めて単純な構造によって従来例で説明したものと同様のハンマー打撃動作を実現している。このような単純な構造であれば、使用環境の悪いとコロ53でも故障が少なく安定した動作を継続できる。
しかも、従来例のように打撃力を付与するためにコイルバネのようなものを必要とせず、コイルバネを用いたときのようにコイルバネの劣化によって打撃力が弱まるようなこともない。
さらに、打撃片59を着脱可能にしているので、打撃片59を取り替えるだけで打撃力を変えることができ、分級対象の土質性状に最適な打撃力を容易に得ることができる。
またさらに、本実施の形態ではハンマー41の位置を自由に変更できるようにしているので、回転筒体9の傾斜角度等の種々の要因によって最も目詰まりが生じ易い箇所が変わるような場合でも最適の位置にハンマー位置を容易に変更でき、最適場所の打撃が可能になっている。
【0039】
なお、カムレール35の山谷の数を変更することで打撃回数等を容易に変更できるが、さらにカムレール35を着脱可能にしておけば、分級対象の土質性状ごとにカムレール35を取り替えることにより土質性状に最適な打撃回数を容易に得ることができる。
【0040】
次に混合攪拌部27について説明する。
混合攪拌部27は、円筒体からなり、円筒体の中心に配置された回転軸11に複数の攪拌羽根13が設置されている。
円筒体は、図1に示されるように、円筒体の外周部に設けられたギア61に第1モータ7の回転力を伝達することによって回転するように構成されている。回転数は特に限定されず、土質によって最適の混合が得られるように回転数を設定すればよい。もっとも通常は、数回〜数十回/分程度であり、回転数の調整は、例えばインバーターによって第1モータ7の回転数を調整することによって行うようにすればよい。
【0041】
攪拌羽根13は、図8に示されるように、上流側と下流側に集まって設置されている。攪拌羽根13の設置個数は、掘削土の土質や第2モータ15の駆動トルクを考慮して設定する。
また、各攪拌羽根13は、図8における矢視B−B図である図9に示されるように、回転軸11の軸周りに所定の角度、例えば90度ずつずれて設置されている。なお、図8では、紙面に直交する攪拌羽根13が省略されている。つまり、この例では、回転軸11の軸回りに90度ずつずらして配置された4枚の攪拌羽根13がひとつの攪拌羽根ブロックを2個有し、この2個の攪拌羽根ブロックが混合攪拌部27の上流端側と下流端側にそれぞれ配置されている。
攪拌羽根13を回転軸11に対して固定する方法は、回転軸11に直接溶接してもよいが、破損した場合に交換が容易なようにボルト止めによって固定するのが好ましい。
【0042】
攪拌羽根13が固定される回転軸11は、第2モータ15によって回転駆動され、その回転数は、例えば数回〜数百回/分程度であるが、回転速度は、インバーターによって第2モータ15の回転数を調整することによって調整可能にするのが好ましい。
なお、攪拌羽根13の回転方向は、回転筒体9と同じ方向でも逆の方向でもよいが、回転筒体9と同じ方向に回転させることで、トルクを小さくして小型のモータで回転駆動ができる。
【0043】
ここで、各攪拌羽根13の構成を説明する。
攪拌羽根13は、図8、図9に示されるように、全体が棒状体からなり、回転軸11に基端側が固定された基部13aと、この基部13aに対して回転面内で回動可能に取付けられた先端部13bとから構成される。先端部13bは、図9の矢印で示されるように、攪拌羽根13の回動面内で基部13aに対して回動できるようになっている。
このように、攪拌羽根13を基部13aと基部13aに対して回動できる先端部13bとから構成することにより、以下のような作用効果が得られる。
【0044】
攪拌羽根13は回転と同時に遠心力によって先端部13bと基部13aとが直線状になって、使用時には全体として長い攪拌具となり、回転筒体9の軸方向直交断面のほぼ全面にある掘削土を攪拌混合できる。
そして、先端部13bが基部13aに対して回動可能になっていることから、仮に礫のような大きな塊が筒状体内面と攪拌羽根先端に挟まれそうになっても、先端部13bが屈曲するので、攪拌羽根13に過大なトルクがかかることがなく、攪拌羽根13の回転が停止することがない。筒状体内面と攪拌羽根先端との間に挟まれそうになった礫は、攪拌羽根13によって跳ね飛ばされ細かく破砕されることから、混合攪拌が効率的に行える。
また、基部13aと先端部13bとの着脱を容易にしておくことで、停止時の交換や掃除等を容易にすることができる。
【0045】
回転筒体9には、図10に示すように、回転筒体9の内面に軸方向に延びる跳ね上げ板63を設けてもよい。跳ね上げ板63は、図10に示すように、円筒筒体の下部に溜まる掘削土を跳ね上げて、混合・攪拌を効果的にする作用を有する。この例では、跳ね上げ板63を、回転円筒体の内面に90度ずつずらして4枚設けているが、その枚数は特に限定されるものではない。
【0046】
図11は攪拌羽根13と跳ね上げ板63の配置関係を説明する図であり、攪拌羽根13と跳ね上げ板63が回転筒体9の軸方向から見たときに重なる位置にきた状態を、回転筒体9の軸直交方向から見た状態を示している。図11に示されるように、跳ね上げ板63は、回転筒体9の軸方向で攪拌羽根13の設置位置と重ならないように、すなわち攪拌羽根13が設置される位置には跳ね上げ板63を設けないようにするのが好ましい。このような配置にすれば、攪拌羽根13の先端と跳ね上げ板63とが干渉しないので、攪拌羽根13の長さを回転円筒体の内周近傍まで延ばすことができ、掘削土が攪拌羽根13の先端と回転筒体9内面の隙間をすり抜けるのを防止できる。
【0047】
以上のように構成された混合攪拌分級装置1の動作を説明する。
ベルトコンベア9から搬送された掘削土が、混合攪拌分級装置1のホッパ3に投入される。投入された掘削土は回転する回転筒体9によって、図10に示されるように、上方に跳ね上げられながら、混合攪拌される。また、回転筒体9内では高速に回転する攪拌羽根13によって掘削土は破砕され、さらに攪拌混合される。つまり、掘削土は、回転筒体9の回転による跳ね上げによる混合攪拌作用と、攪拌羽根13による破砕、混合攪拌作用を同時に受け、これによって効率的に混合攪拌が行なわれる。
特に、本実施の形態では、混合攪拌部27の上流端側に攪拌羽根13を集めて集約した攪拌羽根ブロックを設置しているので、投入された掘削土は投入直後に細かく破砕され、後の混合攪拌作用を効率的に行なえる。また、攪拌羽根ブロックを混合攪拌部27の下流端側にも配置しているので、たとえ混合攪拌部27の途中で掘削土が塊になるような状況が生じても混合攪拌部27の最終段階で確実に破砕と混合攪拌を行なうことができる。
【0048】
混合攪拌部27において混合攪拌された掘削土は、回転筒体9の下流側の分級部29に移動する。分級部29では、円筒網体31が回転しており、円筒網体31の網のメッシュによって、分級が行なわれる。すなわち、メッシュよりも細粒化している掘削土は円筒網体31の網目をくぐって落下して、小型コンベア21に送られ、さらに搬送コンベア23によって図示しないトラックに搬送される。
他方、メッシュよりも粗い掘削土は円筒網体31の下流側端部まで移動して、その開放端部からシュート25を介して、排出される。
【0049】
回転筒体9の稼動中には、上述したように目詰まり防止装置によってハンマーが円筒網体31を打撃するので、円筒網体31の目詰まりが防止され、円筒網体31の目詰まりによって作業を中止することなく、連続的な作業ができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態の混合攪拌分級装置1によれば、混合攪拌部27と分級部29が一体となって構成されているので、装置全体がコンパクトになっている。このため、この混合攪拌分級装置1を用いることによって土質改質プラント1全体がコンパクトになり、機器の設置スペースのない工事現場においても、使用することができる。
しかも、掘削土を混合攪拌した直後に分級するため、分級の効率もよい。
また、混合攪拌部27については、前述したような種々の工夫がなされており、前述のように、混合攪拌が効率的に行なわれる。
【0051】
また、本実施の形態においては、攪拌混合部と分級部29とを一つの回転筒体9で構成しているにも関わらず、攪拌混合及び分級の両方共に効率よくできる。これは、攪拌混合部においては攪拌羽根13の回転数が攪拌混合率を決める重要な要素になるのに対して、分級部29においては、円筒網体31の回転数が分級効率を決める重要な要素となることから、回転筒体9の回転数を分級効率の点から決定し、それを前提として攪拌混合効率の観点から攪拌羽根13の回転数を決めることができるからである。
【0052】
なお、上記の実施の形態においては、回転筒体9の駆動と攪拌羽根13の駆動をそれぞれ第1モータ7、第2モータ15という別の駆動源により駆動するようにしたが、これらを同一の駆動源で駆動するようにしてもよい。
また、上記の実施の形態においては、複数の攪拌羽根13を掘削土投入側に集めて配置した例を示したが、回転筒体9における混合攪拌部内で均等に配置してもよい。
また、上記の実施の形態では、攪拌羽根13の形状につき、真っ直ぐな棒状体を途中で回動可能に連結したものを示したが、湾曲した棒状体を連結して形成してもよい。また、攪拌羽根13の連結部を2箇所以上にしてもよい。なお、棒状体には、扁平な板状のものを含む。
さらに、攪拌羽根13は全てが同じ長さや構造である必要はなく、長さを変えてもよい。その場合、短い攪拌羽根13は連結構造ではなく単一体から構成するようにしてもよい。
【0053】
また、上記の実施の形態においては、目詰まり防止装置としてハンマー打撃によるものを単独で用いたものを示したが、分級部29の外側から内側に向けて空気を噴射するエアー噴射手段67を合わせて設けてもよい。
エアー噴射手段67は、図12に示すように、圧縮空気を送るエアーコンプレッサ69と、エアーコンプレッサ69とホース71を介して接続されたヘッダー73と、ヘッダー73に設けられた複数の噴射ノズル75と、を備えている。
【0054】
ヘッダー73は、図12に示されるように、分級部29の円筒網体31とほぼ同一の長さを有し、円筒網体31の外側面に所定の距離を離して設置されている。
ヘッダー73を設置する位置は、円筒網体31の外周部における高さ方向の中央部、すなわち円筒網体31の最下位置から90度回転した位置が好ましい。また、この位置に、円筒網体31を挟んで対向するように2個設けるのがより好ましい。
【0055】
圧縮空気の噴射は、円筒網体31が稼動している間、常時行なうようにするのが好ましいが、間欠的に行なうようにしてもよい。
圧縮空気の圧力は、特に限定されるものではないが、3〜5Kgf/cm(2.94〜4.9MPa)が好適である。
【0056】
エアー噴射手段67を追加して設けることにより、円筒網体31の目詰まりをさらに効果的に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】本発明の実施の形態1に係る混合攪拌分級装置の説明図である。
【図2】図1の矢視A−A線図である。
【図3】図1の一部を拡大して示す拡大図である。
【図4】図3の矢視B−B図であり、動作説明図である。
【図5】図3の矢視B−B図であり、動作説明図である。
【図6】本発明の実施の形態1に係る混合攪拌分級装置の一部を拡大して示す図である。
【図7】本発明の実施の形態1に係る混合攪拌分級装置の動作説明図である。
【図8】図1に示した混合攪拌分級装置の内部の構造の説明図である。
【図9】図8の矢視B−B線図である。
【図10】本発明の実施の形態1に係る混合攪拌分級装置の他の態様の説明図である。
【図11】本発明の実施の形態1に係る混合攪拌分級装置の他の態様の説明図である。
【図12】本発明の実施の形態1に係る混合攪拌分級装置の他の態様の説明図である。
【図13】従来技術の説明図である。
【図14】従来技術の説明図であり、図13の一部を拡大して示す図である。
【図15】従来技術の動作説明図である。
【図16】従来技術の動作説明図である。
【符号の説明】
【0058】
1 混合攪拌分級装置
9 回転筒体
11 回転軸
13 攪拌羽根
13a 基部
13b 先端部
27 混合攪拌部
29 分級部
31 円筒網体
33 目詰まり防止装置
35 カムレール
37 回動軸
39 従動片
41 ハンマー
43 山部
45 谷部
53 コロ
55 取付部
57 ハンマー軸
59 打撃片
63 跳ね上げ板
67 エアー噴射手段


【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転ふるいのふるい面を打撃して目詰まりを防止するふるい装置の目詰まり防止装置であって、
前記回転ふるいの回転に伴って回転する回転体に設けられたカムレールと、前記回転ふるいのふるい面に対向して回動可能に設けられた回動軸と、該回動軸の一端側に固定されると共に前記カムレールに当接してカムレールのレール形状に沿って前記回動軸を回動させる方向に運動する従動片と、前記回動軸に取り付けられて前記回転ふるいのふるい面を打撃するハンマーとを備えてなることを特徴とするふるい装置の目詰まり防止装置。
【請求項2】
ハンマーは回動軸の軸方向所望の位置に移動でき、かつ固定できるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のふるい装置の目詰まり防止装置。
【請求項3】
ハンマーの先端に設けられた打撃部が交換可能に取り付けられていることを特徴とする請求項1または2に記載のふるい装置の目詰まり防止装置。
【請求項4】
ハンマーがふるい面に当接せず、かつ従動片がカムレールに接触しないようにハンマーを保持する保持具を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載のふるい装置の目詰まり防止装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか一項に記載のふるい装置の目詰まり防止装置が設置されてなることを特徴とするふるい装置。
【請求項6】
土砂を受け入れて土砂の混合攪拌および分級を行なう混合攪拌分級装置であって、回転駆動される回転筒体を有し、該回転筒体の上流側が混合攪拌部となり下流側が分級部となるように構成され、混合攪拌部には前記回転筒体とは独立に回転駆動される中心軸と、該中心軸から径方向に延出する攪拌羽根が設けられ、分級部には円筒状の多孔部材からなるふるい面が設けられると共に請求項1〜4の何れか一項に記載のふるい装置の目詰まり防止装置を有することを特徴とする混合攪拌分級装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate


【公開番号】特開2009−39646(P2009−39646A)
【公開日】平成21年2月26日(2009.2.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−206986(P2007−206986)
【出願日】平成19年8月8日(2007.8.8)
【出願人】(391037423)株式会社コトー (14)
【出願人】(000004123)JFEエンジニアリング株式会社 (1,044)
【出願人】(000231132)JFE工建株式会社 (54)
【Fターム(参考)】