説明

へこませた直線定規

【課題】 印を付けることなく、素早く正確な角度線を引く。
【解決手段】 直線定規の短辺に任意の長さを選び、任意の長さを2等分する垂直線を引く。任意の長さをへこませると2箇所の端ができる。この両端を分度器の縁の円周部分に当てると、円周部分に任意の長さの弦ができる。弦の垂直2等分線は円の中心を通り、弦の垂直2等分線と方向が等しい垂直線上に選ぶ角度が現れる。垂直線上の一部をなぞりやすいようにするため、定規の表面から裏面までをくりぬく。垂直線と角度目盛りを合わせることにより角度を選ぶことができ、印を付けること及び分度器を外すことなく素早く正確な角度線を引くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、分度器の縁の円周部分にへこませた部分の両端を当てる直線定規に関する。
【背景技術】
【0002】
市販されている分度器は半円形又は円形が殆どである。この形状の分度器を用いて角度線を引く場合、印を付けた後に、その印に分度器の中心と基準線を合わせ、角度目盛りを選んで印を付け、分度器を外した後に、分度器の中心の印と選んだ角度の印の間を定規で結び角度線を引いている。
【0003】
この方法では印を付ける場合、個人の筆圧より付ける印の大きさに違いが生ずる。また、個人の目線により印の位置に違いを生じ、さらに印と印を結ぶ際、定規を置く位置が正確でない等のため、真に正確な線を引くことができない。
【0004】
本発明とは異なるが、分度器の中心に板状の片を付け、その板状の片を分度器の中心から外れることなく動かして角度を選んだ後に角度線を引き、あるいは角度を測る測定器は市販されている。これは分度器の中心に、板状の片をネジ等で直接取り付け、かつ板状の片を角度目盛りに合うように変形していることを特徴としている。本発明は分度器の中心を探すため分度器の縁の円周部分を利用することを特徴とした方法であり、前者の方法とは異なる。
【0005】
なお、本願発明に関する公知技術としては、中学校の数学教科書に円の法則に関する記述がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の如く、印を付けて2点間を定規で結んで角度を有する線を引く方法は、正確な線を引くことができない。その原因は印を付ける際に様々な要因が重なるために、誤った線を引くことにある。
【0007】
本発明は、このような点に鑑みて成されたものであり、その目的は印を付けることなく誰でも素早く正確な角度線を引くことができ、角度を測ることを特徴とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の目的を達成する本発明のへこませた直線定規は、へこませた部分の端と端を分度器の縁の円周部分に当てると、円周部分上には、へこませた部分の端と端を結んだ長さ(以下へこませた部分の幅という)の弦ができる。弦の垂直2等分線は必ず円の中心を通る。これを利用し、へこませた部分の幅を2等分する垂直線を引いておくと、この垂直線の方向は弦の垂直2等分線と方向が一致し、垂直線を延長した線は分度器の中心を通ることになり、印を付けることなく中心が求まる。また、選んだ角度はこの垂直線上に現れるので、垂直線上の一部をなぞりやすいようにするためくりぬいておく。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように本発明によれば、弦の垂直2等分線は必ず円の中心を通るから、へこませた部分の両端を分度器の縁の円周部分に当て、へこませた部分の幅を2等分する垂直線と、角度目盛りを合わせることにより角度が選べ、定規を押さえてくりぬいた部分をなぞることにより、印を付けることなく正確な角度線を引くことができる。また、へこませた部分の両端は円周部分を滑りやすくなる。このため滑らせながら角度を選ぶことができる。この際、印を付けること及び分度器を外すことを省略できるため、角度を選ぶ時間が短縮され素早く角度線を引くことができる。
【0010】
物体をへこませた部分の端と端を分度器の縁の円周部分に当てると、へこませた部分の幅の弦が円周部分にできる。弦の垂直2等分線は円の中心を通るため、当てることにより印を付けることなく中心が求められ、へこませた部分の幅を2等分する垂直線上に、選んだ角度が現れるのであり、直線定規だけを変形することにより、正確でしかも素早く角度線が引けるのではなく、三角定規やカード、鉛筆や各種ペン、各種工具等あらゆる形状の物をへこませた場合であっても、へこませた部分の幅を2等分する垂直線上に選んだ角度が現れるのであって、本発明はこれを利用したものである。
【0011】
へこませた部分の幅は狭く奥行きも浅くてよいため、現在市販されている分度器全てに対応でき、特定の分度器の大きさを指定するものではない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下本発明の実施の形態を図面に基づき詳細に説明する。
【0013】
図1は直線定規の平面図である。
図2は分度器と組み合わせて使用する形態図である。
図3は弦とへこませた部分の関係図である。
【0014】
図1に示すように、直線定規の短辺1に任意の長さを選び、任意の長さを2等分する垂直線4を引く。垂直線4を図3のように直線定規の外方向に延長し、この線上の点Aを選ぶ。点Aを中心にして、短辺1の任意の長さに等しい弧の形状をした、へこませた部分2をつくる。図1のように垂直線4の一部を表面から裏面までを貫通するように、5のようにしてくりぬく。このようにして、図2のように分度器の縁の円周部分7にへこませた部分2の端3と端3′を当てると、へこませた部分2の幅の弦9が分度器の縁の円周部分上7にできる。弦の垂直2等分線は必ず円の中心を通ることはよく知られている。もともとへこませた部分の幅と弦9は図3のように同一であるため、垂直線4の方向は円周部分上7にできる弦の垂直2等分線10と方向が同一である。このため垂直線4を延長した線は分度器の中心6を必ず通ることになる。分度器の中心はこのように印を付けることなくして求められ、垂直線4と角度目盛り8を合わせることにより角度を選ぶことができる。選んだ角度は垂直線上4に現れるので、定規を押さえ垂直線上4のくりぬいた部分5をペン等でなぞることにより、印を付けることなく誰でも正確な角度線を引くことができる。また、印を付けること及び分度器を外すことを省略できるため、今までの方法である角度を選んで印を付け、分度器を外して印と印を定規で結ぶという一連の動作に要する時間が短縮されるため、素早く正確な角度線を引くことができる。
【0015】
角度を測ることを目的とする定規は、図1の5のようにくりぬく必要はなく、へこませた部分の幅を2等分する垂直線4があればよい。
【0016】
へこませる形は、へこませる両端があればよいため自由な形でよい。例えばM字形や半円形、矩形等である。
【産業上の利用分野】
【0017】
この定規は広く学生や大衆向きであるが、その使用方法の一部を紹介する。印を付けること及び分度器を外す必要がないので、分度器を紙面の外に置いて角度線を引くことができる。このため狭い紙面であっても角度線を自由に引くことができ、紙面を有効に活用できる。また図面等が水や油等で濡れている場合、印を付けることはできない。このため物理的な力で印を付ける等した場合は、紙面を損傷してしまう恐れが生ずる。しかしこの定規は、印を付けること及び分度器を外すことを省略できるため、油に濡れた生産現場でも使用できる。また今の時勢、占いが大変流行っているが、角度を選ぶ方位鑑定に利用できる等、その応用範囲は広い。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】 直線定規の平面図である。
【図2】 分度器と直線定規を組み合わせて使用する形態図である。
【図3】 弦とへこませた部分の関係図である。
【符号の説明】
【0019】
1 直線定規の短辺 2 へこませた部分 3 へこませた部分の端
3′へこませた部分の端
4 任意の長さを2等分する垂直線
5 直線定規の表面から裏面までくりぬいた部分
6 分度器の中心 7 分度器の縁の円周部分 8 角度目盛り
9 弦 10 弦の垂直2等分線 11 基準線
A 点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
へこませた部分を有する直線定規であって、へこませた部分の両端を分度器の縁の円周部分に当て、角度を選ぶことを特徴とした直線定規。
【請求項2】
へこませた部分の両端を分度器の縁の円周部分に当て、角度を選ぶことを特徴とした形状の物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−94073(P2008−94073A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−307184(P2006−307184)
【出願日】平成18年10月16日(2006.10.16)
【出願人】(503139452)
【Fターム(参考)】