まつ毛カール器
【課題】 本発明は、まつ毛カール器を使用して従来品よりも目元を一段とぱっちりさせることを課題とする。そのために、まつ毛をカールするときに、まつ毛のカール度を従来よりも大きくすることができ、且つ構造を簡単にすることを課題とする。また、まつ毛をカールするときに、まつ毛カール器に設けた櫛でまつ毛を確実に梳くようにすることを課題とする。
【解決手段】 まつ毛カール器の使用時における顔に向く方向を前方、反対向きを後方と定義して、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられている。
【解決手段】 まつ毛カール器の使用時における顔に向く方向を前方、反対向きを後方と定義して、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に一般女性が使用するまつ毛カール器に関する。
【背景技術】
【０００２】
まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛を挟圧した状態で、挟圧部から突出したまつ毛を受け部に押し付ける第三の挟圧部を設けたまつ毛カール器が存在する（例えば特許文献１）。
【０００３】
まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、摺動部材にまつ毛側に向けて突出する櫛状の突出部を形成したまつ毛カール器も存在する（例えば、特許文献２参照。）。
【特許文献１】特開２００１-１９０３２１号公報
【特許文献２】特開２００３−１４４２２２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、まつ毛カール器を使用して従来品よりも目元を一段とぱっちりさせることを課題とする。そのために本発明は、まつ毛をカールするときに、まつ毛のカール度を従来よりも大きくすることができ、且つ構造を簡単にすることを課題とする。また、まつ毛をカールするときに、まつ毛カール器に設けた櫛でまつ毛を確実に梳くようにすることを課題とする。
【０００５】
特許文献１は、まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛を挟圧した状態で、挟圧部から突出したまつ毛を受け部に押し付ける第三の挟圧部を設けたまつ毛カール器が存在する構成である。すなわち、まつ毛を一度挟圧してから、その挟圧状態のままでさらに挟圧部から突出しているまつ毛を受け部に押し付ける構成である。二度目のカール作業は、挟圧された状態のまつ毛を受け部に押し付けて曲げるものである。押し付けて曲げるだけなので、押し付けを止めればまつ毛はほとんど押し付けの前に状態に復帰するから、特許文献１では押し付けの際にヒーターを使用するものを示している。髪の毛をドライヤーの熱風で整えることと同じ道理である。また、特許文献１に記載されているように第２挟持部４には横方向に連続したＶ字状の溝９が形成してある。したがって、一度目の挟圧の際に、まつ毛はこのＶ字状に沿ってカールされる。カールされるときに、まつ毛はＶ字状の溝に入ってその底で挟圧されるのである。Ｖ字状にカールされたまつ毛は、Ｖ字状の溝の底に一度下がって再び上昇するようにカールされから実際のまつ毛の形状と明確に異なっていて、やや不自然である。そこで、本発明は自然な感じで目元をぱっちりさせるまつ毛カール器を提供することを目的とする。また、特許文献１はまつ毛を押し付けるための装置を別に必要とするから構造が複雑になる。そこで、本発明は簡単な構造で目元をさらにぱっちりさせるまつ毛カール器を提供することを目的とする。
【０００６】
特許文献２は、まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、摺動部材にまつ毛側に向けて突出する櫛状の突出部を形成した構成である。したがって、まつ毛の下側から櫛を入れて梳く構成である。まつ毛カール器は瞼に接触させて使用するものであるから、櫛の歯を鋭くすると使用者に恐怖感を与えるのである程度の幅を有していなければならない。そうすると、まつ毛を梳くときにまつ毛が部分的に櫛歯の上に乗ってしまうので確実に梳くことができない。そこで、本発明はまつ毛を櫛歯の間に強制的に押し込むことにより確実に梳くことができるまつ毛カール器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の請求項１は、まつ毛の一方の側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の他方の側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、該摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛カール器の使用時における顔に向く方向を前方、反対向きを後方と定義して、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられていることを特徴とする構成である。
【０００８】
請求項２は、まつ毛プッシャーが摺動部材と一体的に移動し、まつ毛を直接押すまつ毛プッシャーの縁部は第二挟圧部よりも高く設定されている要素が請求項１に付加された構成である。
【０００９】
請求項３は、受け部が皮膚接触部を有し、該皮膚接触部の前面が使用時に皮膚と接触するものであり、皮膚接触部の後面に櫛状の突出部が存在し、まつ毛を挟圧したときにまつ毛プッシャーの縁部は櫛状の突出部の後ろ側まで移動する要素が請求項１又は請求項２に付加された構成である。
【００１０】
請求項４は、櫛状の突出部が第一挟圧部の縁を越えて突出していない要素が請求項３に付加された構成である。
【００１１】
請求項５は、櫛状の突出部の後方に間隔をあけて櫛部が突出部と対向するように設けられ、且つ櫛部の各櫛歯は第一挟圧部の挟圧方向と同じ方向を向いている要素が請求項３又は請求項４に付加された構成である。
【００１２】
請求項６は、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、まつ毛プッシャーの縁部が突出部と櫛部の間に移動する要素が請求項５に付加された構成である。
【発明の効果】
【００１３】
請求項１は、まつ毛の一方の側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の他方の側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられている構成である。すなわち、まつ毛を挟圧する直前に、まつ毛はまつ毛プッシャーによって通常の状態よりも摺動部材移動方向に押し広げられている。そして、その押し広げられた状態でまつ毛は挟圧される。通常は、まつ毛がほぼ水平又は水平に近い上向き状態で挟圧されるのに対して、本発明は通常の状態よりも押し広げられた状態で挟圧されるのである。したがって、挟圧時に前方側のまつ毛、すなわちまつ毛の根元に近い方のまつ毛はほぼ水平に近い状態であるが、後ろ側のまつ毛、すなわちまつ毛の先端に近い方のまつ毛は水平から傾斜して押し広げられた状態にある。この結果、第一挟圧部は後ろ側のまつ毛に斜めに入って挟圧するから、従来品のように水平状態のまつ毛を挟圧するよりも大きく広げることができて目元がぱっちりする。また、根元に近い方のまつ毛は水平であるから、挟圧された部分が特許文献１のようにＶ字状に下がることもなく自然な感じを保つことができる。
【００１４】
請求項２は、まつ毛プッシャーが摺動部材と一体的に移動し、まつ毛を直接押すまつ毛プッシャーの縁部は第二挟圧部よりも高く設定されている構成である。摺動部材とまつ毛プッシャーが一体的に移動するので、まつ毛プッシャーを独自に移動させる装置は不要であるから構造を簡単にすることができる。これによりコストを抑えることができる。まつ毛プッシャーの縁部が第二挟圧部よりも高いので、その縁部によってまつ毛を大きく広げた状態でまつ毛を挟圧することができる。
【００１５】
請求項３は、受け部が皮膚接触部を有し、該皮膚接触部の前面が使用時に皮膚と接触するものであり、皮膚接触部の後面に櫛状の突出部が存在し、まつ毛を挟圧したときにまつ毛プッシャーの縁部は櫛状の突出部の後ろ側まで移動する。したがって、まつ毛プッシャーの縁部がまつ毛を押しながら櫛状突出部の後ろ側まで移動することによって、まつ毛は強制的に櫛状の各突出部の間に押し込まれるので、まつ毛を確実に梳くことができる。
【００１６】
請求項４は、櫛状の突出部は第一挟圧部の縁を越えて突出していない構成である。まつ毛カール器は瞼に接触させながら使用するものであるから、櫛状の突出部が突き出ていると使用者に恐怖感を与える。請求項４は、櫛状の突出部が突出しておらず、使用時に見えないので恐怖感を与えない。
【００１７】
請求項５は、櫛状の突出部の後方に間隔をあけて櫛部が突出部と対向するように設けられ、且つ櫛部の各櫛歯は第一挟圧部の挟圧方向と同じ方向を向いている構成である。櫛部によってまつ毛の先端付近を梳くことができるから、櫛状の突出部と相俟ってまつ毛を根元から先端まで確実に梳くことができる。
【００１８】
請求項６は、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、まつ毛プッシャーの縁部は突出部と櫛部の間に移動する構成である。したがって、まつ毛プッシャーの縁部が挟圧点よりも突出しているまつ毛を確実に押すから、まつ毛は強制的に櫛状の各突出部の間と各櫛歯の間に押し込まれるので、まつ毛をその先端近くまで確実に梳くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。摺動部材１は、レバー２を操作することによって上下に摺動する。まず、摺動部材１が上下に摺動する機構について説明する。図２に示すように、本体５は、ハウジングを兼ねる把持部３と、受け部４と、これらの把持部３及び受け部４を連結する２つの柱６，６とから成る。把持部３の内部にコイルスプリング７が装着されている。図３に示すように、コイルスプリング７は、本体５に設けられたスプリング押さえ８と、摺動部材１の底部９の間に装着されている。レバー２を下方に押すと、爪１０，１０がレバー２に押されて上昇し、摺動部材１の両側に設けられた係止部１１に当たって摺動部材１を上方に押す。この結果、摺動部材１は、その底部９がコイルスプリング７を押し縮めながら摺動し上昇する。レバー２を押す力を解除すると、コイルスプリング７の弾性力によって摺動部材１の底部９が押されて摺動部材１は下方に摺動する。以上が、摺動部材１の摺動する機構である。なお、本体５は前板部２０と後板部２１を合わせて一体的に形成されている。後板部２１は硬質の合成樹脂製であり、受け部４と柱６，６が一体に設けられている。レバー２も後板部２１に回動可能に装着されている。前板部２０は硬質の合成樹脂製であり、スプリング押さえ８が一体に設けられている。本体５の上下方向の長さは約５８ｍｍであり、本体５の横幅は約３６ｍｍであり、本体５の最大厚みは約１６ｍｍである。
【００２０】
図７に示すように、受け部４は下向きの第一挟圧部１２を有する。受け部４の前部に皮膚接触部１３が形成されている。使用時に皮膚接触部１３の前面が瞼に宛がわれる。皮膚接触部１３の後面に櫛状の突出部１４が多数形成されている。この突出部１４は皮膚接触部１３の後面から後方に向くように形成されており、突出部１４の下端は第一挟圧部１２の縁よりも下方に突出していない。
【００２１】
受け部４には、櫛状の突出部１４と対向する櫛部１５が受け部４と一体に設けられている。本発明は一体に設けることに限定されず、突出部１４と櫛部１５の一方または双方を先端を丸めた金属針で形成して、多数の金属針を受け部４に並べて埋め込む構成であってもよい。櫛部１５は多数の櫛歯１６から成る。各突出部１４と各櫛歯１６は整合し連結して下向きＵ字形の溝１７を形成している。したがって、各突出部１４の隙間と各櫛歯１６の隙間も整合している。図９に示すように、各突出部１４と各櫛歯１６は後方に向かって扇形に広がっているから、これらの隙間も同様に扇形に広がっている。したがって、これらの突出部１４及び櫛歯１６で梳かれたまつ毛はその先端に行くに従って扇形に広がる。各突出部１４と各櫛歯１６の扇形の広がり度は、中央寄りのものに対してその外寄りの隣のものが約２°開いている。各櫛歯１６の厚みは約０．５ｍｍである。厚みは０．４ｍｍ〜１．０ｍｍであることが好ましい。
【００２２】
受け部４の前面上部に階段状表面部１８が設けられている。この階段状表面部１８は、瞼に宛がったときに滑りにくくするためのものである。階段状表面部１８は、エラストマーで一体に形成された宛がい部１９に形成されたものであり、宛がい部１９は受け部４の上部に嵌め込みにより装着されている。
【００２３】
摺動部材１の上端に設けた溝に細長いゴムで形成された第二挟圧部２２が嵌合されている。その第二挟圧部２２の後ろ側にまつ毛プッシャー２３が摺動部材１と一体に形成されている。まつ毛プッシャー２３は、第二挟圧部２２のほぼ全長に亘って同じ高さで延在している。まつ毛プッシャー２３の高さは、第二挟圧部２２の上面よりも高くなるように形成されている。
【００２４】
次に、本発明の使用方法について説明する。この使用方法は、目の上にあるまつ毛をカールする場合についてである。まず、把持部３に２つの指を宛がうか、あるいは把持部３とレバー２にそれぞれ１つずつの指を宛がって本体５を持つ。まつ毛２４を第一挟圧部１２と第二挟圧部２２の間に通しながら皮膚接触部１３の前面を瞼に宛がう。次いでレバー２を押し下げると、摺動部材１が上昇してまつ毛プッシャー２３がまつ毛２４を押し上げる。そのときに、まつ毛プッシャー２３はまつ毛２４のやや先端２５寄りを押すから、まつ毛２４の先端２５が上方に上がるように傾斜する。さらにレバー２を押し下げて摺動部材１を上昇させると、まつ毛プッシャー２３が溝１７まで移動し、まつ毛２４を各突出部１４の隙間と各櫛歯１６の隙間に押し込む。そして、まつ毛２４は第一挟圧部１２と第二挟圧部２２の間で挟圧される。まつ毛プッシャー２３が溝１７まで移動したときに、まつ毛プッシャー２３は各突出部１４と各櫛歯１６に接触することがない。したがって、溝１７内でまつ毛プッシャー２３がまつ毛を挟むことがなく円滑に作業を行うことができる。図４に示すように、第一挟圧部１２と第二挟圧部２２の挟圧点に対して、まつ毛プッシャー２３の縁部は高い位置にある。図４において顔は右側に来るので、まつ毛２４の先端は左側である。したがって、まつ毛２４が挟圧される際に、まつ毛２４はその先端２５が上方に上がるように傾斜しているから、従来品に比べて挟圧後におけるまつ毛２４の上方への広がりを大きくできる。これにより、従来よりも目元をぱっちりさせることができる。本体５の上下を逆にして下まつ毛をカールすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明の断面図
【図２】本発明の前面図
【図３】摺動部材の摺動機構を示す斜視図
【図４】まつ毛の挟圧状態を示す断面図
【図５】本体の後板部の前側から見た斜視図
【図６】本体の後板部の後ろ側から見た斜視図
【図７】受け部の一部断面斜視図
【図８】後板部の後面図
【図９】図６におけるＡ−Ａ線断面図
【符号の説明】
【００２６】
１ 摺動部材
２ レバー
３ 把持部
４ 受け部
５ 本体
６ 柱
７ コイルスプリング
８ スプリング押さえ
９ 摺動部材の底部
１０ 爪
１１ 係止部
１２ 第一挟圧部
１３ 皮膚接触部
１４ 櫛状の突出部
１５ 櫛部
１６ 櫛歯
１７ 溝
１８ 階段状表面部
１９ 宛がい部
２０ 前板部
２１ 後板部
２２ 第二挟圧部
２３ まつ毛プッシャー
２４ まつ毛
２５ まつ毛の先端
【技術分野】
【０００１】
本発明は、主に一般女性が使用するまつ毛カール器に関する。
【背景技術】
【０００２】
まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛を挟圧した状態で、挟圧部から突出したまつ毛を受け部に押し付ける第三の挟圧部を設けたまつ毛カール器が存在する（例えば特許文献１）。
【０００３】
まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、摺動部材にまつ毛側に向けて突出する櫛状の突出部を形成したまつ毛カール器も存在する（例えば、特許文献２参照。）。
【特許文献１】特開２００１-１９０３２１号公報
【特許文献２】特開２００３−１４４２２２号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００４】
本発明は、まつ毛カール器を使用して従来品よりも目元を一段とぱっちりさせることを課題とする。そのために本発明は、まつ毛をカールするときに、まつ毛のカール度を従来よりも大きくすることができ、且つ構造を簡単にすることを課題とする。また、まつ毛をカールするときに、まつ毛カール器に設けた櫛でまつ毛を確実に梳くようにすることを課題とする。
【０００５】
特許文献１は、まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛を挟圧した状態で、挟圧部から突出したまつ毛を受け部に押し付ける第三の挟圧部を設けたまつ毛カール器が存在する構成である。すなわち、まつ毛を一度挟圧してから、その挟圧状態のままでさらに挟圧部から突出しているまつ毛を受け部に押し付ける構成である。二度目のカール作業は、挟圧された状態のまつ毛を受け部に押し付けて曲げるものである。押し付けて曲げるだけなので、押し付けを止めればまつ毛はほとんど押し付けの前に状態に復帰するから、特許文献１では押し付けの際にヒーターを使用するものを示している。髪の毛をドライヤーの熱風で整えることと同じ道理である。また、特許文献１に記載されているように第２挟持部４には横方向に連続したＶ字状の溝９が形成してある。したがって、一度目の挟圧の際に、まつ毛はこのＶ字状に沿ってカールされる。カールされるときに、まつ毛はＶ字状の溝に入ってその底で挟圧されるのである。Ｖ字状にカールされたまつ毛は、Ｖ字状の溝の底に一度下がって再び上昇するようにカールされから実際のまつ毛の形状と明確に異なっていて、やや不自然である。そこで、本発明は自然な感じで目元をぱっちりさせるまつ毛カール器を提供することを目的とする。また、特許文献１はまつ毛を押し付けるための装置を別に必要とするから構造が複雑になる。そこで、本発明は簡単な構造で目元をさらにぱっちりさせるまつ毛カール器を提供することを目的とする。
【０００６】
特許文献２は、まつ毛の上側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の下側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、摺動部材にまつ毛側に向けて突出する櫛状の突出部を形成した構成である。したがって、まつ毛の下側から櫛を入れて梳く構成である。まつ毛カール器は瞼に接触させて使用するものであるから、櫛の歯を鋭くすると使用者に恐怖感を与えるのである程度の幅を有していなければならない。そうすると、まつ毛を梳くときにまつ毛が部分的に櫛歯の上に乗ってしまうので確実に梳くことができない。そこで、本発明はまつ毛を櫛歯の間に強制的に押し込むことにより確実に梳くことができるまつ毛カール器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【０００７】
本発明の請求項１は、まつ毛の一方の側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の他方の側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、該摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛カール器の使用時における顔に向く方向を前方、反対向きを後方と定義して、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられていることを特徴とする構成である。
【０００８】
請求項２は、まつ毛プッシャーが摺動部材と一体的に移動し、まつ毛を直接押すまつ毛プッシャーの縁部は第二挟圧部よりも高く設定されている要素が請求項１に付加された構成である。
【０００９】
請求項３は、受け部が皮膚接触部を有し、該皮膚接触部の前面が使用時に皮膚と接触するものであり、皮膚接触部の後面に櫛状の突出部が存在し、まつ毛を挟圧したときにまつ毛プッシャーの縁部は櫛状の突出部の後ろ側まで移動する要素が請求項１又は請求項２に付加された構成である。
【００１０】
請求項４は、櫛状の突出部が第一挟圧部の縁を越えて突出していない要素が請求項３に付加された構成である。
【００１１】
請求項５は、櫛状の突出部の後方に間隔をあけて櫛部が突出部と対向するように設けられ、且つ櫛部の各櫛歯は第一挟圧部の挟圧方向と同じ方向を向いている要素が請求項３又は請求項４に付加された構成である。
【００１２】
請求項６は、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、まつ毛プッシャーの縁部が突出部と櫛部の間に移動する要素が請求項５に付加された構成である。
【発明の効果】
【００１３】
請求項１は、まつ毛の一方の側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の他方の側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、摺動部材を受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられている構成である。すなわち、まつ毛を挟圧する直前に、まつ毛はまつ毛プッシャーによって通常の状態よりも摺動部材移動方向に押し広げられている。そして、その押し広げられた状態でまつ毛は挟圧される。通常は、まつ毛がほぼ水平又は水平に近い上向き状態で挟圧されるのに対して、本発明は通常の状態よりも押し広げられた状態で挟圧されるのである。したがって、挟圧時に前方側のまつ毛、すなわちまつ毛の根元に近い方のまつ毛はほぼ水平に近い状態であるが、後ろ側のまつ毛、すなわちまつ毛の先端に近い方のまつ毛は水平から傾斜して押し広げられた状態にある。この結果、第一挟圧部は後ろ側のまつ毛に斜めに入って挟圧するから、従来品のように水平状態のまつ毛を挟圧するよりも大きく広げることができて目元がぱっちりする。また、根元に近い方のまつ毛は水平であるから、挟圧された部分が特許文献１のようにＶ字状に下がることもなく自然な感じを保つことができる。
【００１４】
請求項２は、まつ毛プッシャーが摺動部材と一体的に移動し、まつ毛を直接押すまつ毛プッシャーの縁部は第二挟圧部よりも高く設定されている構成である。摺動部材とまつ毛プッシャーが一体的に移動するので、まつ毛プッシャーを独自に移動させる装置は不要であるから構造を簡単にすることができる。これによりコストを抑えることができる。まつ毛プッシャーの縁部が第二挟圧部よりも高いので、その縁部によってまつ毛を大きく広げた状態でまつ毛を挟圧することができる。
【００１５】
請求項３は、受け部が皮膚接触部を有し、該皮膚接触部の前面が使用時に皮膚と接触するものであり、皮膚接触部の後面に櫛状の突出部が存在し、まつ毛を挟圧したときにまつ毛プッシャーの縁部は櫛状の突出部の後ろ側まで移動する。したがって、まつ毛プッシャーの縁部がまつ毛を押しながら櫛状突出部の後ろ側まで移動することによって、まつ毛は強制的に櫛状の各突出部の間に押し込まれるので、まつ毛を確実に梳くことができる。
【００１６】
請求項４は、櫛状の突出部は第一挟圧部の縁を越えて突出していない構成である。まつ毛カール器は瞼に接触させながら使用するものであるから、櫛状の突出部が突き出ていると使用者に恐怖感を与える。請求項４は、櫛状の突出部が突出しておらず、使用時に見えないので恐怖感を与えない。
【００１７】
請求項５は、櫛状の突出部の後方に間隔をあけて櫛部が突出部と対向するように設けられ、且つ櫛部の各櫛歯は第一挟圧部の挟圧方向と同じ方向を向いている構成である。櫛部によってまつ毛の先端付近を梳くことができるから、櫛状の突出部と相俟ってまつ毛を根元から先端まで確実に梳くことができる。
【００１８】
請求項６は、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、まつ毛プッシャーの縁部は突出部と櫛部の間に移動する構成である。したがって、まつ毛プッシャーの縁部が挟圧点よりも突出しているまつ毛を確実に押すから、まつ毛は強制的に櫛状の各突出部の間と各櫛歯の間に押し込まれるので、まつ毛をその先端近くまで確実に梳くことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１９】
次に本発明を実施するための最良の形態について説明する。摺動部材１は、レバー２を操作することによって上下に摺動する。まず、摺動部材１が上下に摺動する機構について説明する。図２に示すように、本体５は、ハウジングを兼ねる把持部３と、受け部４と、これらの把持部３及び受け部４を連結する２つの柱６，６とから成る。把持部３の内部にコイルスプリング７が装着されている。図３に示すように、コイルスプリング７は、本体５に設けられたスプリング押さえ８と、摺動部材１の底部９の間に装着されている。レバー２を下方に押すと、爪１０，１０がレバー２に押されて上昇し、摺動部材１の両側に設けられた係止部１１に当たって摺動部材１を上方に押す。この結果、摺動部材１は、その底部９がコイルスプリング７を押し縮めながら摺動し上昇する。レバー２を押す力を解除すると、コイルスプリング７の弾性力によって摺動部材１の底部９が押されて摺動部材１は下方に摺動する。以上が、摺動部材１の摺動する機構である。なお、本体５は前板部２０と後板部２１を合わせて一体的に形成されている。後板部２１は硬質の合成樹脂製であり、受け部４と柱６，６が一体に設けられている。レバー２も後板部２１に回動可能に装着されている。前板部２０は硬質の合成樹脂製であり、スプリング押さえ８が一体に設けられている。本体５の上下方向の長さは約５８ｍｍであり、本体５の横幅は約３６ｍｍであり、本体５の最大厚みは約１６ｍｍである。
【００２０】
図７に示すように、受け部４は下向きの第一挟圧部１２を有する。受け部４の前部に皮膚接触部１３が形成されている。使用時に皮膚接触部１３の前面が瞼に宛がわれる。皮膚接触部１３の後面に櫛状の突出部１４が多数形成されている。この突出部１４は皮膚接触部１３の後面から後方に向くように形成されており、突出部１４の下端は第一挟圧部１２の縁よりも下方に突出していない。
【００２１】
受け部４には、櫛状の突出部１４と対向する櫛部１５が受け部４と一体に設けられている。本発明は一体に設けることに限定されず、突出部１４と櫛部１５の一方または双方を先端を丸めた金属針で形成して、多数の金属針を受け部４に並べて埋め込む構成であってもよい。櫛部１５は多数の櫛歯１６から成る。各突出部１４と各櫛歯１６は整合し連結して下向きＵ字形の溝１７を形成している。したがって、各突出部１４の隙間と各櫛歯１６の隙間も整合している。図９に示すように、各突出部１４と各櫛歯１６は後方に向かって扇形に広がっているから、これらの隙間も同様に扇形に広がっている。したがって、これらの突出部１４及び櫛歯１６で梳かれたまつ毛はその先端に行くに従って扇形に広がる。各突出部１４と各櫛歯１６の扇形の広がり度は、中央寄りのものに対してその外寄りの隣のものが約２°開いている。各櫛歯１６の厚みは約０．５ｍｍである。厚みは０．４ｍｍ〜１．０ｍｍであることが好ましい。
【００２２】
受け部４の前面上部に階段状表面部１８が設けられている。この階段状表面部１８は、瞼に宛がったときに滑りにくくするためのものである。階段状表面部１８は、エラストマーで一体に形成された宛がい部１９に形成されたものであり、宛がい部１９は受け部４の上部に嵌め込みにより装着されている。
【００２３】
摺動部材１の上端に設けた溝に細長いゴムで形成された第二挟圧部２２が嵌合されている。その第二挟圧部２２の後ろ側にまつ毛プッシャー２３が摺動部材１と一体に形成されている。まつ毛プッシャー２３は、第二挟圧部２２のほぼ全長に亘って同じ高さで延在している。まつ毛プッシャー２３の高さは、第二挟圧部２２の上面よりも高くなるように形成されている。
【００２４】
次に、本発明の使用方法について説明する。この使用方法は、目の上にあるまつ毛をカールする場合についてである。まず、把持部３に２つの指を宛がうか、あるいは把持部３とレバー２にそれぞれ１つずつの指を宛がって本体５を持つ。まつ毛２４を第一挟圧部１２と第二挟圧部２２の間に通しながら皮膚接触部１３の前面を瞼に宛がう。次いでレバー２を押し下げると、摺動部材１が上昇してまつ毛プッシャー２３がまつ毛２４を押し上げる。そのときに、まつ毛プッシャー２３はまつ毛２４のやや先端２５寄りを押すから、まつ毛２４の先端２５が上方に上がるように傾斜する。さらにレバー２を押し下げて摺動部材１を上昇させると、まつ毛プッシャー２３が溝１７まで移動し、まつ毛２４を各突出部１４の隙間と各櫛歯１６の隙間に押し込む。そして、まつ毛２４は第一挟圧部１２と第二挟圧部２２の間で挟圧される。まつ毛プッシャー２３が溝１７まで移動したときに、まつ毛プッシャー２３は各突出部１４と各櫛歯１６に接触することがない。したがって、溝１７内でまつ毛プッシャー２３がまつ毛を挟むことがなく円滑に作業を行うことができる。図４に示すように、第一挟圧部１２と第二挟圧部２２の挟圧点に対して、まつ毛プッシャー２３の縁部は高い位置にある。図４において顔は右側に来るので、まつ毛２４の先端は左側である。したがって、まつ毛２４が挟圧される際に、まつ毛２４はその先端２５が上方に上がるように傾斜しているから、従来品に比べて挟圧後におけるまつ毛２４の上方への広がりを大きくできる。これにより、従来よりも目元をぱっちりさせることができる。本体５の上下を逆にして下まつ毛をカールすることもできる。
【図面の簡単な説明】
【００２５】
【図１】本発明の断面図
【図２】本発明の前面図
【図３】摺動部材の摺動機構を示す斜視図
【図４】まつ毛の挟圧状態を示す断面図
【図５】本体の後板部の前側から見た斜視図
【図６】本体の後板部の後ろ側から見た斜視図
【図７】受け部の一部断面斜視図
【図８】後板部の後面図
【図９】図６におけるＡ−Ａ線断面図
【符号の説明】
【００２６】
１ 摺動部材
２ レバー
３ 把持部
４ 受け部
５ 本体
６ 柱
７ コイルスプリング
８ スプリング押さえ
９ 摺動部材の底部
１０ 爪
１１ 係止部
１２ 第一挟圧部
１３ 皮膚接触部
１４ 櫛状の突出部
１５ 櫛部
１６ 櫛歯
１７ 溝
１８ 階段状表面部
１９ 宛がい部
２０ 前板部
２１ 後板部
２２ 第二挟圧部
２３ まつ毛プッシャー
２４ まつ毛
２５ まつ毛の先端
【特許請求の範囲】
【請求項１】
まつ毛の一方の側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の他方の側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、該摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛カール器の使用時における顔に向く方向を前方、反対向きを後方と定義して、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられていることを特徴とするまつ毛カール器。
【請求項２】
まつ毛プッシャーは摺動部材と一体的に移動し、まつ毛を直接押すまつ毛プッシャーの縁部は第二挟圧部よりも高く設定されている請求項１記載のまつ毛カール器。
【請求項３】
受け部は皮膚接触部を有し、該皮膚接触部の前面が使用時に皮膚と接触するものであり、皮膚接触部の後面に櫛状の突出部が存在し、まつ毛を挟圧したときに前記まつ毛プッシャーの縁部は櫛状の突出部の後ろ側まで移動する請求項１又は請求項２記載のまつ毛カール器。
【請求項４】
櫛状の突出部は第一挟圧部の縁を越えて突出していない請求項３記載のまつ毛カール器。
【請求項５】
櫛状の突出部の後方に間隔をあけて櫛部が突出部と対向するように設けられ、且つ櫛部の各櫛歯は第一挟圧部の挟圧方向と同じ方向を向いている請求項３又は請求項４記載のまつ毛カール器。
【請求項６】
摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、まつ毛プッシャーの縁部が突出部と櫛部の間に移動する請求項５記載のまつ毛カール器。
【請求項１】
まつ毛の一方の側を挟圧する第一挟圧部が設けられた受け部と、まつ毛の他方の側を挟圧する第二挟圧部が設けられた摺動部材と、該摺動部材を前記受け部に対して押圧可能に移動させる操作部とを含むまつ毛カール器であって、まつ毛カール器の使用時における顔に向く方向を前方、反対向きを後方と定義して、摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、挟圧点よりも後方側のまつ毛を摺動部材移動方向に押すまつ毛プッシャーが前記第二挟圧部の後ろ側に設けられていることを特徴とするまつ毛カール器。
【請求項２】
まつ毛プッシャーは摺動部材と一体的に移動し、まつ毛を直接押すまつ毛プッシャーの縁部は第二挟圧部よりも高く設定されている請求項１記載のまつ毛カール器。
【請求項３】
受け部は皮膚接触部を有し、該皮膚接触部の前面が使用時に皮膚と接触するものであり、皮膚接触部の後面に櫛状の突出部が存在し、まつ毛を挟圧したときに前記まつ毛プッシャーの縁部は櫛状の突出部の後ろ側まで移動する請求項１又は請求項２記載のまつ毛カール器。
【請求項４】
櫛状の突出部は第一挟圧部の縁を越えて突出していない請求項３記載のまつ毛カール器。
【請求項５】
櫛状の突出部の後方に間隔をあけて櫛部が突出部と対向するように設けられ、且つ櫛部の各櫛歯は第一挟圧部の挟圧方向と同じ方向を向いている請求項３又は請求項４記載のまつ毛カール器。
【請求項６】
摺動部材を移動させてまつ毛を挟圧したときに、まつ毛プッシャーの縁部が突出部と櫛部の間に移動する請求項５記載のまつ毛カール器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【公開番号】特開２００６−２４６９２４（Ｐ２００６−２４６９２４Ａ）
【公開日】平成１８年９月２１日（２００６．９．２１）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００５−６３５２７（Ｐ２００５−６３５２７）
【出願日】平成１７年３月８日（２００５．３．８）
【出願人】（０００００１４５４）株式会社貝印刃物開発センター (123)
【公開日】平成１８年９月２１日（２００６．９．２１）
【国際特許分類】
【出願日】平成１７年３月８日（２００５．３．８）
【出願人】（０００００１４５４）株式会社貝印刃物開発センター (123)
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