説明

むだ毛切り

【課題】除去すべきむだ毛の視認を行うことができて、手指の敏感な感覚を利用して安全に行うことができ、しかも除去の仕上がりを綺麗にすることのできるむだ毛切りを提供すること。
【解決手段】各刃部12の一側面を、各持ち手11の一側端面の延長面11aから後退させてこれを透視端面13とし、これらの透視端面13と両持ち手11の間の隙間14を通して、各刃部12間に位置するむだ毛を透視し得るようにしたこと。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者が摘んで使用することのできる、ピンセット型のむだ毛切りに関するものである。
【背景技術】
【0002】
すね毛、長くなりすぎた鼻毛、余分な眉毛等の「むだ毛」は、これを除去したいものである。むだ毛を除去する道具としては、「電動シェーバー」や「はさみ」、あるいは「毛抜き」が知られているが、電動シェーバーは、肌に傷を付けることなく安全にむだ毛除去が比較的広い面積にわたって行えるが、除去しているむだ毛を視認できないこともあって、「際剃り」のような細かな除去はできない。また、はさみは、除去部分が見易く、細かな除去には適しているものの、刃がむき出しになっており先端が尖っていることもあって、肌に傷を付けることがあり得る。しかも、はさみは、持ち手と先端部とに距離があるため、むだ毛の除去作業に「慣れ」あるいは熟練が必要である。
【0003】
これに対して「毛抜き」は、持ち手と先端の刃部との距離が短いため、除去作業にブレが生じにくく、視界も確保し易いことから、むだ毛の除去を毛抜で抜いて行う人は多い。しかしながら、むだ毛を抜くことは、痛いだけでなく、毛根を傷めて炎症を引き起こすことがあるため、十分安全な除去具とは言えない。
【0004】
このようなむだ毛処理を行うための道具は、例えば特許文献1にて提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平11−56449号公報、要約、代表図
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、「鼻毛切りの前端部を鼻腔に合わせることにより、安全にして事故を防止する」ことを目的とした、「鼻毛切り」が提案されているが、この「鼻毛切り」は、図7にも示すように、「刃体前端部をスプン状突部を設けた上下係合刃体で、鼻腔内部の鼻毛を、操作レバーを介して押圧切断するように構成した」ものである。
【0007】
この特許文献1の鼻毛切りは、一見するところ「爪切りタイプ」であるため、「安全にして事故を防止する」ことはできると思われるが、「上下係合刃体を、刃体前端部にスプン状突部を設けた」ものとしてあるため、互いに対向し合う刃部の間の「むだ毛」が見にくく、例えば、図1に示すような眉毛切りとして使用する場合等においては、きれいに整えることができないのではないかと考えられる。
【0008】
そこで、本発明者等は、むだ毛を安全できれいに切ることができるようにするにはどうしたらよいか、について種々検討を重ねてきた結果、本発明を完成したのである。
【0009】
すなわち、本発明の目的とするところは、除去すべきむだ毛の視認を行うことができて、手指の敏感な感覚を利用して安全に行うことができ、しかも除去の仕上がりを綺麗にすることのできるむだ毛切りを提供することにある。また、本発明の他に目的とするところは、安全性をより一層高めることのできるむだ毛切りを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
以上の課題を解決するために、まず、請求項1に係る発明の採った手段は、後述する最良形態の説明中で使用する符号を付して説明すると、
「使用者によって互いに開閉される2本の持ち手11・11と、その先端にて対向してむだ毛を切断する刃部12・12とを有したむだ毛切り10であって、
各刃部12の一側面を、各持ち手11の一側端面の延長面11aから後退させてこれを透視端面13とし、これらの透視端面13と両持ち手11の間の隙間14を通して、各刃部12間に位置するむだ毛を透視し得るようにしたことを特徴とするむだ毛切り10」
である。
【0011】
すなわち、このむだ毛切り10は、図2または図4に示すように、使用者によって互いに開閉される2本の持ち手11・11と、これらの先端にて対向してむだ毛を切断する刃部12・12とを有したものであり、図1に示すように、「ピンセット型」になっているものである。これにより、図1に示すように、使用者が2本の持ち手11・11を摘んで閉じれば、図3及び図5の各(a)に示すように、持ち手11・11の先端にて対向している刃部12・12も閉じて、これらの刃部12・12間に入っているむだ毛が切られることになるのである。勿論、このむだ毛切り10は、ピンセット型になっているのであるから、使用者が2本の持ち手11・11を摘んでいる力を緩めれば、両刃部12間が開くだけであって、肌に傷をつけることはない。
【0012】
このとき、各持ち手11の先端には、互いに対向する刃部12が形成してあるのであるから、各刃部12は持ち手11に略直交していることになる。このため、当該むだ毛切り10を使用者がむだ毛に向けたとき、各刃部12は肌と略平行になるし、摘んだ指に力を入れれば、各刃部12は肌と平行にむだ毛に向かって移動し、このむだ毛を切断することになる。この場合、各刃部12は肌と略平行なのであるから肌に傷を付けることはなく、しかも、むだ毛を根元から切断するのである。従って、当該むだ毛切り10によるむだ毛除去は、肌に傷を付けることなく、しかも綺麗に仕上げるのである。
【0013】
さらに、このむだ毛切り作業は、使用者が2本の持ち手11・11を摘んで閉じるだけで行えるから、その作業時にむだ毛切り10の位置ズレを生ずることは殆どなく、狙ったむだ毛のみを正確に除去できる。それだけでなく、このむだ毛切り10は、ピンセット型になっているのであるから、切ろうとしたむだ毛が思っていたものと異なっていた場合には、持ち手11を摘んでいる力を緩めることによってこれらが開くから、別のむだ毛への位置変えが肌に傷をつけることなく行える。
【0014】
勿論、各刃部12は持ち手11の先端に形成したものであるし、2本の持ち手11・11の先端にて対向したものであるから、各刃部12によるむだ毛除去は、髭で言うところの「深剃り」のように、肌表面に残り部分がない状態で、つまり綺麗な状態で行えることは前述した通りである。
【0015】
そして、このむだ毛切り10においては、各刃部12の一側面を、各持ち手11の一側端面の延長面11aから後退させてこれを透視端面13としてあるから、例えば図2、及び図3の(a)に示すように、この透視端面13と両持ち手11の間の隙間14を通して、各刃部12間及びその周囲の状態が、直接または鏡を通して透視できることになる。換言すれば、この透視端面13を有するむだ毛切り10は、両刃部12間に位置するむだ毛やその周囲が透視できるものであり、このむだ毛と両刃部12との位置関係も透視できるものである。
【0016】
このむだ毛と両刃部12との位置関係が透視できるのであれば、そのむだ毛が切りたいものなのか、そうでないかの確認ができるから、結果として、むだ毛の除去作業を、正確で綺麗に行えることになるのである。
【0017】
従って、この請求項1に係るむだ毛切り10は、除去すべきむだ毛の視認を行うことができて、手指の敏感な感覚を利用して安全に行うことができ、しかも除去の仕上がりを綺麗にすることができるものとなっているのである。
【0018】
上記課題を解決するために、請求項2に係る発明の採った手段は、上記請求項1に記載のむだ毛切り10について、
「各持ち手11の、その一側端面の延長面11aと、各刃部12の透視端面13との間の部分に、肌保護部15を形成したこと」
である。
【0019】
すなわち、この請求項2に係るむだ毛切り10では、図4、図5の(c)、及び図6に示すように、各持ち手11の、その一側端面の延長面11aと、各刃部12の透視端面13との間の部分に、肌保護部15を形成したものである。
【0020】
肌保護面15は、図4及び図6に示すように、各刃部12の透視端面13を覆うことになるものであるから、各透視端面13が使用者の肌に直接触れることがないようにしているものである。つまり、これらの肌保護面15が存在していることによって、むだ毛切り作業中に、透視端面13の角部が肌に不用意に触れるのを防止しているのである。各透視端面13の角部が肌保護面15によって肌に触れないようになっているのであるから、当該むだ毛切り10の使用時に、肌に傷が付けられることはないのである。
【0021】
従って、この請求項2に係るむだ毛切り10は、上記請求項1のそれと同様な機能を発揮する他、安全性がより一層高められたものとなっているのである。
【発明の効果】
【0022】
以上、説明した通り、本発明においては、
「使用者によって互いに開閉される2本の持ち手11・11と、その先端にて対向してむだ毛を切断する刃部12・12とを有したむだ毛切り10であって、
各刃部12の一側面を、各持ち手11の一側端面の延長面11aから後退させてこれを透視端面13とし、これらの透視端面13と両持ち手11の間の隙間14を通して、各刃部12間に位置するむだ毛を透視し得るようにしたこと」
にその構成上の主たる特徴があり、これにより、除去すべきむだ毛の視認を行うことができて、手指の敏感な感覚を利用して安全に行うことができ、しかも除去の仕上がりを綺麗にすることのできるむだ毛切り10を提供することができるのである。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明に係るむだ毛切り10を使用している状態の斜視図である。
【図2】実施例1に係るむだ毛切り10の斜視図である。
【図3】同むだ毛切り10を示すもので、(a)は刃部12が閉じたときのむだ毛切り10の拡大正面図、(b)は同平面図、(c)は同左側面図である。
【図4】実施例2に係るむだ毛切り10の斜視図である。
【図5】同むだ毛切り10を示すもので、(a)は刃部12が閉じたときのむだ毛切り10の拡大正面図、(b)は同平面図、(c)は同左側面図である。
【図6】同むだ毛切り10を鼻毛切りとして使用しているときの平面図である。
【図7】特許文献1に示された技術を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
次に、図面に示した実施の形態に従って、上記各請求項に係る発明を説明すると、図1には、実施形態のむだ毛切り10を使用してむだ毛の一種である「眉毛」を除去しようとしている状態が示してある。勿論、眉毛や鼻毛を使用者自身が除去しようとする場合は、鏡を見ながら行うものであり、図1は、使用者が鏡を通して見ている像を示している。
【0025】
(実施例1)
この実施例1に係るむだ毛切り10は、図2及び図3に示したように、使用者が指で摘むことになる一対の持ち手11を備えており、これら一対の持ち手11の後端は両者の開閉が行えるように連結してある。各持ち手11の先端には刃部12が形成してあって、これら各刃部12は、図3の(a)に示したように、互いに対向し合うように、各持ち手11の先端にて略直交状態で一体化してある。なお、図3の(a)では、各刃部12が閉じた状態が示してある。
【0026】
また、各持ち手11における一側面(図2では手前側の面)の前部は切り欠いてあり、この切り欠きは、各刃部12にも及んでいる。つまり、各持ち手11の一側面の前部及び刃部12は、図2中の二点鎖線で示した四角の延長面11a(図3の(b)では線になっている)から後退させてあるのであり、これに伴って、刃部12の該当する面も後退してこれが透視端面13となっているのである。勿論、両持ち手11間には、図2及び図3の(c)に示したように、隙間14が形成されている。
【0027】
以上の結果、各刃部12の透視端面13は、各持ち手11側の隙間14と切り欠きとから、透視できるものとなっており、従って、各刃部12の先端(刃先)は、両持ち手11を指で摘んでいても良く見える、つまり透視できるものとなっているのである。
【0028】
従って、このむだ毛切り10を使用する際には、指で両持ち手11を摘んで除去したいむだ毛に向けて近付けるとともに、むだ毛が両刃部12間に入ったことを確認して両持ち手11に力を入れるだけで、当該むだ毛の除去が行えるのである。勿論、両刃部12間に入ったむだ毛が除去しなくてもよいものである場合、当該むだ毛切り10を少しズラせば、正しいむだ毛の除去が行えることは言うまでもない。
【0029】
(実施例2)
図4及び図5には、本発明の実施例2に係るむだ毛切り10が示してあるが、この実施例2のむだ毛切り10では、上記実施例1のそれと「肌保護面15」が存在する以外は同じであるため、実施例1と共通する部材について同一符号を図中に付して、その説明は省略する。
【0030】
さて、この実施例2に係るむだ毛切り10では、図4に示したように、各持ち手11の、その一側端面の延長面11aと、各刃部12の透視端面13との間の部分に、肌保護部15を形成したものである。この肌保護面15は、その角部や外面において、各持ち手11の面と滑らかに連続しているものであり、言わば持ち手11の一部となっているものである。
【0031】
この実施例2に係るむだ毛切り10が肌保護面15を備えていることによって、例えば図6に示したように、当該むだ毛切り10を使用して鼻毛を除去する場合に鼻腔内に傷を付けることがない。何故なら、この肌保護面15は、各刃部12の角部に肌が直接当たらないようにしていると同時に、各持ち手11の各角部も肌に直接当たらないようにしているからである。
【0032】
勿論、この肌保護面15の外側角部は、丸みを帯びた状態に加工しておけば、当該肌保護面15自身が肌に当たっても傷が付かないだけでなく、当該むだ毛切り10を手の中に包み込んだ場合であっても、あるいはバッグの中にそのまま入れても、手やバッグ内に傷を付けることはない。
【符号の説明】
【0033】
10 むだ毛切り
11 持ち手
11a 延長面
12 刃部
13 透視端面
14 隙間
15 肌保護面

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって互いに開閉される2本の持ち手と、その先端にて対向してむだ毛を切断する刃部とを有したむだ毛切りであって、
前記各刃部の一側面を、前記各持ち手の一側端面の延長面から後退させてこれを透視端面とし、これらの透視端面と前記両持ち手の間の隙間を通して、前記各刃部間に位置するむだ毛を透視し得るようにしたことを特徴とするむだ毛切り。
【請求項2】
前記各持ち手の、その一側端面の前記延長面と、前記各刃部の透視端面との間の部分に、肌保護部を形成したことを特徴とする請求項1に記載のむだ毛切り。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate


【公開番号】特開2012−223485(P2012−223485A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−95937(P2011−95937)
【出願日】平成23年4月22日(2011.4.22)
【出願人】(594136170)ニッケンかみそり株式会社 (7)