めっき方法及び表面改質剤

【課題】めっき膜を形成するめっき方法を提供する。
【解決手段】基板上にレジストパターンを形成する工程、レジストパターン形成面に、下記一般式(1)で表わされる構造単位及び下記一般式(2)で表わされる構造単位を有する重合体を含有する表面改質層を形成する工程、レジストパターンの開口部にめっき膜を形成する工程を有するするめっき方法。


〔式中、R1は水素原子又はメチル基、R2は単結合又は2価の連結基、R3は水素原子、水酸基又はアルコキシ基、R4は水素原子又はメチル基、R5は極性基を示す。〕

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はめっき方法及び表面改質剤に関わり、より詳細には半導体基板等の配線、バンプ及びプラグなどのめっき膜の形成に好適なめっき方法並びに該めっき方法に適用可能な表面改質剤に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、半導体基板等の配線、バンプ及びプラグなどのめっき膜の形成において、レジストパターンがめっき液に対して濡れ性の悪いため、めっき液が、レジストパターンの開口部内に充填されず、レジストパターンの開口部内に気泡が残ってしまい、めっき欠けやめっき抜け等の問題があった。
【0003】
このようなめっき欠けやめっき抜けを防止するために、例えば、機械的パルスで気泡を脱泡し、めっきする方法(特許文献1)、めっき液をレジストパターンの開口部内に吹き付ける方法(特許文献2)、めっき液を沸騰させて、レジストパターンの開口部内にめっき液を充填する方法(特許文献3)、及び脱気しながらめっきを行う方法(特許文献4)などが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特表2004−503077号公報
【特許文献2】特開2010−070779号公報
【特許文献3】特開平11−93000号公報
【特許文献4】特開2007−262583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前述のめっき方法においては、レジストパターンの開口部内の気泡を除去できるものの、特殊な装置を要するため、より簡便な操作で開口部内の気泡を除去して良好なめっき膜を形成可能なめっき方法の創製が求められている。
したがって、本発明は、特殊な装置を要することなく、良好なめっき膜を形成することの可能なめっき方法及び該めっき方法に適用可能な表面改質剤を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記課題を解決すべく種々検討した結果、基板のレジストパターン形成面を、特定構造を有する重合体を含有する表面改質剤で処理することで、レジストパターンの濡れ性が改善されてめっき液が開口部内に浸入しやくなるため、めっき欠けやめっき抜けのない良好なめっき膜が形成できることを見出した。
【0007】
即ち、本発明は、基板上にレジストパターンを形成する工程(以下、「工程(I)」とも称する)と、
前記レジストパターン形成面に、下記一般式(1)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(a1)」とも称する)及び下記一般式(2)で表わされる構造単位(以下、「構造単位(a2)」とも称する)を有する重合体(A)を含有する表面改質層を形成する工程(以下、「工程(II)」とも称する)と、
前記レジストパターンの開口部内にめっき膜を形成する工程(以下、「工程(III)」とも称する)
を有することを特徴とするめっき方法を提供するものである。
【0008】
【化1】

【0009】
〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
2は、単結合又は2価の連結基を示し、
3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はアルコキシ基を示し、
4は、水素原子又はメチル基を示し、
5は、極性基又は極性基を有する基を示す。〕
【0010】
本発明はまた、前記めっき方法に用いられる表面改質層を形成するための表面改質剤であって、
構造単位(a1)及び構造単位(a2)を有する重合体(A)、並びに水を含有することを特徴とする表面改質剤を提供するものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、特殊な装置を要することなく、より簡便な操作でレジストパターンの濡れ性を改善することができる。その結果、開口部内にめっき液が浸入しやすくなるため、めっき欠けやめっき抜けのない良好なめっき膜を形成することができる。したがって、本発明のめっき方法は、半導体基板等の配線、バンプ及びプラグなどのめっき膜の形成に有用である。また、本発明によれば、当該めっき方法に有用な表面改質剤が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(めっき方法)
本発明のめっき方法は、工程(I)、(II)及び(III)を有するものである。また、必要に応じて工程(II−1)を有してもよい。
本発明のめっき方法においては、レジストパターン形成面に表面改質層を形成するため、レジストパターンの開口部内にめっき液が浸入しやすくなる。その結果、めっき欠けやめっき抜けのない良好なめっき膜を形成することができる。
表面改質層の形成には重合体(A)を含有する表面改質剤を使用するが、重合体(A)の側鎖にベンゼン核を有するため有機樹脂で構成されるレジストパターンと親和性が高い。
基板のレジストパターン形成面を、重合体(A)を含有する表面改質剤で処理すると、ファンデルワールス力や疎水性相互作用などの作用により、重合体(A)の構造単位(a1)はレジストパターン形成面側に、また構造単位(a2)は開口側に、より多く配向した自己組織化膜(表面改質層)を形成する。その結果、レジストパターン形成面は構造単位(a2)に起因する性質(極性基に起因する性質)に改質され、開口部内にめっき液が浸入しやすくなる。
以下、各工程について詳細に説明する。
【0013】
工程(I)
工程(I)は、基板上にレジストパターンを形成する工程である。レジストパターンは、所定の構造を有するめっき膜を形成するために使われるものである。
【0014】
本工程で使用する基板としては、例えば、ガラス、シリコン、窒化シリコン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミドを挙げることができる。なお、これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくことも可能であり、またレジストパターン形成面に、金、銀、銅、白金等の金属薄膜が被覆されていてもよい。
【0015】
レジストパターンの形成には、通常、レジスト組成物を使用する。レジスト組成物から得られた被膜を露光処理・現像処理し、レジストパターンを形成する。レジスト組成物はネガ型及びポジ型のいずれを使用してもよい。レジスト組成物としては、より効率よく、めっき欠けやめっき抜けのないめっき膜を形成できることから、後述する構造単位(a1)を有する重合体を含有するレジスト組成物が好ましい。
【0016】
構造単位(a1)以外の構造単位として、例えば、特開2010−164964号公報、特開2008−249993号公報、特開2004−309775号公報、特表2004−526212号公報、WO2008/078483号公報等の単量体由来の構造単位を有することができる。
レジスト用重合体中の構造単位(a1)の共重合割合は、全構造単位中に、通常、5〜80モル%である。構造単位(a1)及びこれ以外の構造単位は、ランダム共重合及びブロック共重合のいずれの態様で有していてもよい。
【0017】
被膜を基板に形成する方法としては、通常、レジスト組成物を、スピンコート法、スプレー法、ロールコート法、スリットダイ塗布法、バー塗布法及びディップコート法等の適宜の塗布法にて塗布し、その後、必要に応じて加熱処理(通常、90〜150℃で3〜10分)を行う。
被膜の膜厚は形成するめっき膜のサイズによって適宜決められるが、通常、バンプを形成する場合には被膜の厚みが10μm以上、好ましくは10〜150μmとなるように、また配線を形成する場合には被膜の厚みが5μm以上、好ましくは5〜100μmとなるように調整される。
【0018】
露光処理は、通常、所定のパターンを有するマスクを介して行われる。露光光としては、可視光線、紫外線(近紫外線、遠紫外線、極紫外線)、X線、電子線、γ線、分子線、イオンビーム等が挙げられる。露光光はレーザー光であってもよい。露光量は、露光光の種類や、レジスト組成物により適宜決められるが、通常、10〜10,000mJ/cm2の範囲で行われる。
【0019】
現像処理は、露光処理後に被膜に形成された潜像を現像する処理である。現像に用いる現像液は、使用するレジスト組成物の種類に応じて適宜選択することができるが、被膜がアルカリ性の溶液で溶解する場合は、アルカリ性の溶液、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアルカリ性水溶液を用いることができる。現像法としては、シャワー現像法、スプレー現像法、ディップ(浸漬)現像法、パドル(液盛り)現像法等を適用することができる。
現像後、塗膜を洗浄し乾燥することによって、所定のパターンを有する基板を得ることができる。
【0020】
工程(II)
工程(II)は、レジストパターン形成面に、構造単位(a1)及び構造単位(a2)を有する重合体(A)を含有する表面改質層を形成する工程である。
【0021】
構造単位(a1)は、下記一般式(1)で表される。
【0022】
【化2】

【0023】
〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
2は、単結合又は2価の連結基を示し、
3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はアルコキシ基を示す。〕
【0024】
1としては、水素原子及びメチル基のうち、水素原子が好ましい。
2における2価の連結基としては、例えば、炭素数1〜10のアルカンジイル基、−COO−R6−、−CONH−R7−、−OCOR8−等を挙げることができる。ここで、R6〜R8は、それぞれ独立に、単結合又は炭素数1〜10のアルカンジイル基である。
【0025】
2、R6、R7及びR8における炭素数1〜10アルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、エタン−1,1−ジイル基、プロパン−1,1−ジイル基、プロパン−1,2−ジイル基、プロパン−1,3−ジイル基、プロパン−2,2−ジイル基、ブタン−1,2−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基等を挙げることができる。
3におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましく、具体的には、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、フェノキシ基等を挙げることができる。
2としては、単結合及び2価の連結基のうち、単結合が好ましい。
3としては、水素原子、水酸基及びアルコキシ基のうち、水素原子が好ましく、全てのR3が水素原子であることが特に好ましい。
【0026】
構造単位(a1)を与える単量体としては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−ヒドロキシスチレン、o−メトキシスチレン、フェニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリルアミド、4−ヒドロキシフェニルメタクリル酸等を挙げることができる。
【0027】
構造単位(a2)は、下記一般式(2)で表わされる。
【化3】

【0028】
〔式中、
4は、水素原子又はメチル基を示し、
5は、極性基又は極性基を有する基を示す。〕
【0029】
極性基とは、電気双極子モーメントを有している基、好ましくは1.5デバイ(Debye)以上の双極子モーメントを有している基を示す。
極性基としては、水酸基、アミド基、アミノ基、アルキルアミノ基、ポリオキシアルキレン基、モルホリル基、シアノ基、カルボン酸基又はその塩、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アセチル基、シアノ基、ニトロ基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、スルホン酸基又はその塩、ホスホン酸基又はその塩、リン酸基又はその塩、四級アンモニウム塩基、アルキルベタイン基、カルボキシベタイン基、スルホベタイン基、ホスホベタイン基、環状エーテル基、アセトカルボニル基、チオール基等が挙げられる。
これらの中でも水との親和性に優れ、レジストパターンとの親和性が高いことから、水酸基が好ましい。本発明においては、極性基を2以上有することが可能であり、その場合当該極性基は同一でも異なっていてもよい。
【0030】
極性基を有する基とは、水素原子を有する有機基から、少なくとも1つ以上の水素原子を、前記極性基に置き換えて形成される基のことである。
水素原子を有する前記有機基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基などの炭化水素基;アシル基、脱水素アルコール基、カルボキシル基、アミノ基、アミド基、アルキルアミノ基、ポリオキシアルキレン基、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、アミノカルボニル基、アルキルベタイン基、環状エーテル基、チオール基、チオエーテル基等が挙げられる。脂肪族炭化水素基は、直鎖状及び分岐状のいずれの形態であってもよく、また飽和炭化水素基でも不飽和炭化水素基でもよく、不飽和結合を分子内及び末端のいずれに有していてもよい。
【0031】
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜20(好ましくは炭素数3〜12)の脂肪族炭化水素基が好ましく、より具体的には、炭素数1〜20(好ましくは炭素数3〜12)のアルキル基、炭素数2〜20(好ましくは炭素数3〜12)のアルケニル基、炭素数2〜20(好ましくは炭素数3〜12)のアルキニル基が挙げられる。具体的には、アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基等を挙げることができる。また、アルケニル基としては、例えば、エテニル基、1−プロペニル基、1−ブテニル基、1,3−ブタジエニル基、1−ペンテニル基、2−ペンテニル基、1−ヘキセニル基、2−エチル−2−ブテニル基、2−オクテニル基、(4−エテニル)−5−ヘキセニル基、2−デセニル基等が挙げられ、アルキニル基としては、例えば、エチニル基、1−プロピニル基、1−ブチニル基、1−ペンチニル基、3−ペンチニル基、1−ヘキシニル基、2−エチル-2−ブチニル基、2−オクチニル基、(4−エチニル)−5−ヘキシニル基、2−デシニル基等を挙げることができる。
脂環式炭化水素基としては、炭素数3〜20(好ましくは炭素数6〜12)の脂環式炭化水素基が好ましく、より具体的には、炭素数3〜20(好ましくは炭素数6〜12)のシクロアルキル基が挙げられ、具体的には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロデシル基、シクロドデシル基等を挙げることができる。
芳香族炭化水素基としては、炭素数6〜20(好ましくは炭素数6〜14)の芳香族炭化水素基が好ましく、より具体的には、炭素数6〜20(好ましくは炭素数6〜14)のアリール基が挙げられる。ここで、本明細書において「アリール基」とは、単環〜3環式芳香族炭化水素基をいい、具体的には、フェニル基、ナフチル基、アントリル基、フェナントリル基、アズレニル基等を挙げることができる。
【0032】
極性基を有する基としては、レジストパターンの濡れ性向上の観点から、水酸基を有する基が好ましく、水酸基を3つ以上有する基が特に好ましい。なお、水酸基の数の上限は特に限定されないが、好ましくは10個、より好ましくは5個である。
【0033】
また、極性基を有する基は、2価の連結基を介して重合体(A)の主鎖に結合していてもよく、このような極性基を有する基として、下記式(3)で表わされる基を挙げることができる。
【0034】
−R9−R10 (3)
【0035】
〔式中、
9は、単結合又は2価の連結基を示し、
10は、炭化水素基を示す。〕
【0036】
9における2価の連結基としては、−COO−、−CONH−、−OCO−等を挙げることができる。
10における炭化水素基としては、脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、芳香族炭化水素基などが挙げられ、具体例は前述のとおりである。また、脂肪族炭化水素基は、任意の位置にヘテロ原子を有していてもよい。ヘテロ原子としては、−O−、−S−、−SO−、−SO2−などが挙げられ、1又は2以上有することができる。ヘテロ原子を2以上有する場合、同一でも異なっていてもよい。
【0037】
構造単位(a2)を与える単量体としては、例えば、
ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールモノ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールのエチレンオキサイド付加物のモノ(メタ)アクリレート等の等の水酸基含有(メタ)アクリレート;
ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸等の不飽和カルボン酸;
スチレンスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸等の不飽和スルホン酸;
アリルアミン、アミノスチレン等の不飽和アミン
等を挙げることができる。
【0038】
また、極性基を有する基として、−R9−R10で表わされる基を有する単量体は、例えば、(メタ)アクリル酸とアルキレングリコールグリシジルエーテルとを縮合し、次いで縮合物のオキシラニル基をグリセロール、チオグリセロール等の多価アルコールで開環するか、あるいはグリシジル(メタ)アクリレートのオキシラニル基をグリセロール、チオグリセロール等の多価アルコールで開環することにより得ることができる。なお、このような単量体を構造単位に有する重合体(A)は、構造単位(a1)を与える単量体と、(メタ)アクリル酸又はグリシジル(メタ)アクリレートとを重合した後、前述したオキシラニル基の開環反応を行っても製造することができる。
【0039】
構造単位(a1)を与える単量体と、構造単位(a2)を与える単量体との重合反応は、公知の方法を採用することができる。重合体(A)は、構造単位(a1)及び構造単位(a2)をランダム共重合及びブロック共重合のいずれの態様で有していてもよい。
構造単位(a1)の共重合割合は、全構造単位中に好ましくは15モル%以上、より好ましくは20モル%以上、特に好ましくは25モル%以上であり、上限は好ましくは50モル%、より好ましくは45モル%、特に好ましくは40モル%である。一方、構造単位(a2)の共重合割合は、全構造単位中に好ましくは30モル%以上、より好ましくは40モル%以上、特に好ましくは50モル%以上であり、上限は好ましくは85モル%、より好ましくは80モル%、特に好ましくは75モル%である。このような割合で各構造単位を有することで、レジストパターンの濡れ性を向上させることができる。なお、本明細書において「構造単位の共重合割合」の分析は、後掲の実施例に記載の13C−NMR測定にしたがうものとする。
【0040】
重合体(A)は、構造単位(a1)及び構造単位(a2)以外に、本発明の目的を損なわない範囲で、別の構造単位を有していてもよい。
【0041】
重合体(A)の数平均分子量は、好ましくは5,000〜300,000、より好ましくは10,000〜200,000である。なお、本明細書において「数平均分子量」の測定は、後掲の実施例に記載の方法にしたがうものとする。
【0042】
表面改質層を少なくともレジストパターン形成面に形成するには、重合体(A)を、必要に応じて、水などのレジストパターンを溶解しにくい溶媒に溶解した溶液を、表面改質剤として、基板のレジストパターン形成面に塗布する。塗布方法としては、前述の工程(I)における塗布法と同様のものを挙げることができる。
【0043】
本発明においては、レジストパターン形成面に表面改質剤を塗布した後、その状態で所定時間静置してもよい。静置時間は、好ましくは1〜20分、より好ましくは3〜15分、特に好ましくは5〜10分である。これにより、重合体(A)の自己組織化が促進され、レジストパターンの濡れ性をより一層改善することができる。
【0044】
本発明では、表面改質剤の塗布面(表面改質層形成面)を水で洗浄してもよい(工程(II−1))。これにより、重合体(A)の自己組織化が促進され、レジストパターンの濡れ性がより一層向上するため、めっき欠けやめっき抜けをより有効に防止することができる。
【0045】
また、表面改質層を形成する前に、基板の所定の位置に、粗化領域を形成してもよい。粗化領域は、通常、ウェットエッチングすることにより形成する。
【0046】
工程(III)
工程(III)は、レジストパターンの開口部内にめっき膜を形成する工程である。
めっき方法としては、電解めっき、無電解めっき等が挙げられ、また、これらを組み合わせてもよい。通常、無電解めっき液により、電解めっき用の触媒層を形成し、その後、電解めっきをおこなうことで、めっき膜を形成する。
めっきの金属種としては、金、銅、白金、ハンダ、ニッケル等を必要に応じて選択することができる。
また、めっき膜を形成後、通常、剥離液を基板上に形成されたレジストパターンと接触させて、レジストパターンを剥離し、バンプ等のめっき膜パターンを形成する。
【0047】
本発明のめっき方法は、このような簡便な操作により、めっき欠けやめっき抜けのない良好なめっき膜を形成することができる。
【0048】
(表面改質剤)
本発明の表面改質剤は、重合体(A)及び水を含有するものである。なお、重合体(A)の構成は前述のめっき方法において説明したとおりである。
本発明の表面改質剤中の重合体(A)の含有量は、レジストパターンの濡れ性向上の観点から、通常0.01〜10質量%、好ましくは0.03〜5質量%、より好ましくは0.05〜3質量%である。なお、水の含有量は、重合体(A)と後述する任意成分を除いた残部である。
本発明の表面改質剤には、所望により、界面活性剤、密着助剤などを含有することができる。これら成分は単独で又は2種以上を組み合わせて含有することが可能であり、また各成分の含有量は本発明の目的を損なわない範囲内で適宜設定可能である。
【0049】
本発明の表面改質剤は、レジストパターン形成面に表面改質層を形成するためのものであるが、レジストパターン形成面に本発明の表面改質剤を用いて表面改質層を形成すると、後掲の実施例に示すとおり、水の接触角が大きく低下し、レジストパターンの濡れ性が改善されることが確認されており、これにより、レジストパターンの開口部内にめっき液が浸入しやすくなり、めっき欠けやめっき抜けのない良好なめっき膜が形成できるものと推察される。
【実施例】
【0050】
以下、実施例を挙げて、本発明の実施の形態を更に具体的に説明する。但し、本発明は、下記実施例に限定されるものではない。なお、「部」及び「%」は、特記しない限り質量基準である。
【0051】
1.表面改質剤の調製
1−1.数平均分子量
数平均分子量(Mn)は、東ソー社製のTSKgel α−Mカラムを用い、流量:0.5ミリリットル/分、溶出溶媒:NMP溶媒(0.016 M H3PO4、0.030 M LiBr)、カラム温度:40℃の分析条件で、ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)により測定した。
【0052】
1−2.13C−NMR
6−DMSOを溶媒、内部標準物質として用いて、BRUKER製のモデルAVANCE500(500MHz)により測定した。
【0053】
1−3.重合体(A)の合成
[合成例1]
以下の合成経路に従い、水溶性重合体(A1)を得た。
【0054】
【化4】

【0055】
窒素雰囲気下、フラスコに、グリシジルメタクリレート68部及びスチレン23部と、2,2'−アゾビス(イソブチロニトリル)2.7部、及びN,N−ジメチルホルムアミド190部を含む溶液を入れ、70℃で6時間加熱した。加熱後の溶液をメタノールによる再沈殿で精製し共重合体(S1)を得た。
13C−NMRより、共重合体(S1)は、グリシジルメタクリレート由来の構造単位の含有割合が67モル%であり、スチレン由来の構造単位の含有割合が33モル%であった。
次いで、窒素雰囲気下、フラスコに、得られた共重合体(S1)10部、チオグリセロール45部、N,N−ジメチルホルムアミド95部及びトリエチルアミン17部を含む溶液を入れ、60℃で4時間加熱した。加熱後の溶液を水による再沈殿で精製し共重合体(G1)を得た。
次いで、フラスコに、共重合体(G1)10部を84部の水に入れ、さらに30%過酸化水素水溶液5.6部を入れて混合液を調製し、25℃で18時間撹拌した。撹拌後の混合液を透析することで、共重合体(A1)を得た。共重合体(A1)の数平均分子量は116,000であった。13C−NMRより、得られた共重合体(A1)のグリシジルメタクリレートから誘導された構造単位(a2)の含有割合は67モル%であり、スチレン由来の構造単位(a1)の含有割合は33モル%であった。
【0056】
1−4.表面改質剤の調製
[実施例1]
前記合成例1で合成した水溶性重合体(A1)1部を水99部に均一に溶解させ、表面改質剤を得た。
【0057】
[比較例1]
ポリメタクリル酸(Mw=20000)1部を水99部に均一に溶解させ、表面改質剤を得た。
【0058】
1−4.レジスト組成物の準備
[合成例3]
窒素置換したフラスコ中に、2,2'−アゾビスイソブチロニトリル(5.0g)、およびジエチレングリコールエチルメチルエーテル(90g)を入れた。
さらに、メタクリル酸(10部)、p−イソプロペニルフェノール(15部)、トリシクロ〔5.2.1.02,6〕デカニルメタクリレート(25部)、イソボルニルアクリレート(20部)、およびn−ブチルアクリレート(30部)を入れ、攪拌し、80℃まで昇温した。その後、80℃で6時間加熱した。
加熱後の溶液をシクロヘキサンによる再沈殿で精製し、レジスト用重合体を得た。
前記レジスト用重合体100部、多官能アクリレート(商品名「アロニックスM−8060」、東亜合成(株)製)52部、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン6部、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン19部、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン0.1部、3−メトキシプロピオン酸メチル90部を均一の混合し、レジスト組成物を調製した。
【0059】
2.評価
2−1.濡れ性
前記合成例3で合成したレジスト組成物を、シリコンウェハ上にスピンコートし、ホットプレートで120℃5分加熱した。アライナー(Suss Microtec社製、型式「MA−100」)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を、波長365nmにおける露光量が1000mJ/cm2となるように塗膜全面に露光した。露光後の塗膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38%水溶液にて150秒浸漬し、その後、純水で塗膜を洗浄した。洗浄後の塗膜の水の表面接触角(23℃)を測定した。
次いで、得られた塗膜上に、実施例1又は比較例1の表面改質剤をスピンコートした後、5分間又は10分間、静置した。その後、純水で塗膜を洗浄し、洗浄後の塗膜の水の表面接触角(23℃)を測定した。評価結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
2−2.めっき膜の形成
[実施例2]
銅スパッタ薄膜を有するシリコンウェハ上に、スピンコートにて、前記合成例3で合成したレジスト組成物を塗布し、ホットプレートで120℃、5分加熱して、塗膜を得た。得られた塗膜にマスクを介して、アライナー(Suss Microtec社製、型式「MA−100」)を用い、高圧水銀灯からの紫外線を、波長365nmにおける露光量が1000mJ/cm2となるように樹脂塗膜に露光した。露光後の塗膜をテトラメチルアンモニウムヒドロキシド2.38%水溶液にて現像し、レジストパターン(開口部の大きさ:幅20μm、深さ25μmのトレンチパターン)を得た。
次いで、前記レジストパターンを有する基板上に、実施例1の表面改質剤をスピンコートして、5分間静置した。その後、純水で塗膜を洗浄した。
洗浄後の前記レジストパターンを有する基板を、硫酸銅含有めっき液(商品名「MicrofabCU300」、日本エレクトロプレイティング・エンジニヤース株式会社製)を用い、電解めっき(陰極電流密度=3A/dm2、25℃、40分間)を行い、その後、レジストパターンを、剥離液(DMSO/TMAH/水=90部/5部/5部含有する溶液)にて剥離し、めっき膜を得た。得られためっき膜の断面を電子顕微鏡で観察したところ、欠け等のないめっき膜が形成されており、レジストパターンにめっき液がしっかり濡れ、良好に脱泡が行われたことが確認できた。
【0062】
[比較例2]
表面改質剤に比較例1の表面改質剤を用いた以外は実施例2と同様の操作にてめっき膜を得た。得られためっき膜の断面を電子顕微鏡で観察したところ、めっき膜が欠けており、レジストパターンにめっき液が濡れずに泡を噛んだことが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にレジストパターンを形成する工程と、
前記レジストパターン形成面に、下記一般式(1)で表わされる構造単位及び下記一般式(2)で表わされる構造単位を有する重合体(A)を含有する表面改質層を形成する工程と、
前記レジストパターンの開口部内にめっき膜を形成する工程
を有することを特徴とするめっき方法。
【化1】

〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
2は、単結合又は2価の連結基を示し、
3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はアルコキシ基を示し、
4は、水素原子又はメチル基を示し、
5は、極性基又は極性基を有する基を示す。〕
【請求項2】
前記表面改質層形成後、かつ前記めっき膜形成前に、表面改質層形成面を洗浄する工程を有する、請求項1に記載のめっき方法。
【請求項3】
前記レジストパターンが前記一般式(1)で表わされる構造単位を有する重合体を含有するレジスト組成物により形成されたものである、請求項1又は2記載のめっき方法。
【請求項4】
前記基板がレジストパターン形成面側に金属薄膜を有するものである、請求項1〜3のいずれか1項に記載のめっき方法。
【請求項5】
前記極性基を有する基が3つ以上の水酸基を有する基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載のめっき方法。
【請求項6】
請求項1に記載のめっき方法に用いられる表面改質層を形成するための表面改質剤であって、
下記一般式(1)で表わされる構造単位及び下記一般式(2)で表わされる構造単位を有する重合体(A)、並びに水を含有することを特徴とする表面改質剤。
【化2】

〔式中、
1は、水素原子又はメチル基を示し、
2は、単結合又は2価の連結基を示し、
3は、それぞれ独立に、水素原子、水酸基又はアルコキシ基を示し、
4は、水素原子又はメチル基を示し、
5は、極性基又は極性基を有する基を示す。〕
【請求項7】
前記極性基を有する基が3つ以上の水酸基を有する基である、請求項6に記載の表面改質剤。

【公開番号】特開2013−72124(P2013−72124A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−213288(P2011−213288)
【出願日】平成23年9月28日(2011.9.28)
【出願人】(000004178)JSR株式会社 (3,320)
【Fターム(参考)】