説明

もやしの揃え供給装置

【課題】
もやしの長さ方向を揃えて供給することができるもやしの揃え供給装置を提供する。
【解決手段】
水平方向の断面が楕円や長方形の扁平なホッパー3、4と、ホッパー4を断面の長辺に沿う方向に水平に振動させる加振機6と、ホッパー4の下方に配置されホッパー4の水平方向断面の長辺に沿う方向に互いに間隔を保って並べられた複数個の仕切り12が設けられたチェーンコンベア及びその内側に配設されチェーンコンベアより低速で走行されるベルトコンベア18によって構成され仕切り12と直交する方向に走行するコンベア10とを有し、コンベア10はホッパー4から落下するもやしを受けてその長さ方向が仕切り12に沿う方向にもやしを揃えて搬送する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、もやしの長さ方向を揃えて供給することができるもやしの揃え供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、商品として流通しているもやしは、主としてプラスチック製の袋に向きがばらばらで乱雑な状態で収納されている。また、そのもやしには曲がったものや折れたものも混じっており、外観は必ずしも良いとは言えない状態になっている。また、外観だけでなく、曲がったものを含んだ状態で向きがまちまちになって袋詰めされたもやしは、その流通過程で行われる箱詰めや仕分け、積み重ね、陳列のための移動などの度に加えられる力を受けると折れ易く、もやしが折れるとその部分から傷み易くなる。
【0003】
前記した欠点を除くため、本出願人は先に特許文献1に示すもやしの整列供給技術を提供した。この整列技術は内部に鉛直な板を配置したトレーにもやしを受け入れ、これを振動させてもやしを長さ方向に揃えるもので、これによればもやしを長さ方向に精度良く揃えることができるが、それを実行する装置は多数のトレーを振動させつつ搬送するというかなり大掛かりのものとなる。従って、更に簡素化され、低価格な装置とすることが出来るもやしの揃え供給装置の提供が望まれる。
【0004】
また、他のやり方として、特許文献2に開示されているように、もやしを載せたコンベアに水平方向に分力をもつ振動を与え、もやしの頭部と根部がその振動によって起こす変位量の差によってコンベア上のもやしの頭部と根部の向きを揃えようとする提案もなされているが、形状が一定でないもやしをこのやり方で所望どおり揃えるのは難しいと思われる。
【特許文献1】特開2000−289712号公報
【特許文献2】特開2003−292145号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、種類や生育状態が異なるもやしであっても、長さ方向を十分に揃えた状態にして供給することが出来る、構造が簡単で、故障の発生可能性が少ないもやしの揃え供給装置を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するため、本発明は、水平方向の断面が扁平なホッパーと、同ホッパーを水平方向成分をもって振動させる加振機と、前記ホッパーの下方に配置され同ホッパーの断面の短辺に沿う方向に互いに間隔を保って並べられた複数個の仕切りが設けられ同仕切りと直交する方向に走行するコンベアとを有し、前記コンベアは前記ホッパーから落下するもやしを受けて長さ方向がその仕切りに沿う方向にもやし類を揃えて搬送するようにしたもやしの揃え供給装置を提供する。
【0007】
本発明によるもやしの揃え供給装置にあっては、前記コンベアが、前記複数個の仕切りが互いに間隔を保って取り付けられたエンドレスなチェーンコンベアと、同チェーンコンベアの内側に配設されたエンドレスなベルトコンベアとによって構成され、前記チェーンコンベアが前記ベルトコンベアより高速で同方向に走行される構成とすることができる。また、仕切りの上縁に乗ったもやしを掻き落すための均し部材を設けるのが好ましい。
【発明の効果】
【0008】
本発明によるもやしの揃え供給装置にあっては、水平方向の断面が矩形や楕円形などの扁平な形状で水平方向の振動成分を持つ振動が、好ましくはその扁平断面の長辺に沿う方向に与えられているホッパーを通過させられるもやしが、ホッパー内で受ける振動によって、その長さ方向がホッパーの扁平断面における長さ方向に向くように変位され、ホッパーから出るときは、その頭部分と根部分の向きが反対になっていてもその長さ方向の向きが同じに揃えられて落下する。
【0009】
本発明によるもやしの揃え供給装置においては、ホッパーから前記したように長さ方向を揃えられて落下されたもやしは、仕切りが設けられたコンベアに受けられて、もやしの長さ方向をその仕切りに沿う方向に揃えられるが、そのコンベアを、前記複数個の仕切りが互いに間隔を保って取り付けられたエンドレスなチェーンコンベアと、同チェーンコンベアの内側に配設されたエンドレスなベルトコンベアとによって構成し、前記チェーンコンベアを前記ベルトコンベアより高速で同方向に走行される構成としたものでは、コンベア上に受け取られたもやしが、そのチェーンコンベアとベルトコンベアとの走行速度差によってチェーンコンベアの仕切りによって送りを与えられることによって、もやしは長さ方向がその仕切りに沿うように更に向きを揃えられる。
【0010】
また、本発明によるもやしの揃え供給装置においては、ホッパーから前記したように長さ方向を揃えて落下されたもやしが、仕切りを設けたコンベア上に受け入れられる際に一部、仕切りの上に乗るものが生ずるが、仕切りの上縁との間に小隙をもって、或いは仕切りの上縁に軽く接する程度にして配置された掻き落し板やブラシなどの均し部材を設けた構成を採用することにより、ホッパーから落下されたもやしを仕切りの間に落とし込ませてコンベアにおける仕切り間に入り込ませ確実に揃え作用を行うようにすることができる。
【0011】
本発明によるもやしの揃え供給装置は、水平方向の断面が扁平なホッパーと、そのホッパーを水平方向成分をもって振動させる加振機と、同ホッパーの下方に配置され複数個の仕切りが設けられたコンベアとで構成された簡単な構造で故障が少なくメンテナンスが容易であり、しかも、もやしを揃えるのに必要な装置の長さが短くて済むという利点をもつ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の一形態による装置について、図面に基づいて具体的に説明する。
全体構成を示す図1から図3において、1は掻き揚げコンベアを示し、多数の針状体が植設された掻き揚げ板がエンドレスなチェーンによって矢印2の方向に移動される構成となっており、図示していない図右下の溜めから、処理すべきもやしを斜め上方に搬送する働きをする。この掻き揚げコンベア1で掻き揚げられたもやしは、その上端から分散状態とされて中間ホッパー3を経て、下方のホッパー4へ供給される。
【0013】
これらのホッパー3、4は、水平方向の断面が長方形の扁平な形状となっており、図1で見て、その長辺が紙面に垂直な方向、短辺が左右方向となっており、その短辺の長さは処理対象の平均的もやしの長さより短くなっている。ホッパー4は、アーム5によって弾性的に変位可能に機枠に支持され、加振機6によってその紙面に垂直な、ホッパー4の長辺方向(図2の矢印7の方向)に、支持点8のまわりに振動されるように構成されている。
【0014】
掻き揚げコンベア1によって溜めから掻き揚げられたもやしは、掻き揚げコンベア1の上端部から分散状態にされて中間ホッパー3の横断面の長方形に沿って横に広げられ、かつ、横断面が長方形になっているので、その形状によってもやしはその長さ方向を長辺に沿う方向に揃えられた状態になって下方のホッパー4へ落下される。
【0015】
ホッパー4はそのもやしを受け、もやしの長さ方向を横断面の長方形に沿って更に良好に横に揃えた状態にして下端の排出口から落下させる。加振機6によってホッパー4は横断面における長辺に沿う矢印7の方向(図2の左右方向)に水平方向の振動成分をもつ加振力で加振されているので、ホッパー4内のもやしは長さ方向がホッパー4の長辺に沿うように方向づけられ揃えられた状態になって下端の排出口から落下される。
【0016】
ホッパー4の下方には、矢印11方向に走行されるコンベア10が配置されている。コンベア10は、走行方向11を横切って、隣り合うものとの間に間隔を保って複数個の仕切り12が立設された状態で取り付けられているエンドレスなチェーン13で構成されたチェーンコンベアと、このチェーンコンベアの内側に配設されたエンドレスなベルトコンベア18を有している。エンドレスなチェーン13はスプロケット14、15の周りに掛け渡され、ベルトコンベア18はローラ16、17の周りに掛け渡されている。チェーンコンベアにおける隣り合う仕切り12の間隔は、処理されるもやしの平均的な長さより短くされており、仕切りの高さは、例えば1cmである。
【0017】
このようにコンベア10の走行面にはチェーンコンベアの仕切り12とベルトコンベア18とによって、ホッパー4の排出口と同様に、図1の紙面に垂直な方向に長辺をもつ長方形の収容空間が形成されて、その収容空間は仕切り12と直交する方向に走行される構造となっている。また、チェーンコンベアの仕切り12はベルトコンベア18よりも高速で走行される構造となっており、ベルトコンベア18上に載ったもやしは、ベルトコンベア18より高速で移動される仕切り12によってベルトコンベア18上を滑らしたり転がしたりして送られ、その際、もやしは長さ方向が仕切り12に沿う方向に揃えられる作用を受ける。9は、ホッパー4の落下口の位置におけるコンベア10の両側に立設され、ホッパー4から落下するもやしが側方へ跳ね出るのを防ぐガイド板である。
【0018】
コンベア10の上方には、仕切り12の上縁と小隙を保つ状態で配置されたブラシや、適宜のガイドに沿ってコンベア10を横切る方向に往復動されているブレードを有する均し部材(図示していない)が設けるのが好ましい。この均し部材は、ホッパー4から供給されて仕切り12の上に載った状態になったもやしを仕切り12間の収容空間に落下させ、その収容空間内に長さ方向を揃えた状態で収容させる作用を行う。コンベア10の下流には、処理されたもやしを次の工程へ搬送するコンベア20が配設されている。
【0019】
図示した装置は以上説明した構成を有しており、掻き揚げコンベア1で右下の溜め(図示されていない)から掻き揚げられたもやしは、ホッパー3、4によって、その長さ方向をホッパー横断面の長辺方向である図1の紙面に垂直な方向に揃えられた状態に揃えられてホッパー4の下端からコンベア10に供給され、コンベア10を構成するチェーンコンベアに立設して設けられた仕切り12と、その下方を走行しているベルトコンベア18とによって形成されている図1の紙面に垂直な方向に長辺をもつ長方形の収容空間内に収容される。仕切り12とベルトコンベア18とによって形成されている収容空間でもやしは、仕切り12とベルトコンベア18との間に速度差があるため仕切り12によりベルトコンベア18上を送られ、その際、もやしは長さ方向が仕切り12に沿う方向になるよう揃えられ、結局、もやしは図1の紙面に垂直方向に当たる収容空間の長さに沿う方向に長さ方向を揃えられる。
以上の態様で、もやしはその長さ方向を揃えられた状態にされて包装工程や他の処理工程へ供給される。
【0020】
以上、本発明によるもやしの揃え供給装置を図示した実施の態様に基いて具体的に説明したが、本発明による装置はこの実施維持形態に限定されないことは言うまでもない。例えば、前記した実施形態では、ホッパー3、4は水平方向断面が長方形の扁平断面となっているが、楕円形その他適宜の形の扁平となっていてよい。また、図示したものでは、加振機6によってホッパー4は横断面における長辺に沿う矢印7の方向(図2の左右方向)に水平方向の振動成分をもつ加振力で加振されているが、ホッパーを振動させる方向は長辺に沿う方向に限らず、短辺に沿う方向など適宜の向きの水平方向成分をもつ振動を行わせるものであってよい。
【0021】
更にまた、図示したものでは中間ホッパー3は加振させていないが、ホッパー4と同様に加振する構成としてよい。また、図示した装置では、コンベア10がチェーン13に複数個の仕切り12を取り付けたチェーンコンベアとその内側に配設されたベルトコンベア18によって構成され、チェーンコンベアの走行速度をベルトコンベア18より速くしてベルトコンベア18上でもやしの長さ方向を揃える作用を行わせるように構成しているが、仕切り12付きの単体のコンベアで構成してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の実施の一形態によるもやし類の揃え供給装置の側面図。
【図2】図1に示す装置におけるホッパー3、4及びコンベア10の右側面図。
【図3】図1に示す装置の平面図。
【符号の説明】
【0023】
1 掻き揚げコンベア
3 中間ホッパー
4 ホッパー
5 アーム
6 加振機
8 支持点
9 ガイド板
10 コンベア
12 仕切り
13 チェーン
14 スプロケット
15 スプロケット
16 ローラ
17 ローラ
18 ベルトコンベア
20 コンベア

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向の断面が扁平なホッパーと、同ホッパーを水平方向成分をもって振動させる加振機と、前記ホッパーの下方に配置され同ホッパーの断面の短辺に沿う方向に互いに間隔を保って並べられた複数個の仕切りが設けられ同仕切りと直交する方向に走行するコンベアとを有し、前記コンベアは前記ホッパーから落下するもやしを受けて長さ方向がその仕切りに沿う方向にもやしを揃えて搬送することを特徴とするもやしの揃え供給装置。
【請求項2】
前記コンベアが、前記複数個の仕切りが互いに間隔を保って取り付けられたエンドレスなチェーンコンベアと、同チェーンコンベアの内側に配設されたエンドレスなベルトコンベアとによって構成され、前記チェーンコンベアが前記ベルトコンベアより高速で同方向に走行される構成としたことを特徴とする請求項1に記載のもやしの揃え供給装置。
【請求項3】
前記同仕切りの上縁に乗ったもやしを掻き落す均し部材を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載のもやしの揃え供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−19091(P2008−19091A)
【公開日】平成20年1月31日(2008.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−194648(P2006−194648)
【出願日】平成18年7月14日(2006.7.14)
【出願人】(000149273)株式会社大生機械 (35)
【Fターム(参考)】