説明

ゆず果汁含有飲食品およびその製造方法

【課題】ゆず果汁を含有する飲食品のゆず感を残しつつ、渋みを改善し、風味良好な飲食品を提供する。
【解決手段】ゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゆず果汁と日向夏果汁を含有する風味良好な飲食品およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
柑橘類の一種であるゆずは甘味がなく酸味や渋みが強いため、果実を生食するよりも、果汁や果皮をポン酢、ゆず胡椒、ゆず味噌等の調味料に使用することが多い。
【0003】
近年では、ゆず果汁の爽やかな香気(ゆず感)を利用した菓子、ジャム、飲料等の各種飲食品も製造されているが(特許文献1)、特に、ゆず果汁を含有する飲食品はゆず果汁由来の渋みが強く、万人向けではない等の問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公平7−34728号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従って、本発明はゆず果汁を含有する飲食品のゆず感を残しつつ、渋みを改善し、風味良好な飲食品を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究した結果、ゆず果汁と、ゆずと近縁の特定の柑橘類の果汁を組み合わせて飲食品に含有させることにより、ゆず感を残しつつ、渋みが改善された風味良好な飲食品となることを見出し、本発明を完成させた。
【0007】
すなわち、本発明はゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品である。
【0008】
また、本発明はゆず果汁と日向夏果汁を配合することを特徴とする飲食品の製造方法である。
【0009】
更に、本発明はゆず果汁を含有する飲食品に日向夏果汁を配合することを特徴とするゆず果汁含有飲食品の風味改善方法である。
【発明の効果】
【0010】
本発明のゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品は、ゆず感を残しつつ、渋みが改善された風味良好なものである。
【0011】
また、本発明のゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品は、高温保存安定性および耐光性に優れているので特にホット飲料に好適である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明のゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品(以下、「本発明飲食品」という)に使用されるゆず果汁としては、ゆず(学名:Citrus junos)から得られる果汁であれば特に制限されず、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したもののいずれでも用いることができ、例えば、ゆずの全果または全果から果皮等を除いた果肉を常法に従い搾汁して得られるストレート果汁等が挙げられ、好ましくは全果圧縮型搾汁装置等でゆずの全果を搾汁して得られるストレート果汁である。このようなゆず果汁は、例えば、クエン酸相当酸度が、4.8質量%(以下、単に「%」という)以上、好ましくは5〜7%のものであり、宮崎県農協果汁株式会社、徳島県農協、宇佐農協、株式会社サンヨーフーズ等からゆずストレート果汁として入手することができる。また、本発明飲食品には、このようなストレート果汁を濃縮した濃縮果汁も用いることができる。
【0013】
なお、本発明においてクエン酸相当酸度とは、飲料中に含まれる全ての酸をクエン酸と仮定した場合のクエン酸の質量パーセント濃度を指し、例えば、飲料10gを0.1規定の水酸化ナトリウムを用いてpHが8となるまで滴定し、その滴定量から計算することができる。計算式は次の通りである。
[数1]
クエン酸相当酸度(%)=(a×v×f)÷W×100
a:0.1mol/lの水酸化ナトリウム1mlに相当するクエン酸量(0.0064g

v:0.1mol/lの水酸化ナトリウムの使用量(ml)
f:0.1mol/lの水酸化ナトリウムのファクター*)
W:試料採取量(g)
*:ファクターの算出方法は下記の通りである。
(a)水酸化ナトリウム4.00gを秤量し水に溶かしてメスフラスコに入れ、水を加え
て1000mlにする。
(b)0.05mol/lシュウ酸水溶液を、3つのコニカルビーカーにホールピペット
を用いて10mlずつ入れフェノールフタレイン溶液を、2〜3滴たらす。
(c)以下の要領で滴定を行い、水酸化ナトリウム水溶液のファクターを求める。
(i)ビュレットのコックを閉め、漏斗を用いて(a)で作った水酸化ナトリウム水溶
液をビュレットの目盛り0付近まで入れる。ビュレットの下にビーカーを置き、
コックを開いて2〜3mlの液を流し出す。
(ii)ビュレット内の液面の目盛りを最小目盛りの1/10まで読み、記録する。コッ
クを開いて水酸化ナトリウム水溶液を少しずつ滴下し、コニカルビーカーを軽く振
って液がよく混ざるようにする。
(iii)水酸化ナトリウム水溶液の滴下を続けていると、コニカルビーカー内の溶液が
微紅色が消えなくなる。ここが滴定の終了点であるから滴定を止め、液面の目盛
りを読み、記録する。
(iv)第1回の滴定が終わったらビュレット内の液を少量流しだし、新しい目盛りを読
み、以上のような操作を2回繰り返す。
(v)シュウ酸水溶液の滴定に要した水酸化ナトリウム水溶液の量の平均値(αml)
を算出し、2×0.05mol/l×10ml=0.1mol/l×f×αmlから
、ファクター(f)を算出する。
【0014】
また、本発明飲食品に使用される日向夏果汁としては、日向夏(学名:Citrus tamurana)から得られる果汁であれば特に制限されず、パルプ分を含むもの、または、ろ過や遠心分離等の処理によりパルプ分を除去したもののいずれでも用いることができ、例えば、日向夏の全果または全果から果皮を除いた果肉を常法に従い搾汁して得られるストレート果汁等が挙げられ、好ましくは全果圧縮型搾汁装置等で日向夏の全果を搾汁して得られるストレート果汁である。このような日向夏果汁は、例えば、クエン酸相当酸度が0.7%以上、好ましくは1〜3%のものであり、宮崎県農協果汁株式会社、株式会社サンヨーフーズ等から日向夏ストレート果汁として入手することができる。また、本発明飲食品には、このようなストレート果汁を濃縮した濃縮果汁も用いることができる。
【0015】
本発明飲食品は、ゆず果汁と日向夏果汁を含有可能な飲食品であれば、特に制限されず、例えば、従来公知の果汁を含む飲食品が挙げられる。このような飲食品としては、例えば、果汁含有飲料、果汁入り清涼飲料、果汁入り茶系飲料、果肉入り果実飲料、果肉入り清涼飲料、果肉入り茶系飲料、果汁入り野菜飲料、果汁・果肉入り野菜飲料、アルコール飲料、発酵乳飲料、機能性飲料、スポーツドリンク等の飲料、氷菓、ゼリー、アメ、ガム等の菓子類等が挙げられる。本発明飲食品としては、これらの中でも、飲料が好ましく、特に、ポリエチレンテレフタラート(PET)等の透明容器に充填され、販売時に加温されるホット飲料が好ましい。
【0016】
これらの飲食品におけるゆず果汁と日向夏果汁の含有量は特に制限されないが、例えば、ゆず果汁を0.1〜10%、好ましくは0.25〜7%、更に好ましくは0.5〜7%、日向夏果汁を0.1〜20%、好ましくは0.125〜7%、更に好ましくは0.125〜0.875%である。また、これら飲食品における、ゆず果汁と日向夏果汁の含有比率は質量比で1:0.01〜200、好ましくは1:0.1〜2、更に好ましくは1:0.25〜1.75である。なお、本発明におけるゆず果汁、日向夏果汁の含有量は、飲食品中のゆず果汁、日向夏果汁の含有量を、ゆず果汁についてはクエン酸相当酸度5.4%のゆず果汁の含有量に換算した値であり、日向夏果汁についてはクエン酸相当酸度1.48%の日向夏果汁の含有量に換算した値である。また、この含有量に基づいて、ゆず果汁と日向夏果汁の含有比率が求められる。
【0017】
また、これらの飲食品は、ゆず果汁と日向夏果汁を配合するだけで製造することができ、例えば、従来公知の果汁を含む飲食品の製造において、果汁を配合する代わりに、ゆず果汁と日向夏果汁を配合する以外は、同様の工程で製造することができる。例えば、飲料の場合は、ゆず果汁、日向夏果汁と甘味料などの原材料を水に配合し、十分撹拌した後、プレートヒーター等を用いて95〜125℃で3〜10秒間殺菌し、容器に充填することにより製造することができる。
【0018】
なお、本発明飲食品には、ゆず果汁と日向夏果汁に加えて、更にはちみつを含有させることにより、更にゆず果汁由来の渋味を改善することができる。本発明飲食品に使用されるはちみつとしては、特に制限されないが、例えば、はちみつ、精製はちみつ、加糖はちみつ、アカシアはちみつ等が挙げられる。これらのはちみつの中でも精製はちみつが好ましい。また、本発明飲食品におけるはちみつの含有量は、0.1〜5%、好ましくは0.3〜1%である。
【0019】
また、本発明飲食品には、風味を損なわない程度に、香料、甘味料、酸味料、増粘剤、乳化剤、ビタミン類、ミネラル類等を配合してもよい。具体的に、香料としては、例えば、ゆずフレーバー、ハニーフレーバー、グレープフルーツフレーバー、ヨーグルトフレーバー、ベリーフレーバー、オレンジフレーバー、カリンフレーバー、シソフレーバー、アップルフレーバー、ミントフレーバー、グレープフレーバー、アプリコットフレーバー、ペアフレーバー、クリームフレーバー、メロンフレーバー、バナナフレーバー、トロピカルフレーバー、ハーブフレーバー、紅茶フレーバー、コーヒーフレーバー等が挙げられる。甘味料としては、例えば、果糖ブドウ糖液糖、ファインリカー、グラニュー糖、ブドウ糖果糖液糖、果糖、パラチノース、トレハロース、ラクトース、キシロース、麦芽糖、ソルビトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール、パラチニット、還元水飴、還元麦芽糖水あめ、アスパルテーム、ソーマチン、スクラロース、アセスルファムK、ステビア等が挙げられる。酸味料としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸等が挙げられる。増粘剤としては寒天、ゼラチン、カラギーナン、グァーガム、キサンタンガム、ペクチン、ローカストビーンガム、ジェランガム、カルボキシメチルセルロース、大豆多糖類、アルギン酸プロピレングリコール等が挙げられる。乳化剤としてはショ糖脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、レシチン等が挙げられる。ビタミン類としてはビタミンA、ビタミンB類、ビタミンC、ビタミンE類等が挙げられる。ミネラル類としてはカルシウム、マグネシウム、亜鉛、鉄、マンガン等が挙げられる。
【0020】
更に、本発明飲食品には、ゆずの果汁感をイメージするために、例えば、マリーゴールド色素、クチナシ黄色素、ベニバナ色素、ウコン色素等の黄色色素を配合したり、耐光性や高温保存安定性を高めるために、例えば、酵素処理ルチン、ビタミンC等の酸化防止剤等を配合してもよい。特に、本発明飲食品がPET等の透明容器に充填され、販売時に加温されるホット飲料の場合には、マリーゴールド色素とビタミンCを組み合わせて配合することにより、商品陳列時に光による外観の変化、高温による異臭の発生を抑制するため好ましい。この場合のマリーゴールド色素の配合量は0.01〜0.2%、好ましくは0.01〜0.1%であり、ビタミンCの配合量は0.005〜0.04%、好ましくは0.01〜0.02%である。
【0021】
斯くして得られる本発明の飲食品は、ゆず果汁のゆず感を残しつつ、渋みが改善された風味良好な飲食品となる。
【実施例】
【0022】
以下、本発明を実施例を挙げて詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に何ら制限されるものではない。
【0023】
実 施 例 1
ゆず果汁・柑橘果汁含有飲料の調製:
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)0.5%および下記表1に示した柑橘果汁0.5%を精製水に溶解して飲料を製造した。これらの飲料の風味を下記評価基準で評価した。その結果を表1に示した。
【0024】
<ゆず感評価基準>
評価 内容
◎ : ゆず特有の爽やかな果実感のある香気と風味が非常にある
○ : ゆず特有の爽やかな果実感のある香気と風味がある
△ : ゆず特有の香気と風味がやや弱い
× : ゆず特有の香気と風味がない
【0025】
<ゆず特有の渋み評価基準>
評価 内容
◎ : 渋みがほとんどない
○ : 渋みが弱い
△ : 渋みがやや強い
× : 渋みが強い
【0026】
【表1】

【0027】
以上の結果から、ゆず果汁と日向夏果汁とを組み合わせることにより、ゆず感を残しながらもゆず特有の渋みが弱くなり、風味が良好となることがわかった。
【0028】
実 施 例 2
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(1):
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)および日向夏果汁(日向夏ストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度1.48%)を下記表2の量、果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖3.65%、クエン酸0.17%、ビタミンC0.01%、マリーゴールド色素(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.01%を精製水に溶解した後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これをPET容器に充填した後、冷却しゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。これらの飲料の風味を実施例1と同様の評価基準で評価した。その結果を表2に示した。
【0029】
【表2】

【0030】
以上の結果から、ゆず果汁と日向夏果汁の配合比率を1:0.25〜1.75にすることにより、ゆずの爽やかな香気と風味を残しつつ、ゆず特有の渋みが弱くなり、良好な風味となった。一方、ゆず果汁と日向夏果汁の配合比率を1:0.1にすると、ゆずの爽やかな風味はあったが、ゆず特有の渋味がやや強かった。更に、ゆず果汁と日向夏果汁の配合比率を1:2とすると、ゆず特有の渋みは弱く、まろやかでこくのある風味となったが、日向夏の風味が強く、ゆずの爽やかな風味は弱かった。
【0031】
実 施 例 3
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(2):
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)および日向夏果汁(日向夏ストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度1.48%)を下記表3の量、果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖3.65%、クエン酸0.17%、ビタミンC0.01%、マリーゴールド色素(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.01%を精製水に溶解した後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これをPET容器に充填した後、冷却しゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。これらの飲料の風味を実施例1と同様の評価基準で評価した。その結果を表3に示した。
【0032】
【表3】

【0033】
以上の結果から、ゆず果汁と日向夏果汁の配合比率が1:1で、ゆず果汁と日向夏果汁の配合量を0.25〜7%にすることにより、ゆずの爽やかな香気と風味を残しつつ、ゆず特有の渋みが弱くなり、良好な風味となった。一方、ゆず果汁と日向夏果汁の配合量が0.1%以下ではゆずの風味自体が弱く、ゆず特有の渋みもあまり感じられなかった。更に、ゆず果汁と日向夏果汁の配合量が10%ではゆずと日向夏の果実感が強く、ゆず特有の渋みも感じられた。
【0034】
実 施 例 4
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(3):
実施例2と同様の処方に、はちみつ(精製はちみつ:アピ株式会社)を0.314%配合する以外は実施例2と同様にしてゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。これらの飲料の風味を実施例1と同様の評価基準で評価した。その結果を表4に示した。
【0035】
【表4】

【0036】
以上の結果から、ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料にはちみつを配合することにより、ゆず本来の香気と風味を残しつつ、更にゆず特有の渋みが弱くなり、風味が良好となった。特に、ゆず果汁と日向夏果汁の配合比率を1:0.25〜1にすることにより、ゆず本来の香気と風味を残しつつ、ゆず特有の渋味がほとんどなくなり、非常に良好な風味となった。一方、ゆず果汁と日向夏果汁の配合比率を1:2とすると、ゆず特有の渋みは弱く、まろやかでこくのある風味となったが、日向夏の風味が強く、ゆずの爽やかな風味は弱かった。
【0037】
実 施 例 5
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(4):
実施例3と同様の処方に、はちみつ(精製はちみつ:アピ株式会社)を0.314%配合する以外は実施例3と同様にしてゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。これらの飲料の風味を実施例1と同様の評価基準で評価した。その結果を表5に示した。
【0038】
【表5】

【0039】
以上の結果から、ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料にはちみつを配合することにより、更にゆず特有の渋味が弱くなり、風味が良好となった。特に、ゆず果汁と日向夏果汁の配合量を0.5〜7%とすると、ゆず本来の香気と風味を残しつつ、ゆず特有の渋味がほとんどなくなり、風味が非常に良好となった。一方、ゆず果汁と日向夏果汁の配合量が0.1%以下では、ゆず特有の渋みは感じられなかったが、ゆずの風味自体が弱かった。更に、ゆず果汁と日向夏果汁の配合量が10%ではゆずと日向夏の果実感が強く、ゆず特有の渋みも感じられた。
【0040】
試 験 例 1
安定性試験:
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)0.5%、日向夏果汁(日向夏ストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度1.48%)0.5%、果糖ブドウ糖液糖10%、蔗糖3.65%、はちみつ(精製はちみつ:アピ株式会社)0.314%、クエン酸0.17%、ビタミンC0.01%、マリーゴールド色素(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.01%を精製水に溶解した後、90℃まで加熱して殺菌した。次いで、これをPET容器に充填した後、冷却しゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。
【0041】
この飲料を55℃で2週間保存したところ、風味、色調の変化、外観の変化はほとんどなく、保存後も異臭はほとんど発生しなかった。また、この飲料に積算照射量が14万ルクスとなるまで白色光(光安定性試験器LST−300D型:東京理化器械株式会社)を照射して保存したところ、風味、色調の変化、外観の変化はほとんどなく、保存後も異臭はほとんど発生しなかった。なお、積算照射量14万ルクスは、店頭の照明を1000ルクス、販売店の営業時間を10時間/日とした時の販売期間14日分に相当する。
【0042】
以上の結果から、本発明のゆず果汁・日向夏果汁含有飲料は高温保存安定性および耐光性に優れているのでホット飲料に特に好ましいことがわかった。
【0043】
実 施 例 6
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(5):
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)0.5%、日向夏果汁(日向夏ストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度1.48%)0.5%、果糖ブドウ糖液糖9%、蔗糖3%、はちみつ(精製はちみつ:アピ株式会社)0.3%、クエン酸0.1%、ビタミンC0.01%、マリーゴールド色素(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.01%および香料0.17%を精製水に十分に溶解した後、プレートヒーターを用いて119〜123℃、6〜10秒間の条件で殺菌し、PET容器に充填してゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。
【0044】
得られた飲料は、ゆずの風味が良好で、ゆず特有の渋味がないものであった。また、この飲料を55℃で2週間保存したところ、風味、色調の変化、外観変化はほとんどなく、保存後も異臭はほとんど発生しなかった。
【0045】
実 施 例 7
ゆず果汁・日向夏果汁含有飲料の調製(6):
ゆず果汁(ゆずストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度5.4%)0.5%、日向夏果汁(日向夏ストレート果汁:宮崎県農協果汁株式会社、クエン酸相当酸度1.48%)0.5%、果糖ブドウ糖液糖12%、蔗糖5%、はちみつ(精製はちみつ:アピ株式会社)1%、クエン酸0.25%、ビタミンC0.01%、マリーゴールド色素(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社)0.01%および香料0.18%を精製水に十分に溶解した後、プレートヒーターを用いて119〜123℃、6〜10秒間の条件で殺菌し、PET容器に充填してゆず果汁・日向夏果汁含有飲料を得た。
【0046】
得られた飲料は、ゆずの風味が良好で、ゆず特有の渋味がないものであった。また、この飲料を55℃で2週間保存したところ、風味、色調の変化、外観変化はほとんどなく、保存後も異臭はほとんど発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明のゆず果汁と日向夏果汁を含む飲食品は、ゆず果汁を含む飲食品に特有のゆず感を残しつつ、渋みが抑制され、風味良好なものであるため、ゆずの利用拡大に寄与することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゆず果汁と日向夏果汁を含有する飲食品。
【請求項2】
ゆず果汁と日向夏果汁の含有比率が質量比で1:0.25〜1.75である請求項1記載の飲食品。
【請求項3】
ゆず果汁を0.5〜7質量%含有する請求項1または2記載の飲食品。
【請求項4】
更に、はちみつを含有する請求項1〜3の何れかに記載の飲食品。
【請求項5】
飲食品が、ホット飲料である請求項1〜4の何れかに記載の飲食品。
【請求項6】
ゆず果汁と日向夏果汁を配合することを特徴とする飲食品の製造方法。
【請求項7】
ゆず果汁と日向夏果汁の含有比率が質量比で1:0.25〜1.75である請求項6記載の飲食品の製造方法。
【請求項8】
ゆず果汁を0.5〜7質量%含有する請求項6または7記載の飲食品の製造方法。
【請求項9】
更に、はちみつを配合する請求項6〜8の何れかに記載の飲食品の製造方法。
【請求項10】
飲食品が、ホット飲料である請求項6〜9の何れかに記載の飲食品の製造方法。
【請求項11】
ゆず果汁を含有する飲食品に日向夏果汁を配合することを特徴とするゆず果汁含有飲食品の風味改善方法。

【公開番号】特開2012−60893(P2012−60893A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−205357(P2010−205357)
【出願日】平成22年9月14日(2010.9.14)
【出願人】(000006884)株式会社ヤクルト本社 (132)
【Fターム(参考)】